JP6575352B2 - 光輝性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
本発明の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部と、光輝性顔料(B)0.1〜5質量部と、ポリアルキレングリコール化合物(C)0.1〜5質量部とを含み、好ましくは更に流動改質剤(D)を1〜70質量部含む。
本発明によれば、ポリアルキレングリコール化合物(C)を所定の割合で配合することにより、成形時の光輝性顔料(B)の破砕が抑制されると共に、光輝性顔料(B)が成形品の表面に沿って配向するようになり、得られる成形品の光沢感、光輝性が改善される。また、光干渉による色変化を示すものにあっては、この色変化をより一層明瞭なものとすることができる。
なお、ここで、光干渉による色変化とは、成形品に含まれる光輝性顔料の表面で反射した光が互いに干渉し、強められた波長の光が観察者の目に届くことにより、観察する角度によって異なる色を呈する現象をさし、本明細書では「色変化性」と称す場合がある。
更に、流動改質剤(D)を配合することにより、金型転写性が良好となり、金型の平滑表面が転写されて得られる成形品の表面平滑性が向上し、光沢感はより一層向上する。
本発明によれば、ポリアルキレングリコール化合物(C)の配合で、ポリカーボネート樹脂(A)の分子量を下げたり、成形品温度を過度に上げたりすることなく、成形品表面にクリアコートを施したような美麗な光沢感を付与することができると共に、光輝性顔料(B)による光輝性や光干渉による色変化性を更に高めることができ、意匠性に優れた美麗な成形品を得ることができる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)としては、透明性、耐衝撃性、耐熱性等の面から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
本発明で用いる光輝性顔料(B)としては、特に制限はなく、無機材料であってもよく、有機材料であってもよいが、光沢感と光輝性、光干渉による色変化性を得る観点から、フレーク状粒子であることが好ましく、例えば次のようなものを用いることができる。
(1) 金属又は金属酸化物被膜を形成したフレーク状粒子
(2) フレーク状金属粒子
ここで、(1)の金属被覆フレーク状粒子や金属酸化物被覆フレーク状粒子の基材となるフレーク状粒子の材質としては、ガラス、シリカ、マイカなどが挙げられる。以下、それぞれ、フレーク状ガラス、フレーク状シリカ、フレーク状マイカと称す場合がある。なお、金属酸化物被覆フレーク状粒子の場合、基材としてフレーク状金属粒子を用いたものであってもよい。
また、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料としては、シリカ、酸化チタン、酸化スズで被覆されたガラスフレーク顔料であるメルク社製の商品名「Miraval 5320 Scenic Gold」(粒径:10〜100μm)、「Miraval 5321 Scenic Copper」(粒径:10〜100μm)、「Miraval 5411 Magic White」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5420 Magic Gold」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5421 Magic Copper」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5422 Magic Red」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5423 Magic Lilac」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5424 Magic Blue」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5426 Magic Green」(粒径:20〜200μm)、「Miraval 5411 Starlit White」(粒径:30〜300μm)、及び酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄で被覆されたガラスフレーク顔料である日本板硝子社製の商品名「メタシャインMC1080RS/RY/RR/RB/RG」(平均粒径:80μm、平均厚み:1μm)、「メタシャインMC1120RS/RY/RR/RB/RG」(平均粒径:120μm、平均厚み:1μm)、「メタシャインMC1080TY/TZ/TP/TA」(平均粒径:80μm、平均厚み:1μm)、「メタシャインGT5090RS」(平均粒径90μm、平均厚み5μm)等が挙げられる。
また、酸化チタン、シリカ、酸化スズで被覆されたアルミノホウ珪酸ガラス顔料であるメルク社製の商品「Colorstream T10−07 Luxury Twinkle」、「Colorstream T10−08 Royal Twinkle」、「Colorstream T10−09 Pacific Twinkle」等が挙げられる。
具体的なフレーク状金属粒子の例として、フレーク状アルミニウム粒子としては、アルミニウムを樹脂フィルムに蒸着し、樹脂フィルムを剥離又は一体化した蒸着アルミニウム膜のフレーク又は薄片を用いることもできる。アルミニウムフレークとしては、東洋アルミニウム社製の商品名「P1415」(平均粒径:61μm)を例示することができる。
本発明における平均粒径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されるメジアン径D50をいい、例えば、島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100」を用いて測定されるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
なお、2種以上の光輝性顔料(B)を併用する場合、用いたすべての光輝性顔料(B)の平均粒径D50が上記の範囲内であることが好ましい。
ポリアルキレングリコール化合物(C)は、下記一般式(I)で表される化合物であり、例えば、下記一般式(I−1)で表される分岐型ポリアルキレングリコール化合物又は下記一般式(I−2)で表される直鎖型ポリアルキレングリコール化合物が挙げられる。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数1〜23の1価又は2価の脂肪酸、例えば、1価の飽和脂肪酸、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸や、1価の不飽和脂肪酸、具体的には、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸、また炭素数10以上の二価の脂肪酸、具体的には、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸及びデセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸が挙げられる。
これらの脂肪酸は1種又は2種以上組み合せて使用できる。前記脂肪酸には、1つ又は複数のヒドロキシル基を分子内に有する脂肪酸も含まれる。
本発明の樹脂組成物は好ましくは更に流動改質剤(D)を含み、流動改質剤(D)を含有することにより、成形時の金型転写性を高め、成形品の表面平滑性を高めて光沢感をより一層向上させることができる。
ポリカーボネートオリゴマーは、前述のポリカーボネート樹脂(A)で説明したものと同様の構成単位からなるものであり、その構造は、直鎖状、分岐状および環状のいずれの形態であってもよい。生産性や生産安定性の点では直鎖状が優れており好ましい。
ポリカーボネートオリゴマーは、なかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンで代表的に例示される芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンで代表されるカーボネート前駆体との反応や、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応によって得られるものが好ましく、芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で用いても混合して用いてもよい。
なお、ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量の測定方法は、前述のポリカーボネート樹脂(A)における方法と同じである。
ポリカーボネートオリゴマーの分子量(重合度)を上記の範囲に調整するには、ホスゲンを用いる界面重合法では、フェノール及び/又はアルキル置換フェノールを重合系に添加して、末端封止すれば良い。
アクリル系樹脂としては、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位とを含有する(メタ)アクリレート共重合体が好ましい。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」の一方又は双方をさす。また、「単位」とは、単量体を共重合させて(メタ)アクリレート共重合体を製造する際に用いられる原料単量体に由来する構造部分をさす。
なお、(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてクロロホルムやテトラヒドロフラン(THF)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されたポリスチレン(PS)換算の値である。
スチレン系樹脂とは、スチレン系単量体からなるスチレン系重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体との共重合体、ゴム質重合体(以下、「ゴム成分」ということがある。)の存在下にてスチレン系単量体を共重合してなるゴム成分含有共重合体、ゴム質重合体の存在下にてスチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを共重合してなるゴム成分含有共重合体、より選ばれる1種以上の重合体であり、ゴム成分含有量が0〜39質量%である重合体である。
これらの中でも、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)が好ましい。
またゴム粒子径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜3μm、さらに好ましくは0.3〜1.5μm、特に好ましくは0.4〜0.9μmである。ゴム粒子径の分布は、単一分布でも二山以上の複数の分布を有するもののいずれであっても良い。
アクリロニトリル−スチレン共重合体中のスチレン系単量体の含有率は、50〜95質量%が好ましく、65〜92質量%がより好ましい。
また、アクリロニトリル−スチレン共重合体の分子量を反映するメルトボリュームレイト(MVR)としては、300℃、荷重1.2kgfで5〜50cm3/10分の範囲にあることが好ましく、10〜30cm3/10分がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤から選ばれる1種又は2種以上を含有していてもよい。このような添加剤としては、着色剤、安定剤、離型剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、所望によって着色剤として各種の染顔料を含有していてもよい。染顔料を含有することで、本発明の樹脂組成物の隠蔽性、耐候性を向上できるほか、本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形品のデザイン性を向上させることができる。
また、着色剤は、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良の目的のために、ポリカーボネート樹脂(A)や流動改質剤(D)のスチレン系樹脂、ポリカーボネートオリゴマー、アクリル系樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、熱安定性を向上させるために安定剤、好ましくはリン系熱安定剤を含有することができる。リン系熱安定剤は一般的に、樹脂成分を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形品使用時の耐熱安定性向上に有効である。
本発明の樹脂組成物は、離型性を高め、成形品の表面平滑性を高めるために、離型剤を含有していてもよい。
好ましい離型剤は、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、及び数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物から選ばれる化合物である。中でも、脂肪族カルボン酸、及び脂肪族カルボン酸エステルから選ばれる化合物が好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物は、難燃性を得るために難燃剤を含有していてもよい。難燃剤としては、ポリカーボネート樹脂(A)の透明性を維持して組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、有機スルホン酸金属塩、シリコーン化合物が好適である。
該ポリジオルガノシロキサンは、官能基を含有していなくても、官能基を含有していても良い。官能基を含有しているポリジオルガノシロキサンの場合、官能基はメタクリル基、アルコキシ基又はエポキシ基であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましく、より具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、及び3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,6]ウンデカン等が挙げられる。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。樹脂成形体は、太陽光や蛍光灯のような光線下に長期間曝されると、紫外線によって黄色味を帯びる傾向があるが、紫外線吸収剤を添加することで、このような黄変を防止又は遅延させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分のほかに、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、着色剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などを配合することができる。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物は、従来から知られている方法で各成分を混合し、溶融混練することにより製造できる。具体的な混合方法としては、ポリカーボネート樹脂(A)、光輝性顔料(B)、ポリアルキレングリコール化合物(C)、及び必要に応じて配合される流動改質剤(D)やその他の添加成分を所定量秤量し、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用いて混合した後、バンバリーミキサー、ロール、プラペンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が挙げられる。
また、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明の樹脂組成物を製造することもできる。
分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
上記方法で各成分を予め混合した後、溶融混練する方法としてはバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを使用する方法が挙げられる。
本発明の成形品は、上述のような本発明の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品を製造する場合の成形方法としては、熱可塑性樹脂材料から成形品を成形する従来から知られている方法が、制限なく適用できる。具体的には、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、インモールドコーティング(IMC)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。
なお、成形時の樹脂組成物の流動性、金型転写性を高めるために、成形時の金型温度は若干高めに設定することが好ましく、例えば、ISO75−1および75−2に準拠した1.80MPaにおける荷重たわみ温度のプラス10℃〜マイナス30℃、プラス5℃〜マイナス15℃に設定することが好ましい。
本発明の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、光輝性及び光沢感に優れ、更には光干渉による色変化性や着色を付与することもでき、クリアコート塗装を施したような美麗な外観を呈する意匠性に優れたものであり、塗装を施すことなく製品化することができ、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、遊具、玩具やレジャー用品・スポーツ用品、化粧品、アクセサリー類、文具類等の雑貨類等の各種用途に適用することができる。
なお、以下の実施例及び比較例において使用した樹脂組成物の構成成分は、以下の通りである。
A1:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−3000」(粘度平均分子量=21,000)
A2:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンE−2000」(粘度平均分子量=27,000)
A3:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンH−4000」(粘度平均分子量=16,000)
A4:出光興産社製 シロキサン共重合ポリカーボネート樹脂「タフロンネオAG1760」、高流動タイプ(MVR=13cm3/10分(ISO1133、300℃、1.2kgf))
A5:出光興産社製 シロキサン共重合ポリカーボネート樹脂「タフロンネオRC1760」、高流動タイプ・透明(MVR=12cm3/10分(ISO1133、300℃、1.2kgf))
B1:メルク社製 偏光パール「Colorstream T10−02 Arctic Fire」(酸化チタン/酸化スズ被覆シリカ顔料、厚み=0.1〜1μm、平均粒径D50=25μm)
B2:平均粒径D50=5μmのフレーク状アルミニウム(以下「アルミフレーク(5)」と記載する。)
B3:平均粒径D50=20μmのフレーク状アルミニウム(以下「アルミフレーク(20)」と記載する。)
C1:日油社製 ポリプロピレングリコール「ユニオールD−1000」(数平均分子量=1,000)
C2:日油社製 ポリプロピレングリコール「ユニオールD−2000」(数平均分子量=2,000)
C3:日油社製 ポリブチレングリコール「ユニオールPB−700」(数平均分子量=700)
C4:日油社製 ポリブチレングリコール「ユニオールPB−1000」(数平均分子量=1,000)
C5:三菱化学社製 ポリテトラメチレングリコール「PTMG−1000」(数平均分子量=1,000)
D1:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ポリカーボネートオリゴマー「AL071」(ポリ−4,4’−イソプロピリデン−ジフェニルカーボネートオリゴマー)
D2:テクノポリマー社製 AS樹脂「サンレックス290FF」(スチレン含有率:76質量%、MVR(300℃、荷重1.2kgf):16cm3/10分)
D3:日本A&L(株)製 ABS樹脂「サンタックUT61」(ブタジエンゴム含有率:17質量%、MVR(220℃、荷重10kgf):35cm3/10分)
カーボンブラック:三菱化学社製「#1000」
AX71:ADEKA社製「アデカスタブAX71」(モノステアリルアシッドホスフェートとジステアリルアシッドホスフェートとの混合物)
VPG861:エメリーオレオケミカルズジャパン社製「ロキシオールVPG861」(ペンタエリスリトールテトラステアレート)
表1〜4に示す成分を表1〜4に示す割合で配合し、タンブラーで20分混合後、スクリュー径40mmのベント付き単軸押出機(田辺プラスチック社製「VS−40」)により、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数70rpmで混練し、押出されたストランドを切断してペレットを作製した。
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(ファナック社製「S−2000i150B」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度120℃(ただし、実施例16と比較例4では100℃)、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行って、各種の試験片を作製した。
得られたペレット又は試験片について、以下の評価を行い、結果を表1〜4に示した。
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、ISO1133に準拠して、測定温度300℃、測定荷重1.2kgf(11.8N)の条件で測定した(単位:cm3/10分)。(ただし、実施例16と比較例4では測定温度240℃、測定荷重1.2kgf。)
4mm厚のISO多目的試験片を作製し、ISO178規格に準拠して曲げ弾性率(単位:MPa)と曲げ強度(単位:MPa)を測定した。
4mm厚のISO多目的試験片を作製し、ISO75−1&2に従い、荷重1.80MPaの条件(A法)にて測定を行った(単位:℃)。
100mm×100mm×3mm厚のプレート状試験片を作製し、プレートの光沢度を測定した。測定は日本電色工業社製光沢度計(GROSS METER VG2000)を用い、測定角度45度にて行った(単位:%)。
また、実施例1〜3と、実施例4〜9との対比より、光沢度は流動改質剤(D)の併用で向上する傾向があることが分かる。
なお、実施例1〜9と比較例1,2とでは、曲げ弾性率、曲げ強度、荷重たわみ温度に大差はなく、ポリアルキレングリコール化合物(C)の配合で機械物性や耐熱性は損なわれないことが分かる。
表2の実施例10〜14は、ポリアルキレングリコール化合物(C)の種類を変えたこと以外は同配合としたものであり、実施例10〜14の結果から、ポリアルキレングリコール化合物(C)としては、ポリプロピレングリコールに限らず、各種のものが光沢度の向上に有効であることが分かる。
実施例15は流動改質剤(D)として、AS樹脂を用いたものであり、ポリアルキレングリコール化合物(C)を配合していない比較例3よりもMVRは低いものの高い光沢度が得られ、ポリカーボネートオリゴマーを用いたこと以外は同配合の実施例8よりも高い光沢度が得られている。実施例16は流動改質剤(D)としてポリカーボネートオリゴマーとABS樹脂を併用してその配合量を増やしたものであるが、ポリアルキレングリコール化合物(C)を配合せずにABS樹脂を配合した比較例4よりもMVRは低いが光沢度は高い。
表3,4の実施例17〜21及び比較例5〜9は、光輝性顔料(B)としてアルミフレークを用いたものであり、実施例17〜21は、それぞれ比較例5〜9に比べて、ポリアルキレングリコール化合物(C)の配合により、機械物性や耐熱性を損なうことなく、高い光沢度が得られている。
Claims (7)
- ポリカーボネート樹脂(A)100質量部と、光輝性顔料(B)0.1〜5質量部と、ポリアルキレングリコール化合物(C)0.1〜5質量部とを含有することを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1において、更に流動改質剤(D)を1〜70質量部含むことを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1又は2において、光輝性顔料(B)が、フレーク状金属粒子、金属被覆フレーク状粒子、及び金属酸化物被覆フレーク状粒子よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項4において、ポリアルキレングリコール化合物(C)が下記一般式(I−1)で表される分岐型ポリアルキレングリコール化合物及び/又は下記一般式(I−2)で表される直鎖型ポリアルキレングリコール化合物であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、光輝性顔料(B)に対するポリアルキレングリコール化合物(C)の含有質量比が1以上であることを特徴とする光輝性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光輝性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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