本発明は包装用袋に係り、特に、背貼り部を備えた袋の開封構造に関する。
一般に、縦方向に伸びる背貼り部と、縦方向の両端に形成される横シール部とを備え、背貼り部を開封する構造を備えた包装用袋が知られている。例えば、以下の特許文献1に記載されたピロー包装体においては、背シール部1の内縁側に非シール部4を設け、その外縁側にシール部5を形成するとともに、横シール部2上にある背シール部1の端縁にノッチ7を形成することにより、ノッチ7から背シール部1を縦に引き裂くようにして開封する構造を備えている。
また、以下の特許文献2に記載された包装用袋においては、センターシール部としての開口端形成部4の内部にジッパーなどの開閉手段6を取り付けるとともに、この開閉手段6よりも外縁側に封止部9を形成し、開口端形成部4の端縁にノッチ4aを形成することにより、ノッチ4aから開口端形成部4を引き裂くことにより開封すると、開閉手段6により開閉可能な開口部が形成されるように構成されている。
実開昭63−123479号明細書
特開平11−124150号公報
しかしながら、上記従来の包装外縁側のシール部と内縁側の非シール部を備える背貼り部を備えた包装用袋においては、外縁側のシール部と内縁側の非シール部を備える背貼り部の端縁にノッチなどの開封開始構造を形成しているが、この開封開始構造から背貼り部に沿ってフィルムを引き裂こうとすると、非シール部の引き裂き方向が定まらず、開口縁が波状に形成されて見栄えが悪化したり、袋の内容物を収容している収容部分が引き裂かれて内容物がこぼれてしまったりするという問題点がある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、外縁側のシール部と内縁側の非シール部を備える背貼り部を有し、背貼り部の端縁に開封開始構造を備えた包装用袋において、開封開始構造から背貼り部に沿って開封する際に、見栄えよく容易に開封でき、引き裂き線が収容部分に向かうことのないように引き裂き方向を安定させることにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の包装用袋は、袋(1)を構成するフィルム(2)の横方向に対向する一対の側縁(2b1,2b2)同士が合掌状に貼着され、縦方向に沿って伸びるように形成された背貼り部(3)と、前記縦方向の両端において前記横方向に沿って形成された一対の横シール部(4,5)とを備え、前記背貼り部(3)は、外縁側のシール部(31)と、内縁側の非シール部(32)と、前記シール部(31)及び前記非シール部(32)の前記縦方向の両側の端縁部分に設けられる端縁シール部(33,34)と、を備え、前記端縁シール部(33,34)は、前記背貼り部(3)の前記横シール部(4,5)上に配置され、前記横シール部(4,5)及び前記シール部(31)と連続することにより前記非シール部(32)を封止し、前記端縁シール部(33、34)の少なくとも一方に開封開始構造(33a〜33f,34a)を備えた包装用袋において、前記開封開始構造(33a〜33f)は、前記端縁シール部(33)において前記非シール部に向けて伸びるノッチ(33a,33d,34a)若しくは切り込み(33b,33c,33e,33f)であり、前記開封開始構造の内端(P)は前記非シール部(32)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部(33)の内側領域(33−2)に設けられ、前記開封開始構造の前記内端(P)の前記非シール部(32)との間の前記縦方向に沿った距離(La)は、前記開封開始構造の前記内端(P)の前記シール部(31)と前記非シール部(32)の境界線(30c)の前記縦方向への延長線との間の内外方向に沿った距離(Lb)より大きいことを特徴とする。
本発明において、前記距離(La)は前記距離(Lb)の2倍以上であることが好ましい。
この場合において、前記距離(La)は前記距離(Lb)の3倍以上であることが望ましい。特に、3倍〜7倍の範囲内であることが好適である。これは、La/Lbの比が大きくなり、Lbが小さくなり過ぎると、製袋時における開封開始構造の位置ずれ等により、端縁シール部の開封開始構造から伸びる引き裂き線が非シール部内に進入せず、シール部内を進行してしまう危険性が増大するからである。
本発明において、前記開封開始構造は前記ノッチ(33a,33d,34a)であり、前記ノッチの外側縁(33a1,33d1)は、前記端縁シール部(33)の前記縦方向の縁部において、前記シール部(31)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部(33)の外側領域(33−1)に設けられるとともに、前記縁部から前記内端(P)に向かう少なくとも一部分において前記非シール部(32)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部(33)の内側領域(33−2)に達するように前記縦方向に対して傾斜した方向に延在し、前記内端(P)以外において前記外側縁(33a1,33d1)に対して内縁側に離間した内側縁(33a2,33d2)を有することが好ましい。
この場合において、前記内側縁(33a2,33d2)は、前記外側縁(33a1,33d1)に対して縦方向の軸線を中心に対称な形状である場合があり、或いは、前記内端(P)に向けて縦方向に直線状に伸びる場合もある。
本発明において、前記開封開始構造は前記切り込み(33b,33c,33e,33f)であり、前記切り込みは、前記端縁シール部(33)の前記縦方向の縁部において、前記シール部(31)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部の外側領域(33−1)に設けられるとともに、前記縁部から前記内端(P)に向かう少なくとも一部分において前記非シール部(32)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部(33)の内側領域(33−2)に達するように前記縦方向に対して傾斜した方向に延在することが好ましい。
上記各発明において、前記縦方向に対して傾斜した方向に延在する前記外側縁(33a1,33d1)若しくは前記切り込み(33f)の先端に、前記縦方向に伸びる切り込み(33e)が接続され、該縦方向に伸びる切り込み(33e)の先端が前記内端(P)となっていることが好ましい。
本発明において、前記シール部(31)は、前記背貼り部(3)において、前記フィルム(2)の前記一対の側縁(2b1,2b2)の間に、前記シール部(31)の内縁に端縁若しくは切り裂き線を備えたテープ部分(6,7a′)が介在した、少なくとも三層からなる構造を有することが好ましい。
上記発明において、前記テープ部分は、前記フィルム(2)とは別の帯状のテープ(6)であることが好ましい。この場合にはさらに、前記帯状のテープ(6)は、前記縦方向よりも前記内外方向に破断しにくい素材で構成されることが望ましい。
本発明において、前記非シール部(32)には、前記フィルム(2)の前記一対の側縁(2b1,2b2)の内面上にそれぞれ貼着され、相互に係脱可能に構成された一対の開閉部材(7a,7b)を有する開閉手段(7)が設けられることが好ましい。この場合において、前記開閉手段(7)は、前記シール部(31)と前記非シール部(32)の境界線(30c)に対して内縁側に離間して配置されることが望ましい。また、前記シール部(31)は、前記背貼り部(3)において前記フィルム(2)の前記一対の側縁(2b1,2b2)の間にテープ部分が介在した、少なくとも三層からなる構造を有し、前記一対の開閉部材のうちの少なくとも一方(7a)は前記テープ部分と一体に構成されるとともに、前記シール部(31)と前記非シール部(32)の境界位置に前記縦方向に沿った切り裂き線を備えることが望ましい。
本発明によれば、外縁側のシール部と内縁側の非シール部を備える背貼り部を有し、背貼り部の端縁に開封開始構造を備えた包装用袋において、開封開始構造から背貼り部に沿って開封する際に、見栄えよく容易に開封でき、引き裂き線が収容部分に向かうことのないように引き裂き方向を安定させることができるという優れた効果を奏し得る。
本発明に係る第1実施形態の包装用袋を示す背面斜視図である。
第1実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第2実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第3実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第4実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第5実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第6実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第7実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第8実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
本発明に係る第1実施形態の包装用袋の開封時の様子を示す部分斜視図である。
従来の包装用袋の開封時の様子を示す部分斜視図である。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係る包装用袋1の全体構成を示す背面斜視図である。この包装用袋1を構成するフィルム2は特に限定されないが、一般的には、包装用途に応じて選定される基材層の内面上にシール性の良好なシーラント層をラミネートした片面シール性を有する合成樹脂フィルムを用いる。包装用袋1では、上記フィルム2の横方向(図示左右方向)の相互に対向する一対の側縁2b1と2b2を合掌状に内面同士が向かい合う状態でヒートシールなどにより貼り合わせた背貼り部3が図示中央に形成される。背貼り部3の外縁側には、縦方向(図示上下方向)に沿って伸びるシール部31が形成されている。シール部31の外縁は背貼り部3の外縁30aとなっている。また、背貼り部3の内縁側には、縦方向に沿って伸びる非シール部32が形成されている。非シール部32の基部(内容物を収容する本体部分との境界位置)は背貼り部3の内縁30bとなっている。
包装用袋1の縦方向の両端部はヒートシールなどによりシールされた横シール部4,5とされる。これらの横シール部4,5は、例えば、一方が予め封鎖され、その後、袋の内部に図示しない内容物を収容した後に他方が封鎖される。また、背貼り部3の上記横シール部4.5上に配置される端縁部には端縁シール部33,34が形成されている。この端縁シール部33,34は、図2に示すように、上記シール部31の縦方向(図2の左右方向)の両側にそれぞれ隣接する外側領域33−1,34−1(34−1は図示せず)と、上記非シール部32の縦方向の両側にそれぞれ隣接する内側領域33−2,34−2(34−2は図示せず)とが一体に構成される。そして、端縁シール部33,34は、上記横シール部4,5と上記シール部31のいずれにも連続することにより、上記非シール部32を袋の外部に対して封止している。
背貼り部3において、上記シール部31と上記非シール部32の境界線30cは縦方向に沿って直線状に伸びるように形成される。また、上記端縁シール部33,34の縁部には開封開始構造が設けられている。この開封開始構造は図1ではV字型の先端形状を有するノッチ(切り欠き)33a,34aである。なお、図示例では端縁シール部33,34の双方に開封開始構造を設けているが、端縁シール部33,34のうち、縦方向の少なくとも一方の端縁シール部に開封開始構造を設ければよい。また、端縁シール部33に設ける開封開始構造と、端縁シール部34に設ける開封開始構造とは、相互に異なる構造であってもよいが、基本的に相互に同様の構成を採り得るので、以下においては、端縁シール部33についてのみ説明し、端縁シール部34の開封開始構造の説明は省略する。図2には、ノッチ33aを備えた背貼り部3の端部近傍の拡大部分側面図が示される。ただし、本発明の開封開始構造としては、図2及び図4に示す第1実施形態、第3実施形態、第7実施形態のノッチ33a、33dの他に、図3、図5、図7及び図9に示す第2実施形態、第4実施形態、第6実施形態の直線状の切り込み33b、図6及び図8に示す第5実施形態、第8実施形態の屈折状の切り込み33c、33e、33fなどであってもよい。さらに、上記ノッチ(切り欠き)や切り込み(スリット)に限らず、ミシン目、ハーフカット線、微小な穿孔の列などからなる各種の切り裂き線であってもよく、これらの切り裂き線が延在する方向と、それらの内端Pの位置を観念することができるものであって、結果として縦方向に向けた易開封作用を有するものであれば、上記開封開始構造として用いることができる。
次に、図2を参照して、本発明に係る第1実施形態の包装用袋1の詳細な構造について説明する。本実施形態においては、一方の端縁シール部33の端縁部から切り欠き状に構成されたノッチ33aが形成されている。このノッチ33aは、V字状の先端形状を有し、その先端の頂点が内端Pとなっている。この内端Pは、シール部31の縦方向の側(図示右側)にある外側領域33−1ではなく、非シール部32の縦方向の側(図示右側)にある内側領域33−2に配置されている。内端Pのより具体的な位置は、非シール部32と端縁シール部33の境界線から距離Laだけ離れるとともに、シール部31と非シール部32の境界線30cの延長線から距離Lbだけ内側領域33−2に入り込んだ位置である。
本発明においては、開封開始構造のノッチ33aの内端Pの位置は、上記距離Laが上記距離Lbよりも大きい範囲に設定される。特に、上記距離Laが上記距離Lbの2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることが望ましい。図示例では、シール部31の内外方向(図示上下方向)の幅、非シール部32の内外方向の幅、及び、端縁シール部33,34の縦方向(図示左右方向)の幅(以下、単にシール幅という。)はいずれも10mmとなっており、内端Pの位置を示す上記距離Laは6mm、上記距離Lbは1mmであり、La/Lb=6である。また、端縁シール部33の端縁におけるノッチ33aの内外方向(図2の上下方向)の開口幅は3〜4mmであり、ノッチ33aの形状は内外方向に対称な形状となっている。したがって、ノッチ33aの外側縁33a1と内側縁33a2とは内外方向に対称な線形状を有している。また、外側縁33a1と内側縁33a2は内端Pで合流している。外側縁33aは、上記開口幅を有する開口縁の部分から縦方向にまっすぐに(すなわち上記境界線30cと平行に)伸びた後に、シール部31に接近するに従って内側へ向かうように直線状に傾斜して伸び、上記外側領域33−1内から上記内側領域33−2内へ移動した後に上記内端Pに達している。また、内側縁33a2は、上記開口幅を有する開口縁の部分から縦方向にまっすぐに(すなわち上記境界線30cと平行に)伸びた後に、非シール部32に接近するに従って外側へ向かうように上記内側領域33−2内を直線状に傾斜して伸び、上記内端Pに達している。
本実施形態の場合、フィルム2は特に限定されない。これは、上記端縁シール部33に開封開始構造として上記ノッチ33aが形成されているため、手切れ性を有しないフィルムであっても、容易に開封を開始することができるからである。ただし、開封をさらに容易化するためには、上記縦方向に引き裂きやすい特性を有するカット方向性のあるものが好ましく、例えば、上記縦方向に延伸した一軸延伸フィルム(一軸延伸ポリプロピレン(OPP)、一軸延伸ポリエチレン(HDPE))などが挙げられる。ピロー包装機などの製袋装置に使用するフィルム2の原反としては、当該原反の縦方向に沿ってカット性を有するものを用いることが望ましい。
本実施形態では、端縁シール部33においてノッチ33aが縦方向に伸びるように形成されるとともに、その内端Pの位置を示す上記距離Laが上記距離Lbよりも大きいため、端縁シール部33をノッチ33aから引き裂いた場合、引き裂き線は内端Pから非シール部32に向けて伸びていき、境界線30cに近い位置まで到達してから非シール部32内に進入する。このとき、引き裂き線が進入した位置では、非シール部32内であるために一対のフィルム2同士が接着されていないものの、シール部31との境界線30cに近いため、一対のフィルム2は相互に拘束された状態になっていることから、引き裂き方向がずれにくく、したがって非シール部32内において引き裂き線が境界線30cに沿って伸びていく。このため、引き裂き線の方向は境界線30cによって案内されるため、開封後の開口縁は従来よりも直線状に形成されて美麗な端縁が得られるとともに、引き裂き線が内容物を収容している収容部の側に向かうおそれもない。
ここで、上記のように内端Pが内側領域33−2内に配置される理由は以下のとおりである。すなわち、内端Pが外側領域33−1内に配置されると、端縁シール部33の外側領域33−1は外側(図示上側)へ引き上げられるように引っ張られるので、内端Pから切り裂き線が縦方向や斜め上方向に形成される。一般的には、特定方向のカット性のない単一のフィルム2にノッチ33aや切り込み33bを形成し、これらに隣接する外側領域を厚み方向の側方(図2の紙面と直交する方向)へ引っ張ると、引き裂き線Aはほぼ縦方向(図2の左方向水平)に進行するが、上記外側領域を外側(図2の上方向)へ引っ張ると、引き裂き線Bは当初はほぼ縦方向に進行するが、進行していくに従って少しずつ外側へ弧状に湾曲していく。一般的には、引き裂き線は図2に示す二点鎖線AとBのいずれか、或いは、これらの中間の方位に向かうものと考えられる。このため、上述のように内端Pを内側領域33−2内に配置すれば引き裂き線A,Bはいずれも境界線30cより内側で非シール部32内に進入するが、内端Pを外側領域33−1内に配置すると、引き裂き線A,Bがシール部31内に進入する。そして、この場合には、本来的に手切れ性を有しないシール部31の内部で引き裂き作用が停止し、それ以上の引き裂きができなくなり、しかも、シール部31の内側の一部が非シール部32上に残されるため、開封そのものが不可能になる。
また、上記距離Laが上記距離Lbより大きく設定される理由は以下のとおりである。すなわち、上記距離Laが上記距離Lbと同じか、或いは、上記距離Lbよりも小さいと、開封開始構造による非シール部32の気密漏れを回避するために上記距離Laを或る程度の値(5〜7mm程度、或いは、これら以上、が好ましい。)にしたとき、上記距離Lbが相対的に大きくなるため、上記と同様に外側領域33−1を側方若しくは外方へ引っ張った際に、引き裂き線A,Bが境界線30cから離れた場所で非シール部32内に進入する。このとき、境界線30cから離れた非シール部32の一対のフィルム2はシール部31から離間しているため、相互に厚み方向に自由に変形可能な拘束されにくい状態にあるため、一対のフィルム2のうちの少なくとも一方の引き裂き方向が縦方向(図示水平方向)から逸れ易くなり、例えば、引き裂き線が非シール部32内で境界線30cから離れる方向に逸れると、図10に示すように、開封時の開口縁が背貼り部3から外れて収容部側に大きく逸脱してしまうなど、従来構造と同様の問題を生じやすくなる。
一方、上記距離Laが上記距離Lbより大きく設定されると、開封開始構造による非シール部32の気密漏れの虞を回避しつつ、内端Pを境界線30cに近い場所に配置できるため、引き裂き線A,Bが境界線30cに近い場所で非シール部32に進入する。このとき、引き裂き線が形成される位置では一対のフィルム2がシール部31に近いことにより相互に拘束されて変形しにくいため、引き裂き方向が縦方向から逸れにくくなるとともに、シール部31を上方へ引き離そうとして引き裂き線Aのように引き裂き方向がシール部31の側に逸れたときには引き裂き作用が境界線30cに妨げられることで境界線30cに沿って引き裂き方向が案内されるので、図11に示すように、美麗な開口縁を形成することができる。
上記の引き裂き性については、図3に示す第2実施形態のように、開封開始構造として、縦方向に直線状に伸びる切り込み33bを形成した場合についても、図2に示す第1実施形態の上記内容と同様である。これらの第1実施形態及び第2実施形態においては、上記距離Laは1〜10mmの範囲内であることが好ましいが、位置ずれなどのマージンを考慮すると、4〜7mmの範囲内で設計することが望ましい。なお、上記シール幅は図示例の場合は10mmであるが、実際には5〜25mm程度の範囲内で変化することがあるため、このシール幅の増減に応じて距離Laも増減され得る。また、上記距離Lbは0.5〜2.0mmの範囲内であることが好ましいが、位置ずれなどのマージンを考慮すると、0.5〜1.5mmの範囲内で設計することが望ましい。さらに、上述のようにLa>Lbが条件となるが、非シール部32の気密漏れを防止しつつ、開封性を向上させるためには、La≧2Lbであることが好ましく、La≧3Lbであることが望ましい。
フィルム2は上述のように樹脂フィルムであれば特に限定されないが、ヒートシールを用いて製袋することができるようにするために、基材層とシーラント層の二層構造を有するものであることが好ましい。また、フィルム2の厚みは20?100μmであることが好ましく、30〜80μmであることが望ましい。引き裂き性については上述のように方向性を有しないもので良いが、一軸延伸フィルムなどのカット性を有するフィルムであれば、上記縦方向にカット性を有することが好ましい。
図4は、第3実施形態の包装用袋の拡大部分側面図(a)、B−B断面図(b)、C−C端面図(c)である。この第3実施形態では、開封開始構造として、第1実施形態と同じノッチ33aを有する。この実施形態が第1実施形態と異なる点は、背貼り部3を構成するフィルム2の相互に対向する一対の側縁2b1,2b2の間に帯状の樹脂フィルムからなるテープ6が介挿され、ヒートシール等により接着されている点のみである。テープ6は、シール部31と一致する内外方向の範囲に配置されるとともに、当該範囲でシール部31から端縁シール部33内にも延伸し、さらに、当該範囲でフィルム2と接着されている。
この実施形態では、テープ6がシール部31に接着されているとともに、境界線30cに一致する内端縁を備えているため、シール部31の引き裂き性が全体としてさらに低下するとともに非シール部32からシール部31内への引き裂き線の進入がさらに困難になっている。したがって、端縁シール部33内の開封開始構造から縦方向に背貼り部3が引き裂かれていくとき、当該引き裂き線がシール部31内に進行しにくくなる。このため、引き裂き線がそもそも非シール部32内に進行せずにシール部31内を進行してしまったり、非シール部32内からシール部31内に進行してしまったりすることを、更に確実に防止できる。また、開封時においてシール部31が途中でちぎれることも防止できる。
図5に示す第4実施形態においても、上記テープ6を有する点のみで上記第2実施形態と異なる。この第4実施形態では、開封開始構造が切り込み33bである点で上記第3実施形態と異なるが、テープ6による作用効果は、上記第3実施形態と同様である。
図6は、第5実施形態の包装用袋の拡大部分側面図(a)、B−B断面図(b)、C−C端面図(c)である。この第5実施形態では、開封開始構造として、第1実施形態のノッチ33aの代わりに、切り込み33cが形成されている。この切り込み33cは、上記切り込み33bとは異なり、屈折状に構成されている。すなわち、切り込み33cは、端縁シール部33の端縁(図示右端部)から外側領域33−1内を縦方向に水平に直線状に伸びた後、縦方向に対して斜め内側(斜め下方)に傾斜した方向に直線状に伸び、内側領域33−2に入った所に、終端部である内端Pを有する。
この実施形態では、開封開始構造としての上記切り込み33cは、上記第1実施形態の包装用袋において開封開始構造として設けられたノッチ33aを構成する外側縁33a1及び内側縁33a2のうち、外側縁33a1と同じ形状を有している。ただし、その内端Pは上述のように外側領域33−1から内側領域33−2へ斜めに向かう切り込み部分の先端に形成されているため、外側領域33−1を持って開封しようとしたとき、内端Pから伸びる引き裂き線が外側へ伸びることをさらに効果的に抑制することができる。なお、上記のように縦方向に対して内側に斜めに伸びる切り込み部分の先端が内端Pとなっていることで、引き裂き線が内側へ向かう危険性も考えられるが、一般的な開封方法では引き裂き線は内端Pから内側へ伸びることはほとんどなく、多くの場合、外側へ伸びることを抑制し、縦方向へ水平に伸びる可能性を高めるだけである。すなわち、上記引き裂き線Bよりも上記引き裂き線Aの発生確率を高めるだけである。
次に、図7は、本発明に係る第6実施形態の拡大部分側面図(a)、B−B端面図(b)及びC−C端面図(c)である。この実施形態では、非シール部32及び端縁シール部33におけるフィルム2の内面上にジッパーやファスナーを構成する開閉手段7が接着固定されている。開閉手段7は、内面上に縦方向に伸びる凹嵌部を備えた凹側ベース材7aと、内面上に縦方向に伸び、上記凹嵌部と嵌合する凸嵌部を備えた凸側ベース材7bとを有し、凹側ベース材7aがフィルム2の一方の端縁2b1の内面に接着され、凸側ベース材7bがフィルム2の他方の端縁2b2の内面に接着されている。また、上記凹嵌部と上記凸嵌部は上記非シール部32内に配置されている。さらに、凹側ベース材7aのうちの上記凹嵌部が設けられていない端部と、凸側ベース材7bのうちの上記凸嵌部が設けられていない端部が図示点線で示すように端縁シール部33に配置され、上記内側領域33−2内においてフィルム2と一体に接合されている。また、開閉手段7の外縁側(図示上側)の端縁は、上記境界線30cやその延長線(外側領域33−1と内側領域33−2との境界)から内縁側(図示下側)に離間した位置にある。
この実施形態では、上記切り込み33bが端縁シール部33の内側領域33−2内を縦方向に伸びるように設けられ、その内端Pは内側領域33−2内においてLa>Lbとなる位置に配置されている。このとき、内端Pは端縁シール部33において内側領域33−2内の開閉手段7が接着されている場所よりも外側(外側領域33−1の側、すなわち、図示上側)に配置されている。特に、内端Pが開閉手段7よりも外側領域33−1と内側領域33−2の境界(境界線30cの延長線)に近い位置に配置されていることが好ましい。
また、この実施形態においては、非シール部32内において開閉手段7の凹側ベース材7aと凸側ベース材7bがフィルム2の内面上に接着されているとともに、切り込み33bの内端Pは、外側領域33−1と内側領域33−2の境界線と、開閉手段7との間に配置されているため、引き裂き線は非シール部32内に入った後、境界線30cと開閉手段7とに挟まれた領域内を進行していく。したがって、開閉手段7によって引き裂き線が収容部の側に逸れる虞が低減されるため、より確実かつ安定した開封作業を行うことができる。
次に、図8は、本発明に係る第7実施形態の拡大部分側面図(a)、B−B端面図(b)及びC−C端面図(c)である。この実施形態では、第1実施形態とほぼ同様の構造を有するが、開封開始構造としてのノッチ33dの切り欠き形状のみが異なる。ノッチ33dは、全体として外側縁33d1が開口縁から縦方向にまっすぐに伸びた後に、縦方向に対して傾斜した方向に直線状に伸びるように構成されている。この外側縁33d1は第1実施形態のノッチ33aの外側縁33a1と実質的に同じ形状を有する。また、内側縁33d2が開口縁から縦方向に沿った水平方向に伸びる直線状に構成されている。この場合、ノッチ33dを外側縁33d1と内側縁33d2のみからなるものとし、外側縁33d1と内側縁33d2が合流する点を内端Pとしてもよいが、図示のように、外側縁33d1と内側縁33d2が合流する点からさらに縦方向に伸びる切り込み33eを形成し、この切り込み33eの先端を内端Pとすることが好ましい。このようにすると、内端Pから伸びる引き裂き線がさらに縦方向に近い方向に向けて進行するように規制することができる。なお、ノッチ33dの先端に設けた上記切り込み33eを、第1実施形態において、ノッチ33aの先端に設けてもよい。
次に、図9は、本発明に係る第8実施形態の拡大部分側面図(a)、B−B端面図(b)及びC−C端面図(c)である。この実施形態では、第6実施形態と近似した開閉手段7′を非シール部32に設けたものであるが、開閉手段7′では、これを構成する一対のベース材のうちの一方のベース材である凹側ベース材7a′がシール部31内に伸びてフィルム2の一対の側縁2b1,2b2に対してその間に接着され、第3実施形態又は第4実施形態のテープ6と同様に三層構造のシール部31を構成している点で第6実施形態の開閉手段7と異なる。なお、上記凹側ベース材7a′の代わりに他方のベース材である凸側ベース材7bをシール部31内に延長して接着した凸側ベース材7b′(図示せず)としてもよく、凹側ベース材7a′と凸側ベース材7b′(7b′は図示せず)の双方をシール部31内に延長して接着してもよい。ただし、このように延長したベース材7a′,7b′(7b′は図示せず)には、境界線30cに沿った位置に、ミシン目、ハーフカット線、微小な穿孔の列などの易開封作用を有する構造である切り裂き線を形成しておく。なお、この切り裂き線はベース材7a′,7b′にのみ設けられるので、フィルム2による背貼り部3の密封性を損なうことはない。
また、本実施形態では、開封開始構造として、第1実施形態のノッチ33aの外側縁33a1や第7実施形態のノッチ33dの外側縁33d1と同様の形状を有する切り込み33fと、この切り込み33fの先端に引き続いて形成された縦方向に直線状の伸びる切り込み33eとからなる切り込みを形成している。この切り込み33f,33eにおいても、上記第7実施形態のノッチ33dと実質的に同じ作用効果を奏することができる。
尚、本発明に係る包装用袋は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、第1実施形態ないし第8実施形態において、開封開始構造としてのノッチや切り込みは、全体として引き裂き線を縦方向又はそれに近い方向に導くための外側縁及び内側縁の形状、或いは、切り込み方向を有するとともに、その内端Pが非シール部32内の境界線30cに近い位置に引き裂き線を導くことができる位置に配置されていればよく、上記の形状に限定されるものではない。また、各実施形態において、他の実施形態のノッチ若しくは切り込みを相互に置換して採用しても構わない。さらに、各実施形態において、開閉手段7や7′を形成するか否かを変更してもよい。また、各実施形態においては、シール部31にテープ6を設けるか否か、テープ6を二層以上設けるか否か、などについては、適宜に変更することができる。
1…包装用袋、2…フィルム、2a…表側部分、2b…裏側部分、2b1,2b2…一対の側縁、3…背貼り部、30a…外縁、30b…内縁、30c…境界線、31…シール部、32…非シール部、33,34…端縁シール部、33−1…外側領域、33−2…内側領域、33a、33d…ノッチ、33a1,33d1…外側縁、33a2,33d2…内側縁、33b,33c,33e,33f…切り込み、4,5…横シール部、6…テープ、7,7′…開閉手段、7a…凹側ベース材、7b…凸側ベース材、A,B…引き裂き線(が形成された例)、P…内端
本発明は包装用袋に係り、特に、背貼り部を備えた袋の開封構造に関する。
一般に、縦方向に伸びる背貼り部と、縦方向の両端に形成される横シール部とを備え、背貼り部を開封する構造を備えた包装用袋が知られている。例えば、以下の特許文献1に記載されたピロー包装体においては、背シール部1の内縁側に非シール部4を設け、その外縁側にシール部5を形成するとともに、横シール部2上にある背シール部1の端縁にノッチ7を形成することにより、ノッチ7から背シール部1を縦に引き裂くようにして開封する構造を備えている。
また、以下の特許文献2に記載された包装用袋においては、センターシール部としての開口端形成部4の内部にジッパーなどの開閉手段6を取り付けるとともに、この開閉手段6よりも外縁側に封止部9を形成し、開口端形成部4の端縁にノッチ4aを形成することにより、ノッチ4aから開口端形成部4を引き裂くことにより開封すると、開閉手段6により開閉可能な開口部が形成されるように構成されている。
実開昭63−123479号明細書
特開平11−124150号公報
しかしながら、上記従来の包装外縁側のシール部と内縁側の非シール部を備える背貼り部を備えた包装用袋においては、外縁側のシール部と内縁側の非シール部を備える背貼り部の端縁にノッチなどの開封開始構造を形成しているが、この開封開始構造から背貼り部に沿ってフィルムを引き裂こうとすると、非シール部の引き裂き方向が定まらず、開口縁が波状に形成されて見栄えが悪化したり、袋の内容物を収容している収容部分が引き裂かれて内容物がこぼれてしまったりするという問題点がある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、外縁側のシール部と内縁側の非シール部を備える背貼り部を有し、背貼り部の端縁に開封開始構造を備えた包装用袋において、開封開始構造から背貼り部に沿って開封する際に、見栄えよく容易に開封でき、引き裂き線が収容部分に向かうことのないように引き裂き方向を安定させることにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の包装用袋は、袋(1)を構成するフィルム(2)の横方向に対向する一対の側縁(2b1,2b2)同士が合掌状に貼着され、縦方向に沿って伸びるように形成された背貼り部(3)と、前記縦方向の両端において前記横方向に沿って形成された一対の横シール部(4,5)とを備え、前記背貼り部(3)は、外縁側のシール部(31)と、内縁側の非シール部(32)と、前記シール部(31)及び前記非シール部(32)の前記縦方向の両側の端縁部分に設けられる端縁シール部(33,34)と、を備え、前記端縁シール部(33,34)は、前記背貼り部(3)の前記横シール部(4,5)上に配置され、前記横シール部(4,5)及び前記シール部(31)と連続することにより前記非シール部(32)を封止し、前記端縁シール部(33、34)の少なくとも一方に開封開始構造(33a〜33f,34a)を備えた包装用袋において、前記開封開始構造(33a〜33f)は、前記端縁シール部(33)において前記非シール部に向けて伸びるノッチ(33a,33d,34a)若しくは切り込み(33b,33c,33e,33f)であり、前記開封開始構造の内端(P)は前記非シール部(32)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部(33)の内側領域(33−2)に設けられ、前記開封開始構造の前記内端(P)の前記非シール部(32)との間の前記縦方向に沿った距離(La)は、前記開封開始構造の前記内端(P)の前記シール部(31)と前記非シール部(32)の境界線(30c)の前記縦方向への延長線との間の内外方向に沿った距離(Lb)より大きいことを特徴とする。
本発明において、前記距離(La)は前記距離(Lb)の2倍以上であることが好ましい。
この場合において、前記距離(La)は前記距離(Lb)の3倍以上であることが望ましい。特に、3倍〜7倍の範囲内であることが好適である。これは、La/Lbの比が大きくなり、Lbが小さくなり過ぎると、製袋時における開封開始構造の位置ずれ等により、端縁シール部の開封開始構造から伸びる引き裂き線が非シール部内に進入せず、シール部内を進行してしまう危険性が増大するからである。
本発明において、前記開封開始構造は前記ノッチ(33a,33d,34a)であり、前記ノッチの外側縁(33a1,33d1)は、前記端縁シール部(33)の前記縦方向の縁部において、前記シール部(31)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部(33)の外側領域(33−1)に設けられるとともに、前記縁部から前記内端(P)に向かう少なくとも一部分において前記非シール部(32)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部(33)の内側領域(33−2)に達するように前記縦方向に対して傾斜した方向に延在し、前記内端(P)以外において前記外側縁(33a1,33d1)に対して内縁側に離間した内側縁(33a2,33d2)を有することが好ましい。
この場合において、前記内側縁(33a2,33d2)は、前記外側縁(33a1,33d1)に対して縦方向の軸線を中心に対称な形状である場合があり、或いは、前記内端(P)に向けて縦方向に直線状に伸びる場合もある。
本発明において、前記開封開始構造は前記切り込み(33b,33c,33e,33f)であり、前記切り込みは、前記端縁シール部(33)の前記縦方向の縁部において、前記シール部(31)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部の外側領域(33−1)に設けられるとともに、前記縁部から前記内端(P)に向かう少なくとも一部分において前記非シール部(32)の前記縦方向の側に存在する前記端縁シール部(33)の内側領域(33−2)に達するように前記縦方向に対して傾斜した方向に延在することが好ましい。
上記各発明において、前記縦方向に対して傾斜した方向に延在する前記外側縁(33a1,33d1)若しくは前記切り込み(33f)の先端に、前記縦方向に伸びる切り込み(33e)が接続され、該縦方向に伸びる切り込み(33e)の先端が前記内端(P)となっていることが好ましい。
本発明において、前記シール部(31)は、前記背貼り部(3)において、前記フィルム(2)の前記一対の側縁(2b1,2b2)の間に、前記シール部(31)の内縁に端縁若しくは切り裂き線を備えたテープ部分(6,7a′)が介在した、少なくとも三層からなる構造を有することが好ましい。
上記発明において、前記テープ部分は、前記フィルム(2)とは別の帯状のテープ(6)であることが好ましい。この場合にはさらに、前記帯状のテープ(6)は、前記縦方向よりも前記内外方向に破断しにくい素材で構成されることが望ましい。
本発明において、前記非シール部(32)には、前記フィルム(2)の前記一対の側縁(2b1,2b2)の内面上にそれぞれ貼着され、相互に係脱可能に構成された一対の開閉部材(7a,7b)を有する開閉手段(7)が設けられることが好ましい。この場合において、前記開閉手段(7)は、前記シール部(31)と前記非シール部(32)の境界線(30c)に対して内縁側に離間して配置されることが望ましい。また、前記シール部(31)は、前記背貼り部(3)において前記フィルム(2)の前記一対の側縁(2b1,2b2)の間にテープ部分が介在した、少なくとも三層からなる構造を有し、前記一対の開閉部材のうちの少なくとも一方(7a)は前記テープ部分と一体に構成されるとともに、前記シール部(31)と前記非シール部(32)の境界位置に前記縦方向に沿った切り裂き線を備えることが望ましい。
本発明によれば、外縁側のシール部と内縁側の非シール部を備える背貼り部を有し、背貼り部の端縁に開封開始構造を備えた包装用袋において、開封開始構造から背貼り部に沿って開封する際に、見栄えよく容易に開封でき、引き裂き線が収容部分に向かうことのないように引き裂き方向を安定させることができるという優れた効果を奏し得る。
本発明に係る第1実施形態の包装用袋を示す背面斜視図である。
第1実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第2構成例の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第3実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第4構成例の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第5実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第6構成例の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第7実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
第8実施形態の包装用袋の背貼り部の端縁シール部を示す拡大部分側面図(a)、B−B線に沿って切断した端面構造を示す端面図(b)及びC−C線に沿って切断した端面構造を示す端面図(c)である。
本発明に係る第1実施形態の包装用袋の開封時の様子を示す部分斜視図である。
従来の包装用袋の開封時の様子を示す部分斜視図である。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係る包装用袋1の全体構成を示す背面斜視図である。この包装用袋1を構成するフィルム2は特に限定されないが、一般的には、包装用途に応じて選定される基材層の内面上にシール性の良好なシーラント層をラミネートした片面シール性を有する合成樹脂フィルムを用いる。包装用袋1では、上記フィルム2の横方向(図示左右方向)の相互に対向する一対の側縁2b1と2b2を合掌状に内面同士が向かい合う状態でヒートシールなどにより貼り合わせた背貼り部3が図示中央に形成される。背貼り部3の外縁側には、縦方向(図示上下方向)に沿って伸びるシール部31が形成されている。シール部31の外縁は背貼り部3の外縁30aとなっている。また、背貼り部3の内縁側には、縦方向に沿って伸びる非シール部32が形成されている。非シール部32の基部(内容物を収容する本体部分との境界位置)は背貼り部3の内縁30bとなっている。
包装用袋1の縦方向の両端部はヒートシールなどによりシールされた横シール部4,5とされる。これらの横シール部4,5は、例えば、一方が予め封鎖され、その後、袋の内部に図示しない内容物を収容した後に他方が封鎖される。また、背貼り部3の上記横シール部4.5上に配置される端縁部には端縁シール部33,34が形成されている。この端縁シール部33,34は、図2に示すように、上記シール部31の縦方向(図2の左右方向)の両側にそれぞれ隣接する外側領域33−1,34−1(34−1は図示せず)と、上記非シール部32の縦方向の両側にそれぞれ隣接する内側領域33−2,34−2(34−2は図示せず)とが一体に構成される。そして、端縁シール部33,34は、上記横シール部4,5と上記シール部31のいずれにも連続することにより、上記非シール部32を袋の外部に対して封止している。
背貼り部3において、上記シール部31と上記非シール部32の境界線30cは縦方向に沿って直線状に伸びるように形成される。また、上記端縁シール部33,34の縁部には開封開始構造が設けられている。この開封開始構造は図1ではV字型の先端形状を有するノッチ(切り欠き)33a,34aである。なお、図示例では端縁シール部33,34の双方に開封開始構造を設けているが、端縁シール部33,34のうち、縦方向の少なくとも一方の端縁シール部に開封開始構造を設ければよい。また、端縁シール部33に設ける開封開始構造と、端縁シール部34に設ける開封開始構造とは、相互に異なる構造であってもよいが、基本的に相互に同様の構成を採り得るので、以下においては、端縁シール部33についてのみ説明し、端縁シール部34の開封開始構造の説明は省略する。図2には、ノッチ33aを備えた背貼り部3の端部近傍の拡大部分側面図が示される。ただし、本発明の開封開始構造としては、図2及び図4に示す第1実施形態、第3実施形態、第7実施形態のノッチ33a、33dの他に、図3、図5、図7及び図9に示す第2実施形態、第4実施形態、第6実施形態の直線状の切り込み33b、図6及び図8に示す第5実施形態、第8実施形態の屈折状の切り込み33c、33e、33fなどであってもよい。さらに、上記ノッチ(切り欠き)や切り込み(スリット)に限らず、ミシン目、ハーフカット線、微小な穿孔の列などからなる各種の切り裂き線であってもよく、これらの切り裂き線が延在する方向と、それらの内端Pの位置を観念することができるものであって、結果として縦方向に向けた易開封作用を有するものであれば、上記開封開始構造として用いることができる。
次に、図2を参照して、本発明に係る第1実施形態の包装用袋1の詳細な構造について説明する。本実施形態においては、一方の端縁シール部33の端縁部から切り欠き状に構成されたノッチ33aが形成されている。このノッチ33aは、V字状の先端形状を有し、その先端の頂点が内端Pとなっている。この内端Pは、シール部31の縦方向の側(図示右側)にある外側領域33−1ではなく、非シール部32の縦方向の側(図示右側)にある内側領域33−2に配置されている。内端Pのより具体的な位置は、非シール部32と端縁シール部33の境界線から距離Laだけ離れるとともに、シール部31と非シール部32の境界線30cの延長線から距離Lbだけ内側領域33−2に入り込んだ位置である。
本発明においては、開封開始構造のノッチ33aの内端Pの位置は、上記距離Laが上記距離Lbよりも大きい範囲に設定される。特に、上記距離Laが上記距離Lbの2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることが望ましい。図示例では、シール部31の内外方向(図示上下方向)の幅、非シール部32の内外方向の幅、及び、端縁シール部33,34の縦方向(図示左右方向)の幅(以下、単にシール幅という。)はいずれも10mmとなっており、内端Pの位置を示す上記距離Laは6mm、上記距離Lbは1mmであり、La/Lb=6である。また、端縁シール部33の端縁におけるノッチ33aの内外方向(図2の上下方向)の開口幅は3〜4mmであり、ノッチ33aの形状は内外方向に対称な形状となっている。したがって、ノッチ33aの外側縁33a1と内側縁33a2とは内外方向に対称な線形状を有している。また、外側縁33a1と内側縁33a2は内端Pで合流している。外側縁33a1は、上記開口幅を有する開口縁の部分から縦方向にまっすぐに(すなわち上記境界線30cと平行に)伸びた後に、シール部31に接近するに従って内側へ向かうように直線状に傾斜して伸び、上記外側領域33−1内から上記内側領域33−2内へ移動した後に上記内端Pに達している。また、内側縁33a2は、上記開口幅を有する開口縁の部分から縦方向にまっすぐに(すなわち上記境界線30cと平行に)伸びた後に、非シール部32に接近するに従って外側へ向かうように上記内側領域33−2内を直線状に傾斜して伸び、上記内端Pに達している。
本実施形態の場合、フィルム2は特に限定されない。これは、上記端縁シール部33に開封開始構造として上記ノッチ33aが形成されているため、手切れ性を有しないフィルムであっても、容易に開封を開始することができるからである。ただし、開封をさらに容易化するためには、上記縦方向に引き裂きやすい特性を有するカット方向性のあるものが好ましく、例えば、上記縦方向に延伸した一軸延伸フィルム(一軸延伸ポリプロピレン(OPP)、一軸延伸ポリエチレン(HDPE))などが挙げられる。ピロー包装機などの製袋装置に使用するフィルム2の原反としては、当該原反の縦方向に沿ってカット性を有するものを用いることが望ましい。
本実施形態では、端縁シール部33においてノッチ33aが縦方向に伸びるように形成されるとともに、その内端Pの位置を示す上記距離Laが上記距離Lbよりも大きいため、端縁シール部33をノッチ33aから引き裂いた場合、引き裂き線は内端Pから非シール部32に向けて伸びていき、境界線30cに近い位置まで到達してから非シール部32内に進入する。このとき、引き裂き線が進入した位置では、非シール部32内であるために一対のフィルム2同士が接着されていないものの、シール部31との境界線30cに近いため、一対のフィルム2は相互に拘束された状態になっていることから、引き裂き方向がずれにくく、したがって非シール部32内において引き裂き線が境界線30cに沿って伸びていく。このため、引き裂き線の方向は境界線30cによって案内されるため、開封後の開口縁は従来よりも直線状に形成されて美麗な端縁が得られるとともに、引き裂き線が内容物を収容している収容部の側に向かうおそれもない。
ここで、上記のように内端Pが内側領域33−2内に配置される理由は以下のとおりである。すなわち、内端Pが外側領域33−1内に配置されると、端縁シール部33の外側領域33−1は外側(図示上側)へ引き上げられるように引っ張られるので、内端Pから切り裂き線が縦方向や斜め上方向に形成される。一般的には、特定方向のカット性のない単一のフィルム2にノッチ33aや切り込み33bを形成し、これらに隣接する外側領域を厚み方向の側方(図2の紙面と直交する方向)へ引っ張ると、引き裂き線Aはほぼ縦方向(図2の左方向水平)に進行するが、上記外側領域を外側(図2の上方向)へ引っ張ると、引き裂き線Bは当初はほぼ縦方向に進行するが、進行していくに従って少しずつ外側へ弧状に湾曲していく。一般的には、引き裂き線は図2に示す二点鎖線AとBのいずれか、或いは、これらの中間の方位に向かうものと考えられる。このため、上述のように内端Pを内側領域33−2内に配置すれば引き裂き線A,Bはいずれも境界線30cより内側で非シール部32内に進入するが、内端Pを外側領域33−1内に配置すると、引き裂き線A,Bがシール部31内に進入する。そして、この場合には、本来的に手切れ性を有しないシール部31の内部で引き裂き作用が停止し、それ以上の引き裂きができなくなり、しかも、シール部31の内側の一部が非シール部32上に残されるため、開封そのものが不可能になる。
また、上記距離Laが上記距離Lbより大きく設定される理由は以下のとおりである。すなわち、上記距離Laが上記距離Lbと同じか、或いは、上記距離Lbよりも小さいと、開封開始構造による非シール部32の気密漏れを回避するために上記距離Laを或る程度の値(5〜7mm程度、或いは、これら以上、が好ましい。)にしたとき、上記距離Lbが相対的に大きくなるため、上記と同様に外側領域33−1を側方若しくは外方へ引っ張った際に、引き裂き線A,Bが境界線30cから離れた場所で非シール部32内に進入する。このとき、境界線30cから離れた非シール部32の一対のフィルム2はシール部31から離間しているため、相互に厚み方向に自由に変形可能な拘束されにくい状態にあるため、一対のフィルム2のうちの少なくとも一方の引き裂き方向が縦方向(図示水平方向)から逸れ易くなり、例えば、引き裂き線が非シール部32内で境界線30cから離れる方向に逸れると、図10に示すように、開封時の開口縁が背貼り部3から外れて収容部側に大きく逸脱してしまうなど、従来構造と同様の問題を生じやすくなる。
一方、上記距離Laが上記距離Lbより大きく設定されると、開封開始構造による非シール部32の気密漏れの虞を回避しつつ、内端Pを境界線30cに近い場所に配置できるため、引き裂き線A,Bが境界線30cに近い場所で非シール部32に進入する。このとき、引き裂き線が形成される位置では一対のフィルム2がシール部31に近いことにより相互に拘束されて変形しにくいため、引き裂き方向が縦方向から逸れにくくなるとともに、シール部31を上方へ引き離そうとして引き裂き線Aのように引き裂き方向がシール部31の側に逸れたときには引き裂き作用が境界線30cに妨げられることで境界線30cに沿って引き裂き方向が案内されるので、図11に示すように、美麗な開口縁を形成することができる。
上記の引き裂き性については、図3に示す第2構成例のように、開封開始構造として、縦方向に直線状に伸びる切り込み33bを形成した場合についても、図2に示す第1実施形態の上記内容と同様である。これらの第1実施形態及び第2構成例においては、上記距離Laは1〜10mmの範囲内であることが好ましいが、位置ずれなどのマージンを考慮すると、4〜7mmの範囲内で設計することが望ましい。なお、上記シール幅は図示例の場合は10mmであるが、実際には5〜25mm程度の範囲内で変化することがあるため、このシール幅の増減に応じて距離Laも増減され得る。また、上記距離Lbは0.5〜2.0mmの範囲内であることが好ましいが、位置ずれなどのマージンを考慮すると、0.5〜1.5mmの範囲内で設計することが望ましい。さらに、上述のようにLa>Lbが条件となるが、非シール部32の気密漏れを防止しつつ、開封性を向上させるためには、La≧2Lbであることが好ましく、La≧3Lbであることが望ましい。
フィルム2は上述のように樹脂フィルムであれば特に限定されないが、ヒートシールを用いて製袋することができるようにするために、基材層とシーラント層の二層構造を有するものであることが好ましい。また、フィルム2の厚みは20〜100μmであることが好ましく、30〜80μmであることが望ましい。引き裂き性については上述のように方向性を有しないもので良いが、一軸延伸フィルムなどのカット性を有するフィルムであれば、上記縦方向にカット性を有することが好ましい。
図4は、第3実施形態の包装用袋の拡大部分側面図(a)、B−B断面図(b)、C−C端面図(c)である。この第3実施形態では、開封開始構造として、第1実施形態と同じノッチ33aを有する。この実施形態が第1実施形態と異なる点は、背貼り部3を構成するフィルム2の相互に対向する一対の側縁2b1,2b2の間に帯状の樹脂フィルムからなるテープ6が介挿され、ヒートシール等により接着されている点のみである。テープ6は、シール部31と一致する内外方向の範囲に配置されるとともに、当該範囲でシール部31から端縁シール部33内にも延伸し、さらに、当該範囲でフィルム2と接着されている。
この実施形態では、テープ6がシール部31に接着されているとともに、境界線30cに一致する内端縁を備えているため、シール部31の引き裂き性が全体としてさらに低下するとともに非シール部32からシール部31内への引き裂き線の進入がさらに困難になっている。したがって、端縁シール部33内の開封開始構造から縦方向に背貼り部3が引き裂かれていくとき、当該引き裂き線がシール部31内に進行しにくくなる。このため、引き裂き線がそもそも非シール部32内に進行せずにシール部31内を進行してしまったり、非シール部32内からシール部31内に進行してしまったりすることを、更に確実に防止できる。また、開封時においてシール部31が途中でちぎれることも防止できる。
図5に示す第4構成例においても、上記テープ6を有する点のみで上記第2構成例と異なる。この第4構成例では、開封開始構造が切り込み33bである点で上記第3実施形態と異なるが、テープ6による作用効果は、上記第3実施形態と同様である。
図6は、第5実施形態の包装用袋の拡大部分側面図(a)、B−B断面図(b)、C−C端面図(c)である。この第5実施形態では、開封開始構造として、第1実施形態のノッチ33aの代わりに、切り込み33cが形成されている。この切り込み33cは、上記切り込み33bとは異なり、屈折状に構成されている。すなわち、切り込み33cは、端縁シール部33の端縁(図示右端部)から外側領域33−1内を縦方向に水平に直線状に伸びた後、縦方向に対して斜め内側(斜め下方)に傾斜した方向に直線状に伸び、内側領域33−2に入った所に、終端部である内端Pを有する。
この実施形態では、開封開始構造としての上記切り込み33cは、上記第1実施形態の包装用袋において開封開始構造として設けられたノッチ33aを構成する外側縁33a1及び内側縁33a2のうち、外側縁33a1と同じ形状を有している。ただし、その内端Pは上述のように外側領域33−1から内側領域33−2へ斜めに向かう切り込み部分の先端に形成されているため、外側領域33−1を持って開封しようとしたとき、内端Pから伸びる引き裂き線が外側へ伸びることをさらに効果的に抑制することができる。なお、上記のように縦方向に対して内側に斜めに伸びる切り込み部分の先端が内端Pとなっていることで、引き裂き線が内側へ向かう危険性も考えられるが、一般的な開封方法では引き裂き線は内端Pから内側へ伸びることはほとんどなく、多くの場合、外側へ伸びることを抑制し、縦方向へ水平に伸びる可能性を高めるだけである。すなわち、上記引き裂き線Bよりも上記引き裂き線Aの発生確率を高めるだけである。
次に、図7は、本発明に係る第6構成例の拡大部分側面図(a)、B−B端面図(b)及びC−C端面図(c)である。この構成例では、非シール部32及び端縁シール部33におけるフィルム2の内面上にジッパーやファスナーを構成する開閉手段7が接着固定されている。開閉手段7は、内面上に縦方向に伸びる凹嵌部を備えた凹側ベース材7aと、内面上に縦方向に伸び、上記凹嵌部と嵌合する凸嵌部を備えた凸側ベース材7bとを有し、凹側ベース材7aがフィルム2の一方の側縁2b1の内面に接着され、凸側ベース材7bがフィルム2の他方の側縁2b2の内面に接着されている。また、上記凹嵌部と上記凸嵌部は上記非シール部32内に配置されている。さらに、凹側ベース材7aのうちの上記凹嵌部が設けられていない端部と、凸側ベース材7bのうちの上記凸嵌部が設けられていない端部が図示点線で示すように端縁シール部33に配置され、上記内側領域33−2内においてフィルム2と一体に接合されている。また、開閉手段7の外縁側(図示上側)の端縁は、上記境界線30cやその延長線(外側領域33−1と内側領域33−2との境界)から内縁側(図示下側)に離間した位置にある。
この構成例では、上記切り込み33bが端縁シール部33の内側領域33−2内を縦方向に伸びるように設けられ、その内端Pは内側領域33−2内においてLa>Lbとなる位置に配置されている。このとき、内端Pは端縁シール部33において内側領域33−2内の開閉手段7が接着されている場所よりも外側(外側領域33−1の側、すなわち、図示上側)に配置されている。特に、内端Pが開閉手段7よりも外側領域33−1と内側領域33−2の境界(境界線30cの延長線)に近い位置に配置されていることが好ましい。
また、この構成例においては、非シール部32内において開閉手段7の凹側ベース材7aと凸側ベース材7bがフィルム2の内面上に接着されているとともに、切り込み33bの内端Pは、外側領域33−1と内側領域33−2の境界線と、開閉手段7との間に配置されているため、引き裂き線は非シール部32内に入った後、境界線30cと開閉手段7とに挟まれた領域内を進行していく。したがって、開閉手段7によって引き裂き線が収容部の側に逸れる虞が低減されるため、より確実かつ安定した開封作業を行うことができる。
次に、図8は、本発明に係る第7実施形態の拡大部分側面図(a)、B−B端面図(b)及びC−C端面図(c)である。この実施形態では、第1実施形態とほぼ同様の構造を有するが、開封開始構造としてのノッチ33dの切り欠き形状のみが異なる。ノッチ33dは、全体として外側縁33d1が開口縁から縦方向にまっすぐに伸びた後に、縦方向に対して傾斜した方向に直線状に伸びるように構成されている。この外側縁33d1は第1実施形態のノッチ33aの外側縁33a1と実質的に同じ形状を有する。また、内側縁33d2が開口縁から縦方向に沿った水平方向に伸びる直線状に構成されている。この場合、ノッチ33dを外側縁33d1と内側縁33d2のみからなるものとし、外側縁33d1と内側縁33d2が合流する点を内端Pとしてもよいが、図示のように、外側縁33d1と内側縁33d2が合流する点からさらに縦方向に伸びる切り込み33eを形成し、この切り込み33eの先端を内端Pとすることが好ましい。このようにすると、内端Pから伸びる引き裂き線がさらに縦方向に近い方向に向けて進行するように規制することができる。なお、ノッチ33dの先端に設けた上記切り込み33eを、第1実施形態において、ノッチ33aの先端に設けてもよい。
次に、図9は、本発明に係る第8実施形態の拡大部分側面図(a)、B−B端面図(b)及びC−C端面図(c)である。この実施形態では、第6実施形態と近似した開閉手段7′を非シール部32に設けたものであるが、開閉手段7′では、これを構成する一対のベース材のうちの一方のベース材である凹側ベース材7a′がシール部31内に伸びてフィルム2の一対の側縁2b1,2b2に対してその間に接着され、第3実施形態又は第4実施形態のテープ6と同様に三層構造のシール部31を構成している点で第6実施形態の開閉手段7と異なる。なお、上記凹側ベース材7a′の代わりに他方のベース材である凸側ベース材7bをシール部31内に延長して接着した凸側ベース材7b′(図示せず)としてもよく、凹側ベース材7a′と凸側ベース材7b′(7b′は図示せず)の双方をシール部31内に延長して接着してもよい。ただし、このように延長したベース材7a′,7b′(7b′は図示せず)には、境界線30cに沿った位置に、ミシン目、ハーフカット線、微小な穿孔の列などの易開封作用を有する構造である切り裂き線を形成しておく。なお、この切り裂き線はベース材7a′,7b′にのみ設けられるので、フィルム2による背貼り部3の密封性を損なうことはない。
また、本実施形態では、開封開始構造として、第1実施形態のノッチ33aの外側縁33a1や第7実施形態のノッチ33dの外側縁33d1と同様の形状を有する切り込み33fと、この切り込み33fの先端に引き続いて形成された縦方向に直線状の伸びる切り込み33eとからなる切り込みを形成している。この切り込み33f,33eにおいても、上記第7実施形態のノッチ33dと実質的に同じ作用効果を奏することができる。
尚、本発明に係る包装用袋は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、第1実施形態ないし第8実施形態において、開封開始構造としてのノッチや切り込みは、全体として引き裂き線を縦方向又はそれに近い方向に導くための外側縁及び内側縁の形状、或いは、切り込み方向を有するとともに、その内端Pが非シール部32内の境界線30cに近い位置に引き裂き線を導くことができる位置に配置されていればよく、上記の形状に限定されるものではない。また、各実施形態において、他の実施形態のノッチ若しくは切り込みを相互に置換して採用しても構わない。さらに、各実施形態において、開閉手段7や7′を形成するか否かを変更してもよい。また、各実施形態においては、シール部31にテープ6を設けるか否か、テープ6を二層以上設けるか否か、などについては、適宜に変更することができる。
1…包装用袋、2…フィルム、2a…表側部分、2b…裏側部分、2b1,2b2…一対の側縁、3…背貼り部、30a…外縁、30b…内縁、30c…境界線、31…シール部、32…非シール部、33,34…端縁シール部、33−1…外側領域、33−2…内側領域、33a、33d…ノッチ、33a1,33d1…外側縁、33a2,33d2…内側縁、33b,33c,33e,33f…切り込み、4,5…横シール部、6…テープ、7,7′…開閉手段、7a…凹側ベース材、7b…凸側ベース材、A,B…引き裂き線(が形成された例)、P…内端