JP2016147695A - 包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエチレンおよびポリプロピレンに対して吸着性を有する物質を含む内容物を、安定的に包装可能な包装袋を低コストで提供する。【解決手段】ポリエチレンおよびポリプロピレンに吸着されうる物質を含む内容物を収容する包装袋であって、2軸配向ポリエステル層を最内層に有するフィルムをヒートシールして形成され、物質を収容したときの包装袋への物質の吸着量が、密度920kg/m3、融点115℃の低密度ポリエチレンおよび密度900kg/m3、融点138℃のコポリマータイプの無延伸ポリプロピレンのそれぞれへの物質の吸着量の50%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルムをヒートシールして形成された包装袋に関するものである。
ポリエチレン(PP)系樹脂フィルムやポリプロピレン(PP)系樹脂フィルムを最内層に積層したフィルムどうしをヒートシールして形成したフレキシブルパウチ等の包装袋が知られている。
しかしながら、PP系樹脂フィルムやPE系樹脂フィルムは、d−カンファー、l−メントール、サリチル酸メチル、カプロン酸エチル、その他の各種エステル等の物質を吸着する性質を有する。このため、これらを成分に含む内容物をPP系樹脂フィルムやPE系樹脂フィルムを用いた包装袋に収容すると、これらの成分の減少によって内容物の品質悪化を生じさせるおそれがある。
特許文献1には、このような課題を解決するため、基材上にポリオレフィン系樹脂からなるシール層及び溶解性パラメーターが9.5以上の合成樹脂からなる最内層を順次積層したフレーバー保持包装材が開示されている。
また、ヒートシール性を備えるPET(ヒートシールPET)、ヒートシール性と低吸着性とを兼ね備えるポリアクリロニトリル(PAN)等の材質も知られている。
実公平4−25317号公報
しかしながら、特許文献1のフレーバー保持包装材は、最内層のフィルムの一部をレーザー光線により削除し、部分的に露出したシール層によりシール処理をしているため、シール界面においてシール層、接着層等の他層の成分が内容物に溶出したり、シール部に内容物が侵襲して剥離したりするおそれがある。また、フレーバー保持包装材の製造時には、最内層のフィルムの一部を削除するための大きなエネルギーにより煙や臭気が発生するおそれがある。また、基材となる層が、焦げたり収縮したりすることを防ぐために、レーザー光線を遮断する金属薄層等を中間層に設けねばならず、コストが増加するおそれがある。
また、ヒートシールPETは、ヒートシール性を付与するために混合する成分の影響により、l−メントール等の特定の物質に対しては吸着性が高い。また、PANは、製造が難しく、高価格であり、ヒートシール強度が10N程度と低い。したがって、これらの材質をフィルムとして用いた包装袋は、その用途が限定されるという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ポリエチレンおよびポリプロピレンに対して吸着性を有する物質を含む内容物を、安定的に包装可能な包装袋を低コストで提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一局面は、ポリエチレンおよびポリプロピレンに吸着されうる物質を含む内容物を収容する包装袋であって、2軸配向ポリエステル層を最内層に有するフィルムをヒートシールして形成され、物質を収容したときの包装袋への物質の吸着量が、密度920kg/m、融点115℃の低密度ポリエチレンおよび密度900kg/m、融点138℃のコポリマータイプの無延伸ポリプロピレンのそれぞれへの物質の吸着量の50%以下の包装袋である。
本発明により、ポリエチレンおよびポリプロピレンに対して吸着性を有する物質を含む内容物を、安定的に包装可能な包装袋を低コストで提供することができる。
実施形態に係る包装袋およびフィルムを示す図 フィルムの断面図 実施例に係るフィルムを示す図
(包装袋)
図1に、実施形態に係る包装袋100の平面図および側面図および包装袋100の製造に用いられるフィルム11の平面図を示す。包装袋100は、2枚のフィルム11を重ねて、周縁部にヒートシール処理を行うことで製造される四方シール袋である。フィルム11の周縁部のハッチングで示した領域10は、ヒートシール性を付与されている。
(フィルム)
図2に、フィルム11の断面図を示す。フィルム11は、図2に示すように、外層から内層の順に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)層14/アルミニウム層15/ポリエチレン層16/2軸延伸PET層17の積層構造からなる。フィルム11の最内層を2軸延伸PET等の2軸配向ポリエステル層とすることで、PEやPPを包装袋の最内層に使用した場合と比較して、吸着される物質の吸着量を低く抑えることができる。
フィルム11は、最内層に2軸配向ポリエステル層を有していれば、積層体であっても、層単体であってもよい。積層体の場合には、フィルム11の機能に応じて例えば、アルミニウム層、樹脂層等を積層できる。樹脂層に、バリア性を有するバリアフィルムを用いることで、フィルムにバリア性を付与することもできる。バリアフィルムには、例えば、ポリエチレンテレフタレートやナイロン等の基材フィルム上に蒸着によりコーティングバリア層を形成した透明蒸着フィルムや、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリビニルアルコール(PVA)等のバリア性樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)コートフィルム等のバリア樹脂コートフィルム等を用いることができる。
2軸配向ポリエステル層を好適に選択することにより、d−カンファー、l−メントール、サリチル酸メチル、カプロン酸エチル、ツロブテロール、酢酸−dl−α−トコフェロール等のようなPEおよびPPに吸着されやすい物質の吸着量を、小さくすることができる。これらの物質の包装袋100への吸着量は、例えば、密度920kg/m、融点115℃の低密度ポリエチレンあるいは密度900kg/m、融点138℃のコポリマータイプの無延伸ポリプロピレンを最内層に用いて作成した包装袋への吸着量の50%以下、より好ましくは、15%以下とすることができる(質量比)。吸着量の評価は、例えば40℃で、3か月の間、各物質を保存し、保存期間経過後、包装袋から各物質をメタノール抽出し、高速クロマトグラフィにて吸着量を測定することで行うことができる。
(ヒートシール性の付与)
配向性を有するフィルムは、通常、ヒートシール性に乏しい。このため、2軸配向ポリエステル層は、所定の方法により、少なくともシール予定位置においてヒートシール性を向上させることが好ましい。例えば、特公平4−26339号公報に記載されたような電磁照射の方法によってもよく、その他の公知の方法によってもよい。また、レーザー光照射その他の新たな方法を用いてもよい。
以上のように、本実施形態に係る包装袋100は、最内層に2軸配向ポリエステルを用いているため、各種物質、とくにポリエチレンおよびポリプロピレンに対して吸着性を有する物質の吸着量を小さくすることができる。また、2軸配向ポリエステルをヒートシールするため、接着剤等を用いる必要がなく、シール箇所から接着剤が内容物に溶出することがない。そのため、このような物質を含む内容物を、安定的に包装することが可能である。また、このような包装袋は、PAN等を用いる場合に比べ、低コストで提供することができる。とくに、経皮吸収剤、化粧品、医薬品、その他エステル系物質を含む内容物や、芳香成分の減少が品質劣化につながりやすい食品、酒類等の内容物に対して効果が高い。
包装袋100の形状は、四方シール袋に限定されず任意の形状を採用できる。例えば、1枚のフィルムを2つ折りにして、合わせた周縁部をシールして形成される三方シール袋や、2枚のフィルムの間に2つ折りにした1枚のフィルムを挟み、周縁部をシールして形成される自立性を有するフレキシブル包装袋等が採用可能である。
実施例および比較例1〜5に係るフィルムのヒートシール強度および各フィルムを用いて包装袋を作成できた場合の所定物質の吸着量の測定を行った。図3には、実施例に係るフィルムの平面図を示す
(実施例)
実施例に係るフィルムとして、外層から内層の順に、2軸延伸PET(12μm)/アルミニウム(9μm)/ポリエチレン(20μm)/2軸延伸PET(12μm)の積層構造を有する、120mm×120mmのフィルムを2枚準備した。準備したフィルムの周縁部には、ヒートシール性を付与するために、幅10mmにわたって赤外線波長のレーザー照射を行った。レーザー照射範囲を、図3にハッチングで示す。レーザー照射は、炭酸ガスレーザー装置(キーエンス製ML−Z9510)を使用して、出力70%、塗り潰し間隔0.1mm、スキャンスピード4000mm/秒の条件で行った。
(比較例1)
比較例1に係るフィルムとして、外層から内層の順に、2軸延伸PET(12μm)/アルミニウム(9μm)/ポリエチレン(20μm)/2軸延伸PET(12μm)の積層構造を有するフィルムを2枚準備した。サイズは、実施例と同じである。
(比較例2)
比較例2に係るフィルムとして、外層から内層の順に、2軸延伸PET(12μm)/アルミニウム(9μm)/ポリエチレン(20μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)(30μm)の積層構造を有するフィルムを2枚準備した。サイズは、実施例と同じである。LDPEは、密度920kg/m、融点115℃である。
(比較例3)
比較例3に係るフィルムとして、外層から内層の順に、2軸延伸PET(12μm)/アルミニウム(9μm)/ポリエチレン(20μm)/無延伸ポリプロピレン(CPP)(30μm)の積層構造を有するフィルムを2枚準備した。サイズは、実施例と同じである。CPPは、密度900kg/m、融点138℃のコポリマータイプである。
(比較例4)
比較例4に係るフィルムとして、外層から内層の順に、2軸延伸PET(12μm)/アルミニウム(9μm)/ポリエチレン(20μm)/PAN(30μm)の積層構造を有するフィルムを2枚準備した。サイズは、実施例と同じである。
(比較例5)
比較例5に係るフィルムとして、外層から内層の順に、2軸延伸PET(12μm)/アルミニウム(9μm)/ポリエチレン(20μm)/ヒートシールPET(30μm)(東洋紡株式会社製DE032)の積層構造を有するフィルムを2枚準備した。サイズは、実施例と同じである。
(ヒートシール)
各フィルムを2枚準備し、それぞれの内層面を向かい合わせた後、周縁部を幅10mmにわたりヒートシールして包装袋を製造した。実施例のフィルムには、140℃の温度で、0.2MPaの荷重を2秒間加え、比較例のフィルムには、180℃の温度で、0.2MPaの荷重を2秒間加えた。
(ヒートシール強度測定)
ヒートシール強度の測定を表1に示す。
Figure 2016147695
ヒートシール強度の測定結果より、実施例に係る包装袋は、20Nのシール強度でシールを行えることが、確認された。また、最内層の2軸延伸PET層にレーザー照射を行っていない比較例1は、ヒートシールができなかった。また、PANを含むフィルムを用いた比較例4のヒートシール強度が、他の材質と比較して低い10Nであることが確認された。
(吸着量測定)
吸着量の測定は、実施例および比較例2〜5に係る包装袋に、それぞれ内容物1〜4を3g封入し、40℃で3ヶ月間保存した後、メタノール抽出をし、高速クロマトグラフィにて吸着量を測定した。内容物1〜4は、それぞれ吸着物質として、(1)ツロブテロール、(2)d−カンファー、(3)l−メントールおよび(4)酢酸―dl―α―トコフェロールを0.1g以上含んでいる。評価結果を表2に示す。
Figure 2016147695
吸着量の測定結果より、実施例に係る包装袋の評価成分の吸着量は、LDPEを含むフィルムを用いた比較例2に係る包装袋の吸着量と比較して、内容物1〜4の全てで減少することが確認できた。吸着量は、減少効果最大で1.5%(内容物4)、最小で9.8%(内容物1)に抑えられた。
また、実施例に係る包装袋の評価成分の吸着量は、CPPを含むフィルムを用いた比較例3に係る包装袋の吸着量と比較して、内容物1〜4の全てで減少することが確認できた。吸着量は、減少効果最大で1.9%(内容物4)、最小で12.1%(内容物1)に抑えられた。
また、ヒートシールPETを含むフィルムを用いた比較例5に係る包装袋の評価成分の吸着量は、比較例2に係る包装袋の吸着量と比較して内容物2で増加し、比較例3に係る包装袋の吸着量と比較して内容物2および3で増加することが確認された。
以上の評価結果から、実施例に係る包装袋が、PANを含むフィルムを用いた包装袋と比べて強いヒートシール強度を備えることが確認された。また、LDPEおよびCPPを含むフィルムを用いた包装袋と比べて低い吸着性を備え、ヒートシールPETを含むフィルムを用いた包装袋と比べて多くの種類の物質の吸着を抑えることが確認できた。
本発明は、医薬品、化粧品、食料品等の包装袋に有用である。
10 ヒートシール領域
11 フィルム
14 2軸延伸PET層
15 アルミニウム層
16 ポリエチレン層
17 2軸延伸PET層
100 包装袋
上記課題を解決するための本発明の一局面は、ポリエチレンおよびポリプロピレンに吸着されうる物質を含む内容物を収容する包装袋であって、2軸延伸ポリエステル層を最内層に有するフィルムをヒートシールして形成され、ツロブテロール、d−カンファー、l−メントールおよび酢酸−dl−α−トコフェロールのいずれの物質についても、物質を収容したときの包装袋への物質の吸着量が、密度920kg/m、融点115℃の低密度ポリエチレンおよび密度900kg/m、融点138℃のコポリマータイプの無延伸ポリプロピレンのそれぞれへの物質の吸着量の50%以下の包装袋である。

Claims (2)

  1. ポリエチレンおよびポリプロピレンに吸着されうる物質を含む内容物を収容する包装袋であって、
    2軸配向ポリエステル層を最内層に有するフィルムをヒートシールして形成され、
    前記物質を収容したときの前記包装袋への前記物質の吸着量が、密度920kg/m、融点115℃の低密度ポリエチレンおよび密度900kg/m、融点138℃のコポリマータイプの無延伸ポリプロピレンのそれぞれへの前記物質の吸着量の50%以下である、包装袋。
  2. 前記2軸配向ポリエステル層は、少なくともヒートシールされる領域に、所定の方法によりヒートシール性が付与されている、請求項1の記載の包装袋。
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