JP5332496B2 - 帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法およびその成形体 - Google Patents

帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法およびその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法およびその成形体に関する。さらに詳しくは、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下でも、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度や透明性を著しく低下させることなく、流動性を向上させ、耐熱性も良好な帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法およびその成形体に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、機械的強度、耐熱性、透明性等に優れた樹脂として電気・電子・OA機器の各種部品、自動車部品、建材、医療用途、雑貨等の分野で幅広く用いられている。しかし、ポリカーボネート樹脂は表面抵抗率が高いので、接触や摩擦等で発生した静電気が消滅し難く、成形品表面にゴミや塵が付着して外観や透明性を損ない、さらに、人体への電撃による不快感、ノイズの発生や機器の誤作動等の問題がある。このため、ポリカーボネート樹脂本来の特性を損なうことなく、表面抵抗率を下げて、帯電防止性を付与したポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品の提供が強く求められている。
従来、帯電防止性を有するポリカーボネート樹脂組成物としては、ポリカーボネート樹脂にスルホン酸ホスホニウム塩、亜リン酸エステル及びカプロラクトン系重合体を配合した樹脂組成物(特許文献1)や、ポリカーボネート樹脂にホスホニウム塩等の帯電防止剤とポリカプロラクトンを配合した樹脂組成物(特許文献2)等が提案されている。しかし、それらの特許文献による樹脂組成物では、流動性のバラツキが大きく、安定した成形が困難で、溶融混練時及び成形時において、黄色ないし褐色への着色が生じ、また、機械的強度及び帯電防止性が低下するという問題があった。これは、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高いため、樹脂組成物の溶融混練温度や溶融成形温度が高くなり、その結果、樹脂組成物の熱分解が顕著になるためと考えられる。
また、特許文献3には、ポリカーボネート樹脂にポリカーボネートオリゴマーを1〜60wt%配合してなるポリカーボネート樹脂光学成形品が提案され、特許文献4には、ポリカーボネート樹脂に分子量が2000〜5000のポリカーボネートオリゴマーを少なくとも10重量%含有する樹脂が提案されている。しかし、これらの文献には、光学成形品用途の場合に、オリゴマーを配合することが流動性に影響を与えることが記載されているのみである。
さらに、特許文献5には、帯電防止剤を含有するポリカーボネート樹脂組成物から成形品を成形する方法において、成形時の成形機の樹脂温度が290〜330℃、および金型温度が60〜90℃の条件で成形することを特徴とする帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物の成形方法が提案されているが、帯電防止性の改良効果は限定的で、黄色ないし褐色への着色やヤケゴミが発生し易いという欠点があった。
特許文献6では、押出成形されたポリカーボネート樹脂の黄変(黄着色)を抑制するために、成形用樹脂を貯留するためのホッパー内に窒素を連続的に多量に供給し、ホッパー内の酸素濃度を0.1%未満にすることが記載されている。
また、特許文献7には、色相安定性を高めるために、押出機の混練部にポリカーボネート樹脂100gに対し、窒素ガスを0.1〜20NL(ノルマルリットル)供給することが記載されているが、これらのように窒素ガスを多量に使用することは、コスト高の原因にもなり、好ましくない。
特許文献8には、射出シリンダーに付設された熱可塑性樹脂供給用ホッパー内に窒素ガスを供給して該ホッパー内の酸素濃度を制御することにより、成形品の黄変を防止することが記載されているが、ホッパー内の酸素濃度レベルをどの程度にするかについての記載はない。
ポリカーボネート樹脂の大きな市場のひとつであるCD,DVDのようなメディアは、350℃を超える高温で射出成形されているが、5秒サイクル以下であり滞留の影響は少ないにも拘らず色相は黄色透明である。しかしながら読み取りはレーザーであるため、その色相は問題にならない。メディアに関しては色相よりも射出成形によって異物が増加しないことが望まれている。
これらの対策として、射出成形機のスクリュー本体及び逆流防止リング周辺部材表面にSiC、TiC、TiN,WSよりなる皮膜を設けることが特許文献9に開示されている。
また、射出成形機シリンダー内壁にCo−Ni−Mo−Crからなる合金ライニングを行うとともに、スクリュー表面にTiCとTiNの2層コーティングを行うことが特許文献10に開示されている。
このように皮膜(コーティング)を設けることにより、成形機内の滞留による焼けや炭化物が発生しにくくなったり、非付着性であるために剥離しやすくなったりする。この結果、光ディスクで問題視されている異物を低減させることができる。
これらの文献は、ポリカーボネートと非付着性の皮膜を設けることにより、焼けによる異物の発生を防止することを開示するが、黄色透明の色相改善に対しては何ら言及していない。
特許文献11および特許文献12には、射出成形用シリンダーやスクリューに剥離性や摩擦抵抗低減処理用としてフッ素樹脂やフルオロカーボン分散メッキ、TiNをコーティングすることが開示されているが、これらの文献も上記文献と同様に、剥離性に優れた皮膜を形成することにより異物低減を図るものである。これらの文献にも、ポリカーボネート樹脂の黄変対策は言及されていない。
特開平9−194711号公報 特開2006−257177号公報 特開昭61−123658号公報 特開平9−208684号公報 特開2002−144393号公報 特開平8−132437号公報 特開平9−59367号公報 特開2001−341164号公報 特開平4−208428号公報 特開平2−276039号公報 特開平7−178781号公報 特開2002−86520号公報
本発明の目的は、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度や透明性を著しく低下させることなく、流動性を向上させ、特に耐熱性も含めて総合的にバランスのとれた良好な性能を有する帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法およびその成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を特定の条件で製造することにより、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度や透明性を著しく低下させることなく、安定した帯電防止性を有する成形体を成形できることを見出して本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は、帯電防止剤(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物(H)のペレットを、供給部、圧縮部、計量部、およびヘッド部を有する成形装置内で溶融して成形する帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法において、該成形装置がスクリューとホッパーを有し、該スクリューの表面に、TiSiN、CrSiN、AlCrSiN、及びAlZrSiNよりなる群から選択された少なくとも一種の皮膜が形成されており、かつ該ホッパー内の酸素濃度が2000ppm以下であることを特徴とする、帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法、およびその方法から成形される帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体である。
本発明の製造方法により製造された成形体は、溶融混練時、成形時及び長時間高温下で使用される環境下においても、黄色や褐色への着色が抑制され、機械的強度、透明性、耐熱性を著しく低下させることなく、安定した帯電防止性を有するので、各種成形品、例えば、記録媒体の基板やカートリッジ、電気・電子・OA機器の各種部品、透明シートや透明フィルム等の建材、雑貨部品、パチンコ用部品(回路カバー、シャーシ、パチンコ玉ガイドなど)、医療用途や、窓ガラス、メーターカバー、ルームランプ、テールランプレンズ、ウィンカーランプ、ヘッドランプレンズ等の照明用又は車両用透明部材等の用途において有用であり、更には、照明用透明部材の用途に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
ポリカーボネート樹脂(A)
本発明に関わるポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートを用いることができるが、中でも芳香族ポリカーボネートが好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンと反応させる界面重合法(ホスゲン法)、又は炭酸ジエステルと反応させる溶融法(エステル交換法)により得られる樹脂であり、直鎖状又は分岐状の熱可塑性重合体又は共重合体である。また、溶融法で製造することにより、末端基のOH基量が調整された樹脂であってもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、難燃性を更に高める目的で、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物、及び/又はシロキサン構造を有し、両末端にフェノール性水酸基を含有するポリマー又はオリゴマーを使用することができる。
また、分岐状の芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を以下の化合物、即ちフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いることができ、具体的には、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂、又はビスフェノールAと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。更に、本発明のポリカーボネート樹脂は、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した値で、好ましくは13,000〜40,000、より好ましくは14,000〜30,000、最も好ましくは15,000〜29,000である。粘度平均分子量が13,000未満であると衝撃強度等の機械的強度が不足し、40,000を越えると流動性が低下する傾向がある。
帯電防止剤(B)
本発明に関わる帯電防止剤(B)は特に限定されないが、好ましくは下記一般式(1)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩(b)である。
Figure 0005332496
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、置換基を有していても良く、R〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じでも異なっていてもよい。)
前記一般式(1)で示されるスルホン酸ホスホニウム塩(b)は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、0.1〜5.0重量部配合されるが、好ましくは0.2〜3.0重量部、更に好ましくは0.3〜2.0重量部、特に好ましくは0.5〜1.8重量部である。0.1重量部未満では、帯電防止の効果は得られず、5.0重量部を越えると透明性や機械的強度が低下し、成形品表面にシルバーや剥離が生じて外観不良を引き起こし易い。
前記一般式(1)中のRは、炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であるが、透明性や耐熱性、ポリカーボネート樹脂への相溶性の観点からアリール基の方が好ましく、炭素数1〜34、好ましくは5〜20、特に、10〜15のアルキル基で置換されたアルキルベンゼン又はアルキルナフタリン環から誘導される基が好ましい。また、一般式(1)中のR〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であるが、好ましくは炭素数2〜8のアルキルであり、更に好ましくは3〜6のアルキル基であり、特に、ブチル基が好ましい。
本発明のスルホン酸ホスホニウム塩(b)の具体例としては、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルオクチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、ジブチルベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム、ジブチルナフチルスルホン酸トリフェニルホスホニウム、ジイソプロピルナフチルスルホン酸トリオクチルメチルホスホニウム等が挙げられる。中でも、ポリカーボネートとの相溶性及び入手が容易な点で、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムが好ましい。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)
本発明に関わる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物には、上述したスルホン酸ホスホニウム塩(b)等の帯電防止剤(B)の他に、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)を特定量配合することが好ましい。芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)の配合により、透明性、溶融混練時及び成形時における着色、流動性、耐熱性、機械的強度、帯電防止性等、総合的にバランスのとれた良好な性能を有する成形品を得ることができる。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)とは、粘度平均分子量が1,000〜10,000の範囲のオリゴマーであり、耐衝撃性や透明性など物性バランスを維持しながら流動性改良効果を発現させるために、粘度平均分子量は、好ましくは1,500〜9,000であり、より好ましくは2,000〜8,000である。オリゴマーの粘度平均分子量が1,000未満であると成形時に成形品からブリードアウトし易く、粘度平均分子量が10,000を越えると流動性が低下する傾向がある。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)の数平均重合度(繰り返し構造単位数の平均値)は、通常2〜15、好ましくは3〜14、より好ましくは4〜13である。オリゴマーは、重合度1では成形時に成形品からブリードアウトし易い傾向があり、重合度が15を超えると流動性が低下する傾向がある。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)は、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと、分子量調節剤の存在下反応させることによって製造することができる。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、前述した芳香族ポリカーボネート樹脂の原料として用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが用いられる。分子量調節剤としては、前述した芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量調整に用いられる一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いることができ、m−及p−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)としては、芳香族ヒドロキシ化合物を2種以上用いた共重合により得られるオリゴマーであってもよく、芳香族ヒドロキシ化合物の組み合わせとしては、例えば、ビスフェノールA(BPA)とテトラブロモビスフェノールA(TBA)が挙げられる。
本発明においては、上述した方法により製造した芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)を、樹脂組成物に特定量配合させる。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)の配合率は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し0.1〜10重量部であり、好ましくは0.3〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)の配合率が0.1重量部未満では、流動性改良効果が不十分であり、10重量部を越えると熱エージング後の色相が悪化し、衝撃強度が低下する。
また芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)のスルホン酸ホスホニウム塩(b)(一般式(1))に対する配合比率(C)/(b)(重量比)は、流動性改良効果を発現させる為に、通常2/100〜2000/100であり、好ましくは5/100〜500/100であり、更に好ましくは10/100〜200/100である。
カプロラクトン系重合体(D)
本発明に関わる帯電防止性樹脂組成物においては、更にカプロラクトン系重合体(D)を特定量配合することが好ましい。本発明におけるカプロラクトン系重合体(D)は、重合体中にε−カプロラクトン由来の構成単位を、少なくとも70重量%以上、好ましくは75重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含有する重合体又は共重合体である。ε−カプロラクトンと共重合するモノマーとしては、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、ブチロラクトンなどのラクトンモノマー、エチレンオキシド、1,2−プロピオンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシド、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエン等の不飽和モノマー及びテレフタル酸ジメチル、ジフェニルカーボネート等のカップリング剤等が挙げられる。
カプロラクトン系重合体(D)としては、ε−カプロラクトン単位のメチレン鎖の水素原子の一部がハロゲン原子または炭化水素基で置換されていても良く、カプロラクトン系重合体の末端がエステル化、エーテル化等によって末端変性されていても良い。カプロラクトン系重合体の製造法としては、特に限定されないが、アルコール、グリコール、水等の適当な開始剤及びチタニュウムテトラブトキシド、塩化スズ等の触媒を用い、ε−カプロラクトンを開環重合する方法が用いられる。
カプロラクトン系重合体(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜8重量部である。0.01重量部未満では着色防止効果が不十分であり、5重量部を超えると耐熱性、帯電防止性及び透明性が低下しやすい。カプロラクトン系重合体の配合量は、好ましくは、0.05〜5重量部、更に好ましくは、0.08〜4重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明において、カプロラクトン系重合体(D)のスルホン酸ホスホニウム塩(b)(一般式(1))に対する配合比率(重量比)は、成形時の着色防止の為、(D)/(b)で、通常1/20〜20/1であり、好ましくは1/10〜10/1であり、更に好ましくは1/8〜5/1、特に好ましくは1/5〜1/1である。
また、本発明において、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)とカプロラクトン系重合体(D)との配合比率
(C)/(D)(重量比)は、耐衝撃性・耐熱性のバランス維持の為、通常1/20〜10/1、好ましくは1/10〜8/1、更に好ましくは1/5〜5/1、特に好ましくは1/3〜4/1である。
更に、本発明において、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対する、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)とカプロラクトン系重合体(D)との合計配合量[(C+D)]は、耐衝撃性及び耐熱性のバランス維持の為、通常0.11〜20重量部であり、好ましくは0.2〜10重量部、更に好ましくは0.5〜7重量部、特に好ましくは1.0〜3.0重量部である。
カプロラクトン系重合体(D)の数平均分子量(GPC測定)としては、好ましくは1,000〜100,000である。数平均分子量が1,000未満では耐熱性が不十分になりやすく、100,000を超えると加工性や透明性が低下しやすい。カプロラクトン系重合体の数平均分子量としては、透明性の点からより好ましくは、5,000〜50,000、更には10,000〜30,000である。分子量の高いカプロラクトン系重合体を用いると白化する場合があるが、これは、カプロラクトン系重合体がドメインを形成してマトリックス中に分散し、海島構造を形成する結果、海と島の屈折率に差があるためと考えられる。白化現象を防止し透明化を促進するためには、ポリカーボネート樹脂(A)と(D)カプロラクトン系重合体との間でエステル交換反応を起こさせることが好ましく、そのためには、樹脂組成物中にエステル交換反応触媒を配合し、混練することが好ましい。
エステル交換反応触媒の具体例としては、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、無機酸または三フッ化ホウ素などのルイス酸等の酸性物質、水酸化ナトリウム、各種アミン類などの塩基性物質、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩等の金属塩、及び亜鉛、マンガン、コバルト、アンチモン、ゲルマニュウム、チタン、スズの化合物等が挙げられ、好ましくは、亜鉛、アンチモン、チタン、スズの化合物であり、中でもテトラアルキルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸第一スズ、三酸化アンチモンが好ましい。触媒を使用しなくてもエステル交換が進む場合もあるが、より確実にエステル交換反応を起こさせる為には、エステル交換反応触媒の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001〜0.2重量部である。配合量が0.001重量部未満であるとエステル交換反応の促進効果が不十分であり、0.2重量部を超えると着色などが生じやすい。エステル交換反応触媒の配合量は、より好ましくは0.005〜0.1重量部、更に好ましくは0.004〜0.08重量部である。
安定剤(E)
本発明に関わる帯電防止性樹脂組成物は、さらに安定剤を特定量配合することが、熱安定性改良や、機械的強度、透明性及び色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤(E−1)およびフェノール系安定剤(E−2)から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。
リン系安定剤(E−1)
本発明に関わるリン系安定剤(E−1)を特定量配合することが、熱安定性を改良できるという点で好ましい。リン系安定剤(E−1)としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
また、アシッドホスフェートとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
本発明に関わるリン系安定剤(E−1)として使用される亜リン酸エステルの中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、耐熱性が良好である事と加水分解しにくいという点で、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
本発明に関わるリン系安定剤(E−1)は、2種類以上を混合して配合することができるが、リン系安定剤(E−1)の合計の配合率は、通常ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.2重量部の範囲で配合される。0.01重量部未満では安定剤としての効果が不十分であり、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、また1.0重量部を越えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。
また、リン系安定剤(E−1)のスルホン酸ホスホニウム塩(b)(一般式(1))に対する合計の配合比率(E−1)/(b)(重量比)は0.5/100〜50/100であり、好ましくは1/100〜20/100であり、更に好ましくは2/100〜15/100であり、リン系安定剤(E−1)の芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)に対する配合比率(E−1)/(C)(重量比)は、成形時の熱劣化を防ぐ目的で、通常0.1/100〜1000/100であり、好ましくは1/100〜200/100であり、更に好ましくは2/100〜40/100である。
更に、リン系安定剤(E−1)のカプロラクトン系重合体(D)に対する配合比率(E−1)/(D)(重量比)は、成形時の熱劣化防止の為、通常1/500〜3/1であり、好ましくは1/100〜1/1であり、更に好ましくは1/15〜1/3である。
フェノール系酸化防止剤(E−2)
本発明に関わるフェノール性酸化防止剤(E−2)を特定量配合することが、ポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度、透明性及び色相の悪化を防止する改良効果を有するという点で好ましい。本発明で使用できるフェノール系酸化防止剤(E−2)の中でも、下記一般式(2)で示される特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤を使用するのが、流動性、透明性、帯電防止性を維持しつつ、色相の悪化を防止し、機械的強度を改良できるという点で好ましい。
Figure 0005332496
(一般式(2)中、R〜Rは、各々独立して水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、
t−Buは、tert−ブチル基を示す。)
一般式(2)中のR〜Rは、tert−ブチル基よりも嵩高くない置換基であり、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。本発明においては、水酸基の周辺の立体環境が嵩高くない構造であることが重要であり、R〜Rとしては、直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数2以下の基が好ましく、更にはメチル基又は水素原子であるのが好ましい。
また、本発明においては、R及び/又はRの置換基が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが、酸化防止効果を高めるという点で好ましい。
前記一般式(2)で示される特定の構造を分子内に有するフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
中でも、ポリカーボネート樹脂と混練される際に耐熱性が必要となる点で、4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましく、特に、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
本発明のフェノール系酸化防止剤(E−2)は、2種類以上を混合して配合することができ、当該フェノール系酸化防止剤(E−2)の配合率は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して通常0.01〜1.0重量部であり、好ましくは0.03〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.2重量部の範囲で配合される。0.01重量部未満では酸化防止剤としての効果が不十分となる傾向があり、また1.0重量部を越えると、過剰量となり逆にシルバーの発生や、色相の悪化が起こり易い傾向がある。
また、一般式(1)のスルホン酸ホスホニウム塩(b)に対する、フェノール系酸化防止剤(E−2)の配合比率(E−2)/(b)(重量比)は0.5/100〜50/100であり、好ましくは1/100〜20/100であり、更に好ましくは2/100〜15/100であり、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)に対するフェノール系酸化防止剤(E−2)の配合比率(E−2)/(C)(重量比)は、成形時の色相悪化を防ぐ為、通常0.1/100〜1000/100であり、好ましくは1/100〜200/100であり、更に好ましくは2/100〜40/100である。また、カプロラクトン系重合体(D)に対するフェノール系酸化防止剤(E−2)の配合比率(E−2)/(D)(重量比)は、成形時の熱劣化を防ぐ為、通常1/100〜3/1であり、好ましくは1/40〜1/1であり、更に好ましくは1/15〜1/2である。
本発明においては、フェノール系酸化防止剤(E−2)を、前述したリン系安定剤(E−1)と併用して配合することにより、帯電防止性を有するポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度、透明性、色相などの改良に著しい効果を生じるものである。リン系安定剤(E−1)に対する本発明のフェノール系酸化防止剤(E−2)の配合比率(E−2)/(E−1)(重量比)は25/100〜250/100、好ましくは50/100〜200/100であり、更に好ましくは75/100〜125/100である。
耐候性改良剤(F)
本発明に関わる帯電防止性樹脂組成物には、耐候性を改良する目的で更に耐候性改良剤(F)を特定量配合することが好ましい。耐候性改良剤(F)としては、一般に、紫外線吸収剤や光安定剤として知られている化合物を使用でき、その作用としては、可視光線や紫外線の光エネルギーを吸収し熱エネルギー等に変換することにより無害化する機構、光化学作用により発生する前駆体を無害化する機構などが提唱されている。
耐候性改良剤(F)としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、ベンゾエート系、トリアジン系、ヒンダードアミン系、シンナミル系などの様々な種類の化合物が挙げられ、これらの耐候性改良剤は、単独で使用しても二種以上を混合して使用してもよい。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸三水和物、ビス(2−ヒドロキシ−3−ベンゾイル−6−メトキシフェニル)メタン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−ラウリル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−クミルフェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−(2H−5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)オクタン、1,2−エタンジイルビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシベンゾエート)、1,12−ドデカンジイルビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゾエート)、1,3−シクロヘキサンジイルビス(3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシベンゾエート)、1,4−ブタンジイルビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルエタノエート)、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイルビス(3−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルエタノエート)、1,6−ヘキサンジイルビス(3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロピオネート)、p−キシレンジイルビス(3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシトルイル)マロネート、ビス(2−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル)エチル)テレフタレート、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−プロピルトルイル)オクタジオエート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドメチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドエチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドオクチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドメチル−4−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−フタルイミドメチル−4−クミルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(フタルイミドメチル)フェノール等が挙げられる。
サリチル酸エステル系化合物としては、例えば、フェニルサリチレート、2,4−ジターシャリーブチルフェニル3,5−ジターシャリーブチル4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシロキシフェノール等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
その他の耐候性改良剤としては、例えば、2−エトキシ−2'−エチルーオキサリック酸ビスアニリド、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
上述した耐候性改良剤の中でも、ポリカーボネートとの相溶性と物性への影響が少ない点からベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、中でも、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)メタン、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−クミルフェニル)メタン、2−(3,5−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが好ましく、特には、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが好ましい。
本発明に関わる耐候性改良剤(F)の配合率は、該芳香族ポリカーボネート(A)100重量部に対して0.01〜3.0重量部であり、好ましくは0.03〜1.0重量部、更に好ましくは0.1〜0.8重量部である。0.01重量部未満では効果が十分ではない傾向があり、3.0重量部を越えると射出成形時の金型汚染等が生じる傾向がある。当該耐候性改良剤は1種でも使用可能であるが、複数併用することもできる。
上述した本発明に関わる芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)に対する耐候性改良剤(F)の配合比率(F)/(C)(重量比)は、通常0.1/100〜3000/100、好ましくは1/100〜300/100であり、更に好ましくは3/100〜160/100であり、カプロラクトン系重合体(Dに対する耐候性改良剤(F)の配合比率(F)/(D)(重量比)は、通常1/50〜5/1、好ましくは1/20〜2/1であり、更に好ましくは1/10〜1/1である。また、耐候性改良剤(F)は、フェノール性酸化防止剤(E−2)と併用して用いるのが好ましく、フェノール性酸化防止剤(E−2)に対する耐候性改良剤(F)の配合比率(F)/(E−2)(重量比)は、通常0.1〜20、好ましくは0.5〜10、更に好ましくは1.0〜5.0である。
本発明に関わる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物(H)には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、所望の特性を付与する他のポリマー、難燃剤、耐衝撃改良剤、可塑剤、離型剤、滑剤、相溶化剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、ブルーイング剤等の染料)、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、繊維状マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、セラミックウィスカー、マイカ、タルク、クレー、珪酸カルシウム等の補強剤、充填剤などの一種または二種以上を含有させてもよい。
上述した種々の添加剤の中でも、本発明においては、より効果的に着色を抑制するため、ブルーイング剤(G)、例えば三菱化学社製DAIRESIN BLUE G、好ましくはBayer社製MACROLEX BLUE RR、Bayer社製MACROLEX BLUE 3R、Bayer社製MACROLEX VIOLET 3R等のアントラキノン系のブルーイング剤を配合するのが好ましい。
本発明に関わる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物(H)を製造する方法としては、最終成形品を溶融成形する直前までの任意の段階で、当業者に周知の種々の方法によって、ポリカーボネート樹脂(A)に前述した帯電防止剤(B)、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)、カプロラクトン系重合体(D)、及び必要に応じてリン系安定剤(E−1)、フェノール系酸化防止剤(E−2)、耐候性改良剤(F)を配合し、混練する方法が挙げられる。
配合方法としては、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を使用する方法、フィーダーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方法などが挙げられる。混練方法としては、一軸押出機、二軸押出機などを使用する方法が挙げられるが、帯電防止剤の分散性を高める為には、二軸押出機を使用する事がより好ましい。
さらに、本発明に関わる帯電防止剤(B)として好ましく使用されるスルホン酸ホスホニウム塩(b)は室温で粘稠液体の場合もある事から、具体的に以下の方法で押出機に供給する事が出来る。
(1)スルホン酸ホスホニウム塩(b)を加温し、粘度を下げた上でポリカーボネート樹脂、芳香族ポリカーボネートオリゴマー、カプロラクトン系重合体及びその他の安定剤と一緒にスーパーミキサーなどを使用して配合した後、押出機に供給する方法。
(2)スルホン酸ホスホニウム塩(b)を加温し、粘度を下げた状態で液体供給装置を使用して、押出機へ直接供給する方法。(b)以外の必要成分は事前に配合しておき、押出機内で帯電防止剤と混練する。
(3)スルホン酸ホスホニウム塩(b)を加温して、粘度を下げた上で、高濃度の(b)とポリカーボネート樹脂とのマスター剤を作製する。その後、該マスター剤に、残りのポリカーボネート樹脂、芳香族ポリカーボネートオリゴマー、カプロラクトン系重合体、その他必要な添加剤を加えて、タンブラー、ヘンシェルミキサーなどを用いて全配合となる様に混合し、押出機へ供給する方法。
本発明の成形体の製造方法は、一般的に、供給部、圧縮部、計量部、およびヘッド部を有する成形装置内で溶融して成形あるいは押出という方法が用いられるが、成形の場合は、射出成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などに供することもできる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。射出成形機はインライン式射出成形機、プリプラ式射出成形機等を用いることができる。
本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物(H)を成形するための射出成形機、押出成形機等の射出成形装置においては、溶融状態のポリカーボネート樹脂組成物(H)と成形装置内で接触する面が、大気中での酸化開始温度が450℃以上であり、好ましくは700℃以上である。さらに、溶融状態のポリカーボネート樹脂組成物(H)と成形装置内で接触する面は、大気中での酸化開始温度が450℃以上の皮膜で被覆されていることが好ましく、大気中での酸化開始温度が700℃以上の皮膜で被覆されていることがより好ましい。
射出成形機の場合、インライン式射出成形機では、少なくともスクリュー表面、バレル内面、スクリューヘッド表面、逆流防止リング表面、シートリング表面、ノズル内面、プリプラ式射出成形機では少なくともスクリュー表面、バレル内面、プランジャー表面、ノズル内面、スクリューからプランジャーの流路のうちいずれかの部品表面がこの皮膜で被覆されていることが望ましい。
押出機の場合、スクリュー表面、バレル内面、ダイ内面のいずれかに上記表面処理が施されていることが好ましい。
特にスクリューは、ポリカーボネート樹脂組成物の接触面積が多く、せん断発熱も発生しやすいので、上記皮膜で被覆されていることが望ましい。
皮膜を構成する材料としては、大気中で加熱試験をして450℃でも表面に酸化皮膜が生成しないものが望ましく、その皮膜としては、Pt、Au、TiAlN、TiSiN、AlCrN、CrSiN、TiBN、AlCrSiN、AlZrSiN、CrN、CrBNなどが挙げられる。大気中での酸化開始温度が450℃より低い皮膜では、ポリカーボネート樹脂組成物の滞留による黄変を促進させるので好ましくない。
皮膜は少なくとも1層形成されていればよく、多層であってもよい。例えば、金属と密着性に優れるCrNから成る皮膜を形成し、その上にTiSiNやAlCrSiN等の皮膜を形成してもよいし、また皮膜を交互に多層化しても良いが、最表面はTiSiNやAlCrSiN等の皮膜とする。このような皮膜構成にすることにより、下地の金属との密着性がより強固なものとなる。なお、上記皮膜同士をさまざまな組合せで多層化しても良い。
皮膜を形成する方法としては、真空蒸着法やスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム接着法、IVD法(イオン・ベーパー・デポジション法)等の物理的気相成長法(PVD法)を挙げることができる。特に好ましいのは、イオンプレーティング法である。
皮膜の膜厚としては、1〜30μmが好ましい。また、皮膜の表面粗さとしては
Ra:1.0μm以下が好ましい。このように表面粗さを小さくすることにより、溶融樹脂との接触面積低減やせん断力を発生させないようにすることができる。
皮膜の酸化開始温度の測定方法としては、Ptからなる薄板基材(10×5×0.1mm)上に膜厚約2μmの厚さに皮膜を成膜し、この皮膜が形成されたPt基材を10℃/分の昇温速度で熱重量天秤を用いて加熱し、昇温過程における重量変化を測定する。そして、重量が増加し始めた温度を酸化開始温度とする。
射出成形機及び押出機において、皮膜が形成される下地金属としては、通常使用されている炭素鋼、ステンレス鋼、ダイス鋼、工具鋼などが用いられる。特にHRC硬度が50以上のものが表面処理をしても傷がつきづらく、耐久性に優れるため好ましい。バレルに関しては、一般的に知られる遠心鋳造法によって得られるNiアロイ及びCoアロイを使用することが緻密であるため好ましい。
射出成形機は、一般に、射出用シリンダーとこのシリンダーに供給される樹脂材料を溜めるホッパー等を備えている。本発明では、このシリンダーに樹脂材料を供給するホッパーよりも下側に不活性ガスを供給して、ホッパー下及びホッパー内の雰囲気の酸素濃度を低下させ、かつ密閉状態にすることで、成形装置内の供給部、圧縮部、計量部、およびヘッド部の空隙の酸素濃度を低下させることができ、成形体の黄変を抑制できる。
ここで不活性ガスとは、高圧ガス保安法の一般高圧ガス保安規則第二条に規定されている不活性ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素等が挙げられる。特にこれらの中で最も安価な窒素を使用することで、最も経済的に酸素濃度を低下させることができる。
なお、通常の射出成形機では、樹脂材料を貯蔵しておくホッパーから射出シリンダーへ樹脂材料を供給する樹脂供給路と該ホッパーとの連結部、即ち、スクリューで樹脂材料を可塑化する直前部位をホッパー下と称し、ここから材料をスクリューへ供給する。また、その上部には材料投入あるいは搬送用ホッパー(ここではホッパードライヤー、ローダー、ホース等可塑化部へ搬送する一時的なストック箇所を指す)が設置されている。
窒素ガス等の不活性ガスは空気より軽いため、不活性ガス導入部位はホッパーよりも下であることが望ましい。酸素濃度はホッパーに取り付けた酸素濃度計で測定して確認することが好ましい。不活性ガスを供給する場合、ホッパーの開口部あるいは繋ぎ目等の空気が流れ込む部位を完全にOリング、シーラント等を用いて塞いでほぼ密閉状態とすることが好ましい。また、連続成形するためにホッパーローダー等のホースを接続した場合は、密閉することが難しいため、ホッパーストック部位に一時的に金属シャッターを設け、ある程度の時間密閉することが好ましい。
ホッパー下に不活性ガスを供給することにより、黄変が抑制される理由については、酸素濃度が低くなることによりポリカーボネート樹脂の酸化反応が抑制されるためであると考えられる。
本発明においては、このようにホッパー下に不活性ガスを供給する場合、ホッパー内の酸素濃度を2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは10ppm以下である。
本発明の射出成形法では、成形機の樹脂温度は270〜320℃が好ましく、280℃〜310℃がより好ましい。樹脂温度が270℃未満では溶融樹脂の粘度が高く、外観不良や充填不良が発生しやすくなる。320℃を越えると成形品が変色し、焼けごみが発生しやすくなる。
また、金型温度は50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。金型温度が60℃未満では成形品の外観が低下し、100℃を越えると金型に充填した溶融樹脂の固化時間が長くなり、成形サイクルが長くなるので、成形機中で樹脂が変色することがあるので好ましくない。
本発明の射出成形法における成形サイクルは10〜120秒であり、好ましくは20〜80秒、特に好ましくは30〜70秒である。成形サイクルが10秒未満では、離型不良が発生し易く、120秒を越えると、成形機中で樹脂が変色したり、生産効率が低下する。
以下、本発明について実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」は「重量部」を示し、使用する原材料、ポリカーボネート樹脂組成物製造法及び成形法、並びに物性評価法を次に示した。
〔原材料〕
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製/商品名ユーピロンS−2000(登録商標)/粘度平均分子量:23,000(表1〜3中、「PC−1」と略記する)。
(2)帯電防止剤:竹本油脂社製/商品名MEC−100/ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(表1〜3中、「帯電防止剤A−1」と略記する)。
(3)芳香族ポリカーボネートオリゴマー:三菱エンジニアリングプラスチックス社製/商品名PCオリゴマーAL071/粘度平均分子量:5,000(表1〜3中、「オリゴマーB−1」と略記する)。
(4)カプロラクトン系重合体:ダイセル化学社製/商品名プラクセルH1P/数平均分子量10,000(表1〜3中、「カプロラクトン重合体C−1」と略記する。)
(5)リン系安定剤:アデカ社製/商品名アデカスタブ2112/トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(表1〜3中、「リン系安定剤D−1」と略記する)。
(6)フェノール系安定剤:アデカ社製/商品名アデカスタブAO−80/3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(表1〜3中、「フェノール系安定剤E−1」と略記する)。
(7)耐候性改良剤:シプロ化成社製/商品名SEESORB709/ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(表1〜3中、「耐候性改良剤F−1」と略記する)。
(8)ブルーイング剤
全ての実施例及び比較例の樹脂組成物において、ブルーイング剤として、(G−1)ランクセス社製/商品名マクロレックス ブルーRRを0.00005部と、(G−2)ランクセス社製/商品名マクロレックス バイオレット3Rを0.00005部を配合した。
(実施例1)
ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−1)100部に対して、帯電防止剤A−1、オリゴマーB−1、カプロラクトン重合体C−1、リン系安定剤D−1、フェノール系安定剤E−1、及び耐候性改良剤F−1を、ブルーイング剤(G−1およびG−2)と共に、表1に示す配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練し、ペレットを得た。配合方法は、帯電防止剤A−1が室温では粘稠液体である為、A−1を事前に加温して粘度を下げ、A−1の割合が10重量%となる様なポリカーボネート樹脂との予備混合物をスーパーミキサーで作製し、その後、表1の成分組成となる様に、タンブラーブレンダーを用いて全原料を混合した。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30XCT(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件はシリンダー温度280℃、吐出量25kg/h、スクリュー回転数200rpmとした。
〔樹脂組成物の成形〕
樹脂組成物のペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、以下の条件で射出成形を行い、試験片を作成した。
成形機:ソディックプラステック製プリプラ式射出成形機 TR100−EH(形締力:1000kN)
スクリュー:工具鋼NPR1(不二越製)にアークイオンプレーティング法にて下地にCrNを2μm成膜し、ついでTiSiNを2μm、さらにCrNを2μm成膜し、ついで最終面(最表面)にTiSiNを2μm成膜したもの。表面粗さはRa:0.6μm。なお、TiSiNの酸化開始温度は1100℃である。
プランジャー:プランジャー表面にもスクリューと同様の成膜を設けたもの
ノズル内部:ノズル内部にAlZrN単層2μmの成膜を設けたもの
バレル:遠心鋳造Niアロイ
試験片:幅100mm、長さ100mm、厚み2.0mmの角板
ゲート厚み:0.5mm、ゲート幅:30mm
金型温度:80℃
樹脂温度:300℃
射出圧力:80MPa
成形サイクル:通常成形サイクル 1分間、滞留成形サイクル 5分間
なお、ホッパーに酸素濃度計を取り付け、勘合部や隙間のある部位をOリングやシーラントで密閉した。ホッパー下から窒素ガスを供給し、ホッパー内の酸素濃度を測定した。密閉系なので、ホッパー内の酸素濃度と成形装置内の供給部、圧縮部、計量部、およびヘッド部における空隙の酸素濃度は測定値と同じと判断した。
〔成形品の物性評価法〕
(1)表面抵抗値:厚さ2.0mmの角板成形品について、ASTM−D257に準じて表面抵抗値を測定した。
(2)黄変度:通常成形サイクルで成形される初期成形品の黄変度(YI)に対して、滞留成形サイクルで成形される成形品の黄変度(YI)の変化をΔYIとして測定した。
結果を表1に示す。
(実施例2)
窒素ガスの流量を絞り、酸素濃度を調整した以外は、実施例1と同様にして成形品を得た。結果を表1に示す。
(実施例3〜6)
射出成形機として次のものを用いたこと以外は、実施例1〜2と同様にして成形品を得た。結果を表1に示す。
成形機:住友プラスチックマシナリー製SE100DU(形締力:1000kN)
スクリュー:工具鋼NPR1(不二越製)にアークイオンプレーティング法にて下地にCrNを2μm成膜し、ついでAlCrSiNを2μm成膜したもの(最表面はAlCrSiNである)。表面粗さはRa:0.6μm。AlCrSiNの酸化開始温度は1100℃である。
スクリューヘッド表面、逆流防止リング表面、シートリング表面:
アークイオンプレーティング法にて下地にCrSiNを3μm成膜。
バレル:遠心鋳造Coアロイ
ノズル内面:Auをアークイオンプレーティング法により1μm成膜。
Figure 0005332496
(比較例1〜4)
窒素ガスの流量を絞り込んで、意図的に酸素濃度を調整したこと以外は実施例1〜4と同様にして成形品を得た。結果を表2に示す。
Figure 0005332496
(比較例5,6)
射出成形機としてソディックプラステック製プリプラ式射出成形機TR100−EH(形締力:1000kN)を用いたが、スクリューの皮膜を設けなかったこと以外は実施例1,2と同様にして成形品を得た。結果を表3に示す。
(比較例7,8)
射出成形機として住友プラスチックマシナリー製SE100DU(形締力:1000kN)を用いたが、スクリューの皮膜を設けなかったこと以外は実施例3,4と同様にして成形品を得た。結果を表3に示す。
Figure 0005332496
表1〜3から明らかなように、本発明の成形法で成形した実施例1〜6の成形品は、帯電防止性に優れ、滞留成形による黄変が抑制されていた。しかし、酸素濃度が2000ppm以上の高い条件で成形された比較例1〜4の成形品は、滞留成形による黄変が大きい。また実施例1〜4と同じ程度の低い酸素濃度でもスクリュー皮膜がない条件の比較例5〜8の成形品は滞留成形による黄変が大きい。

Claims (9)

  1. 帯電防止剤(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物(H)のペレットを、供給部、圧縮部、計量部、およびヘッド部を有する成形装置内で溶融して成形する帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法において、該成形装置がスクリューとホッパーを有し、該スクリューの表面に、TiSiN、CrSiN、AlCrSiN、及びAlZrSiNよりなる群から選択された少なくとも一種の皮膜が形成されており、かつ該ホッパー内の酸素濃度が2000ppm以下であることを特徴とする、帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  2. ポリカーボネート樹脂組成物(H)が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、帯電防止剤(B)として下記一般式(1)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩(b)0.1〜5.0重量部、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(C)0.1〜10重量部、およびカプロラクトン系重合体(D)0.01〜8重量部からなることを特徴とする請求項1記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
    Figure 0005332496
    (一般式(1)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、置換基を有していても良く、R〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じでも異なっていてもよい。)
  3. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、リン系安定剤(E−1)およびフェノール系安定剤(E−2)から選ばれる少なくとも1種の安定剤(E)を0.02〜2.0重量部配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  4. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、リン系安定剤(E−1)の配合量が0.01〜1.0重量部であることを特徴とする請求項3に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  5. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、フェノール系安定剤(E−2)の配合量が0.01〜1.0重量部であることを特徴とする請求項3に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  6. フェノール系安定剤(E−2)が、下記一般式(2)で示される構造を分子内に有することを特徴とする請求項3のいずれか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
    Figure 0005332496
    (一般式(2)中、R〜Rは、各々独立して水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、t−Buは、tert−ブチル基を示す。)
  7. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、さらに耐候性改良剤(G)を0.01〜3.0重量部配合することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  8. 成形装置が射出成形機または押出機であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法で製造された帯電防止性ポリカーボネート樹脂成形体。
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