JP2016148147A - 橋梁に対する連結制振構造及び橋梁に対する連結制振構造の設定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】隣り合う一方の第1橋桁部2に一端側を、他方の第2橋桁部3に他端側をそれぞれ接続して制振ダンパー4を設置して構成されるとともに、橋桁部2、3のそれぞれと下部構造の橋脚部7との間において、複数の支承5A、5Bを設置するとともに、これら支承5A、5Bのうち少なくとも一方と並列配置されるように制振装置6を設置して構成され、制振装置6として、ばね部材6A又は慣性質量ダンパー6Bが設けられた構成の橋梁に対する連結制振構造Aを提供する。
【選択図】図1
Description
特許文献1、2では、橋脚上部において桁−桁の間をダンパーで連結する形態が図示され、構造物を長周期化したり橋梁全体の震動を制御して耐震性を高めたりすることができるとしているが、具体的なダンパー諸元の設定や効果に関する記載がない。当然ながら、双方の橋桁が同じ揺れとなる場合にはダンパーで連結しても制振効果はなく、橋梁構造の振動特性とダンパー量との関係が重要となっている。
また、実在する隣接橋梁間の振動特性が大幅に異なる場合は少なく、連結制振による応答低減効果は限定的なものとなることから、その点で改善の余地があった。
また、制振ダンパーを隣接する橋桁部間を連結するように設けるとともに、制振装置を支承と並列に配置するだけの比較的簡単な作業なので、施工に当たり特別な技能は必要とされず、新設だけでなく既存橋梁の制振改修にも適用できる利点がある。
そして、本実施の形態の連結制振構造Aでは、橋桁部2、3のそれぞれと下部構造1Bとの間において、支承5(5A、5B)を設置するとともに、これら支承5A、5Bのうち少なくとも一方(本実施の形態では両方)と並列配置されるように制振装置6(6A、6B)を設置して構成されている。
この筒体15は、所定長さの高軸剛性かつ高曲げ剛性の中空円筒体であって、その他端(図中左側の端部)15aに内部を閉塞させるように円板状の接続板17が固着され、この接続板17に、慣性質量ダンパー6Bの他端を、橋梁1の下部構造1B又は上部構造1Aに接続するためのボールジョイントやクレビスなどの連結部材18が取り付けられている。また、筒体15は、その一端側(図中右側の端部)15bが軸受け14に固着され、ボールねじ10の他端10b側が内部に挿入されている。
これにより、回転錘12の実際の質量の数千倍もの慣性質量効果が得られ、オイルダンパーなどの従来の制振装置を設置した場合と比較し、応答変位が大幅に低減することになる。
また、橋脚部7の水平剛性をk0、橋脚部7の振動特性を等価な1質点系にモデル化したときの質量をm0としている。さらに、隣接する橋桁部2、3同士の間の連結に設置する制振ダンパー4の減衰係数をCdとしている。
このように設定した最適諸元の制振ダンパー4の有無による周波数伝達関数の変化を確認した上で、時刻歴応答解析により制振効果を把握し評価する。
具体的に、Case1は、非制振であるので、双方の橋桁部2、3の固有振動数が同じとなって一緒に揺れ、制振装置が効かない構造のものである。Case2(制振aという)は、第1橋桁部2にばね部材6Aのばね剛性kaを追加し、桁−桁間に制振ダンパー4であるオイルダンパーCdを設置した制振構造である。Case3(制振bという)は、第1橋桁部2にばね部材6Aのばね剛性kaを追加し、第2橋桁部3に慣性質量ダンパーΨaを追加し、桁−桁間にオイルダンパーCdを設置した制振構造である。
Case2、3はいずれも連結部のみに粘性減衰を設け、支承5A、5Bと並列にばね又は慣性質量を設けて双方の橋桁部2、3の固有振動数を乖離させたものである。
表1に、各Caseでの振動諸元を示す。
なお、構造減衰hはh=0.01としている。
なお、加振振動数比ξは、ω0=√(k2/m2)に対する加振角振動数ω=2πf(fは加振振動数)の比率であり、Xi(上に「・・」)は加速度xi(上に「・・」)のフーリエ変換である。図3及び図4は、横軸に入力振動数(加振振動数比)ξ(ω/ω0)、縦軸に応答倍率(X2(上に「・・」)/X0(上に「・・」)、X1(上に「・・」)/X0(上に「・・」))を示している。
とくに、慣性質量ダンパー6Bとばね部材6Aを併用したCase3では、最大応答倍率が2.5以下と極めて小さくなり、ほとんど共振しない特性となることが確認された。さらに、高振動数域(横軸の加振振動数比ξが大きい領域)では、応答倍率が1よりも十分に小さくなっており、固有振動数を超える高振動数域での加速度低減効果を期待することができる。そして、Case1における質点m1、m2は、固有振動数が同じであるため、応答倍率も同じとなる。
図5及び図6から、制振(Case2、3)によって共振域での応答倍率が大幅に低下し、双方とも変位が抑制される(双方の橋桁変位=質点m1、m2の変位、双方の支承部変位がいずれも抑制される)ことが確認された。とくに、Case3では、前述の加速度の場合と同様に最大応答倍率が2.5以下と極めて小さくなり、ほとんど共振しない特性となることが確認された。
なお、この入力地震動の波形は図8に示す通りである。
図9〜図12に示すように、双方の振動特性が等しいCase1は、橋桁部2、3の両方の揺れが同じになるので連結部に相対変位が生じず、連結制振の効果がないことを確認することができる。そのため、質点1、2の応答加速度は同じとなる。
一方、連結部だけでなく支承5A、5Bと並列に制振装置を付加したCase3では、最大応答加速度が1/2〜1/3に大きく低減され、揺れもCase2よりも急速に収束することがわかる。とくに、慣性質量ダンパー6Bを設置した第2橋桁部3(質点2)の加速度が大きく低減していることが確認された。
図13〜図16に示すように、双方の振動特性が等しいCase1は、橋桁部2、3の両方の揺れが同じになるので連結部に相対変位が生じず、連結制振の効果がないことを確認することができる。そのため、質点1、2の支承部応答変位は同じとなる。
一方、連結部だけでなく支承5A、5Bと並列に制振装置を付加したCase3では、最大応答変位が1/2〜1/3に大きく低減され、揺れもCase2よりも急速に収束することがわかる。そして、支承5A,5Bと並列にばね部材6Aを追加した固有振動数が高い第1橋桁部2(質点1)の応答変位が大幅に低減されていることが確認された。
図17に示すように、桁間の相対変位は200〜300mmであり、揺れの収束も早くなることが確認された。
制振ダンパー4の反力は、Case2で2900kNであり、オイルダンパーを5台並列配置すれば1台当り600kNで済み、免震用に使用されている製品で十分対応できる範囲である。また、Case3で5500kNであり、オイルダンパーを7台並列配置すれば1台当り800kNで済み、免震用に使用されている製品で十分対応できる範囲である。
図18及び図19に示すように、橋脚部7のせん断力については、Case2では最大応答値は制振によりほとんど変化しないものの、揺れの収束が早くなることが確認された。
一方、Case3では、最大応力値が制振により4割に低減するとともに、Case2よりもさらに揺れの収束が早くなっていることが確認された。
1A 上部構造
1B 下部構造
2 一方の第1橋桁部(橋桁)
3 他方の第2橋桁部(橋桁)
4 制振ダンパー
5、5A、5B 支承部
6 制振装置
6A ばね部材
6B 慣性質量ダンパー
7 橋脚部
A 橋梁に対する連結制振構造
O1 橋軸
Claims (2)
- 隣り合う一方の第1橋桁部に一端側を、他方の第2橋桁部に他端側をそれぞれ接続して制振ダンパーを設置して構成されるとともに、
前記橋桁部のそれぞれと下部構造との間において、複数の支承を設置するとともに、これら支承のうち少なくとも一方と並列配置されるように制振装置を設置して構成され、
前記制振装置として、ばね部材又は慣性質量ダンパーが設けられていることを特徴とする橋梁に対する連結制振構造。 - 請求項1記載の橋梁に対する連結制振構造の設定方法であって、
前記第1橋桁部の固有振動数が、前記第2橋桁部の固有振動数よりも大きい場合において、
前記第2橋桁部側の支承と並列に前記慣性質量ダンパーが配置される構成と、
前記第1橋桁部側の支承と並列に前記ばね部材が配置される構成と、
前記第2橋桁部側の支承と並列に前記慣性質量ダンパーが配置されるとともに、前記第1橋桁部側の支承と並列に前記ばね部材が配置される構成と、
のいずれか1つが選択的に設けられることを特徴とする橋梁に対する連結制振構造の設定方法。
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