JP2023070190A - 油脂組成物およびこれを含むパン類食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】パン類の老化による食感の低下を抑制しつつ、クラムの目開きを良好にし、クラムとクラストの食感差を抑制し、穀粉由来の異風味をマスキングすることができる油脂組成物を提供すること。【解決手段】油脂組成物は、油脂、4-α-グルカノトランスフェラーゼおよびプロテアーゼを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、油脂組成物およびこれを含むパン類食品に関する。
従来より、パン類等の品質を向上させるための様々な技術が提案されている。例えば、パン類のボリュームおよび食感を向上する品質改良剤として、グルタミナーゼおよびエキソペプチダーゼからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質分解酵素を含有するパン類品質改良剤(特許文献1)が提案されている。また、例えば、6-α-グルカノトランスフェラーゼと、改質グルテンとを含有するパン類品質改良剤(特許文献2)が提案されている。特許文献1、2の技術では、パン類のしとりや口溶けが良好になるとされており、いわゆるパン類の老化抑制に寄与するものと考えられる。
特開2017-143746号公報 特開2017-143747号公報
しかしながら、例えば、小麦粉以外の穀粉を含むパン類の場合は、穀粉特有の臭いや粉っぽい風味が生じることがあり、上記のような従来技術においては、このような穀粉由来の異風味をマスキングするための検討はなされていない。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、パン類の老化による食感の低下を抑制しつつ、穀粉由来の異風味をマスキングすることができる油脂組成物と、これを含むパン類食品を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明の油脂組成物は、油脂、4-α-グルカノトランスフェラーゼおよびプロテアーゼを含有することを特徴としている。
本発明のパン類食品は、上記の油脂組成物を含有することを特徴としている。
本発明の油脂組成物は、パン類の老化による食感の低下を抑制しつつ、穀粉由来の異風味をマスキングすることができる。本発明のパン類食品は、老化が抑制され、穀粉由来の異風味もマスキングされる。
以下、本発明の油脂組成物の一実施形態について説明する。
本発明の油脂組成物は、例えば、穀粉を含むパン類などの生地に配合して使用することができる。穀粉としては、通常、焼成品の生地に配合されるものであれば、特に限定されないが、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉、焙煎小麦粉など)、大麦粉、全粒粉、米粉、モロコシ粉(ホワイトソルガムなど)、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、雑穀(アワ、ヒエ、アマランサス等)、ジャガイモ粉などが挙げられる。
本発明の油脂組成物は、油脂、4-α-グルカノトランスフェラーゼおよびプロテアーゼを含有する。これにより、パン類の老化による食感の低下を抑制しつつ、穀粉由来の異風味をマスキングすることができる。
また、上記のような従来技術においては、パン類のクラムの良好な目開き(断面に目詰まりがなく、均一なキメを形成すること)を確保することが難しい。このため、例えば、小麦粉以外の材料として米粉などの穀粉を含むパン類の場合は、クラムがモチモチとして歯切れが良くなく、また、クラストの硬化も生じやすいため、クラムとクラストの食感差が大きくなりすぎ、喫食時に一体感のない食感となる場合がある。
本発明の油脂組成物は、油脂、4-α-グルカノトランスフェラーゼおよびプロテアーゼを含有することで、油脂組成物を含むパン類のクラムの目開きが良好になり、歯切れが良くなるとともに、クラムとクラストの食感差も抑制される。
油脂の種類は特に限定されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、魚油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油またはそれらの加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などのうちの1種または2種以上を例示することができる。
油脂組成物は、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態をとることができる。水相を含有する形態としては油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型が挙げられ、酵素および増粘剤の機能が発揮されやすい観点から、油中水型乳化物の形態であることが好ましい。また、油相(油脂)の含有量は、好ましくは60~99.4質量%、より好ましくは65~98質量%であり、水相の含有量は、好ましくは0.6~40質量%、より好ましくは2~35質量%である。
また、水相を実質的に含有しない形態としてはショートニングが挙げられる。ここで「実質的に含有しない」とは日本農林規格のショートニングに該当する、水分(揮発分を含む。)の含有量が0.5質量%以下のことである。
4-α-グルカノトランスフェラーゼは、1,4-α-グルカンの一部分を、グルコースまたは1,4-α-D-グルカン等の炭化水素の別の部分に転移させる酵素である。4-α-グルカノトランスフェラーゼとしては、飲食品用途に使用できるものであれば特に制限はなく、市販品などを適宜選択することができる。
油脂組成物中における4-α-グルカノトランスフェラーゼの含有量は、特に限定されず、その使用量や活性などに応じて適宜選択することができる。
4-α-グルカノトランスフェラーゼの活性は、例えば、マルトテトラオース基質溶液(pH6.5,MES緩衝液)2mlに0.5mlの酵素液を加え、40℃、60分間反応させた時、1分間に1μmolのグルコースを生成する酵素量を1ユニット(U)として算出することができる。
この場合、油脂組成物中の4-α-グルカノトランスフェラーゼの含有量の下限値は、例えば、油脂組成物を含むパン類のクラムとクラストの食感差が抑制され、パン類の老化を抑制することができる観点から、油脂組成物100gを基準として、10U以上が好ましく、20U以上であることがより好ましく、30U以上であることがさらに好ましく、50U以上であることが一層好ましく、70U以上であることが特に好ましい。油脂組成物中の4-α-グルカノトランスフェラーゼの含有量の上限値は、例えば、油脂組成物を含むパン類のクラムの目開きが良好になり、歯切れが良くなる観点から、油脂組成物100gを基準として、250U以下が好ましく、240U以下であることがより好ましく、210U以下であることがさらに好ましく、200U以下であることが一層好ましく、180U以下であることが特に好ましい。
プロテアーゼは、タンパク質および高分子のペプチド鎖をランダムに低分子ペプチドに加水分解するエンドペプチダーゼとペプチド鎖末端から分解するエキソペプチダーゼに分類される。また、プロテアーゼを触媒機構により大きく分類すると、セリンプロテアーゼ、金属プロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ(酸性プロテアーゼ)に分類される。さらに、プロテアーゼはその活性が最大となる至適pHを有しており、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼに分類される。
プロテアーゼとしては、油脂組成物を含むパン類のクラムの目開きが良好になり、クラムとクラストの食感差が抑制される観点から、エンドペプチダーゼが好ましい。また、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼのうち、油脂組成物を含むパン類のクラムの目開きが良好になり、歯切れが良くなるとともに、クラムとクラストの食感差が抑制され、穀粉由来の異風味をマスキングすることができる観点から、中性プロテアーゼが好ましい。
油脂組成物に用いられるプロテアーゼは、所望の効果が得られる限り特に限定されず、市販のプロテアーゼのうちの1種または2種以上を使用することができる。
プロテアーゼの至適pHも特に限定されないが、至適pH3.0以上10以下であることが好ましく、至適pH5.0以上10以下であることがより好ましく、至適pH6.0超9.0以下であることがさらに好ましい。至適pHとは、下記活性測定法において最大活性量を示した際のpHを示す。
また、プロテアーゼの起源は、特に制限されず、例えば、パパイヤやパイナップル等の植物由来、膵臓抽出物等の哺乳動物または魚類由来のもの、かび等の微生物由来のものを例示することができる。なかでも、微生物由来のプロテアーゼとしては、アスペルギルス(Aspergillus)属またはジェオバチルス(Geobacillus)属に由来するプロテアーゼであることが好ましい。
アスペルギルス属由来のプロテアーゼとしては、食品に用いることができるものであれば特に限定されないが、例えば、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus Tamarii)、アスペルギルス・ファチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・アクレタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・キャンディダス(Aspergillus candidus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillusflavus)、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus saitoi)、アスペルギルス・イヌイ(Aspergillus inuii)、アスペルギルス・グラカス(Aspergillus glaucus)、アスペルギルス・セシェルス(Aspergillus caesiellus)、アスペルギルス・クラバタス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・デフレクタス(Aspergillus deflectus)、アスペルギルス・フィシャリアヌス(Aspergillus fischerianus)、アスペルギルス・パラシティクス(Aspergillus parasiticus)、アスペルギルス・ペニシロイデス(Aspergillus penicilloides)、アスペルギルス・レストリクタス(Aspergillus restrictus)、アスペルギルス・シドウィ(Aspergillus sydowii)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・ウスタス(Aspergillus ustus)、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)等に由来するプロテアーゼのうちの1種または2種以上を例示することができる。
ジェオバチルス属由来のプロテアーゼとしては、食品に用いることができるものであれば特に限定されないが、例えば、ジェオバチルス・ステアロサーモフィラス(G.stearothermophilus)、ジェオバチルス・カルドキシロシリティカス(G.caldoxylosilyticus)、ジェオバチルス・ガラクトシダシウス(G.galactosidasius)、ジェオバチルス・イシギアヌス(G.icigianusu)、ジェオバチルス・ジュラシカス(G.jurassicus)、ジェオバチルス・コーストフィラス(G.kaustophilus)、ジェオバチルス・リトアニカス(G.lituanicus)等に由来するプロテアーゼのうちの1種または2種以上を例示することができる。
さらに、麹菌や麹にはプロテアーゼが含まれるため、本発明の油脂組成物では、例えば、アスペルギルス属またはジェオバチルス属由来のプロテアーゼとして、麹菌または麹をそのまま配合する形態や、麹の処理物を配合する形態も含まれる。なお、ここで、「麹菌」とは、麹菌株を培養し得られた菌体自体をいい、「麹」とは、例えば、米、麦、大豆などの穀物に麹菌を付着させて繁殖させたものをいう。
また、麹菌の培養方法などは特に限定されず、米、麦、大豆などの穀物に麹菌を付着させて繁殖させた固体培養法や、寒天培地や液体培地を用いた培養法などの公知の方法を適宜採用することができる。
さらに、麹の処理物は、麹を物理・化学的または生物的に処理して得られる各種処理物であってよい。具体的には、物理・化学的処理物としては、例えば、天日乾燥、風乾、凍結乾燥等による乾燥処理物や凍結乾燥処理物、ブレンダー、ホモジュナイザー、ボールミル等による粉砕処理物などを例示することができる。さらに、麹の処理物には、麹より種々の抽出方法により得られる抽出物が含まれる。
油脂組成物中におけるプロテアーゼの含有量は、特に限定されず、その使用量や活性などに応じて適宜選択することができる。
プロテアーゼの活性は、例えば、0.6%ミルクカゼインを含む燐酸緩衝液5mlに1mlの酵素液を加え、30℃、10分間反応させた時、1分間に1μgのチロジンに相当するフォリン発色をTCA可溶性成分として遊離する活性を、1Uとして算出することができる。上記活性測定法において、0.6%ミルクカゼインを含む燐酸緩衝液のpHを変えて測定した際の最大活性量を本発明におけるプロテアーゼの活性とすることができ、前記最大活性量を示した際のpHを至適pHとすることができる。
この場合、油脂組成物中のプロテアーゼの含有量の下限値は、例えば、油脂組成物を含むパン類のクラムの目開きが良好になり、歯切れが良くなるとともに、クラムとクラストの食感差が抑制され、穀粉由来の異風味をマスキングすることができる観点から、油脂組成物100gを基準として、プロテアーゼ活性が200U以上であることが好ましく、400U以上であることがより好ましく、600U以上であることがさらに好ましい。油脂組成物中のプロテアーゼの含有量の上限値は、パン類の老化を抑制することができる観点から、油脂組成物100gを基準として、プロテアーゼ活性が8000U以下であることが好ましく、6000U以下であることがより好ましく、4000U以下であることがさらに好ましい。
さらに、本発明の油脂組成物は、糖分解酵素を含有することが好ましい。
糖分解酵素は、特に限定されないが、例えば、微生物、動物、または植物に由来する種々のものを使用することができる。具体的には、例えば、α-アミラーゼ、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトオリゴ糖生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼ、キシラナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコースオキシダーゼ、セルラーゼ、プルラナーゼ、ヘミセルラーゼ、アミログルコシダーゼ、ペクチナーゼ、アラバナーゼ、デキストラナーゼ、グルカナーゼ、マンナナーゼ、エキソマルトテトラオヒドロラーゼが例示され、なかでも、マルトース生成α-アミラーゼ、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼのうちの1種または2種以上であることが好ましく、マルトース生成α-アミラーゼ、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼを併用することが特に好ましい。また、これらの糖分解酵素は、市販のものを適宜使用することができる。
油脂組成物中における糖分解酵素の含有量は、特に限定されず、その使用量や活性などに応じて適宜選択することができる。
糖分解酵素の活性は、例えば、非還元末端をブロックしたパラニトロフェニルマルトヘプトシド(BPNPG7)に酵素を作用させ、生じたパラニトロフェニルオリゴ糖をα-グルコシターゼで分解し、遊離したパラニトロフェニルを比色測定して求めることができる。酵素活性単位は、例えば、40℃(65℃)で反応させた場合にα-グルコシターゼがBPNPG7から1分間に1μmolのパラニトロフェニルを解離させる酵素量を1Uとして算出することができる(Megazyme社 アルファ-Amylase assay kit使用、緩衝液pH5)。
そして、糖分解酵素がアミラーゼである場合、油脂組成物中のアミラーゼの含有量の下限値は、油脂組成物100gに対するアミラーゼ活性が100U以上であることが好ましく、150U以上であることがより好ましく、200U以上であることがさらに好ましく、300U以上であることが特に好ましい。油脂組成物中のアミラーゼの含有量の上限値は、1000U以下であることが好ましく、900U以下であることがより好ましく、800U以下であることがさらに好ましく、700U以下であることが特に好ましい。油脂組成物中のアミラーゼの含有量がこの範囲であると、油脂組成物を含むパン類のクラムの目開きが良好になり、歯切れが良くなるとともに、クラムとクラストの食感差が抑制される。また、パン類の老化を抑制することができ、良好な食感を維持することができる。
さらに、4-α-グルカノトランスフェラーゼ活性に対するプロテアーゼ活性の比の下限値は、例えば、油脂組成物を含むパン類のクラムの目開きが良好になり、歯切れが良くなるとともに、穀粉由来の異風味をマスキングすることができる観点から、2.0以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、5.0以上がさらに好ましく、6.0以上が特に好ましい。4-α-グルカノトランスフェラーゼ活性に対するプロテアーゼ活性の比の上限値は、例えば、油脂組成物を含むパン類の老化を抑制することができる観点から、50.0以下が好ましく、45.0以下がより好ましく、40.0以下がさらに好ましく、35.0以下が特に好ましい。
アミラーゼ活性に対するプロテアーゼ活性の比の下限値は、例えば、油脂組成物を含むパン類の穀粉由来の異風味をマスキングすることができる観点から、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。アミラーゼ活性に対するプロテアーゼ活性の比の上限値は、例えば、油脂組成物を含むパン類の老化を抑制することができる観点から、20.0以下が好ましく、15.0以下がより好ましく、10.0以下がさらに好ましい。
4-α-グルカノトランスフェラーゼ活性に対するアミラーゼ活性の比の下限値は、例えば、油脂組成物を含むパン類の老化を抑制することができる観点から、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましく、2.0以上が特に好ましい。4-α-グルカノトランスフェラーゼ活性に対するアミラーゼ活性の比の上限値は、例えば、油脂組成物を含むパン類のクラムとクラストの食感差が抑制され、パン類の老化を抑制することができ、パン類のねちゃつきを抑制することができる観点から、20.0以下が好ましく、15.0以下がより好ましく、10.0以下がさらに好ましく、5.0以下が特に好ましい。
さらに、油脂組成物には、水以外に、従来の公知の成分を含んでもよい。公知の成分としては、特に限定されないが、例えば、乳、乳製品、植物性ミルク、蛋白質、糖質、塩類、甘味料、酸味料、pH調整剤、抗酸化剤、香辛料、着色成分、フレーバー、乳化剤、ワックス、酒類、酵素、粉末油脂などが挙げられる。
乳としては、牛乳などが挙げられる。
乳製品としては、バター、脱脂乳、生クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズなど)、ホエイチーズ(WC)、CWC(濃縮ホエイと濃縮クリームの混合物)、発酵乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、全脂粉乳、脱脂粉乳などが挙げられる。
植物性ミルクとしては、豆乳、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルク、マカダミアナッツミルク、ヘーゼルナッツミルク、オーツミルクなどが挙げられる。
蛋白質としては、乳蛋白質(酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、ホエイ蛋白、それらの酵素分解物である乳ペプチド、ミルクプロテインコンセントレート、クリームパウダー、トータルミルクプロテイン、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)、ホエイプロテインアイソレート(WPI)、バターミルクパウダー)、卵由来蛋白質(卵白蛋白質、卵黄蛋白質)、豆由来蛋白質(大豆蛋白質、大豆分離蛋白質、エンドウ豆蛋白質、そら豆蛋白質、緑豆蛋白質、インゲン豆蛋白質、ヒラ豆(レンズ豆)蛋白質、ヒヨコ豆蛋白質、ルピン豆蛋白質、落花生蛋白質、ササゲ蛋白質)、種子由来蛋白質(ゴマ、キャノーラ、ココナッツ、オリーブ、ひまわり、ピーナッツ、ビート、コットン、アーモンドなどに由来する蛋白質)、穀物類由来蛋白質(トウモロコシ、そば、小麦、エンバク、米などに由来する蛋白質)、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチンなどが挙げられる。
糖質としては、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなど)、二糖質(ラクトース(乳糖)、スクロース、マルトース、トレハロースなど)などの糖類;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖(4’-ガラクトシルラクトース)、キシロオリゴ糖、ビートオリゴ糖(ラフィノース)、大豆オリゴ糖(ラフィノース、スタキオース)、乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)など)などのオリゴ糖;デキストリン類(デキストリン、マルトデキストリン、イソマルトデキストリン(分岐マルトデキストリン)、水あめ、粉あめ、シクロデキストリン、分岐シクロデキストリン、焙焼デキストリン、高分子デキストリン、難消化性デキストリン、グルコースシロップ、デキストロース)、イヌリン類(イヌリン、イヌリン分解物、アガベイヌリン)、増粘多糖類(LMペクチン、HMペクチン、プルラン、グアーガム、グアーガム分解物、キサンタンガム、アラビアガム、ガティガム、ネイティブジェランガム、脱アシル化ジェランガム、ローカストビーンガム、タラガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、コンニャクマンナン、カードラン、カラギーナン、カラヤガム、カシアガム、タマリンドシードガム、トラガントガム、フェヌグリークガム、サイリウムシードガム、スクシノグリカン、ラムザンガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、PGA(アルギン酸プロピレングリコールエステル)、大豆多糖類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、寒天、フコイダン、ポルフィラン、ラミナラン)、澱粉、レジスタントスターチ、イソマルツロース、ポリデキストロース、難消化性グルカン、アラビノガラクタンなどの多糖類;グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、還元イソマルツロース、マンニトールなどの糖アルコール;などが挙げられる。
甘味料としては、含蜜糖(黒糖、メープルシロップ、アガベシロップ、ヤシ糖(パームシュガー)、カソナード、加工黒砂糖、赤糖、かえで糖(メープルシュガー)、きび糖(素焚糖など)、てんさい糖、和三盆糖、ソルガム糖)、分蜜糖(車糖(上白糖、三温糖)、ざらめ糖(グラニュー糖、中双糖、白双糖)、加工糖(氷砂糖、角砂糖、粉砂糖、顆粒糖)、液糖(ショ糖型液糖、転化型液糖))、廃糖蜜(モラセス)などが挙げられる。
抗酸化剤としては、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物などが挙げられる。
香辛料としては、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロンなどが挙げられる。着色成分としては、カロテン、アナトー、アスタキサンチンなどが挙げられる。
フレーバーとしては、バターフレーバー、ミルクフレーバーなどが挙げられる。
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリンエステル(ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン(大豆レシチン、卵黄レシチン、ヒマワリレシチン)、酵素分解レシチン(大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン)、サポニン、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、加工澱粉(エーテル化処理したカルボキシメチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉や、エステル化処理したリン酸澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉や、湿熱処理澱粉、酸処理澱粉、架橋処理澱粉、α化処理澱粉、難消化性澱粉等)、スフィンゴ脂質、植物ステロール類、胆汁末、トマト糖脂質などが挙げられる。
ワックスとしては、モクロウ、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス等の植物ワックス、ラノリン、ミツロウ等の動物ワックスが挙げられる。
本発明の油脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、油脂を加温下で溶解し、溶解した油脂中に、4-α-グルカノトランスフェラーゼおよびプロテアーゼなどの酵素を分散させ、残りの油脂に必要に応じてその他の成分を添加することができる。その後、この油相と水相とを混合して乳化し、公知の方法で均一に分散させて冷却後、必要に応じて一定温度下で一定期間保管後20℃に調温、もしくは均一に分散させた後、急冷可塑化することで製造することができる。
本発明の油脂組成物は、例えば、パン類食品の生地に配合して使用することができる。油脂組成物を含有する生地を焼成することによってパン類食品が得られる。生地への油脂組成物の配合方法や焼成方法は、例えば公知の条件および方法に従って行うことができる。
本発明の油脂組成物を含むパン類食品は、例えば、食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッド、米粉パン等のパン類、シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ブリオッシュ、ドーナツ等のイースト菓子、デニッシュ、クロワッサン、パイ等のペストリー、バターケーキ、パウンドケーキ、スポンジケーキ、ドーナツ、ブッセ、ホットケーキ、ワッフル等のケーキなどの形態を例示することができる。
パン類食品の生地中における油脂組成物の配合量は、食品の種類によっても異なり特に限定されないが、生地に配合される穀粉100質量部に対して、好ましくは0.5~50質量部であり、より好ましくは1~30質量部であり、さらに好ましくは2~20質量部である。
本発明のパン類食品は、上記の油脂組成物を含有することで、クラムの目開きを良好であり、クラムとクラストの食感差が抑制され、穀粉由来の異風味をマスキングすることができる。また、パン類の老化を抑制することができ、良好な食感を維持することができる。特に、パン類食品が米粉などの穀粉を含む場合は、クラムの歯切れが良好であり、クラストの硬化も抑制されやすいため、クラムとクラストの食感差が小さく抑制され、喫食時に良好な食感を与えることができる。さらに、小麦粉以外の穀粉を含むパン類食品の場合は、穀粉特有の臭いや粉っぽい風味がマスキングされるため、このパン類食品は、良好な食味を有している。
また、パン類食品の老化を抑制し、クラムの目開きを良好にし、クラムとクラストの食感差を抑制し、穀粉由来の異風味をマスキングする観点から、パン類食品の生地中の4-α-グルカノトランスフェラーゼの含有量は、例えば、使用する穀粉100ベーカーズ%を基準とした場合、0.05U~125Uであることが好ましく、0.3U~63Uであることがより好ましく、1.4U~36Uであることがさらに好ましい。
同様に、パン類食品の生地中のプロテアーゼの含有量は、例えば、使用する穀粉100ベーカーズ%を基準とした場合、1U~4000Uであることが好ましく、4U~1800Uであることがより好ましく、12U~800Uであることがさらに好ましい。
同様に、パン類食品の生地中の、アミラーゼの含有量は、例えば、使用する穀粉100ベーカーズ%を基準とした場合、0.5U~500Uであることが好ましく、1.5U~270Uであることがより好ましく、4U~160Uであることがさらに好ましい。
生地に配合される穀粉としては、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉、焙煎小麦粉など)、大麦粉、全粒粉、米粉、モロコシ粉(ホワイトソルガムなど)、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、雑穀(アワ、ヒエ、アマランサス等)、ジャガイモ粉などが挙げられる。
また、生地には、穀粉と油脂組成物以外にも、通常、焼成品の生地に使用されるものであれば、特に制限なく配合することができる。これらの配合量も、通常、焼成品の生地に配合される範囲を考慮して特に制限なく適宜の量とすることができる。具体的には、例えば、水、乳、乳製品、植物性ミルク、蛋白質、糖質、卵、卵加工品、塩類、乳化剤、乳化起泡剤(乳化油脂)、ワックス、粉末油脂、ベーキングパウダー、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、アーモンドパウダー、ココナッツパウダー、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、酒類、酵素、膨張剤、甘味料、酸味料、pH調整剤、調味料、抗酸化剤、香辛料、着色料、フレーバーなどが挙げられる。
本発明の油脂組成物は、以上の実施形態に限定されるものではない。
以下に、実施例により本発明の油脂組成物について詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<1>油脂組成物の作製
表1に示した各種酵素を使用した。
Figure 2023070190000001
そして、以下の手順に従って油脂組成物(実施例、比較例)を作製した。
1.あらかじめ少量の油脂に酵素を分散させておく。
2.残りの油脂に乳化剤(モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)を添加して加熱撹拌し、油相を調製する。
3.水に食塩、増粘剤(キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を添加して加熱撹拌し、水相を調製する。
4.油相に水相を入れて乳化する。
5.4に1を添加する。
6.加熱殺菌し、急冷練り合わせを行う。
なお、材料の配合割合等については、表3、表4に示している。また、実施例9の油脂組成物は水を含まないため、上記工程3において、食塩、増粘剤は油相に添加し、その後、加熱殺菌し、急冷練り合わせを行って油脂組成物を作製した。
<2>米粉パンの作製
表2に示した配合で、以下の手順に従って米粉パンを作製した。
1.上記<1>で作製した油脂組成物を25℃に調温する。
2.全ての原料を合わせ、ミキシングする。
3.シリコン型(直方体)に分注し、成型する。
4.38℃、湿度80%のホイロで25分間発酵させる。
5.200℃で38分間焼成する。
Figure 2023070190000002
<3>評価
上記<2>で作製した米粉パンについて、老化抑制、マスキング、目開き、クラムとクラストの食感差を以下の評価基準で評価した。
[老化抑制]
米粉パンの下層25mm(底面から0~25mm)を切り出し、テクスチャーアナライザーEZ-SX200N(株式会社島津製作所社製)にて、20mm円柱治具を用いて、50%圧縮×2回、5mm/secの条件で圧縮応力を測定した。そして、下記式より圧縮応力の増加率を求め、米粉パンの老化を以下の基準で評価した。増加率が低いほど、老化抑制されていることを示す。
増加率(%)=実施例(比較例)焼成品の焼成後4日の圧縮応力/実施例(比較例)焼成品の焼成後1日の圧縮応力×100
◎+:増加率が250%未満
◎:増加率が250%~265%未満
○:増加率が265%~280%未満
×:増加率が280%以上
[マスキング]
実施例(比較例)焼成品の焼成後1日の風味について、以下の基準で評価した。
◎+:米の老化臭や粉っぽい風味がない
◎:米の老化臭や粉っぽい風味がほとんどない
○:米の老化臭や粉っぽい風味がややある
×:米の老化臭や粉っぽい風味が強い
[目開き]
実施例(比較例)焼成品の焼成後1日の目開きについて、以下の基準で評価した。
◎+:キメが開き全体的に目詰まりがない
◎:キメがやや開いており、全体的に目詰まりがない
○:キメがやや細かいまたはわずかに目詰まりがある
×:キメが細かい又は断面に目詰まりがある
[クラムとクラストの食感差]
実施例(比較例)焼成品の焼成後4日のクラムとクラストの食感差について、以下の基準で評価した。
◎+:クラストがソフトで歯切れが良くしとりもあり、クラムとクラストの食感差を感じない
◎:クラストが歯切れ良くしとりもあり、クラムとクラストの食感差はわずかに感じる
○:クラストが硬く、クラムとクラストの食感差を感じる
×:クラストが硬く、クラムとクラストの食感差が大きい
<4>結果
結果を表3および表4に示す。
Figure 2023070190000003
Figure 2023070190000004
表3に示したように、油脂、4-α-グルカノトランスフェラーゼおよびプロテアーゼを含有する油脂組成物を使用した実施例1-20では、老化抑制、マスキングの評価に×がなく、課題を解決できる程度に、パン類の老化が抑制され、穀粉由来の異風味がマスキングされることが確認された。また、実施例1-20では、クラムの目開きが良好であり、クラムとクラストの食感差が抑制されることが確認された。
糖分解酵素を含有する実施例10は、糖分解酵素を含有しない実施例9に比べ、老化抑制が良好であった。
油脂組成物100gに対する4-α-グルカノトランスフェラーゼ活性が50U以上である実施例11-13は、油脂組成物100gに対する4-α-グルカノトランスフェラーゼ活性が50U未満である実施例10に比べ、クラムとクラストの食感差、老化抑制が良好であった。また、油脂組成物100gに対する4-α-グルカノトランスフェラーゼ活性が200U以下である実施例11は、油脂組成物100gに対する4-α-グルカノトランスフェラーゼ活性が210Uより大きい実施例12に比べ、クラムの目開き、クラムとクラストの食感差、老化抑制、マスキングが良好であった。
油脂組成物100gに対するプロテアーゼ活性が600U以上である実施例11,15は、油脂組成物100gに対するプロテアーゼ活性が600U未満である実施例14に比べ、クラムの目開き、クラムとクラストの食感差、老化抑制、マスキングが良好であった。また、油脂組成物100gに対するプロテアーゼ活性が4000U以下である実施例11、15は、油脂組成物100gに対するプロテアーゼ活性が4000Uより大きい実施例16に比べ、老化抑制が良好であった。
油脂組成物100gに対するアミラーゼ活性が300U以上である実施例2は、油脂組成物100gに対するアミラーゼ活性が300U未満である実施例1に比べ、老化抑制が良好であった。
α-アミラーゼ及びグルコアミラーゼを含有する実施例2,3は、α-アミラーゼ及びグルコアミラーゼを含有しない実施例4に比べ、クラムとクラストの食感差が良好であった。
至適pHが6.0超9.0以下であるプロテアーゼを含有する実施例5,8,11は、至適pHが3.0以上6.0以下であるプロテアーゼを含有し且つ油脂組成物100gに対するプロテアーゼ活性がほぼ同じである実施例4に比べ、クラムの目開き、クラムとクラストの食感差、マスキングが良好であった。
Aspergillus属またはGeobacillus属に由来するプロテアーゼを含有する実施例5,8,11は、同じ中性プロテアーゼであるがパパイヤに由来するプロテアーゼを含有する実施例6に比べ、クラムとクラストの食感差、老化抑制が良好であった。
プロテアーゼとしてエンドペプチダーゼを含有する実施例5,8,11は、同じ中性プロテアーゼであるがエキソペプチダーゼを含有する実施例20に比べ、クラムの目開き、クラムとクラストの食感差が良好であった。
一方、表4に示したように、プロテアーゼを含まない比較例1、2および4-α-グルカノトランスフェラーゼを含まない比較例3-12は、老化抑制、マスキング、目開き、クラムとクラストの食感差のいずれかが十分でないことが確認された。さらに、4-α-グルカノトランスフェラーゼと同じく糖転移酵素である6-α-グルカノトランスフェラーゼとプロテアーゼを含有する比較例13では、老化抑制、クラムとクラストの食感差が十分でないことが確認された。したがって、本発明の効果は、4-α-グルカノトランスフェラーゼとプロテアーゼの組み合わせに特有の効果であることが把握される。

Claims (8)

  1. 油脂、4-α-グルカノトランスフェラーゼおよびプロテアーゼを含有する、油脂組成物。
  2. さらに、糖分解酵素を含有する、請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 油脂組成物100gに対する4-α-グルカノトランスフェラーゼ活性が10~250Uである、請求項1に記載の油脂組成物。
  4. 油脂組成物100gに対するプロテアーゼ活性が200~8000Uである、請求項1に記載の油脂組成物。
  5. 前記糖分解酵素がアミラーゼであり、油脂組成物100gに対するアミラーゼ活性が100~1000Uである、請求項2に記載の油脂組成物。
  6. 前記プロテアーゼの至適pHが3.0以上10以下である、請求項1に記載の油脂組成物。
  7. 前記プロテアーゼがAspergillus属またはGeobacillus属由来である、請求項1に記載の油脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の油脂組成物を含有する、パン類食品。
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