《第1実施形態》
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る共用車両管理装置について説明する。本実施形態では、共用車両管理装置を、複数のユーザが複数のステーションに配置された複数の共用車両を共用するカーシェアリングシステムを管理運営する共用車両管理システムに適用した例を用いて説明する。本実施形態のカーシェアリングシステムは、一のステーションから借り出した共用車両を、他のステーションへ返却することが許される、いわゆる乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムである。なお、各ステーションは、共用車両を駐車させることができ、共用車両の貸出及び返却を行ったり、利用されていない共用車両を待機させたりできる場所であり、カーシェアリングシステムのために予め用意した駐車場などが挙げられる。
ここで、図1は、本実施形態の共用車両管理装置100を備えた共用車両管理システム1000において、ユーザが共用車両を利用する方法の一例を示す概要図である。本実施形態の共用車両管理システム1000では、ユーザが、ユーザ端末装置400Xを操作することで、共用車両管理装置100が管理する複数のステーションの中から、共用車両の貸出しを所望するステーション(出発ステーション)を選択し、選択した出発ステーションで待機している共用車両の利用予約を行う。たとえば、図1に示す場面において、ユーザU2が、出発ステーションとしてステーションST1を選択し、ステーションST1に停車している共用車両V1の予約を要求した場合には、ステーションST1には、現在利用可能な共用車両V1が待機しているので、共用車両管理装置100は、ユーザU2による共用車両V1の利用予約を受付ける。これにより、ユーザU2は、共用車両V1の予約を完了し、ステーションST1にて、共用車両V1に乗車することで、共用車両V1の利用を開始することができる。この際には、併せて、任意のステーションを、共用車両を利用後に返却するためのステーション(帰着ステーション)として設定してもよい。あるいは、ユーザは、共用車両の利用予約をした後、所望のタイミングで、この帰着ステーションを設定してもよい。これにより、ユーザは、予約した共用車両に乗車して共用車両を利用できるようになり、その後、利用した共用車両を、設定した帰着ステーションに返却することで、乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムを利用できるようになっている。
また、図1に示す場面において、ユーザU2が、ユーザ端末装置400Xを用いて、出発ステーションとしてステーションST2を選択し、ステーションST2の共用車両を利用予約する場面について説明する。この場合、ステーションST2には、現在は共用車両が待機しておらず、共用車両の貸出を行うことができない状態である。ただし、図1に示す場面において、ユーザU1が共用車両V2を利用しており、ユーザU1が共用車両V2を返却する帰着ステーションとしてステーションST2を設定しているため、ユーザU1が共用車両V2をステーションST2に返却した後に、ステーションST2から共用車両V2を貸出すことが可能となる。 この場合、ユーザU2は、ユーザ端末装置400Xを用いて、出発ステーションとしてステーションST2を選択することで、ステーションST2から共用車両の利用を求める利用要求が共用車両管理装置100に送信される。そして、共用車両管理装置100は、ユーザU2から送信された利用要求に応じて、ステーションST2には現在利用可能な共用車両が存在せず、ステーションST2からは共用車両の貸出を行うことができない旨の情報を、ユーザU2のユーザ端末装置400Xに送信する。この際、共用車両管理装置100は、併せて、他のユーザ(ユーザU1)によりステーションST2に共用車両V2が返却され、ステーションST2にて共用車両の貸出が可能となる予想時刻の情報を送信してもよい。そして、本実施形態では、共用車両管理装置100は、ユーザU1によりステーションST2に共用車両V2が返却された際には、ユーザU2に対して、ステーションST2に共用車両V2が返却され、ステーションST2から共用車両V2が貸出可能になった旨の情報を、ユーザU2のユーザ端末装置400Xに送信することができる。
ここで、ステーションが複数存在する場合、ステーションの設置場所によって、ステーションの利用頻度が大きく異なる場合がある。たとえば、図1に示す例において、ステーションST2およびステーションST3が、駅から同じ程度の距離だけ離れている場合でも、幹線道路沿いなどの設置場所が分かり易いステーションST2は比較的多くのユーザに利用される傾向があり、一方、住宅地などの設置場所が分かり難いステーションST3は比較的少ないユーザに利用される傾向となる場合がある。このように、ステーションが設置される場所に応じて、比較的多くのユーザに利用されるステーションと、比較的少ないユーザに利用されるステーションとが存在し、このようなステーション間での共用車両が偏在してしまう場合があった。そして、このようなステーション間での共用車両の偏在により、ステーション全体の稼働率が低下してしまう場合があった。
そこで、本実施形態において、共用車両管理装置100は、ユーザが出発ステーションまたは帰着ステーションを予約する際に、ユーザが過去にステーションを利用した利用履歴情報に基づいて、各ユーザの利用頻度が所定値(たとえばゼロ)以下のステーションを対象ステーションとして特定する。そして、共用車両管理装置100は、特定した対象ステーションに関する情報をユーザに提示する。たとえば、図1に示す場面において、ユーザU2が、ステーションST2を高い頻度で利用しており、一方、ステーションST3を利用したことがない場合において、ステーションST2を出発ステーションとして選択した場合には、ステーションST3を対象ステーションとして特定し、ステーションST2の情報と併せて、ユーザが利用したことがない、対象ステーションST3の情報をユーザに提示する。
さらに、本実施形態に係る共用車両管理装置100は、ユーザが対象ステーションを実際に利用した場合に、ユーザに所定のインセンティブ特典を提供する機能を有している。たとえば、共用車両管理装置100は、ユーザが対象ステーションを実際に利用した場合には、対象ステーションの利用金額を割り引くことで、ユーザにインセンティブ特典を付与することができる。これにより、ユーザの利用頻度が低いステーションの利用をユーザに促すことができ、共用車両管理システム1000内におけるステーション間の共用車両の偏在を軽減させることができ、その結果、共用車両管理システム1000全体のステーションの稼働率を向上させることが可能となる。
次に、本実施形態に係る共用車両管理システム1000について説明する。図2は、第1実施形態に係る共用車両管理システム1000を示す構成図である。図2に示すように、共用車両管理システム1000は、共用車両管理装置100と、複数のユーザに利用される複数の共用車両V1〜Vn(以下、共用車両Vnと総称することもある)がそれぞれ備える車載装置200V1〜200Vn(以下、車載装置200Vnと総称することもある)と、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末装置400X〜400Z(以下、ユーザ端末装置400Xと総称することもある)と、を有する。本実施形態の共用車両管理システム1000を構成する、車載装置200V1〜200Vn、ユーザ端末装置400X〜400Zの台数は限定されない。
共用車両管理装置100、車載装置200V1〜200Vn及びユーザ端末装置400X〜400Zは、それぞれ通信装置(20、220、420)を備え、インターネット300などの電気通信回線網を介して相互に情報の授受が可能である。通信経路は有線であっても無線であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、共用車両の予約プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。本実施形態のユーザ端末装置400Xは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、各ユーザが所望するステーションで共用車両Vnの利用を求める利用要求などの入力情報を受け付ける入力装置410と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置420と、各ユーザに情報を通知するための表示装置430と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置440とを備える。
ユーザ端末装置400Xの入力装置410としては、たとえば、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置を用いることができる。表示装置430としては、ディスプレイなどが挙げられ、タッチパネル・ディスプレイを用いる場合には、入力装置410と兼用することができる。ユーザは入力装置410を介して、ユーザの目的地、共用車両の貸出しを所望するステーション(出発ステーション)、および共用車両を利用後に返却するためのステーション(帰着ステーション)などを設定することができる。
本実施形態の制御装置440は、ユーザ端末装置400Xに備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)受信機などの位置取得装置を用いて、ユーザ端末装置400Xを操作するユーザの現在位置の情報を取得し、取得した現在位置の情報を、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。
また、制御装置440は、各ユーザが共用車両Vnを利用するための機能を有する。具体的には、制御装置440は、ユーザが共用車両Vnの利用を求める利用要求などの入力情報を受け付け、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。このような利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置、ユーザが設定した出発ステーションおよび帰着ステーションを示す情報(たとえば、出発ステーションおよび帰着ステーションのID情報など)などが含まれる。
たとえば、ユーザが、入力装置410を介して、共用車両VnをステーションST1で借りて、ステーションST2で返却するための予約を行った場合に、制御装置440は、出発ステーションとしてステーションST1のID情報を、帰着ステーションとしてステーションST2のID情報を利用要求に含めて、共用車両管理装置100に送信することができる。これにより、共用車両管理装置100において、出発ステーションとしてステーションST1を、帰着ステーションとしてステーションST2を利用するための予約処理が開始される。なお、共用車両Vnの予約処理については後述する。
また、本実施形態の車載装置200Vnは、各共用車両Vnの現在位置を検出するGPS受信機210と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置220と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置230とを備える。
本実施形態において、制御装置230は、GPS受信機210を用いて取得した現在位置の情報を、通信装置220を介して、共用車両管理装置100に送信する。さらに、制御装置230は、図示しないディスプレイやスピーカなどを用いて、共用車両管理装置100から送信された情報を、ユーザに通知することができる。
本実施形態の共用車両管理装置100は、共用車両管理システム1000のサーバとして機能し、カーシェアリングシステムを管理運営するための制御処理を実行する制御装置10と、車載装置200Vnおよびユーザ端末装置400Xとそれぞれ相互に通信可能な通信装置20と、通信装置20により受信した情報、各共用車両Vnの情報、および各ステーションの情報などを記憶するデータベース30とを備える。
データベース30は、共用車両情報31と、ステーション情報32と、ユーザから受け付けた利用要求33と、地図情報34と、利用履歴情報35とを記憶する。
共用車両情報31は、各共用車両Vnに関する情報であり、共用車両Vnの電力残容量や故障情報などが含まれる。
ステーション情報32は、各ステーションに関する詳細情報であり、各ステーションの位置情報、各ステーションの周辺の施設情報、各ステーションの周辺の交通状況、および各ステーションの利用状況などを含むことができる。
利用要求33は、各ユーザが共用車両Vnを利用するためにユーザ端末装置400Xから送信された情報であり、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した出発ステーションおよび帰着ステーションを示す情報が含まれる。
利用履歴情報35は、ユーザが過去に各ステーションで共用車両Vnを利用した際の履歴情報であり、ユーザが各ステーションを利用した日時や回数が、ステーションごとに含まれる。
本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、図2に示すように、カーシェアリングシステムを管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、共用車両管理装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とを備える。
共用車両管理装置100の制御装置10は、ROM12に格納されたプログラムを実行することで、利用要求取得機能と、対象ステーション特定機能と、特典算出機能と、情報送信機能と、特典付与機能と、を実現する。以下において、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。なお、本実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現するコンピュータである。
制御装置10の利用要求取得機能は、通信装置20を介して、共用車両Vnの利用要求をユーザ端末装置400Xから取得する。上述したように、共用車両Vnの利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置、ユーザが設定した出発ステーションおよび帰着ステーションを示す情報などが含まれる。
制御装置10の対象ステーション特定機能は、ユーザの利用頻度が所定値以下であるステーションを、対象ステーションとして特定する。具体的には、対象ステーション特定機能は、データベース30に格納された利用履歴情報35に基づいて、ユーザによるステーションの利用頻度を算出し、ユーザの利用頻度が所定値以下であるステーションを、対象ステーションとして特定する。なお、対象ステーション特定機能は、ユーザがステーションを利用した過去の全ての利用履歴情報35を用いて、ステーションの利用頻度を算出する構成としてもよいし、あるいは、現在から所定期間前までの一定の期間において、ユーザがステーションを利用した過去のユーザの利用履歴情報35を用いて、ステーションの利用頻度を算出する構成としてもよい。
制御装置10の特典算出機能は、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典を算出する。なお、インセンティブ特典は、特に限定されず、たとえば、カーシェアリングシステムやその他のサービスで利用できるポイント、割引券、優待券又は金券などが挙げられる。また、特典算出機能は、共用車両Vnの利用金額に対する割引額(キャッシュバック金額)をインセンティブ特典として算出してもよいし、今後、共用車両Vnを優先的に利用できる権利をインセンティブ特典として算出することもできる。さらに、特典算出機能は、ユーザが共用車両Vnを利用してから共用車両Vnの利用を開始するまでの許容時間が限られている場合には、この許容時間を長くすることを、インセンティブ特典として算出することもできる。また、特典算出機能は、インセンティブ特典として、ノベルティグッズなどの品物をユーザに提供するようにしてもよい。なお、以下においては、共用車両のVnの利用金額に対する割引額を、インセンティブ特典として算出する構成を例示して説明する。
たとえば、特典算出機能は、ユーザが対象ステーションを利用した頻度が低いほど、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典を高く算出することができる。また、特典算出機能は、ステーションの利用頻度に加え、対象ステーションではないステーションを利用する場合に対して、対象ステーションを利用した場合の走行距離や走行時間の増加量が多くなるほど、あるいは、対象ステーションまでの道路の走行困難性が高いほど、ユーザに提供するインセンティブ特典を高く算出することができる。
制御装置10の情報送信機能は、ユーザが設定した帰着ステーションおよび出発ステーションの情報や、対象ステーション特定機能により特定された対象ステーションの情報を、各ステーションのステーション情報として、ユーザ端末装置400Xに送信する。たとえば、情報送信機能は、ユーザがそれぞれのステーションを利用した場合の共用車両Vnの利用金額を、各ステーションのステーション情報に含めて送信することができる。また、情報送信機能は、特典算出機能により対象ステーションを利用した場合のインセンティブ特典が算出されている場合には、対象ステーションを利用することのインセンティブ特典の情報を、対象ステーションのステーション情報に含めて送信することもできる。
制御装置10の特典付与機能は、ユーザが対象ステーションを実際に利用した場合に、特典算出機能により算出されたインセンティブ特典をユーザに付与する処理を行う。たとえば、特典算出機能により、共用車両Vnの利用金額の割引額がユーザに提供するインセンティブ特典として算出された場合には、特典付与機能は、インセンティブ特典として算出された割引額を差し引いた利用金額で清算を行うことで、ユーザに対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典を付与することができる。
次いで、図3を参照して、第1実施形態に係る共用車両管理処理を説明する。図3は、第1実施形態に係る共用車両管理処理を示すフローチャートである。なお、図3に示す共用車両管理処理は、たとえば、ユーザが、ユーザ端末装置400Xを用いて、ユーザ端末装置400Xの制御装置440が有する出発ステーションおよび帰着ステーションの利用予約機能を起動することで、開始することができる(第2〜第4実施形態においても同様。)。
また、第1実施形態に係る共用車両管理処理では、ユーザに所望する出発ステーションおよび帰着ステーションを予め設定してもらい、ユーザが設定した出発ステーションおよび帰着ステーションのステーション情報をユーザに提示した後に、ユーザが最終的な出発ステーションおよび帰着ステーションを決定することで、出発ステーションおよび帰着ステーションの予約が行われる。なお、以下においては、ユーザが予め設定した帰着ステーションを帰着ステーションS1とし、ユーザが最終的に決定した帰着ステーションを帰着ステーションS2として説明する(第2〜第4実施形態においても同様。)。
さらに、以下においては、図4および図5に示す場面例を参照して、第1実施形態に係る共用車両管理処理を説明する。ここで、図4は、ユーザが目的地Gに向かう場面の一例を示す図であり、ユーザが、ユーザ端末装置400Xを用いて、出発ステーションとしてステーションST11を、帰着ステーションとして、ユーザが頻繁に利用する(ユーザの利用頻度が所定値よりも大きい)ステーションST13を設定する場面を例示している。また、図5は、図4に示す場面において、表示装置430のディスプレイに表示されるステーションの情報の一例を示す図である。
まず、ステップS101では、ユーザ端末装置400Xの制御装置440により、ユーザに対して、利用頻度が低いステーションを利用した場合に、所定のインセンティブ特典を付与する旨の通知が行われる。たとえば、制御装置10は、「利用頻度の低いステーションを利用する場合、利用金額が通常よりも安くなります。」などの通知を、ユーザ端末装置400Xの表示装置430に送信することで、上記通知をユーザに提示することができる。
ステップS102では、ユーザ端末装置400Xの入力装置410により、ユーザが所望する出発ステーションおよび帰着ステーションS1の設定が行われる。たとえば、ユーザは、ステップS101においてユーザに提示された、インセンティブ特典を付与する旨の通知を確認した後に、ユーザ端末装置400Xの入力装置410を介して、ユーザが所望する出発ステーションおよび帰着ステーションS1を設定することができる。そして、ユーザが設定した出発ステーションおよび帰着ステーションS1の情報は、ユーザIDおよびユーザの現在位置情報とともに、出発ステーションおよび帰着ステーションS1の利用要求として、共用車両管理装置100に送信される。
ステップS103では、共用車両管理装置100の制御装置10により、利用要求の受信が行われる。具体的には、制御装置10の利用要求取得機能は、共用車両管理装置100の通信装置20を介して、ステップS102においてユーザ端末装置400Xから送信された利用要求を取得する。たとえば、図4に示す場面において、ユーザが、目的地Gの周辺に存在する2つのステーションST13,ST14のうち、ユーザが頻繁に利用するステーションST13を帰着ステーションS1として設定した場合には、利用要求取得機能は、帰着ステーションS1を示す情報として、ステーションST13を示す情報(たとえば、ステーションST13のID情報など)を含む利用要求を取得することができる。また、ステップS101のインセンティブ特典を付与する旨の通知により、ユーザが過去に利用したことがないステーションST14を帰着ステーションS1として設定した場合には、利用要求取得機能は、帰着ステーションS1を示す情報として、ステーションST14を示す情報(たとえば、ステーションST14のID情報など)を含む利用要求を取得することができる。
ステップS104では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザが設定した帰着ステーションS1が、ユーザの利用頻度が所定値以下である対象ステーションであるか否かの判断が行われる。具体的には、制御装置10の対象ステーション特定機能は、データベース30に格納された帰着ステーションS1の利用履歴情報35に基づいて、帰着ステーションS1に関するユーザの利用頻度を算出する。そして、対象ステーション特定機能は、ユーザが設定した帰着ステーションS1の利用頻度が所定値以下であるか否かを判定する。帰着ステーションS1の利用頻度が所定値以下である場合には、帰着ステーションS1は対象ステーションであると判断し、ステップS111に進む。一方、帰着ステーションS1の利用頻度が所定値よりも大きい場合には、帰着ステーションS1は対象ステーションではないと判断し、ステップS105に進む。
ステップS105では、ユーザが設定した帰着ステーションS1は対象ステーションではないと判断されているため、共用車両管理装置100の制御装置10により、帰着ステーションS1の周辺において対象ステーションの探索が行われる。たとえば、制御装置10の対象ステーション特定機能は、ユーザが設定した帰着ステーションS1から所定の距離範囲内に存在するステーションを探索し、探索した各ステーションが、ユーザの利用頻度が所定値以下である対象ステーションであるか否かを判断する。そして、ステップS106では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ステップS105の判断結果に基づいて、帰着ステーションS1の周辺に対象ステーションが存在するか否かを判断し、帰着ステーションS1の周辺に対象ステーションが存在する場合には、ステップS107に進み、一方、帰着ステーションS1の周辺に対象ステーションが存在しない場合には、ステップS110に進む。
ステップS107では、共用車両管理装置100の制御装置10により、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典の算出が行われる。具体的には、制御装置10の特典算出機能は、ユーザが対象ステーションを利用する利用頻度が低いほど、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典を高く算出する。また、本実施形態において、特典算出機能は、ユーザが最初に設定した帰着ステーションS1を利用する場合と比べて、ユーザが対象ステーションを利用した場合の走行距離や走行時間が増加するほど、あるいは、対象ステーションまでの道路の走行困難性が増加するほど、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典を高く算出することができる。
そして、ステップS108では、帰着ステーションS1およびその周辺の対象ステーションのステーション情報がユーザに提示される。具体的には、制御装置10の情報送信機能は、ステップS107で算出した対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典や、帰着ステーションおよびその周辺の対象ステーションを利用した場合の共用車両Vnの利用金額などを含むステーション情報を、ユーザ端末装置400Xに送信する。そして、ユーザ端末装置400Xの制御装置440は、共用車両管理装置100から受信した帰着ステーションS1およびその周辺の対象ステーションのステーション情報を表示装置430に表示することで、帰着ステーションS1およびその周辺の対象ステーションのステーション情報をユーザに提示する。
たとえば、図4および図5に示す例では、共用車両Vnの通常の利用金額として「40円/分」が設定されているものとする。この場合、ユーザが頻繁に利用する(ユーザの利用頻度が所定値よりも大きい)ステーションST13が帰着ステーションS1として設定された場合には、制御装置10の情報送信機能は、「40円/分」との利用金額を、ステーションST13の利用金額として、ユーザ端末装置400Xに送信する。一方、図4および図5に示す例では、帰着ステーションS1として設定されたステーションST13の周辺に存在し、かつ、ユーザの利用頻度が所定値以下の対象ステーションとして、ステーションST14が特定される。この場合、制御装置10の特典算出機能は、ステーションST14の利用頻度、帰着ステーションST13を利用する場合よりもステーションST14を利用した場合に走行距離や走行時間が増加する量、あるいは、対象ステーションST14までの道路の走行困難性などに基づいて、対象ステーションST14の利用に対するインセンティブ特典を算出する。たとえば、図4および図5に示す例では、特典算出機能は、対象ステーションST14の利用に対するインセンティブ特典として、「30円/分」の割引額を算出することができる。この場合、制御装置10の情報送信機能は、図5に示すように、通常の「40円/分」の利用金額から「30円/分」の割引額を差し引いた、「10円/分」の利用金額の情報を、対象ステーションST14のステーション情報に含めて、ユーザ端末装置400Xに送信することができる。これにより、図5に示すように、ユーザ端末装置400Xの表示装置430において、帰着ステーションST13を利用した場合の利用金額「40円/分」の情報と、対象ステーションST14を利用した場合の利用金額「10円/分」の情報とがユーザに提示されることとなる。
ステップS109では、対象ステーションが、最終的な帰着ステーションS2として決定されたか否かの判断が行われる。具体的には、ユーザは、ユーザ端末装置400Xの入力装置410を介して、ユーザが所望する最終的な帰着ステーションS2を決定する。たとえば、図4および図5に示す例では、ステップS108において、ユーザ端末装置400Xの表示装置430に、ユーザが予め設定した帰着ステーションS1であるステーションST13と、帰着ステーションST13の周辺に存在する対象ステーションST14とが、利用金額とともに選択可能な状態で表示される。この場合、ユーザは、各ステーションを利用した場合の利用金額などのステーション情報を参照し、入力装置410を介して、ユーザが最終的に所望する帰着ステーションS2を、ステーションST13およびステーションST14の中から決定することができる。そして、ユーザが最終的な帰着ステーションS2を決定した場合には、ユーザ端末装置400Xの制御装置440により、ユーザが決定した帰着ステーションS2を示す情報が、共用車両管理装置100に送信される。そして、制御装置440の対象ステーション特定機能は、ユーザが決定した帰着ステーションS2の利用履歴情報35に基づいて、ユーザが決定した帰着ステーションS2が、対象ステーションであるか否を判断する。帰着ステーションS2が対象ステーションである場合には、ステップS113に進み、帰着ステーションS2が対象ステーションではない場合には、ステップS115に進む。
ステップS109において、最終的な帰着ステーションS2が対象ステーションであると判断された場合には、ステップS113に進む。ステップS113では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザが帰着ステーションS2に共用車両Vnを返却したか否かの判断が行われる。ユーザが帰着ステーションS2に共用車両Vnを返却するまでは、ステップS113で待機し、ユーザが帰着ステーションS2に共用車両Vnを返却した場合に、ステップS114に進む。ステップS114では、共用車両管理装置100の制御装置10により、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典の付与が行われる。具体的には、制御装置10の特典付与機能は、ステップS107で算出されたインセンティブ特典を、ユーザに付与する。そして、ステップS115に進み、共用車両管理装置100の制御装置10により、共用車両Vnの利用金額の清算などの共用車両Vnの利用完了処理が行われる。
また、ユーザが最初に設定した帰着ステーションS1が対象ステーションではなく(ステップS104=No)、帰着ステーションS1の周辺に対象ステーションが存在しないと判断された場合には(ステップS106=No)、ステップS110に進む。ステップS110では、帰着ステーションS1のステーション情報が、共用車両管理装置100からユーザ端末装置400Xに送信され、ユーザに提示される。そして、ユーザが帰着ステーションS1のステーション情報を確認すると、この帰着ステーションS1が最終的な帰着ステーションS2として処理される。ステップS116に進み、ユーザが帰着ステーションS2に共用車両Vnを返却したか否かの判断が行われる。そして、ユーザが帰着ステーションS2に共用車両Vnを返却した場合には、ステップS115に進み、共用車両Vnの利用完了処理が行われる。このように、ユーザが設定した帰着ステーションS1が対象ステーションではなく、かつ、帰着ステーションS1の周辺に対象ステーションが存在しない場合には、最終的な帰着ステーションS2は、ユーザの利用頻度が所定値よりも大きい、非対象ステーションとなるため、ユーザに対してインセンティブ特典の付与は行われない。
また、ステップS104において、ユーザに設定された帰着ステーションS1が対象ステーションであると判断された場合には、ステップS111に進む。ステップS111では、共用車両管理装置100の制御装置440により、帰着ステーションS1を利用した場合のインセンティブ特典の算出が行われる。なお、帰着ステーションS1を利用した場合のインセンティブ特典の算出方法は、ステップS107と同様に行うことができる。そして、ステップS112では、ステップS111で算出されたインセンティブ特典の情報を含めた、帰着ステーションS1のステーション情報が、共用車両管理装置100からユーザ端末装置400Xに送信され、ユーザに提示される。そして、ユーザが帰着ステーションS1の情報を確認して、この帰着ステーションS1を最終的な帰着ステーションS2として決定し、ユーザが対象ステーションに共用車両Vnを返却した場合に(ステップS113=Yes)、ユーザに、ステップS111で算出されたインセンティブ特典が付与され(ステップS114)、その後、共用車両の利用完了処理が行われる(ステップS115)。
以上のように、第1実施形態に係る共用車両管理システム1000は構成され動作するので、以下の効果を奏する。
第1実施形態では、ユーザがステーションを過去に利用した際の利用履歴情報35をステーションごとに記憶しておき、帰着ステーションの利用履歴情報35に基づいて、ユーザの利用頻度が所定値以下のステーションを、対象ステーションとして特定し、対象ステーションのステーション情報をユーザに提示する。これにより、ユーザは、ユーザ端末装置400Xや共用車両Vnの車載装置200Vnを介して、対象ステーションのステーション情報を確認することができ、ユーザに対象ステーションの利用を促すことができる。また、これにより、複数のステーション間の共用車両Vnの偏在を軽減することができる。
すなわち、複数のステーション間に共用車両Vnが偏在する原因の一つとして、ステーションの設置場所の分かり難さが挙げられる。たとえば、駅から同じ程度の距離だけ離れた2つのステーションがある場合でも、幹線道路沿いなどの設置場所が分かり易いステーションは多くのユーザが利用する傾向があり、一方、住宅地などの設置場所が分かり難いステーションは多くのユーザが利用しない傾向にある。そして、比較的多くのユーザに利用されるステーションと、比較的少ないユーザに利用されるステーションとが混在すると、ステーション間での共用車両Vnの偏在が生じ、その結果、共用車両管理システム1000全体で見たときに、共用車両Vnの稼働率が低下する原因となった。本実施形態では、ユーザの利用頻度が所定値以下のステーションを対象ステーションとして特定し、対象ステーションのステーション情報を出力することで、比較的少ないユーザに利用されるステーションの利用を促進し、共用車両管理システム1000全体の共用車両Vnの稼働率の向上を図ることができる。
また、第1実施形態では、ユーザが設定した帰着ステーションS1が対象ステーションではない場合に、帰着ステーションS1の周辺に存在するステーションのうち、ユーザの利用頻度が所定値以下のステーションを、対象ステーションとして特定し、帰着ステーションS1の情報と、帰着ステーションS1の周辺に存在する対象ステーションの情報とを出力し、ユーザに提示する。これにより、ユーザは、当初所望していた帰着ステーションS1とその周辺に存在する対象ステーションとを比較することができ、比較結果に基づいて、最終的な帰着ステーションS2を決めることができるため、対象ステーションの利用をより促進することができる。
さらに、第1実施形態では、対象ステーションの利用頻度が低いほど、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典を高く算出し、ユーザが対象ステーションを利用した場合に、算出したインセンティブ特典をユーザに付与する。このように、本実施形態では、ユーザがより利用頻度の低い対象ステーションを利用するほど、ユーザにより高いインセンティブ特典を付与することで、利用頻度の低い対象ステーションの利用をより促進することができる。
加えて、第1実施形態では、対象ステーションの利用頻度に加えて、対象ステーションまでの走行距離、走行時間、および道路状況のうち少なくとも1つを加味して、インセンティブ特典を算出する。これにより、第1実施形態では、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典をより適切に算出し、ユーザに付与することができる。
なお、第1実施形態では、帰着ステーションが対象ステーションであるか否かを判断し、帰着ステーションが対象ステーションではない場合に、帰着ステーションの周辺に存在する対象ステーションのステーション情報をユーザに提示する構成を例示したが、これに加えて、または、これに代えて、出発ステーションが対象ステーションであるか否かを判断し、出発ステーションが対象ステーションではない場合に、出発ステーションの周辺に存在する対象ステーションのステーション情報をユーザに提示する構成としてもよい。
《第2実施形態》
続いて、第2実施形態に係る共用車両管理システムを説明する。第2実施形態における共用車両管理システム1000は、図2に示す共用車両管理システム1000と同様の構成を備え、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態に係る共用車両管理システム1000と同様である。
図6は、第2実施形態に係る共用車両管理処理を示すフローチャートである。以下に、図6を参照して、第2実施形態に係る共用車両管理処理について説明する。なお、第2実施形態に係る共用車両管理処理では、ユーザが出発ステーションおよび帰着ステーションを設定する前に、各ステーションが対象ステーションであるか否かを判断し、対象ステーションである場合には、インセンティブ特典の情報を含めて、各ステーションのステーション情報をユーザに提示する。これにより、ユーザは、インセンティブ特典を考慮して、出発ステーションおよび帰着ステーションを設定することができる。
すなわち、ステップS201では、ユーザの利用履歴情報35の取得が行われる。たとえば、ユーザが、ユーザ端末装置400Xを用いて出発ステーションおよび帰着ステーションの予約処理を開始すると、ユーザ端末装置400Xの制御装置440は、予約処理が開始された旨の情報をユーザIDとともに、共用車両管理装置100に送信する。これにより、共用車両管理装置100の制御装置10は、予約処理を開始したユーザが過去に各ステーションを利用した際の利用履歴情報35を、データベース30から取得することができる。
ステップS202では、共用車両管理装置100の制御装置10により、対象ステーションの特定が行われる。すなわち、制御装置10の対象ステーション特定機能は、利用履歴情報35に基づいて、各ステーションの利用頻度が所定値以下であるか否かを判定し、利用頻度が所定値以下のステーションを対象ステーションとして特定する。なお、対象ステーション特定機能は、ユーザの位置から所定の距離範囲に存在するステーションのみを抽出し、抽出したステーションの中から対象ステーションを特定する構成としてもよい。
そして、ステップS203では、ステップS202で特定した各対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典の算出が行われる。なお、インセンティブ特典の算出方法は、第1実施形態のステップS107およびステップS111と同様に行うことができる。そして、ステップS204では、インセンティブ特典を含む各ステーションのステーション情報がユーザに提示される。具体的には、制御装置10の情報送信機能により、図5に示すように、各ステーションのステーション情報がユーザ端末装置400Xに送信される。また、情報送信機能は、出発ステーションまたは帰着ステーションが対象ステーションである場合には、ステップS203で算出されたインセンティブ特典を含む情報を、ステーション情報としてユーザ端末装置400Xに送信する。そして、ユーザ端末装置400の制御装置440により、各ステーションのステーション情報が受信され、表示装置430を介して、ユーザに提示されることとなる。これにより、ユーザは、図5に示すように、出発ステーションおよび帰着ステーションの予約を行う際に、各ステーションを利用した場合のインセンティブ特典を考慮して、出発ステーションおよび帰着ステーションを決定することができる。
ステップS205では、出発ステーションおよび帰着ステーションの利用予約が完了したか否かの判断が行われる。たとえば、ユーザ端末装置400の入力装置410を介して、ユーザが出発ステーションおよび帰着ステーションを決定した場合に、ユーザ端末装置400の制御装置440は、出発ステーションおよび帰着ステーションを示す情報(たとえば、ステーションのID情報など)を含む利用要求を共用車両管理装置100に送信する。そして、共用車両管理装置100の制御装置10は、利用要求に基づいて、出発ステーションにおける共用車両の確保や帰着ステーションの返却スペースの確保などの予約処理を行い、予約処理が完了した場合に、ステーションの利用予約が完了したと判断する。なお、出発ステーションおよび帰着ステーションの利用予約が完了するまでは、ステップS205で待機し、出発ステーションおよび帰着ステーションの利用予約が完了した場合に、ステップS206に進む。
ステップS206では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ステップS205で予約された出発ステーションまたは帰着ステーションが対象ステーションであるか否かの判断が行われる。出発ステーションまたは帰着ステーションが対象ステーションである場合には、ステップS207に進み、出発ステーションまたは帰着ステーションが対象ステーションではない場合には、ステップS211に進む。なお、ステップS211では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却したか否かの判断が行われ、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却するまでは、ステップS211で待機し、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却した場合に、ステップS210に進み、利用金額の清算などの利用完了処理が行われる。すなわち、出発ステーションまたは帰着ステーションが対象ステーションではない場合には、ユーザへのインセンティブ特典の付与は行われない。
また、出発ステーションまたは帰着ステーションが対象ステーションであると判断された場合には、ステップS207に進み、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却したか否かの判断が行われ、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却するまでは、ステップS207で待機し、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却した場合に、ステップS208に進む。
ステップS208では、共用車両管理装置100の制御装置10により、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典の算出が行われる。そして、ステップS209では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザに対するインセンティブ特典の付与が行われる。なお、インセンティブ特典の算出方法およびインセンティブ特典の付与の方法については、第1実施形態と同様に行うことができる。そして、ステップS210に進み、利用金額の清算などの利用完了処理が行われる。
以上のように、第2実施形態に係る共用車両管理システム1000は構成され動作するので、以下の効果を奏する。
すなわち、第2実施形態では、ユーザが所望する出発ステーションおよび帰着ステーションを設定する前に、各ステーションの利用履歴に基づいて、各ステーションが対象ステーションであるか否かを判断し、対象ステーションであるステーションについては、当該ステーションの利用に対するインセンティブ特典を算出する。これにより、第2実施形態では、ユーザが利用する出発ステーションや帰着ステーションを特に決めていない場合に、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典を含む、各ステーションのステーション情報がユーザに提示されるため、ユーザに対象ステーションの利用を促進することができ、その結果、ステーション全体の稼働率を高めることができる。
なお、第2実施形態においては、対象ステーションのステーション情報を、対象ステーション以外のステーションのステーション情報よりも優先して、ユーザに提示する構成としてもよい。たとえば、最初に、対象ステーションのステーション情報のみをユーザに提示し、ユーザが対象ステーション以外のステーションのステーション情報の参照を希望した場合に、対象ステーション以外のステーションのステーション情報をユーザに提示する構成とすることができる。また、対象ステーションのステーション情報の表示順位を、対象ステーション以外のステーションのステーション情報よりも高くして、ユーザに提示する構成としてもよい。これらの場合も、対象ステーションの利用をより促進することができる。
《第3実施形態》
続いて、第3実施形態に係る共用車両管理システムを説明する。第3実施形態における共用車両管理システム1000は、図2に示す共用車両管理システム1000と同様の構成を備え、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態に係る共用車両管理システム1000と同様である。
第3実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、第1実施形態に係る制御装置10の機能に加えて、共用車両Vnが走行する経路を設定する経路設定機能をさらに備える。具体的には、制御装置10の経路設定機能は、データベース30に格納されたステーション情報32と地図情報34とに基づいて、共用車両Vnが、ユーザが決定した出発ステーションから帰着ステーションS2まで走行する際の経路を設定する。
また、第3実施形態において、経路探索機能は、最終的な帰着ステーションS2が対象ステーションではない場合に、ユーザが決定した出発ステーションから帰着ステーションS2までの間に、共用車両Vnが、帰着ステーションS2の周辺に存在する対象ステーションの近傍を経由するような経路を設定する。ここで、図7は、第3実施形態において、ユーザが目的地Gに向かう場面の一例を示す図である。図7に示すように、経路探索機能は、ユーザが、出発ステーションから帰着ステーションS2までの経路を走行している間に、帰着ステーションS2の周辺に存在する対象ステーションをユーザが実際に目視などで確認することができるように、たとえば、対象ステーションに接する道路や、対象ステーションの看板などをユーザが目視可能な位置を経由する経路を設定することができる。
そして、制御装置10の情報送信機能は、経路設定機能により設定された経路の情報と、出発ステーション、帰着ステーションS2、および帰着ステーションS2の周辺の対象ステーションのステーション情報とを、ユーザ端末装置400Xに送信する。これにより、ユーザ端末装置400Xの制御装置440は、帰着ステーションS2の周辺に存在する対象ステーションの近傍を経由する経路と、対象ステーションの位置とを、ユーザに提示することができる。
また、第3実施形態に係る制御装置10の特典算出機能は、ユーザが、帰着ステーションS2の周辺に存在する対象ステーションの近傍を走行したことに対するインセンティブ特典を算出する。具体的には、特典算出機能は、ユーザ端末装置400Xから送信されるユーザの位置情報を繰り返し取得し、ユーザが実際に走行している経路を把握する。そして、特典算出機能は、ユーザが実際に対象ステーションの近傍を走行したか否かを判断し、その判断結果を加味して、ユーザが対象ステーションを利用した場合のインセンティブ特典を算出する。たとえば、特典算出機能は、ユーザが対象ステーションに接する道路や、対象ステーションの看板などをユーザが目視可能な道路を走行した場合には、ユーザが実際に対象ステーションの近傍を走行したと判断することができる。そして、ユーザが実際に対象ステーションの近傍を走行した場合には、対象ステーションの利用頻度、対象ステーションの近傍を経由することによる走行距離または走行時間の増加量、対象ステーションの近傍までの道路の走行困難性などに基づいて、ユーザに提供するインセンティブ特典を算出することができる。
次に、図8および図9を参照して、第3実施形態に係る共用車両管理処理を説明する。図8および図9は、第3実施形態に係る共用車両管理処理を示すフローチャートである。なお、図8に示すように、ステップS101〜108およびステップS110〜S115は、第1実施形態と同様に処理が行われるため、その説明は省略する。
第3実施形態では、図8に示すように、帰着ステーションS1が対象ステーションではないと判断され(ステップS104=Yes)、帰着ステーションS1の周辺に対象ステーションが存在すると判断された場合において(ステップS106=Yes)、最終的な帰着ステーションS2として対象ステーションではないステーションが決定された場合に(ステップS109=No)、図9に示すステップS301に進む。
ステップS301では、共用車両管理装置100の制御装置10により、帰着ステーションS2の周辺に存在する対象ステーションの近傍を経由する、出発ステーションから帰着ステーションS2までの経路の設定が行われる。具体的には、制御装置10の経路探索機能は、データベース30に格納されたステーション情報32と地図情報34とに基づいて、共用車両Vnが、帰着ステーションS2の周辺に存在する対象ステーションの近傍を経由し、かつ、ユーザが決定した出発ステーションから帰着ステーションS2まで走行可能な経路を設定する。
ステップS302では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザが実際に走行した経路の取得が行われる。具体的には、制御装置10の特典算出機能は、ユーザ端末装置400Xから送信されるユーザの位置情報を時系列に沿って取得し、ユーザが実際に走行した経路を把握する。そして、ステップS303では、制御装置10の特典算出機能により、ステップS302の検出結果に基づいて、ユーザが対象ステーションの近傍を走行したか否かの判断が行われる。そして、ユーザが対象ステーションの近傍を走行した場合には、ステップS304に進み、一方、ユーザが対象ステーションの近傍を走行しなかった場合には、ステップS308に進む。
ステップS304では、ユーザが対象ステーションの近傍を走行しているため、ユーザが対象ステーションの近傍を走行したことに対するインセンティブ特典が算出される。具体的には、制御装置10の特典算出機能は、対象ステーションの利用頻度、対象ステーションの近傍を走行した場合の走行距離や走行時間の増加量、対象ステーションの近傍を走行する際の道路の走行困難性などに基づいて、ユーザに提供するインセンティブ特典を算出することができる。なお、ユーザが対象ステーションの近傍を走行したことに対するインセンティブ特典は、対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典と異なる値としてもよいし、同一の値としてもよい。
そして、ステップS305では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却したか否かの判断が行われ、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却するまでは、ステップS305で待機し、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却した場合に、ステップS306に進む。ステップS306では、対象ステーションの近傍を走行したことに対するインセンティブ特典がユーザに対して付与され、続くステップS307では、利用金額の清算などの利用完了処理が行われる。
なお、ユーザが対象ステーションの近傍を走行しなかった場合には、ステップS308に進み、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却するまでは、ステップS308で待機し、ユーザが帰着ステーションに共用車両Vnを返却した場合に、ステップS307に進み、利用金額の清算などの利用完了処理が行われる。すなわち、対象ステーションの近傍を走行していない場合には、ユーザに対するインセンティブ特典の付与は行われない。
以上のように、第3実施形態に係る共用車両管理システム1000は構成され動作するので、以下の効果を奏する。
すなわち、第3実施形態では、対象ステーションの近傍を通過する経路を設定し、対象ステーションのステーション情報とともに、設定した経路の情報を出力する。そして、対象ステーションの近傍を通過する経路を走行した場合に、対象ステーションの近傍を通過したことに対するインセンティブ特典を算出し、ユーザに付与する。これにより、第3実施形態では、ユーザが当該経路に沿って走行した場合に、対象ステーションを実際に目視などで認識することができ、その結果、ユーザの将来的な対象ステーションの利用を促進することができる。特に、ユーザ端末装置400Xの表示装置430上で対象ステーションの情報をユーザが確認する場合と比べて、ユーザが実際に目視により対象ステーションあるいはその周辺の状況を確認することで、ユーザに対象ステーションの利用をより促すことが可能となる。
《第4実施形態》
続いて、第4実施形態に係る共用車両管理システムを説明する。第4実施形態における共用車両管理システム1000は、図2に示す共用車両管理システム1000と同様の構成を備え、以下に説明するように動作すること以外は、第2実施形態に係る共用車両管理システム1000と同様である。
第4実施形態に係る共用車両管理装置100のデータベース30は、対象ステーションのステーション情報がユーザに提示された結果、ユーザが対象ステーションを利用したか、あるいは、利用しなかったかの情報を、利用履歴情報35に含めてさらに記憶する。たとえば、第4実施形態において、共用車両管理装置100の制御装置10は、ユーザ端末装置400Xに対象ステーションのステーション情報を送信し、これに対して、ユーザ端末装置400Xから、対象ステーションではないステーションが帰着ステーションS2として決定された旨の情報を受信した場合に、ユーザが対象ステーションを利用しなかった旨の情報を、利用履歴情報35に含めてデータベース30に記憶する。
また、第4実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、第2実施形態に係る制御装置10の機能に加えて、情報提示判断機能をさらに備える。制御装置10の情報提示判断機能は、データベース30に格納された利用履歴情報35に基づいて、ユーザが過去に共用車両Vnの利用予約を行った際に、対象ステーションを利用しなかった回数が所定期間で所定回数以上であるか否かを判断し、対象ステーションを利用しなかった回数が所定期間で所定回数以上である場合には、情報送信機能に、対象ステーションを除いて、各ステーションのステーション情報をユーザ端末装置400Xに送信させる。
次に、図10を参照して、第4実施形態に係る共用車両管理処理について説明する。図10は、第4実施形態に係る共用車両管理処理を示すフローチャートである。なお、図10に示すステップS202〜S211は、第2実施形態の共用車両管理処理の処理と同様のため、その説明は省略する。
ステップS401では、ユーザが過去に各ステーションを利用した際の利用履歴情報35の取得が行われる。具体的には、ユーザがユーザ端末装置400Xを用いて出発ステーションおよび帰着ステーションの予約を開始すると、ユーザIDを含む情報が、ユーザ端末装置400Xから共用車両管理装置100に送信される。そして、共用車両管理装置100の制御装置10は、データベース30を参照し、ユーザIDに基づいて、ユーザが過去に共用車両Vnを利用した際に対象ステーションを利用したか否かなどの情報を含む、ユーザの利用履歴情報35を取得する。
ステップS402では、共用車両管理装置100の制御装置10により、ユーザが対象ステーションを利用しなかった回数が、所定期間内に所定回数以上あるか否かの判断が行われる。具体的には、制御装置10の情報提示判断機能は、ステップS401で取得した利用履歴情報35に基づいて、ユーザに対象ステーションのステーション情報を提示したにもかかわらず、ユーザが対象ステーションを利用しなかった回数が、所定期間内に所定回数以上あるか否かを判断する。ユーザが対象ステーションを利用しなかった回数が所定期間内に所定回数以上である場合には、ステップS403に進み、制御装置10の情報送信機能により、対象ステーションを除くステーションのステーション情報が、ユーザ端末装置400Xに送信される。一方、ユーザが対象ステーションを利用しなかった回数が所定期間内に所定回数以上ではない場合には、ステップS202に進み、第2実施形態と同様に処理が行われる。
以上のように、第4実施形態に係る共用車両管理システム1000は構成され動作するので、以下の効果を奏する。
すなわち、第4実施形態では、ユーザが対象ステーションを利用しなかった旨の情報を利用履歴情報35に含めてデータベース30に記憶しておき、この利用履歴情報35に基づいて、ユーザが過去に共用車両Vnを利用した際に、ユーザに対象ステーションのステーション情報を提示したにもかかわらず、対象ステーションを利用しなかった回数が所定期間で所定回数以上であるか否かを判断する。そして、ユーザが対象ステーションを利用しなかった回数が所定期間で所定回数以上である場合には、対象ステーションを除いて、各ステーションのステーション情報をユーザ端末装置400Xに送信する。これにより、第4実施形態では、対象ステーションを利用する傾向の低いユーザに対して、対象ステーションのステーション情報が提示されないため、対象ステーションのステーション情報をユーザに提示することによる、ユーザの煩わしさを軽減することができる。
なお、第4実施形態では、ユーザが対象ステーションを利用しなかった回数が所定期間内で所定回数以上である場合に、対象ステーションを除いて、各ステーションのステーション情報をユーザに提示する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、対象ステーションのステーション情報の内容を変更して、ユーザに提示する構成としてもよい。たとえば、対象ステーションのステーション情報が、対象ステーション以外のステーションのステーション情報よりも目立たないように、対象ステーションのステーション情報をユーザに提示する構成とすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態では、外部サーバが共用車両管理装置100を備える構成を例示したが、この構成に限定されず、ユーザ端末装置400Xまたは車載装置200Vnが共用車両管理装置100を備える構成としてもよい。この場合、ユーザ端末装置400Xまたは車載装置200Vnにおいて、ユーザが利用した各ステーションの利用履歴情報35を記憶するとともに、外部サーバから各ステーションのステーション情報を取得し、ユーザの利用頻度が所定値以下の対象ステーションを特定し、対象ステーションのステーション情報を、ユーザに提示する構成とすることができる。
また、上述した実施形態では、対象ステーションを利用した場合に、ユーザに対象ステーションの利用に対するインセンティブ特典を付与する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、対象ステーションに共用車両Vnの返却スペースがある場合には、対象ステーションのステーション情報として、返却スペースが余っている旨の情報を送信する構成としてもよい。この場合も、ユーザに対象ステーションの利用を促すことができる。
なお、上述した実施形態において、共用車両管理装置100の制御装置10のデータベース30は本発明の記憶手段に、制御装置10の対象ステーション特定機能は本発明の特定手段に、制御装置10の情報送信機能は本発明の出力手段に、制御装置10の利用要求取得機能は本発明の取得手段に、制御装置10の特典算出機能は本発明の算出手段に、制御装置10の特典付与機能は本発明の付与手段に、制御装置10の経路設定機能は本発明の経路設定手段に、それぞれ相当する。