JP2017029005A - 製パン用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】酵素を含有する製パン用油脂組成物において、パンのソフト化および老化抑制に優れた効果を奏する製パン用油脂組成物の提供。
【解決手段】食用油脂及びα−アミラーゼを含有する製パン用油脂組成物において、食用油脂100g当りに、(A)至適温度が70〜85℃であるα−アミラーゼを活性量として200〜25000unit、及び、(B)至適温度が50〜65℃であるα−アミラーゼを活性量として10〜10000unit、を含有する製パン用油脂組成物、及び該製パン用油脂組成物を含有するパン類
【選択図】なし

Description

本発明は、酵素を含有する製パン用油脂組成物に関する。さらに詳しくは、酵素の作用により、澱粉の老化を遅らせ、ソフトな食感が長く保持されるパン類を製造する製パン用油脂組成物に関する。
パン生地の調整時には、ショートニング、マーガリン等の油脂組成物が練り込まれ、パンの風味、食感を豊かなものとしている。一般に製パン用油脂組成物に使用される食用油脂は、牛脂、豚脂、魚油、パーム油、菜種油、大豆油等の天然の動植物油脂、及びこれらの硬化油、極度硬化油等である。
パンは老化し易く焼成後経時的に硬化する、あるいはパサツクなど品質が劣化するため焼成後出来るだけ早く消費されることが望ましい。しかし、現在の生産・流通条件、あるいは消費者の消費形態において、いわゆる大量生産型のパンでは消費者の口に入るまでのタイムラグがあるために一定期間前記の品質劣化を抑制する技術の開発が望まれ、様々な方法により、パンをソフトにする方法が提案されている。
パンをソフトにする方法として、脂肪酸モノグリセリド等の乳化剤を生地に添加する方法が知られているが、乳化剤の添加量が多いと食品の風味を損なう恐れがある。そのため、乳化剤の食品への添加量には制限があり、この結果、充分な老化防止が図れないという問題があった。そこで、乳化剤の添加とともに酵素や澱粉、増粘多糖類などを添加する方法が知られている。
しかしながら、澱粉などの食品素材を油脂に組み込んで、製パン改良効果を明確に得るためには、油脂中1%以上の添加が必要となり、油脂の物性に悪影響を及ぼす可能性がある(特許文献1、特許文献2)。また、増粘多糖類などの添加物を油脂に組み込む場合、油脂中1%未満で製パン効果が得られる場合もあるが、増粘多糖類特有のくちゃついた食感が焼成したパンにも影響を与え、良好な食感のパンが得られにくくなる(特許文献3)。
パンをソフトにし、老化を抑制する目的で、食用油脂と脂肪酸モノグリセリドを含む油相を、有機酸モノグリセリド、pH調整剤、蔗糖脂肪酸エステル及び糖アルコールを含有する乳化剤相に添加して乳化し、これにα−アミラーゼ、糖アルコール及びデンプンを含む水相を添加し、急冷捏和して得た水中油型乳化油脂組成物(特許文献4)や、α−アミラーゼを含む糖類及び、又は多価アルコール水溶液が界面活性剤を使用して油脂中に油中水型に乳化した組成物(特許文献5)等が提案されている。しかし、依然として十分な老化抑制効果は得られておらず、また使用したα―アミラーゼの影響で製パン作業時にパン生地がべたつき作業性が低下する場合がある。
また、活性温度の高いα−アミラーゼを使用する方法も提案されており、製パン時の作業性は改善されているが、活性温度の高いα−アミラーゼや乳化剤の使用のみではパンのソフト化、老化抑制効果は十分ではない(特許文献6)。
特開2006−211969号公報 特願平4−207143号公報 特願2005−341856号公報 特開平8−173033号公報 特開昭61−63232号公報 特開2003−210106号公報
本発明の課題は、酵素を含有する製パン用油脂組成物において、パンのソフト化および老化抑制に優れた効果を奏する製パン用油脂組成物を提供することである。
本発明では、至適温度が70〜85℃であるα−アミラーゼと、至適温度が50〜65℃であるα−アミラーゼを組み合わせることで、焼成時に広い温度帯で澱粉を分解することができ、それにより焼成後のパンの老化が効果的に遅延され、ソフト感が長期間持続することを見出した。
すなわち本発明は、以下の発明である。
(1)食用油脂及びα−アミラーゼを含有する製パン用油脂組成物において、
食用油脂100g当りに、
(A)至適温度が70〜85℃であるα−アミラーゼを活性量として200〜25000unit、及び、
(B)至適温度が50〜65℃であるα−アミラーゼを活性量として10〜10000unit、
を含有する製パン用油脂組成物。
(2)前記の(B)至適温度が50〜65℃であるα−アミラーゼの活性量に対する前記の(A)至適温度が70〜85℃であるα−アミラーゼの活性量比[(A)/(B)]が、10〜18である(1)に記載の製パン用油脂組成物。
(3)さらに、食用油脂100質量部に対して炭素数12〜24の脂肪酸を有するモノグリセリン脂肪酸エステルを0.01〜2質量部を含有する(1)又は(2)に記載の製パン用油脂組成物。
(4)さらに、食用油脂100g当りに、キシラナーゼを活性量として1〜5000unitを含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の製パン用油脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の製パン用油脂組成物を含有するパン類。
本発明によると、温度活性領域が異なる2種類のα−アミラーゼの作用により、広い温度帯でパン生地中の澱粉を分解することができる製パン用油脂組成物が提供される。そして、この製パン用油脂組成物を使用することにより、ソフトさを長期間維持するパンを得ることができる。
本発明は、食用油脂に(A)至適温度が70〜85℃であるα−アミラーゼ(以下、「高温活性α−アミラーゼ」という。)及び(B)至適温度が50〜65℃であるα−アミラーゼ(以下、「低温活性α−アミラーゼ」という。)を含有する製パン用油脂組成物である。
α−アミラーゼとは、澱粉やグリコーゲン等のα1,4−結合を不規則に切断し、デンプンやグリコーゲン等を多糖、オリゴ糖、マルトース等に分解する酵素である。
本発明の製パン用油脂組成物は、パン生地に練り込まれて使用される。製パン工程において、製パン用油脂組成物を練り込んだパン生地は、発酵後、150〜250℃の温度で加熱され焼成されることになる。焼成時にパン生地の温度は少しずつ上昇し、最終温度に達する。
パンの焼成の初めにおいて、温度が50℃程度になると、まず至適温度が低い低温活性α−アミラーゼ(B)が働きパン生地中に含まれる澱粉を分解する。パンの温度が上昇し、温度が80℃程度になると今度は至適温度が高い高温活性α−アミラーゼ(A)が働き、澱粉粒中の澱粉を分解する。さらに温度が上昇すると、高温活性α−アミラーゼ(A)の失活温度以上となり、α−アミラーゼは活性を失う。
このように本発明の製パン用油脂組成物は、パンの焼成時において、至適温度の異なる2種類のα−アミラーゼをパン生地中の澱粉に連続的に作用させることができ、幅広い温度で酵素を作用させ、澱粉を効率よく分解させることができる。これにより、食感がソフトであり、かつ、ソフトな食感が長く保持されるパンを得ることができる。
(A)高温活性α−アミラーゼ
本発明の(A)高温活性α−アミラーゼは、至適温度が70〜85℃のα−アミラーゼである。至適温度が70〜85℃のα−アミラーゼとしては、例えば、Bacillus等の細菌由来、Malt等の穀物由来、及びAspergillus等のカビ由来のものが挙げられ、これらの材料を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
更に、(A)高温活性α−アミラーゼの失活温度は、85〜120℃であることが好ましく、90〜100℃であることが更に好ましい。(A)高温活性α−アミラーゼの失活温度が120℃を超える場合、焼成後もパン中の澱粉が分解される恐れがある。
本発明の油脂組成物において、(A)高温活性α−アミラーゼは、食用油脂100g当りに、40℃、pH4.5における活性量として200〜25000unitとなるように配合される。200unit未満であると十分な老化防止効果が得られず、25000unitを超えると得られるパン製品の食感が低下する。また、生地物性の安定化という観点からは、好ましくは500〜10000unitであり、更に好ましくは500〜3000unitであり、特に好ましくは500〜1000unitである。生地のべたつきを抑制することにより、パン生地を調製する際の作業性をより向上することができる。
(B)低温活性α−アミラーゼ
本発明の(B)低温活性α−アミラーゼは、至適温度が50〜65℃のα−アミラーゼである。至適温度が50〜65℃のα−アミラーゼとしては、例えば、Bacillus等の細菌由来、Malt等の穀物由来、及びAspergillus等のカビ由来のものが挙げられ、これらの材料を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
更に、(B)低温活性α−アミラーゼの失活温度は、60〜80℃であることが好ましく、65〜75℃であることが更に好ましい。(B)低温活性α−アミラーゼの失活温度が80℃を超える場合、高い温度帯において、(A)高温活性α−アミラーゼと共に作用するため、過剰に澱粉が分解されて食感が低下する恐れがある。
本発明の油脂組成物において、(B)低温活性α−アミラーゼは、食用油脂100g当りに、40℃、pH4.5における活性量として10〜10000unitとなるように配合される。10unit未満であると十分な老化防止効果が得られず、10000unitを超えても十分な老化防止効果が得られない。また、生地物性の安定化という観点からは、好ましくは40〜5000unitであり、更に好ましくは40〜1000unitであり、特に好ましくは40〜500unitである。生地のべたつきを抑制することにより、パン生地を調製する際の作業性をより向上することができる。
本発明において、至適温度が異なる2種類のα−アミラーゼを使用することで、パン生地中の澱粉を連続的に分解することができる。α−アミラーゼの至適温度が70℃より低いα−アミラーゼのみを使用した場合、70℃以上の高温域での澱粉への作用が十分でなくなり、焼成したパンの老化抑制効果が低下する。また、至適温度が70℃以上のα−アミラーゼのみを使用した場合、澱粉への作用時間が短くなり、老化抑制効果が低下する。
更に、本発明の(A)高温活性α−アミラーゼと(B)低温活性α−アミラーゼの活性量比[(A)/(B)]は、10〜18の範囲であることが好ましい。(A)高温活性α−アミラーゼと(B)低温活性α−アミラーゼの活性量比を上記範囲とすることにより、幅広い温度帯において、バランスよくα−アミラーゼの活性量を保つことができるため、より確実に本発明の効果が発揮される。
また、良好な食感のパンを得られるという観点から、14〜18の範囲であることが好ましい。この範囲では、パンの食感において、ねちゃつきを抑えつつ、良好な口どけを実現することができる。
その他の酵素
本発明の製パン用油脂組成物には、上記(A)高温活性α−アミラーゼ、(B)低温活性α−アミラーゼ以外の酵素を添加してもよい。その他の酵素としては、例えば、キシラナーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ等があり、好ましくは、キシラナーゼである。
キシラナーゼは、食用油脂100g当りに、至適条件下(温度、pH)における活性量として1〜5000unitとなるように配合することが好ましい。更に好ましくは50〜3000unitであり、特に好ましくは100〜2000unitである。キシラナーゼを配合することにより、パンの老化抑制効果が更に向上する。
食用油脂
本発明で使用する油脂成分としては、一般にマーガリン、ショートニングの原料として用いられている食用油脂を使用することができる。例えば牛脂、豚脂、魚油等の動物性油脂、パーム油、菜種油、大豆油等の植物性油脂や、これら動物性油脂、植物性油脂の硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂が挙げられ、これらは適宜混合して用いることができる。本発明において食用油脂としては、製パンのミキシング工程の生地温度における固体脂含量が10〜30%であることが好ましいが限定されるものではない。
その他成分
本発明における製パン用油脂組成物には、乳化剤、加工澱粉、保存料、pH調整剤、色素、香料、その他の酵素等を適宜使用してもよい。
乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ポリグリセリン縮合脂肪酸エステル等が用いられる。乳化剤は1種又は2種以上を混合して用いることができる。好ましくは、グリセリン脂肪酸エステルであり、更に好ましくは、モノグリセリン脂肪酸エステルである。
乳化剤の添加量は、食用油脂100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.3〜3質量部である。添加量が10質量部を超えると、得られるパンの食感、風味が低下する。
モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数12〜24の脂肪酸を有するものが好ましく、炭素数14〜22の脂肪酸を有するものが更に好ましく、炭素数16〜18の脂肪酸を有するものが特に好ましい。また、脂肪酸は、飽和又は不飽和のいずれでもよい。好ましくは飽和脂肪酸である。
モノグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、食用油脂100質量部に対して、0.01〜2質量部であることが好ましく、0.05〜1.5質量部が更に好ましく、0.1〜1.2質量部が特に好ましい。
モノグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、老化防止効果をさらに向上することができる。
加工澱粉は、澱粉に物理的、酵素的又は化学的に加工を加えたものであり、例えば、酸、酵素、アルカリ又は熱を加えて分解したもの(例えば、デキストリン等)、澱粉誘導体(例えば、エーテル架橋α化澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等)が挙げられる。好ましくは、エーテル架橋α化澱粉である。
加工澱粉の添加量は、食用油脂100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜5質量部、更に好ましくは0.05〜1質量部である。
加工澱粉を配合することにより、老化防止効果をさらに向上することができる。
本発明における製パン用油脂組成物の製法は、通常のショートニング、マーガリン等の製造方法において、α−アミラーゼを失活しない温度で添加すればよい。例えば、以下の製法が挙げられる。
まず油脂および油溶成分を融点温度以上の温度で加熱し、均一溶解後、50〜55℃まで降温する。次に、加温した水を添加し、均一に混合攪拌後、α−アミラーゼを添加し、試作機を用いて急冷可塑化し、30℃以下まで冷却することにより、目的の製パン用油脂組成物を得る。上記製造において、高温状態にある均一混合物を冷却する際には均一混合物を入れている容器自身を外部から冷却しても良いが、一般的にショートニング、マーガリン製造に用いられるチラー、ボテーター、コンビネーター等を用いて急冷する方が性能上好ましい。
本発明における油脂組成物を製造するに当って、α−アミラーゼは粉末や液体などいずれの形態で投入してもよい。
パン類
本発明のパン類は、本発明の製パン用油脂組成物を含有するものであり、例えば、食パン、特殊パン、調理パン、菓子パンなどが挙げられる。具体的には、食パンとしては白パン、黒パン、フランスパン、バラエティーブレッド、ロール(テーブルロール、バンズ、バターロールなど)が挙げられる。特殊パンとしてはマフィンなど、調理パンとしてはホットドック、ハンバーガーなど、菓子パンとしてはジャムパン、あんパン、クリームパン、レーズンパン、メロンパンなどが挙げられる。
本発明において、パン類の調製時に添加する本発明の製パン用油脂組成物の量は、パン類に使用する小麦粉100重量部に対して、1〜35重量部、好ましくは5〜15重量部である。製パン用油脂組成物の添加量が1重量部未満であると、十分な老化抑制効果が得られず、35重量部を越えると、得られたパン類の食感が低下する。
本発明におけるパン類の原料としては、主原料としての小麦粉の他に、イースト、イーストフード、乳化剤、油脂類(ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等)、水、加工澱粉、乳製品、食塩、糖類、調味料(グルタミン酸ソーダ類や核酸類)、保存料、ビタミン、カルシウム等の強化剤、蛋白質、アミノ酸、化学膨張剤、フレーバー等が挙げられる。更に、原料として用いると老化しやすくなる、レーズン等の乾燥果実、小麦ふすま、全粒粉等を使用できる。
本発明のパン類の製法としては、本発明の製パン用油脂組成物をパン生地に練りこみ、発酵後、焼成することにより得ることができる。焼成温度は、150〜250℃であり、焼成時間は6〜60分間であることが好ましい。また、焼成の際、オーブンに投入するパン生地は、20〜1500gであることが好ましい。例えば、所定の焼成温度に設定されたオーブンに、本発明の製パン用油脂組成物を含有するパン生地を所定量投入し、所定の時間焼成すると、パン生地の内部の温度が上昇する。この焼成工程により、(B)低温活性α−アミラーゼ及び(A)高温活性α−アミラーゼが作用して澱粉を分解し、パンの老化を抑制することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
(実施例1)
表1の配合組成で以下の方法により製パン用油脂組成物を製造した。パーム硬化油(融点42℃)5kg、パーム油30kg、菜種硬化油35kg(融点36℃)、および菜種油30kg、大豆レシチン100gを配合し加熱溶解した油相部に、加温した水20kgを添加し乳化液を製造した。乳化液の温度を50〜55℃に降温し、高温活性α−アミラーゼ(至適温度80℃、失活温度90℃)20g、低温活性α−アミラーゼ(至適温度65℃、失活温度75℃)50gを添加後、十分に撹拌を行い、ついで、マーガリン試作機を用いて30℃以下に急冷し、製パン用油脂組成物を試作した。なお、至適温度は酵素を水に溶解し、5℃ずつ温度を変え活性を測定した結果、最も活性の高い温度を至適温度とした。失活温度は酵素を水に溶解し、温度を変え活性を測定した結果、至適温度に対して相対活性が10%以下となった温度を失活温度とした。酵素活性の測定方法としては、ネオアミラーゼ「第一」(第一化学薬品株式会社)を使用した。まず、ネオアミラーゼ1錠を水3mlに溶解し澱粉液とし、酵素0.01gを水10mlに溶解し酵素液とした。次に、酵素液2ml、澱粉液1.5mlを各温度で5分間調温し、その後酵素液、澱粉液を混合し、各温度で15分間反応させた。15分間反応後、NaOH(0.5N)を500μl加え反応を止め、5分間遠心し上層を回収した。回収した上層を620nmで吸光度を測定し、相対的な活性を測定した。
(実施例2〜7、及び比較例1〜5)
表1、2に示した配合で実施例1に準じた方法により製パン用油脂組成物実施例1〜7、及び比較例1〜5を試作した。
実施例1〜7、及び比較例1〜5の製パン用油脂組成物を使用して食パンを製造し、パン生地物性、ソフトさ、食感について以下の方法で評価を行った。
<パンの製造方法>
強力粉700g、イースト20g、イーストフード1g、水420gをミキサーボウルに投入し、低速2分、中速2分混捏し、捏ね上げ温度24℃の中種を28℃で4時間発酵させた。発酵させた中種をミキサーボウルに投入し、さらに強力粉300g、上白糖50g、脱脂粉乳g20、食塩17g、水250gを投入し、低速2分、中速4分混捏し、ここで練り込み油脂として、実施例1〜7、及び比較例1〜5において得られた製パン用油脂組成物を50g投入し、さらに低速2分、中速4分混捏し、捏ね上げ温度28℃の生地を得た。フロアタイムを20分取った後、210gに分割し、次いでベンチタイムを15分とった後、モルダーに生地を通し、プルマン食パン型に生地を型比率4.16になるようにつめた。さらに、38℃、相対湿度85%のホイロに35分入れて最終発酵を行なった。最終発酵後、上火、下火210℃のオーブンに入れて、34分焼成し、プルマン食パンを得た。このパンを1時間半室温で放冷した後、袋に入れ、20℃で保管した。
<パン生地物性の評価方法>
パン生地の物性において、生地がべたつく場合には、パン生地をモルダーに通した際に生地上面に荒れた部分が発生する。本発明のパン生地物性の評価方法では、上記生地210gをモルダー(株式会社オシキリ製「ワイドファインモルダ」)に通した際、生地上面の荒れた部分が面積割合として20%を超えた場合に「べたつく」と評価した。
<ソフトさ測定方法>
焼成後1および3日間20℃で保管した食パンを3cmの厚さにスライスし、クラムの中心部を3cm×3cmの正方形に切り取り、スライス面からクラムを1.5cmまで圧縮する際に必要な応力(N)を山電社製レオメーターで測定した。
<口溶け感の評価方法>
焼成後1および3日間20℃で保管した食パンを15人のパネラーにて口溶け感の評価を行なった。口溶けが良好(◎)、普通(○)、若干ダマになる、もしくは、ぱさつきを少し感じる(△)、ダマになる、もしくは、ぱさつく(×)、の評価項目を設け、最も人数の多かった項目を食パンの口溶け感とした。なお、同数の場合は、両方の評価結果を記した。
Figure 2017029005
表1中に記載したα−アミラーゼ(1)〜(5)およびキシラナーゼ(6)は、以下の材料を用いた。
(1)商品名:スピターゼCP40−FG、ナガセケムテックス(株)製、至適温度80℃、失活温度90℃〔酵素活性:400000unit/g〕
(2)商品名:スピターゼCP3、ナガセケムテックス(株)製、至適温度80℃、失活温度90℃〔酵素活性:30000unit/g〕
(3)商品名:スミチームL、新日本化学工業(株)製、至適温度65℃、失活温度75℃〔酵素活性:12000unit/g〕
(4)商品名:スミチームAS、新日本化学工業(株)製、至適温度65℃、失活温度75℃〔酵素活性:2000unit/g〕
(5)商品名:ファンガミル、ノボザイムジャパン(株)製、至適温度60℃、失活温度75℃〔酵素活性:15000unit/g〕
(6)商品名:グリンドアミルH460、ダニスコジャパン(株)製〔酵素活性:10000unit/g〕
本発明の製パン用油脂組成物を使用して製パンしたパンは、ソフトであり、ソフトな食感が長く保持できることがわかる(実施例1〜5)。
本発明に使用する、α−アミラーゼを単独で使用しても十分なソフト感を達成できず、本発明において至適温度が異なる2種類のα−アミラーゼを組み合わせることにより達成できる効果であることがわかる(比較例1、2)。
Figure 2017029005
表2中に記載した加工澱粉は、エーテル架橋α化澱粉「パインソフトS」(松谷化学工業(株)製)を用いた。
表2を見ると、乳化剤、加工澱粉を添加することにより、ソフトなパンを得られるという効果が更に強まることがわかる(実施例6、7)。

Claims (5)

  1. 食用油脂及びα−アミラーゼを含有する製パン用油脂組成物において、
    食用油脂100g当りに、
    (A)至適温度が70〜85℃であるα−アミラーゼを活性量として200〜25000unit、及び、
    (B)至適温度が50〜65℃であるα−アミラーゼを活性量として10〜10000unit、
    を含有する製パン用油脂組成物。
  2. 前記(B)の至適温度が50〜65℃であるα−アミラーゼの活性量に対する前記の(A)至適温度が70〜85℃であるα−アミラーゼの活性量比[(A)/(B)]が、10〜18である請求項1に記載の製パン用油脂組成物。
  3. さらに、食用油脂100質量部に対して炭素数12〜24の脂肪酸を有するモノグリセリン脂肪酸エステルを0.01〜2質量部を含有する請求項1又は2に記載の製パン用油脂組成物。
  4. さらに、食用油脂100g当りに、キシラナーゼを活性量として1〜5000unitを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の製パン用油脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製パン用油脂組成物を含有するパン類。
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