JP2016123318A - 穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤ならびにそれを用いた穀物加工食品の製造方法 - Google Patents

穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤ならびにそれを用いた穀物加工食品の製造方法 Download PDF

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仁美 山口
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Abstract

【課題】穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤ならびにそれを用いた穀物加工食品の製造方法を提供する。
【解決手段】ホスホリパーゼを有効成分として含有する穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤。ホスホリパーゼが放線菌由来のホスホリパーゼA2である該ケービング防止および/または老化防止剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤ならびにそれを用いた穀物加工食品の製造方法に関する。
消費者がパンに求める性質として、おいしいことは大前提であるが、見た目の良さを重視する傾向が高まっている。「おいしさ」も多様であるが、一般に柔らかく、食感(もちもち感、口どけ感など)、香りや風味が良いことが挙げられる。
デニッシュ食パンは、そのクラム部分はソフトでありながら、クラスト部分は脆くなる傾向を示し、製造工程においてトラブルが発生しやすく、熟練した工程を必要とするパンの一つである。すなわち、デニッシュ食パンの外側のクラスト部分の脆さから、パンの腰折れが顕著であり、ケービング(腰折れ)防止が技術課題となっている。さらに、デニッシュ食パンに限らず、様々な材料を利用して製造する比較的リッチなパンでは、パンの腰折れや腰持ちの悪さが製造時の課題として挙げられる。見た目の悪さは製品価値を下げることから、ケービング防止機能が求められる。
パンの老化を抑制するために、乳化剤、糖質、酵素類(α-アミラーゼ、マルトジェニックアミラーゼ等)がパンに添加されるが、これらによりパンの骨格も軟化して保形性が悪くなった結果、パンが歪んだりケービングを引き起こしやすいという課題があった。
ケービング防止に関しては、生地に機械的損傷を与えると共に、生地体積が通常の1.1〜1.5倍程度の最終発酵をとった後焼成する方法(特許文献1)の他、種々の添加剤をパンに添加する方法が開発されている。例えば、水不溶性カルシウムを配合するパンの製造方法(特許文献2)、ホエータンパク質濃縮物及びカルシウムからなる製パン製剤(特許文献3)、アルギン酸エステルを含有する生地改良剤(特許文献4)、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を配合するパン(特許文献5)、ショ糖脂肪酸エステルとアミラーゼ、プロテアーゼとを添加する方法(特許文献6)、および直鎖脂肪酸を含有する組成物からなるケービング抑制剤(特許文献7)が提案されている。
市販のケービング防止剤としては、アルギン酸エステル(アルギン酸プロピレングリコールエステル、キミカ社、製品名:昆布酸501)(特許文献4)、卵殻カルシウム(キユーピータマゴ社、製品名:卵カルシウム)、ペクチンなどが知られている。
しかし、これらのケービング防止剤では腰折れを防止する効果が十分でなく、また、老化防止剤とは逆効果を有することから、ケービング防止活性を持ち、かつ老化防止効果を有するケービング防止および老化防止剤の開発が求められていた。
特開平11−146753号公報 特開2002−186406号公報 特開2002−119196号公報 特開2004−208703号公報 特開2007−244252号公報 特開平5−168394号公報 特許5270489号公報
穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤ならびにそれを用いた穀物加工食品の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)ホスホリパーゼを有効成分として含有する穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤。
(2)前記ホスホリパーゼがホスホリパーゼAである(1)記載の穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤。
(3)前記ホスホリパーゼがホスホリパーゼA2(PLA2)である(1)または(2)に記載の穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤。
(4)ホスホリパーゼが放線菌由来である(1)〜(3)のいずれかに記載のケービング防止および/または老化防止剤。
(5)穀物加工食品が、パン類、ケーキ類または菓子類である(1)〜(4)のいずれかに記載のケービング防止および/または老化防止剤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のケービング防止および/または老化防止剤を穀物加工食品に含有させる工程を含む穀物加工食品の製造方法。
(7)穀物加工食品が、パン類、ケーキ類または菓子類である(6)記載の製造方法。
(8)穀物加工食品の製造方法であって、少なくとも1の工程において、ホスホリパーゼで処理することによりケービング防止および/または老化防止する工程を含む、方法。
(9)ホスホリパーゼを使用することを特徴とするケービングおよび/または老化防止方法。
(10)ホスホリパーゼを用いて処理することにより、処理しない場合に比べて穀物加工食品のキメをより細かくする方法。
本発明のケービング防止および/または老化防止剤によれば、穀物加工食品、特に、パン類、ケーキ類または菓子類のケービング防止および/または老化防止効果が得られる。
本発明のケービング防止および/または老化防止剤で処理したデニッシュ食パン(右6個)と対照区(左6個)のケービングと内相の様子を示す図である。 コントロールと本発明のケービング防止および/または老化防止剤で処理したデニッシュ食パンにおける面積の違いを示す図である。 コントロールと本発明のケービング防止および/または老化防止剤で処理したデニッシュ食パンの柔らかさの経時的変動を比較したグラフである。各区、左から焼成1日後、2日後、5日後の柔らかさを経時的に示している。 本発明のケービング防止および/または老化防止剤で処理した食パン型ブリオッシュ(右6個)と対照区(左6個)のケービングと内相の様子を示す図である。 コントロールと本発明のケービング防止および/または老化防止剤で処理した食パン型ブリオッシュにおける面積の違いを示す図である。 各種濃度の放線菌由来PLA2とブタ膵臓由来PLA2を用いて食パン型ブリオッシュを製造した場合の柔らかさの経時的変動を示すグラフである。各区、左から焼成1日後、4日後、6日後の柔らかさを経時的に示している。
本発明は、ホスホリパーゼを有効成分として含有する、穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤を提供する。
ホスホリパーゼは、リン脂質の加水分解に関与する酵素である。ジアシルグリセロリン脂質の1位または2位を加水分解してリゾリン脂質を形成するホスホリパーゼA1(PLA1)およびPLA2、ならびにリン脂質中のリン酸エステル結合を加水分解することができるホスホリパーゼD(PLD)を含むいくつかの型のホスホリパーゼ活性が区別され得る。
本発明におけるホスホリパーゼとしては、リン脂質を加水分解する酵素であれば特に限定されないが、好ましくは、ジアシルグリセロリン脂質の1位または2位の脂肪酸エステル結合を加水分解する酵素であるPLA1およびPLA2、またはリン酸エステル結合を切断するPLDであり、より好ましくはPLA、さらに好ましくはPLA2である。これらのホスホリパーゼは、特に由来に制限はなく、上記酵素活性を有する限り、動物、植物、微生物由来のいずれであってもよい。
本発明のある側面によれば、穀物加工食品の製造方法であって、少なくとも1の工程において、ホスホリパーゼで処理することによりケービング防止および/または老化防止する工程を含む、方法が提供される。すなわち、穀物加工食品の製造工程中の適切な工程においてホスホリパーゼを添加して処理することにより、ケービングおよび/または老化を防止することができる。ホスホリパーゼを添加して処理する工程としては、例えばパンであれば、1次発酵前に生地に添加して発酵工程で反応させることが好ましい。あるいは、パン等に添加する油脂を予めホスホリパーゼで処理する工程を追加することにより、ケービングおよび/または老化を防止してもよい。これにより、ケービングおよび/または老化を防止する工程を含む製造方法が可能となる。
また、本発明の別の側面によれば、ホスホリパーゼを使用することを特徴とするケービング防止および/または老化防止方法が提供される。すなわち、ホスホリパーゼを添加して処理することにより、ケービング防止および/または老化を防止する方法が提供される。
また、本発明の別の側面によれば、ホスホリパーゼを用いて処理することにより、処理しない場合に比べて穀物加工食品のキメをより細かくする方法が提供される。本明細書において、「キメを細かくする」とは、パン等の穀物加工食品において、最終製品に含まれる不均一な空隙をより小さい空隙に均一化させることをいう。例えば、パン等の原材料をミキシング工程または発酵工程若しくは別の工程などにおいてホスホリパーゼで処理することにより、大きな空隙が減少し、細かい空隙が増加することで、よりキメの細かいパンを製造できる。キメを細かくする対象としては、例えば、デニッシュ食パン、ブリオッシュ食パンのような油脂を多く含む食パンなどが適するがこれらに限られない。
PLA2(EC3.1.1.4)は、大豆、卵黄、菜種などに含まれるグリセロリン脂質に作用する酵素であり、2位のエステル結合を加水分解する。その由来は、微生物から動物まで幅広く存在し、産業用酵素としては、ブタ膵臓および放線菌由来のPLA2やブタ膵臓由来のPLA2遺伝子をカビで発現させたものが流通している。
本発明においては、PLA2の由来は特に限定されず、上記活性を有する限り、動物、植物、微生物などの由来のものが使用できる。好ましくは、放線菌またはブタ膵臓由来の酵素である。放線菌由来としては、例えば、Streptomyces violaceoruber由来のPLA2(ナガセケムテックス社製 製品名:デナベイクRICH)が好ましく用いられるが、これに限られない。
実施例1〜7では、ホスホリパーゼとして放線菌由来のPLA2を使用しているが、それ以外のPLA1、PLDも同様に用いることができ、同様の効果が得られる。
酵素の生産方法については、特に制限されないが、例えば、天然の組織からの抽出物であっても、組換えDNA技術を用いて大量生産された酵素であっても、合成DNA由来の改変された酵素であってもよい。これらは当業者に周知の方法で作製し、酵素の生産、抽出に用いることができる。
酵素は菌体内に蓄積する酵素であっても、細胞外に分泌される酵素であってもよい。
ホスホリパーゼAならびにPLDは種々の食品に含まれるリン脂質に作用して、リゾリン脂質ならびにホスファチジン酸を生成する。リゾリン脂質ならびにホスファチジン酸は乳化機能に優れた物質であり、特に、パンやケーキなどのベーカリー食品に対してボリューム感、ソフト感を付与し、さらにソフト感を維持できる機能を持っている。実際に食品中では、リゾリン脂質の脂肪酸エステル結合が、デンプンやタンパク質のらせん構造に入り込む形で機能を発揮しているものと推測される。
ホスホリパーゼは、卵を含むパンやケーキに添加することで、ボリュームアップ、ソフト感の向上に加えて、しっとりした食感を付与する事ができる。さらに、製造工程中での生地の安定性や作業性を高めることが知られている。ホスホリパーゼをパンに添加して好ましい機能を発揮するためには、例えば油脂や卵をリッチに含むブリオッシュやデニッシュ食パン、菓子パンなどが適している。
本明細書において、穀物加工食品とは、穀物を加工したものをいうが、ホスホリパーゼの基質であるグリセロリン脂質をリッチに含むものが好ましく、例えば、パン類、ケーキ類または菓子類などが挙げられる。パン類としては、例えば、食パン、菓子パン、ロールパン、蒸しパン、揚げパン、フルーツブレッド、バターロール、バンズ、スイートドウ、クロワッサン、デニッシュペーストリー、およびブリオッシュなどが挙げられる。ケーキ類としては、例えば、スポンジケーキ、ロールケーキ、エンゼルケーキ、パウンドケーキ、フルーツケーキ、ホットケーキおよびシフォンケーキなどが挙げられる。菓子類としては、例えば、ドーナツ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ、マフィン、シュー、エクレア、パイおよびスフレなどが挙げられる。
ケービングとは、食パンなどの側面や上面が折れ曲がってしまい、腰折れすることをいう。砂糖、油脂、卵のような副材料が多く配合されるリッチなパンでは腰折れが発生しやすく、特にデニッシュ食パンのような生地を編み込んで作るパンはクラスト部分に局所的に弱い部分が生じる上、内相のキメが比較的粗いために骨格強度が弱くなり、ケービングが問題となりやすい。本発明のホスホリパーゼを有効成分とするケービング防止および/または老化防止剤を用いれば、反応生成物の作用で乳化力が向上し、通常よりもキメが細かく、骨格のしっかりしたパンが形成される。これにより腰折れがしにくくなると推測される。
老化とは、パン等が時間が経つと硬くなることをいう。老化を防止することで、柔らかさを保つことができる。本来は硬い方がケービングが起こりにくいが、本発明にかかるケービングおよび/または老化防止剤によると、老化防止作用により柔らかさを保ちつつ、ケービングを防止できるという相反する方向の効果がある。
ケービング防止および/または老化防止剤とは、用いる材料により、ケービング防止剤または老化防止剤のいずれか、または両方の活性を示すことを意味する。両方の活性を発揮するものとしては、例えばデニッシュ食パンがあげられる。ケービングが元々起きない場合は、老化防止剤のみの効果を発揮する場合もあり得る。
本発明において、ホスホリパーゼの添加量は、卵黄に対し0.02%〜25%が好ましく、より好ましくは0.05%〜15%、さらに好ましくは0.1%〜10%である。全卵に対するホスホリパーゼの添加量は、全卵に対し、0.01%〜10%が好ましく、より好ましくは0.02%〜5%、さらに好ましくは0.03%〜4%である。
本発明にかかるケービング防止および/または老化防止剤には、必要に応じて各種添加剤を添加して用いることができる。添加剤としては、老化抑制剤の添加量(穀物粉重量に対する重量割合)は、酵素(α−アミラーゼ、マルトジェニックアミラーゼ、グルカン 1,4−α−マルトトリオヒドロラーゼ、グルカン 1,4−α−マルトテトラオヒドロラーゼ、グルカン 1,4−α−マルトヘキサオシダーゼ、ホスホリパーゼ、ガラクトリパーゼなど)については、例えば1ppm〜5%、好ましくは10ppm〜2%、乳化剤については、例えば0.01%〜5%、好ましくは0.1%〜2%、オリゴ糖または糖アルコールについては、例えば0.5%〜20%、好ましくは1%〜10%である。
本発明にかかるケービング防止および/または老化防止剤は、本発明の効果を阻害しない程度において、酵素製剤が通常含有し得る他の成分を含有していてもよい。これらの他の成分としては、例えば、酵素(例えば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、マルトジェニックアミラーゼ、グルカン 1,4−α−マルトトリオヒドロラーゼ、グルカン 1,4−α−マルトテトラオヒドロラーゼ、グルカン 1,4−α−マルトヘキサオシダーゼ、へミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、ガラクトリパーゼ、グルコースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルタチオンデヒドロゲナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、β−グルカナーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼなど)、増粘多糖類(例えば、加工澱粉、ガム類、アルギン酸、アルギン酸誘導体、ペクチン、カラギーナン、カードラン、プルラン、ゼラチン、セルロース誘導体、寒天、タマリンド、サイリウム、グルコマンナンなど)、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、サポニンなど)、乳製品(例えば、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、ホエイ粉、カゼイン、チーズ、ヨーグルト、練乳、発酵乳、クリームなど)、エキス類(例えば、酵母エキス、モルトエキスなど)、糖質(例えば、ブドウ糖、果糖などの単糖;砂糖、マルトース、イソマルトース、トレハロース、ラクトース、ラクツロース、セロビオースなどの二糖;マルトトリオース以上のマルトオリゴ糖、ラフィノース、パノース、スタキオース、グルコオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ゲンチオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、ラクトスクロースなどの直鎖もしくは分岐オリゴ糖;異性化糖、水あめ、粉あめ、はちみつなどの糖混合物;デンプン、デキストリンなどの多糖;還元水あめ、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、パラチニット、エリスリトール、オリゴ糖還元物などの糖アルコール)、甘味料(例えば、ステビア、アスパルテーム、グリチルリチン、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテームなど)、卵(例えば、乾燥全卵、乾燥卵黄など)、無機塩類(例えば、食塩、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムなど)、pH調整剤(例えば、酢酸、デヒドロ酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、およびアジピン酸、ならびにこれらの有機酸のナトリウム(Na)塩、カルシウム(Ca)塩、およびカリウム(K)塩;炭酸、リン酸、およびピロリン酸、ならびにこれらの無機酸のNa塩およびK塩など)、保存料(例えば、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、および発酵プロピオン酸など)が挙げられる。本発明のケービング防止および/または老化防止剤に含有される他の成分の含有量は特に限定されず、当業者によって任意の量が選択され得る。
中でも、例えば、α−アミラーゼ、マルトジェニックアミラーゼ、グルカン 1,4−α−マルトトリオヒドロラーゼ、グルカン 1,4−α−マルトテトラオヒドロラーゼ、グルカン 1,4−α−マルトヘキサオシダーゼ、ホスホリパーゼ、ガラクトリパーゼ、乳化剤、オリゴ糖、および糖アルコールなどは、穀物加工食品の老化を抑制し、それらの食品に柔らかさを付与するために用いられ得る。本発明においては、これらのうち、いずれか1つまたはこれらの任意の2つ以上の組み合わせで用いてもよい。1つの実施形態では、乳化剤と他の1つ以上の老化を抑制する成分(特に、オリゴ糖および糖アルコールの少なくともいずれか)との組み合わせであり得る。
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)デニッシュ食パンの作製
ナガセケムテックス株式会社が製造する放線菌(Streptomyces violaceoruber)由来のPLA2(製品名:デナベイクRICH)を用いて、表1の配合および表2の工程に従って、デニッシュ食パンを作製した。ミキサー(愛工舎製作所製MT−20)を使用し、27〜28℃で生地を捏上げ、一次発酵を行った(28℃、60分)。一次発酵終了後、生地を冷却した。生地が冷えた時点で、ロールイン油脂を折り込み、3つ折りを2回行った。再度生地を冷却した後、3つ折りを1回行い、約2センチの厚みにまで生地を圧延した。生地を815gにカットし、さらに3本にカットして三つ編みにし、1.5斤の食パン型に入れた。二次発酵(32℃、55-60分)を行った後、オーブンで40分間焼成した(上火210℃、下火210℃)。
(実施例2)ケービング抑制効果
角型に焼いたデニッシュ食パンを、3センチの厚みにカットし、並べて写真を撮影した。その結果、コントロール(図1の左側の写真参照)はケービングが著しいのに対して、PLA2を添加したデニッシュ食パン(図1の右側の写真参照)はケービングが抑制されていた(図1)。
上の写真をコピー用紙に印刷し、スライス面の周囲を切り取って、各スライス面の面積に対応するコピー用紙の重量を測定した。コピー用紙の重量からパンの面積を計算した。コントロールのパン面積を100として、0.3%PLA2添加区のパン面積を計算したところ107.9であり、パンの面積が大きい、すなわちパンが正方形に近い形を保っており、ケービングが抑制されていることが分かった(図2)。図2の縦軸は相対的なコントロールを100とした際の相対的な大きさを表している。
(実施例3)老化抑制効果
デニッシュ食パンをスライスし、クラムから3センチ角の立方体を切り出した。レオメーター(サン科学株式会社製)でNo.1 (25mm円盤型)のアダプターを使用してクラムを15mm圧縮し、その応力を測定した。
測定は焼成翌日、2日後、5日後に行った。図中のD+1、D+2、D+5はそれぞれ焼成1日後、2日後、5日後を示す。図3の棒グラフは、デニッシュ食パンを圧縮した時の応力を示しており、低いほどパンが柔らかく、高いほど硬い事を示している。通常、パンは日を追うごとに硬くなるが、PLA2を添加したデニッシュ食パンでは焼成翌日も柔らかく、保存に伴う硬化の程度も緩やかであった。このことから、PLA2はデニッシュ食パンにおいて老化抑制効果を発揮していることが明らかとなった(図3)。
(実施例4)食パン型ブリオッシュの作成
実施例における食パン型ブリオッシュは以下のようにして製造した(表3参照)。ミキサー(愛工舎製作所製MT−20)を使用し、24℃で生地を捏上げ、一次発酵を行った(26℃、60分)。パンチ後、生地を平らに伸ばしてビニール袋に入れ、0℃で終夜冷却した。生地を216gずつに分割し、柔軟性が回復するまで生地を折り重ねた。丸めてベンチタイム(20分)をとった後、ミニモルダー(愛工舎製作所製)でガス抜きを行い成形した。1.5斤の食パン型に3個の生地をつめ、二次発酵(32℃、70分)を行った後、オーブンで40分間焼成した(上火200℃、下火210℃)。
(実施例5)ケービング抑制効果
角型に焼いた食パン型ブリオッシュを3センチの厚みにカットし、並べて写真を撮影した。その結果、コントロール(図4の左側の写真参照)はケービングが著しいのに対して、PLA2を添加した食パン型ブリオッシュはケービングが抑制されていた(図4の右側の写真参照)。
上の写真を印刷し、スライスの周囲を切り取って、各スライス面に対応するコピー用紙の重量を測定した。コピー用紙の重量から食パン型ブリオッシュの面積を計算した。コントロールの食パン型ブリオッシュ面積を100として、PLA2添加区のパン面積を計算したところ、6枚の平均値が106.6であり、パンの面積が大きい、すなわち食パン型ブリオッシュが正方形に近い形を保っており、ケービングが抑制されていることが分かった(図5)。
(実施例6)老化抑制効果(ブタ膵臓由来PLA2との比較実験)
放線菌由来のPLA2と、ブタ膵臓由来のPLA2(DSM社製、製品名:Maxapal A2、ブタ膵臓由来のPLA2遺伝子を遺伝子組換え技術によりカビで生産したもの)との製パン特性の比較を行った。各成分の配合割合を表4に示す。
食パン型ブリオッシュの硬さをレオメーターを用いて測定した。パンを25℃に保管しておき、焼成翌日、4日後、6日後に測定を行った。この結果を図6に示す。放線菌由来PLA2は0.5KU添加の場合においてもコントロールと比べてパンが柔らかく、また経時的な硬化も抑制した。添加量の増加に伴い老化抑制効果はより顕著になり、15KU添加においては焼成翌日と6日後の硬さの変化はほとんど認められなかった。ブタ膵臓由来PLA2は、コントロールと比べると柔らかく老化抑制効果も認められたが、添加量による違いは小さく、量を増やしても大幅な老化抑制効果の向上は認められなかった。
以上より、特に高濃度添加においては、放線菌由来のPLA2が高い老化抑制効果を有していると言える。
(実施例7)その他の効果
PLA2を配合した生地は伸展性が高まり縮みにくいことから、油脂を折り込みやすく作業性も改善された。また、焼成時の油の流出が少なく、歩留まりが向上した。
焼成したパンをスライスして内相の状態を比較したところ、コントロールはキメが粗く大きな隙間が散見されたのに対して、PLA2を添加したスライスは、デニッシュ食パンの折り込み生地の特徴を残しつつも均質な内相であり、高品質なものであった。
デニッシュ食パンは生地と油脂の層が交互に並んでおり、焼成工程中に生地中の水分と油分との反発により生地の浮きが認められる。
PLA2添加区の内相改善は、PLA2によってもたらされた乳化力の向上効果により、生地中の水分とロールイン油脂との過度な反発が抑制されたことによると推測される。
以上のように、PLA2をパンに配合することで、パンを柔らかくし老化を抑えながらも、骨格をしっかりさせることでケービングを抑制するという効果が得られた。
本発明は、パン、ケーキまたは菓子製造業において利用できる。

Claims (10)

  1. ホスホリパーゼを有効成分として含有する穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤。
  2. 前記ホスホリパーゼがホスホリパーゼAである、請求項1記載の穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤。
  3. 前記ホスホリパーゼがホスホリパーゼA2である請求項1または2に記載の穀物加工食品のケービング防止および/または老化防止剤。
  4. ホスホリパーゼが放線菌由来である請求項1〜3のいずれかに記載のケービング防止および/または老化防止剤。
  5. 穀物加工食品が、パン類、ケーキ類または菓子類である請求項1〜4のいずれかに記載のケービング防止および/または老化防止剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のケービング防止および/または老化防止剤を穀物加工食品に含有させる工程を含む穀物加工食品の製造方法。
  7. 穀物加工食品が、パン類、ケーキ類または菓子類である請求項6記載の製造方法。
  8. 穀物加工食品の製造方法であって、少なくとも1の工程において、ホスホリパーゼで処理することによりケービング防止および/または老化防止する工程を含む、方法。
  9. ホスホリパーゼを使用することを特徴とするケービング防止および/または老化防止方法。
  10. ホスホリパーゼを用いて処理することにより、処理しない場合に比べて穀物加工食品のキメをより細かくする方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115517284A (zh) * 2022-10-08 2022-12-27 青岛丹香投资管理有限公司 一种应用磷脂酶处理的鸡蛋液体制作蛋糕的方法

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