JP2016132767A - ゴム製品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム組成物から加硫されたゴム成形体からなるゴム製品を製造する際、ゴム成形体の物理的性質の低下をまねくことなく、ゴム成形体同士の付着防止を図ることができ、所望のゴム製品を効率良く製造できる、ゴム製品の製造方法を提供すること。【解決手段】混練されたゴム組成物から加硫ゴム成形体を作製するゴム成形体作製工程後に、(A)塩素化イソシアヌル酸と、(B)第3級アルコール系溶媒と、(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒とを含む処理液をゴム成形体表面に付す表面処理工程を有し、該表面処理工程が、温度が40℃以下の処理液を加硫ゴム成形体の表面に付す第1工程と、加硫ゴム成形体の表面に付着した処理液の加熱および洗浄を行う第2工程とを含む、ゴム製品の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明はゴム製品の製造方法に関し、特に、ゴム成形体同士の付着防止が図られ、所望の物理的特性を備えたゴム製品を効率よく製造できる、ゴム製品の製造方法に関する。
一般に、ゴム製品は、ベース成分であるゴム材料(原料ゴム)に架橋剤等の種々の添加剤を配合したゴム組成物を混練し、混練されたゴム組成物(混練工程を経たゴム組成物)をシート状やチューブ状などの所望の形状に予備成形し(予備成形工程)、得られた未加硫のゴム成形体をさらに加硫成形し(加硫成形工程)、成形を終えたゴム成形体から不要な部分を除去して成形体の仕上げを行い(仕上げ工程)、その後、洗浄、乾燥等を行い、検査工程、包装工程等を経て最終製品とされる。
かかるゴム製品の製造工程中、加硫成形工程を経たゴム成形体が付着しやすいと、その後のゴム成形体(製品)の検査工程や包装工程でのゴム成形体(製品)の取り扱い性が低下するため、加硫成形工程を経たゴム成形体(すなわち、加硫ゴム成形体)が付着しにくいこと(すなわち、防着性を有すること)が好ましい。例えば、特許文献1には、加硫ゴムの粘着(付着)を防止できる粘着防止剤として、低分子量ポリエチレングリコールおよび必要に応じたマイクロクリスタンワックスを、それらの合計量に対して10〜30重量%の脂肪酸アマイド、20〜40重量%の非イオン界面活性剤、80〜120重量%の長鎖脂肪酸塩により水中油型に乳化した粘着防止剤が提案されている。しかし、この粘着防止剤は、充分な付着防止効果を発揮させるためには、高濃度で使用することが必要であり、それ故、加硫ゴムに該粘着防止剤を付すと、加硫ゴムの物理的性質を低下させてしまうという問題点がある。
特開昭60―203649号公報
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その解決しようとする課題は、ゴム組成物から加硫ゴム成形体からなるゴム製品を製造する際、ゴム成形体の物理的性質の低下をまねくことなく、ゴム成形体同士の付着防止を図ることができ、所望のゴム製品を効率良く製造できる、ゴム製品の製造方法を提供することにある。
また、ゴム組成物から加硫ゴム成形体からなるゴム製品を製造する際、ゴム成形体の物理的性質の低下をまねくことなく、ゴム成形体同士の付着防止を図ることができ、しかも、低摩擦性が付与されたゴム製品を効率よく製造できる、ゴム製品の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究をした結果、塩素化イソシアヌル酸と、第3級アルコール系溶媒と、エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒とを含む処理液をゴム成形体(加硫ゴム成形体)の表面に付すことで、ゴム成形体に優れた防着性を付与でき、しかも、該処理液で表面処理されたゴム成形体の物理的性質は該処理液で表面処理される前のゴム成形体の物理的性質に対して変化し難いことを知見した。また、必ずしも加熱した該処理液をゴム成形体の表面に付さなくても、常温付近の処理液をそのままゴム成形体に付着させた後、加熱することで、表面処理反応が進行し得ることを知見した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、その特徴は以下の通りである。
[1] ゴム組成物から加硫ゴム成形体を作製するゴム成形体作製工程後に、(A)塩素化イソシアヌル酸と、(B)第3級アルコール系溶媒と、(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒とを含む処理液を用いて該加硫ゴム成形体の表面処理を行う表面処理工程を有する、加硫ゴム成形体からなるゴム製品の製造方法であって、
前記表面処理工程が、
温度が40℃以下の処理液を加硫ゴム成形体の表面に付す第1工程と、
加硫ゴム成形体の表面に付着した処理液の加熱および洗浄を行う第2工程とを含むことを特徴する、ゴム製品の製造方法。
[2] 第1工程が、温度が40℃以下の処理液中に加硫ゴム成形体を浸漬する工程である、上記[1]記載の方法。
[3] 浸漬時間が、1秒〜10分である、上記[2]記載の方法。
[4] 第2工程における処理液の加熱温度が40℃を超え、処理液の沸点以下である、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の方法。
[5] 第2工程が、第1工程を経て、表面に処理液が付着した加硫ゴム成形体を、温度が40℃を超え、100℃以下の温水か、或いは、水と有機溶媒の混合液であって、40℃を超え、該混合液の沸点以下の温度に加温された混合液に浸漬する工程である、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の方法。
[6] 浸漬時間が、1〜10分である、上記[5]記載の方法。
[7] ゴム成形体作製工程後に、該ゴム成形体作製工程を経て得られた加硫ゴム成形体から不要部分を取り除く仕上げ工程及び該仕上げ工程を経た加硫ゴム成形体の外観検査を行う検査工程を含むか、或いは、該仕上げ工程及び該検査工程に加えて、該検査工程を経た加硫ゴム成形体を包装する、包装工程をさらに含み、
表面処理工程が、(i)ゴム成形体作製工程後、仕上げ工程前の期間、及び/又は、(ii)仕上げ工程後、検査工程前の期間にて、実施される、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の方法。
[8] ゴム成形体作製工程後に、該ゴム成形体作製工程を経て得られた加硫ゴム成形体から不要部分を取り除く仕上げ工程及び該仕上げ工程を経た加硫ゴム成形体の外観検査を行う検査工程を含むか、或いは、該仕上げ工程及び該検査工程に加えて、該検査工程を経た加硫ゴム成形体を包装する、包装工程をさらに含み、
表面処理工程が、(i)ゴム成形体作製工程後、仕上げ工程前の期間、及び/又は、(ii)仕上げ工程後、検査工程前の期間にて、実施される、上記[5]又は[6]に記載の方法。
[9] 検査工程前に、洗浄工程および乾燥工程をさらに有し、仕上げ工程後、検査工程前に、表面処理工程を有する場合は、該洗浄工程を、温度が40℃を超え、100℃以下の温水か、或いは、水と有機溶媒の混合液であって、40℃を超え、該混合液の沸点以下の温度に加温された該混合液に浸漬する工程にして、表面処理工程の第2工程に充当させてなる、上記[8]に記載の方法。
[10] (A)塩素化イソシアヌル酸が、トリクロロイソシアヌル酸である、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の方法。
[11] (B)第3級アルコール系溶媒が、tert−アミルアルコールおよび/またはtert−ヘプチルアルコールである、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の方法。
[12] (B)第3級アルコール系溶媒と(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒との配合比((B):(C))が、重量比で5:5〜8:2である、上記[1]〜[11]のいずれか1つに記載の方法。
[13] (A)塩素化イソシアヌル酸の含有量が、処理液全体当たり1〜10重量%である、上記[1]〜[12]のいずれか1つに記載の方法。
[14] ゴム組成物が、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)からなる群から選択される1種以上のゴムに添加剤が配合されたものである、上記[1]〜[13]のいずれか1つに記載の方法。
[15] ゴム組成物が、ニ卜リルゴムに添加剤が配合されたニ卜リルゴム組成物である、上記[1]〜[14]のいずれか1つに記載の方法。
[16] ゴム製品がシール材である、上記[1]〜[15]のいずれか1つに記載の方法。
本発明によれば、ゴム組成物から加硫ゴム成形体からなるゴム製品を製造する際、作業環境を悪化させることなく、ゴム成形体同士の付着防止を図ることができ、所期の物理的性質(物理的特性)を備えたゴム製品を効率良く製造することができる。また、常温付近の処理液を使用するため、処理液の劣化を抑制でき、表面処理を繰り返し行う場合に、処理液を補充するだけでよく、劣化し廃棄する処理液の量を低減することができる。このため、処理液に伴うコストを削減でき、また、処理液の廃棄が少なくなるので、環境汚染の懸念もない。
なお、本明細書中の「常温」とは、JIS Z 8703に規定の20℃±15℃(5〜35℃)のことであり、「常温付近」とは、1〜40℃を指す。
また、塩素化イソシアヌル酸と、第3級アルコール系溶媒と、エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒とを含む処理液は、ゴム成形体同士の付着防止に加えて、ゴム成形体に低摩擦性を付与することができるため、例えば、金属に対する摩擦係数が高いニトリルゴムをベース成分とするニトリルゴム組成物から金属に対して低摩擦性を示すゴム製品(加硫ゴム成形体)を得ることが可能である。よって、本発明は、ニトリルゴム組成物からなる摺動部用シール材の製造に特に好適である。
また、本発明によれば、ゴム製品が析出(ブルーム、ブリード等)を生じやすい成分を含むゴム組成物から製造されるものである場合に、加硫成形工程直後の、析出が生じていないゴム成形体(加硫ゴム成形体)が、塩素化イソシアヌル酸と、第3級アルコール系溶媒と、エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒とを含む処理液にて表面処理がなされることで、その後の析出、すなわち、仕上げ工程、検査工程および包装工程や、包装工程後の保管や輸送中におけるゴム製品からの析出(ブルーム、ブリード等)が生じることを防止でき、より信頼性の高いゴム製品を製造することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して説明する。
本発明のゴム製品の製造方法(以下、「本発明方法」とも略称する)は、ゴム組成物から加硫ゴム成形体を作製するゴム成形体作製工程後に、(A)塩素化イソシアヌル酸と、(B)第3級アルコール系溶媒と、(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒とを含む処理液をゴム成形体表面に付す表面処理工程を有することを主たる特徴とする。
従来からのゴム製品の製造方法と同様に、本発明方法における、ゴム組成物から加硫ゴム成形体を作製するゴム成形体作製工程は、混練されたゴム組成物を予備成形し、さらに加硫成形する態様(すなわち、混練されたゴム組成物を予備成形する予備成形工程と、予備成形工程を経て得られたゴム成形体を加硫成形する加硫成形工程とからなる態様)か、或いは、混練されたゴム組成物を射出成形して加硫ゴム成形体を得る態様からなる。
また、ゴム成形体作製工程後は、基本的に、ゴム成形体作製工程で得られた加硫ゴム成形体の不要部分を取り除く仕上げ工程、仕上げ工程を経た加硫ゴム成形体の外観検査を行う検査工程を含む。また、仕上げ工程で生じたゴム屑等の除去、ゴム製品の美観、表面性状の安定化等のために、仕上げ工程を経た加硫ゴム成形体を洗浄、乾燥してから(すなわち、洗浄工程および乾燥工程を行ってから)、検査工程を行うことがあり、また、多くの場合、検査工程を経て良品とされた加硫ゴム成形体(ゴム製品)は、保管や、出荷後の製品の流通過程での製品保護等のために、包装材に計数の上(すなわち、所定数を計数してから包装材に)包装される(すなわち、包装工程を有する)ことがある。
本明細書中、「未加硫」、「加硫成形」および「加硫ゴム」等における「加硫」とは、硫黄、或いは、硫黄と加硫促進剤を使用してゴムのポリマー分子を化学的に結合して三次元化すること、或いは、該三次元化された状態を意味するだけでなく、有機過酸化物等の硫黄以外の架橋剤を使用してゴムのポリマー分子を化学的に結合して三次元化すること、或いは、該三次元化された状態を意味する。
以下、本発明方法におけるゴム組成物および各工程を詳しく説明する。
本発明において、ゴム組成物とは、ベース成分であるゴム材料に、架橋剤、架橋促進剤、スコーチ防止剤、老化防止剤、充填剤、可塑剤、架橋助剤、加工助剤、プロセス油、難燃剤等から選ばれる1種または2種以上の添加剤が配合された組成物であり、これらの添加剤はゴム材料とともに混練機に投入される。
ゴム材料は、特に限定されず、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。ゴム材料は1種又は2種以上を使用できる。
架橋剤は、ゴムのポリマー分子を化学的に結合して三次元化するために添加する材料であり、硫黄または有機過酸化物等が好適に使用される。有機過酸化物としては、例えば、ジtーブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3,1,3−ジ(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート等が例示される。架橋剤は1種又は2種以上を使用できる。
架橋促進剤としては、例えば、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が例示される。スコーチ防止剤としては、例えば、N−シクロヘキシルチオフタルイミド、N−ニトロジフェニルアミン、無水フタル酸、N−フェニル−N−(トリクロロメチルチオ)ベンゼンスルホンアミド等が例示される。老化防止剤としては、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤等が例示される。充填剤としては、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、グラファイ卜、珪酸カルシウム等が例示される。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸系可塑剤、ジオクチルアジペート等のアジピン酸系可塑剤、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸系可塑剤、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート等のトリメリット酸系可塑剤、ポリエーテルやポリエステル等の重合型可塑剤等が例示される。架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレー卜、トリアリルイソシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルトリメリテート、1,2ーポリブタジエンなどの多官能性化合物が例示される。加工助剤としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等が例示される。プロセス油としては、例えば、アロマティック系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル等が例示される。また、難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属酸化物、デカブロモジフェニルエタン等の臭素系化合物等が例示される。これら架橋剤以外の各添加剤も架橋剤と同様に1種又は2種以上を使用できる。
ゴム組成物における各種添加剤の配合量は、製造すべきゴム製品の用途、要求特性等に応じて常法に従って適宜調整される。
例えば、ゴム材料にニトリルゴムを使用してシール材を製造する場合、ゴム組成物の典型的な組成としては、以下の組成が例示される。
(組成例1)
ニトリルゴム:100重量部
架橋剤(典型的には硫黄):0.1〜3重量部
充填剤(典型的にはカーボンブラック):20〜150重量部
架橋促進剤:2〜6.5重量部
加工助剤:0.1〜5重量部
可塑剤:3〜20重量部
老化防止剤:0.5〜5重量部
酸化亜鉛:3〜7重量部
また、ゴム材料にEPDMを使用してシール材を製造する場合、ゴム組成物の典型的な組成としては、以下の組成が例示される。
(組成例2)
EPDM:100重量部
酸化亜鉛:3〜7重量部
ステアリン酸:0.3〜1.5重量部
カーボンブラック:50〜120重量部
ナフテン系オイル:30〜80重量部
加硫促進剤:0.7〜2.4重量部
硫黄:0.1〜3重量部
ゴム組成物の混練は、公知の混練機(例えば、オープンロール、インターミックス、ニーダー、バンバリーミキサ等)や二軸混練押出機などを用いて行われる。混練温度、混練条件等は製造すべきゴム製品の用途、要求特性等に応じて常法に従って適宜設定される。
予備成形工程では、混練されたゴム組成物を、製造すべきゴム製品(加硫ゴム成形体)に近い形状または成形しやすい形状に予備成形する。予備成形には、従来からのゴム製品の製造時における予備成形工程において広く使用されているような、例えば、押出機、オープンロール、プレフォマなどの装置が好ましく用いられる。予備成形して得られる未加硫ゴムの成形体の形状および大きさは製造すべきゴム製品(加硫ゴム成形体)の形状および大きさを考慮して適宜選択される。なお、射出成形によって加硫ゴム成形体を得る場合は、あらかじめ混練時にリボン形状に仕上げておくことにより、予備成形工程は不要であり、混練工程後、予備成形工程を経ることなく、加硫成形工程が行われる。
加硫成形工程では、例えば、射出成形機、圧縮成形機、加熱プレス成形機などを用いて、所定の温度で加熱成形して、加硫ゴム成形体を得る。加熱温度および加熱時間はゴム材料、製造すべきゴム製品の形状などに応じて適宜設定されるが、一般的には、130〜200℃、1分〜120分の範囲内で選択される。具体的には、例えば、ゴム組成物がニトリルゴム組成物の場合、好適な温度条件としては、約150〜200℃で約2〜30分間程度加熱する態様が挙げられる。
加硫成形工程を経て得られた加硫ゴム成形体は通常バリなどの不要部分が生じており、このため、バリなどの不要部分を取り除くための仕上げ工程が行われる。仕上げ工程は、通常、打ち抜き機、手毟り等を使用して、装置乃至人の手によって行われる。
仕上げ工程後に行われる洗浄工程では、通常、洗浄液として水道水または工業用のイオン交換水などをゴム成形体表面に吹き付けたり、流しかけたりするか、或いは、水道水または工業用のイオン交換水などが充填された洗浄槽にゴム成形体を浸漬する。洗浄工程により、仕上げ工程を経た加硫ゴム成形体は梱包作業へ移る。なお、ゴム成形体表面への不純物の付着などを抑制する観点から洗浄液としてはイオン交換水を使うことが好適であり、イオン交換水としては、例えば、25℃での導電率が、5〜25MΩ・cm、好ましくは、10〜20MΩ・cmのものを使用するのが好ましい。洗浄液の温度は、常温若しくは常温よりも高い温度であればよく、後の乾燥工程のことを考慮すると、常温よりも、20℃以上80℃以下(好ましくは、50℃以上80℃以下)の範囲で高い温度であることが好ましい。また、洗浄槽は、2つ以上、好ましくは3つ以上(8つ以下)設けてもよく、複数の洗浄槽にて、ゴム成形体の移し替えを行うことで、洗浄効果が向上する。
乾燥工程は、洗浄工程を経たゴム成形体を乾燥する工程であり、通常、ゴム成形体を大気中で自然乾燥させる。なお、乾燥を促進するために、例えば、50〜100℃程度の熱風を吹き付けて乾燥を行ってもよい。
検査工程は、最終のゴム製品とするために、ゴム成形体の外観を目視、拡大鏡、画像解析装置等にて、ゴム成形体の表面の傷の有無等を検査する工程である。かかる検査工程にて良品と不良品とが選別される。
包装工程は、ゴム製品の保管や出荷後のゴム製品の輸送過程での保護等のために、検査工程を経たゴム成形体を包装材にて包装する工程である。かかる包装工程では、複数個のゴム成形体が無作為に包装袋に入れて梱包される。なお、ここでいう、「梱包」は輸送を目的とした「工業包装」の意味である。
本発明方法では、上述の通り、ゴム組成物から加硫ゴム成形体を作製するゴム成形体作製工程後に、(A)塩素化イソシアヌル酸と、(B)第3級アルコール系溶媒と、(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒とを含む処理液(以下、「本発明の処理液」ともいう)をゴム成形体表面に付す表面処理工程が行われる。通常、該表面処理工程は、(i)ゴム成形体作製工程後、仕上げ工程前の期間、及び/又は、(ii)仕上げ工程後、検査工程前の期間にて、実施される。なお、表面処理工程が、(ii)仕上げ工程後、検査工程前の期間に実施される場合は、通常、洗浄工程および乾燥工程は、表面処理工程後、検査工程前に行われる。なお、この場合、洗浄工程を、温度が40℃を超え、100℃以下の温水か、或いは、水と有機溶媒の混合液であって、温度が40℃を超え、該混合液の沸点未満の温度に加温された混合液に浸漬する工程にすることで、該洗浄工程を、後記にて詳述する、表面処理工程の第2工程に充当させることができる。このため、ゴム製品の製造工程を簡略化できる、利点がある。
本発明の処理液は、ゴム成形体の内部に浸透しにくく、ゴム成形体の表面に作用し、ゴム成形体の物理的性質の低下をまねくことなく、ゴム成形体の表面に防着性を付与する。
(A)塩素化イソシアヌル酸
本発明の処理液において、「塩素化イソシアヌル酸」とは、塩素化イソシアヌル酸の塩も含む概念であり、例えば、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及びその水和物、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸マグネシウム等が挙げられる。なかでも、ゴム成形体表面への防着性の付与効果に優れるという観点から、トリクロロイソシアヌル酸が好ましい。塩素化イソシアヌル酸は1種または2種以上を使用できる。
処理液中の塩素化イソシアヌル酸の含有量は、処理液全体当たり1〜10重量%が好ましく、より好ましくは2〜5重量%である。10重量%より多いと、ゴム成形体の物理的性質(特に伸張性)が低下する傾向となり、1重量%未満ではゴム成形体表面に十分な防着性を付与することが困難な傾向となる。
(B)第3級アルコール系溶媒
「第3級アルコール系溶媒」は、処理液を室温処理にて所期の効果が得られる処理液とする観点から、炭素数が5〜10程度の第3級アルコール系溶媒が好ましく、例えば、tert−アミルアルコール(別称:2-メチル-2-ブタノール)、tert−ヘプチルアルコール(別称:3−エチル−3−ペンタノール)等が挙げられ、好ましくはtert−アミルアルコールである。第3級アルコール系溶媒は1種または2種以上を使用できる。
(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒
「エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒」における、エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、好ましくは、酢酸エチルである。また、ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(DAA)等が挙げられ、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)である。エステル系溶媒およびケトン系溶媒は、それぞれ、1種または2種以上を使用できる。
「エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒」は、エステル系溶媒の単独、或いは、エステル系溶媒とケトン系溶媒の併用が好ましい。エステル系溶媒とケトン系溶媒の併用の場合、エステル系溶媒とケトン系溶媒の量比(エステル系溶媒:ケトン系溶媒)は重量比で1:1〜2または1〜2:1程度が好ましい。
本発明の処理液において、(B)第3級アルコール系溶媒と(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒との配合比((B):(C))は、重量比で5:5〜8:2が好ましく、6:4〜7:3がより好ましい。
なお、(B)第3級アルコール系溶媒を使用せず、(A)塩素化イソシアヌル酸を(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒に溶解させて得られる処理液の場合、処理液がゴム成形体の内部に浸透して、ゴム成形体の物理的性質が低下してしまう。また、(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒を使用せず、(A)塩素化イソシアヌル酸を(B)第3級アルコール系溶媒に溶解させて得られる処理液の場合、ゴム成形体の物理的性質を低下させないものの、十分に高い防着性の付与効果を得ることが困難になる。
本発明の処理液には、本発明の効果を損なわない範囲で、(B)成分および(C)成分以外の溶媒をさらに配合してもよい。
本発明の処理液による表面処理工程は、温度が40℃以下の処理液を加硫ゴム成形体の表面に付す第1工程と、第1工程を経て加硫ゴム成形体の表面に付着した処理液の加熱および洗浄を行う第2工程とを含む。
第1工程
この工程は、加硫ゴム成形体の表面に処理液を付着させる工程である。
ゴム成形体の表面に温度が40℃以下の処理液を付す(接触させる)方法は特に限定されないが、ゴム成形体を処理液中に浸漬する方法、ゴム成形体に処理液をスプレー塗布する方法、ゴム成形体に処理液をはけ塗りする方法、ゴム成形体に処理液をかけ流す方法等が挙げられるが、作業が簡易で、短時間で効果が得られ、しかも、多数個のゴム成形体を一括して均一に処理ができるという観点から、浸漬処理が好ましい。なお、処理液の温度は、1℃以上、40℃以下が好ましく、より好ましくは20℃以上、40℃以下であり、特に好ましくは、20℃以上、30℃以下である。1℃未満であると、塩素化イソシアヌル酸の処理液中での溶解性が低下する傾向および処理液の凝固が生じる虞がある。
浸漬処理の場合、浸漬時間は、1秒〜10分程度が好ましく、より好ましくは5〜10分程度である、10分を超えると、表面処理がそれ以上に進行し難く、また、1秒未満では、表面に処理液が十分に付着せず、十分な効果が得られにくくなる傾向となる。
第2工程
この工程は、表面処理を実効させる工程であり、加硫ゴム成形体の表面に付着した処理液の加熱および洗浄を行う。なお、処理液の加熱温度は、40℃を超え、処理液の沸点以下が好ましい。本発明の処理液の沸点は、通常、40℃を超え、150℃以下の範囲内である。
具体的には以下の態様が挙げられる。
(A)表面に処理液が付着した加硫ゴム成形体を、温度が40℃を超え、100℃以下の温水か、或いは、水と有機溶媒の混合液であって、40℃を超え、該混合液の沸点以下の温度に加温された該混合液に、浸漬する態様。
(B)表面に処理液が付着した加硫ゴム成形体を、40℃を超え、100℃以下の温度に設定されたオーブンの中に入れて(通過させて)加熱した後、加硫ゴム成形体を、温水、或いは、水と有機溶媒の混合液にて洗浄する態様。
(A)の態様の場合、表面に処理液が付着した加硫ゴム成形体を、温度が40℃を超え、100℃以下の温水か、或いは、水と有機溶媒の混合液であって、温度が40℃を超え、該混合液の沸点以下の温度に加温された該混合液に浸漬することで、加硫ゴム成形体の表面に付着した処理液が加熱されて加硫ゴム成形体との反応が進行し、浸漬を継続することで、加硫ゴム成形体の表面での表面処理に作用しなかった処理液を加硫ゴム成形体表面から洗い流す。温水、或いは、水と有機溶媒の混合液の温度が40℃以下であると、処理液と加硫ゴム成形体との反応が十分に進行せず、十分な表面処理効果が得られない。また、温水の温度が100℃を超えたり、水と有機溶媒の混合液の温度が該混合液の沸点を超える温度であると、温水或いは混合液の蒸発が激しくなり、実用性がなくなる。なお、処理液と加硫ゴム成形体との反応を十分に進行させるために、温水或いは混合液の温度は50〜85℃が好ましく、より好ましくは60〜80℃である。
浸漬時間は、1秒〜10分程度が好ましく、より好ましくは10秒〜5分程度、特に好ましくは15秒〜30秒分程度である。1秒未満であると、表面処理効果が得難くなる傾向にあり、10分を超えると、それ以上の効果が得難くなる傾向となる。
ここで、温水は、例えば、水道水、工業用のイオン交換水等を加熱したものであり、特に限定されないが、不純物による悪影響を受けにくいため、工業用のイオン交換水が好ましい。また、水と有機溶媒の混合液における有機溶媒としては、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等の炭素数が1〜4の脂肪族アルコール等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(DAA)等)、キシレン等が挙げられる。有機溶媒は1種または2種以上を使用できる。水と有機溶媒の混合比は、重量比(水:有機溶媒)で1:9〜9:1が好ましい。
(B)の態様の場合、表面に処理液が付着した加硫ゴム成形体を、40℃を超え、100℃以下の温度に設定されたオーブン中に入れることで、加硫ゴム成形体の表面に付着した処理液が加熱されて加硫ゴム成形体との反応が進行する。オーブン中の温度は、50〜85℃が好ましく、より好ましくは60〜80℃である。また、オーブン中での加熱時間は、特に限定されないが、1秒〜10分程度が好ましく、3分〜7分程度がより好ましい。
オーブン中での加熱後に行われる、温水、或いは、水と有機溶媒の混合液による洗浄では、温水、または、水と有機溶媒の混合液をゴム成形体表面に吹き付けたり、流しかけたりするか、或いは、温水、または、水と有機溶媒の混合液にゴム成形体を浸漬する。温水、または、水と有機溶媒の混合液の温度は特に限定はされないが、それらの沸点以下の温度が好ましく、50〜85℃が好ましく、より好ましくは60〜80℃である。温水に浸漬する場合、浸漬時間は1秒〜1分である。
かかる第2工程において、水と有機溶媒の混合液を使用する場合は、有機溶媒の揮散抑制のために、蒸発する混合液を吸引機等によって回収する手段を設けることが好ましい。
表面処理工程において、第2工程の後は、加硫ゴム成形体を室温(1〜30℃)で自然乾燥させる。
なお、第2工程が、(A)の態様の場合、加硫ゴム成形体を、温度が40℃を超え、100℃以下の温水か、或いは、水と有機溶媒の混合液であって、40℃を超え、該混合液の沸点以下の温度に加温された混合液に浸漬することで、加硫ゴム成形体の洗浄も行われ、洗浄工程が不要になる分、ゴム製品の製造効率が向上する。
本発明の処理液は、加硫成形された加硫ゴム成形体に対して優れた防着性付与効果を示し、また、加硫ゴム成形体の表面に低摩擦性を付与する効果も有する。従って、(i)ゴム成形体作製工程後(すなわち、加硫成形工程後)、仕上げ工程前の期間、及び/または、(ii)仕上げ工程後、検査工程前の期間に、表面処理工程が行われることで、加硫ゴム成形体の表面に防着性が付与されるため、検査工程および包装工程等でのゴム製品(加硫ゴム成形体)同士の付着が防止され、検査工程および包装工程等におけるゴム製品(加硫ゴム成形体)の取り扱い性が向上し、その結果、ゴム製品の製造効率を向上させることができる。
また、特にゴム製品が析出(ブルーム、ブリード等)が生じやすい成分を含むゴム組成物から製造されるゴム製品である場合、ゴム成形体作製工程(すなわち、加硫成形工程)直後の析出が生じていない加硫ゴム成形体に対して表面処理工程が行われることで、その後の析出、すなわち、仕上げ工程、検査工程および包装工程等や、包装工程後の保管や輸送中における析出を抑制できる効果がある。従って、ゴム成形体からの添加剤成分の析出(ブルーム、ブリード等)が生じやすい配合組成のゴム組成物からゴム製品を製造する際に、本発明方法は有益である。ゴム成形体からの添加剤成分の析出(ブルーム、ブリード等)が生じやすい配合組成のゴム組成物の例としては、例えば、以下のゴム組成物Aが挙げられる。
(ゴム組成物A)
NBR:100重量部
酸化亜鉛:1〜10重量部
ステアリン酸:1〜10重量部
充填剤(カーボン;SRFカーボン):20〜120重量部
可塑剤(DOP):1〜10重量部
架橋剤(硫黄):1〜10重量部
加硫促進剤:1〜10重量部
また、本発明の処理液はゴム成形体の物理的性質の低下をまねくことなく、ゴム成形体表面に低摩擦性を付与するため、特にニトリルゴム(NBR)のような金属面に対する摩擦係数が高いゴムをベース成分とするゴム組成物からシール材を製造する態様では、シール材の伸張性を低下させることなく、金属面に対して優れた低摩擦性を有するシール材を効率良く製造することができる。従って、本発明方法は、特に摺動部用シール材の製造方法として好適である。
なお、本発明方法は、各種産業分野における種々のゴム製品の製造に適用でき、例えば、自動車用ウエザーストリップ;自動車用ホース(例えばブレーキホース、ラジエターホース、ヒーターホース、エアークリーナーホース等);送水用ホース;ガス用ホース;建材のシール材(例えば、ガスケット、エアータイト、目地材、戸当たり部等);自動車用シールのシール材(例えば、Oリング、RL(ラジアルリップ)、シールリング等);建設機械・油圧機器用シールのシール材(例えば、Oリング、キャップシール用Oリング、Uパッキン、回転軸シール、ウエアリング、Dリング、RLシール等);空気圧機器用シールのシール材(例えば、ピストン用パッキン、ロッド用パッキン、Xリング等);真空・半導体装置用シールのシール材;産業機器用シールのシール材(キャップシール用リング等)等のゴム製品の製造に有用である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(ゴム成形体の作製)
ゴム材料であるニトリルゴム100重量部、架橋剤としての硫黄0.5重量部、充填剤としてのカーボンブラック60重量部、架橋促進剤(TT:テトラメチルチウラムジサルファイド)1.5重量部、加工助剤(ステアリン酸)1重量部、可塑剤(DOP)5重量部をバンバリーミキサーに投入して、その後シート状に加硫成形した成形体から、50mm(縦)×20mm(横)×2mm(厚さ)の試験片を作製した。
(処理液の調製)
(A)塩素化イソシアヌル酸としてトリクロロイソシアヌル酸を、(B)第3級アルコール系溶媒としてtert−アミルアルコール(以下、「tAA」とも略称する)を、(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒として酢酸エチル(以下、「EA」とも略称する)を使用し、tAAにトリクロロイソシアヌル酸が2重量%となるように配合した処理液と、EAにトリクロロイソシアヌル酸が2重量%となるように配合した処理液とを、tAAとEAの配合比がtAA:EA=5:5となるように配合し、トリクロロイソシアヌル酸が均一に溶解するまで混合・撹拌して最終の処理液を調製した。
(表面処理方法)
上記の最終調製された処理液中(液温:30℃)に上記の試験片を所定時間(1分、5分、10分)浸漬後、槽から取り出し、さらに60℃のイオン交換水中に60秒浸漬(加硫ゴム成形体への表面処理兼洗浄)後、取り出し、自然乾燥させ、乾燥後、以下の評価試験を行った。
(実施例2)
(ゴム成形体の作製)
実施例1と同じとした。
(処理液の調製)
処理液におけるtAAとEAの配合比をtAA:EA=7:3とした以外は、実施例1と同じとした。
(表面処理方法)
最終調製された処理液中(液温:25℃)に上記の試験片を所定時間(1分、5分、10分)浸漬後、槽から取り出し、さらに80℃のイオン交換水中に60秒浸漬(加硫ゴム成形体の表面処理兼洗浄)後、取り出し、自然乾燥させ、乾燥後、以下の評価試験を行った。
[評価試験]
(1)摩擦試験(静摩擦係数及び動摩擦係数の測定)
JIS K7125を参考にHEIDON社製の表面性測定器を用いた。水平な試験テーブル上で試験片にボール圧子(SUS304)を接点に100gの荷重をかけ、75mm/minで試験片を水平に動かした際のボール圧子と試験片間の摩擦係数を測定した。
(2)防着性試験
試験片の処理表面同士を接触させて上から1kg程度の荷重を5分程度かけ、荷重を取り除いた際に、試験片同士が付着しており、多少の振動を与えたり振ったりしても全く分離しない場合を不可(×)、付着はしているが、軽く振動を与えたり振ったりすれば分離する場合を可(△)、付着していない場合を良好(○)とした。
(3)伸張性試験
試験片を100%〜150%程度伸張させ、その表面を目視で観察して亀裂が認められるものを不可(×)、目視では亀裂は全く認められないが、その表面をマイクロスコープ(200倍)で観察した場合に認められるものを可(△)、200倍でも亀裂が認められないものを良好(○)とした。
実施例1の評価試験の結果を下記表1に示す。
Figure 2016132767
実施例2の評価試験の結果を下記表2に示す。
Figure 2016132767
表1、2の結果から、加硫ゴム成形体であるゴムシールに対して、伸張性を低下させることなく、低摩擦性および防着性を付与できることが分かる。従って、本発明の方法であれば、ゴム成形体同士の付着防止を図ることができ、所期の物理的性質(物理的特性)を備えたゴム製品を効率良く製造できることが明らかになった。
また、実施例1、2においては、温度が40℃以下の処理液(実施例1:30℃、実施例2:25℃)を使用したので、処理液の劣化を抑えることができ、劣化による廃棄する処理液の量を低減でき、さらに、加硫ゴム成形体の処理液への浸漬後、80℃のイオン交換水への加硫ゴム成形体の浸漬によって、表面処理兼洗浄が成されるため、ゴム製品の製造効率を一層向上できることとなった。

Claims (16)

  1. ゴム組成物から加硫ゴム成形体を作製するゴム成形体作製工程後に、(A)塩素化イソシアヌル酸と、(B)第3級アルコール系溶媒と、(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒とを含む処理液を用いて該加硫ゴム成形体の表面処理を行う表面処理工程を有する、加硫ゴム成形体からなるゴム製品の製造方法であって、
    前記表面処理工程が、
    温度が40℃以下の処理液を加硫ゴム成形体の表面に付す第1工程と、
    加硫ゴム成形体の表面に付着した処理液の加熱および洗浄を行う第2工程とを含むことを特徴する、ゴム製品の製造方法。
  2. 第1工程が、温度が40℃以下の処理液中に加硫ゴム成形体を浸漬する工程である、請求項1記載の方法。
  3. 浸漬時間が、1秒〜10分である、請求項2記載の方法。
  4. 第2工程における処理液の加熱温度が40℃を超え、処理液の沸点以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 第2工程が、第1工程を経て、表面に処理液が付着した加硫ゴム成形体を、温度が40℃を超え、100℃以下の温水か、或いは、水と有機溶媒の混合液であって、40℃を超え、該混合液の沸点以下の温度に加温された混合液に浸漬する工程である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  6. 浸漬時間が、1〜10分である、請求項5記載の方法。
  7. ゴム成形体作製工程後に、該ゴム成形体作製工程を経て得られた加硫ゴム成形体から不要部分を取り除く仕上げ工程及び該仕上げ工程を経た加硫ゴム成形体の外観検査を行う検査工程を含むか、或いは、該仕上げ工程及び該検査工程に加えて、該検査工程を経た加硫ゴム成形体を包装する、包装工程をさらに含み、
    表面処理工程が、(i)ゴム成形体作製工程後、仕上げ工程前の期間、及び/又は、(ii)仕上げ工程後、検査工程前の期間にて、実施される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  8. ゴム成形体作製工程後に、該ゴム成形体作製工程を経て得られた加硫ゴム成形体から不要部分を取り除く仕上げ工程及び該仕上げ工程を経た加硫ゴム成形体の外観検査を行う検査工程を含むか、或いは、該仕上げ工程及び該検査工程に加えて、該検査工程を経た加硫ゴム成形体を包装する、包装工程をさらに含み、
    表面処理工程が、(i)ゴム成形体作製工程後、仕上げ工程前の期間、及び/又は、(ii)仕上げ工程後、検査工程前の期間にて、実施される、請求項5又は6に記載の方法。
  9. 検査工程前に、洗浄工程および乾燥工程をさらに有し、仕上げ工程後、検査工程前に、表面処理工程を有する場合は、該洗浄工程を、温度が40℃を超え、100℃以下の温水か、或いは、水と有機溶媒の混合液であって、40℃を超え、該混合液の沸点以下の温度に加温された該混合液に浸漬する工程にして、表面処理工程の第2工程に充当させてなる、請求項8に記載の方法。
  10. (A)塩素化イソシアヌル酸が、トリクロロイソシアヌル酸である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. (B)第3級アルコール系溶媒が、tert−アミルアルコールおよび/またはtert−ヘプチルアルコールである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. (B)第3級アルコール系溶媒と(C)エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒との配合比((B):(C))が、重量比で5:5〜8:2である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. (A)塩素化イソシアヌル酸の含有量が、処理液全体当たり1〜10重量%である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. ゴム組成物が、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)からなる群から選択される1種以上のゴムに添加剤が配合されたものである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. ゴム組成物が、ニ卜リルゴムに添加剤が配合されたニ卜リルゴム組成物である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. ゴム製品がシール材である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
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