JP2016123389A - 揮散性薬剤含有立体構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】揮散性を有する揮散性薬剤を含有させた樹脂組成物を平板状に成形した立体構造体であり、立体構造体は、正面から背面にかけて貫通した貫通孔を有し、立体構造体を正面から見たとき、貫通孔の周縁は、多角形状、円状、円弧状及び渦巻き状から選ばれる形状を有し、貫通孔の周縁の形状は、同一平面、又は連続して変化する面に形成された形状とする。
【選択図】図2
Description
さらに、正面から背面にかけて貫通した貫通孔を有するので、揮散する上記薬剤の流れを一定方向に揃えて気流を生じやすくすることで、濃度の高い薬剤を目的の方向に集め、防虫効果を高めることができる。
また、立体構造となるので、容器と接する揮散性薬剤含有立体構造体の部分を減らすことができ、容器の内壁と接触することで生じる揮散性薬剤の揮散量低下や容器の汚染を抑制することが可能となる。
上記揮散性薬剤は、常温で揮散性を有する薬剤であり、常温において有効成分が揮散するものであれば、特に限定されるものではなく、防虫剤、忌避剤、芳香剤、消臭剤、防黴剤、抗菌剤などを用いることができる。
次に、上記の立体構造体を構成する樹脂組成物について説明する。
この樹脂組成物は、樹脂に揮散性薬剤を含有させた組成物であり、かつ、含有する上記揮散性薬剤を揮散することが可能な組成物である。
また、ポリオレフィン系共重合体とオレフィンの単独重合体との含有比率を調整して混合したポリマーブレンドを用いることもできるし、必要に応じてスチレン系エラストマー等の他の高分子化合物を含有させることもできる。
なお、上記カルボン酸エステルとは、不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルを意味する。
なお、本発明の揮散性薬剤含有立体構造体は、ネット形状と較べて強固であり、製造工程において容器への収納をスムーズに行えるというメリットも有する。
次に、上記樹脂組成物を成形した立体構造体について説明する。
この立体構造体は、平板状に成形されたものであり、正面から背面にかけて貫通した貫通孔を有する。この貫通孔により、この立体構造体の表面積が増大し、上記薬剤の揮散量を増大させることができると共に、揮散する上記薬剤の流れを一定方向に揃えて気流を生じやすくすることで、濃度の高い薬剤を目的の方向に集め、防虫効果を高めることができる。
なお、貫通孔の周縁が特定の形状を有する場合、その特定の形状の貫通孔の周縁と近隣の同じ形状の貫通孔の周縁との間や、立体構造体の外周縁との間に、その特定の形状でない形状の貫通孔の周縁が生じる場合がある。これは、貫通孔の周縁の形状によっては、その形状で立体構造体の正面の全てを埋めることはできず、残存部が生じるからである。以下においては、残存部の形状については特に言及しないが、それの存在の有無は、各図面等から判断することができる。
なお、図1〜5の各図は、上記貫通孔12a〜12eの周縁13a〜13eの形状を正三角形(図1)、正方形(図2)、正六角形(図3)、真円(図4)、複数種の三角形(図5)としたものである。
なお、図6の各図においては、前記貫通孔12fの形状(貫通孔の周縁13fの形状)、すなわち貫通孔形成部15fの形状として、正方形を例示する。
前記カバー部18g、18hは、真球や楕円体をカットした形状を有する半球状やドーム状、三角柱、四角柱、六角柱等の形状を有する柱状、三角錐、四角錐、六角錐等の角錐や円錐等の形状を有する錐状、三角錐台、四角錐台、六角錐台等の角錐台や円錐台等の形状を有する錐台状等の形状を有する中空体である。そして、底面が開放され、前記カバー部内部と前記板状体の穴とは連通する。
さらに、前記カバー部や前記板状体の前記穴以外の部分に、前記貫通孔12g、12hが設けられる。前記貫通孔の形状は、前記した形状以外に、直線状があげられる。
なお、図7、8の各図は、板状体の穴の形状を真円とし、カバー部の形状を真球の半球状(図7)、円錐台(図8)としたものである。そして貫通孔の形状は、円弧状、真円状、直線状(図7)、真円状(図8)としたものである。
貫通孔形成部15iを複数段重ねた場合、貫通孔形成部15iの穴の下方に他の貫通孔形成部の側縁の部分が配されるが、それは部分的に遮るものにすぎない。
なお、図9の各図においては、前記貫通孔の形状(貫通孔の周縁の形状)、すなわち貫通孔形成部15iの形状として、長方形を例示する。
この突起部は、所定形状に成形して形成した棒状体又は板状体である。この形状としては、多角形状、真円や楕円の一部をカットした形状等があげられる。
なお、図10〜11の各図においては、前記突起部20j、20kは、前記一方の面に配され、図12〜13の各図においては、前記突起部20m、20nは、両方の面に配されたものを例示する。また、図10、12の各図においては、前記突起部20j、20mは、台形状の板状体を例示し、図11、13の各図においては、前記突起部20k、20nは、台形の外形を棒状体で形成したものを例示する。
さらにまた、図12〜13の各図におおいて両方の面に配される突起部20m、20nは、同じものであるが、これが異なったものであってもよい。
なお、本発明の揮散性薬剤含有立体構造体は、ネット形状と較べて強固であり、製造工程において容器への収納をスムーズに行えるというメリットも有する。
図5に示す立体構造体から形成される揮散性薬剤含有立体構造体を用いて実験を行った。
まず、揮散性薬剤としてトランスフルトリン(住友化学(株)製)50重量部、ホワイトカーボン(EVONIK社製:カープレックス#80、平均粒子径:15μm)18重量部、エチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン710、共重合体中のビニルアセテートの含有率:28%)20重量部、及びLDPE(旭化成(株)製:サンテックLDM6520)12重量部を120〜140℃で混練し、ペレット状マスターバッチを製造した。
次いで、得られたペレット100重量部と前記LDPE300重量部を120〜140℃で混練後、得られた樹脂組成物を射出成形し、接合などを行い、図5に示す立体構造体からなる揮散性薬剤含有立体構造体(10g)を得た。
この揮散性薬剤含有立体構造体全体の大きさを、95mm×160mm×12mmとした。この揮散性薬剤含有立体構造体の表面積は90800mm2であった。
得られた揮散性薬剤含有立体構造体を室内に吊るし、25℃、風速0.5mの条件下で、揮散性薬剤の揮散量ならびに揮散時間を測定した。揮散量ならびに揮散時間の測定方法は、揮散性薬剤含有立体構造体の重量を経時的に測定することによって行った。
その結果、揮散時間はおよそ200日で、全期間を通じた平均の揮散量は5.8mg/日であった。
実施例1で得られた樹脂組成物を射出成形し、筒状で網目がひし形状のネット(4.8g)を得た。このネットは、外径0.7mmの太さを有して、網目が4mm×4mmであり、筒状を平らに押さえた時の全体の大きさは80mm×150mm(切断して、一面に広げたときの広さは、160mm×150mmに相当)と、実施例1の大きさの約2倍であった。この揮散性薬剤含有立体構造体の表面積は20400mm2であった。
得られたネットを、実施例1と同様にして揮散性薬剤の揮散量ならびに揮散時間を測定した。
その結果、揮散時間はおよそ200日であったが、全期間を通じた平均の揮散量は2.9mg/日で、本発明の揮散性薬剤含有立体構造体と同等の揮散量を得るためには、かなりの程度ネットを大きくしたり、あるいは重量を重くしたりする必要があり、製品設計上困難を伴うことが予想された。
上記の通り、実施例1の揮散性薬剤含有立体構造体の揮散量は、比較例1の揮散量に比べ約2倍で、その揮散量の増大は表面積の対比から予想される以上に顕著であること、更に、容器と接する構造体の部分を減らすことによって、容器の内壁と接触することで生じる揮散性薬剤の揮散量低下や容器の汚染も抑制できることが明確となった。
揮散性薬剤として、メトフルトリン(住友化学(株)製:エミネンス)を用い、立体構造体を特許第5547350号公報に示される立体構造体(図15)とした以外は、実施例1に記載の方法にしたがって、揮散性薬剤含有立体構造体を製造した。
この揮散性薬剤含有立体構造体を室内に吊るし、25℃、風速0.5m/sの条件下で、風をこの揮散性薬剤含有立体構造体の正面又は側面に当てて、30日間の揮散性薬剤の揮散量を、揮散性薬剤含有立体構造体の減量にて測定し、単位時間当たりの揮散量(mg/h、mg/日)を算出した。その結果を表1に示す。
立体構造体として図1〜図9、図14に示す立体構造体とした以外は、参考例1と同様にして、揮散性薬剤含有立体構造体を製造し、揮散性薬剤の揮散量(mg/h、mg/日)を算出した。その結果を表1に示す。
実施例2〜11は、いずれも正面に風を当てた時の薬剤揮散量が、参考例1よりも高かった。一方、側面の揮散量は、実施例2〜11では参考例1よりも少し低かった。そして、側面と正面の揮散量の平均は、参考例1と実施例2〜11とで同等であった。
したがって、参考例1も実施例2〜11も十分な揮散量を発揮することができた。また、実施例2〜11は、濃度の高い薬剤を目的方向に集めることができることがわかった。これにより、目的の場所で防虫効果を高めることが期待される。
12a〜12h、12p 貫通孔
13a〜13f 貫通孔の周縁
14a〜14e 外周縁
15f、15i 貫通孔形成部
16f、16j、16k、16m、16n 脚部
17g、17h、17p 板状体
18g、18h カバー部
19j、19k、19m、19n 格子体
20j、20k、20m、20n 突起部
Claims (9)
- 揮散性を有する揮散性薬剤を含有させた樹脂組成物を平板状に成形した立体構造体であり、
前記立体構造体は、正面から背面にかけて貫通した貫通孔を有し、
前記立体構造体を正面から見たとき、前記貫通孔の周縁は、多角形状、円状、円弧状及び渦巻き状から選ばれる形状を有し、
前記貫通孔の周縁の形状は、同一平面、又は連続して変化する面に形成された形状である揮散性薬剤含有立体構造体。 - 前記貫通孔の周縁は、前記立体構造体の正面から背面にかけて同じ形状を保持し、かつ、前記立体構造体は自立性を有する請求項1に記載の揮散性薬剤含有立体構造体。
- 前記貫通孔の周縁の形状は、前記樹脂組成物の棒状体を成形することにより形成され、
この棒状体を成形して得られた貫通孔形成部は、その複数が同一平面上に配されると共に、互いに連結されて、前記立体構造体の正面部を構成し、
この複数の貫通孔形成部に、棒状体が接続され、その棒状体の端縁部が前記立体構造体の背面部を構成する請求項1に記載の揮散性薬剤含有立体構造体。 - 板状体に円状又は多角形状の穴が開けられ、
その穴を覆うように、前記板状体の一方の面、他方の面、又は両方の面にカバー部が設けられ、
前記カバー部は、半球状、ドーム状、柱状、錐状又は錐台状の形状を有する底面が開放された中空体であり、
前記カバー部には、前記貫通孔が設けられる請求項1に記載の揮散性薬剤含有立体構造体。 - 棒状体を成形することにより、前記貫通孔の周縁の形状を有する貫通孔形成部を形成し、
この貫通孔形成部を一段に並べるか、又は複数段に重ねて並べ、
前記貫通孔形成部を直接、又は連結材を介して連結する請求項1に記載の揮散性薬剤含有立体構造体。 - 複数の棒状体が格子状に交差した構造を有する格子体の一方の面の交差部に、この一方の面に対して直角となるように棒状体からなる脚部を接続し、
また、前記格子体の交差部と近隣の交差部との間の棒状体に、前記一方の面、前記一方の面と反対側の面、又はその両方の面に突起部を形成する請求項1に記載の揮散性薬剤含有立体構造体。 - 前記突起部は、所定形状に成形して形成した棒状体又は板状体である請求項6に記載の揮散性薬剤含有立体構造体。
- 板状体に前記貫通孔として渦巻き状の貫通孔を形成し、この渦巻きの中心部分を上方に持ち上げた状態を保持した形状を有する請求項1に記載の揮散性薬剤含有立体構造体。
- 正面から見たときの隠蔽率が5%以上50%以下、側面からみたときの隠蔽率が50%以上100%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の揮散性薬剤含有立体構造体。
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