JP2018068171A - ベーカリー練り込み用油脂組成物と可塑性油脂およびベーカリー製品の製造方法 - Google Patents

ベーカリー練り込み用油脂組成物と可塑性油脂およびベーカリー製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ベーカリー製品はソフトで、ケービングと老化が抑制され、生地のベタツキが少なく作業性に優れ、油脂組成物を保存後に使用してもこれらの特性の劣化が少ないベーカリー練り込み用油脂組成物と可塑性油脂およびベーカリー製品の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の油脂組成物は、ベーカリー生地に練り込んで使用される、油相からなる油脂組成物であって、前記油相を構成する油脂は、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が、トリグリセリドの2位に結合された脂肪酸全体の質量に対して35〜60質量%であり、ホスホリパーゼおよび糖分解酵素を前記油相に含有することを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、ベーカリー練り込み用油脂組成物と可塑性油脂およびベーカリー製品の製造方法に関する。
従来、パン生地に酵素を添加することで、各種の特性を改良することが行われている。例えば、特許文献1、2には、パン生地にホスホリパーゼを添加する技術が開示されている。
特許文献1には、ホスホリパーゼAを小麦粉に直接添加し、混捏することで、生地物性や比容積が改善されるとされている。しかし、ソフトさに関しては、近年のさらなるソフトさに対するユーザーニーズに対して満足するものを得ることは難しい。
特許文献2は、ホスホリパーゼをパン生地などに添加することでケービングや老化を抑制することが記載されている。しかし実施例ではホスホリパーゼは生地に直接添加されており、糖分解酵素は添加されていない。
特許文献3〜6には、パン生地に糖分解酵素を添加する技術が提案されている。
特許文献3は、油脂と水と酵素からなり、乳化剤を含まない油中水型油脂組成物が提案されている。酵素としては、加水分解酵素と酸化還元酵素について多くの例示があるが、実施例で評価されているのは酸化還元酵素のα−アミラーゼとグルコースオキシダーゼについて、これらを水溶液の形で配合した例である。
特許文献4は、最終的な焼き上げによりパン製品を得るための、予備焼きして凍結したパン生地片として、α−アミラーゼおよびヘミセルラーゼをパン生地片に添加することが記載されている。しかし、パン生地片に油脂を添加しておらず、その対象は凍結した予備焼きパンであり限定的である。
特許文献5は、ブランチングエンザイムが凝集性を改善することが記載されている。実施例ではブランチングエンザイムと糖分解酵素の組み合わせ、ブランチングエンザイムとホスホリパーゼの組み合わせにおいて、ブランチングエンザイムによる凝集性低減効果が維持されたことが記載されているが、ホスホリパーゼと糖分解酵素を組み合わせて配合することや、これらを油脂に含有させることは記載されていない。
特許文献6には、α−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ、およびエステル化度が特定範囲のアルギン酸エステルを含む油脂組成物が提案され、水相にα−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼを添加した、乳化剤を含む乳化油脂組成物と、油相にアルギン酸エステルを添加した、乳化剤を含む乳化油脂組成物と、マーガリンとを混捏することにより得た可塑性油脂を、パン生地に添加することで、アミラーゼ添加によるソフトで口どけの良い食感を保持しながらも、優れたケービング抑制効果を製菓製パン類に与えることができるとされている。しかし、ホスホリパーゼと糖分解酵素を組み合わせて配合することや、これらを油脂に含有させることは記載されていない。
酵素を油脂に添加する技術としては、特許文献7には、アミラーゼを含有する油脂組成物を用いて、パン内相のキメ、ボリューム、食感の改良を図ることが記載されている。特許文献8には、油脂分解酵素として糖脂質分解活性を有する特定のグリセロ糖脂質リパーゼと、アルコールを含有する油脂組成物を用いて、遊離脂肪酸の生成や異臭の発生を低減することが記載されている。
特開昭59−088040号公報 特開2016−123318号公報 特開平11−046668号公報 特開2011−152146号公報 国際公開第2015/015209号 特開2016−54680号公報 特開2011−244777号公報 特開2012−217346号公報
しかしながら、特許文献7、8はいずれも、ホスホリパーゼと糖分解酵素を組み合わせて配合することや、これらを共に油脂に含有させることは記載されていない。
以上のような従来技術においては、例えば油中水型乳化物であるマーガリンの水相に酵素を添加すると、水相に分散させて製造するため製造時に酵素が一部失活し、目的とする酵素の効果を損なうことになる。また、上記マーガリンを長期間保存すると酵素が失活していくため、さらに目的とする酵素の効果を損なうことになる。
また粉末や溶液の酵素をそのまま生地に添加すると、生地への分散性が悪いため目的とする酵素の効果が発揮され難く、一方でアミラーゼなどによる生地のベタツキは経時的に発現するという問題点があった。
上記に加えて、近年ではパンの老化防止が強く望まれている。パンは焼成後に固くなったグルテンと膨潤した澱粉によってそのスポンジ状の組織を形成している。時間が経過すると、水分が蒸発し、澱粉が再結晶化することなどに起因して、経時的にソフトさが失われて徐々に硬くなり、パサツいた食感になる。例えば米粉パンは、もっちりとした食感などに特徴があり近年普及が進みつつあるが、強力粉などの小麦パンと比較すると老化しやすい。また米粉パンは骨格が弱いため、生地が一旦伸びた後に縮みやすく、ボリュームが小さくなりやすい。そのため、老化防止とボリュームの向上が特に技術課題となっている。
また食パンを作製する際に、分割・丸め作業時などにおいて、生地のベタツキを少なくし作業性を改善することが望まれている。アミラーゼなどの酵素を生地に配合した場合、酵素の活性によって生地の原材料に作用し、生地がベタつきやすくなる。特に大量生産の場合、作業時間が長くなる為、よりベタツキが多くなり安定した品質のパンが得られないという問題がある。
さらに、酵素を含有した油脂組成物を保存しても、上記のような各特性の劣化が少ないことが望ましい。
米粉パン以外でも、蛋白含量が少ない小麦粉、全粒粉、大麦粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、雑穀(アワ、ヒエ、アマランサス等)、ジャガイモ粉等を配合したパンでは、生地が繋がりにくく骨格が弱くなり、上記と共通の問題がある。
以上のような背景から、ケービング抑制、ソフトさ、老化の抑制、生地の作業性をいずれも満足し、酵素を添加した油脂組成物を保存しても、これらの特性の劣化が少ないことが望まれている。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、ベーカリー製品はソフトで、ケービングと老化が抑制され、生地のベタツキが少なく作業性に優れ、油脂組成物を保存後に使用してもこれらの特性の劣化が少ないベーカリー練り込み用油脂組成物と可塑性油脂およびベーカリー製品の製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の油脂組成物は、ベーカリー生地に練り込んで使用される、油相からなる油脂組成物であって、前記油相を構成する油脂は、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が、トリグリセリドの2位に結合された脂肪酸全体の質量に対して35〜60質量%であり、ホスホリパーゼおよび糖分解酵素を前記油相に含有することを特徴としている。
本発明の可塑性油脂は、前記油脂組成物を油相として含有することを特徴としている。
本発明のベーカリー製品の製造方法は、前記可塑性油脂をベーカリー生地に練り込み、このベーカリー生地を焼成することを特徴としている。
本発明によれば、ベーカリー製品はソフトで、ケービングと老化が抑制され、生地のベタツキが少なく作業性に優れ、油脂組成物を保存後に使用してもこれらの特性の劣化が少ない。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の油脂組成物は、ベーカリー生地に練り込んで使用される、油相からなる油脂組成物であり、ホスホリパーゼおよび糖分解酵素を油相に含有している。
ホスホリパーゼおよび糖分解酵素を併用することで、ベーカリー製品はソフトでありながらも、腰折れ、すなわちベーカリー製品の側面が凹み歪んだ形状となるケービングを抑制できる。さらにベーカリー製品は老化が抑制され経時的にソフトさを保ち、生地のベタツキが少なく作業性に優れている。
ホスホリパーゼおよび糖分解酵素を油相に含有することで、酵素を水相に含有する油脂組成物を添加してベーカリー生地とした場合に比べて、油脂組成物を保存後に使用してもこれらの特性の劣化が少ない。
本発明の油脂組成物に使用されるホスホリパーゼは、グリセリンを骨格とするグリセロリン脂質を加水分解する酵素であり、触媒する反応の種類によりA、B、C、Dの4種に大きく分類される。ホスホリパーゼAのうちホスホリパーゼA1(酵素番号:EC 3.1.1.32)は1位のアシル基を切断する酵素群の総称であり、ホスホリパーゼA2(酵素番号:EC 3.1.1.4)は2位のアシル基を切断する酵素群の総称である。これらはいずれもリゾリン脂質と脂肪酸を生成する。ホスホリパーゼD(酵素番号:EC 3.1.4.4)はリン酸エステル結合を切断し、ホスファチジン酸とアルコールを生成する酵素群の総称である。
ホスホリパーゼの由来は特に限定されず、上記のような活性を有するものであれば、動物、植物や、カビ、細菌のような微生物などを由来とするホスホリパーゼが使用できる。酵素の生産方法については、特に限定されないが、例えば、天然の組織からの抽出物であっても、組換えDNA技術を用いて大量生産された酵素であっても、合成DNA由来の改変された酵素であってもよい。培養液や培養菌体からの酵素の単離と精製工程などを経て製造される酵素製品の形態は、一般に溶液、粉末、生産株そのものなどがあり、特に限定されないが、その中でも溶液、粉末(または顆粒)の酵素製剤を好ましく用いることができる。また、ベーカリー生地の焼成後に酵素を完全に失活できるような至適温度を有するホスホリパーゼであると、ベーカリー製品中に残存したホスホリパーゼによる品質の劣化を抑制することができ、さらに原材料表示への記載が不要になることから、乳化剤の代替として使用することで「乳化剤不使用」と表示できるなど、商品価値を高めることができる。
ホスホリパーゼとしては、ホスホリパーゼA2を好ましく用いることができる。さらにリパーゼ活性がないものが風味の点からより好ましい。その由来は特に限定されないが、例えば、産業用途では放線菌やブタ膵臓由来のホスホリパーゼA2が製造されている。
製剤化されたホスホリパーゼA2としては、例えば、リゾナーゼ(サンヨーファイン(株)製)、ナガセ10P/R、デナベイクRICH(以上、ナガセケムテックスジャパン(株)製)などが商業的に入手できる。これらの中でも、ナガセ10P/R、デナベイクRICHがより好ましい。
本発明の油脂組成物は、ホスホリパーゼとしてホスホリパーゼA2を含有し、ホスホリパーゼA2の酵素活性が油脂組成物100gに対して2〜36Uであることが好ましい。ここでホスホリパーゼA2の酵素活性は、後述の実施例欄に記載の方法で測定される。ホスホリパーゼA2の酵素活性がこの範囲内であると、ケービングや生地のベタツキを特に抑制できる。ベーカリー製品のケービング抑制と、生地のベタツキが少ない作業性に適している点を考慮すると、ホスホリパーゼA2の酵素活性は油脂組成物100gに対して4U以上であることが好ましい。ベーカリー製品のソフトさを得るのに適している点を考慮すると、ホスホリパーゼA2の酵素活性は油脂組成物100gに対して30U以下であることが好ましい。
本発明の油脂組成物に使用される糖分解酵素としては、例えば、α−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ、マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、プルラナーゼ、へミセルラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼなどが挙げられる。
糖分解酵素の由来は特に限定されず、動物、植物や、カビ、細菌のような微生物などを由来する糖分解酵素が使用できる。酵素の生産方法については、特に限定されないが、例えば、天然の組織からの抽出物であっても、組換えDNA技術を用いて大量生産された酵素であっても、合成DNA由来の改変された酵素であってもよい。培養液や培養菌体からの酵素の単離と精製工程などを経て製造される酵素製品の形態は、一般に溶液、粉末、生産株そのものなどがあり、特に限定されないが、その中でも溶液、粉末(または顆粒)の酵素製剤を好ましく用いることができる。また、ベーカリー生地の焼成後に酵素を完全に失活できるような至適温度を有する糖分解酵素であると、ベーカリー製品中に残存した糖分解酵素による品質の劣化を抑制でき、さらに原材料表示への記載が不要になることから、乳化剤の代替として使用することで「乳化剤不使用」と表示できるなど、商品価値を高めることができる。
糖分解酵素は、α−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ、マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼ、およびヘミセルラーゼから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
α−アミラーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.1)は、澱粉、グリコーゲンなどのα−1,4結合をランダムに切断するエンド型の酵素の総称である。α−アミラーゼとしては、例えば、スピターゼCP3、スピターゼL(以上、ナガセケムテックスジャパン(株)製)、コクラーゼ(三菱化学フーズ(株)製)、Fungamyl 800L(ノボザイムズジャパン(株)製)、クライスターゼL1、ビオザイムA、アミラーゼAD「アマノ」1(以上、天野エンザイム(株)製)などが商業的に入手できる。
本発明の油脂組成物は、糖分解酵素としてα−アミラーゼを含有し、α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.05〜16Uであることが好ましい。ここでα−アミラーゼの酵素活性は、後述の実施例欄に記載の方法で測定される。α−アミラーゼを含有することで、ベーカリー製品はソフトさ、老化防止効果が良好になる。α−アミラーゼの含有量を上記の範囲内とすることで、生地のベタツキによる作業性の低下も抑制できる。またホスホリパーゼを併用することで、ケービング、生地のベタツキによる作業性の低下を抑制できる。上記の点を考慮すると、α−アミラーゼの酵素活性は油脂組成物100gに対して0.5〜16Uであることがより好ましく、1〜16Uであることがさらに好ましい。
マルトース生成α−アミラーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.133)は、澱粉に作用し、主としてマルトースを生成する酵素の総称である。マルトース生成α−アミラーゼとしては、例えば、Novamyl 3D Conc.BG、Novamyl 3DBG、Novamyl L、Novamyl 10000BG(以上、ノボザイムズジャパン(株)製)などが商業的に入手できる。
本発明の油脂組成物は、糖分解酵素としてマルトース生成α−アミラーゼを含有し、マルトース生成α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.005〜0.5Uであることが好ましい。ここでマルトース生成α−アミラーゼの酵素活性は、後述の実施例欄に記載の方法で測定される。マルトース生成α−アミラーゼを含有することで、ベーカリー製品はソフトさ、老化防止効果が良好になる。マルトース生成α−アミラーゼの含有量を上記の範囲内とすることで、生地のベタツキによる作業性の低下も抑制できる。またホスホリパーゼを併用することで、ケービング、生地のベタツキによる作業性の低下も抑制できる。上記の点を考慮すると、マルトース生成α−アミラーゼの酵素活性は油脂組成物100gに対して0.005〜0.2Uであることがより好ましい。
マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼは、澱粉に作用し、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオースのようなグルコースがα−1,4結合したオリゴ糖を生成する。マルトトリオース生成α−アミラーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.116)は例えばAMT1.2L(天野エンザイム(株)製)などが商業的に入手できる。マルトテトラオース生成α−アミラーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.60)は例えばデナベイクEXTRA(ナガセケムテックスジャパン(株)製)などが商業的に入手できる。
本発明の油脂組成物は、糖分解酵素としてマルトオリゴ糖生成α−アミラーゼを含有し、マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.005〜0.5Uであることが好ましい。ここでマルトオリゴ糖生成α−アミラーゼの酵素活性は、後述の実施例欄に記載の方法で測定される。マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼを含有することで、ベーカリー製品はソフトさ、老化防止効果が良好になる。マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼの含有量を上記の範囲内とすることで、生地のベタツキによる作業性の低下も抑制できる。またホスホリパーゼを併用することで、ケービング、生地のベタツキによる作業性の低下も抑制できる。上記の点を考慮すると、マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼの酵素活性は油脂組成物100gに対して0.005〜0.2Uであることがより好ましい。さらにマルトオリゴ糖生成α−アミラーゼの中でもマルトテトラオース生成α−アミラーゼを使用すると、よりソフトさ、老化防止効果が良好になり、ケービング、生地のベタツキによる作業性の低下も抑制できる。
ヘミセルラーゼは、ヘミセルロースを加水分解する酵素の総称である。ヘミセルロースとは、植物組織からアルカリ抽出される多糖類の総称であり、主な多糖類としては、キシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナンなどが挙げられる。これらの多糖類を加水分解する酵素が一般的にはヘミセルラーゼと称されており、代表的な酵素名としてはキシラナーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.8)、ガラクタナーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.89)が挙げられる。ヘミセルラーゼとしては、例えば、ヘミセルラーゼ「アマノ」90(天野エンザイム(株)製)、スクラーゼX(三菱化学フーズ(株)製)、スミチームACH(新日本化学工業(株)製)、VERON393(AB Enzymes製)などが商業的に入手できる。
本発明の油脂組成物は、糖分解酵素としてヘミセルラーゼを含有し、ヘミセルラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して3〜100Uであることが好ましい。ここでヘミセルラーゼの酵素活性は、後述の実施例欄に記載の方法で測定される。ヘミセルラーゼを含有することで、ベーカリー製品はソフトさが良好で、老化も抑制できる。ヘミセルラーゼの含有量を上記の範囲内とすることで、ケービングも抑制できる。またホスホリパーゼを併用することで、ケービング、生地のベタツキによる作業性の低下を抑制できる。
本発明の油脂組成物は、糖分解酵素として、α−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ、およびマルトオリゴ糖生成α−アミラーゼから選ばれる少なくとも1種と、ヘミセルラーゼとを含有することが好ましい。
特に、糖分解酵素は次の(i)〜(iii)の少なくともいずれかを満たし、かつヘミセルラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して3〜100Uであることが好ましい。
(i)α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.05〜16U
(ii)マルトース生成α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.005〜0.5U
(iii)マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.005〜0.5U
α−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ、およびマルトオリゴ糖生成α−アミラーゼから選ばれる少なくとも1種と、ヘミセルラーゼとを含有することで、ベーカリー製品はソフトさ、老化防止効果が良好になる。またホスホリパーゼを併用することで、ケービング、生地のベタツキによる作業性の低下を抑制できる。本発明の油脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、これらの酵素以外の酵素を加えることができる。
なお、本発明の油脂組成物に含有される各酵素は、油脂組成物を50℃で溶解後50℃に加温した緩衝液を加え、攪拌した後、5℃で遠心分離して水相部を試料とし、この水相を適度に希釈して酵素活性を測定することで、酵素活性および含有量を分析することができる。
本発明の油脂組成物において、油相を構成する油脂は、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が、トリグリセリドの2位に結合された脂肪酸全体の質量に対して35〜60質量%である。トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量がこの範囲内であると、ホスホリパーゼおよび糖分解酵素を油相に含有させた油脂組成物とすることで、ベーカリー製品はソフトで、ケービングと老化が抑制され、生地のベタツキが少なく作業性に優れ、油脂組成物を保存後に使用してもこれらの特性の劣化が少ない。トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が多過ぎると、油脂がやわらかくなる傾向があることから、特に、骨格が弱くなりケービングが顕著になり、またキメが詰まってソフトさなどが劣るようになる。トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が少な過ぎると、油脂が硬くなり、また経時的にも結晶成長が起こり硬くなる傾向があることから、特にソフトさと老化抑制作用が低下する。このような点を考慮すると、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量は、35〜50質量%が好ましい。
トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量は、油脂を調合することによって調整することができる。本発明の油脂組成物に使用される油脂としては、特に限定されるものではないが、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、シア脂、サル脂、マンゴー油、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油、加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。これらの油脂は、2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有する化合物である。トリグリセリドの1位、2位、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。上記に例示したような油脂に由来する、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位と3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドとしては、例えば、SOS型トリグリセリド、SOU型トリグリセリド(位置異性体も含む)、UOU型トリグリセリドなどが挙げられるが、特に限定されない。ここで「S」はトリグリセリドの構成脂肪酸である飽和脂肪酸、「U」はトリグリセリドの構成脂肪酸である不飽和脂肪酸、「O」はトリグリセリドの構成脂肪酸であるオレイン酸を意味する。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sである場合、炭素数4〜24の飽和脂肪酸であることが好ましい。飽和脂肪酸Sとしては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)などが挙げられる。なお、上記括弧内の数値表記は、脂肪酸の炭素数である。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸Uである場合、炭素数14〜24の不飽和脂肪酸であることが好ましい。不飽和脂肪酸Uとしては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)などが挙げられる。なお、上記不飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、左側が脂肪酸の炭素数であり、右側が二重結合数を意味する。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sと不飽和脂肪酸Uである場合、上述の飽和脂肪酸(炭素数4〜24の飽和脂肪酸)と不飽和脂肪酸(炭素数4〜24の不飽和脂肪酸)であることが好ましい。
その中でも、本発明の油脂組成物は、ラウリン系油脂(a1)とパーム系油脂(a2)とのエステル交換油脂(a)を含有することが好ましい。
エステル交換油脂(a)の原料であるラウリン系油脂(a1)は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上の油脂であり、例えば、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのラウリン系油脂(a1)のうち、パーム核油、その分別油や硬化油が好ましい。硬化油の場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には微水素添加したものか、低温硬化したもの、または完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。
ラウリン系油脂(a1)は、ヨウ素価が2以下の油脂を含有することが好ましい。ヨウ素価が2以下の油脂を用いると、トランス脂肪酸の生成の虞が少なく、エステル交換油脂(a)を他の油脂と混合する際に結晶核となり、固化し易くかつ口溶けの良い油脂組成物となる。ヨウ素価が2以下の油脂としては、極度硬化油が挙げられる。
エステル交換油脂(a)の原料であるパーム系油脂(a2)は、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上である。パーム系油脂(a2)としては、パーム油、パーム分別油やこれらの硬化油などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。パーム分別油としては、硬質部、軟質部、中融点部などを用いることができる。硬化油の場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には微水素添加したものか、低温硬化したもの、または完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。
パーム系油脂(a2)は、ヨウ素価が50〜60の油脂を含有することが好ましい。ヨウ素価が50〜60の油脂を用いることで、含有する飽和脂肪酸量から結晶性に優れ、また不飽和脂肪酸を含む点から可塑性に優れた油脂組成物の作製が可能となる。またパーム系油脂(a2)は、極度硬化油を含有することが好ましい。パーム系油脂(a2)に極度硬化油が含有されていると、エステル交換油脂(a)の融点を高めることができ、結晶性が良好になる。
エステル交換油脂(a)は、ヨウ素価が15〜45であることが好ましい。ヨウ素価がこの範囲内であると、他の油脂との相溶性が良い。
エステル交換油脂(a)において、ラウリン系油脂(a1)と、パーム系油脂(a2)とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定し固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、ラウリン系油脂(a1)とパーム系油脂(a2)とのエステル交換反応が完了すると、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂(a)中における質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55の範囲内となる。
エステル交換反応に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間攪拌することでラウリン系油脂(a1)とパーム系油脂(a2)とのエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂(a)を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂(a)を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭等の精製を行うことができる。
その中でも、本発明の油脂組成物は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂(a)を油脂全体の質量に対して10〜40質量%含有することがより好ましい。このような範囲内でエステル交換油脂(a)を使用すると、ベーカリー製品のソフトさ、ケービングと老化の抑制、生地のベタツキが少ない作業性を得るために好適である。これらの点を考慮すると、本発明の油脂組成物は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂(a)を油脂全体の質量に対して10〜40質量%含有し、さらに液状油を油脂全体の質量に対して15〜65質量%含有することが好ましい。ここで液状油は、5℃で流動状を呈するものであり、例えば、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、コーン油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、パーム油を分別したスーパーオレインなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の油脂組成物は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂(a)を油脂全体の質量に対して10〜40質量%含有し、さらに極度硬化油を含有することが好ましい。ここで極度硬化油は、ヨウ素価が好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。極度硬化油としては、菜種極度硬化油、パーム極度硬化油、ヤシ極度硬化油、パーム核極度硬化油、ラード極度硬化油、牛脂極度硬化油、およびそれら極度硬化油のエステル交換油脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の油脂組成物は、油脂の構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を含んでもよく、含まなくてもよいが、トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、血液中におけるLDLコレステロール量が増加しうる。よって、これを抑制しやすい点から、本発明においては、油脂のトリグリセリドの構成脂肪酸中のトランス脂肪酸の含有量は、トリグリセリドの脂肪酸全体の質量に対して10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることが最も好ましい。本発明の油脂組成物は、トランス脂肪酸の含有量をこのような範囲内にする点を考慮すると、部分硬化油を含有しないことが好ましい。
本発明の油脂組成物は、これを用いた可塑性油脂として使用することができる。本発明の可塑性油脂は、以上に説明した本発明の油脂組成物を油相として含有する。
本発明の可塑性油脂は、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態をとることができる。
水相を実質的に含有しない形態としてはショートニングが挙げられる。ここで「実質的に含有しない」とは日本農林規格のショートニングに該当する、水分(揮発分を含む。)の含有量が0.5質量%以下のことである。
水相を含有する形態としては油中水型、油中水中油型などが挙げられ、油相の含有量は、好ましくは60〜99.4質量%、より好ましくは65〜98質量%であり、水相の含有量は、好ましくは0.6〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%である。水相を含有する形態としては油中水型が好ましく、例えばマーガリンが挙げられる。
本発明の可塑性油脂には、水以外に、従来の公知の成分を含んでもよいが、乳化剤を含有しないことが好ましい。本発明におけるホスホリパーゼおよび糖分解酵素を使用することで、乳化剤を使用せずともソフトさなどの所望の特性や乳化機能を得ることができ、これらの酵素はベーカリー生地の焼成後に完全に失活すると原材料表示への記載が不要になることから、乳化剤の代替として使用することで「乳化剤不使用」と表示できるなど、商品価値を高めることができる。
本発明の可塑性油脂は、公知の方法により製造することができる。水相を含有しない形態のものは、本発明の油脂組成物からなる油相を加熱した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサスなどの冷却混合機により急冷捏和することができる。水相を含有する形態のものは、本発明の油脂組成物からなる油相と水相とを適宜に加熱し混合して乳化した後、上記冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。冷却混合機において、必要に応じて窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込むこともできる。また急冷捏和後に熟成(テンパリング)してもよい。
本発明の可塑性油脂をベーカリー生地に練り込み、このベーカリー生地を焼成することで、ベーカリー製品が得られる。
ベーカリー製品としては、例えば、食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッド、デニッシュ、クロワッサン、ブリオッシュなどが挙げられる。食パンとしては、パン生地を型に入れて焼成する型焼きパン、例えば、四角の型に蓋をして焼成した角食パン、型に生地玉を2〜3個いれて山型に焼成したイギリスパン、1個の生地玉でまくら型をしたワンローフなどが挙げられる。
ベーカリー生地は、穀粉を主成分とし、穀粉としては、通常、焼成品の生地に配合されるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉など)、大麦粉、全粒粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、雑穀(アワ、ヒエ、アマランサス等)、ジャガイモ粉などが挙げられる。ベーカリー生地には、穀粉と本発明の可塑性油脂以外に、通常、ベーカリー生地に使用される原材料であれば、特に制限なく配合することができる。また、これらの配合量も、通常、ベーカリー生地に配合される範囲を考慮して特に制限なく適宜の量とすることができる。具体的には、例えば、水、イースト、イーストフード、乳、乳製品、蛋白質、糖質、卵、卵加工品、澱粉、塩類、乳化剤、乳化起泡剤(乳化油脂)、粉末油脂、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、フレーバーなどが挙げられる。
ベーカリー生地における本発明の可塑性油脂の使用量は、特に限定されないが、本発明の効果や油脂の添加により通常求められる特性を満足する点を考慮すると、穀粉100質量部に対して1〜15質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
卵や卵加工品の使用量は特に限定されないが、卵黄分で穀粉100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
本発明の可塑性油脂を用いたベーカリー製品は、老化抑制効果に優れていることから、一般的に老化しやすい米粉パンや蛋白含量が少ない小麦粉、全粒粉、大麦粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、雑穀(アワ、ヒエ、アマランサス等)、ジャガイモ粉等を配合することにより生地が繋がりにくく骨格が弱くなるパンに好適である。さらに本発明の可塑性油脂を用いた米粉パンや前記のパンは、ボリュームが良好で、ふっくらとした体積のあるパンが得られる。ここで、米粉パンは、米粉を穀粉に使用して製造されたパンであれば、特に限定されるものではなく、穀粉として米粉だけ使用したものや、小麦粉などに米粉を混ぜた穀粉を使用したものであってよい。
ベーカリー生地は、一般的な方法により製造することができる。例えばパン生地の製造方法として、直捏法、中種法、液種法などの製法を挙げることができる。直捏法は、全ての原材料を一操作でミキシングして生地を作る方法で、前発酵工程はない。本発明の可塑性油脂も他の原材料と共にミキサーに投入してミキシングを行う。中種法は二段階で生地を作る方法で、例えば、第一段階の中種は使用する穀粉の50〜100質量%とイースト、イーストフード、水で捏上げ醗酵させる。醗酵が終わった後に第二段階として残りの穀粉などの原材料を加え本捏を行う。この中種法でパン生地を使用する場合、本発明の可塑性油脂は本捏生地に添加することができる。液種法は、イースト、塩、水、少量の糖で液種(水種)を作る方法で、この後の工程は中種法と同様に液種と残りの原材料を加え本捏を行う。ベーカリー生地を製造後、発酵、分割、成形などの工程を経て、焼成を行うことでベーカリー製品が得られる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例の油脂組成物には、次のエステル交換油脂1、2を使用した。
(エステル交換油脂1)
パーム核極度硬化油25.0質量%、パーム極度硬化油25.0質量%、パーム油50.0質量%、を混合し、触媒としてナトリウムメチラート添加し、減圧下で、100℃で0.5時間エステル交換反応した。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色しエステル交換油脂1を得た。
(エステル交換油脂2)
パーム分別軟質油を用いて、上記と同様な条件でエステル交換反応した。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭しエステル交換油脂2を得た。
なお、表1〜表4に示す油脂のヨウ素価は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−2013ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」で測定した。
油脂におけるトリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定した。なお、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量は、上記試験法のとおり、リパーゼ溶液で処理後のモノアシルグリセリン画分をガスクロマトグラフィーで測定した全ピーク面積である油脂全量(油脂のトリグリセリドの2位脂肪酸全体の質量)を基準としている。
実施例および比較例の油脂組成物からなる可塑性油脂には、次の酵素を使用した。
ホスホリパーゼ
(ホスホリパーゼA2)
ナガセ10P/R ナガセケムテックスジャパン(株)製 下記測定法による酵素活性100,000U/g
ホスホリパーゼA2の酵素活性は次の方法で測定した。
・ホスホリパーゼA2の酵素活性測定法
1% L−a−phosphatidylcholine溶液(pH8.0 0.1MTris−HCl緩衝液 5mM CaCl)に酵素を加え、37℃で反応させた場合に、1分間あたり1μmolの遊離脂肪酸を生成する酵素量を1Uとする。
糖分解酵素
(α−アミラーゼ)
コクラーゼ 三菱化学フーズ(株)製 下記測定法による酵素活性10,000U/g
(マルトース生成α−アミラーゼ)
ノバミル3D Conc.BG ノボザイムズジャパン(株)製 下記測定法による酵素活性450U/g
(マルトテトラオース生成α−アミラーゼ)
デナベイクEXTRA (ナガセケムテックスジャパン(株)製) 下記測定法による酵素活性250U/g
α−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ、マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼ(マルトテトラオース生成α−アミラーゼ)の酵素活性は次の方法で測定した。
・α−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ、マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼ(マルトテトラオース生成α−アミラーゼ)の酵素活性測定法
ヨウ素デンプン反応
酵素を基質デンプン(pH6.0)に作用させ、デンプンの低分子化に伴う、デンプンのヨウ素による青色呈色の減少を測定する。37℃で反応させた場合に、1分間にデンプンのヨウ素による青色を10%減少させる酵素量を1Uとする。
(ヘミセルラーゼ)
ヘミセルラーゼ「アマノ」90 天野エンザイム(株)製 下記測定法による酵素活性100,000U/g
ヘミセルラーゼの酵素活性は次の方法で測定した。
・ヘミセルラーゼの酵素活性測定法
キシラナーゼ活性:キシラン糖化力測定法(ニトロ試薬法)
基質キシラン溶液(pH4.5)に酵素を作用させ、グルコシド結合の切断に伴って増加する還元力を測定して求める。40℃で反応させた場合に1分間に1μmolのキシロースに相当する還元糖を生成する酵素量を1Uとする。
<練り込み用可塑性油脂の作製>
表1および表2に示す実施例1〜22および比較例1〜6は、これらの表に示す油脂配合で調合した油脂を65℃に保持し、これらの表に示す酵素活性(U/油脂組成物100g)となるように、各酵素を添加、混合した油脂組成物をパーフェクターによって急冷捏和して、ショートニングとして練り込み用可塑性油脂を得た。
表1に示す実施例23は、表1に示す油脂配合で調合した油脂88.9質量%にレシチン0.1質量%を添加して65℃で加熱溶解したものを油相とし、該油相に水10質量%を添加しプロペラを用いて油中水型に乳化した。その後あらかじめ同様に調合した油脂1質量%に実施例23に示す酵素活性(U/油中水型乳化物100g)となるように各酵素を添加、混合して65℃に保持したものを添加した。その後パーフェクターによって急冷捏和して、マーガリンとして練り込み用可塑性油脂を得た。
表2〜4に示す比較例7は、これらの表に示す油脂配合で調合した油脂89.9質量%にレシチン0.1質量%を添加して65℃で加熱溶解したものを油相とし、水10質量%に比較例7に示す酵素活性(U/油中水型乳化物100g)となるように、各酵素を添加、混合して65℃に保持したものを水相とした。該油相に該水相を添加しプロペラを用いて油中水型に乳化した後、パーフェクターによって急冷捏和して、マーガリンとして練り込み用可塑性油脂を得た。
表1〜表4の下欄には、各酵素をショートニングの調合油に添加した場合を「A」、各酵素をマーガリンの油相に添加した場合を「B」、各酵素をマーガリンの水相に添加した場合を「B’」、各酵素を生地に直接添加した場合を「C」と表記している。
(1)食パンの評価 表1、表2
<食パンの作製>
実施例および比較例の練り込み用可塑性油脂を用いて、食パンを作製した。具体的には、まず、イーストを分散させた水、イーストフード、および強力粉をミキサーボールに投入し、フックを使用し、低速4分、中低速1分でミキシングを行った。捏上げ温度は24℃であった。その後、27℃、湿度75%の条件で4時間発酵を行った。発酵の終点温度は29℃であり、発酵後、中種生地を得た。その後、練り込み用可塑性油脂以外の材料および中種生地を、低速3分、中高速3分でミキシングした後、練り込み用可塑性油脂を投入し、更に低速3分、中低速4分でミキシングしパン生地を得た。捏上温度は28℃であった。その後、27℃、湿度75%で20分フロアタイムをとった後、225gに分割してベンチタイムを20分とった。3斤型にそれぞれ成型して、38℃、湿度80%のホイロで45分発酵させた後、200℃で40分間焼成して、食パンを得た。練り込み用可塑性油脂は製造後10℃で7日間保管したものを使用した。
〈食パンの配合〉
・中種配合
強力粉 70質量部
イースト 2.5質量部
イーストフード 0.1質量部
水 40質量部
・本捏配合
強力粉 30質量部
上白糖 6質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
練り込み用可塑性油脂 5質量部
水 25質量部
実施例1〜22、および比較例1〜6については、練り込み用可塑性油脂として前述のショートニングを配合した。実施例23、比較例7については、練り込み用可塑性油脂として前述のマーガリンを配合した。比較例8については、表2に示した油脂配合で作製した練り込み用ショートニング(但し酵素無添加)と酵素は別途に、表2の酵素活性(U/油脂組成物100g)となる量で直接、本捏生地に添加した。
上記の食パンとその作製工程について、次の評価を行った。
[ケービング]
3斤の食パン型で焼成した食パンを端から厚み1.8cmでスライスし、中央部分の4枚の断面をコピー機で印刷した。
印刷した食パン断面の一番外側を通るように長方形に切り出し、コピー用紙の重さを測定した。
次に、スライスしたパンの部分を切り取り、コピー用紙の質量を測定した。最初の長方形の質量に対する食パン部分の質量の割合を計算した。4枚の平均値を算出し、下記の基準により評価した。
評価基準
◎:92%以上
○:90%以上92%未満
△:88%以上90%未満
×:88%未満
[ソフトさ]
3斤の食パン型で焼成した食パンをビニール袋に入れ、20℃で1日間保管した後、
2cmの厚さにスライスし、さらに超音波カッターを用いてそのクラムの中央部を、2cm四方、高さ2cmに切り出し、カット片を10個作製、株式会社山電製クリープメーターを用いて、40%圧縮時(プランジャー直径4cm円柱状、圧縮速度1mm/秒)の最大応力を測定、10ヶの平均値を算出して、下記の基準によりパンのソフトさを評価した。
評価基準
◎+:最大応力が900N/m未満
◎:最大応力が900N/m以上1100N/m未満
○:最大応力が1100N/m以上1300N/m未満
△:最大応力が1300N/m以上1500N/m未満
×:最大応力が1500N/m以上
[老化防止]
上記の通り作製した食パンをビニール袋に入れ、20℃で3日間保管した。
上記と同様の条件で40%圧縮時の最大応力の平均値を算出し、下記の基準によりパンのソフトさから老化防止効果を評価した。
評価基準
◎+:最大応力が1800N/m未満
◎:最大応力が1800N/m以上2000N/m未満
○:最大応力が2000N/m以上2200N/m未満
△:最大応力が2200N/m以上2400N/m未満
×:最大応力が2400N/m以上
[生地のベタツキ]
上記配合で、強力粉1kg仕込みで食パンを作製する際に、分割・丸め作業時において生地のベタツキを防止するのに必要な手粉の使用量でベタツキの評価をした。
評価基準
◎:作業時のトータルの手粉使用量は10g未満であった。
○:作業時のトータルの手粉使用量は10g以上、20g未満であった。
△:作業時のトータルの手粉使用量は20g以上、30g未満であった。
×:作業時のトータルの手粉使用量は30g以上であった。
[生地経時変化ベタツキ(フロアタイムの影響)]
上記配合で、強力粉1kg仕込みで食パンを作製する際に、通常フロアタイム20分のところをフロアタイム60分に伸ばして、分割・丸め作業時において生地のベタツキを防止するのに必要な手粉の使用量でベタツキの評価をした。
評価基準
◎:作業時のトータルの手粉使用量は10g未満であった。
○:作業時のトータルの手粉使用量は10g以上、20g未満であった。
△:作業時のトータルの手粉使用量は20g以上、30g未満であった。
×:作業時のトータルの手粉使用量は30g以上であった。
[総合評価]
上記の各評価の結果より、下記の基準により総合評価した。
評価基準
◎+:すべての評価で◎以上、かつ◎+が1つ以上
◎:すべての評価で◎以上、かつ◎+はなし
○:すべての評価で〇以上、かつ〇が1つ以上
×:△または×が1つ以上
上記の評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2018068171
Figure 2018068171
(2)米粉パンの評価 表3
<米粉パンの作製>
実施例および比較例の練り込み用可塑性油脂を用いて、米粉パンを作製した。具体的には、まず、イーストを分散させた水、練り込み用可塑性油脂以外の全ての原材料をミキサーボールに投入し、フックを使用し、低速3分、中低速4分でミキシングした後、練り込み用可塑性油脂を投入し、更に低速3分、中低速4分でミキシングし米粉パン生地を得た。捏上温度は26℃であった。その後、350gと70gに分割してベンチタイムを15分とった。それぞれワンローフ型とロール型に成型して38℃、湿度80%のホイロで65分発酵させた後、200℃で焼成して、米粉パンを得た。練り込み用可塑性油脂は製造後10℃で7日間保管したものを使用した。
〈米粉パンの配合〉
米粉 83質量部
バイタルグルテン 17質量部
上白糖 5質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
全卵 5質量部
イースト 3質量部
練り込み用可塑性油脂 10質量部
水 80質量部
実施例1、4、5、8、15、16、比較例1、2、3については、練り込み用可塑性油脂として前述のショートニングを配合した。比較例7については、練り込み用可塑性油脂として前述のマーガリンを配合した。比較例8については、表2に示した油脂配合で作製した練り込み用ショートニング(但し酵素無添加)と酵素は別途に、表2の酵素活性(U/油脂組成物100g)となる量で直接、本捏生地に添加した。
上記の米粉パンとその作製工程について、次の評価を行った。
[ボリューム]
ワンローフ型で作製した米粉パンをビニール袋に入れ、20℃で1日間保管した。
レーザー体積計 Volscan(Stable Micro Systems社製)を用いて、比容積を測定し、下記の基準により米粉パンのボリュームを評価した。
評価基準
◎:比容積が3.7ml/g以上
○:比容積が3.5以上3.7ml/g未満
△:比容積が3.3以上3.5ml/g未満
×:比容積が3.3ml/g未満
[ソフトさ]
ロール型で焼成した米粉パンをビニール袋に入れ、20℃で1日間保管した。
超音波カッターを用いて、10個の米粉ロールパンの中央部のクラムを2cm四方、高さ2cmに切り出し、株式会社山電製クリープメーターを用いて、40%圧縮時(プランジャー直径4cm円柱状、圧縮速度1mm/秒)の最大応力を測定し、10ヶの平均値を算出して下記の基準により米粉パンのソフトさを評価した。
評価基準
◎+:最大応力が700N/m未満
◎:最大応力が700N/m以上800N/m未満
○:最大応力が800N/m以上1000N/m未満
△:最大応力が1000N/m以上1200N/m未満
×:最大応力が1200N/m以上
[老化防止]
ロール型で焼成した米粉パンをビニール袋に入れ、20℃で2日間保管した。
上記と同様の条件で40%圧縮時の最大応力の平均値を算出し、下記の基準によりパンのソフトさから老化防止効果を評価した。
評価基準
◎+:最大応力が1800N/m未満
◎:最大応力が1800N/m以上2000N/m未満
○:最大応力が2000N/m以上2200N/m未満
△:最大応力が2200N/m以上2400N/m未満
×:最大応力が2400N/m以上
[生地のベタツキ]
上記配合で、米粉0.83kg仕込みで米粉パンを作製する際に、分割・丸め作業時において生地のベタツキを防止するのに必要な手粉の使用量でベタツキの評価をした。
評価基準
◎:作業時のトータルの手粉使用量は10g未満であった。
○:作業時のトータルの手粉使用量は10g以上、20g未満であった。
△:作業時のトータルの手粉使用量は20g以上、30g未満であった。
×:作業時のトータルの手粉使用量は30g以上であった。
[総合評価]
上記の各評価の結果より、下記の基準により総合評価した。
評価基準
◎+:すべての評価で◎以上、かつ◎+が1つ以上
◎:すべての評価で◎以上、かつ◎+はなし
○:すべての評価で〇以上、かつ〇が1つ以上
×:△または×が1つ以上
上記の評価結果を表3に示す。
Figure 2018068171
(3)練り込み用可塑性油脂の経時変化調査 表4
上記(1)と同じく、実施例16、23と比較例7の練り込み用可塑性油脂を用いて、食パン3斤型を作製した。
練り込み用可塑性油脂を作製後、7日、30日、60日、90日の間、10℃保管し、保管後の練り込み用可塑性油脂を用いて上記(1)と同じ手順にて食パンを作製した。
得られた食パンとその作製工程について、上記(1)と同じくケービング、ソフトさ、老化防止、生地のベタツキ、生地経時変化ベタツキ(フロアタイムの影響)の各評価と、これらの総合評価を行った。
上記の評価結果を表4に示す。
Figure 2018068171
油相に酵素を添加した実施例16、23は、経時的に酵素活性が劣化しておらず、ケービング、ソフトさ、老化防止、生地のベタツキにも変化が見られず良好であるのに対して、水相に酵素を添加した比較例7は、経時的に酵素活性が劣化し、ソフトさ、老化防止効果が減少している。
・ヘミセルラーゼの酵素活性測定法
キシラナーゼ活性:キシラン糖化力測定法(ニトロ試薬法)
基質キシラン溶液(pH4.5)に酵素を作用させ、グルコシド結合の切断に伴って増加する還元力を測定して求める。40℃で反応させた場合に1分間に0.01mgのキシロースに相当する還元糖を生成する酵素量を1Uとする。

Claims (14)

  1. ベーカリー生地に練り込んで使用される、油相からなる油脂組成物であって、前記油相を構成する油脂は、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が、トリグリセリドの2位に結合された脂肪酸全体の質量に対して35〜60質量%であり、ホスホリパーゼおよび糖分解酵素を前記油相に含有する油脂組成物。
  2. ホスホリパーゼとしてホスホリパーゼA2を含有し、ホスホリパーゼA2の酵素活性が油脂組成物100gに対して2〜36Uである請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 糖分解酵素は、α−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ、マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼ、およびヘミセルラーゼから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の油脂組成物。
  4. 糖分解酵素としてα−アミラーゼを含有し、α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.05〜16Uである請求項3に記載の油脂組成物。
  5. 糖分解酵素としてマルトース生成α−アミラーゼを含有し、マルトース生成α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.005〜0.5Uである請求項3に記載の油脂組成物。
  6. 糖分解酵素としてマルトオリゴ糖生成α−アミラーゼを含有し、マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.005〜0.5Uである請求項3に記載の油脂組成物。
  7. 糖分解酵素としてヘミセルラーゼを含有し、ヘミセルラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して3〜100Uである請求項3に記載の油脂組成物。
  8. 糖分解酵素として、α−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ、およびマルトオリゴ糖生成α−アミラーゼから選ばれる少なくとも1種と、ヘミセルラーゼとを含有する請求項3に記載の油脂組成物。
  9. 糖分解酵素は次の(i)〜(iii)の少なくともいずれかを満たし、かつヘミセルラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して3〜100Uである請求項8に記載の油脂組成物。
    (i)α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.05〜16U
    (ii)マルトース生成α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.005〜0.5U
    (iii)マルトオリゴ糖生成α−アミラーゼの酵素活性が油脂組成物100gに対して0.005〜0.5U
  10. ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を油脂全体の質量に対して10〜40質量%含有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の油脂組成物。
  11. さらに液状油を油脂全体の質量に対して15〜65質量%含有する請求項10に記載の油脂組成物。
  12. さらに極度硬化油を含有する請求項10または11に記載の油脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の油脂組成物を油相として含有する可塑性油脂。
  14. 請求項13に記載の可塑性油脂をベーカリー生地に練り込み、このベーカリー生地を焼成するベーカリー製品の製造方法。
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