JP2007023264A - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度や透明性を著しく低下させることなく、流動性を向上させ、特に耐熱性も含めて総合的にバランスのとれた良好な性能を有する帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物、及びこれを溶融成形してなる成形品を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、特定式で表されるスルホン酸ホスホニウム塩(A)0.1〜5.0重量部、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)0.1〜10重量部、カプロラクトン系重合体(C)0.01〜8重量部、を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、特定式で表されるスルホン酸ホスホニウム塩(A)0.1〜5.0重量部、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)0.1〜10重量部、カプロラクトン系重合体(C)0.01〜8重量部、を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。
【選択図】 なし
Description
本発明は、帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、総合的にバランスのとれた良好な性能を有するポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、機械的強度、耐熱性、透明性等に優れた樹脂として電気・電子・OA機器の各種部品、自動車部品、建材、医療用途、雑貨等の分野で幅広く用いられている。しかし、ポリカーボネート樹脂は表面抵抗率が高いので、接触や摩擦等で発生した静電気が消滅し難く、成形品表面にゴミや塵が付着して外観や透明性を損ない、さらに、人体への電撃による不快感、ノイズの発生や機器の誤作動等の問題がある。このため、ポリカーボネート樹脂本来の特性を損なうことなく、表面抵抗率を下げて、帯電防止性を付与したポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品の提供が強く求められている。
従来、帯電防止性を有するポリカーボネート樹脂組成物としては、ポリカーボネート樹脂にスルホン酸ホスホニウム塩、亜リン酸エステル及びカプロラクトン系重合体を配合した樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。しかし、斯かる樹脂組成物では、流動性のバラツキが大きく、安定した成形が困難で、溶融混練時及び成形時において、黄色ないし褐色への着色が生じ、また、機械的強度及び帯電防止性が低下するという問題があった。これは、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高いため、樹脂組成物の溶融混練温度や溶融成形温度が高くなり、その結果、樹脂組成物の熱分解が顕著になるためと考えられる。
更に、ポリカーボネート樹脂にポリカーボネートオリゴマーを1〜60wt%を配合してなるポリカーボネート樹脂光学成形品が提案され(特許文献2)、ポリカーボネート樹脂に分子量が2000〜5000のポリカーボネートオリゴマーを少なくとも10重量%含有する樹脂が提案されている(特許文献3)。しかし、これらの提案は、光学成形品用途の場合に、オリゴマーを配合することが流動性に影響を与えることを示唆しているのみである。
上述した従来技術においては、帯電防止性を有する樹脂組成物において、流動性を向上させようとすると、色相や機械的強度が著しく低下する傾向があった。従って、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度や透明性を著しく低下させることなく、流動性を向上させ、特に耐熱性も含めて総合的にバランスのとれた良好な性能を有する帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品が求められていた。
本発明の目的は、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度や透明性を著しく低下させることなく、流動性を向上させ、特に耐熱性も含めて総合的にバランスのとれた良好な性能を有する帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に、スルホン酸ホスホニウム塩(A)を配合してなる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物において、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)、カプロラクトン系重合体(C)を特定量含有させることにより、溶融混練時及び成形時における着色(色相)、機械的強度、透明性を低下させることなく、流動性を向上させ、総合的にバランスのとれた良好な性能を有する成形品が得られることを見出して、本発明を完成した。
特に、耐熱性を考慮した場合に、カプロラクトン系重合体の配合量を特定量以下とする必要があることを見出した点は意外である。
特に、耐熱性を考慮した場合に、カプロラクトン系重合体の配合量を特定量以下とする必要があることを見出した点は意外である。
すなわち、本発明の要旨は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記一般式(1)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩(A)0.1〜5.0重量部、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)0.1〜10重量部、カプロラクトン系重合体(C)0.01〜8重量部、を配合してなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を溶融成形してなることを特徴とする成形品、に存する。
本発明により、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度や透明性を著しく低下させることなく、流動性を向上させ、特に耐熱性も含めて総合的にバランスのとれた良好な性能を有する帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
ポリカーボネート樹脂:
本発明のポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートを用いることができるが、中でも芳香族ポリカーボネートが好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンと反応させる界面重合法(ホスゲン法)、又は炭酸ジエステルと反応させる溶融法(エステル交換法)により得られる樹脂であり、直鎖状又は分岐状の熱可塑性重合体又は共重合体である。また、溶融法で製造することにより、末端基のOH基量が調整された樹脂であってもよい。
ポリカーボネート樹脂:
本発明のポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートを用いることができるが、中でも芳香族ポリカーボネートが好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンと反応させる界面重合法(ホスゲン法)、又は炭酸ジエステルと反応させる溶融法(エステル交換法)により得られる樹脂であり、直鎖状又は分岐状の熱可塑性重合体又は共重合体である。また、溶融法で製造することにより、末端基のOH基量が調整された樹脂であってもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、難燃性を更に高める目的で、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物、及び/又はシロキサン構造を有し、両末端にフェノール性水酸基を含有するポリマー又はオリゴマーを使用することができる。
また、分岐状の芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を以下の化合物、即ちフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いることができ、具体的には、m−及p−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂、又はビスフェノールAと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。更に、本発明のポリカーボネート樹脂は、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂、又はビスフェノールAと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。更に、本発明のポリカーボネート樹脂は、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した値で、好ましくは13000〜40000、より好ましくは14000〜30000、最も好ましくは15000〜29000である。粘度平均分子量が13000未満であると衝撃強度等の機械的強度が不足し、40000を越えると流動性が低下する傾向がある。
スルホン酸ホスホニウム塩(A):
本発明において使用されるスルホン酸ホスホニウム塩(A)は、ポリカーボネート樹脂に帯電防止性を付与する目的で使用され、下記一般式(1)で表されるものである。
本発明において使用されるスルホン酸ホスホニウム塩(A)は、ポリカーボネート樹脂に帯電防止性を付与する目的で使用され、下記一般式(1)で表されるものである。
前記一般式(1)で示されるスルホン酸ホスホニウム塩(A)は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.1〜5.0重量部配合されるが、好ましくは0.5〜4.5重量部、更に好ましくは1.0〜4.0重量部、特に好ましくは1.5〜3.5重量部である。0.1重量部未満では、帯電防止の効果は得られず、5.0重量部を越えると透明性や機械的強度が低下し、成形品表面にシルバーや剥離が生じて外観不良を引き起こし易い。
前記一般式(1)中のR1は、炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であるが、透明性や耐熱性、ポリカーボネート樹脂への相溶性の観点からアリール基の方が好ましく、炭素数1〜34、好ましくは5〜20、特に、10〜15のアルキル基で置換されたアルキルベンゼン又はアルキルナフタリン環から誘導される基が好ましい。また、一般式(1)中のR2〜R5は、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であるが、好ましくは炭素数2〜8のアルキルであり、更に好ましくは3〜6のアルキル基であり、特に、ブチル基が好ましい。
本発明のスルホン酸ホスホニウム塩(A)の具体例としては、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルオクチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、ジブチルベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム、ジブチルナフチルスルホン酸トリフェニルホスホニウム、ジイソプロピルナフチルスルホン酸トリオクチルメチルホスホニウム等が挙げられる。中でも、ポリカーボネートとの相溶性及び入手が容易な点で、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムが好ましい。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B):
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上述したスルホン酸ホスホニウム塩(A)の他に、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)を特定量含有することを特徴とする。これにより、透明性、溶融混練時及び成形時における着色、流動性、耐熱性、機械的強度、帯電防止性に関し、総合的にバランスのとれた良好な性能を有する成形品を得ることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上述したスルホン酸ホスホニウム塩(A)の他に、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)を特定量含有することを特徴とする。これにより、透明性、溶融混練時及び成形時における着色、流動性、耐熱性、機械的強度、帯電防止性に関し、総合的にバランスのとれた良好な性能を有する成形品を得ることができる。
本発明において、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)とは、粘度平均分子量が1,000〜10,000の範囲のオリゴマーであり、耐衝撃性や透明性など物性バランスを維持しながら流動性改良効果を発現させるために、粘度平均分子量は、好ましくは1,500〜9,000であり、より好ましくは2,000〜8,000である。オリゴマーの粘度平均分子量が1,000未満であると成形時に成形品からブリードアウトし易く、粘度平均分子量が10,000を越えると流動性が低下する傾向がある。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)の数平均重合度(繰り返し構造単位数の平均値)は、通常2〜15、好ましくは3〜14、より好ましくは4〜13である。オリゴマーは、重合度1では成形時に成形品からブリードアウトし易い傾向があり、重合度が15を超えると流動性が低下する傾向がある。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)は、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと、分子量調節剤の存在下反応させることによって製造することができる。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、前述した芳香族ポリカーボネート樹脂の原料として用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが用いられる。分子量調節剤としては、前述した芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量調整に用いられる一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いることができ、m−及p−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)としては、芳香族ヒドロキシ化合物を2種以上用いた共重合により得られるオリゴマーであってもよく、芳香族ヒドロキシ化合物の組み合わせとしては、例えば、ビスフェノールA(BPA)とテトラブロモビスフェノールA(TBA)が挙げられる。
本発明においては、上述した方法により別途製造した芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)を、樹脂組成物に特定量添加することにより配合させる。
本発明においては、上述した方法により別途製造した芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)を、樹脂組成物に特定量添加することにより配合させる。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)の配合率は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部であり、好ましくは0.3〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)の配合率が0.1重量部未満では、流動性改良効果が不十分であり、10重量部を越えると熱エージング後の色相が悪化し、衝撃強度が低下する。
また、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)のスルホン酸ホスホニウム塩(A)(一般式(1))に対する配合比率(B)/(A)(重量比)は、流動性改良効果を発現させる為に、通常2/100〜2000/100であり、好ましくは5/100〜500/100であり、更に好ましくは10/100〜200/100である。
また、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)のスルホン酸ホスホニウム塩(A)(一般式(1))に対する配合比率(B)/(A)(重量比)は、流動性改良効果を発現させる為に、通常2/100〜2000/100であり、好ましくは5/100〜500/100であり、更に好ましくは10/100〜200/100である。
カプロラクトン系重合体(C):
本発明の樹脂組成物においては、更にカプロラクトン系重合体(C)を特定量配合することを特徴とする。本発明におけるカプロラクトン系重合体(C)は、重合体中にε−カプロラクトン由来の構成単位を、少なくとも70重量%以上、好ましくは75重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含有する重合体又は共重合体である。ε−カプロラクトンと共重合するモノマーとしては、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、ブチロラクトンなどのラクトンモノマー、エチレンオキシド、1,2−プロピオンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシド、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエン等の不飽和モノマー及びテレフタル酸ジメチル、ジフェニルカーボネート等のカップリング剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物においては、更にカプロラクトン系重合体(C)を特定量配合することを特徴とする。本発明におけるカプロラクトン系重合体(C)は、重合体中にε−カプロラクトン由来の構成単位を、少なくとも70重量%以上、好ましくは75重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含有する重合体又は共重合体である。ε−カプロラクトンと共重合するモノマーとしては、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、ブチロラクトンなどのラクトンモノマー、エチレンオキシド、1,2−プロピオンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシド、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエン等の不飽和モノマー及びテレフタル酸ジメチル、ジフェニルカーボネート等のカップリング剤等が挙げられる。
カプロラクトン系重合体(C)としては、ε−カプロラクトン単位のメチレン鎖の水素原子の一部がハロゲン原子または炭化水素基で置換されていても良く、カプロラクトン系重合体の末端がエステル化、エーテル化等によって末端変性されていても良い。カプロラクトン系重合体の製造法としては、特に限定されないが、アルコール、グリコール、水等の適当な開始剤及びチタニュウムテトラブトキシド、塩化スズ等の触媒を用い、ε−カプロラクトンを開環重合する方法が用いられる。
カプロラクトン系重合体(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜8重量部である。0.01重量部未満では着色防止効果が不十分であり、8重量部を超えると耐熱性、帯電防止性及び透明性が低下しやすい。カプロラクトン系重合体の配合量は、好ましくは、0.05〜5重量部、更に好ましくは、0.08〜4重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明において、カプロラクトン系重合体(C)のスルホン酸ホスホニウム塩(A)(一般式(1))に対する配合比率(重量比)は、成形時の着色防止の為、(C)/(A)で、通常1/20〜20/1であり、好ましくは1/10〜10/1であり、更に好ましくは1/8〜5/1、特に好ましくは1/7〜1/1である。
また、本発明において、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)とカプロラクトン系重合体(C)との配合率(重量比)は、耐衝撃性・耐熱性のバランス維持の為、(B)/(C)で、通常1/20〜10/1、好ましくは1/10〜8/1、更に好ましくは1/5〜5/1、特に好ましくは1/4〜4/1である。
また、本発明において、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)とカプロラクトン系重合体(C)との配合率(重量比)は、耐衝撃性・耐熱性のバランス維持の為、(B)/(C)で、通常1/20〜10/1、好ましくは1/10〜8/1、更に好ましくは1/5〜5/1、特に好ましくは1/4〜4/1である。
更に、本発明において、ポリカーボネート樹脂100重量部に対する、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)とカプロラクトン系重合体(C)との合計配合量[(B+C)]は、耐衝撃性及び耐熱性のバランス維持の為、通常0.01〜18重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.5〜7重量部、特に好ましくは1.0〜3.0重量部である。
カプロラクトン系重合体(C)の数平均分子量(GPC測定)としては、好ましくは1,000〜100,000である。数平均分子量が1,000未満では耐熱性が不十分になりやすく、100,000を超えると加工性や透明性が低下しやすい。カプロラクトン系重合体の数平均分子量としては、透明性の点からより好ましくは、5,000〜50,000、更には10,000〜30,000である。分子量の高いカプロラクトン系重合体を用いると白化する場合があるが、これは、カプロラクトン系重合体がドメインを形成してマトリックス中に分散し、海島構造を形成する結果、海と島の屈折率に差があるためと考えられる。白化現象を防止し透明化を促進するためには、ポリカーボネート樹脂とカプロラクトン系重合体(C)との間でエステル交換反応を起こさせることが好ましく、そのためには、樹脂組成物中にエステル交換反応触媒を配合し、混練することが好ましい。
エステル交換反応触媒の具体例としては、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、無機酸または三フッ化ホウ素などのルイス酸等の酸性物質、水酸化ナトリウム、各種アミン類などの塩基性物質、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩等の金属塩、及び亜鉛、マンガン、コバルト、アンチモン、ゲルマニュウム、チタン、スズの化合物等が挙げられ、好ましくは、亜鉛、アンチモン、チタン、スズの化合物であり、中でもテトラアルキルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸第一スズ、三酸化アンチモンが好ましい。触媒を使用しなくてもエステル交換が進む場合もあるが、より確実にエステル交換反応を起こさせる為には、エステル交換反応触媒の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001〜0.2重量部である。配合量が0.001重量部未満であるとエステル交換反応の促進効果が不十分であり、0.2重量部を超えると着色などが生じやすい。エステル交換反応触媒の配合量は、より好ましくは0.005〜0.1重量部、更に好ましくは0.004〜0.08重量部である。
リン系安定剤(D):
本発明においては、ポリカーボネート樹脂組成物に更にリン系安定剤(D)を特定量配合することによって、熱安定性を改良できるので好ましい。リン系安定剤(D)としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
本発明においては、ポリカーボネート樹脂組成物に更にリン系安定剤(D)を特定量配合することによって、熱安定性を改良できるので好ましい。リン系安定剤(D)としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
また、アシッドホスフェートとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
リン系安定剤(D)として使用される亜リン酸エステルの中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、耐熱性が良好である事と加水分解しにくいという点で、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
リン系安定剤(D)は、2種類以上を混合して配合することができるが、リン系安定剤(D)の合計の配合率は、通常ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.2重量部である。0.01重量部未満では安定剤としての効果が不十分であり、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、また1.0重量部を越えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。
また、リン系安定剤(D)のスルホン酸ホスホニウム塩(A)(一般式(1))に対する合計の配合比率(D)/(A)(重量比)は0.5/100〜50/100であり、好ましくは1/100〜20/100であり、更に好ましくは2/100〜15/100であり、リン系安定剤(D)の芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)に対する配合比率(D)/(B)(重量比)は、成形時の熱劣化を防ぐ目的で、通常0.1/100〜1000/100であり、好ましくは1/100〜200/100であり、更に好ましくは2/100〜40/100である。
更に、リン系安定剤(D)のカプロラクトン系重合体(C)に対する配合比率(D)/(C)(重量比)は、成形時の熱劣化防止の為、通常1/500〜3/1であり、好ましくは1/100〜1/1であり、更に好ましくは1/15〜1/3である。
更に、リン系安定剤(D)のカプロラクトン系重合体(C)に対する配合比率(D)/(C)(重量比)は、成形時の熱劣化防止の為、通常1/500〜3/1であり、好ましくは1/100〜1/1であり、更に好ましくは1/15〜1/3である。
フェノール系酸化防止剤(E):
本発明においては、ポリカーボネート樹脂組成物に、更にフェノール性酸化防止剤(E)を特定量配合することによって、ポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度、透明性及び色相の悪化を防止する改良効果を有するので好ましい。本発明で使用できるフェノール系酸化防止剤(E)の中でも、下記一般式(2)で示される特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤を使用することによって、流動性、透明性、帯電防止性を維持しつつ、色相の悪化を防止し、機械的強度を改良できるので好ましい。
本発明においては、ポリカーボネート樹脂組成物に、更にフェノール性酸化防止剤(E)を特定量配合することによって、ポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度、透明性及び色相の悪化を防止する改良効果を有するので好ましい。本発明で使用できるフェノール系酸化防止剤(E)の中でも、下記一般式(2)で示される特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤を使用することによって、流動性、透明性、帯電防止性を維持しつつ、色相の悪化を防止し、機械的強度を改良できるので好ましい。
一般式(2)中のR6〜R8は、tert−ブチル基よりも嵩高くない置換基であり、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。本発明においては、水酸基の周辺の立体環境が嵩高くない構造であることが重要であり、R6〜R8としては、直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数2以下の基が好ましく、更にはメチル基又は水素原子であるのが好ましい。
また、本発明においては、R6及び/又はR7の置換基が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが、酸化防止効果を高めるという点で好ましい。
また、本発明においては、R6及び/又はR7の置換基が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが、酸化防止効果を高めるという点で好ましい。
前記一般式(2)で示される特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
中でも、ポリカーボネート樹脂と混練される際に耐熱性が必要となる点で、4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましく、特に、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
フェノール系酸化防止剤(E)は、2種類以上を混合して配合することができ、当該フェノール系酸化防止剤(E)の配合率は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して通常0.01〜1.0重量部であり、好ましくは0.03〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.2重量部の範囲である。0.01重量部未満では酸化防止剤としての効果が不十分となる傾向があり、また1.0重量部を越えると、過剰量となり逆にシルバーの発生や、色相の悪化が起こり易い傾向がある。
また、一般式(1)のスルホン酸ホスホニウム塩(A)に対する、フェノール系酸化防止剤(E)の配合比率(E)/(A)(重量比)は0.5/100〜50/100であり、好ましくは1/100〜20/100であり、更に好ましくは2/100〜15/100であり、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)に対するフェノール系酸化防止剤(E)の配合比率(E)/(B)(重量比)は、成形時の色相悪化を防ぐ為、通常0.1/100〜1000/100であり、好ましくは1/100〜200/100であり、更に好ましくは2/100〜40/100である。また、カプロラクトン系重合体(C)に対するフェノール系酸化防止剤(E)の配合比率(E)/(C)(重量比)は、成形時の熱劣化を防ぐ為、通常1/100〜3/1であり、好ましくは1/40〜1/1であり、更に好ましくは1/15〜1/2である。
本発明においては、フェノール系酸化防止剤(E)を、前述したリン系安定剤(D)と併用して配合することにより、帯電防止性を有するポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度、透明性、色相などの改良に著しい効果を生じるものである。リン系安定剤(D)に対するフェノール系酸化防止剤(E)の配合比率(E)/(D)(重量比)は25/100〜250/100、好ましくは50/100〜200/100であり、更に好ましくは75/100〜125/100である。
耐候性改良剤(F):
本発明においては、ポリカーボネート樹脂組成物の耐候性を改良する目的で、更に耐候性改良剤(F)を特定量配合することが好ましい。耐候性改良剤(F)としては、一般に、紫外線吸収剤や光安定剤として知られている化合物を使用でき、その作用としては、可視光線や紫外線の光エネルギーを吸収し熱エネルギー等に変換することにより無害化する機構、光化学作用により発生する前駆体を無害化する機構などが提唱されている。
本発明においては、ポリカーボネート樹脂組成物の耐候性を改良する目的で、更に耐候性改良剤(F)を特定量配合することが好ましい。耐候性改良剤(F)としては、一般に、紫外線吸収剤や光安定剤として知られている化合物を使用でき、その作用としては、可視光線や紫外線の光エネルギーを吸収し熱エネルギー等に変換することにより無害化する機構、光化学作用により発生する前駆体を無害化する機構などが提唱されている。
耐候性改良剤(F)としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、ベンゾエート系、トリアジン系、ヒンダードアミン系、シンナミル系などの様々な種類の化合物が挙げられ、これらの耐候性改良剤は、単独で使用しても二種以上を混合して使用してもよい。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸三水和物、ビス(2−ヒドロキシ−3−ベンゾイル−6−メトキシフェニル)メタン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−ラウリル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−クミルフェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−(2H−5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)オクタン、1,2−エタンジイルビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシベンゾエート)、1,12−ドデカンジイルビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゾエート)、1,3−シクロヘキサンジイルビス(3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシベンゾエート)、1,4−ブタンジイルビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルエタノエート)、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイルビス(3−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルエタノエート)、1,6−ヘキサンジイルビス(3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロピオネート)、p−キシレンジイルビス(3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシトルイル)マロネート、ビス(2−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル)エチル)テレフタレート、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−プロピルトルイル)オクタジオエート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドメチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドエチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドオクチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドメチル−4−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドメチル−4−クミルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(フタルイミドメチル)フェノール等が挙げられる。
サリチル酸エステル系化合物としては、例えば、フェニルサリチレート、2,4−ジターシャリーブチルフェニル3,5−ジターシャリーブチル4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシロキシフェノール等が挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシロキシフェノール等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
その他の耐候性改良剤としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルーオキサリック酸ビスアニリド、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
上述した耐候性改良剤の中でも、ポリカーボネートとの相溶性と物性への影響が少ない点からベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、中でも、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−クミルフェニル)メタン、2−(3,5−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが好ましく、特には、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが好ましい。
耐候性改良剤(F)の配合率は、該芳香族ポリカーボネート100重量部に対して0.01〜3.0重量部であり、好ましくは0.03〜1.0重量部、更に好ましくは0.1〜0.8重量部である。0.01重量部未満では効果が十分ではない傾向があり、3.0重量部を越えると射出成形時の金型汚染等が生じる傾向がある。当該耐候性改良剤は1種でも使用可能であるが、複数併用することもできる。
上述した芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)に対する耐候性改良剤(F)の配合比率(F)/(B)(重量比)は、通常0.1/100〜3000/100、好ましくは1/100〜300/100であり、更に好ましくは3/100〜160/100であり、カプロラクトン系重合体(C)に対する耐候性改良剤(F)の配合比率(F)/(C)(重量比)は、通常1/50〜5/1、好ましくは1/20〜2/1であり、更に好ましくは1/10〜1/1である。また、耐候性改良剤(F)は、フェノール性酸化防止剤(E)と併用して用いるのが好ましく、フェノール性酸化防止剤(E)に対する耐候性改良剤(F)の配合比率(F)/(E)(重量比)は、通常0.1〜20、好ましくは0.5〜10、更に好ましくは1.0〜5.0である。
本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、所望の特性を付与する他のポリマー、難燃剤、耐衝撃改良剤、可塑剤、離型剤、滑剤、相溶化剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、ブルーイング剤等の染料)、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、繊維状マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、セラミックウィスカー、マイカ、タルク、クレー、珪酸カルシウム等の補強剤、充填剤などの一種または二種以上を含有させてもよい。
上述した種々の添加剤の中でも、本発明においては、より効果的に着色を抑制するため、ブルーイング剤(G)、例えば三菱化学社製DAIRESIN BLUE G、好ましくはBayer社製MACROLEX BLUE RR、Bayer社製MACROLEX BLUE 3R、Bayer社製MACROLEX VIOLET 3R等のアントラキノン系のブルーイング剤を配合するのが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法としては、最終成形品を溶融成形する直前までの任意の段階で、当業者に周知の種々の方法によって、ポリカーボネート樹脂に前述したスルホン酸ホスホニウム塩(A)、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)、カプロラクトン系重合体(C)、及び必要に応じてリン系安定剤(D)、フェノール系酸化防止剤(E)、耐候性改良剤(F)を配合し、混練する方法が挙げられる。
配合方法としては、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を使用する方法、フィーダーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方法などが挙げられる。混練方法としては、一軸押出機、二軸押出機などを使用する方法が挙げられるが、帯電防止剤の分散性を高める為には、二軸押出機を使用する事がより好ましい。
配合方法としては、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を使用する方法、フィーダーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方法などが挙げられる。混練方法としては、一軸押出機、二軸押出機などを使用する方法が挙げられるが、帯電防止剤の分散性を高める為には、二軸押出機を使用する事がより好ましい。
さらに、本発明に使用されるスルホン酸ホスホニウム塩(A)(帯電防止剤)は室温で粘稠液体の場合もある事から、具体的に以下の方法で押出機に供給する事が出来る。
(1)スルホン酸ホスホニウム塩(A)を加温し、粘度を下げた上でポリカーボネート樹脂、芳香族ポリカーボネートオリゴマー、カプロラクトン系重合体及びその他の安定剤と一緒にスーパーミキサーなどを使用して配合した後、押出機に供給する方法。
(2)スルホン酸ホスホニウム塩(A)を加温し、粘度を下げた状態で液体供給装置を使用して、押出機へ直接供給する方法。スルホン酸ホスホニウム塩(A)以外の必要成分は事前に配合しておき、押出機内で帯電防止剤と混練する。
(3)スルホン酸ホスホニウム塩(A)を加温して、粘度を下げた上で、高濃度のスルホン酸ホスホニウム塩(A)とポリカーボネート樹脂とのマスター剤を作製する。その後、該マスター剤に、残りのポリカーボネート樹脂、芳香族ポリカーボネートオリゴマー、カプロラクトン系重合体、その他必要な添加剤を加えて、タンブラー、ヘンシェルミキサーなどを用いて全配合となる様に混合し、押出機へ供給する方法。
(1)スルホン酸ホスホニウム塩(A)を加温し、粘度を下げた上でポリカーボネート樹脂、芳香族ポリカーボネートオリゴマー、カプロラクトン系重合体及びその他の安定剤と一緒にスーパーミキサーなどを使用して配合した後、押出機に供給する方法。
(2)スルホン酸ホスホニウム塩(A)を加温し、粘度を下げた状態で液体供給装置を使用して、押出機へ直接供給する方法。スルホン酸ホスホニウム塩(A)以外の必要成分は事前に配合しておき、押出機内で帯電防止剤と混練する。
(3)スルホン酸ホスホニウム塩(A)を加温して、粘度を下げた上で、高濃度のスルホン酸ホスホニウム塩(A)とポリカーボネート樹脂とのマスター剤を作製する。その後、該マスター剤に、残りのポリカーボネート樹脂、芳香族ポリカーボネートオリゴマー、カプロラクトン系重合体、その他必要な添加剤を加えて、タンブラー、ヘンシェルミキサーなどを用いて全配合となる様に混合し、押出機へ供給する方法。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形品を溶融成形する方法は、特に限定されるものでなく、熱可塑性樹脂組成物について一般に用いられている溶融成形法、例えば、射出成形などを適用できるが、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、ガスアシスト射出成形、発泡成形、射出ブロー成形、高速射出成形、射出圧縮成形、インサート成形、インモールドコーティング成形、二色成形、サンドイッチ成形、断熱金型成形、急冷急過熱金型成形等の射出成形法を用いて成形品を得ることができる。また、各種射出成形法に使用される金型としては、ランナー部がコールドランナーまたはホットランナーで構成され、目的に応じて選択することができる。また、射出成形以外の溶融成形法としては、ブロー成形、フィルムやシート等の押出成形、異型押出成形、熱成形、回転成形等の何れをも適用出来る。
本発明により得られる成形品は、透明性、溶融混練時及び成形時における着色、流動性、耐熱性、機械的強度、帯電防止性に関し、総合的にバランスのとれた良好な性能を有するので、各種成形品、例えば、記録媒体の基板やカートリッジ、電気・電子・OA機器の各種部品、透明シートや透明フィルム等の建材、雑貨部品、パチンコ用部品(回路カバー、シャーシ、パチンコ玉ガイドなど)、医療用途や、窓ガラス、メーターカバー、ルームランプ、テールランプレンズ、ウィンカーランプ、ヘッドランプレンズ等の照明用又は車両用透明部材等の用途において有用であり、更には、照明用透明部材の用途に好適である。
以下、本発明について実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」は「重量部」を示し、使用する原材料、ポリカーボネート樹脂組成物製造法及び成形法、並びに物性評価法を次に示した。
〔原材料〕
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製/商品名ユーピロンS−1000(登録商標)/粘度平均分子量:26,000(表1〜3中、「PC−1」と略記する)。
(2)スルホン酸ホスホニウム塩:竹本油脂社製/商品名MEC−100/ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(表1〜3中、「帯電防止剤A−1」と略記する)。
(3)芳香族ポリカーボネートオリゴマー:三菱エンジニアリングプラスチックス社製/商品名PCオリゴマーAL071/粘度平均分子量:5,000(表1〜3中、「オリゴマーB−1」と略記する)。
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製/商品名ユーピロンS−1000(登録商標)/粘度平均分子量:26,000(表1〜3中、「PC−1」と略記する)。
(2)スルホン酸ホスホニウム塩:竹本油脂社製/商品名MEC−100/ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(表1〜3中、「帯電防止剤A−1」と略記する)。
(3)芳香族ポリカーボネートオリゴマー:三菱エンジニアリングプラスチックス社製/商品名PCオリゴマーAL071/粘度平均分子量:5,000(表1〜3中、「オリゴマーB−1」と略記する)。
(4)カプロラクトン系重合体:
(C−1)ダイセル化学社製/商品名プラクセルH1P/数平均分子量10,000(表1〜3中、「C−1」と略記する。)
(C−2)ダイセル化学社製/商品名プラクセルH5/数平均分子量50,000(表1〜3中、「C−2」と略記する。)
(C−3)ダイセル化学社製/商品名プラクセルH7/数平均分子量70,000(表1〜3中、「C−3」と略記する。)
(C−1)ダイセル化学社製/商品名プラクセルH1P/数平均分子量10,000(表1〜3中、「C−1」と略記する。)
(C−2)ダイセル化学社製/商品名プラクセルH5/数平均分子量50,000(表1〜3中、「C−2」と略記する。)
(C−3)ダイセル化学社製/商品名プラクセルH7/数平均分子量70,000(表1〜3中、「C−3」と略記する。)
(5)リン系安定剤:旭電化工業社製/商品名アデカスタブ2112/トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(表1〜3中、「リン系安定剤D−1」と略記する)。
(6)フェノール系酸化防止剤:旭電化工業社製/商品名アデカスタブAO−80/3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(表1〜3中、「酸化防止剤E−1」と略記する)。
(6)フェノール系酸化防止剤:旭電化工業社製/商品名アデカスタブAO−80/3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(表1〜3中、「酸化防止剤E−1」と略記する)。
(7)耐候性改良剤:シプロ化成社製/商品名SEESORB709/ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(表1〜3中、「耐候性改良剤F−1」と略記する)。
(8)ブルーイング剤:
全ての実施例及び比較例の樹脂組成物において、ブルーイング剤として、(G−1)ランクセス社製/商品名マクロレックス ブルーRRを0.00048部と、(G−2)ランクセス社製/商品名マクロレックス バイオレット3Rを0.00048部を配合した。
(8)ブルーイング剤:
全ての実施例及び比較例の樹脂組成物において、ブルーイング剤として、(G−1)ランクセス社製/商品名マクロレックス ブルーRRを0.00048部と、(G−2)ランクセス社製/商品名マクロレックス バイオレット3Rを0.00048部を配合した。
〔ポリカーボネート樹脂組成物の製造〕
ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造されたポリカーボネート樹脂100部に対して、スルホン酸ホスホニウム塩(A)(帯電防止剤)、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)、カプロラクトン系重合体(C)、リン系安定剤(D)、酸化防止剤(E)及び耐候性改良剤(F)(紫外線吸収剤)を、ブルーイング剤(G)と共に、表1〜3に示す配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練し、ペレットを得た。配合方法は、スルホン酸ホスホニウム塩(A)が室温では粘稠液体である為、これを事前に加温して粘度を下げ、その割合が10重量%となる様なポリカーボネート樹脂との予備混合物をスーパーミキサーで作製し、その後、表1〜3の成分組成となる様に、タンブラーブレンダーを用いて全原料を混合した。ベント式二軸押出機は日本製鋼所社製:TEX30XCT(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件はシリンダー温度280℃、吐出量25kg/h、スクリュー回転数200rpmとした。
ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造されたポリカーボネート樹脂100部に対して、スルホン酸ホスホニウム塩(A)(帯電防止剤)、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)、カプロラクトン系重合体(C)、リン系安定剤(D)、酸化防止剤(E)及び耐候性改良剤(F)(紫外線吸収剤)を、ブルーイング剤(G)と共に、表1〜3に示す配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練し、ペレットを得た。配合方法は、スルホン酸ホスホニウム塩(A)が室温では粘稠液体である為、これを事前に加温して粘度を下げ、その割合が10重量%となる様なポリカーボネート樹脂との予備混合物をスーパーミキサーで作製し、その後、表1〜3の成分組成となる様に、タンブラーブレンダーを用いて全原料を混合した。ベント式二軸押出機は日本製鋼所社製:TEX30XCT(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件はシリンダー温度280℃、吐出量25kg/h、スクリュー回転数200rpmとした。
〔樹脂組成物の成形〕
樹脂組成物のペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、名機製作所社製、M150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル60秒の条件で円板(1)(φ100mm×3.2mm)、及び、DTUL試験片(ASTM D−648に規定)を成形した。また、成形機のシリンダー内に樹脂組成物を10分間滞留させた後に円板(2)を成形し、滞留成形後の色相測定に使用した。
樹脂組成物のペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、名機製作所社製、M150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル60秒の条件で円板(1)(φ100mm×3.2mm)、及び、DTUL試験片(ASTM D−648に規定)を成形した。また、成形機のシリンダー内に樹脂組成物を10分間滞留させた後に円板(2)を成形し、滞留成形後の色相測定に使用した。
〔成形品の物性評価法〕
(1)色相:ASTM−E1925に準じ、日本電色工業社製の色差計(型式:SE−2000)を用いて、厚さ3.2mmの円板(1)の初期色相/YI、滞留成形前後の円板((1)と(2))の色相変化/△YIを測定した。△YI値が小さいほど色相変化が小さく、耐熱色相安定性に優れている事を示す。
(2)耐熱性(荷重撓み温度):ASTMD−648に準じ、荷重1.82MPa下において荷重撓み温度(DUTL:℃)を測定した。
(3)全光線透過率:厚さ3.2mmの円板(1)について、ASTM−D1003に準じて測定した。
(4)表面抵抗値:厚さ3.2mmの円板(1)について、ASTM−D257に準じて表面抵抗値を測定した。
(5)MFR(メルトフローレート):JIS K 7210に準拠して測定した。温度は300℃、荷重は1.2kgとした。
(1)色相:ASTM−E1925に準じ、日本電色工業社製の色差計(型式:SE−2000)を用いて、厚さ3.2mmの円板(1)の初期色相/YI、滞留成形前後の円板((1)と(2))の色相変化/△YIを測定した。△YI値が小さいほど色相変化が小さく、耐熱色相安定性に優れている事を示す。
(2)耐熱性(荷重撓み温度):ASTMD−648に準じ、荷重1.82MPa下において荷重撓み温度(DUTL:℃)を測定した。
(3)全光線透過率:厚さ3.2mmの円板(1)について、ASTM−D1003に準じて測定した。
(4)表面抵抗値:厚さ3.2mmの円板(1)について、ASTM−D257に準じて表面抵抗値を測定した。
(5)MFR(メルトフローレート):JIS K 7210に準拠して測定した。温度は300℃、荷重は1.2kgとした。
(1)実施例と比較例1を比べると、カプロラクトン系重合体(C)を配合すると、高い耐熱性、透明性、帯電防止性および流動性を維持しつつ、滞留成形前後の色相変化を小さく抑制できることが分かる。
(2)実施例と比較例2〜4を比べると、カプロラクトン系重合体(C)の配合量が8重量部以下であると、滞留成形後の色相、耐熱性、透明性及び帯電防止性のすべてについて総合的にバランスのとれた良好な性能を示すことが分かる。
(3)実施例2、7、10と比較例5〜7を比べると、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを配合することによって、MFRが20g/10分となり、他の特性と併せて、総合的
にバランスのとれた良好な性能を示すことが分かる。
(2)実施例と比較例2〜4を比べると、カプロラクトン系重合体(C)の配合量が8重量部以下であると、滞留成形後の色相、耐熱性、透明性及び帯電防止性のすべてについて総合的にバランスのとれた良好な性能を示すことが分かる。
(3)実施例2、7、10と比較例5〜7を比べると、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを配合することによって、MFRが20g/10分となり、他の特性と併せて、総合的
にバランスのとれた良好な性能を示すことが分かる。
Claims (6)
- ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、
下記一般式(1)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩(A)0.1〜5.0重量部、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)0.1〜10重量部、カプロラクトン系重合体(C)0.01〜8重量部、を配合してなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂100重量部に対する、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(B)とカプロラクトン系重合体(C)との合計配合量[(B+C)]が、0.01〜18重量部である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- リン系安定剤(D)を、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜1.0重量部配合する請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 下記一般式(2)で示される構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤(E)を、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜1.0重量部配合する請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 耐候性改良剤(F)を、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜3.0重量部配合する請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を溶融成形してなることを特徴とする成形品。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009107286A (ja) * | 2007-10-31 | 2009-05-21 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法及び成形品 |
JP2010006920A (ja) * | 2008-06-26 | 2010-01-14 | Sumitomo Dow Ltd | ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 |
JP2010099833A (ja) * | 2008-10-21 | 2010-05-06 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法およびその成形体 |
WO2016199783A1 (ja) * | 2015-06-08 | 2016-12-15 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及び光学成形品 |
-
2006
- 2006-06-07 JP JP2006158517A patent/JP2007023264A/ja not_active Withdrawn
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