JP2016145330A - 光輝性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】光輝性や色変化性に優れると共に、成形品表面の光沢度が高く、美麗な外観を呈する成形品を与える光輝性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供する。【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100質量部と、光輝性顔料(B)0.1〜5質量部と、ポリアルキレングリコール化合物(C)0.1〜5質量部とを含有する光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。好ましくは更に流動改質剤(D)を1〜70質量部含む。ポリアルキレングリコール化合物(C)を所定の割合で配合することにより、成形時の光輝性顔料(B)の破砕が抑制されると共に、光輝性顔料(B)が成形品の表面に沿って配向するようになり、得られる成形品の光沢感、光輝性が改善される。【選択図】なし

Description

本発明は、光輝性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関するものである。詳しくは、本発明は、光輝性顔料を配合して光輝性を付与することにより意匠性を高めた光輝性ポリカーボネート樹脂組成物であって、成形品表面の光沢感に優れ、美麗な外観を呈する光輝性ポリカーボネート樹脂組成物と、この光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品に関するものである。
ポリカーボネート樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性などに優れ、しかも、得られる成形品は寸法安定性などにも優れることから、電気・電子機器のハウジング類、自動車用部品類や、光ディスク関連の部品などの精密成形品類の製造用原料樹脂として広く使用されている。
近年、特に、家電機器、電子機器、画像表示機器の筐体や自動車内装品などにおいては、多様な意匠性が求められており、ポリカーボネート樹脂に、金属被覆フレーク状ガラス等の光輝性顔料や、光輝性顔料と共に更に染顔料を配合して、光輝感(キラキラ感)、光干渉による色変化、更には着色を付与したものも提案されている(例えば、特許文献1,2)。
特開2010−6862号公報 特開平4−359937号公報
光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品は、光輝性ポリカーボネート樹脂組成物に用いた光輝性顔料の種類に応じて美麗な光輝性や色変化を呈するものではあるが、一般的な塗装品に比べて光沢感が低いことから、その改善が望まれている。
本発明は、光輝性や色変化性に優れると共に、成形品表面の光沢度が高く、美麗な外観を呈する成形品を与える光輝性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、光輝性顔料と共にポリアルキレングリコール化合物を所定の割合で配合することにより、成形品表面の光沢度を高めることができる上に、光干渉による色変化もより明瞭なものとすることができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] ポリカーボネート樹脂(A)100質量部と、光輝性顔料(B)0.1〜5質量部と、ポリアルキレングリコール化合物(C)0.1〜5質量部とを含有することを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
[2] [1]において、更に流動改質剤(D)を1〜70質量部含むことを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]において、光輝性顔料(B)が、フレーク状金属粒子、金属被覆フレーク状粒子、及び金属酸化物被覆フレーク状粒子よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、ポリアルキレングリコール化合物(C)が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2016145330
(式(I)中、Qは直鎖又は分岐のアルキレン基であり、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜23の脂肪族アシル基、炭素数1〜23のアルキル基、又はアリール基を示す。qは繰り返し数である。)
[5] [4]において、ポリアルキレングリコール化合物(C)が下記一般式(I−1)で表される分岐型ポリアルキレングリコール化合物及び/又は下記一般式(I−2)で表される直鎖型ポリアルキレングリコール化合物であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2016145330
(式(I−1)中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示し、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜23の脂肪族アシル基、炭素数1〜23のアルキル基、又はアリール基を示し、nは10〜400の整数を示す。)
Figure 2016145330
(式(I−2)中、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜23の脂肪族アシル基、炭素数1〜22のアルキル基、又はアリール基を示し、mは2〜6の整数、pは6〜100の整数を示す。)
[6] [1]ないし[5]のいずれかにおいて、光輝性顔料(B)に対するポリアルキレングリコール化合物(C)の含有質量比が1以上であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
[7] [1]ないし[6]のいずれかに記載の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂(A)に、光輝性顔料(B)と共にポリアルキレングリコール化合物(C)を所定の割合で配合することにより、光輝性顔料(B)による光輝性、色変化性に優れると共に、成形品表面の光沢感にも優れ、美麗な外観を呈し、意匠性に優れた成形品が提供される。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
[1] 光輝性ポリカーボネート樹脂組成物
本発明の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部と、光輝性顔料(B)0.1〜5質量部と、ポリアルキレングリコール化合物(C)0.1〜5質量部とを含み、好ましくは更に流動改質剤(D)を1〜70質量部含む。
[作用機構]
本発明によれば、ポリアルキレングリコール化合物(C)を所定の割合で配合することにより、成形時の光輝性顔料(B)の破砕が抑制されると共に、光輝性顔料(B)が成形品の表面に沿って配向するようになり、得られる成形品の光沢感、光輝性が改善される。また、光干渉による色変化を示すものにあっては、この色変化をより一層明瞭なものとすることができる。
なお、ここで、光干渉による色変化とは、成形品に含まれる光輝性顔料の表面で反射した光が互いに干渉し、強められた波長の光が観察者の目に届くことにより、観察する角度によって異なる色を呈する現象をさし、本明細書では「色変化性」と称す場合がある。
更に、流動改質剤(D)を配合することにより、金型転写性が良好となり、金型の平滑表面が転写されて得られる成形品の表面平滑性が向上し、光沢感はより一層向上する。
従来、光輝性顔料の破砕を抑制する目的においては、樹脂の分子量を下げる、或いは、成形温度(成形時の金型温度)を上げることにより、樹脂組成物の粘度を下げ、樹脂組成物の流動性を上げて金型転写性を高めることが行われているが、樹脂の分子量を下げると、得られる成形品の機械的特性等の物性が低下し、また、成形品温度を上げると、樹脂の分解の問題が発生する。また、低分子量成分を配合することで樹脂組成物の粘度を下げることはできるが、成形品表面にクリアコートを施したような光沢感を付与することはできない。
本発明によれば、ポリアルキレングリコール化合物(C)の配合で、ポリカーボネート樹脂(A)の分子量を下げたり、成形品温度を過度に上げたりすることなく、成形品表面にクリアコートを施したような美麗な光沢感を付与することができると共に、光輝性顔料(B)による光輝性や光干渉による色変化性を更に高めることができ、意匠性に優れた美麗な成形品を得ることができる。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)としては、透明性、耐衝撃性、耐熱性等の面から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。
上述した芳香族ポリカーボネート樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、この一価の芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は用途により任意であり、適宜選択して決定すればよいが、粘度平均分子量(Mv)で、好ましくは20,000〜50,000である。粘度平均分子量が20,000より小さいと、得られる成形品の耐衝撃性等の機械的強度が低下し、50,000より大きいと、流動性が悪くなり、成形性に問題が生じる。芳香族ポリカーボネート樹脂のより好ましい粘度平均分子量は20,000〜40,000であり、さらに好ましくは21,000〜30,000である。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量(Mv)とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度(η)(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。また極限粘度(η)とは、各溶液濃度(C)(g/dl)での比粘度(ηsp)を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2016145330
芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度特性としては、上記の粘度平均分子量(Mv)のほかにMVR(メルトボリュームレイト)で表すこともできる。本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂のMVRは用途により任意であり、適宜選択して決定すればよいが、好ましくは3〜30cm/10分である。MVRが30cm/10分より大きいと、得られる成形品の耐衝撃性等の機械的強度が低下し、3cm/10分より小さいと、流動性が悪くなり、成形性に問題が生じる。芳香族ポリカーボネート樹脂のより好ましいMVRは5〜25cm/10分であり、さらに好ましくは8〜20cm/10分であり、特に好ましくは10〜15cm/10分である。MVRの異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、MVRが上記の好適な範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。なお、芳香族ポリカーボネート樹脂のMVRは、ISO1133に準拠して、測定温度300℃、測定荷重1.2kgf(11.8N)の条件で測定された値である。
[光輝性顔料(B)]
本発明で用いる光輝性顔料(B)としては、特に制限はなく、無機材料であってもよく、有機材料であってもよいが、光沢感と光輝性、光干渉による色変化性を得る観点から、フレーク状粒子であることが好ましく、例えば次のようなものを用いることができる。
(1) 金属又は金属酸化物被膜を形成したフレーク状粒子
(2) フレーク状金属粒子
ここで、(1)の金属被覆フレーク状粒子や金属酸化物被覆フレーク状粒子の基材となるフレーク状粒子の材質としては、ガラス、シリカ、マイカなどが挙げられる。以下、それぞれ、フレーク状ガラス、フレーク状シリカ、フレーク状マイカと称す場合がある。なお、金属酸化物被覆フレーク状粒子の場合、基材としてフレーク状金属粒子を用いたものであってもよい。
金属又は金属酸化物被覆フレーク状粒子としては、平均厚み0.1〜10μm程度のフレーク状粒子に、Al、Cr、Ni、Ti、Mg、Ag、Au、Mo等の金属又は合金や、酸化チタン、シリカ、酸化スズ、酸化鉄等の金属酸化物を化学蒸着又は物理蒸着することにより0.01〜1μm程度の厚さの被膜を形成したものが挙げられる。
具体的には、金属被覆フレーク状ガラスとしては、例えば、銀で被覆されたガラスフレーク顔料である日本板硝子社製の商品名「メタシャインMC5150PS」(平均粒径:150μm、平均厚み:5μm)、「メタシャインMC5090PS」(平均粒径:90μm、平均厚み:5μm)、「メタシャインMC2080PS」(平均粒径:80μm、平均厚み:1μm)、金で被覆されたガラスフレーク顔料である日本板硝子社製の商品名「メタシャインMT2080GP」(平均粒径:80μm、平均厚み:1μm)が挙げられる。
また、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料としては、シリカ、酸化チタン、酸化スズで被覆されたガラスフレーク顔料であるメルク社製の商品名「Miraval 5320 Scenic Gold」(粒径:10〜100μm)、「Miraval 5321 Scenic Copper」(粒径:10〜100μm)、「Miraval 5411 Magic White」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5420 Magic Gold」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5421 Magic Copper」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5422 Magic Red」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5423 Magic Lilac」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5424 Magic Blue」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5426 Magic Green」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5411 Starlit White」(粒径:30〜300μm)、及び酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄で被覆されたガラスフレーク顔料である日本板硝子社製の商品名「メタシャインMC1080RS/RY/RR/RB/RG」(平均粒径:80μm、平均厚み:1μm)、「メタシャインMC1120RS/RY/RR/RB/RG」(平均粒径:120μm、平均厚み:1μm)、「メタシャインMC1080TY/TZ/TP/TA」(平均粒径:80μm、平均厚み:1μm)、「メタシャインGT5090RS」(平均粒径90μm、平均厚み5μm)等が挙げられる。
また、酸化チタン、シリカ、酸化スズで被覆されたアルミノホウ珪酸ガラス顔料であるメルク社製の商品「Colorstream T10−07 Luxury Twinkle」、「Colorstream T10−08 Royal Twinkle」、「Colorstream T10−09 Pacific Twinkle」等が挙げられる。
金属酸化物被覆フレーク状シリカとしては、酸化チタン、酸化スズで被覆されたシリカ顔料であるBASF社製の商品名「Firemist Colormotion Blue Topaz 9G680D」(粒径:13〜180μm)、「Firemist Colormotion Ruby 9G480D」(粒径:13〜180μm)等が挙げられる。また、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズで被覆されたシリカ顔料であるメルク社製の商品名「Colorstream F10−00 Autumn Mystery」、「Colorstream T10−01 Vioia Fantasy」、「Colorstream T10−02 Arctic Fire」、「Colorstream T10−03 Tropic Sunrise」「Colorstream T10−04 Lapis Sunlight」等が挙げられる。
金属酸化物被覆フレーク状マイカとしては、シリカ、酸化チタン、酸化スズで被覆されたマイカ顔料であるメルク社製の商品名「Iriodin 103 Rutile Sterling Silver」(粒径:10〜60μm)、「Colorstream T10−06 Royal Damask」(粒径:10〜60μm)や、「Colorstream T10−05 Pacific Lagoon」等が挙げられる。
また、フレーク状金属粒子としては、平均厚み0.1〜10μm程度のAl、Ni、Ag、Au、Cu等よりなるフレーク状粒子を用いることができる。
具体的なフレーク状金属粒子の例として、フレーク状アルミニウム粒子としては、アルミニウムを樹脂フィルムに蒸着し、樹脂フィルムを剥離又は一体化した蒸着アルミニウム膜のフレーク又は薄片を用いることもできる。アルミニウムフレークとしては、東洋アルミニウム社製の商品名「P1415」(平均粒径:61μm)を例示することができる。
本発明において、光輝性顔料(B)の平均粒径D50は1〜500μmであることが好ましい。光輝性顔料(B)の平均粒径D50が1μm未満では、光輝性顔料(B)を配合することによる光輝性の付与効果を十分に得ることができず、また、ポリアルキレングリコール化合物(C)の配合で光沢感を得ることも難しい場合がある。光輝性顔料(B)の平均粒径D50が500μmを超えると、得られる成形品の耐衝撃性が低下する。光輝性顔料(B)の平均粒径D50は特に3〜300μm、とりわけ5〜100μm程度であることが好ましい。
なお、ここで、光輝性顔料(B)の粒径とは、光輝性顔料(B)を2枚の平行な板で挟んだときに、この板の間隔が最も大きくなる部分の長さをさす。
本発明における平均粒径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されるメジアン径D50をいい、例えば、島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100」を用いて測定されるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
上記の光輝性顔料(B)は1種を単独で用いてもよく、構成や金属種或いは粒径の異なるものの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、2種以上の光輝性顔料(B)を併用する場合、用いたすべての光輝性顔料(B)の平均粒径D50が上記の範囲内であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、上記光輝性顔料(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜4質量部、より好ましくは0.2〜3質量部である。光輝性顔料(B)の配合量が上記下限よりも少ないと、光輝性顔料(B)を配合したことによる光輝性の付与効果を十分に得ることができず、また、ポリアルキレングリコール化合物(C)の配合で光沢感を得ることも難しい場合がある。光輝性顔料(B)の含有量が多過ぎると得られる成形品の耐衝撃性が劣るものとなる。
[ポリアルキレングリコール化合物(C)]
ポリアルキレングリコール化合物(C)は、下記一般式(I)で表される化合物であり、例えば、下記一般式(I−1)で表される分岐型ポリアルキレングリコール化合物又は下記一般式(I−2)で表される直鎖型ポリアルキレングリコール化合物が挙げられる。
Figure 2016145330
(式(I)中、Qは直鎖又は分岐のアルキレン基であり、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜23の脂肪族アシル基、炭素数1〜23のアルキル基、又はアリール基を示す。qは繰り返し数である。)
Figure 2016145330
(式(I−1)中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示し、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜23の脂肪族アシル基、炭素数1〜23のアルキル基、又はアリール基を示し、nは10〜400の整数を示す。)
Figure 2016145330
(式(I−2)中、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜23の脂肪族アシル基又は炭素数1〜22のアルキル基を示し、mは2〜6の整数、pは6〜100の整数を示す。)
上記の一般式(I−1)において、整数(重合度)nは、10〜400であるが、好ましくは15〜200、更に好ましくは20〜100である。重合度nが10未満の場合、成形時のガス発生量が多くなり、ガスによる成形不良、例えば、未充填、ガスやけ、転写不良を発生する可能性がある。一方、重合度nが400を超える場合、光沢感を向上させる効果が十分に得られないおそれがある。
分岐型ポリアルキレングリコール化合物としては、一般式(I−1)中、X,Yが水素原子で、Rがメチル基であるポリプロピレングリコールやエチル基であるポリブチレングリコールが好ましく、特に好ましくはポリプロピレングリコールである。
上記の一般式(I−2)において、p(重合度)は、6〜100の整数であるが、好ましくは8〜90、より好ましくは10〜80である。重合度pが6未満の場合、成形時にガスが発生するので好ましくない。一方、重合度pが100を超える場合、相溶性が低下するので好ましくない。
直鎖型ポリアルキレングリコール化合物としては、一般式(I−2)中のX及びYが水素原子で、mが2であるポリエチレングリコール、mが3であるポリトリメチレングリコール、mが4であるポリテトラメチレングリコール、mが5であるポリペンタメチレングリコール、mが6であるポリヘキサメチレングリコールが好ましく挙げられ、より好ましくはポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールあるいはそのエステル化物又はエーテル化物である。
また、ポリアルキレングリコール化合物(C)として、その片末端あるいは両末端が脂肪酸またはアルコールで封鎖されていてもその性能発現に影響はなく、脂肪酸エステル化物またはエーテル化物を同様に使用することができ、従って、一般式(I−1),(I−2)中のX及び/又はYは炭素数1〜23の脂肪族アシル基、アルキル基、又はフェニル基等のアリール基であってもよい。
脂肪酸エステル化物としては、直鎖状又は分岐状脂肪酸エステルのいずれも使用でき、脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく不飽和脂肪酸であってもよい。また、一部の水素原子がヒドロキシル基などの置換基で置換されたものも使用できる。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数1〜23の1価又は2価の脂肪酸、例えば、1価の飽和脂肪酸、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸や、1価の不飽和脂肪酸、具体的には、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸、また炭素数10以上の二価の脂肪酸、具体的には、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸及びデセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸が挙げられる。
これらの脂肪酸は1種又は2種以上組み合せて使用できる。前記脂肪酸には、1つ又は複数のヒドロキシル基を分子内に有する脂肪酸も含まれる。
分岐型ポリアルキレンエーテルグリコールの脂肪酸エステルの好ましい具体例としては、一般式(I−1)において、Rがメチル基、X及びYが炭素数18の脂肪族アシル基であるポリプロピレングリコールステアレート、Rがメチル基、X及びYが炭素数22の脂肪族アシル基であるポリプロピレングリコールベヘネートが挙げられる。直鎖型ポリアルキレングリコールの脂肪酸エステルの好ましい具体例としては、ポリアルキレングリコールモノパルミチン酸エステル、ポリアルキレングリコールジパルミチン酸エステル、ポリアルキレングリコールモノステアリン酸エステル、ポリアルキレングリコールジステアリン酸エステル、ポリアルキレングリコール(モノパルミチン酸・モノステアリン酸)エステル、ポリアルキレングリコールベヘネート等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールのアルキルエーテルを構成するアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等の炭素数1〜23のアルキル基が挙げられ、このようなポリアルキレングリコール化合物(C)としては、ポリアルキレングリコールのアルキルメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ラウリルエーテル、ステアリルエーテル等が好ましく例示できる。また、ポリアルキレングリコールのアリールエーテルを構成するアリール基としてはフェニレン基が挙げられ、このようなポリアルキレングリコール化合物としては、ポリアルキレングリコールのフェニルエーテル等が好ましく例示できる。
ポリアルキレングリコール化合物(C)の数平均分子量としては、200〜5,000であることが好ましく、より好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上であり、より好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。上記範囲の上限を超えると、相溶性が低下するので好ましくなく、又上記範囲の下限を下回ると成形時にガスが発生するので好ましくない。ここでいうポリアルキレングリコール化合物(C)の数平均分子量はJIS K1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
上記ポリアルキレングリコール化合物(C)は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物において、上記ポリアルキレングリコール化合物(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜4質量部であり、さらに好ましくは0.3〜3質量部である。ポリアルキレングリコール化合物(C)の含有量が上記下限よりも少ないと、ポリアルキレングリコール化合物(C)を配合したことにより光沢感の向上効果を得ることができず、上記上限より多いと、ポリカーボネート樹脂(A)本来の透明性が低下し、また、成形時のガス発生が問題となる。
また、ポリアルキレングリコール化合物(C)の配合により、成形時の光輝性顔料(B)の破砕を抑制すると共に、光輝性顔料(B)をそのフレーク面が成形品表面に沿うように配合させて良好な光沢度の向上効果と光干渉による色変化の明瞭化を確実に得るために、ポリアルキレングリコール化合物(C)は、光輝性顔料(B)に対して質量比で1以上、即ち、ポリアルキレングリコール化合物(C)/光輝性顔料(B)(質量比)(以下「(C)/(B)質量比」と称す場合がある。)が1以上となるように配合することが好ましい。この(C)/(B)質量比は、より好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
[流動改質剤(D)]
本発明の樹脂組成物は好ましくは更に流動改質剤(D)を含み、流動改質剤(D)を含有することにより、成形時の金型転写性を高め、成形品の表面平滑性を高めて光沢感をより一層向上させることができる。
流動改質剤(D)としては、ポリカーボネート樹脂組成物に一般的に用いられている各種樹脂やオリゴマーなどの低分子量成分をいずれも用いることができ、例えば、ポリカーボネートオリゴマー、アクリル系樹脂、ポリスチレンアクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂などが挙げられる。
<ポリカーボネートオリゴマー>
ポリカーボネートオリゴマーは、前述のポリカーボネート樹脂(A)で説明したものと同様の構成単位からなるものであり、その構造は、直鎖状、分岐状および環状のいずれの形態であってもよい。生産性や生産安定性の点では直鎖状が優れており好ましい。
ポリカーボネートオリゴマーは、なかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンで代表的に例示される芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンで代表されるカーボネート前駆体との反応や、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応によって得られるものが好ましく、芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で用いても混合して用いてもよい。
ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量は3,000〜10,000であることが好ましく、より好ましくは3,500〜8,000である。粘度平均分子量がこの範囲であれば、機械的強度を低下させることなく、樹脂組成物の流動性を改善して金型転写性の改善による表面平滑性、光沢感の向上に有効に機能する。
なお、ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量の測定方法は、前述のポリカーボネート樹脂(A)における方法と同じである。
ポリカーボネートオリゴマーの製造方法は、当業者において広く知られており、例えば界面重合法を用いる芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応、芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導されたビスクロロホーメートと芳香族ジヒドロキシ化合物または脂肪族ジオール(脂環式ジオールを含む)との重縮合反応、並びにジアリールカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物、脂肪族ジオールまたは脂環式ジオールとの重合触媒の存在下における溶融重合反応が挙げられる。
ポリカーボネートオリゴマーの分子量(重合度)を上記の範囲に調整するには、ホスゲンを用いる界面重合法では、フェノール及び/又はアルキル置換フェノールを重合系に添加して、末端封止すれば良い。
<アクリル系樹脂>
アクリル系樹脂としては、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位とを含有する(メタ)アクリレート共重合体が好ましい。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」の一方又は双方をさす。また、「単位」とは、単量体を共重合させて(メタ)アクリレート共重合体を製造する際に用いられる原料単量体に由来する構造部分をさす。
芳香族(メタ)アクリレート単位を構成する単量体である芳香族(メタ)アクリレートとは、エステル部分に芳香族基を有する(メタ)アクリレートのことを言う。芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくはフェニルメタクリレートである。(メタ)アクリレート共重合体が芳香族(メタ)アクリレート単位を有することで、ポリカーボネート樹脂(A)と混合して得られる樹脂組成物の透明性を向上させることができる。
メチルメタクリレート単位を構成する単量体は、メチルメタクリレートである。メチルメタクリレート単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート共重合体とを良分散させる効果を有し、得られる成形品の表面硬度を向上させることができる。
(メタ)アクリレート共重合体は、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位の質量比(芳香族(メタ)アクリレート単位/メチルメタクリレート単位)が5〜80/20〜95のもの、即ち、芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80質量%とメチルメタクリレート単位20〜95質量%とを含有するものであることが好ましい(但し、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位の合計は100質量%である)。(メタ)アクリレート共重合体中の芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が5質量%以上でメチルメタクリレート単位の含有率が95質量%以下であれば、(メタ)アクリレート共重合体の高添加領域において透明性が維持され、芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が80質量%以下でメチルメタクリレート単位の含有率が20質量%以上であれば、ポリカーボネート樹脂(A)との相容性が高過ぎず、得られる成形品表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下しない。
また、(メタ)アクリレート共重合体の高添加領域において、より一層透明性を維持しつつ高い表面硬度を発現することから、(メタ)アクリレート共重合体は、芳香族(メタ)アクリレート単位8〜50質量%及びメチルメタクリレート単位50〜92質量%を含有することがより好ましい(但し、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位の合計は100質量%である)。
(メタ)アクリレート共重合体中の芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が8質量%以上でメチルメタクリレート単位の含有率が92質量%以下であれば、ポリカーボネート樹脂(A)との相容性が高過ぎず、成形品表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下せず、芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が50質量%以下でメチルメタクリレート単位の含有率が50質量%以上であれば、(メタ)アクリレート共重合体の高添加領域において透明性が維持される。
また、(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜30,000であり、10,000〜25,000がより好ましく、13,000〜20,000が特に好ましい。(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量が5,000〜30,000であると、ポリカーボネート樹脂(A)中での分散性が良好であり、透明性を維持して表面硬度を効果的に向上させることができる。
なお、(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてクロロホルムやテトラヒドロフラン(THF)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されたポリスチレン(PS)換算の値である。
(メタ)アクリレート共重合体を得るための単量体の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の公知の方法を使用することができる。好ましくは懸濁重合法や塊状重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法である。また、重合に必要な添加剤等は必要に応じて適宜添加することができ、添加剤としては、例えば、重合開始剤、乳化剤、分散剤、連鎖移動剤等が挙げられる。
<スチレン系樹脂>
スチレン系樹脂とは、スチレン系単量体からなるスチレン系重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体との共重合体、ゴム質重合体(以下、「ゴム成分」ということがある。)の存在下にてスチレン系単量体を共重合してなるゴム成分含有共重合体、ゴム質重合体の存在下にてスチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを共重合してなるゴム成分含有共重合体、より選ばれる1種以上の重合体であり、ゴム成分含有量が0〜39質量%である重合体である。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン等のスチレン誘導体が挙げられ、これらのうちスチレンが好ましい。なお、これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することもできる。
スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、へキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、へキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸アリールエステル;フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル;マレイミド、N,N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物;等が挙げられる。
スチレン系単量体と共重合可能なゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体及びブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンランダム共重合体及びブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルとブタジエンとの共重合体、ポリブタジエン−ポリイソプレンジエン系共重合体、エチレン−イソプレンランダム共重合体及びブロック共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体及びブロック共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体等のエチレンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体等のエチレン−プロピレン−非共役ジエンターポリマー、アクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレート又はメタクリレートゴムとからなる複合ゴム等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、具体的には、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MS樹脂)、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)が好ましい。
本発明に用いるスチレン系樹脂は、乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合あるいは塊状・懸濁重合等の方法により製造されるが、スチレン系重合体、又はスチレン系ランダム共重合体あるいはブロック共重合体の場合は塊状重合、懸濁重合又は塊状・懸濁重合により製造されたものが好適であり、スチレン系グラフト共重合体の場合は塊状重合、塊状・懸濁重合あるいは乳化重合によって製造されたものが好適である。
本発明において好適に用いられるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)とは、ブタジエンゴム成分にアクリロニトリルとスチレンをグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体とアクリロニトリルとスチレンの共重合体の混合物である。ブタジエンゴム成分は、ABS樹脂100質量%中、好ましくは5〜39質量%であり、より好ましくは10〜35質量%、特に好ましくは13〜25質量%であり、アクリロニトリルの含有率は、10〜35質量%が好ましく、17〜28質量%がより好ましい。
またゴム粒子径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜3μm、さらに好ましくは0.3〜1.5μm、特に好ましくは0.4〜0.9μmである。ゴム粒子径の分布は、単一分布でも二山以上の複数の分布を有するもののいずれであっても良い。
また、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体の分子量を反映するメルトボリュームレイト(MVR)としては、220℃、荷重10kgfで20〜50cm/10分の範囲にあることが好ましく、30〜40cm/10分がより好ましい。
また、本発明において好適に用いられるアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロモスチレン等が好ましく、スチレン、α−メチルスチレンがより好ましく、特にスチレンが好ましい。
アクリロニトリル−スチレン共重合体中のスチレン系単量体の含有率は、50〜95質量%が好ましく、65〜92質量%がより好ましい。
また、アクリロニトリル−スチレン共重合体の分子量を反映するメルトボリュームレイト(MVR)としては、300℃、荷重1.2kgfで5〜50cm/10分の範囲にあることが好ましく、10〜30cm/10分がより好ましい。
これらの流動改質剤(D)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物が流動改質剤(D)を含有する場合、その含有量はポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して1〜70質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜70質量部、特に好ましくは10〜70質量部である。流動改質剤(D)の含有量が上記下限以上であると、流動改質剤(D)を配合することによる前述の効果を有効に得ることができ、上記上限以下であると、流動改質剤(D)を配合することによる熱安定性の低下等の問題を回避することができる。
[その他の添加剤]
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤から選ばれる1種又は2種以上を含有していてもよい。このような添加剤としては、着色剤、安定剤、離型剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
<着色剤>
本発明の樹脂組成物は、所望によって着色剤として各種の染顔料を含有していてもよい。染顔料を含有することで、本発明の樹脂組成物の隠蔽性、耐候性を向上できるほか、本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形品のデザイン性を向上させることができる。
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
上記の着色剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
また、着色剤は、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良の目的のために、ポリカーボネート樹脂(A)や流動改質剤(D)のスチレン系樹脂、ポリカーボネートオリゴマー、アクリル系樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
本発明の樹脂組成物が着色剤を含有する場合、その含有量は、必要な意匠性に応じて適宜選択すればよいが、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。着色剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、着色効果が十分に得られない可能性があり、着色剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。
<安定剤>
本発明の樹脂組成物は、熱安定性を向上させるために安定剤、好ましくはリン系熱安定剤を含有することができる。リン系熱安定剤は一般的に、樹脂成分を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形品使用時の耐熱安定性向上に有効である。
本発明で用いるリン系熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み、変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
また、アシッドホスフェートとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
亜リン酸エステルの中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、耐熱性が良好であることと加水分解しにくいという点で、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
これらのリン系熱安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物がリン系熱安定剤等の安定剤を含む場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.003質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上であり、通常0.1質量部以下、好ましくは0.08質量部以下、より好ましくは0.06質量部以下である。安定剤の含有量が上記範囲の下限値未満の場合は、熱安定効果が不十分となる可能性があり、安定剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
<離型剤>
本発明の樹脂組成物は、離型性を高め、成形品の表面平滑性を高めるために、離型剤を含有していてもよい。
好ましい離型剤は、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、及び数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物から選ばれる化合物である。中でも、脂肪族カルボン酸、及び脂肪族カルボン酸エステルから選ばれる化合物が好ましく用いられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。本明細書では、脂肪族カルボン酸の用語は、脂環式カルボン酸も包含する意味で用いる。脂肪族カルボン酸の中でも、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がより好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していても良い。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していても良く、複数の化合物の混合物であっても良い。脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
これらの離型剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部であることが好ましい。離型剤の含有量が上記範囲であると、耐加水分解性の低下がなく、離型効果が得られるので好ましい。
<難燃剤>
本発明の樹脂組成物は、難燃性を得るために難燃剤を含有していてもよい。難燃剤としては、ポリカーボネート樹脂(A)の透明性を維持して組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、有機スルホン酸金属塩、シリコーン化合物が好適である。
難燃剤用の有機スルホン酸金属塩としては、好ましくは脂肪族スルホン酸金属塩及び芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられ、これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。有機スルホン酸金属塩を構成する金属としては、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。
脂肪族スルホン酸塩としては、好ましくは、フルオロアルカン−スルホン酸金属塩、より好ましくは、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩が挙げられる。フルオロアルカン−スルホン酸金属塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられ、より好ましくは、炭素数4〜8のフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。フルオロアルカン−スルホン酸金属塩の具体例としては、パーフルオロブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸カリウムなどが挙げられる。
また、芳香族スルホン酸金属塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホン酸金属塩の具体例としては、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、4,4’−ジブロモフェニル−スルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジカリウム塩などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物がこれらの有機スルホン酸金属塩を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜3質量部であることが好ましく、0.02〜2質量部であることがより好ましく、0.03〜1質量部であることがさらに好ましい。難燃剤としての有機スルホン酸金属塩の含有量が上記範囲であると、難燃性があり、且つ熱安定性が良好な樹脂組成物となるので好ましい。有機スルホン酸金属塩の含有量が上記範囲より多いと、樹脂組成物の透明性を損なうことがあり、少ないと十分な難燃性を得ることができない。
難燃剤用のシリコーン化合物としては、特開2006−169451公報に記載の、直鎖状もしくは分岐状の構造を有するポリオルガノシロキサンが好ましい。該ポリオルガノシロキサンが有する有機基は、炭素数が1〜20のアルキル基及び置換アルキル基のような炭化水素又はビニル及びアルケニル基、シクロアルキル基、ならびにフェニル、ベンジルのような芳香族炭化水素基などの中から選ばれる。
該ポリジオルガノシロキサンは、官能基を含有していなくても、官能基を含有していても良い。官能基を含有しているポリジオルガノシロキサンの場合、官能基はメタクリル基、アルコキシ基又はエポキシ基であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物がこれらの難燃剤用シリコーン化合物を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.5〜10質量部であることが好ましい。難燃剤としてのシリコーン化合物の含有量が上記範囲であると、透明性、外観及び弾性率等を損なうことなく、難燃性が良好となるので好ましい。
なお、上記有機スルホン酸金属塩とシリコーン化合物を併用しても良い。
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましく、より具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、及び3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,6]ウンデカン等が挙げられる。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.02〜0.5質量部であることが好ましい。この範囲であると、本発明の効果を阻害せずに、酸化防止性を改善できるので好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。樹脂成形体は、太陽光や蛍光灯のような光線下に長期間曝されると、紫外線によって黄色味を帯びる傾向があるが、紫外線吸収剤を添加することで、このような黄変を防止又は遅延させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルメチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール]等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサルチレート、2,4−ジターシャリ−ブチルフェニル−3,5−ジターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましく、0.005〜0.8質量部であることがより好ましく、0.01〜0.5質量部であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であると、励起光吸収による蓄光性発光輝度の低下が生じず、且つ成形体表面にブリードアウト等を発生させずに、耐候性を改善できるので好ましい。
<その他>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分のほかに、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、着色剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などを配合することができる。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
[製造方法]
本発明の樹脂組成物は、従来から知られている方法で各成分を混合し、溶融混練することにより製造できる。具体的な混合方法としては、ポリカーボネート樹脂(A)、光輝性顔料(B)、ポリアルキレングリコール化合物(C)、及び必要に応じて配合される流動改質剤(D)やその他の添加成分を所定量秤量し、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用いて混合した後、バンバリーミキサー、ロール、プラペンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が挙げられる。
また、各成分を予め混合せずに、又は、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明の樹脂組成物を製造することもできる。
また、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明の樹脂組成物を製造することもできる。
分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
上記方法で各成分を予め混合した後、溶融混練する方法としてはバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを使用する方法が挙げられる。
[2] 成形品
本発明の成形品は、上述のような本発明の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるものである。
[成形方法]
本発明の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品を製造する場合の成形方法としては、熱可塑性樹脂材料から成形品を成形する従来から知られている方法が、制限なく適用できる。具体的には、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、インモールドコーティング(IMC)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。
なお、成形時の樹脂組成物の流動性、金型転写性を高めるために、成形時の金型温度は若干高めに設定することが好ましく、例えば、ISO75−1および75−2に準拠した1.80MPaにおける荷重たわみ温度のプラス10℃〜マイナス30℃、プラス5℃〜マイナス15℃に設定することが好ましい。
[用途]
本発明の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、光輝性及び光沢感に優れ、更には光干渉による色変化性や着色を付与することもでき、クリアコート塗装を施したような美麗な外観を呈する意匠性に優れたものであり、塗装を施すことなく製品化することができ、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、遊具、玩具やレジャー用品・スポーツ用品、化粧品、アクセサリー類、文具類等の雑貨類等の各種用途に適用することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において使用した樹脂組成物の構成成分は、以下の通りである。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
A1:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−3000」(粘度平均分子量=21,000)
A2:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンE−2000」(粘度平均分子量=27,000)
A3:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンH−4000」(粘度平均分子量=16,000)
A4:出光興産社製 シロキサン共重合ポリカーボネート樹脂「タフロンネオAG1760」、高流動タイプ(MVR=13cm/10分(ISO1133、300℃、1.2kgf))
A5:出光興産社製 シロキサン共重合ポリカーボネート樹脂「タフロンネオRC1760」、高流動タイプ・透明(MVR=12cm/10分(ISO1133、300℃、1.2kgf))
<光輝性顔料(B)>
B1:メルク社製 偏光パール「Colorstream T10−02 Arctic Fire」(酸化チタン/酸化スズ被覆シリカ顔料、厚み=0.1〜1μm、平均粒径D50=25μm)
B2:平均粒径D50=5μmのフレーク状アルミニウム(以下「アルミフレーク(5)」と記載する。)
B3:平均粒径D50=20μmのフレーク状アルミニウム(以下「アルミフレーク(20)」と記載する。)
<ポリアルキレングリコール化合物(C)>
C1:日油社製 ポリプロピレングリコール「ユニオールD−1000」(数平均分子量=1,000)
C2:日油社製 ポリプロピレングリコール「ユニオールD−2000」(数平均分子量=2,000)
C3:日油社製 ポリブチレングリコール「ユニオールPB−700」(数平均分子量=700)
C4:日油社製 ポリブチレングリコール「ユニオールPB−1000」(数平均分子量=1,000)
C5:三菱化学社製 ポリテトラメチレングリコール「PTMG−1000」(数平均分子量=1,000)
<流動改質剤(D)>
D1:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ポリカーボネートオリゴマー「AL071」(ポリ−4,4’−イソプロピリデン−ジフェニルカーボネートオリゴマー)
D2:テクノポリマー社製 AS樹脂「サンレックス290FF」(スチレン含有率:76質量%、MVR(300℃、荷重1.2kgf):16cm/10分)
D3:日本A&L(株)製 ABS樹脂「サンタックUT61」(ブタジエンゴム含有率:17質量%、MVR(220℃、荷重10kgf):35cm/10分)
<着色剤>
カーボンブラック:三菱化学社製「#1000」
<安定剤>
AX71:ADEKA社製「アデカスタブAX71」(モノステアリルアシッドホスフェートとジステアリルアシッドホスフェートとの混合物)
<離型剤>
VPG861:エメリーオレオケミカルズジャパン社製「ロキシオールVPG861」(ペンタエリスリトールテトラステアレート)
[実施例1〜21及び比較例1〜9]
表1〜4に示す成分を表1〜4に示す割合で配合し、タンブラーで20分混合後、スクリュー径40mmのベント付き単軸押出機(田辺プラスチック社製「VS−40」)により、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数70rpmで混練し、押出されたストランドを切断してペレットを作製した。
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(ファナック社製「S−2000i150B」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度120℃(ただし、実施例16と比較例4では100℃)、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行って、各種の試験片を作製した。
得られたペレット又は試験片について、以下の評価を行い、結果を表1〜4に示した。
(1) MVR(メルトボリュームレイト)
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、ISO1133に準拠して、測定温度300℃、測定荷重1.2kgf(11.8N)の条件で測定した(単位:cm/10分)。(ただし、実施例16と比較例4では測定温度240℃、測定荷重1.2kgf。)
(2) 曲げ弾性率・曲げ強度
4mm厚のISO多目的試験片を作製し、ISO178規格に準拠して曲げ弾性率(単位:MPa)と曲げ強度(単位:MPa)を測定した。
(3) 荷重たわみ温度
4mm厚のISO多目的試験片を作製し、ISO75−1&2に従い、荷重1.80MPaの条件(A法)にて測定を行った(単位:℃)。
(4) 光沢度
100mm×100mm×3mm厚のプレート状試験片を作製し、プレートの光沢度を測定した。測定は日本電色工業社製光沢度計(GROSS METER VG2000)を用い、測定角度45度にて行った(単位:%)。
Figure 2016145330
Figure 2016145330
Figure 2016145330
Figure 2016145330
表1より明らかなように、光輝性顔料(B)と共に、ポリアルキレングリコール化合物(C)を所定の割合で配合した実施例1〜9では、ポリアルキレングリコール化合物(C)を配合していない比較例1,2に比べて高い光沢度が得られる。実施例1〜3より、光沢度は、(C)/(B)質量比が大きい方が高い傾向にある。
また、実施例1〜3と、実施例4〜9との対比より、光沢度は流動改質剤(D)の併用で向上する傾向があることが分かる。
なお、実施例1〜9と比較例1,2とでは、曲げ弾性率、曲げ強度、荷重たわみ温度に大差はなく、ポリアルキレングリコール化合物(C)の配合で機械物性や耐熱性は損なわれないことが分かる。
表2の実施例10〜14は、ポリアルキレングリコール化合物(C)の種類を変えたこと以外は同配合としたものであり、実施例10〜14の結果から、ポリアルキレングリコール化合物(C)としては、ポリプロピレングリコールに限らず、各種のものが光沢度の向上に有効であることが分かる。
実施例15は流動改質剤(D)として、AS樹脂を用いたものであり、ポリアルキレングリコール化合物(C)を配合していない比較例3よりもMVRは低いものの高い光沢度が得られ、ポリカーボネートオリゴマーを用いたこと以外は同配合の実施例8よりも高い光沢度が得られている。実施例16は流動改質剤(D)としてポリカーボネートオリゴマーとABS樹脂を併用してその配合量を増やしたものであるが、ポリアルキレングリコール化合物(C)を配合せずにABS樹脂を配合した比較例4よりもMVRは低いが光沢度は高い。
表3,4の実施例17〜21及び比較例5〜9は、光輝性顔料(B)としてアルミフレークを用いたものであり、実施例17〜21は、それぞれ比較例5〜9に比べて、ポリアルキレングリコール化合物(C)の配合により、機械物性や耐熱性を損なうことなく、高い光沢度が得られている。

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部と、光輝性顔料(B)0.1〜5質量部と、ポリアルキレングリコール化合物(C)0.1〜5質量部とを含有することを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 請求項1において、更に流動改質剤(D)を1〜70質量部含むことを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2において、光輝性顔料(B)が、フレーク状金属粒子、金属被覆フレーク状粒子、及び金属酸化物被覆フレーク状粒子よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、ポリアルキレングリコール化合物(C)が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2016145330
    (式(I)中、Qは直鎖又は分岐のアルキレン基であり、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜23の脂肪族アシル基、炭素数1〜23のアルキル基、又はアリール基を示す。qは繰り返し数である。)
  5. 請求項4において、ポリアルキレングリコール化合物(C)が下記一般式(I−1)で表される分岐型ポリアルキレングリコール化合物及び/又は下記一般式(I−2)で表される直鎖型ポリアルキレングリコール化合物であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2016145330
    (式(I−1)中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示し、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜23の脂肪族アシル基、炭素数1〜23のアルキル基、又はアリール基を示し、nは10〜400の整数を示す。)
    Figure 2016145330
    (式(I−2)中、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜23の脂肪族アシル基、炭素数1〜22のアルキル基、又はアリール基を示し、mは2〜6の整数、pは6〜100の整数を示す。)
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、光輝性顔料(B)に対するポリアルキレングリコール化合物(C)の含有質量比が1以上であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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