JP2022092687A - パン生地、パン、及び冷凍パン - Google Patents

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Abstract

【課題】乳化剤を実質的に使用することなく、電子レンジで加熱してから冷めた後でも、引きとパサつきが抑制された食感を有するパンを得るためのパン生地、前記パン、及び、冷凍パンを提供すること。【解決手段】パン生地は、穀粉100重量部に対して、乳化剤の含有量が0~0.05重量部、及び、卵の含有量が0~10重量部であり、穀粉100重量部に対して、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉1~7重量部、パン酵母0.1~5重量部(乾燥重量)、酸化剤0.0002~0.009重量部、及び水80~120重量部を含有し、穀粉100gに対して、至適温度が75~85℃の耐熱性プロテアーゼ50~1300Uを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、パン生地、パン、及び冷凍パンに関する。
近年、消費者の焼き立てパンへのニーズの高まりから、常温のパンや冷凍したパンを再加熱して喫食することが行なわれている。特に、電子レンジによる加熱は、短時間で解凍及び加熱が可能であり、利便性が良い。しかし、レンジ加熱したパンは、加熱した直後は焼き立てパンのように熱く軟らかいものの、加熱後時間が経過して品温が低下するに伴い急速に硬化し、引きの強い食感になるという問題があり、消費者の焼き立て志向を満足するものではなかった。この問題は、特に、冷凍パンの電子レンジによる解凍及び加熱の際に顕著である。
このような電子レンジによりパンを加熱した際に問題となり得る品質の低下に対して、従来より検討がなされている。その一例として、パンに乳化剤を配合する方法が知られている。しかしながら、乳化剤はその種類によっては特有の不快な風味を呈するため、パンの風味に悪影響を与えることがあり、添加できる量に限りがある。また、乳化剤の添加によってコストが増加したり、消費者が乳化剤の使用を敬遠する傾向もある。
特許文献1では、電子レンジ加熱によって短時間で良好な食感を持つことができるパンの製造方法として、パン生地に、粉類の重量の90~140%の水と、18~30%の卵を配合することが開示されている。
特開2016-49061号公報
特許文献1に記載された製造方法で得られたパンは、電子レンジ加熱直後の食感は良いものの、加熱後時間が経過してパンが冷めると、パサつきと引きが感じられ、その点で改善が求められている。尚、「引き」とは、パンを噛んだ時に引っ張られて、噛み切りにくい食感のことをいう。
本発明の目的は、乳化剤を実質的に使用することなく、電子レンジで加熱してから冷めた後でも、引きとパサつきが抑制された食感を有するパンを得るためのパン生地、前記パン、及び、冷凍パンを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、パン生地における乳化剤と卵の含有量をそれぞれ特定値以下に限定し、通常のパン生地よりも添加水を増やして特定範囲とし、特定の物性を有する加工澱粉、パン酵母、酸化剤及び耐熱性プロテアーゼをそれぞれ特定量使用することで、乳化剤を実質的に使用することなく、電子レンジで加熱してから冷めた後でも、引きとパサつきが抑制された食感を有するパンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、穀粉を含むパン生地であって、前記穀粉100重量部に対して、乳化剤の含有量が0~0.05重量部、及び、卵の含有量が0~10重量部であり、前記穀粉100重量部に対して、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉1~7重量部、パン酵母0.1~5重量部(乾燥重量)、酸化剤0.0002~0.009重量部、及び水80~120重量部を含有し、前記穀粉100gに対して、至適温度が75~85℃の耐熱性プロテアーゼ50~1300Uを含有する、パン生地に関する。
好ましくは、前記加工澱粉が、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である。
好ましくは、前記パン生地は、前記穀粉100gに対して、エンド型アミラーゼ5~300Uを更に含有する。
好ましくは、前記パン生地は、前記穀粉100重量部に対して、還元剤0.0002~0.008重量部を更に含有する。
本発明の第二は、前記パン生地が加熱調理されたパン、又は、当該パンが冷凍された冷凍パンに関する。
本発明の第三は、前記パン生地の成形及び発酵を行った後、加熱調理する工程を含む、パンの製造方法に関する。
本発明の第四は、前記製造方法によってパンを製造した後、該パンの温度が-10℃以下になるまで冷凍する工程を含む、冷凍パンの製造方法に関する。
本発明に従えば、乳化剤を実質的に使用することなく、電子レンジで加熱してから冷めた後でも、引きとパサつきが抑制された食感を有するパンを得るためのパン生地、前記パン、及び、冷凍パンを提供することができる。本発明の好適な実施形態によると、冷凍したパンを電子レンジで解凍及び加熱してから冷めた後でも、引きとパサつきが抑制された食感を有するパンを得ることができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態におけるパン生地とは、少なくとも、穀粉、所定の加工澱粉、パン酵母、酸化剤、水、及び、耐熱性プロテアーゼ、を含有し、さらに、必要に応じて他の原料を適宜含有し、これら原料を混捏して得られたものである。該パン生地は、分割、成形、及び発酵を行った後、加熱調理することによりパンを得ることができる。前記パンは、加熱調理後に、冷凍されたものであってもよい。
前記パンは、喫食する前に、電子レンジによって加熱することができる。前記パンが冷凍パンである場合、当該冷凍パンは、電子レンジによって解凍及び加熱することができる。本実施形態に係るパン生地を用いると、電子レンジによって加熱してから冷めた後でも、引きとパサつきが抑制された食感を有するパンを得ることができる。
前記電子レンジによる加熱とは、マイクロ波を食品に照射することで、食品に含まれる水分子を振動させ、その摩擦熱で食品の表面と内側をほぼ同時に加熱するものをいう。
前記穀粉は、穀物を挽いて粉末状にしたものであり、パンの製造に通常用いられるものであれば、その由来や精製度合いは特に制限なく用いることができる。穀粉の由来としては、小麦、大麦、ライ麦、ソバ、コメ、とうもろこし、大豆等が例示できる。パンの風味や食感、機械による大量生産性の観点から、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉が好ましく、小麦粉がより好ましい。特に、該穀粉全体中、小麦粉を70重量%以上配合することが好ましい。小麦粉としては、強力粉、準強力粉、超強力粉、中力粉、薄力粉などを用いることができる。なお、精製度合いに関しては、精製度合いの高い通常の小麦粉等を用いても良いし、グラハム粉や全粒粉等の精製度合いの低いものを用いても良い。
前記パン生地は、乳化剤を含有してもよいが、その含有量は少ないほど好ましい。前記乳化剤の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0~0.05重量部が好ましく、0~0.01重量部がより好ましく、添加しないことが更に好ましい。前記含有量が0.05重量部より多いと、乳化剤に由来する異味が感じられる場合がある。前記乳化剤としては、合成乳化剤と、合成乳化剤でない乳化剤がある。合成乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮合リシノレン脂肪酸エステル等が挙げられる。また、合成乳化剤でない乳化剤としては、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、卵黄油等が挙げられる。乳化剤を使用する場合、最近の消費者の嗜好傾向から、合成乳化剤でない乳化剤を使用することが好ましい。
前記パン生地は、ブリオッシュなどのパンを作製する際には、風味の観点から、必要に応じて卵を含有してもよい。卵の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0~10重量部が好ましく、0~5重量部がより好ましい。前記含有量が10重量部より多いと、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、引きやパサつきが感じられやすくなる場合がある。
前記パン生地は加工澱粉を含有する。加工澱粉とは、穀物由来の天然澱粉に物理的、化学的、又は酵素的処理を加えることによって、天然澱粉の特性を改良した澱粉の総称である。本実施形態では、加工澱粉として、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nを示すものを使用することが好ましい。前記コーンスターチとの最大荷重の差の値が大きくなるほど、当該加工澱粉の保水性が高いことを示す。前記コーンスターチとの最大荷重の差は、0.35~1.1Nがより好ましく、0.4~1Nが更に好ましい。前記コーンスターチとの最大荷重の差が0.32Nより小さいと、パン生地がベタついて作業性が低下したり、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、引きやパサつきが感じられやすくなる場合がある。一方、1.2Nを超えると、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、引きやパサつきが感じられやすくなる場合がある。
前記コーンスターチとの最大荷重の差の測定は、以下の方法で行えばよい。即ち、小麦粉(日清製粉(株)製「ミリオン」):300g、食塩(財団法人塩事業センター製「精製塩」):6g、水:270g、コーンスターチ(加藤化学(株)製「コーンスターチ」):12gをボールに入れ、縦型ミキサー(HOBART CANADA社製「ホバートミキサー MODEL N-50」)にフックを取り付けて、低速で5分間ミキシングした後、20℃で20分間保持して、測定用の生地を作製する。該生地50gを、高さ8cm、内径5cmの円柱形の容器に静かに入れて測定サンプルとする。
次いで、クリープメータ(株式会社山電製「レオナー」、型番:RE2-3305S)を用い、テクスチャーモードにて、ロードセル:20N、プランジャー:L字型(長径75mm、短径38mm、断面径4mm)、格納ピッチ0.01sec、測定速度:10mm/sec、サンプル厚10mmとし、圧縮率10%、接触面積150mmの条件で、6検体の最大荷重値を測定し、それらの平均値として最大荷重値X(N)を得る。一方で、先のコーンスターチを、測定対象の加工澱粉に変更した以外は同様にして得た生地について、前記と同様に測定を行い、最大荷重値Y(N)を得る。Y-X(N)を、コーンスターチとの最大荷重の差とする。
加工澱粉が示すコーンスターチとの最大荷重の差は、澱粉の由来を選択したり、加工の種類や程度を調節することによって制御可能である。一般的には加工の程度が高いほど、加工澱粉が示すコーンスターチとの最大荷重の差は大きくなる傾向がある。
前記加工澱粉としては、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉が好ましい。ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉は、例えば、トリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンなどを用いて澱粉をリン酸架橋した後、プロピレンオキサイドなどを用いてエーテル結合でヒドロキシプロピル基を付加した加工澱粉である。
前記加工澱粉の原料となる天然澱粉の由来としては、小麦、とうもろこし、餅種とうもろこし(ワキシーコーンスターチ)、馬鈴薯、餅種馬鈴薯、タピオカ、米、餅米、さつまいも、さご、くず等が挙げられる。パンの食感や作業性の観点から、馬鈴薯、餅種馬鈴薯が好ましく、餅種馬鈴薯がより好ましい。
コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nを示す加工澱粉の市販品としては、例えば、松谷化学工業(株)製の「パインアクア」、「パインソフトB」、「マツノリンXA80M」、王子コーンスターチ(株)製の「FH02」、日澱化学(株)製の「SWELYGEL700」等が挙げられる。
前記加工澱粉の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、1~7重量部が好ましく、1~6重量部がより好ましく、2~5重量部が更に好ましく、2~4.5重量部が特に好ましい。前記含有量が1重量部より少ないと、パン生地がベタついてパン生地の生産性が悪くなったり、パンの引きやパサつきが感じられやすくなる場合がある。一方、7重量部より多いと、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、引きやパサつきが感じられやすくなる場合がある。
前記パン生地はパン酵母を含有する。該パン酵母は、糖を資化して炭酸ガス及びアルコールを生成し、有機酸及び香気成分をも生成するパンの製造に用いられる酵母をいう。特に限定されないが、例えば、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・エクシギュース、クルイベロマイセス・ラクティス、トルラスポラ・デルブルッキー、キャンディダ・ユティリス、キャンディダ・ケフィア等が挙げられる。2種以上のパン酵母を組み合わせて使用してもよい。酵母の形態としては、生イースト、セミドライイースト、ドライイーストのいずれであってもよい。
前記パン酵母の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、乾燥重量で0.1~5重量部が好ましく、0.2~4重量部がより好ましく、0.2~3重量部が更に好ましい。前記含有量が0.1重量部より少ないと、発酵に時間がかかり生産効率が悪い場合がある。一方、5重量部より多いと、パン酵母自体の好ましくない風味がパンに付与される場合がある。
前記パン生地は酸化剤を含有する。該酸化剤は、ジスルフィド結合を増加させる作用を持つものをいう。特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸、シスチン、臭素酸カリウム等が挙げられる。
前記酸化剤の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.0002~0.009重量部が好ましく、0.0004~0.005重量部がより好ましく、0.001~0.003重量部が更に好ましい。前記含有量が0.0002重量部より少ないと、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、引きやパサつきが感じられやすくなる場合がある。一方、0.009重量部より多いと、グルテンの架橋反応が過剰に進行し、パンの内相が荒れ、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、引きやパサつきが感じられやすくなる場合がある。
前記パン生地は水が添加されたものである。該水の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、80~120重量部が好ましく、80~110重量部がより好ましく、85~105重量部が更に好ましい。前記水の含有量が80重量部より少ないと、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、引きやパサつきが感じられやすくなる場合がある。一方、120重量部より多いと、パン生地がベタついて、作業性が低下する場合がある。尚、ここで言う水の含有量とは、パン生地に添加した水の量を指し、他の原料に含まれていた水の量は計上しない。
前記パン生地は耐熱性プロテアーゼを含有する。該耐熱性プロテアーゼは至適温度が75~85℃のプロテアーゼをいう。前記至適温度とは、酵素活性を損なわない特定のpH条件下で、酵素活性が最も高くなる温度のことをいう。至適温度が75℃より低い非耐熱性プロテアーゼを使用すると、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、特にパサつきが感じられやすくなる場合がある。
該耐熱性プロテアーゼとしては、動植物、カビ、細菌などから得られた市販の酵素製剤を用いることができる。
前記耐熱性プロテアーゼの含有量は、パン生地に含まれる穀粉100gに対して、50~1300Uが好ましく、50~1000Uがより好ましく、100~800Uが更に好ましく、200~600Uが特に好ましい。前記含有量が50Uより少ないと、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、特に引きが感じられやすくなる場合がある。一方、1300Uより多いと、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、特にパサつきが感じられやすくなる場合がある。
なお、前記耐熱性プロテアーゼの酵素活性については、0.6%カゼイン水溶液(pH7.5、2mM酢酸カルシウム含有50mMトリス塩酸緩衝液)に酵素希釈液1mLを添加し、30℃で10分間反応後、トリクロロ酢酸試薬(pH4.0、1.8%無水酢酸ナトリウム、1.8%トリクロロ酢酸、1.98%酢酸)5mLを加えて反応を停止し、更に30℃で30分静置し、濾過後、275nmの吸光度を測定する。この条件下で1分間に1μgのチロシンに相当するアミノ酸を遊離する酵素量(酵素活性)を1U(ユニット)とした。
前記パン生地は、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいてパサつきをより抑制するために、エンド型アミラーゼを含有することが好ましい。該エンド型アミラーゼは、澱粉分子内部のグリコシド結合を無作為に切断して、多糖及びオリゴ糖を生成する能力を有する酵素である。中でも、α-1,4-グリコシド結合を切断するα-アミラーゼが好ましい。エンド型アミラーゼの由来は特に限定されない。エンド型アミラーゼとしては、動植物、カビ、細菌などから得られた市販の酵素製剤を用いることができる。
前記エンド型アミラーゼの含有量は、パン生地に含まれる穀粉100gに対して、5~300Uが好ましく、8~250Uがより好ましく、10~200Uが更に好ましい。前記含有量が300Uより多いと、エンド型アミラーゼに由来する異味が感じられる場合がある。一方、5Uより少ないと、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいてパサつきをより抑制する効果を期待できない場合がある。なお、前記エンド型アミラーゼの酵素活性については、可溶性澱粉溶液を基質とし、37℃、pH4.7下で、1時間当たり5260mgの澱粉を分解する酵素量を1U(ユニット)とした。
前記パン生地は、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいてパンの引きをより抑制するために、還元剤を含有することが好ましい。該還元剤を含有することによって、ガス保持力を維持する前記酸化剤の効果で抗張力が高まったパン生地中のジスルフィド結合に作用して、パン生地の伸展性を高める効果も達成することができる。該還元剤としては、特に限定されないが、例えば、グルタチオン、システイン等が挙げられる。
前記還元剤の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.0002~0.008重量部が好ましく、0.001~0.004重量部がより好ましく、0.002~0.004重量部が更に好ましい。前記含有量が0.008重量部より多いと、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて、引きやパサつきが感じられやすくなる場合がある。一方、0.0002重量部より少ないと、電子レンジで加熱した後に冷めたパンにおいて引きをより抑制する効果を期待できない場合がある。
前記パン生地は、上述した原料に加えて、必要に応じて、前記以外の原料として、油脂、糖類、食塩、乳原料、イーストフード、前記加工澱粉以外の澱粉、及び、前記以外の酵素等を適宜含有することができる。
前記油脂は、食用であれば特に限定はないが、例えば、コーン油、サフラワー油、胡麻油、綿実油、向日葵油、菜種油、大豆油、米糠油、オリーブ油、椰子油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、シア脂等の植物油や、乳脂、魚油、牛脂、豚脂等の動物油が挙げられる。また、これらの油脂をエステル交換したものや、硬化、分別したもの等、通常食用に供されるすべての油脂類を用いることができる。これらからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。
また、前記油脂として、以下の形態のものを用いることができる。即ち、融解した前記油脂に、必要に応じて乳化剤や香料などの油溶性成分を添加、混合して得た油脂組成物を急冷捏和して得られるショートニング;融解した前記油脂に、必要に応じて乳化剤や香料などの油溶性成分を添加、混合して油脂組成物を得た後、そこへ必要に応じて水溶性成分が溶解した水溶液を添加した後、急冷捏和して得られるマーガリン、ファットスプレッド等の油中水型油脂組成物;タンパク質等の水溶性成分が溶解した水溶液に、任意の油脂や油溶性成分を添加した後、ホモジナイズして得られる水中油型油脂組成物;等を使用することができる。
前記油脂の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.5~50重量部が好ましく、0.5~20重量部がより好ましい。前記含有量が0.5重量部より少ないと、パンが老化し易い場合がある。一方、50重量部より多いと、生地のミキシング時間が長くなり過ぎる場合がある。
前記糖類としては、例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化糖、オリゴ糖、水あめ、糖アルコール類等が挙げられ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。前記糖類は、粉末状であることが好ましく、呈する甘みの点からは、上白糖やグラニュー糖を用いることがより好ましい。
前記糖類の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、乾燥重量で1~15重量部が好ましく、1~10重量部がより好ましい。前記含有量が1重量部より少ないと、パン酵母の栄養源が少なくなりパンの比容積が小さくなる場合がある。一方、15重量部より多いと、パン酵母の活性が抑えられ、パンの比容積が小さくなる場合がある。
前記食塩としては、製パン分野で使用される食塩であれば特に限定されないが、例えば、精製塩、上質塩、内地白塩、原塩、粉砕塩などが挙げられる。前記食塩の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して、0.5~10重量部が好ましく、1~5重量部がより好ましく、1~3重量部が更に好ましい。前記含有量が0.5重量部より少ないと、パンの味が乏しくなる場合がある。一方、10重量部より多いと、パンの塩味が濃過ぎて食せない場合がある。
前記乳原料としては、例えば、全粉乳、脱脂粉乳、牛乳、脱脂乳、クリーム、バター、チーズ等が挙げられる。前記乳原料の含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.1~20重量部が好ましく、0.1~15重量部がより好ましい。前記含有量が0.1重量部より少ないと、パンの焼き色が劣ったり、所望の乳風味が不足する場合がある。一方、20重量部より多いと、パン生地のまとまりが悪くなる場合がある。
前記イーストフードとは、パン酵母の発酵を促し、パン生地の膨張を強化してパンの比容積を向上させるための食品添加剤である。前記イーストフードとしては公知のものを使用でき、特に限定されないが、例えば、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム(無水)、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、焼成カルシウム等が挙げられる。これらの中から適宜選択した少なくとも1種を用いればよい。
前記イーストフードの含有量は、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.01~0.5重量部が好ましく、0.01~0.2重量部がより好ましい。前記含有量が0.01重量部より少ないと、パンの比容積が劣る場合がある。一方、0.5重量部より多いと、パン生地が荒れたり、パンに引きが感じられやすくなったり、イーストフードに由来する異味がパンに感じられる場合がある。
本実施形態に係るパン生地は、各原材料を混合し、捏ね上げることで作製することができる。該パン生地は、発酵させていないものであってもよいし、必要に応じて発酵させたものであってもよい。
該パン生地は、必要に応じて発酵を行った後、所定の大きさに分割し、成形してから、最終発酵を行い、加熱調理することでパンを得ることができる。ここで、加熱調理とは、焼成、蒸し、油ちょうを含む。このうち焼成が好ましい。加熱調理は、パンを作製するための通常の条件で実施することができる。
前記パンとしては、チャパタ;食パン、バンズ、ロールパン、ベーグル、バゲットやパリジャン等のフランスパン、菓子パン、包あんパン、惣菜パン、デニッシュパン、蒸しパン、中華まんじゅう、ドーナツ等が挙げられる。尚、パンの種類がチャパタの場合、パン生地を長い帯状の麺帯に加工した後に分割してから成形を行えばよい。また、パンの種類がチャパタ以外の場合、パン生地を分割後に丸めを行ってから成形を行えばよい。
本実施形態に係るパンは、加熱調理後に、冷凍することで、冷凍パンとすることができる。冷凍の条件としては特に限定されないが、例えば、パンの温度が-10℃以下になるまで冷凍することが挙げられる。冷凍する際には、ショックフリーザー等の冷凍庫を用いればよい。パンが冷凍パンであっても、該冷凍パンを電子レンジで解凍及び加熱してから冷めた後に、引きとパサつきが抑制された食感を有するパンを得ることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
また、実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)日清製粉(株)製「リスドール」
2)(株)カネカ製「カネカイーストSR」
3)財団法人塩事業センター製「精製塩」
4)日新製糖(株)製「上白糖P」
5)よつ葉乳業(株)製「脱脂粉乳」
6)扶桑化学工業(株)「ビタミンCタイプSS」
7)(株)カネカ製「エバーライトG」
8)松谷化学工業(株)製「パインアクア」(糯種馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.47N)
9)新日本化学工業(株)製「スミチームPW」(耐熱性プロテアーゼ、400000単位(U)、至適温度:80℃)
10)ノボザイムズジャパン(株)製「Novamyl 10000BG」(エンド型アミラーゼ、3600単位(U))
11)(株)カネカ製「調味パウダーRG」(グルタチオン含有量:4%)
12)松谷化学(株)製「パインソフトB」(馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.38N)
13)松谷化学(株)製「マツノリンXA80M」(馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.75N)
14)松谷化学(株)製「エリアンVC120」(糯種馬鈴薯由来のα化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0.28N)
15)松谷化学(株)製「エリアンVE540」(糯種馬鈴薯由来のβ化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、コーンスターチとの最大荷重の差:0N)
16)新日本化学工業(株)製「スミチームP」(非耐熱性プロテアーゼ、300000単位(U)、至適温度:60℃)
17)新日本化学工業(株)製「スミチームTP」(非耐熱性プロテアーゼ、100000単位(U)、至適温度:66℃)
18)キューピータマゴ(株)製「液全卵(殺菌)」
<パンの官能評価>
実施例及び比較例の記載に従って、焼成して得たパンを冷凍後、電子レンジで解凍及び加熱し、放冷した後に、熟練した10名のパネラーに食してもらい、以下の基準で各評価を行い、各パネラーの点数の平均を評価値とした。
(パンのもちもちさ)
5点:実施例6又は19よりも良く、パンのもちもちとした食感が極めて良好である
4点:実施例6又は19と同等で、パンのもちもちとした食感が良好である
3点:実施例6又は19よりも若干悪く、パンのもちもちとした食感がやや劣る
2点:実施例6又は19より悪く、パンのもちもちとした食感が余り感じられない
1点:実施例6又は19より非常に悪く、パンのもちもちとした食感が全く感じられない
(パンの引きの無さ)
5点:実施例6又は19よりも良く、パンの引きが全く感じられない
4点:実施例6又は19と同等で、パンの引きが殆ど感じられない
3点:実施例6又は19よりもやや劣り、パンの引きが若干感じられる
2点:実施例6又は19よりも劣り、パンの引きが感じられる
1点:実施例6又は19よりも非常に劣り、パンの引きが大変感じられる
(パンのパサつきの無さ)
5点:実施例6又は19よりも良く、パンのパサつきが全く感じられない
4点:実施例6又は19と同等で、パンのパサつきが殆ど感じられない
3点:実施例6又は19よりもやや劣り、パンのパサつきが若干感じられる
2点:実施例6又は19よりも劣り、パンのパサつきが感じられる
1点:実施例6又は19よりも非常に劣り、パンのパサつきが大変感じられる
<総合評価>
パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの各評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価がどちらも4.0点以上のもの
B:パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価がどちらも3.5点以上であって、3.5点以上4.0点未満が1つ以上あるもの
C:パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価がどちらも3.0点以上で、且つ、評価のうち3.0点以上3.5点未満が1つ以上あるもの
D:パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価がどちらも2.0点以上で、且つ、評価のうち2.0点以上3.0点未満が1つ以上あるもの
E:パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価で2.0点未満が1つ以上あるもの
(実施例1) ソフトフランスパンの作製
表1の配合に従って、中種生地用材料を縦型ミキサー(関東混合機工業(株)製「HPI-20M」)により低速3分間、高速2分間混合し、24℃±1℃で捏ね上げ中種生地を得た。中種生地を29℃、湿度60%で4時間静置し1次発酵後の中種生地を得た。1次発酵後の中種生地と、表1の中種生地を除く本捏生地用材料のうち、油脂を除く材料をミキサーに投入し低速2分間、中速4分間混合後、油脂を添加して低速2分間、中速4分間、高速2分間混合し、27℃±1℃で捏ね上げた。
ミキシング終了後、生地を29℃、湿度60%で20分間静置し2次発酵後の生地を得た。2次発酵後の生地を80gに分割し丸めた後、生地を29℃、湿度60%で20分間静置しベンチ後の生地を得た。3段モルダー(フジサワ・マルゼン(株)製「FM31Z型」)の各ローラーの隙間間隔を上段からそれぞれ12mm、8mm、4mmに設定し、ベンチ後の生地を通過させて生地厚約6mmにガス抜きを実施し、棒状に生地を巻いた後に、高さ35mmの展厚板を通して棒状の成形後の生地を得た。棒状の成形後の生地を35℃、湿度75%で40分間最終発酵させた後、上火250℃・下火230℃のオーブン(MIWE(株)製「electro」)で10分間焼成し、ソフトフランスパンを作製した。
該ソフトフランスパンを25℃で40分間放冷した後、-35℃で60分間冷凍後、-20℃で7日間保管し、冷凍ソフトフランスパンを得た。
該冷凍ソフトフランスパンを冷凍庫から取り出し、電子レンジ(パナソニック(株)製「NE-EH212」)で750W40秒間、パンの芯温が90℃以上になるように解凍及び加熱して、レンジアップ後のソフトフランスパンを得た。
得られたレンジアップ後のソフトフランスパンを25℃で10分間放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行った。その結果を表1に示した。
Figure 2022092687000001
(実施例2) ソフトフランスパンの作製
表1の配合に従って、実施例1において中種生地以外の本捏生地用材料の添加水65重量部を50重量部に、加工澱粉4重量部を1.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表1に示した。
(実施例3) ソフトフランスパンの作製
表1の配合に従って、実施例1において中種生地以外の本捏生地用材料の添加水65重量部を90重量部に、加工澱粉4重量部を7重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表1に示した。
(比較例1) ソフトフランスパンの作製
表1の配合に従って、実施例1において中種生地以外の本捏生地用材料の添加水65重量部を45重量部に、加工澱粉4重量部を1重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表1に示した。
(比較例2) ソフトフランスパンの作製
表1の配合に従って、実施例1において中種生地以外の本捏生地用材料の添加水65重量部を100重量部に、加工澱粉4重量部を7.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表1に示した。
表1から明らかなように、添加水の量がパン生地中の穀粉100重量部に対して80~120重量部の範囲にある実施例1~3のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が良好な結果であった。一方、添加水の量がパン生地中の穀粉100重量部に対して75重量部と少ない比較例1のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が不十分な結果であった。また、添加水の量がパン生地中の穀粉100重量部に対して130重量部と多い比較例2のソフトフランスパンは、パンの引きの無さの評価が不十分な結果であった。
(実施例4) ソフトフランスパンの作製
表2の配合に従って、実施例1において加工澱粉4重量部を1重量部に、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水65重量部を50重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表2に示した。
Figure 2022092687000002
(実施例5) ソフトフランスパンの作製
表2の配合に従って、実施例1において加工澱粉4重量部を7重量部に、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水65重量部を70重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表2に示した。
(比較例3) ソフトフランスパンの作製
表2の配合に従って、実施例1において加工澱粉4重量部を0.5重量部に、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水65重量部を50重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表2に示した。
(比較例4) ソフトフランスパンの作製
表2の配合に従って、実施例1において加工澱粉4重量部を8重量部に、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水65重量部を70重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表2に示した。
表2から明らかなように、加工澱粉の含有量がパン生地中の穀粉100重量部に対して1~7重量部の範囲にある実施例1、4及び5のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が良好な結果であった。一方、加工澱粉の含有量がパン生地中の穀粉100重量部に対して0.5重量部と少ない比較例3のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が不十分な結果であった。また、加工澱粉の含有量がパン生地中の穀粉100重量部に対して8重量部と多い比較例4のソフトフランスパンは、パンの引きの無さの評価が不十分な結果であった。
(実施例6,7、及び、比較例5,6) ソフトフランスパンの作製
表3の配合に従って、実施例1において、コーンスターチとの最大荷重の差が0.47Nの加工澱粉を、0.38N(実施例6)、0.75N(実施例7)、0.28N(比較例5)又は、0N(比較例6)の加工澱粉に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表3に示した。
Figure 2022092687000003
表3から明らかなように、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの範囲にある加工澱粉を使用した実施例1、6及び7のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が良好な結果であった。一方、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの範囲外にある加工澱粉を使用した比較例5及び6のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が不十分な結果であった。
(実施例8,9、及び、比較例7,8) ソフトフランスパンの作製
表4の配合に従って、実施例1において耐熱性プロテアーゼ0.002重量部を、0.00013重量部(実施例8)、0.00245重量部(実施例9)、0.00007重量部(比較例7)、又は、0.0034重量部(比較例8)に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表4に示した。
Figure 2022092687000004
表4から明らかなように、耐熱性プロテアーゼの含有量がパン生地中の穀粉100gに対して50~1300Uの範囲にある実施例1、8及び9のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が良好な結果であった。一方、耐熱性プロテアーゼの含有量がパン生地中の穀粉100gに対して28Uと少ない比較例7のソフトフランスパンは、パンの引きの無さの評価が不十分な結果であった。また、耐熱性プロテアーゼの含有量がパン生地中の穀粉100gに対して1360Uと多い比較例8のソフトフランスパンは、パンのパサつきの無さの評価が不十分な結果であった。
(比較例9及び10) ソフトフランスパンの作製
表4の配合に従って、実施例1において耐熱性プロテアーゼを非耐熱性プロテアーゼに変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表4に示した。
表4から明らかなように、非耐熱性プロテアーゼを使用した比較例9及び10のソフトフランスパンは、パンのパサつきの無さの評価が不十分な結果であった。
(実施例10,11、及び、比較例11,12) ソフトフランスパンの作製
表5の配合に従って、実施例1において酸化剤0.0025重量部を、0.0002重量部(実施例10)、0.008重量部(実施例11)、0.0001重量部(比較例11)、又は、0.01重量部(比較例12)に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表5に示した。
Figure 2022092687000005
表5から明らかなように、酸化剤の含有量がパン生地中の穀粉100重量部に対して0.0002~0.009重量部の範囲にある実施例1、10及び11のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が良好な結果であった。一方、酸化剤の含有量が0.0001重量部と少ない比較例11のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が不十分な結果であった。また、酸化剤の含有量が0.01重量部と多い比較例12のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が不十分な結果であった。
(実施例12~14) ソフトフランスパンの作製
表6の配合に従って、実施例1においてエンド型アミラーゼ0.014重量部を、0.0015重量部(実施例12)、0.08重量部(実施例13)、又は、0重量部(実施例14)に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表6に示した。
Figure 2022092687000006
表6から明らかなように、エンド型アミラーゼの含有量がパン生地中の穀粉100gに対して300U以下である実施例1、12~14のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が良好な結果であった。そして、特にエンド型アミラーゼの含有量がパン生地中の穀粉100gに対して5~300Uの範囲にある実施例1、12及び13のソフトフランスパンの評価はより好ましかった。
(実施例15~17) ソフトフランスパンの作製
表7の配合に従って、実施例1において還元剤含有パウダー0.022重量部を、0重量部(実施例15)、0.006重量部(実施例16)、又は、0.2重量部(実施例17)に変更した以外は、実施例1と同様にしてソフトフランスパンを作製した後、該ソフトフランスパンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表7に示した。
Figure 2022092687000007
表7から明らかなように、還元剤の含有量がパン生地中の穀粉100重量部に対して0.008重量部以下である実施例1、15~17のソフトフランスパンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が良好な結果であった。そして、特に還元剤の含有量がパン生地中の穀粉100重量部に対して0.0002~0.008重量部の範囲にある実施例1、16及び17のソフトフランスパンの評価はより好ましかった。
(実施例18) 菓子パンの作製
表8の配合に従って、中種生地用原材料を縦型ミキサー(関東混合機工業(株)製「HPI-20M」)により低速3分間、高速2分間混合し、25℃±1℃で捏ね上げ中種生地を得た。中種生地を29℃、湿度60%で2時間半静置し1次発酵後の中種生地を得た。1次発酵後の中種生地と、表1の中種生地を除く本捏生地用原材料のうち、油脂を除く材料をミキサーに投入し低速2分間、中速5分間、高速2分間混合後、油脂を添加して低速2分間、中速3分間、高速1分間混合し、27℃±1℃で捏ね上げた。
ミキシング終了後、生地を29℃、湿度60%で20分間静置し2次発酵後の生地を得た。2次発酵後の生地を60gに分割し丸めた後、生地を29℃、湿度60%で20分間静置しベンチ後の生地を得た。3段モルダー(フジサワ・マルゼン(株)製「FM31Z型」)の各ローラーの隙間間隔を上段からそれぞれ12mm、8mm、2mmに設定し、ベンチ後の生地を通過させて生地厚約4mmにガス抜きを実施し、棒状に生地を巻いた後に、高さ22mmの展厚板を通して棒状の成形後の生地を得た。棒状の成形後の生地を35℃、湿度75%で70分間最終発酵させた後、上火200℃・下火200℃のオーブン((株)フジサワ・マルゼン製「プリンスII」)で10分間焼成し、菓子パンを得た。
該菓子パンを25℃で40分間放冷した後、-35℃で60分間冷凍後、-20℃で7日間保管し、冷凍菓子パンを得た。
該冷凍菓子パンを冷凍庫から取り出し、電子レンジ(パナソニック(株)製「NE-EH212」)で750W30秒間、パンの芯温が90℃以上になるように解凍及び加熱して、レンジアップ後の菓子パンを得た。
得られたレンジアップ後の菓子パンを25℃で10分間放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行った。その結果を表8に示した。
Figure 2022092687000008
(実施例19) 菓子パンの作製
表8の配合に従って、実施例18において全卵5重量部を7重量部に、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水56重量部を54重量部に変更した以外は、実施例18と同様にして菓子パンを作製した後、該菓子パンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表8に示した。
(実施例20) 菓子パンの作製
表8の配合に従って、実施例18において全卵5重量部を10重量部に、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水56重量部を52重量部に変更した以外は、実施例18と同様にして菓子パンを作製した後、該菓子パンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表8に示した。
(比較例13) 菓子パンの作製
表8の配合に従って、実施例18において全卵5重量部を15重量部に、中種生地以外の本捏生地用材料の添加水56重量部を49重量部に変更した以外は、実施例18と同様にして菓子パンを作製した後、該菓子パンを冷凍し、電子レンジで解凍及び加熱して、更に放冷した後、もちもちさ、引きの無さ、及び、パサつきの無さの官能評価を行い、その結果を表8に示した。
表8から明らかなように、卵の含有量がパン生地中の穀粉100重量部に対して10重量部以下の実施例18~20の菓子パンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が良好な結果であった。一方、卵の含有量がパン生地中の穀粉100重量部に対して15重量部と多い比較例13の菓子パンは、パンの引きの無さ、及び、パンのパサつきの無さの評価が不十分な結果であった。

Claims (8)

  1. 穀粉を含むパン生地であって、
    前記穀粉100重量部に対して、乳化剤の含有量が0~0.05重量部、及び、卵の含有量が0~10重量部であり、
    前記穀粉100重量部に対して、コーンスターチとの最大荷重の差が0.32~1.2Nの加工澱粉1~7重量部、パン酵母0.1~5重量部(乾燥重量)、酸化剤0.0002~0.009重量部、及び水80~120重量部を含有し、
    前記穀粉100gに対して、至適温度が75~85℃の耐熱性プロテアーゼ50~1300Uを含有する、パン生地。
  2. 前記加工澱粉が、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である、請求項1に記載のパン生地。
  3. 前記穀粉100gに対して、エンド型アミラーゼ5~300Uを更に含有する、請求項1又は2に記載のパン生地。
  4. 前記穀粉100重量部に対して、還元剤0.0002~0.008重量部を更に含有する、請求項1~3の何れか一項に記載のパン生地。
  5. 請求項1~4の何れか一項に記載のパン生地が加熱調理されたパン。
  6. 請求項5に記載のパンが冷凍された冷凍パン。
  7. 請求項1~4の何れか一項に記載のパン生地の成形及び発酵を行った後、加熱調理する工程を含む、パンの製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法によってパンを製造した後、該パンの温度が-10℃以下になるまで冷凍する工程を含む、冷凍パンの製造方法。
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