JP2006143886A - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】
透明性や機械的強度に優れ、しかも、溶融混練時及び成形時、さらには成形後に長時間高温下で使用される環境において、黄色ないし褐色に着色する問題が抑制された帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品を提供する。
【解決手段】
ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(A)一般式(1)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩0.1〜5.0重量部、(B)リン系安定剤0.01〜1.0重量部、及び(C)一般式(2)で示される構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤0.01〜1.0重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、透明性や帯電防止性を維持しつつ、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度にも優れるポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、機械的強度、耐熱性、透明性等に優れた樹脂として電気・電子・OA機器の各種部品、自動車部品、建材、医療用途、雑貨等の分野で幅広く用いられている。しかし、ポリカーボネート樹脂は表面抵抗率が高いので、接触や摩擦等で発生した静電気が消滅し難く、成形品表面にゴミや塵が付着して外観や透明性を損ない、さらに、人体への電撃による不快感、ノイズの発生や機器の誤作動等の問題がある。このため、ポリカーボネート樹脂本来の特性を損なうことなく、表面抵抗率を下げて、帯電防止性を付与したポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品の提供が強く求められている。
従来、ポリカーボネート樹脂の帯電防止方法として導電性カーボンブラックやカーボンファイバーの配合が知られているが、この方法では黒色不透明になり、用途が著しく制限される。黒色以外の着色用途にはアルカリ金属やアルカリ土類金属のスルホン酸化合物等の帯電防止剤が使用されるが、黄色ないし褐色不透明になり、しかもポリカーボネート樹脂の分解が生じやすく、機械的強度を損なうという問題があった。
その他の帯電防止性を有するポリカーボネート樹脂組成物としては、ポリカーボネート樹脂にスルホン酸ホスホニウム塩と亜燐酸エステルを配合した樹脂組成物(特許文献1)が提案されているが、成形時に黄色ないし褐色に着色する問題が解決されていなかった。この特許文献1には、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤を配合できることが開示されているが、その具体的な化合物は示されていない。
また、ポリカーボネート樹脂に特定のスルホン酸塩及びホスファイト系酸化防止剤を各々特定量配合してなるポリカーボネート樹脂組成物(特許文献2)や、ポリカーボネート樹脂にベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、並びに有機酸、亜燐酸および燐酸からなる群より選択された少なくとも一種の化合物を配合したポリカーボネート樹脂組成物(特許文献3)、更には、ポリカーボネート樹脂、並びにスルホン酸塩基を有するポリエーテルエステル及び/又はスルホン酸塩基を有するポリエステル、低分子量スルホン酸塩を含んでなるポリカーボネート樹脂組成物(特許文献4)が提案されているが、いずれも溶融混練時及び成形時において、黄色ないし褐色に着色する問題を十分に解決するには至らず、実用性の低いものであった。
この特許文献2〜4においては、フェノール系酸化防止剤として、フェノール性水酸基に対してオルト位に嵩高い置換基が存在する種々のヒンダードフェノール系化合物が例示されているが、具体的に実施例において使用されているのは、水酸基に対して両隣のオルト位にいずれも嵩高いtert−ブチル基が存在する立体障害性の大きいヒンダードフェノール系化合物のみである。特に、特許文献2においては、フェノール系酸化防止剤として、このような立体障害性の大きいヒンダードフェノール系化合物が好ましく配合できると記載されているが、立体障害性の小さいヒンダードフェノール系化合物を用いた方が、着色が抑制され、機械的強度に優れた成形品が得られることについては、何ら開示されていない。
以上のように、透明性や帯電防止性を維持しつつ、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度にも優れるポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品が求められていた。
特開昭64−14267号公報 特開平6−57118号公報 特開2003−96291号公報 特開2004−161980号公報
本発明の目的は、透明性や帯電防止性を維持しつつ、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度にも優れるポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に、(A)スルホン酸ホスホニウム塩、(B)リン系安定剤、及び(C)フェノール系酸化防止剤を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物において、フェノール系酸化防止剤として、水酸基のオルト位に存在する置換基の嵩高さが、酸化防止効果に影響を与えることを見出した。すなわち、(C)特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤を使用することにより、透明性や帯電防止性を維持しつつ、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、また、機械的強度にも優れる成形品が得られることを見出して、本発明を完成した。
本発明において、フェノール系酸化防止剤の分子内の特定の構造とは、フェノール性水酸基の一方のオルト位にはtert−ブチル基を有し、他方のオルト位には、tert−ブチル基よりも嵩高くない置換基である、炭素数1〜3のアルキル基を有する構造であり、本発明の(C)フェノール系酸化防止剤は、このような特定の構造を有する立体障害性の小さいヒンダードフェノール系化合物である。
一方、上述した従来技術においては、フェノール系酸化防止剤の中でも、特にフェノール性水酸基に対して両隣のオルト位にいずれも嵩高いtert−ブチル基が存在する立体障害性の大きいヒンダードフェノール系化合物が好ましく使用されていたことを考慮すると本発明の意義は大きい。
すなわち、本発明の要旨は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、
(A)下記一般式(1)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩0.1〜5.0重量部、
Figure 2006143886
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、R〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じでも異なっていてもよい。)
(B)リン系安定剤0.01〜1.0重量部、及び
(C)下記一般式(2)で示される構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤0.01〜1.0重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を溶融成形してなることを特徴とする成形品、に存する。
Figure 2006143886
(一般式(2)中、R〜Rは、各々独立して水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、t−Buは、tert−ブチル基を示す。)
本発明により、透明性や帯電防止性を維持しつつ、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度にも優れるポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
ポリカーボネート樹脂
本発明のポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートを用いることができるが、中でも芳香族ポリカーボネートが好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンと反応させる界面重合法(ホスゲン法)、又は炭酸ジエステルと反応させる溶融法(エステル交換法)により得られる樹脂であり、直鎖状又は分岐状の熱可塑性重合体又は共重合体である。また、溶融法で製造することにより、末端基のOH基量が調整された樹脂であってもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、難燃性を更に高める目的で、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物、及び/又はシロキサン構造を有し、両末端にフェノール性水酸基を含有するポリマー又はオリゴマーを使用することができる。
また、分岐状の芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を以下の化合物、即ちフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いることができ、具体的には、mー及p−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂、又はビスフェノールAと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。更に、本発明のポリカーボネート樹脂は、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した値で、好ましくは13000〜40000、より好ましくは14000〜30000、最も好ましくは15000〜29000である。粘度平均分子量が13000未満であると衝撃強度等の機械的強度が不足し、40000を越えると流動性が低下する傾向がある。
(A)スルホン酸ホスホニウム塩
本発明において使用される(A)スルホン酸ホスホニウム塩は、ポリカーボネート樹脂に帯電防止性を付与する目的で使用され、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2006143886
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、R〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じでも異なっていてもよい。)
前記一般式(1)で示される(A)スルホン酸ホスホニウム塩は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.1〜5.0重量部配合されるが、好ましくは0.5〜4.5重量部、更に好ましくは1.0〜4.0重量部、特に好ましくは1.5〜3.5重量部である。0.1重量部未満では、帯電防止の効果は得られず、5.0重量部を越えると透明性や機械的強度が低下し、成形品表面にシルバーや剥離が生じて外観不良を引き起こし易い。
前記一般式(1)中のRは、炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であるが、透明性や耐熱性、ポリカーボネート樹脂への相溶性の観点からアリール基の方が好ましく、炭素数1〜34、好ましくは5〜20、特に、10〜15のアルキル基で置換されたアルキルベンゼン又はアルキルナフタリン環から誘導される基が好ましい。また、一般式(1)中のR〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であるが、好ましくは炭素数2〜8のアルキルであり、更に好ましくは3〜6のアルキル基であり、特に、ブチル基が好ましい。
本発明の(A)スルホン酸ホスホニウム塩の具体例としては、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルオクチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、ジブチルベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム、ジブチルナフチルスルホン酸トリフェニルホスホニウム、ジイソプロピルナフチルスルホン酸トリオクチルメチルホスホニウム等が挙げられる。中でも、ポリカーボネートとの相溶性及び入手が容易な点で、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムが好ましい。
(B)リン系安定剤
本発明で使用される(B)リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
また、アシッドホスフェートとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
本発明の(B)リン系安定剤として使用される亜リン酸エステルの中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、耐熱性が良好である事と加水分解しにくいという点で、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
本発明の(B)リン系安定剤は、2種類以上を混合して配合することができるが、(B)リン系安定剤の合計の配合率は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.2重量部の範囲で配合される。0.01重量部未満では熱安定剤としての効果が不十分であり、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、また1.0重量部を越えると、過剰量となり分子量の低下、色相悪化が更に起こりやすくなる。
また、(B)リン系安定剤の(A)スルホン酸ホスホニウム塩(一般式(1))に対する合計の配合率(重量比)は0.5/100〜50/100であり、好ましくは1/100〜20/100であり、更に好ましくは2/100〜15/100である。
(C)フェノール系酸化防止剤
本発明で使用される(C)フェノール系酸化防止剤は、下記一般式(2)で示される特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤である。
Figure 2006143886
(一般式(2)中、R〜Rは、各々独立して水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、t−Buは、tert−ブチル基を示す。)
一般式(2)中のR〜Rは、tert−ブチル基よりも嵩高くない置換基であり、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。本発明においては、水酸基の周辺の立体環境が嵩高くない構造であることが重要であり、R〜Rとしては、直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数2以下の基が好ましく、更にはメチル基又は水素原子であるのが好ましい。
また、本発明においては、R及び/又はRの置換基が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが、酸化防止効果を高めるという点で好ましい。
前記一般式(2)で示される特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
中でも、ポリカーボネート樹脂と混練される際に耐熱性が必要となる点で、4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましく、特に、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
本発明の(C)特定のフェノール系酸化防止剤は、2種類以上を混合して配合することができ、当該(C)フェノール系酸化防止剤の配合率は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部であり、好ましくは0.03〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.2重量部の範囲で配合される。0.01重量部未満では酸化防止剤としての効果が不十分であり、成形時の分子量低下や色相悪化が起こりやすく好ましくなく、また1.0重量部を越えると、過剰量となり逆に成形時や高温下での長時間使用により色相変化が起こり好ましくない。また、(A)一般式(1)スルホン酸ホスホニウム塩に対する、本発明の特定の(C)フェノール系酸化防止剤の配合率(重量比)は0.5/100〜50/100であり、好ましくは1/100〜20/100であり、更に好ましくは2/100〜15/100である。
本発明においては、上述した特定の(C)フェノール系酸化防止剤を、前述した(B)リン系安定剤と併用して配合することにより、帯電防止性を有するポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度、透明性、色相などの改良に著しく効果を生じるものである。(B)リン系安定剤に対する本発明の特定の(C)フェノール系酸化防止剤の配合率(重量比)は25/100〜250/100、好ましくは50/100〜200/100であり、更に好ましくは75/100〜125/100である。
本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品は、透明性や帯電防止性を維持しつつ、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度にも優れるという性能を有する。このような性能は、ポリカーボネート樹脂と(A)前記一般式(1)のスルホン酸ホスホニウム塩に、(B)リン系安定剤または(C)前記一般式(2)で示される特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤の何れか一方だけを配合しても達成されず、(B)と(C)をそれぞれ特定量併用することにより初めて達成されるものである。
(D)耐候性改良剤
本発明の(D)耐候性改良剤としては、一般に、紫外線吸収剤や光安定剤として知られている化合物を使用でき、その作用としては、可視光線や紫外線の光エネルギーを吸収し熱エネルギー等に変換することにより無害化する機構、光化学作用により発生する前駆体を無害化する機構などが提唱されている。
本発明の耐候性改良剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、ベンゾエート系、トリアジン系、ヒンダードアミン系、シンナミル系などの様々な種類の化合物が挙げられ、これらの耐候性改良剤は、単独で使用しても二種以上を混合して使用してもよい。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸三水和物、ビス(2−ヒドロキシ−3−ベンゾイル−6−メトキシフェニル)メタン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−ラウリル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−クミルフェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−(2H−5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)オクタン、1,2−エタンジイルビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシベンゾエート)、1,12−ドデカンジイルビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゾエート)、1,3−シクロヘキサンジイルビス(3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシベンゾエート)、1,4−ブタンジイルビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルエタノエート)、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイルビス(3−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルエタノエート)、1,6−ヘキサンジイルビス(3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロピオネート)、p−キシレンジイルビス(3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシトルイル)マロネート、ビス(2−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル)エチル)テレフタレート、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−プロピルトルイル)オクタジオエート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドメチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドエチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドオクチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドメチル−4−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドメチル−4−クミルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(フタルイミドメチル)フェノール等が挙げられる。
サリチル酸エステル系化合物としては、例えば、フェニルサルチレート、2,4−ジターシャリーブチルフェニル3,5−ジターシャリーブチル4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシロキシフェノール等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
その他の耐候性改良剤としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルーオキサリック酸ビスアニリド、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
上述した耐候性改良剤の中でも、ポリカーボネートとの相溶性と物性への影響が少ない点からベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、中でも、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−クミルフェニル)メタン、2−(3,5−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが好ましく、特には、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが好ましい。
本発明における(D)耐候性改良剤の配合率は、該芳香族ポリカーボネート100重量部に対して0.01〜3.0重量部であり、好ましくは0.03〜1.0重量部、更に好ましくは0.1〜0.8重量部である。0.01重量部未満では効果が十分ではない傾向があり、3.0重量部を越えると射出成形時の金型汚染等が生じる傾向がある。当該耐候性改良剤は1種でも使用可能であるが、複数併用することもできる。また、上述した本発明の(C)特定の酸化防止剤に対する(D)耐候性改良剤の配合率(重量比)は、通常0.1〜20であるが、好ましくは0.5〜10であり、更に好ましくは1.0〜5.0である。
本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、所望の特性を付与する他のポリマー、難燃剤、耐衝撃改良剤、可塑剤、離型剤、滑剤、相溶化剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、ブルーイング剤等の染料)、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、繊維状マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、セラミックウィスカー、マイカ、タルク、クレー、珪酸カルシウム等の補強剤、充填剤などの一種または二種以上を含有させてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法としては、最終成形品を溶融成形する直前までの任意の段階で、当業者に周知の種々の方法によって、ポリカーボネート樹脂に前述した本発明の(A)スルホン酸ホスホニウム塩、(B)リン系安定剤、及び(C)特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤、さらに(D)耐候性改良剤を配合し、混練する方法が挙げられる。
配合方法としては、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を使用する方法、フィーダーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方法などが挙げられる。混練方法としては、一軸押出機、二軸押出機などを使用する方法が挙げられるが、帯電防止剤の分散性を高める為には、二軸押出機を使用する事がより好ましい。
さらに、本発明に使用される(A)スルホン酸ホスホニウム塩(帯電防止剤)は室温で粘調液体の場合もある事から、具体的に以下の方法で押出機に供給する事が出来る。
(1)(A)スルホン酸ホスホニウム塩を加温し、粘度を下げた上でポリカーボネート樹脂及びその他の安定剤と一緒にスーパーミキサーなどを使用して配合した後、押出機に供給する方法。
(2)(A)スルホン酸ホスホニウム塩を加温し、粘度を下げた状態で液体供給装置を使用して、押出機へ直接供給する方法。(A)以外の必要成分は事前に配合しておき、押出機内で帯電防止剤と混練する。
(3)(A)スルホン酸ホスホニウム塩を加温して、粘度を下げた上で、高濃度の(A)とポリカーボネート樹脂とのマスター剤を作製する。その後、該マスター剤を独立に又は残りのポリカーボネート樹脂、その他必要な添加剤を加えて、タンブラー、ヘンシェルミキサーなどを用いて全配合となる様に混合し、押出機へ供給する方法。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形品を溶融成形する方法は、特に限定されるものでなく、熱可塑性樹脂組成物について一般に用いられている溶融成形法、例えば、射出成形などを適用できるが、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、ガスアシスト射出成形、発泡成形、射出ブロー成形、高速射出成形、射出圧縮成形、インサート成形、インモールドコーティング成形、二色成形、サンドイッチ成形、断熱金型成形、急冷急過熱金型成形等の射出成形法を用いて成形品を得ることができる。また、各種射出成形法に使用される金型としては、ランナー部がコールドランナーまたはホットランナーで構成され、目的に応じて選択することができる。また、射出成形以外の溶融成形法としては、ブロー成形、フィルムやシート等の押出成形、異型押出成形、熱成形、回転成形等の何れをも適用出来る。
本発明により得られる成形品は、透明性や帯電防止性を維持しつつ、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度にも優れるので、各種成形品、例えば、記録媒体の基板やカートリッジ、電気・電子・OA機器の各種部品、透明シートや透明フィルム等の建材、雑貨部品、パチンコ用部品(回路カバー、シャーシ、パチンコ玉ガイドなど)、医療用途や、窓ガラス、メーターカバー、ルームランプ、テールランプレンズ、ウィンカーランプ、ヘッドランプレンズ等の車両用透明部材等の用途において有用である。
以下、本発明について実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」は「重量部」を示し、使用する原材料、ポリカーボネート樹脂組成物製造法及び成形法、並びに物性評価法を次に示した。
〔原材料〕
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製/商品名ユーピロンS−1000/粘度平均分子量:26,000(表1及び表2中、「PC−1」と略記する)。
(2)芳香族ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製/商品名ユーピロンE−2000/粘度平均分子量:28,000(表1及び表2中、「PC−2」と略記する)。
(3)スルホン酸ホスホニウム塩:竹本油脂(株)社製/商品名MEC−100/ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(表1及び表2中、「帯電防止剤A−1」と略記する)。
(4)リン系安定剤:旭電化工業社製/商品名アデカスタブ2112/トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(表1及び表2中、「リン系安定剤B−1」と略記する)。
(5)リン系安定剤:亜リン酸(ホスホン酸) 和光純薬工業(株)社製(表1及び表2中、「リン系安定剤B−2」と略記する)。
(6)フェノール系酸化防止剤C−1:旭電化工業社製/商品名アデカスタブAO−80/3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(表1及び表2中、「酸化防止剤C−1」と略記する)。
(7)フェノール系酸化防止剤C−2:旭電化工業社製/商品名アデカスタブAO−30/1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(表1及び表2中、「酸化防止剤C−2」と略記する)。
(8)比較例用フェノール系酸化防止剤C−3:チバ・ガイギー社製/商品名イルガノックス1076/オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(表1及び表2中、「酸化防止剤C−3」と略記する)。
(9)比較例用フェノール系酸化防止剤C−4:チバ・ガイギー社製/商品名イルガノックス1010/ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](表1及び表2中、「酸化防止剤C−4」と略記する)。
(10)耐候性改良剤D:シプロ化成(株)社製/商品名SEESORB709/ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(表1及び表2中、「耐候性改良剤D」と略記する)。
〔ポリカーボネート樹脂組成物の製造〕
ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造されたポリカーボネート樹脂100部に対して、(A)スルホン酸ホスホニウム塩(帯電防止剤)、(B)リン系安定剤、(C)酸化防止剤及び(D)耐候性改良剤(紫外線吸収剤)を表1に示す配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練し、ペレットを得た。配合方法は、(A)スルホン酸ホスホニウム塩が室温では粘調液体である為、(A)を事前に加温して粘度を下げ、(A)の割合が10重量%となる様なポリカーボネート樹脂との予備混合物をスーパーミキサーで作製し、その後、表1の成分組成となる様に、タンブラーブレンダーを用いて全原料を混合した。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30XCT(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件はシリンダー温度280℃、吐出量25kg/h、スクリュー回転数200rpmとした。
〔樹脂組成物の成形〕
樹脂組成物のペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、名機製作所(株)製、M150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル60秒の条件で円板(1)(φ100mm×3.2mm)、及び、アイゾット衝撃試験片(ASTM D−256に規定)を成形した。また、成形機のシリンダー内に樹脂組成物を10分間滞留させた後に円板(2)を成形し、滞留成形後の色相測定に使用した。更に、上記の円板(1)を120℃、500時間熱エージングさせた後の円板を円板(3)とし、熱エージング後の色相測定に使用した。
〔成形品の物性評価法〕
(1)色相:ASTM−E1925に準じ、日本電色工業社製の色差計(型式:SE−2000)を用いて、厚さ3.2mmの円板(1)の初期色相/YI、滞留成形前後の円板((1)と(2))の色相変化/ΔYI、熱エージング前後の円板((1)と(3))の色相変化/ΔYIを測定した。△YI値が小さいほど色相変化が小さく、耐熱色相安定性に優れている事を示す。
(2)全光線透過率:厚さ3.2mmの円板(1)について、ASTM−D1003に準じて測定した。
(3)アイゾット衝撃強度:ASTM D−256に準じ、1/8インチノッチ付アイゾット衝撃強度を測定した。
(4)表面抵抗値:厚さ3.2mmの円板(1)について、ASTM−D257に準じて表面抵抗値を測定した。
Figure 2006143886
Figure 2006143886

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、
    (A)下記一般式(1)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩0.1〜5.0重量部、
    Figure 2006143886
    (一般式(1)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、R〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じでも異なっていてもよい。)
    (B)リン系安定剤0.01〜1.0重量部、及び
    (C)下記一般式(2)で示される構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤0.01〜1.0重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2006143886
    (一般式(2)中、R〜Rは、各々独立して水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、t−Buは、tert−ブチル基を示す。)
  2. 一般式(2)中のRが、水素原子又はメチル基である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 一般式(2)中のRが、水素原子又はメチル基である請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. (B)リン系安定剤が、亜リン酸エステルである請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. (D)耐候性改良剤を、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜3.0重量部配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を溶融成形してなることを特徴とする成形品。
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