JP2019165646A - 製パン改良材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的・課題は、ソフトでしっとりとした食感と、歯切れとが両立されたベーカリー食品を、生地物性を悪化させることなく得られる製パン改良材を提供することである。【解決手段】本発明は、構成糖残基組成において、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維を含有する、製パン改良材を提供する。また製パン改良材は、更に、上記水溶性食物繊維の構成糖残基組成において、1位と6位の水酸基で結合しているグルコース残基の比率が30%以上であることが好ましい。また製パン改良材は、油脂組成物であることも好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、製パン改良材に関する。
従来、ソフトでしっとりとした食感を有するパン類が求められてきたが、近年ではこれらの食感に加えて歯切れの良好なパン類が求められている。
ソフトでしっとりとした食感を有するパン類を得るための単純な手法として、生地中の水分を増加させることが挙げられる。しかし、水分を増加させた生地は、丸めや成形時にべとつく等、生地物性が悪化し、作業性が低下する問題がある。
また、水分を増加させた生地を加熱処理して得られるパンは、確かにソフトでしっとりとしているが、くちゃつく食感となり歯切れが悪いという問題がある。
更に、水分を増加させた生地を加熱処理して得られるパンは、老化しやすく、経時的な食感の維持が難しいという問題がある。
これに対し、歯切れが良好なパン類を得るための単純な手法としては、生地中の水分の調整や焼成時間の延長を行い、パン中の水分を減らすことが挙げられる。
しかし、水分含量の低いパン類は、当然に、ソフトでしっとりとした食感を有していない。
この為、各種改良成分を加えることで、生地物性を改良したり、得られるパン類の食感を改良する検討が従来なされており、最近では添加物の健康影響等に対する懸念から、合成乳化剤等に頼らない手法が提案されている。
この手法の一として、例えば、食物繊維のように、保水性の高い成分を添加する手法(例えば特許文献1、2)が挙げられる。
しかし、パン生地に食物繊維を添加する手法では、水に不溶性のものではザラツキのある食感となりやすく、水溶性のものでは、水分が水溶性食物繊維に一旦吸水された後、吸水状態を保ちきれずに生地物性が悪化する他、得られるパン類のボリュームの低下、得られるパンの食感が硬くなるなど食感が悪化しやすかった。
特開平10-179012号公報 特開平10-262541号公報
本発明の目的・課題はソフトでしっとりとした食感と、歯切れとが両立されたベーカリー食品を、生地物性を悪化させることなく得ることにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく、種々検討した結果、構成糖残基組成において、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上であることを特徴とする水溶性食物繊維を、パン生地中に含有させることで、ソフトでしっとりとした食感と、歯切れとが両立されたベーカリー食品が得られることを知見した。
本発明はこの知見に基づくものであり、構成糖残基組成において、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上であることを特徴とする水溶性食物繊維を含有する、製パン改良材に関する。
本発明品により、ソフトでしっとりとした食感と、歯切れとが両立されたベーカリー食品を、生地物性を悪化させることなく得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の製パン改良材に含有される、食物繊維について述べる。
<食物繊維>
食物繊維とは、食品中に含有される、人の消化酵素では分解されず、消化・吸収されにくい成分のことをいい、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維(水不溶性)とに分類される。
水溶性食物繊維としては、ポリデキストロース、デキストラン、デキストリン、及びこれらの二次加工品等が代表的なものとして挙げられる。本発明の製パン改良材では、これらの水溶性の食物繊維のうちでも、特に構成糖残基組成において、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維を含有する。本発明の製パン改良材はこれにより、ソフトでしっとりとしており、歯切れが良好なベーカリー食品を、生地物性を悪化させることなく得ることができる。
尚、本発明に用いられる水溶性食物繊維の構成糖はグルコースが90%以上占めていることが好ましく、95%以上占めていることがより好ましい。尚、上限は100%である。
尚、本発明において、「3つのα結合を有するグルコース残基」とは、例えば、グルコース残基の1位と3位と6位の水酸基にα結合を有するものや、グルコース残基の1位と4位と6位の水酸基にα結合を有するものなど、グルコース残基中の3か所で他の構成糖とのα結合を形成しているものを指し、グルコース残基中の4か所以上で他の構成糖とのα結合を形成しているものは含まない。
「3つのα結合を有するグルコース残基の比率」とは、本発明に用いられる水溶性食物繊維の構成糖残基組成において、上記のような3つのα結合を有するグルコース残基が占める比率の総和を意味する。
構成糖残基組成中、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維を含有する製パン改良材を用いることにより、ソフトでしっとりとし、口溶けのよいベーカリー食品を得ることができる。また、ベーカリー製品のボリュームも好ましく得られる。
尚、良好な食感を得る観点から、構成糖残基組成中の、3つのα結合を有するグルコース残基の比率は10%以上であることが好ましい。尚、上限については、製造上の制限等から、15%であることが好ましい。
構成糖残基組成において、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維を含有する製パン改良材を含有させることにより、良好な食感を有するベーカリー食品が得られる理由については、明らかではないが、以下のとおり推察される。
即ち、従来知られた水溶性食物繊維(例えば難消化性デキストリンやデキストリン)を用いた場合は、この水溶性食物繊維が吸水するものの、生地調製中において、吸水状態を維持しきれずに、生地物性が悪化しやすくなるものと考えられる。
一方、構成糖残基組成において、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維を用いた場合は、該水溶性食物繊維の構造中に分岐を多く有していることにより、生地調製中に吸水状態がデキストリン等に比して維持されるため、ソフトでしっとりとし、口溶け・歯切れの良好なベーカリー食品が得られるものと考えられる。
尚、ベーカリー生地中における酵素分解による低分子化を防ぐ観点から、本発明に用いられる水溶性食物繊維の構成糖残基のうち、1位と6位の水酸基で他の構成糖と結合しているグルコース残基の比率が30%以上のものを選択することが好ましく、40%以上のものを選択することがより好ましい。尚、上限は良好な食感を得る観点から60%であることが好ましい。ここで、「構成糖残基のうち、1位と6位の水酸基で他の構成糖と結合しているグルコース残基」は、他の構成糖と結合する水酸基を1位と6位において2つ有するものであり、1位と6位以外の別の位置に他の構成糖と結合する水酸基を更に有するものは含まない。
また、同じく低分子化を防ぐ観点から、本発明に用いられる水溶性食物繊維を構成する構成糖残基のうち、1位と4位の水酸基で他の構成糖と結合しているグルコース残基の比率が30%以下のものを選択することが好ましく、25%以下のものを選択することがより好ましい。尚、下限は10%であることが良好な食感を得る観点から好ましい。ここで、「構成糖残基のうち、1位と4位の水酸基で他の構成糖と結合しているグルコース残基」は、他の構成糖と結合する水酸基を1位と4位において2つ有するものであり、1位と4位以外の別の位置に他の構成糖と結合する水酸基を更に有するものは含まない。
構成糖残基組成における、3つのα結合を有するグルコース残基や1位と6位の水酸基で結合しているグルコース残基、1位と4位の水酸基で結合しているグルコース残基等の比率については、例えば糖鎖構造の解析を行う手法として一般的に知られている、メチル化分析(例えば「Journal of Biochemistry 第55巻 205ページ 1964年」等参照)などにより測定することが出来る。
メチル化分析により、例えば、糖鎖構造中の非還元末端グルコース残基は2,3,4,6-テトラメチル化物として検出され、1位と2位の水酸基で結合したグルコース残基については3,4,6-トリメチル化物として検出され、1位と3位の水酸基で結合したグルコース残基については2,4,6-トリメチル化物として検出され、1位と4位の水酸基で結合したグルコース残基については2,3,6-トリメチル化物として検出され、1位と6位の水酸基で結合したグルコース残基については2,3,4-トリメチル化物として検出され、1位と3位と6位の水酸基で結合したグルコース残基については2,4-ジメチル化物として検出され、1位と4位と6位の水酸基で結合したグルコース残基については2,3-ジメチル化物として検出される。尚、上記の結合は好ましくはα結合である。
ここで、本発明の製パン改良材中に含有する水溶性食物繊維の重量平均分子量(Mw)が50000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましい。用いる水溶性食物繊維の重量平均分子量が50000超であると、得られるベーカリー食品が良好な歯切れが得られにくい上、ベーカリー生地の物性に影響してしまう場合がある。尚、製パン改良材中に含有する水溶性食物繊維の重量平均分子量の下限は2500であることが生地物性を悪化させることなく、ソフトでしっとりとした食感と歯切れとが両立されたベーカリー食品を得る観点から、好ましい。
上記重量平均分子量の測定は、サイズ排除クロマトグラフィ法等により行われる。
本発明で用いられる、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上であることを特徴とする水溶性食物繊維としては、特に限定されるものではなく、該水溶性食物繊維が含有される製剤であってもよい。上記条件を好ましく満たす、市販の水溶性食物繊維としては、ファイバリクサ(株式会社林原製)等が挙げられる。
本発明の製パン改良材は、上記3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維(以下、単に上記水溶性食物繊維と記載する場合もある)を含有するものである。本発明の製パン改良材は、上記水溶性食物繊維をそのまま単独で使用してもよく、また、各種の食品原料や添加剤と混合して、常法により固形、顆粒状、粉末状、可塑性、ペースト状、流動状、液状等の形状としてもよい。
本発明の製パン改良材中における、上記水溶性食物繊維の含有量は、製パン改良材がとる形態や、製パン改良材のベーカリー生地への添加量等に依存するため、特に限定されず、任意に設定することが可能である。
例えば製パン改良材が固形、顆粒状、あるいは粉末状の形態をとる場合においては、上記水溶性食物繊維を、固形分中、好ましくは85質量%以上含有し、より好ましくは90質量%以上含有し、更に好ましくは95質量%以上含有する。尚、上限は100質量%である。
また、製パン改良材が可塑性、ペースト状、流動状、あるいは液状の形態をとる場合においては、製パン改良材中に上記水溶性食物繊維は0.1〜15質量%含有されるのが好ましく、0.3〜10質量%含有されるのがより好ましく、0.5〜6質量%含有されるのが更に好ましい。
尚、本発明においては、上記水溶性食物繊維をベーカリー生地中に均一に分散させる観点から、本発明の製パン改良材が油脂を含有することが好ましい。本発明の製パン改良材が油脂を含有する場合、その量としては、油脂組成物の形態にもよるが、上記水溶性食物繊維をベーカリー生地中に均一に分散させる観点から、製パン改良材中、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましい。製パン改良材の好ましい上限としては、上記水溶性食物繊維の量を確保して当該水溶性食物繊維による効果を確実に得る点で99.9質量%以下である。
上記油脂としては特に制限されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油、微細藻類油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂に必要に応じてエステル交換、水素添加、異性化水添、分別等の処理のうち、1種又は2種以上の処理を行って得られる加工油脂、脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を選択することができる。
尚、本発明の製パン改良材が油脂を含有する場合、油脂を連続相とする油脂組成物であってもよく、水を連続相とする油脂組成物であってもよい。油脂を連続相とする油脂組成物としては、油中水型乳化物、油中水中油型乳化物等の乳化物のほか、ショートニングタイプが挙げられる。また水を連続相とする油脂組成物としては、水中油型乳化物等が挙げられる。製パン改良材は油脂を連続相とする油脂組成物の形態をとることがよりしっとりとしたベーカリー食品を得る観点から好ましい。
本発明の製パン改良材は、上記以外のその他の成分として、各種の食品原料や添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で任意に含むことができる。
その他の成分としては、例えば、水、乳化剤、酵素、澱粉類、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・脱脂濃縮乳等の乳や乳製品、甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、全卵・卵黄・酵素処理卵黄・卵白・卵蛋白質等の卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記乳化剤としては、レシチン、酵素処理レシチンなどの天然乳化剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の合成乳化剤が挙げられる。本発明では、これらの乳化剤の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
乳化剤は、これを含有する場合好ましくは、製パン改良材中の含有量が10質量以下であり、特に好ましくは8質量%以下である。
上記酵素としては、α−アミラーゼやβ−アミラーゼ、マルトース生成アミラーゼや4糖生成アミラーゼ等のアミラーゼ類、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、ヘミセルラーゼ等を挙げることができ、本発明の製パン改良材ではこれらの酵素から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
酵素のうち好ましいものやその好ましい量については後述する。
次に、本発明の製パン改良材の好ましい製造方法について述べる。
本発明の製パン改良材の製造方法としては上記水溶性食物繊維が含有されるものであれば、特に制限されず、公知の方法を使用することができる。
例えば、本発明の製パン改良材の形態が顆粒状、あるいは粉末状の場合は、粉体混合用混合機を使用し、各原料を混合することによって得る方法や、各原料を含有する水溶液や懸濁液あるいは水中油型乳化物を製造後、スプレードライやフリーズドライ等により粉末化する方法を挙げることができる。
また、本発明の製パン改良材の形態が液状、流動状、あるいはペースト状の場合は、水や食用油脂等に各原料を溶解又は分散し、必要に応じ、更に均質化することによって得ることができる。本発明の製パン改良材が、水を使用した液状の形態の場合を例に挙げると、まず水に、上記水溶性食物繊維を溶解し、必要に応じ更にその他の水溶性の原料を溶解させた水相を用意する。そして、この水相を殺菌することが好ましい。尚、本発明における殺菌には滅菌も含む。
該殺菌は、インジェクション式、インフュージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができる。そして冷却することにより、本発明の製パン改良材が得られる。
また、殺菌する前又は後、若しくは殺菌する前後で、ホモジナイザーにより均質化しても良い。均質化処理を行う場合の均質化圧力は、3MPa〜30MPaとするのが好ましい。
次に、本発明の製パン改良材が油脂組成物の形態をとる場合の好ましい製造方法を説明する。
詳しくは、まず、食用油脂に、必要に応じ油溶性の原料を溶解させた油相を用意する。次に、製造する製パン改良材が水相を含有する場合は、水、あるいは必要に応じ水溶性の原料を溶解させた水相を用意する。
尚、上記水溶性食物繊維は、油相に分散させることも、水相に分散させることもできるが、本発明の製パン改良材が水相を含有する場合には、水相に溶解させるのが好ましい。
そして、この油相を、若しくは、水相と油相とを、45〜75℃で混合し、油中水型、もしくは水中油型に乳化された、予備乳化物を得る。次いでこの予備乳化物を殺菌することが好ましい。尚、本発明における殺菌には滅菌も含む。殺菌方法は、インジェクション式、インフュージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができる。
尚、殺菌する前又は後、若しくは殺菌する前後で、ホモジナイザーにより均質化しても良い。均質化処理を行う場合の均質化圧力は、3MPa〜30MPaとするのが好ましい。
次に、冷却する。尚、本発明の製パン改良材が油脂を連続相とする油脂組成物の形態をとる場合には、好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−1℃/分以上とする。この際、徐冷却よりも、急速冷却の方が好ましい。尚、冷却可塑化する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンピネーター、パーフェクター等の製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
尚、本発明の製パン改良材が、油脂を連続相とする油脂組成物の形態をとる場合、製造する際の何れかの工程で、窒素、空気等を含気させてもよい。
次に、本発明のベーカリー生地について説明する。
本発明のベーカリー生地は、本発明の製パン改良材を含有するものである。
本発明のベーカリー生地に含有される、本発明の製パン改良材の含有量は、ベーカリー生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、構成糖残基組成において3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維が0.01質量部〜2質量部となる量を含有することが好ましく、0.03質量部〜1.2質量部となる量を含有することがより好ましく、0.07〜0.8質量部添加することが更に好ましい。
上記範囲となるように、本発明の製パン改良材を含有させることにより、ソフトでしっとりとし、口溶けや歯切れが良好なベーカリー食品が得られやすい他、ボリュームの大きなベーカリー食品が得られやすい。
尚、ベーカリー生地への製パン改良材の添加のタイミングは、例えば中種法でベーカリー生地を調製する場合、中種製造時に添加してもよく、本捏時に添加しても良いが、好ましくは本捏時に添加する。
本発明のベーカリー生地には、本発明の製パン改良材の他、その他原料として、穀粉類、イースト、酵素、糖類、甘味料、油脂類、卵類、乳製品、水、食塩、澱粉類、調味料、香辛料、着香料、着色料、ココア、チョコレート、ナッツ類、ヨーグルト、チーズ、抹茶、紅茶、コーヒー、豆腐、黄な粉、豆類、野菜類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、果物、ハーブ、肉類、魚介類、酸化剤、還元剤、イーストフード、乳化剤、保存料、日持ち向上剤などを適宜用いることができる。
尚、上記穀粉類としては、小麦粉(薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉)をはじめ、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、これらの中でも、穀粉類中、好ましくは小麦粉を50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%使用する。
本発明のベーカリー生地では、上記のその他原料のうち、酵素、特にアミラーゼを生地中に含有することで、ソフトでしっとりとし、口溶け・歯切れが一層良好なベーカリー食品を得ることができるため好ましい。
以下、ベーカリー生地に含ませることが好ましい酵素について、その種類毎に詳述する。
<アミラーゼ>
アミラーゼは、澱粉を含めた多糖類や糖類が構造中に有するグリコシド結合を加水分解する酵素の総称であり、分解様式の違いにより分類された、エンド型アミラーゼやエキソ型アミラーゼ、又、加水分解により生じる産生物により分類された、グルコアミラーゼやマルトース生成アミラーゼ、4糖生成アミラーゼ等が挙げられる。
本発明のベーカリー生地においては、好ましい食感を得、且つ維持する観点から、α-1,4グルコシド結合を切断して、マルトテトラオースを生成する4糖生成アミラーゼ、若しくは、α-1,4グルコシド結合を切断して、マルトースを生成するマルトース生成アミラーゼの内から1種又は2種含有させることが好ましく、より好ましくは4糖生成アミラーゼとマルトース生成アミラーゼを両方含有させる。
本発明のベーカリー生地においては、4糖生成アミラーゼ及び/又はマルトース生成アミラーゼを含有することにより、ベーカリー生地の水分の経時的な逸失が発生しにくくなり、伴って経時的な老化現象が抑制されやすい。また、これに伴って、ソフトな食感と、歯切れ・口溶けとが両立されたベーカリー製品が得られやすい。
まず、4糖生成アミラーゼについて詳述する。
<4糖生成アミラーゼ>
本発明で用いられる、4糖生成アミラーゼとしては、澱粉を含めた多糖類や糖類中のα-1,4グルコシド結合をマルトテトラオース単位で切断する酵素であれば、特に限定されるものではなく、該酵素が含有される酵素製剤を使用することも出来る。
市販の4糖生成アミラーゼ酵素製剤としては、例えばPOWERFresh 3050、POWERFresh 3150、POWERFresh 4150 (Danisco社)、デナベイクEXTRA(ナガセケムテックス社)などが挙げられる。
尚、本発明で用いられる4糖生成アミラーゼの由来は特に限定されず、動植物、カビ、細菌等から得られたものを用いることが出来る。
また、本発明で用いられる4糖生成アミラーゼの至適温度は、加熱処理に伴って生地中の澱粉がα化していく過程で作用することが好ましいため、30〜90℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましく、最も好ましくは45〜75℃である。
本発明のベーカリー生地に4糖生成アミラーゼを含有させる場合、本発明のベーカリー生地中の穀粉類100gに対して、4糖生成アミラーゼは8〜195単位含有させることが好ましく、16〜130単位含有させることがより好ましく、40〜100単位含有させることが最も好ましい。
本発明のベーカリー生地中の4糖生成アミラーゼの含量を上記範囲とすることで、老化現象の抑制効果を十分に得ることが容易となり、最終的に得られるベーカリー製品において、過度にもっちりとしたり、べとついた食感となることを防止できる。
尚、4糖生成アミラーゼの酵素活性は、例えば次のように測定することが出来る。本発明では、4糖生成アミラーゼの酵素活性は、下記条件で測定するとき、1分間に1μmolのブドウ糖に相当する還元力を生成する酵素量を1単位とする。
(4糖生成アミラーゼの酵素活性の測定方法)
40±0.5 ℃に加温した基質溶液(*1)5 mLに試料溶液0.2 mLを正確に加えて混和し、40±0.5 ℃で正確に20分間作用させる。
次に反応液1 mLを量り、あらかじめ用意したソモギー銅試液2 mLに直ちに加えて反応を停止させた後、試験管にガラス玉をのせ、沸騰水浴中で10分間加熱する。
この液を冷却した後、ネルソン試液2 mLを加えて、よく混和し、30分間放置した後、水5 mLを正確に加え、波長520 nmにおける吸光度ATを測定する。
別途、40±0.5 ℃に加温した基質溶液 5 mLに試料溶液0.2 mLを正確に加えて混和し、直ちに1 mLを量り、あらかじめ用意したソモギー銅試液2 mLに加えて反応を停止して、吸光度AT測定時と同様に操作し、吸光度A0を測定する。
また、ブドウ糖標準溶液及び水それぞれについて、1 mLを正確に量り、あらかじめ用意したソモギー銅試液2 mLに加え、以下同様に操作し吸光度AS及びABを測定し、次式により酵素活性を求める。
(酵素活性)={(AT−A0)× 300× 5.2 × n}/{(AS−AB)× 180.16 × 0.2 × 20}
ただし、各代数、及び数値は以下を意味する。
AT :反応液の吸光度
A0 :反応停止液の吸光度
AS :ブドウ糖標準溶液の吸光度
AB :水の吸光度
300 :ブドウ糖標準溶液の濃度(μg/mL)
180.16 :ブドウ糖の分子量
5.2 :反応液の総液量(mL)
0.2 :試料溶液の量(mL)
20 :反応時間(分)
n :試料溶液の希釈倍数
*1:あらかじめ乾燥させた可溶性デンプン(酵素試験用)を5.000g正確に量り、300 mLの水に懸濁し、デンプンが沈殿しないように時々振り混ぜながら加熱する。5分間沸騰させた後十分冷却する。これにpH 7.0の200 mmol/Lリン酸緩衝液50 mL及び水を加えて正確に500 mLとしたものを、4糖生成アミラーゼの酵素活性を測定する際の基質溶液とする。
<マルトース生成アミラーゼ>
本発明で用いることの出来るマルトース生成型アミラーゼとしては、α-1,4グルコシド結合を切断してマルトースを生成する酵素であれば特に限定されるものではなく、市販のマルトース生成型α−アミラーゼやβ−アミラーゼ等から選ばれた1種又は2種以上を選択することができるが、好ましくはマルトース生成型α−アミラーゼを使用する。
マルトース生成型α−アミラーゼ製剤としては、例えばコクラーゼ(登録商標)(三菱化学フーズ社製)、Novamyl(登録商標)10000BG、Novamyl(登録商標)L、Novamyl(登録商標)3D、マルトゲナーゼ(登録商標)(以上、ノボザイムズジャパン社製)、グリンドアミル(登録商標)MAX−LIFE100(ダニスコジャパン社製)等が挙げられる。
β−アミラーゼ製剤としては、例えばオプチマルトBBA(ジェネンコア協和社製)、β−アミラーゼ#1500、β−アミラーゼL、β−アミラーゼ#1500S(以上、ナガセケムテックス社製)、ハイマルトシン(登録商標)G、ハイマルトシン(登録商標)GL(以上、エイチビィアイ社製)、ユニアーゼ(登録商標)L(ヤクルト薬品工業社製)、GODO−GBA(合同清酒社製)等が挙げられる。
本発明においては、上記マルトース生成型アミラーゼの中でも、酵素の至適温度が60℃以上である高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼが好ましい。高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの至適温度は、好ましくは40〜95℃、より好ましくは50〜95℃、最も好ましくは60〜90℃である。
上記マルトース生成型アミラーゼの酵素活性は、例えば至適条件(至適温度、至適pH)下において、マルトトリオースを基質に酵素を作用させ、1分間に1マイクロモルのマルトースを生成する酵素量を指標とすることができる。本発明においてマルトース生成型アミラーゼの酵素活性は、該酵素量を1単位とする。マルトースの測定は、「還元糖の定量法第2版」(福井作蔵著、学会出版センター)を参照して行うことができる。
本発明のベーカリー生地にマルトース生成アミラーゼを含有させる場合、本発明のベーカリー生地中の穀粉類100gに対して、2〜35単位となる量を含有させることが好ましく、5〜33単位となる量を含有させることがより好ましく、10〜28単位となる量を含有させることが最も好ましい。
本発明のベーカリー生地中のマルトース生成型アミラーゼの含有量が上記範囲であると、生成されるマルトース量が一定量以上であることによって、得られるベーカリー製品が、しっとりとソフトな食感になりやすく、くちゃついた食感となってしまうことを一層効果的に防止できる上、ベーカリー生地が一層べとつきにくくなり、扱いやすいものとなるため好ましい。
本発明のベーカリー生地では上記4糖生成アミラーゼとマルトース生成アミラーゼを共に含有することにより、ベーカリー製品の経時的な老化現象を一層抑制出来る上、ソフトさと、歯切れ・口溶けとを両立した良好な食感が一層維持されるため好ましい。
本発明のベーカリー生地において、4糖生成アミラーゼとマルトース生成アミラーゼを併用する場合は、製パン改良材中、4糖生成アミラーゼ1単位に対して、マルトース生成アミラーゼが0.005〜4.5単位の範囲で含有されることが好ましく、0.02〜2.2単位の範囲で含有されることがより好ましく、0.05〜0.7単位の範囲で含有されることが最も好ましい。
尚、本発明のベーカリー生地は、上記の4糖生成アミラーゼや、マルトース生成アミラーゼの他にも、製パン改良効果を有する酵素を含有させることが可能であり、例えば4糖生成アミラーゼやマルトース生成アミラーゼ以外のアミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等が挙げられるが、本発明の製パン改良材の製パン改良効果を損ねずに、ベーカリー食品の食感を一層向上することが出来る点から、ヘミセルラーゼ、及び/又はリパーゼを選択して、含有させることが好ましい。
尚、勿論、各種酵素製剤を用いることができ、酵素製剤を用いる場合には、製剤中の酵素含量を勘案して、本発明のベーカリー生地中で下記範囲となるように添加量を調整する。
本発明のベーカリー生地にヘミセルラーゼを含有させる場合の、その好ましい含有量は、アラビノキシランを基質とした場合の酵素活性が、好ましくは本発明のベーカリー生地の穀粉類100gに対して、3〜35単位、より好ましくは5〜33単位、更に好ましくは6〜32単位となる量である。
ヘミセルラーゼの含有量が上記範囲内であるとベーカリー生地が一層べたつきにくくなり、また、口溶けや歯切れが一層良好なベーカリー食品が得られやすいため好ましい。
尚、本発明のベーカリー生地に用いられるヘミセルラーゼのアラビノキシランを基質とした場合の酵素活性は、例えば特開2017-108690号公報、特開2017-189131号公報等に記載されている手法で測定することができる。
また、本発明のベーカリー生地にリパーゼを含有させる場合の、その好ましい含有量は、使用するリパーゼ製剤中に含有される、例えば賦形剤等の酵素以外の成分の含有量によっても異なるが、本発明のベーカリー生地の穀粉類に対して、質量基準で0.0015〜2.5ppmであることが好ましく、より好ましくは0.0045〜2.0ppm、最も好ましくは0.0075〜1.5ppmである。
本発明品中のリパーゼの含有量が上記範囲内であると、プロテアーゼ活性等の各種副活性の影響を防止しやすく、また、ソフト性やしっとりとした食感が維持されるベーカリー食品が得られ易い。
本発明のベーカリー生地に、酵素を含有させる方法としては、ベーカリー生地に対して直接添加してもよく、上記製パン改良材の原料の一として含有させて添加してもよく、また水溶液や油脂組成物の形態で添加してもよい。尚、ベーカリー生地へは、構成糖残基組成において3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維と、アミラーゼとが、同じタイミングで生地に含有されることが好ましく、例えば中種法でベーカリー生地を製造する場合に、本捏工程時に上記水溶性食物繊維とアミラーゼとを事前に均一に混合したものをベーカリー生地中に含有させてもよく、上記水溶性食物繊維を添加した後にアミラーゼを添加しても、アミラーゼを添加した後に上記水溶性食物繊維を添加してもよいが、事前に均一に混合したものを用いることが好ましい。
製パン改良材が油脂組成物の形態で水溶性食物繊維とアミラーゼ等の酵素とを含有する場合、酵素の油脂組成物への添加方法に制限はなく、例えば油脂組成物が水相を有する場合、油相に添加してもよく、水相に添加してもよい。
本発明の製パン改良材が原料の一として、4糖生成アミラーゼを含有する場合は、本発明の製パン改良材中に含まれる上記水溶性食物繊維1gに対して80〜1950単位となる量を含有することが好ましく、160〜1300単位となる量を含有することがより好ましく、400〜1000単位となる量を含有することが最も好ましい。
本発明の製パン改良材が原料の一として、マルトース生成アミラーゼを含有する場合は、本発明の製パン改良材中に含まれる上記水溶性食物繊維1gに対して、20〜350単位となる量を含有することが好ましく、50〜330単位となる量を含有することがより好ましく、100〜280単位となる量を含有することが最も好ましい。
本発明の製パン改良材において、4糖生成アミラーゼとマルトース生成アミラーゼとを併用する場合は、製パン改良材中、4糖生成アミラーゼ1単位に対して、マルトース生成アミラーゼが0.005〜4.5単位の範囲で含有されることが好ましく、0.02〜2.2単位の範囲で含有されることがより好ましく、0.05〜0.7単位の範囲で含有されることが最も好ましい。
尚、本発明の製パン改良材が原料の一として、ヘミセルラーゼを含有する場合には、本発明の製パン改良材中に含まれる上記水溶性食物繊維1gに対して、30〜350単位となる量を含有することが好ましく、50〜330単位となる量を含有することが、更に好ましくは60〜320単位となる量である。
尚、本発明の製パン改良材が原料の一として、リパーゼを含有する場合の好ましい含有量は、使用するリパーゼ製剤中に含有される、例えば賦形剤等の酵素以外の成分の含有量によっても異なるが、本発明の製パン改良材中に、質量基準で0.03〜50ppmとなる量含有することが好ましく、0.09〜40ppmとなる量を含有することがより好ましく、0.15〜30ppmとなる量を含有することが最も好ましい。
となる量を含有することが最も好ましい。
また、ベーカリー生地への酵素を含有させるタイミングは、いずれの含有方法であっても、例えば中種法でベーカリー生地を調製する場合において、中種製造時に添加してもよく、本捏時に添加しても良いが、好ましくは本捏時に添加する。
尚、本発明のベーカリー生地は、速成法、ストレート法、中種法、液種法、サワー種法、酒種法、ホップ種法、中麺法、チョリーウッド法、連続製パン法、冷蔵生地法、冷凍生地法等の製パン法を適宜選択して製造することができ、製パン方法として知られた、あらゆる製パン方法を採用することができ、通常のベーカリー生地を調製する際と同様に、フロアータイム、分割、ベンチタイム、成形、ホイロをとることが出来る。尚、得られた本発明のベーカリー生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
また、本発明のベーカリー生地の種類は特に問われず、食パン生地や菓子パン生地、バターロール生地、バラエティブレッド生地、フランスパン生地、デニッシュ生地、ペストリー生地等のパン生地類や、パイ生地、シュー生地、ドーナツ生地、ケーキ生地、クッキー生地、ハードビスケット生地、ワッフル生地、スコーン生地等の菓子生地類、麺類等の、ベーカリー生地を挙げることが出来るが、好ましくはパン生地類に含有させることで、本発明の食感改良効果や生地物性改良効果をより顕著に得られる。
次に、本発明のベーカリー食品について述べる。
本発明のベーカリー食品は、上記ベーカリー生地を加熱処理することにより、得られる。
該加熱処理としては特に限定されず、例えば、ベーカリー生地を焼成したり、フライしたり、蒸したり、茹でたり、電子レンジ等でマイクロ波を照射したりすることが挙げられる。また、得られた本発明のベーカリー食品を、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジやトースター等で再加熱することも可能である。
次に、本発明の製パン改良方法について述べる。
本発明の製パン改良方法は、ベーカリー生地の製造時に、上述した、構成糖残基組成において3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維を添加することを特徴とするものである。
尚、ベーカリー生地に含有される穀粉類100質量部に対して、該水溶性食物繊維を0.01〜2質量部添加することが好ましく、0.03〜1.2質量部添加することがより好ましく、0.07〜0.8質量部添加することが更に好ましい。該方法により、べたつきが抑制され、作業が行いやすく、扱いやすいベーカリー生地が得られる。また、ソフトでしっとりとした食感と、歯切れとが両立されたベーカリー食品を得ることができる。
本発明の製パン改良方法が適用されるベーカリー生地は、例えば上記の生地の中から選択してもよく、特に限定されるものではない。尚、ベーカリー生地への添加の方法は上述の通りである。
本発明について、実施例を基に更に詳述する。
尚、以下では、ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂95質量部と、パーム油5質量部を、それぞれ60℃に加熱し、溶解・混合したものを、単に「油脂配合物」と記載する場合がある。また、油脂配合物を常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化して得られたショートニングを、単に「ショートニング」と記載する場合がある。
(実施例1−1)
水溶性食物繊維である「ファイバリクサ」(株式会社林原、構成糖残基組成中、1位と4位の水酸基で結合しているグルコース残基の比率が19%、1位と6位の水酸基で結合しているグルコース残基の比率が49%、3つのα結合を有するグルコース残基の比率の和が12%、重量平均分子量が5000)を、そのまま粉末状の本発明の製パン改良材(1)−1とした。
(実施例1−2)
油脂配合物83.3質量部に大豆レシチン0.20質量部を溶解させ、これを油相とした。他方、水14.5質量部に、上記の「ファイバリクサ」を2質量部だけ添加・混合し、これを水相とした。
この油相と水相を混合乳化して油中水型の予備乳化物とし、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化し、油中水型の可塑性油脂組成物である本発明の製パン改良材(1)−2を得た。
(実施例1−3)
溶解した油脂配合物98質量部に、上記の「ファイバリクサ」を2質量部だけ分散させ、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化し、可塑性油脂組成物である本発明の製パン改良材(1)−3を得た。
(実施例1−4)
乳脂:コーン油:パーム核油:ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂=12:42:16:30の質量比で混合した油脂混合物45質量部を60℃に昇温し、撹拌しながら、ショ糖脂肪酸エステル0.3質量部、グリセリン脂肪酸エステル0.2質量部、レシチン0.2質量部、ソルビタン脂肪酸エステル0.1質量部を添加、溶解した油相と、水47.1質量部を60℃に昇温し、撹拌しながら、脱脂粉乳5質量部、上記の「ファイバリクサ」2質量部、メタリン酸ナトリウム0.1質量部を添加、溶解させた水相を用意した。
該油相と水相を、混合乳化して水中油型の予備乳化物を調製した。予備乳化後5MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で142℃、4秒間殺菌し、再度10MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明の、水中油型の油脂組成物である、本発明の製パン改良材(1)−4を得た。
(実施例1−5)
油脂配合物83.3質量部に大豆レシチン0.20質量部を溶解させ、これを油相とした。他方、水14.5質量部に、上記の「ファイバリクサ」を2質量部だけ添加し、更に4糖生成アミラーゼ(ナガセケムテックス社製、「デナベイクEXTRA」)を「ファイバリクサ」1gに対して650単位となる量を添加して、混合し、これを水相とした。この油相と水相を混合乳化して油中水型の予備乳化物とし、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化し、油中水型の可塑性油脂組成物である本発明の製パン改良材(1)-5を得た。
尚、「デナベイクEXTRA」の至適温度は45〜75℃の範囲内であった。
(実施例1−6)
油脂配合物83.3質量部に大豆レシチン0.20質量部を溶解させ、これを油相とした。他方、水14.5質量部に、上記の「ファイバリクサ」を2質量部だけ添加した。更に、「ファイバリクサ」1gに対して4糖生成アミラーゼ(ナガセケムテックス社製、「デナベイクEXTRA」)を650単位となる量と、マルトース生成アミラーゼ(ノボザイムズ社製、「ノバミル10000BG」)を200単位となる量を添加して、混合し、これを水相とした。この油相と水相を混合乳化して油中水型の予備乳化物とし、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化し、油中水型の可塑性油脂組成物である本発明の製パン改良材(1)−6を得た。
「ノバミル10000BG」の至適温度は65〜85℃の範囲内であった。
(実施例1−7)
油脂配合物83.3質量部に大豆レシチン0.20質量部を溶解させ、これを油相とした。他方、水14.5質量部に、上記の「ファイバリクサ」を2質量部だけ添加し、更に「ファイバリクサ」1gに対して4糖生成アミラーゼ(ナガセケムテックス社製、「デナベイクEXTRA」)を650単位となる量と、マルトース生成アミラーゼ(ノボザイムズ社製、「ノバミル10000BG」)を200単位となる量と、ヘミセルラーゼ(DSM社製「ベイクザイムBXP5001BG」)を180単位となる量を添加して、混合し、これを水相とした。この油相と水相を混合乳化して油中水型の予備乳化物とし、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化し、油中水型の可塑性油脂組成物である本発明の製パン改良材(1)−7を得た。
(実施例1−8)
油脂配合物83.3質量部に大豆レシチン0.20質量部を溶解させ、これを油相とした。他方、水14.5質量部に、上記の「ファイバリクサ」を2質量部だけ添加し、更に「ファイバリクサ」1gに対して4糖生成アミラーゼ(ナガセケムテックス社製、「デナベイクEXTRA」)を650単位となる量と、マルトース生成アミラーゼ(ノボザイムズ社製、「ノバミル10000BG」)を200単位となる量と、ヘミセルラーゼ(DSM社製「ベイクザイムBXP5001BG」)を180単位となる量と、リパーゼ(ノボザイムズ社製「リポパン50BG」)を製パン改良材中、質量基準で25ppmとなるように添加して、混合し、これを水相とした。この油相と水相を混合乳化して油中水型の予備乳化物とし、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化し、油中水型の可塑性油脂組成物である本発明の製パン改良材(1)−8を得た。
(比較例1−1)
水溶性食物繊維である「ファイバーソル2」(松谷化学工業株式会社製、1位と4位の水酸基で結合しているグルコース残基の比率が50%以上、1位と6位の水酸基で結合しているグルコース残基の比率が30%未満、3つのα結合を有するグルコース残基の比率の和が1%未満、重量平均分子量が2000)を、そのまま粉末状の製パン改良材(2)とした。
(比較例1−2)
水溶性食物繊維である「デキストラン10」(名糖産業株式会社製、1位と4位の水酸基で結合しているグルコース残基の比率が10%未満、1位と6位の水酸基で結合しているグルコース残基の比率が90%超、3つのα結合を有するグルコース残基の比率の和が1%未満、重量平均分子量が100000)を、そのまま粉末状の製パン改良材(3)とした。
<検討1:実施例2−1並びに比較例2−1及び2−2>
水溶性食物繊維の種類の違いによる、得られるベーカリー生地のべたつきや、ベーカリー食品の食感の差異を、表1の配合でプルマン型食パンA〜Cを製造して確認した。その結果を表2に示す。
(プルマン型食パンの製造方法)
〔中種工程〕
強力粉、生イースト、イーストフード、及び水をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。
この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。
〔本捏工程〕
中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉、上白糖、脱脂粉乳、食塩、水、製パン改良材(1)−1、製パン改良材(2)、製パン改良材(3)のいずれか1つを添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。
ここで、ショートニングを投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン生地A〜Cを得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。
ここで、フロアータイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行なった。次いで、ベンチタイムを20分とった後、モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマン型食パンA〜Cを得た。
尚、製パン改良材を含まない以外は実施例1−1と同様にして製造した食パン生地、及び該生地を焼成したものをコントロール(以下、Cont.と記載する場合がある。比較例2−3)とした。
得られた食パン生地A〜C、コントロールの生地作業性については、上記作業中に下記評価基準に則って評価した。また、得られたプルマン型食パンA〜C、コントロールについては、焼成した後3日間常温で保存したものを、以下の評価基準で評価した。
[評価基準]
下記評価基準に則って、5名の専門パネラーによって採点した。尚、集計した結果が25〜23点である場合は◎+++、22〜20点である場合は◎++、19〜17点である場合は◎+、16〜14点である場合は◎、13〜11点である場合は○、10〜8点である場合は△、7点以下の場合は×として評価表中に表した。評価に先立ち、事前にパネラー間で各点数に対応する官能の程度をすり合わせた。
●生地作業性
5点:べとつきもなく伸展性もよく、極めて良好な作業性であった。
4点:良好な作業性であった。
3点:わずかにべとつきが感じられるか又はわずかに伸展性が悪く感じられるが、良好な作業性であった。
2点:ややべとつきが感じられるか又はやや伸展性が悪く、作業性が若干劣るものであった。
1点:べとつきがあるか又は伸展性が悪く、作業性が劣るものであった。
●食感(ソフト性)
5点:極めて良好
4点:良好
3点:やや良好
2点:やや悪い
1点:悪い
●食感(しっとり感)
5点:極めて良好
4点:良好
3点:やや良好
2点:ややぱさついた感じである
1点:乾いた食感である
●食感(口溶け・歯切れ)
5点:歯切れが極めて良好
4点:歯切れが良好
3点:やや重たい食感であるが、歯切れが良好
2点:くちゃつく、又は、ひきが感じられる。
1点:くちゃつきが激しい、又は、ひきが強い。
Figure 2019165646
Figure 2019165646
表2の通り、本発明の製パン改良材(1)−1を含有するプルマン型食パンA(実施例2−1)ではコントロールと比較して食感の改良がなされており、その他の水溶性食物繊維を含有するプルマン型食パンB及びC(比較例2−1及び2−2)の食感の評点と比較しても、その効果は顕著に得られていた。生地作業性についても、べたつきのない、良好な作業性を有していた。
<検討2:実施例2−2〜2−6>
構成糖残基組成において3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維の生地中への好ましい添加量を、表3の配合にてプルマン型食パンD〜Hを製造して確認した。
尚、プルマン型食パンD〜Hは表3の配合とした以外は、検討1と同様に製造され、検討1と同様に評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2019165646
Figure 2019165646
表4の通り、ソフト性、しっとり感については、ベーカリー生地中の穀粉類に対する、本発明の製パン改良材(1)−1の添加量の増加と共に改良される傾向にあった。一方で、ベーカリー生地に一定量以上製パン改良材(1)−1を入れると、しっとり感が強まるものの口溶けや歯切れが重たくなる傾向を確認した。
<検討3:実施例3−1〜3−4>
構成糖残基組成において3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維と、アミラーゼとの併用効果について、プルマン型食パンEの配合をベースに、表5の配合でプルマン型食パンI〜Lを製造して確認した。プルマン型食パンI〜Lは表5の配合を採用した以外は検討1と同様に製造した。尚、アミラーゼの生地への添加手順は次のようにした。アミラーゼは粉体の状態のものを用いた。表5記載の単位数となる量のアミラーゼを3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維(製パン改良材(1)−1)と前もって粉体の状態で混合した。得られた混合物を、本捏工程で強力粉を加えるタイミングでベーカリー生地に添加・混合した。得られたプルマン型食パンは検討1と同様に評価を行った。なお、表5記載の酵素の単位数は、ベーカリー生地中の穀粉100gに対する量である。
尚、本発明の製パン改良材を含まない以外は実施例3−2と同様とすることにより、アミラーゼを含有する生地配合で製造されたプルマン型食パンを、コントロール(2)(比較例2−4)として評価した。
これらの評価結果を表6に示した。
Figure 2019165646
Figure 2019165646
表6の通り、コントロール(2)(比較例2−4)とプルマン型食パン生地J(実施例3−2)とを比較すると、生地作業性に差異があり、本発明の製パン改良材をベーカリー生地に含有させることにより、酵素を生地中に含有させた場合であっても、生地作業性は良好なものとなることが示唆された。また酵素の添加量を一定範囲で増加させると、増加に伴って食感が改良されていた。
<検討4:実施例3−5〜3−7>
プルマン型食パンJの配合をベースに、本発明の製パン改良材を含有する生地における、4糖生成アミラーゼとマルトース生成アミラーゼの併用の効果について、表7の配合でプルマン型食パンM〜Oを製造して確認した。プルマン型食パンM〜Oは表7の配合を採用した以外、検討1と同様に製造した。尚、2種のアミラーゼは次のようにベーカリー生地に添加した。2種のアミラーゼは共に粉体の状態のものを用い、表7記載の単位数となる量を、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維(製パン改良材(1)−1)と前もって粉体の状態で混合した。この混合物を、本捏工程で強力粉を加えるタイミングでベーカリー生地に添加・混合した。得られたプルマン型食パンは検討1と同様に評価を行った。なお、表7記載の酵素の単位数は、ベーカリー生地中の穀粉100gに対する量である。これらの評価結果を表8に示した。
Figure 2019165646
Figure 2019165646
表8の通り、マルトース生成アミラーゼを併用することで、一層好ましい食感が得られる結果となったが、添加量によっては、生地作業性や食感を低下させる傾向を確認した。
<検討5:実施例3−8〜3−16>
プルマン型食パンJの配合をベースに、本発明の製パン改良材を含有する生地における、4糖生成アミラーゼとマルトース生成アミラーゼ、及びその他酵素の併用の効果について、表9の配合でプルマン型食パンP〜Xを製造して確認した。プルマン型食パンP〜Xは表9の配合を採用する以外は検討1と同様に製造した。尚、酵素のベーカリー生地への添加手順は次のようにした。酵素は全て粉体の状態のものを用い、表9記載の単位数(リパーゼについてはベーカリー生地中の穀粉に対する質量基準の割合)となる量を、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維と前もって粉体の状態で混合した。この混合物を、本捏工程で強力粉を加えるタイミングでベーカリー生地に添加・混合した。得られたプルマン型食パンは検討1と同様に評価を行った。これらの評価結果を表10に示した。なお、表9記載の酵素の単位数は、ベーカリー生地中の穀粉100gに対する量である。
Figure 2019165646
Figure 2019165646
<検討6:実施例4−1及び4−2>
油相を連続相とする油脂組成物の形態をとる、本発明の製パン改良材(1)−2、及び(1)−3を用いて、表11の配合でプルマン型食パンを製造し、形態の違いによる効果の差異について検討した。尚、プルマン型食パンY、Zは、製パン改良材(1)−2と(1)−3を、ベーカリー生地E中の穀粉類に対する上記水溶性食物繊維量と揃うように添加した他は、検討1と同様に製造し、評価を行った。その結果を表12に示す。
Figure 2019165646
Figure 2019165646
表12の通り、本検討より、本発明の製パン改良材は、油脂を連続相とする油脂組成物の形態をとっていても、生地中に上記水溶性食物繊維を直接添加した場合(実施例2−3)と同等程度の効果が得られるという知見が得られた。しっとりとした食感については、実施例4−1及び4−2のように油脂を連続相とする油脂組成物の形態をとることが実施例2−3に比して好ましい結果となったが、これは、油脂組成物中に含まれた状態で上記水溶性食物繊維をベーカリー生地に添加することにより、生地中に直接添加する場合と比較して、上記水溶性食物繊維がいっそう水分を保持しやすい状態となるためであると推察している。
<検討7:実施例4−3>
水中油型乳化物の形態をとる、本発明の製パン改良材(1)−4を用いて、表13の配合でプルマン型食パンを製造し、形態の違いによる効果の差異について検討した。尚、プルマン型食パンAAは、ベーカリー生地E中の穀粉類に対する上記水溶性食物繊維量と揃うように添加した他は、検討1と同様に製造し、評価を行った。その結果を表14に示す。
Figure 2019165646
Figure 2019165646
<検討8:実施例4−4〜4−7>
本発明の製パン改良材(1)−5〜8を用いて、表15の配合でプルマン型食パンAB〜AEを製造し、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維と酵素を含有し、油脂組成物の形態をとる製パン改良材の効果を検討した。尚、プルマン型食パンAB〜AEは、表15の配合を採用した以外は検討1と同様に製造し、評価を行った。その結果を表16に示す。
Figure 2019165646
Figure 2019165646

Claims (10)

  1. 構成糖残基組成において、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維を含有する、製パン改良材。
  2. 更に、上記水溶性食物繊維の構成糖残基組成において、1位と6位の水酸基で結合しているグルコース残基の比率が30%以上である、請求項1記載の製パン改良材。
  3. 油脂組成物である、請求項1又は2に記載の製パン改良材。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製パン改良材を含有するベーカリー生地。
  5. アミラーゼを含有する、請求項4に記載のベーカリー生地。
  6. 構成糖残基組成において3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維と、アミラーゼを含有する、製パン改良材。
  7. 油脂組成物である、請求項6記載の製パン改良材。
  8. 請求項6又は7に記載の製パン改良材を含有する、ベーカリー生地。
  9. 請求項5又は10に記載のベーカリー生地の加熱処理品であるベーカリー食品。
  10. ベーカリー生地に含有される穀粉類に対して、構成糖残基組成において、3つのα結合を有するグルコース残基の比率が8%以上である水溶性食物繊維を添加する、製パン改良方法。
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