JP2018011578A - 可塑性油脂組成物及び焼成品 - Google Patents
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Abstract
Description
該可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の質量が、前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して25質量%以上55質量%以下であり、
60℃における2%水溶液の粘度が200mPa・s以下であるセルロースエーテルを含有する、可塑性油脂組成物。
前記可塑性油脂組成物に含まれる全ての前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのうち、グリセリンの重合度が4〜6であるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの質量が最も多い、(1)から(5)のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
本発明の可塑性油脂組成物は、該可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の質量が、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して25質量%以上55質量%以下であり、60℃における2%水溶液の粘度が200mPa・s以下であるセルロースエーテルを含有する。本発明の可塑性油脂組成物は、かかる構成により、生地が繋がりにくい穀粉を用いても、焼成品の食感において良好なバランスを得ることができる。特に、本発明の可塑性油脂組成物によると、チルド温度域における保存時においても、生地が繋がりにくい穀粉を用いても、焼成品の食感において良好なバランスを得ることができる。また、本発明によると、生地が繋がりにくい穀粉の風味も向上させることができる。なお、本発明において、「チルド温度域」とは、15℃〜0℃の温度域を指す。
本発明の可塑性油脂組成物は、2位オレイン酸量が25質量%以上55質量%以下であれば特に限定されないが、2位オレイン酸量が過小であると、特に生地が繋がりにくい穀粉を用いたときに、焼成品の食感(特にチルド温度域で保管される焼成品において)及び焼成前の生地のベタツキのなさが低下するおそれがある。よって、生地が繋がりにくい穀粉を用いてもチルド温度域の保管時における焼成品の食感において良好なバランスを得ることができ、また、焼成前の生地がベタツキにくくなることから、本発明の可塑性油脂組成物における2位オレイン酸量は、29質量%以上であることが好ましく、33質量%以上であることがより好ましく、37質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。他方、2位オレイン酸量が過大であっても、特に生地が繋がりにくい穀粉を用いたときに、焼成品の食感(特にチルド温度域で保管される焼成品において)及び焼成前の生地のベタツキのなさが低下するおそれがある。よって、生地が繋がりにくい穀粉を用いてもチルド温度域の保管時における焼成品の食感において良好なバランスを得ることができ、焼成前の生地がベタツキにくくなることから、本発明の可塑性油脂組成物における2位オレイン酸量は、51質量%以下であることが好ましく、49質量%以下であることがより好ましく、47質量%以下であることがさらに好ましく、45質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、60℃における2%水溶液の粘度が200mPa・s以下であるセルロースエーテルを含有する。
本発明の可塑性油脂組成物は、さらにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有してもよく、含有しなくてもよいが、含有することで、生地が繋がりにくい穀粉を用いたときにおいても、チルド温度域で保管される焼成品の風味、もっちり感、歯切れ感、焼成前の生地のベタツキのなさに優れる。このことから、本発明の可塑性油脂組成物は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含むことが好ましい。特に、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを増粘多糖類とともに含むことにより、生地が繋がりにくい穀粉を用いたときにおいても、チルド温度域で保管される焼成品のもっちり感、焼成前の生地のベタツキのなさに優れる。このことから、本発明の可塑性油脂組成物において、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと増粘多糖類とのいずれも含むことが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、さらにセルロースエーテル以外の増粘多糖類を含有してもよく、含有しなくてもよいが、含有することで、生地が繋がりにくい穀粉を用いたときにおいても、チルド温度域で保管される焼成品のもっちり感に優れ、焼成前の生地がベタツキにくくなる。このことから、本発明の可塑性油脂組成物は、増粘多糖類を含むことが好ましい。特に、上述のとおり、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを増粘多糖類とともに含むことにより、生地が繋がりにくい穀粉を用いたときにおいても、チルド温度域で保管される焼成品のもっちり感に優れ、焼成前の生地がベタツキにくくなる。
本発明の可塑性油脂組成物は、糖質分解酵素及びリン脂質分解酵素からなる群から選択される1つ以上の酵素を含有してもよく、含有しなくてもよいが、含有した方が、特に、生地が繋がりにくい穀粉を用いても、チルド温度域で保管される焼成品の食感において良好なバランスを得ることができ、焼成前の生地がベタツキにくくなる。このことから、本発明は、糖質分解酵素及びリン脂質分解酵素からなる群から選択される1つ以上の酵素を含有することが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態のいずれの形態であってもよい。水相を含有する形態の場合、本発明の可塑性油脂組成物は、特に限定されないが、例えば、マーガリン類であってもよい。また、水相を含有する乳化形態は、特に限定されないが、例えば、油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型等が挙げられる。この場合の油相の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは55〜99.95質量%であり、より好ましくは60〜99.4質量%であり、さらに好ましくは65〜98質量%である。また、水相の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは0.5〜45質量%であり、より好ましくは、0.6〜40質量%であり、さらに好ましくは、2〜35質量%である。乳化形態は、特に生地が繋がりにくい穀粉を用いても、チルド温度域で保存される焼成品の食感において良好なバランスを得ることができ、焼成前の生地がベタツキにくくなることから、油中水型であることが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物の用途は特に限定されず、製菓又は製パンに用いることができる。製菓又は製パン用としては、ロールイン用、練り込み用、バタークリーム用、スプレッド用等が挙げられる。特に、本発明の可塑性油脂組成物は、チルド温度域で保管される菓子又はパン製造用としての使用に好適である。また、発明の可塑性油脂組成物を、菓子又はパンに練り込んで用いた場合に、生地が繋がりにくい穀粉を用いても、チルド温度域における保存される焼成品の食感において良好なバランスを得ることができ、焼成前の生地がベタツキにくくなる。このことから、本発明の可塑性油脂組成物は、製菓又は製パン練り込み用として用いることが好ましい。また、生地が繋がりにくい穀粉を用いても、チルド温度域における保存される焼成品の食感において良好なバランスを得ることができる観点で、ロールイン用として用いることが好ましい。なお、「製菓又は製パン練り込み用」とは、菓子又はパンの生地に練り込まれて用いられることを指す。「製菓又は製パン練り込み用」の可塑性油脂組成物が添加された焼成品は、生地に可塑性油脂組成物が練り込まれた状態で生地が焼成されて製造される。「ロールイン用」とは、菓子又はパンの生地に折り込んで用いることを指す。「ロールイン用」の可塑性油脂組成物が添加された焼成品は、生地の間に可塑性油脂組成物を挟み込み、伸展と折り畳みを繰り返すことによって生地に可塑性油脂組成物が層状に折り込まれた状態で生地が焼成されて製造される。
本発明の可塑性油脂組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、水相を含有する形態のもの(マーガリン類等)は、本発明の油脂組成物を含む油相と水相とを、適宜に加熱し混合して乳化した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサス等の冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。水相を含有しない形態のもの(ショートニング等)は、本発明の油脂組成物を含む油相を加熱した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサス等の冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。また、必要に応じて、冷却混合機において窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込んだり、急冷捏和後に熟成(テンパリング)して、得ることができる。
本明細書において、「A油脂」とは、トリ飽和量が20〜50質量%でありヨウ素価が20〜50である油脂のことを指す。このようなA油脂としては、特に限定されないが、例えば、上記で述べたパーム系油脂、パーム系油脂のエステル交換油脂等の植物油脂や乳脂等の動物油脂を挙げることができ、1種以上組合せて使用することもできる。中でも、パーム分別硬質油、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂を用いると、結晶核となり、その結果、他の油脂の結晶を誘発し結晶量が確保され、焼成品に弾力性を付与できる。なお、本明細書において、油脂の「トリ飽和量」とは、その油脂全体の質量に対する、その油脂に含まれるトリ飽和脂肪酸グリセリドの質量を指し、例えば、上記A油脂の「トリ飽和量」は、A油脂全体の質量に対する、A油脂に含まれるトリ飽和脂肪酸グリセリドの質量を意味する。
本明細書において、「B油脂」とは、トリ飽和量が2〜20質量%未満である油脂のことを指す。(但し「B油脂」としては、前述の「A油脂」及び後述の「C油脂」は包含しない。)このようなB油脂としては、特に限定されないが、例えば、A油脂、C油脂以外の植物油脂、動物油脂(豚脂(ラード)、牛脂等)、これらの分別油、硬化油、エステル交換油脂が挙げられる。中でも、A油脂との相溶性を考慮すると、パーム系油脂であるパーム油、パーム分別軟質部、パーム分別軟質部のエステル交換油脂、豚脂等を組み合わせて用いることが好ましい。
本明細書において、「C油脂」とは、トリ飽和量が2%未満である油脂、又はトリ飽和量が50質量%超である油脂のことを指す。
本発明は、上記可塑性油脂組成物が添加された食品を包含する。
(a) 穀粉のグルテン量が10質量%以下である
(b) 穀粉のグルテン量が10質量%超であり、灰分量が0.5質量%以上である
(c) 穀粉のグルテン量が10質量%超であり、生地組成物が粒状の固形物をさらに含有する
[1]穀粉50gに水25gを加えざっとこねた後、60回こねる。
[2][1]の生地をまるめて濡れふきんをかけて,30分ねかした後、まるめて水につける。
[3]ボールに水を入れて、水中で[2]の生地をまとめるようにこねては水をかけながら、白い水が出なくなるまで洗い出す。
[4][3]でとれたガム状のものを180℃に加熱した天火に入れ30分焼成し、5分放置し後、乾燥物の質量を測定する。
[5][4]で得られた乾燥物の質量の数値を用いて、以下の式により、グルテン量を計算する。
グルテン量(%)=乾燥物の質量/50×100
(エステル交換油脂の製造)
[エステル交換油脂](A油脂)
パーム油(PO)67.5質量%、パーム核油(PKO)15質量%、パーム極度硬化油(PHmax)5質量%、パーム核極度硬化油(PKHmax)12.5質量%を混合し、触媒としてナトリウムメチラート添加し、減圧下で、エステル交換反応した。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色しエステル交換油脂を得た。エステル交換油脂のヨウ素価は39、トリ飽和量は25.7質量%であった。
パーム分別軟質油(パームオレイン)(ヨウ素価56)に触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭しエステル交換油脂を得た。パーム分別軟質部エステル交換油脂のヨウ素価は56、トリ飽和量は9.1質量%であった。
パーム油(ヨウ素価53)に触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭しエステル交換油脂を得た。パーム油エステル交換油脂のヨウ素価は53、トリ飽和量は13.7質量%であった。
後述する表1〜3に示す油脂配合で75℃の調温し、油相を作製した。一方、水16部に脱脂粉乳1.5部を添加し、85℃で加熱殺菌して水相を得た。次に、上記で得た油相82.5部に水相17.5部を添加し、プロペラ攪拌機で攪拌して、油中水型に乳化した後、パーフェクターによって急冷捏和して、可塑性油脂組成物である、実施例1〜46、比較例1〜15に係るマーガリンを製造した。セルロースエーテルを配合したマーガリンについては、表1〜3の配合割合になるように油脂を混合した後にセルロースエーテルを油脂に添加してから、調温を行った。ただし、比較例2、7、12については、後述のとおり、焼成品の生地にセルロースエーテルを添加しているため、マーガリンにセルロースエーテルは含まれていない。酵素(αアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホスホリパーゼA2)を配合したものについては、表1〜3の配合割合になるように油脂を混合した後に酵素を油脂に添加してから、調温を行った。乳化剤(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、モノグリセリンモノ脂肪酸エステル)を添加したものについては、油相を作製する際に、表1〜3の配合割合になるように油相に乳化剤を添加してから、調温を行った。増粘多糖類(キサンタンガム、グアガム、アラビアガム)を添加したものについては、調温後、表1〜3に示すとおりに増粘多糖類を油相に分散させた。なお、パーム分別硬質油はヨウ素価34であり、トリ飽和量が25.8質量%である油脂を用い、パーム分別軟質油はヨウ素価56の油脂を用いた。
後述する表4に示す油脂配合で75℃の調温をし、油相を作製した。一方、水16部に脱脂粉乳2.0部、食塩1.0部を添加し、85℃で加熱殺菌して水相を得た。次に、上記で得た油相82.5部に水相17.5部を添加し、プロペラ攪拌機で攪拌して、油中水型に乳化した後、コンビネーターによって急冷捏和して、25cm×21cm×1cmのシート状に成型して、可塑性油脂組成物である、実施例47〜61、比較例16〜20に係るロールイン用マーガリンを製造した。セルロースエーテルを配合したマーガリンについては、表4の配合割合になるように油脂を混合した後にセルロースエーテルを油脂に添加してから、調温を行った。ただし、比較例17については、後述のとおり、焼成品の生地にセルロースエーテルを添加しているため、マーガリンにセルロースエーテルは含まれていない。酵素(αアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホスホリパーゼA2)を配合したものについては、表4の配合割合になるように油脂を混合した後に酵素を油脂に添加してから、調温を行った。乳化剤(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、モノグリセリンモノ脂肪酸エステル)を添加したものについては、油相を作製する際に、表4の配合割合になるように油相に乳化剤を添加してから、調温を行った。増粘多糖類(キサンタンガム、グアガム、アラビアガム)を添加したものについては、調温後、表4に示すとおりに増粘多糖類を油相に分散させた。なお、パーム分別硬質油はヨウ素価34であり、トリ飽和量が25.8質量%である油脂を用い、パーム分別軟質油はヨウ素価56の油脂を用いた。
後述する表5に示す油脂配合で調合した油脂に、表5に示す量となるように、実施例62〜77、比較例21〜25については乳化剤(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、モノグリセリンモノ脂肪酸エステル)を添加し、実施例62〜77、比較例23〜25についてはさらにセルロースエーテルを添加して混合し、実施例74〜76についてはさらに酵素(αアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホスホリパーゼA2)を添加して混合し、75℃に調温した後、実施例63〜65、70〜77については増粘多糖類(キサンタンガム、グアガム、アラビアガム)を油相に分散させ、パーフェクターによって急冷捏和して、可塑性油脂組成物である実施例62〜77、比較例21〜25に係るショートニングを製造した。なお、比較例22については、後述のとおり、焼成品の生地にセルロースエーテルを添加しているため、ショートニングにセルロースエーテルは含まれていない。
上記実施例及び比較例の油脂組成物の作製に用いたセルロースエーテルと、各セルロースエーテルの60℃における2%水溶液の粘度(以下、単に「粘度」と略称する場合がある。)を以下に示す。配合割合は、後述する表1〜5に記載されたとおりである。
メトローズNE−100(信越化学工業株式会社製、粘度:5.19mPa・s)
メトローズNE−4000(信越化学工業株式会社製、粘度:40.0mPa・s)
メトセルK4M(ダウ・ケミカル社製、粘度:19.8mPa・s)
メトセルK250M(ダウ・ケミカル社製、粘度:210mPa・s)
上記実施例及び比較例の油脂組成物の作製に用いた酵素を以下に示す。配合割合は、後述する表1〜5に記載されたとおりである。
αアミラーゼ(ノバミル10000BG、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社製)
グルコースオキシダーゼ(ハイデラーゼ15、天野エンザイム株式会社製)
ホスホリパーゼA2(デナベイクRICH、長瀬産業株式会社製)
上記実施例の油脂組成物の作製に用いた乳化剤を以下に示す。配合割合は、後述する表1〜5に記載されたとおりである。
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(SY グリスターCR−500、重合度6、阪本薬品工業株式会社製)
なお、上記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの重合度は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのグリセリンの重合度における最も多い重合度を示している。
モノグリセリン脂肪酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン株式会社製)
上記実施例の油脂組成物の作製に用いた多糖類を以下に示す。配合割合は、後述する表1〜5に記載されたとおりである。
キサンタンガム(SATIAXANE CX915、ユニテックフーズ株式会社製)
グアガム(VIDOCREM A、ユニテックフーズ株式会社製)
アラビアガム(ティカシアガム、TIC GUMS社製)
上記で得たそれぞれのマーガリン又はショートニングを用いて、下記配合で食パンを製造した。具体的には実施例及び比較例の練り込み用マーガリン又はショートニング以外の材料をミキサーに投入し、低速3分、中低速3分ミキシングを行った後、マーガリン又はショートニングを入れ低速2分、中低速7分ミキシングを行い、生地を得た。比較例2、22については、ミキシング前に、セルロースエーテルを表1、5の割合となるように配合した。捏上げ温度は26℃であった。この生地を、室温で15分(実施例16、77は30分)発酵させた後、パン生地を320gに分割し室温でベンチタイムを取り生地を休ませた後、成型してワンローフ型用の焼成型に入れ、38℃、湿度80%のホイロで60分発酵させた後、200℃で25分焼成して、実施例1〜16、62〜77及び比較例1〜5、21〜25に係る食パン(米粉使用)を製造した。焼成したパンを室温で放冷させた後、ポリプロピレン製袋に入れ、20℃の恒温槽にて1日保管した後、10mmの厚さにスライスし、さらに袋中で5℃で1日保管後、後述する各評価に用いた。以上で述べた食パンの配合を下記に示す。
米粉(グルテン量0質量%) 80質量部
グルテン粉末 20質量部
イースト 3質量部
上白糖 7質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
マーガリン又はショートニング 6質量部
水 84質量部
上記で得たそれぞれのマーガリンを用いて、下記配合で食パンを製造した。具体的には実施例及び比較例の練り込み用マーガリン以外の材料をミキサーに投入し、低速3分、中高速4分ミキシングを行った後、マーガリンを入れ低速2分、中高速4分ミキシングを行い、生地を得た。比較例7については、ミキシング前に、セルロースエーテルを表2の割合となるように配合した。捏上げ温度は27℃であった。この生地を、室温で60分発酵させた後、パン生地を320gに分割し室温でベンチタイムを取り生地を休ませた後、成型してワンローフ型用の焼成型に入れ、38℃、湿度80%のホイロで60分発酵させた後、200℃で30分焼成して、実施例17〜31及び比較例6〜10に係る食パン(全粒粉使用)を製造した。焼成したパンを室温で放冷させた後、ポリプロピレン製袋に入れ、20℃の恒温槽にて1日保管した後、10mmの厚さにスライスし、さらに袋中で5℃で1日保管後、後述する各評価に用いた。以上で述べた食パンの配合を下記に示す。
強力粉(グルテン量11.8質量%、灰分量0.37質量%) 85質量部
全粒粉(グルテン量13.5質量%、灰分量1.5質量%) 15質量部
イースト 3質量部
イーストフード 0.1質量部
上白糖 6質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
マーガリン 6質量部
水 65質量部
上記で得たそれぞれのマーガリンを用いて、下記配合で食パンを製造した。具体的には実施例及び比較例の練り込み用マーガリン、レーズン以外の材料をミキサーに投入し、低速3分、中高速5分ミキシングを行った後、マーガリンを入れ低速2分、中高速4分ミキシングを行い、レーズンを入れ低速1分ミキシングを行い、生地を得た。比較例12については、ミキシング前に、セルロースエーテルを表3の割合となるように配合した。捏上げ温度は27℃であった。この生地を、室温で60分発酵させた後、パン生地を320gに分割し室温でベンチタイムを取り生地を休ませた後、成型してワンローフ型用の焼成型に入れ、38℃、湿度80%のホイロで60分発酵させた後、200℃で30分焼成して、実施例32〜46及び比較例11〜15に係る食パン(レーズン使用)を製造した。焼成したパンを室温で放冷させた後、ポリプロピレン製袋に入れ、20℃の恒温槽にて1日保管した後、10mmの厚さにスライスし、さらに袋中で5℃で1日保管後、後述する各評価に用いた。以上で述べた食パンの配合を下記に示す。
強力粉(グルテン量11.8質量%、灰分量0.37質量%) 100質量部
レーズン 40質量部
イースト 4質量部
イーストフード 0.1質量部
上白糖 10質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
マーガリン 6質量部
水 68質量部
上記で得たそれぞれのマーガリンを用いて、下記配合でデニッシュを製造した。具体的には実施例及び比較例のロールイン用マーガリン以外の材料をミキサーに投入し、低速4分、中低速6分ミキシングを行い、生地を得た。比較例17については、ミキシング前に、セルロースエーテルを表4の割合となるように配合した。この生地を、室温で30分発酵をとった後、0℃で一晩リタードさせた。この生地にロールイン用マーガリンを折り込み、4つ折り1回を加えた後、3つ折り1回を加え−10℃にて30分リタードし、2つ折り1回を加え−10℃にて30分リタードさせた。その後シーターゲージ厚3mmまで延ばし、10cm角(10cm×10cm)にカットし、34℃、湿度75%のホイロで60分発酵させた後、200℃で15分焼成して、実施例47〜61及び比較例16〜20に係るデニッシュを製造した。焼成したデニッシュを室温で放冷させた後、ポリプロピレン製袋に入れ、20℃の恒温槽にて1日保管した後、10mmの厚さにスライスし、さらに袋中で5℃で1日保管後、後述する各評価に用いた。以上で述べたデニッシュの配合を下記に示す。
強力粉(グルテン量11.8質量%、灰分量0.37質量%) 90質量部
ライ麦(グルテン量8.5質量%、灰分量1.5質量%) 10質量部
上白糖 10質量部
食塩 1.3質量部
全卵 8質量部
ショートニングZ(ミヨシ油脂株式会社製) 8質量部
イースト 5質量部
粉末醗酵種 2質量部
モルト液 0.3質量部
水 45質量部
ロールイン用マーガリン 生地100質量部に対して50質量部
(生地のベタツキ)
食パン生地に関して、ミキシング後、焼成前の生地の状態を以下の基準で評価した。
◎:生地にベタツキがまったくなく、扱いやすい。
○:生地にベタツキがなく、扱いやすい。
△:生地にややベタツキがあり、扱いにくい。
×:生地にかなりベタツキがあり、非常に扱いにくい。
食パン又はデニッシュを喫食し、上記パネルにより風味を以下の基準で評価した。
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
食パン又はデニッシュを喫食し、上記パネルによりふわふわ感を以下の基準で評価した。
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
食パン(米粉使用)を喫食し、上記パネルによりもっちり感を以下の基準で評価した。
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
食パン又はデニッシュを喫食し、上記パネルにより歯切れ感を以下の基準で評価した。
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
食パン又はデニッシュを喫食し、上記パネルにより口溶けを以下の基準で評価した。
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
実施例1〜16及び比較例1〜5に係るマーガリンの組成に係る食パン(米粉使用)についての評価結果を、下記の表1に示す。実施例17〜31及び比較例6〜10に係るマーガリンの組成に係る食パン(全粒粉使用)についての評価結果を、下記の表2に示す。実施例32〜46及び比較例11〜15に係るマーガリンの組成に係る食パン(レーズン使用)についての評価結果を、下記の表3に示す。実施例47〜61及び比較例16〜20に係るマーガリンの組成に係るデニッシュ(ライ麦使用)についての評価結果を、下記の表4に示す。実施例63〜77及び比較例21〜25に係るショートニングの組成に係る食パン(米粉使用)についての評価結果を、下記の表5に示す。
Claims (11)
- 可塑性油脂組成物であって、
該可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の質量が、前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して25質量%以上55質量%以下であり、
60℃における2%水溶液の粘度が200mPa・s以下であるセルロースエーテルを含有する、可塑性油脂組成物。 - 前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の質量が、前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して1.0〜21.0質量%である、請求項1に記載の可塑性油脂組成物。
- 前記セルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1又は2に記載の可塑性油脂組成物。
- 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が、組成物全体の質量に対して0.001〜5質量%である、請求項3に記載の可塑性油脂組成物。
- さらに、増粘多糖類を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
- さらに、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有し、
前記可塑性油脂組成物に含まれる全ての前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのうち、グリセリンの重合度が4〜6であるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの質量が最も多い、請求項1から5のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。 - 製菓又は製パン練り込み用又はロールイン用である、請求項1から6のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
- チルド温度域で保管される菓子又はパン製造用である、請求項7に記載の可塑性油脂組成物。
- 食材配合パン製造用である、請求項7又は8に記載の可塑性油脂組成物。
- 請求項1から9のいずれかに記載の可塑性油脂組成物と穀粉とを含有する生地組成物の焼成品。
- チルド温度域で保管される菓子又はパンである、請求項10に記載の焼成品。
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