JP2023036441A - 小麦粉バッター食品用生地 - Google Patents
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Abstract
【課題】保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品を提供すること。【解決手段】本技術では、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を含有する、小麦粉バッター食品用生地を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、小麦粉バッター食品用生地、該小麦粉バッター食品用生地を用いた小麦粉バッター食品、小麦粉バッター食品用生地及び小麦粉バッター食品の製造方法、並びに、小麦粉バッター食品の食感改良方法に関する。
従来、小麦粉等の穀粉類を主成分とする小麦粉バッター食品は、砂糖、卵、水、牛乳、油脂等を混合した生地から、成形、焼成などの工程を経て製造される。通常、小麦粉バッター食品用生地は、小麦粉バッター食品の種類に応じて調製され、それぞれの小麦粉バッター食品の形状や食感などを特徴付ける。
例えば、特許文献1には、澱粉質原料100質量部に対して糖類50~200質量部含有する焼菓子に適用される品質改良剤であって、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、キシラナーゼと、ホスホリパーゼとを含有することを特徴とする焼菓子用品質改良剤を、澱粉質原料100質量部に対して糖類50~200質量部含有する焼菓子生地に含有させることが開示されている。
また、特許文献2には、マルトジェニックα-アミラーゼを含有することを特徴とする湯種が、ホットケーキ等にも用いられることが開示されている。
しかしながら、近年、小麦粉バッター食品に対する要求が多様化しており、これまでにない新規な食感を有する小麦粉バッター食品が求められている。
これに対して、例えば、しっとりとしてみずみずしい食感を付与することを目的として、バッター生地の水分を比較的多くした小麦粉バッター食品用生地を用いる方法が挙げられるが、このような生地はしっとりとした食感を保持するものの、固形分が少ないため、保形性が低く、形状を維持できずに凹んだ形状になり易かったり、しわが多くできるという問題がある。また、別の方法として、焼きあがった菓子等の小麦粉バッター食品にシロップをしみ込ませる方法が挙げられるが、シロップを別途用意する必要があるため手間がかかり、また、菓子等の小麦粉バッター食品の表皮がべたつき、ふやけて破損しやすいという問題がある。
このような実情のもと、本技術では、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品を提供することを目的とする。
本願発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、生地総質量に対する、湯種の量、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉の量を調節し、且つ、特定の種類の酵素を用いることで、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品が提供できることを見出し、本技術を完成させるに至った。
すなわち、本技術では、まず、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を含有する、小麦粉バッター食品用生地を提供する。
本技術では、生地総質量に対して酵素活性として、0.03~50ユニットの前記酵素が配合されていてもよい。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地は、焼き小麦粉バッター食品用であってもよい。
また、本技術では、前記小麦粉バッター食品用生地を用いた、小麦粉バッター食品も提供する。
本技術では、生地総質量に対して酵素活性として、0.03~50ユニットの前記酵素が配合されていてもよい。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地は、焼き小麦粉バッター食品用であってもよい。
また、本技術では、前記小麦粉バッター食品用生地を用いた、小麦粉バッター食品も提供する。
更に、本技術では、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含む、小麦粉バッター食品用生地の製造方法も提供する。
また、本技術では、前記小麦粉バッター食品用生地の製造方法を用いて製造された小麦粉バッター食品用生地を、焼成する工程を含む、小麦粉バッター食品の製造方法も提供する。
更に、本技術では、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含む、小麦粉バッター食品の食感改良方法も提供する。
また、本技術では、前記小麦粉バッター食品用生地の製造方法を用いて製造された小麦粉バッター食品用生地を、焼成する工程を含む、小麦粉バッター食品の製造方法も提供する。
更に、本技術では、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含む、小麦粉バッター食品の食感改良方法も提供する。
本技術によれば、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品を提供することができる。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<小麦粉バッター食品用生地>
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地は、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトースα-生成アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を含有することを特徴とする。この特徴を有する、本技術に係る小麦粉バッター食品用生地を用いることで、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品を提供することができる。
以下、本技術に係る小麦粉バッター食品用生地に用いられる各成分について、詳細に説明する。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地は、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトースα-生成アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を含有することを特徴とする。この特徴を有する、本技術に係る小麦粉バッター食品用生地を用いることで、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品を提供することができる。
以下、本技術に係る小麦粉バッター食品用生地に用いられる各成分について、詳細に説明する。
(1)湯種
本技術に用いられる湯種は、パン等のベーカリー製品を製造する方法として広く知られている湯種製法(湯捏方法)の過程で製造され、澱粉の一部又は全部がα化されてなる中間生地である。湯種製法とは、原材料の一つとして使用される小麦粉等を水の存在下で所望の温度で混捏して湯種(中間生地)を製造し、得られた湯種を残りの材料とともに混捏、発酵、加熱等することによってベーカリー製品を製造する方法である。
本技術に用いられる湯種は、パン等のベーカリー製品を製造する方法として広く知られている湯種製法(湯捏方法)の過程で製造され、澱粉の一部又は全部がα化されてなる中間生地である。湯種製法とは、原材料の一つとして使用される小麦粉等を水の存在下で所望の温度で混捏して湯種(中間生地)を製造し、得られた湯種を残りの材料とともに混捏、発酵、加熱等することによってベーカリー製品を製造する方法である。
湯種の調製は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、澱粉質原料粉(小麦粉等)を含む原材料に所定量の水を加え、高温条件下で混捏する方法等が挙げられる。なお、本技術において、「高温条件下で混捏する」とは、混捏中及び/又は混捏後に湯種が少なくとも一回は高温に達する条件で混捏することを意味する。達する温度条件(高温条件)としては、小麦粉等の澱粉質原料粉中の澱粉が糊化を開始する温度(糊化開始温度)以上の温度条件が挙げられる。高温条件で混捏する方法としては、例えば、前記水として温~熱水を使用して前記原材料の混合物を混捏する方法が挙げられる。前記温~熱水の温度としては特に制限されないが、例えば、70~100℃、好ましくは80~100℃である。また、湯種の調製に使用する水の割合としては、調製される湯種100質量%中の水分含量に換算して、例えば、30~80質量%、好ましくは35~70質量%、より好ましくは40~70質量%である。
調製された湯種は、常法により、湯種以外の材料と混合する工程によって、本技術に係る小麦粉バッター食品用生地を調製することができる。本技術では、湯種として、市販品を用いてもよく、当該市販品は、冷凍品であってもよい。市販品が冷凍品である場合は、常温又は冷蔵又は流水解凍した上で用いられ得る。
なお、本技術では、湯種を調製する際に用いられる原料粉には、小麦粉等の澱粉質原料粉の他に、後述する酵素(マルトースα-生成アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、及びキシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素)や、それ以外の酵素が含まれていてもよい。また、これらの酵素は、湯種を調製する過程で、加熱されることにより失活され得る。
小麦粉としては、例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラム小麦粉、加熱処理小麦粉、国内産麦小麦粉などが挙げられる。
それ以外の酵素としては、例えば、糖分解酵素(マルトースα-生成アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、及びキシラナーゼを除く。)、リパーゼ、ホスホリパーゼ、プロテアーゼ、グルコオキシダーゼなどが挙げられる。
小麦粉としては、例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラム小麦粉、加熱処理小麦粉、国内産麦小麦粉などが挙げられる。
それ以外の酵素としては、例えば、糖分解酵素(マルトースα-生成アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、及びキシラナーゼを除く。)、リパーゼ、ホスホリパーゼ、プロテアーゼ、グルコオキシダーゼなどが挙げられる。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地は、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%配合することを特徴とし、0.5~10質量%配合することが好ましく、1.5~10質量%配合することが更に好ましい。これにより、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を付与することができる。
(2)米粉
本技術に用いられる米粉は、損傷澱粉量が10~40質量%である。損傷澱粉量が10質量%未満であると、口溶けがよくない小麦粉バッター食品となるので好ましくない。一方で、損傷澱粉量が40質量%超であると、ねちゃつきの強い食感となり、口溶けが悪くなるので好ましくない。
なお、本技術において、「損傷澱粉(DS)量(質量%)」とは、米粉全量中の、損傷を受けた澱粉の量をいう。また、「損傷澱粉」とは、米を粉砕する時の圧力や衝撃等により、澱粉粒が機械的な損傷を受けた澱粉のことをいう。
本技術に用いられる米粉は、損傷澱粉量が10~40質量%である。損傷澱粉量が10質量%未満であると、口溶けがよくない小麦粉バッター食品となるので好ましくない。一方で、損傷澱粉量が40質量%超であると、ねちゃつきの強い食感となり、口溶けが悪くなるので好ましくない。
なお、本技術において、「損傷澱粉(DS)量(質量%)」とは、米粉全量中の、損傷を受けた澱粉の量をいう。また、「損傷澱粉」とは、米を粉砕する時の圧力や衝撃等により、澱粉粒が機械的な損傷を受けた澱粉のことをいう。
損傷澱粉量(質量%)は、AACC Method 76-31に従って測定することができる。具体的には、試料中に含まれている損傷澱粉のみをカビ由来α-アミラーゼでマルトサッカライドと限界デキストリンに分解し、次いで、アミログルコシダーゼでグルコースにまで分解し、生成されたグルコースを定量することにより測定する。また、市販のキット(例えば、Starch Damage Assay Kit(メガザイム社製)など)を用いて測定してもよい。
本技術に用いられる米粉は、その損傷澱粉量が10~40質量%であることが好適であり、より好ましくは15~35質量%であり、更に好ましくは18~35質量%である。
また、米粉の損傷澱粉量の下限値は、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは18質量%以上であり、米粉の損傷澱粉量の上限値は、好ましくは35質量%以下である。
また、米粉の損傷澱粉量の下限値は、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは18質量%以上であり、米粉の損傷澱粉量の上限値は、好ましくは35質量%以下である。
本技術に用いられる米粉は、例えば、生米を、乾式で粉砕(好適には、摩擦粉砕、気流粉砕、又は衝撃式粉砕)して製造する。原料生米の水分含有量は、20質量%以下が好ましく、5~17質量%がより好ましい。原料としては、例えば、うるち米、もち米、低アミロース米、高アミロース米、超硬質米等を1種又は2種以上組み合わせて用いる。うるち米、もち米、低アミロース米、高アミロース米、及び超硬質米の種類としては、特に限定されないが、ジャポニカ種、インディカ種、ジャバニカ種などを用いることができる。このうち、うるち米が特に好ましい。また、前記原料のうち米の種類も特に限定されず、例えば、精白米、5分付き米、玄米、屑米等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いる。
本技術に用いられる米粉を粉砕する装置としては、例えば、ロール粉砕装置(ロールミル等)、気流粉砕装置(サイクロンミル、ジェットミル等)、衝撃式粉砕装置(ハンマーミル、ピンミル等)、摩擦粉砕装置(臼式粉砕、ローラーミル等)、せん断粉砕装置(カッターミル等)、媒体式(ボールミル、ビーズミル等)等が挙げられるが、これらに限定されない。原料生米を粉砕する際には、粉砕中の生米の温度、すなわち、粉砕途中の米粒や米粉の品温が、好ましくは15~30℃、より好ましくは15~25℃となるように、室内温度や粉砕機等を調整する。また、粉砕後は、所望の篩或いは分級によって米粉の粒径及び粒度を整えてもよい。
また、本技術に係る小麦粉バッター食品用生地は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%配合することを特徴とし、0.4~4質量%配合することが好ましく、0.8~3質量%配合することが更に好ましい。これにより、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を付与することができる。
(3)酵素
本技術に用いられる酵素は、マルトースα-生成アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素である。
本技術に用いられる酵素は、マルトースα-生成アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素である。
マルトース生成α-アミラーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.133)としては、澱粉に作用し、主としてマルトースを生成する活性を備えた酵素であればよい。具体的には、エンド型のα-アミラーゼ(例えば、一般的なカビ由来α-アミラーゼなど)とは異なり、マルトースを主体とするオリゴ糖を生成可能なエキソ型のα-アミラーゼなどである。本技術では、マルトース生成α-アミラーゼとして、市販品を用いてもよく、例えば、ノバミル(登録商標)シリーズ(ノバミル3DBG、ノバミル10000BG)(ノボザイムズジャパン社製)などが商業的に入手できる。
なお、当該マルトース生成α-アミラーゼの酵素活性は、例えば、マルトトリオースを基質として、これに、使用する酵素をその至適条件(例えば、37℃、pH5.0)下で反応させ、1分間に1マイクロモルのマルトトリオースを分解する酵素量から算出することができ、これを1単位(ユニット)としている。マルトトリオースの分解は、生成するグルコースをグルコースCIIテストワコー(富士フィルム和光純薬社製)により測定し、評価することができる。
なお、当該マルトース生成α-アミラーゼの酵素活性は、例えば、マルトトリオースを基質として、これに、使用する酵素をその至適条件(例えば、37℃、pH5.0)下で反応させ、1分間に1マイクロモルのマルトトリオースを分解する酵素量から算出することができ、これを1単位(ユニット)としている。マルトトリオースの分解は、生成するグルコースをグルコースCIIテストワコー(富士フィルム和光純薬社製)により測定し、評価することができる。
マルトテトラオース生成α-アミラーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.60)としては、澱粉に作用し、主としてグルコースがα-1,4結合したオリゴ糖であるマルトテトラオースを生成する活性を備えた酵素であればよい。本技術では、マルトテトラオース生成α-アミラーゼとして、市販品を用いてもよく、例えば、デナベイクEXTRA(ナガセケムテックスジャパン社製)などが商業的に入手できる。
なお、当該マルトテトラオース生成α-アミラーゼの酵素活性は、例えば、p-ニトロフェニル-α-D-マルトヘプタオシドを基質として、使用する酵素をその至適条件(例えば、25℃、pH5.6)下で、アミログルコシダーゼ、α-グルコシダーゼと共に反応させる。1分間に0.0351ミリモルのp-ニトロフェニル-α-D-マルトヘプタオシドを分解する酵素量から算出することができ、これを1単位(ユニット)としている。p-ニトロフェニル-α-D-マルトヘプタオシドの分解は、上記反応で生成するp-ニトロフェノールをアルカリ溶液で発色させ、410nmの吸光度測定により定量し、評価することができる。
なお、当該マルトテトラオース生成α-アミラーゼの酵素活性は、例えば、p-ニトロフェニル-α-D-マルトヘプタオシドを基質として、使用する酵素をその至適条件(例えば、25℃、pH5.6)下で、アミログルコシダーゼ、α-グルコシダーゼと共に反応させる。1分間に0.0351ミリモルのp-ニトロフェニル-α-D-マルトヘプタオシドを分解する酵素量から算出することができ、これを1単位(ユニット)としている。p-ニトロフェニル-α-D-マルトヘプタオシドの分解は、上記反応で生成するp-ニトロフェノールをアルカリ溶液で発色させ、410nmの吸光度測定により定量し、評価することができる。
β-アミラーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.2)としては、澱粉に作用し、その非還元末端からマルトース単位で加水分解する活性を備えた酵素であればよい。本技術では、β-アミラーゼとして、市販品を用いてもよく、例えば、β-アミラーゼFアマノ(天野エンザイム社製)などが商業的に入手できる。
なお、当該β-アミラーゼの酵素活性は、例えば、可溶性澱粉を基質として、これに、使用する酵素をその至適条件(例えば、40℃、pH5.0)下で反応させ、30分間に10mgのグルコースに相当する還元力を増加させる酵素量から算出することができ、これを1単位(ユニット)としている。還元力は、ソモギ変法により測定することができる。
なお、当該β-アミラーゼの酵素活性は、例えば、可溶性澱粉を基質として、これに、使用する酵素をその至適条件(例えば、40℃、pH5.0)下で反応させ、30分間に10mgのグルコースに相当する還元力を増加させる酵素量から算出することができ、これを1単位(ユニット)としている。還元力は、ソモギ変法により測定することができる。
キシラナーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.8)としては、ヘミセルロース、キシラン構造(キシロースがβ1→4結合した構造)を加水分解する活性を備えた酵素であればよく、例えば、エンドキシラナーゼ、エキソキシラナーゼ、β-キシロシダーゼなどが挙げられる。また、本技術では、キシラナーゼとして、市販品を用いてもよい。
なお、当該キシラナーゼの酵素活性は、例えば、Azo-Wheat Arabinoxylanを基質として、これに、使用する酵素をその至適条件(例えば、50℃、pH6.0)下で反応させ、1分間に7.8mMのキシロースに相当する還元力を生成する酵素量から産出することができ、これを1単位(ユニット)としている。還元力は、ソモギ変法により測定することができる。
なお、当該キシラナーゼの酵素活性は、例えば、Azo-Wheat Arabinoxylanを基質として、これに、使用する酵素をその至適条件(例えば、50℃、pH6.0)下で反応させ、1分間に7.8mMのキシロースに相当する還元力を生成する酵素量から産出することができ、これを1単位(ユニット)としている。還元力は、ソモギ変法により測定することができる。
本技術では、このうち、少なくともマルトース生成α-アミラーゼを用いることが好ましい。
本技術に用いられる酵素の由来は特に限定されず、動物、植物や、カビ、細菌のような微生物などを由来とする酵素を使用できる。酵素の生産方法についても特に限定されず、例えば、天然の組織からの抽出物であっても、組換えDNA技術を用いて大量生産された酵素であっても、合成DNA由来の改変された酵素であってもよい。培養液や培養菌体から、酵素の単離、精製工程などを経て製造される酵素製剤の形態は、一般に溶液、粉末、生産株そのものなどがあり、特に限定されないが、本技術では、このうち、溶液、粉末(又は顆粒)の酵素製剤を用いることが好ましい。
本技術において、前記酵素の使用量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、生地に対して、0.03~50ユニット(単位)で用いることが好ましい。前記酵素の使用量を、生地に対して0.03ユニット以上とすることで、しっとりとした食感及び口溶けを更に向上させることができる。また、前記酵素の使用量を、生地に対して50ユニット以下とすることで、みずみずしい食感でありながら、ねちゃつきがなく、口溶けの良い食感を維持することができる。
また、前記酵素の使用量の下限値は、好ましくは3ユニット以上であり、より好ましくは10ユニット以上である。
また、前記酵素の使用量の下限値は、好ましくは3ユニット以上であり、より好ましくは10ユニット以上である。
(4)その他
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の形態は特に限定されず、例えば、湯種、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉及び前記酵素を含む単独の混合物であってもよく、湯種、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉と前記酵素を含む剤とをそれぞれ調製し、これらを別々に生地に添加する形態であってもよい。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の形態は特に限定されず、例えば、湯種、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉及び前記酵素を含む単独の混合物であってもよく、湯種、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉と前記酵素を含む剤とをそれぞれ調製し、これらを別々に生地に添加する形態であってもよい。
本技術において、水分量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、生地総質量に対して水分量が比較的少ない場合であっても(例えば、生地総質量に対して水分が、50質量%以下配合されている場合や45質量%以下配合されている場合や43.5質量%以下配合されている場合など)後述する実験例1及び2に示すように、しっとりとした食感及び口溶けのよい食感を有する小麦粉バッター食品を提供することもできる。
なお、本技術において、「水分」とは、湯種、及び液状原料(液状油脂を除く。)に含まれる総水分をいう。例えば、全卵や牛乳を用いる場合には、これらに含まれる水分も含む概念である。なお、本技術において、全卵中の水分量は、75.0質量%として計算した値である(日本食品標準成分表2020年度版参照)。また、牛乳中の水分量は、87.4質量%として計算した値である(日本食品標準成分表2020年度版参照)。
更に、湯種中の水分量は、例えば、小麦粉100質量部に対して水を130質量部加えて調製した場合、調製された湯種中の水分量は、56.5質量%として計算している。なお、本技術では、小麦粉自体に含まれる水分については、水分量の計算に含めない。
なお、本技術において、「水分」とは、湯種、及び液状原料(液状油脂を除く。)に含まれる総水分をいう。例えば、全卵や牛乳を用いる場合には、これらに含まれる水分も含む概念である。なお、本技術において、全卵中の水分量は、75.0質量%として計算した値である(日本食品標準成分表2020年度版参照)。また、牛乳中の水分量は、87.4質量%として計算した値である(日本食品標準成分表2020年度版参照)。
更に、湯種中の水分量は、例えば、小麦粉100質量部に対して水を130質量部加えて調製した場合、調製された湯種中の水分量は、56.5質量%として計算している。なお、本技術では、小麦粉自体に含まれる水分については、水分量の計算に含めない。
また、本技術では、後述する実験例2に示すように、水分量が特に少ない場合(例えば、生地総質量に対して水分が、36質量%以下配合されている場合など)であっても、しっとりとした食感及び口溶けの良さを付与することができ、保形性にも優れた小麦粉バッター食品を提供することもできる。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地は、小麦粉バッター食品用であることを特徴とするが、このうち、加熱方法が焼成である、焼き小麦粉バッター食品用であることが好ましい。本技術に係る小麦粉バッター食品用生地を用いることで、比較的水分量が少ないとされている焼き小麦粉バッター食品においても、しっとりしてみずみずしい食感、且つ、口溶けの良さを付与することができる。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地は、湯種、前記米粉、前記酵素の他に、水、牛乳、豆乳、卵、その他の原料が配合されていてもよい。その他の原料としては、求められる特性等に応じて、適宜自由に選択することができる。具体的には、例えば、酵素(マルトースα-生成アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、及びキシラナーゼを除く。)、油脂類、乳化剤、乳製品、乳製品を酵素処理した呈味剤、穀粉類、糖質、塩類、酸味料、pH調整剤、抗酸化剤、香辛料、ゲル化剤(増粘剤)、膨張剤、着色成分、アミノ酸などが挙げられる。
酵素としては、例えば、糖分解酵素(マルトースα-生成アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、及びキシラナーゼを除く。)、リパーゼ、ホスホリパーゼ、プロテアーゼ、グルコオキシダーゼなどが挙げられる。
油脂類としては、例えば、ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油、粉末油などが挙げられる。
乳化剤としては、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウムなどが挙げられる。
乳製品としては、例えば、チーズ(例えば、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等)、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白濃縮ホエイパウダー、ホエイチーズ(WC)、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどが挙げられる。乳製品以外では、例えば、豆乳、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルクなどが挙げられる。
穀粉類としては、例えば、大麦粉、大豆粉、そば粉、ライ麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、小麦粉(例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラム小麦粉等)、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、エンドウ豆澱粉、サゴ澱粉などが挙げられる。
糖質としては、例えば、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース、アラビノース等の単糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、パラチノース、セロビノース等の二糖類、マルトトリオース等の三糖類、オリゴ糖、糖アルコール、ステビアやアスパルテーム等の甘味料、デンプン、デンプン分解物、難消化性デキストリン、イヌリン(例えば、アガベイヌリン等)等の多糖類などが挙げられる。また、ステビアやアスパルテーム等の甘味料、抗酸化剤としては、例えば、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物などが挙げられる。
塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、有機酸、有機塩などが挙げられる。
香辛料としては、例えば、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロン、ピペリンなどが挙げられる。
ゲル化剤としては、例えば、カラギナン、寒天、アルギン酸、グルコマンナン、ゼラチン、アラビアガム、キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などが挙げられる。
膨張剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。また、これらのガス発生基剤に加えて、酸性剤、遮断剤などを含有する、所謂ベーキングパウダーを用いることもできる。
着色成分としては、例えば、カロテン、アナトーなどが挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、グリシン、グルタミン酸などが挙げられる。
また、風味付与のために、例えば、野菜粉末、果物粉末、ココア粉末、コーヒー粉末、紅茶、ウーロン茶、ほうじ茶、抹茶、バターフレーバー、ミルクフレーバーなどを他の成分として配合することができる。
油脂類としては、例えば、ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油、粉末油などが挙げられる。
乳化剤としては、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウムなどが挙げられる。
乳製品としては、例えば、チーズ(例えば、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等)、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白濃縮ホエイパウダー、ホエイチーズ(WC)、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどが挙げられる。乳製品以外では、例えば、豆乳、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルクなどが挙げられる。
穀粉類としては、例えば、大麦粉、大豆粉、そば粉、ライ麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、小麦粉(例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラム小麦粉等)、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、エンドウ豆澱粉、サゴ澱粉などが挙げられる。
糖質としては、例えば、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース、アラビノース等の単糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、パラチノース、セロビノース等の二糖類、マルトトリオース等の三糖類、オリゴ糖、糖アルコール、ステビアやアスパルテーム等の甘味料、デンプン、デンプン分解物、難消化性デキストリン、イヌリン(例えば、アガベイヌリン等)等の多糖類などが挙げられる。また、ステビアやアスパルテーム等の甘味料、抗酸化剤としては、例えば、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物などが挙げられる。
塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、有機酸、有機塩などが挙げられる。
香辛料としては、例えば、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロン、ピペリンなどが挙げられる。
ゲル化剤としては、例えば、カラギナン、寒天、アルギン酸、グルコマンナン、ゼラチン、アラビアガム、キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などが挙げられる。
膨張剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。また、これらのガス発生基剤に加えて、酸性剤、遮断剤などを含有する、所謂ベーキングパウダーを用いることもできる。
着色成分としては、例えば、カロテン、アナトーなどが挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、グリシン、グルタミン酸などが挙げられる。
また、風味付与のために、例えば、野菜粉末、果物粉末、ココア粉末、コーヒー粉末、紅茶、ウーロン茶、ほうじ茶、抹茶、バターフレーバー、ミルクフレーバーなどを他の成分として配合することができる。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地は、常温、冷蔵、チルド、冷凍等の状態で流通させることができる。具体的には、例えば、冷蔵バッター、冷凍バッター等の形態で流通させることが可能である。
<小麦粉バッター食品>
本技術に係る小麦粉バッター食品は、上述した本技術に係る小麦粉バッター食品用生地を用いることを特徴とする。本技術に係る小麦粉バッター食品は、上述した本技術に係る小麦粉バッター食品用生地を用いていることから、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい。また、本技術において、「焼き小麦粉バッター食品」とは、小麦粉バッター食品のうち、小麦粉バッター食品用生地を焼成する工程を含んで製造されたものをいう。
本技術に係る小麦粉バッター食品は、上述した本技術に係る小麦粉バッター食品用生地を用いることを特徴とする。本技術に係る小麦粉バッター食品は、上述した本技術に係る小麦粉バッター食品用生地を用いていることから、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい。また、本技術において、「焼き小麦粉バッター食品」とは、小麦粉バッター食品のうち、小麦粉バッター食品用生地を焼成する工程を含んで製造されたものをいう。
具体的には、例えば、焼き菓子、蒸し菓子、揚げ菓子、たこ焼、お好み焼、明石焼、ねぎ焼、いか焼(大阪風)、チヂミ、もんじゃ焼、熊本ちょぼ焼、洋食焼、どんどん焼などが挙げられる。
焼き菓子としては、例えば、パンケーキ、ホットケーキ、ベビーカステラ、ワッフル、たい焼、今川焼、マフィン、スポンジケーキ、パウンドケーキ、バームクーヘン、シフォンケーキ、カステラ、どら焼、焼きドーナツ、焼き饅頭、もみじ饅頭、マドレーヌ、ブッセ、フィナンシェ、バターケーキ、クッキーなどが挙げられる。
蒸し菓子としては、例えば、蒸しパン、蒸しケーキ、蒸し饅頭などが挙げられる。
揚げ菓子としては、例えば、ケーキドーナツ、フレンチクルーラー、揚げ饅頭などが挙げられる。
なお、本技術において、「型焼き菓子」とは、銅、鉄、ステンレス、ブリキ、耐熱ガラス、シリコン、アルミ等で形成された焼き型に生地を流し込み、焼成することで製造された菓子をいう。
焼き菓子としては、例えば、パンケーキ、ホットケーキ、ベビーカステラ、ワッフル、たい焼、今川焼、マフィン、スポンジケーキ、パウンドケーキ、バームクーヘン、シフォンケーキ、カステラ、どら焼、焼きドーナツ、焼き饅頭、もみじ饅頭、マドレーヌ、ブッセ、フィナンシェ、バターケーキ、クッキーなどが挙げられる。
蒸し菓子としては、例えば、蒸しパン、蒸しケーキ、蒸し饅頭などが挙げられる。
揚げ菓子としては、例えば、ケーキドーナツ、フレンチクルーラー、揚げ饅頭などが挙げられる。
なお、本技術において、「型焼き菓子」とは、銅、鉄、ステンレス、ブリキ、耐熱ガラス、シリコン、アルミ等で形成された焼き型に生地を流し込み、焼成することで製造された菓子をいう。
本技術に係る小麦粉バッター食品は、このうち、焼き菓子、又はたこ焼であることが好ましく、焼き菓子としては、このうち、パンケーキ、ホットケーキ、ベビーカステラ、ワッフル、たい焼、今川焼、マフィン、スポンジケーキ、パウンドケーキであることが好ましい。
本技術に係る小麦粉バッター食品は、常温、冷蔵、チルド、冷凍等の状態で流通させることができる。本技術に係る小麦粉バッター食品は、常温、冷蔵、チルド、冷凍等での保存後に、冷蔵解凍、常温解凍、マイクロ波などによる再加熱等した場合においても、保形性を維持し、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい。
<小麦粉バッター食品用生地の製造方法、小麦粉バッター食品の製造方法>
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の製造方法は、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含むことを特徴とする。また、本技術に係る小麦粉バッター食品の製造方法は、上述した本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の製造方法を用いて製造された小麦粉バッター食品用生地を、焼成する工程を含むことを特徴とする。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の製造方法は、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含むことを特徴とする。また、本技術に係る小麦粉バッター食品の製造方法は、上述した本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の製造方法を用いて製造された小麦粉バッター食品用生地を、焼成する工程を含むことを特徴とする。
上述した通り、本技術では、生地総質量に対する湯種、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉の量を調節し、且つ、特定の種類の酵素を用いることで、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品が提供できることを見出した。したがって、本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の製造方法、及び本技術に係る小麦粉バッター食品の製造方法を用いることで、上述した特徴を有する小麦粉バッター食品を提供することができる。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の製造方法においては、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含む他は、一般的な小麦粉バッター食品用生地の調製方法を適宜自由に選択して用いることができる。
具体的には、例えば、湯種、前記酵素、及びその他の粉状原料と、水、全卵、等を含む液状原料と、必要に応じてその他の材料と、を混合することで、生地を調製する。各材料は、別々に投入してもよいし、一部の材料を予め混合した上で用いてもよい。また、混合した後に、必要に応じて、混合工程、ねかし工程、分割、成形(絞り等)等を、適宜自由に選択して行うことができる。
具体的には、例えば、湯種、前記酵素、及びその他の粉状原料と、水、全卵、等を含む液状原料と、必要に応じてその他の材料と、を混合することで、生地を調製する。各材料は、別々に投入してもよいし、一部の材料を予め混合した上で用いてもよい。また、混合した後に、必要に応じて、混合工程、ねかし工程、分割、成形(絞り等)等を、適宜自由に選択して行うことができる。
また、本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の製造方法では、調製された生地を凍結する工程を行うことも可能である。この場合の冷凍条件は、本技術の効果を損なわない限り、適宜自由に設定することができる。
本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の製造方法により製造された生地は、加熱工程等を経ることで、小麦粉バッター食品を製造することができる。加熱方法は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、焼成、蒸し、油ちょう、マイクロ波加熱等の1種又は2種以上の加熱方法を適宜自由に選択して用いることができる。
本技術に係る小麦粉バッター食品の製造方法は、特に、焼き小麦粉バッター食品を製造する場合に用いられ、上述した本技術に係る小麦粉バッター食品用生地の製造方法を用いて製造された小麦粉バッター食品用生地を、焼成する工程を行う。焼成方法は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。焼成時には、焼き型等に生地のみを入れて焼成してもよいし、焼き型等に生地を入れ、更にクリーム、餡、ジャム等のフィリング、畜肉、魚介類、ソーセージ、ハム、チーズ、漬物等の加工食品、野菜、果物などを充填して焼成してもよい。焼成時間や焼成温度等の焼成条件は、本技術の効果を損なわない限り、適宜自由に設定することができるが、焼き小麦粉バッター食品として型焼き菓子を製造する場合は、焼成時間は、2分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、7分以上が更に好ましい。また、焼き小麦粉バッター食品としてパンケーキを製造する場合は、60秒以上が好ましく、90秒以上がより好ましく、2分以上が更に好ましい。焼き小麦粉バッター食品としてたこ焼を製造する場合は、5分以上が好ましく、7分以上がより好ましく、9分以上が更に好ましい。
また、本技術に係る小麦粉バッター食品の製造方法では、製造された小麦粉バッター食品を凍結する工程を行うことも可能である。この場合の冷凍条件は、本技術の効果を損なわない限り、適宜自由に設定することができる。
更に、本技術に係る小麦粉バッター食品の製造方法では、焼成した後の小麦粉バッター食品を、再加熱する工程を行うことも可能である。例えば、凍結した後の冷凍小麦粉バッター食品や、常温、冷蔵又はチルド状態等で保存された小麦粉バッター食品を、再加熱して喫食することができる。再加熱方法は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、焼成、蒸し、油ちょう、マイクロ波加熱等の1種又は2種以上の加熱方法を適宜自由に選択して用いることができる。また、再加熱せず、自然解凍して喫食してもよい。
<小麦粉バッター食品の食感改良方法>
本技術に係る小麦粉バッター食品の食感改良方法は、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含むことを特徴とする。
本技術に係る小麦粉バッター食品の食感改良方法は、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含むことを特徴とする。
上述した通り、本技術では、生地総質量に対する、湯種、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉の量を調節し、且つ、特定の種類の酵素を用いることで、保形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品が提供できることを見出した。したがって、本技術に係る小麦粉バッター食品の食感改良方法を用いることで、上述した特徴を有する小麦粉バッター食品を提供することができる。
本技術に係る小麦粉バッター食品の食感改良方法においては、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含む他は、一般的な小麦粉バッター食品用生地の調製方法や、小麦粉バッター食品の製造方法等を適宜自由に選択して用いることができる。
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<実験例1>
実験例1では、異なる組成の小麦粉バッター食品用生地を用いて小麦粉バッター食品を製造した場合に、小麦粉バッター食品用生地の加熱後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)への影響を調べた。実験例1では、小麦粉バッター食品の一例として、型焼き小麦粉バッター食品を製造した。
実験例1では、異なる組成の小麦粉バッター食品用生地を用いて小麦粉バッター食品を製造した場合に、小麦粉バッター食品用生地の加熱後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)への影響を調べた。実験例1では、小麦粉バッター食品の一例として、型焼き小麦粉バッター食品を製造した。
(1)小麦粉バッター食品用生地の調製
下記表1~3に記載する配合割合で各材料を混合し、粉状原料を調製した。ミキサーに、下記表1~3に記載する割合で原料を加え、撹拌混合して、小麦粉バッター食品用生地(サンプル1-1~1-32)を調製した。
下記表1~3に記載する配合割合で各材料を混合し、粉状原料を調製した。ミキサーに、下記表1~3に記載する割合で原料を加え、撹拌混合して、小麦粉バッター食品用生地(サンプル1-1~1-32)を調製した。
(2)湯種の調製
小麦粉(強力粉:「クオリテ」昭和産業株式会社製)100質量部をミキサーボウルに投入し、これに熱湯(98℃)130質量部を投入して3分間撹拌混捏し、捏上温度が65℃の湯種を調製した。得られた湯種をバットに移し、室温になるまで放冷した。なお、放冷後の湯種を-25℃の冷凍庫にて冷凍し、実験時に解凍してから用いてもよい。
小麦粉(強力粉:「クオリテ」昭和産業株式会社製)100質量部をミキサーボウルに投入し、これに熱湯(98℃)130質量部を投入して3分間撹拌混捏し、捏上温度が65℃の湯種を調製した。得られた湯種をバットに移し、室温になるまで放冷した。なお、放冷後の湯種を-25℃の冷凍庫にて冷凍し、実験時に解凍してから用いてもよい。
(3)型焼き小麦粉バッター食品(型焼き菓子)の製造
130℃に加熱した複数の半球状の窪み(穴径:43mm、深さ:34mm)を有する焼き型にサラダ油を引き、各生地12gを流し入れた後、フィリング(「モアロクリーム」ソントン食品工業株式会社)3gを加え、10分間焼成し、釣鐘状の型焼き菓子を製造した。
130℃に加熱した複数の半球状の窪み(穴径:43mm、深さ:34mm)を有する焼き型にサラダ油を引き、各生地12gを流し入れた後、フィリング(「モアロクリーム」ソントン食品工業株式会社)3gを加え、10分間焼成し、釣鐘状の型焼き菓子を製造した。
(4)評価
製造した型焼き菓子を急速凍結庫(-35℃)で凍結し、冷凍庫(-18℃)で保管した。保存した型焼き菓子を10℃下で2時間解凍した型焼き菓子の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)について、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
製造した型焼き菓子を急速凍結庫(-35℃)で凍結し、冷凍庫(-18℃)で保管した。保存した型焼き菓子を10℃下で2時間解凍した型焼き菓子の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)について、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
[外観(保形性)]
5:全ての製品がきれいな形状でつぶれもなく、非常に良好
4:全ての製品の形状が整っており、良好
3:形状はやや不揃いであるが、全て形状が保たれており、良好
2:50%未満の製品につぶれが発生しており、不良
1:50%以上の製品につぶれが発生しており、非常に不良
5:全ての製品がきれいな形状でつぶれもなく、非常に良好
4:全ての製品の形状が整っており、良好
3:形状はやや不揃いであるが、全て形状が保たれており、良好
2:50%未満の製品につぶれが発生しており、不良
1:50%以上の製品につぶれが発生しており、非常に不良
[食感(しっとり感)]
5:非常にしっとりとしてみずみずしい食感である
4:しっとりとしてみずみずしい食感である
3:ややしっとりとしてみずみずしい食感である
2:パサつきを感じ食感である
1:非常にパサついた食感である
5:非常にしっとりとしてみずみずしい食感である
4:しっとりとしてみずみずしい食感である
3:ややしっとりとしてみずみずしい食感である
2:パサつきを感じ食感である
1:非常にパサついた食感である
[食感(口溶け)]
5:非常に口溶けのよい食感である
4:口溶けのよい食感である
3:やや口溶けのよい食感である
2:ねちゃつきがあり、口溶けの悪い食感である
1:ねちゃつきがあり、非常に口溶けの悪い食感である
5:非常に口溶けのよい食感である
4:口溶けのよい食感である
3:やや口溶けのよい食感である
2:ねちゃつきがあり、口溶けの悪い食感である
1:ねちゃつきがあり、非常に口溶けの悪い食感である
(5)結果
結果を、下記表1~3に示す。
結果を、下記表1~3に示す。
(6)考察
上記表2に示す通り、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を用いたサンプル1-11~1-25は、焼成後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)の全ての評価が良好であった。
上記表2に示す通り、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を用いたサンプル1-11~1-25は、焼成後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)の全ての評価が良好であった。
また、上記表3に示す通り、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼと、を用いたサンプル1-26~1-30は、焼成後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)の全ての評価が良好であった。
一方で、上記表1及び表3に示す通り、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を用いなかったサンプル1-1~1-10、1-31及び1-32は、いずれかの評価が劣っていた。具体的には、湯種と、前記酵素と、を用いなかったサンプル1-1は、食感(しっとり感及び口溶け)が不良であった。また、サンプル1-1に対して水分量を増やしたサンプル1-2は、食感(しっとり感及び口溶け)は良好であったが、外観(保形性)が不良であった。更に、湯種を用いず、前記酵素のみを用いたサンプル1-3及び1-10は、食感(しっとり感)が不良であった。また、前記酵素を用いず、湯種のみを用いたサンプル1-4~1-8は、食感(口溶け)が不良であり、湯種が生地総質量に対して16.78質量%含まれるサンプル1-4は、外観(保形性)も不良であり、湯種が生地総質量に対して0.20質量%含まれるサンプル1-8においては、食感(しっとり感)も不良であった。更に、前記酵素を用いていても、湯種が生地総質量に対して16.78質量%含まれるサンプル1-9は、外観(保形性)及び食感(口溶け)が不良であった。また、上記表3に示す通り、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉が生地総質量に対して8.25質量%含まれるサンプル1-31は、外観(保形性)が不良であった。更に、損傷澱粉量が3質量%である米粉が生地総質量に対して1.98質量%含まれるサンプル1-32は、食感(しっとり感及び口溶け)が不良であった。
以上の結果から、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を併用することで、初めて、形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品を提供できることが判明した。
<実験例2>
実験例2では、異なる組成の小麦粉バッター食品用生地を用いて小麦粉バッター食品を製造した場合に、小麦粉バッター食品用生地の加熱後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)への影響を調べた。実験例2では、小麦粉バッター食品の一例として、パンケーキを製造した。
実験例2では、異なる組成の小麦粉バッター食品用生地を用いて小麦粉バッター食品を製造した場合に、小麦粉バッター食品用生地の加熱後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)への影響を調べた。実験例2では、小麦粉バッター食品の一例として、パンケーキを製造した。
(1)小麦粉バッター食品用生地の調製
下記表4に記載する配合割合で各材料を混合し、生地を調製した。具体的には、以下の(i)~(iv)の工程で調製した。
(i)全卵(液)に砂糖を加え、よく混ぜ合わせる。
(ii)牛乳を加え、よく混ぜ合わせる。
(iii)液状油脂と解凍済の湯種を加え、よく混ぜ合わせる。
(iv)小麦粉と膨張剤とを一緒にして篩ったものと各酵素を加え、ダマが無くなる位まで軽く混ぜ合わせる。
下記表4に記載する配合割合で各材料を混合し、生地を調製した。具体的には、以下の(i)~(iv)の工程で調製した。
(i)全卵(液)に砂糖を加え、よく混ぜ合わせる。
(ii)牛乳を加え、よく混ぜ合わせる。
(iii)液状油脂と解凍済の湯種を加え、よく混ぜ合わせる。
(iv)小麦粉と膨張剤とを一緒にして篩ったものと各酵素を加え、ダマが無くなる位まで軽く混ぜ合わせる。
(2)小麦粉バッター食品(パンケーキ)の製造
170℃に加熱したホットプレートに、各生地60gを加えて2分間焼成し、反転して更に1分間焼成して、低い円柱状のパンケーキを製造した。
170℃に加熱したホットプレートに、各生地60gを加えて2分間焼成し、反転して更に1分間焼成して、低い円柱状のパンケーキを製造した。
(3)評価
製造したパンケーキを、室温で10分間放冷した。パンケーキの外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)について、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
製造したパンケーキを、室温で10分間放冷した。パンケーキの外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)について、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
[外観(保形性)]
5:全ての製品がきれいな形状でつぶれもなく、ボリューム感があり非常に良好
4:全ての製品の形状が整っており、ボリューム感があり良好
3:形状はやや不揃いであるが、全て形状が保たれており、ボリューム感があり良好
2:50%未満の製品につぶれが発生しており、ボリューム感に欠け不良
1:50%以上の製品につぶれが発生しており、非常にボリューム感に欠け非常に不良
5:全ての製品がきれいな形状でつぶれもなく、ボリューム感があり非常に良好
4:全ての製品の形状が整っており、ボリューム感があり良好
3:形状はやや不揃いであるが、全て形状が保たれており、ボリューム感があり良好
2:50%未満の製品につぶれが発生しており、ボリューム感に欠け不良
1:50%以上の製品につぶれが発生しており、非常にボリューム感に欠け非常に不良
[食感(しっとり感)]
5:非常にしっとりとした食感であり、非常に良好
4:しっとりとした食感であり、良好
3:ややしっとりとした食感であり、やや良好
2:パサつきを感じる食感であり、やや不良
1:非常にパサついた食感であり、不良
5:非常にしっとりとした食感であり、非常に良好
4:しっとりとした食感であり、良好
3:ややしっとりとした食感であり、やや良好
2:パサつきを感じる食感であり、やや不良
1:非常にパサついた食感であり、不良
[食感(口溶け)]
5:非常に口溶けのよい食感であり、非常に良好
4:口溶けのよい食感であり、良好
3:やや口溶けのよい食感であり、やや良好
2:ねちゃつきがあり、口溶けの悪い食感であり、やや不良
1:ねちゃつきがあり、非常に口溶けの悪い食感であり、不良
5:非常に口溶けのよい食感であり、非常に良好
4:口溶けのよい食感であり、良好
3:やや口溶けのよい食感であり、やや良好
2:ねちゃつきがあり、口溶けの悪い食感であり、やや不良
1:ねちゃつきがあり、非常に口溶けの悪い食感であり、不良
(4)結果
結果を、下記表4に示す。
結果を、下記表4に示す。
(5)考察
上記表4に示す通り、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%と、マルトース生成α-アミラーゼと、を用いたサンプル2-2及び2-3は、焼成後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)の全ての評価が良好であった。
上記表4に示す通り、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%と、マルトース生成α-アミラーゼと、を用いたサンプル2-2及び2-3は、焼成後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)の全ての評価が良好であった。
一方で、上記表4に示す通り、湯種と、マルトース生成α-アミラーゼと、を用いなかったサンプル2-1は、特に、食感(しっとり感及び口溶け)の評価が不良であった。
以上の結果から、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を併用することで、比較的水分量が少ない焼き小麦粉バッター食品においても、形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品を提供できることが判明した。
<実験例3>
実験例3では、異なる組成の小麦粉バッター食品用生地を用いて小麦粉バッター食品を製造した場合に、小麦粉バッター食品用生地の加熱後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)への影響を調べた。実験例3では、小麦粉バッター食品の一例として、たこ焼を製造した。
実験例3では、異なる組成の小麦粉バッター食品用生地を用いて小麦粉バッター食品を製造した場合に、小麦粉バッター食品用生地の加熱後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)への影響を調べた。実験例3では、小麦粉バッター食品の一例として、たこ焼を製造した。
(1)小麦粉バッター食品用生地の調製
下記表5に記載する配合割合で各材料を混合し、粉状原料を調製した。ミキサーに、下記表5に記載する割合で、薄口しょうゆ、液状油脂、及び水からなる液状原料を投入し、これに前記粉状原料を加え、撹拌混合して、小麦粉バッター食品用生地(サンプル3-1~3-3)を調製した。
下記表5に記載する配合割合で各材料を混合し、粉状原料を調製した。ミキサーに、下記表5に記載する割合で、薄口しょうゆ、液状油脂、及び水からなる液状原料を投入し、これに前記粉状原料を加え、撹拌混合して、小麦粉バッター食品用生地(サンプル3-1~3-3)を調製した。
(2)型焼き小麦粉バッター食品(たこ焼)の製造
自動焼成機の焼型の穴(40個)(穴径:43mm、深さ:34mm)に離型油を噴霧塗布した後、自動計量充填機を用いて、前記で調製したバッターを充填し(約22g/個)、次いで各穴に茹でたこの切り身(4g)を投入した。ガスバーナー加熱により170~190℃に制御された自動焼成機にて、約14分間加熱焼成を行った。焼成完了後、焼型を自動反転して、焼成したたこ焼を排出した。
自動焼成機の焼型の穴(40個)(穴径:43mm、深さ:34mm)に離型油を噴霧塗布した後、自動計量充填機を用いて、前記で調製したバッターを充填し(約22g/個)、次いで各穴に茹でたこの切り身(4g)を投入した。ガスバーナー加熱により170~190℃に制御された自動焼成機にて、約14分間加熱焼成を行った。焼成完了後、焼型を自動反転して、焼成したたこ焼を排出した。
(3)評価
製造したたこ焼は、急速凍結庫(-35℃)で凍結し、冷凍庫(-18℃)で1週間保管した。冷凍保管後、冷凍状態にある冷凍たこ焼を、電子レンジ(出力500W、3分間/8個)で加熱した。たこ焼の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)について、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
製造したたこ焼は、急速凍結庫(-35℃)で凍結し、冷凍庫(-18℃)で1週間保管した。冷凍保管後、冷凍状態にある冷凍たこ焼を、電子レンジ(出力500W、3分間/8個)で加熱した。たこ焼の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)について、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
[外観(保形性)]
5:全ての製品がきれいな形状でつぶれもなく、ボリューム感があり非常に良好
4:全ての製品の形状が整っており、ボリューム感があり良好
3:形状はやや不揃いであるが、全て形状が保たれており、ボリューム感があり良好
2:50%未満の製品につぶれが発生しており、ボリューム感に欠け不良
1:50%以上の製品につぶれが発生しており、非常にボリューム感に欠け非常に不良
5:全ての製品がきれいな形状でつぶれもなく、ボリューム感があり非常に良好
4:全ての製品の形状が整っており、ボリューム感があり良好
3:形状はやや不揃いであるが、全て形状が保たれており、ボリューム感があり良好
2:50%未満の製品につぶれが発生しており、ボリューム感に欠け不良
1:50%以上の製品につぶれが発生しており、非常にボリューム感に欠け非常に不良
[食感(しっとり感)]
5:非常にしっとりとした食感であり、非常に良好
4:しっとりとした食感であり、良好
3:ややしっとりとした食感であり、やや良好
2:パサつきを感じる食感であり、やや不良
1:非常にパサついた食感であり、不良
5:非常にしっとりとした食感であり、非常に良好
4:しっとりとした食感であり、良好
3:ややしっとりとした食感であり、やや良好
2:パサつきを感じる食感であり、やや不良
1:非常にパサついた食感であり、不良
[食感(口溶け)]
5:非常に口溶けのよい食感であり、非常に良好
4:口溶けのよい食感であり、良好
3:やや口溶けのよい食感であり、やや良好
2:ねちゃつきがあり、口溶けの悪い食感であり、やや不良
1:ねちゃつきがあり、非常に口溶けの悪い食感であり、不良
5:非常に口溶けのよい食感であり、非常に良好
4:口溶けのよい食感であり、良好
3:やや口溶けのよい食感であり、やや良好
2:ねちゃつきがあり、口溶けの悪い食感であり、やや不良
1:ねちゃつきがあり、非常に口溶けの悪い食感であり、不良
(4)結果
結果を、下記表5に示す。
結果を、下記表5に示す。
(5)考察
上記表5に示す通り、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%と、マルトース生成α-アミラーゼと、を用いたサンプル3-1は、焼成後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)の全ての評価が良好であった。
上記表5に示す通り、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%と、マルトース生成α-アミラーゼと、を用いたサンプル3-1は、焼成後の外観(保形性)、並びに食感(しっとり感及び口溶け)の全ての評価が良好であった。
一方で、上記表5に示す通り、湯種を用いなかったサンプル3-2は、食感(しっとり感)が不良であった。また、マルトース生成α-アミラーゼを用いなかったサンプル3-3は、食感(口溶け)が不良であった。
以上の結果から、湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、併用することで、焼き小麦粉バッター食品において、形性に優れながらも、しっとりしてみずみずしい食感を有し、且つ、口溶けがよい小麦粉バッター食品を提供できることが判明した。
Claims (7)
- 湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、
マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、
を含有する、小麦粉バッター食品用生地。 - 生地総質量に対して酵素活性として、0.03~50ユニットの前記酵素が配合された、請求項1に記載の小麦粉バッター食品用生地。
- 焼き小麦粉バッター食品用である、請求項1又は2に記載の小麦粉バッター食品用生地。
- 請求項1から3のいずれかに記載の小麦粉バッター食品用生地を用いた、小麦粉バッター食品。
- 湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含む、小麦粉バッター食品用生地の製造方法。
- 請求項5に記載の小麦粉バッター食品用生地の製造方法を用いて製造された小麦粉バッター食品用生地を、焼成する工程を含む、小麦粉バッター食品の製造方法。
- 湯種を生地総質量に対して0.2~10質量%、及び/又は、損傷澱粉量が10~40質量%である米粉を生地総質量に対して0.2~8質量%と、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、キシラナーゼからなる群より選ばれる1種又は2種以上の酵素と、を添加する工程を含む、小麦粉バッター食品の食感改良方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021143498A JP2023036441A (ja) | 2021-09-02 | 2021-09-02 | 小麦粉バッター食品用生地 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021143498A JP2023036441A (ja) | 2021-09-02 | 2021-09-02 | 小麦粉バッター食品用生地 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023036441A true JP2023036441A (ja) | 2023-03-14 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021143498A Pending JP2023036441A (ja) | 2021-09-02 | 2021-09-02 | 小麦粉バッター食品用生地 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023036441A (ja) |
-
2021
- 2021-09-02 JP JP2021143498A patent/JP2023036441A/ja active Pending
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