JP2001340060A - 炊飯米アロマおよびその製造方法 - Google Patents

炊飯米アロマおよびその製造方法

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JP2001340060A
JP2001340060A JP2000164420A JP2000164420A JP2001340060A JP 2001340060 A JP2001340060 A JP 2001340060A JP 2000164420 A JP2000164420 A JP 2000164420A JP 2000164420 A JP2000164420 A JP 2000164420A JP 2001340060 A JP2001340060 A JP 2001340060A
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rice
cooked rice
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aroma
cooked
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JP2000164420A
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Satoru Shiraishi
悟 白石
Tsukasa Saito
司 斉藤
Kotaro Suzuki
康太郎 鈴木
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T Hasegawa Co Ltd
Original Assignee
T Hasegawa Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種の無菌炊飯米に配合することにより、無
菌炊飯米の異臭の生成を抑制し、保存中の風味の劣化を
防止することができる炊飯米フレーバーおよびその製造
方法を提供する。 【解決手段】 米に水を添加して澱粉分解酵素で処理し
た酵素処理物を、水蒸気蒸留法、気液向流接触抽出法な
どの香気回収手段に供して回収香気を得ることを特徴と
する炊飯米フレーバーおよびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、米飯の炊きたての
風味を付与することができる炊飯米フレーバーおよびそ
の製造方法に関する。さらに詳しくは、米に水を添加し
て澱粉分解酵素で処理した酵素処理物を、香気回収手段
に供して回収香気を得ることを特徴とする炊飯米フレー
バーの製造方法及び該製造方法により得られる炊飯米フ
レーバーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、家族構成の少人数化、生活スタイ
ルの都市化、食事嗜好の欧米化等によって、日本人の食
生活は大きく変化してきている。すなわち、家庭内で調
理することが減少し、家庭外で食事をする機会(外食)
と家庭外で調理した食品を購入し家庭内で食事をする機
会(内食)が増加している。内食についてみると、当初
は副食である総菜が中心であったが、炊飯技術や流通技
術の向上等によって、本来主食であるご飯についても家
庭外からの購入が増加し、レトルト米飯(パックライ
ス)、いわゆる無菌炊飯米の消費量は年々増加してい
る。
【0003】しかしながら、無菌炊飯米は日持ちを向上
させるため、例えば、pH調整剤などの添加物が使用さ
れているため、その添加物に由来する異臭がしたり、保
存中に風味が劣化して嗜好性を下げるという問題があ
る。
【0004】従来、米飯の風味を改善することを目的と
して数多くの提案がなされている。例えば、米をサイク
ロデキストリンと共に炊飯することにより、米飯の品質
を改良する方法(特開昭56−127058号公報)、
精白米の炊飯に際し、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパ
ーゼ等の酵素と食塩及びサイクロデキストリンを併用し
て低質米や古米などの炊飯時における品質を改良する方
法(特開昭58−86050号公報)、古米に対してグ
リシンを添加することよりなる古米臭の除去方法(特公
昭49−48744号公報)、食用油を適量添加して炊
飯する方法(特開昭56−68366号公報)、ツバキ
科植物の乾留分を添加して炊飯する方法(特開昭63−
113052号公報)、香味剤に乳化剤及び水を加えた
後、ホモジナイズして得られた香味改良剤を普通米に添
加して炊飯する方法(特開2000−14338号公
報)などが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来提案は、添加する米飯改良剤由来の異臭があり、米
飯の炊き立ての風味を付与する点では必ずしも満足でき
るものではない。
【0006】従って、本発明の目的は、米飯の炊き立て
の風味を付与することができる炊飯米フレーバーおよび
その製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のごと
き課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、米に
水を添加して澱粉分解酵素で処理した酵素処理物を、水
蒸気蒸留法または気液向流接触抽出法などの香気回収手
段に供して得た回収香気(炊飯米フレーバー)が米飯の
炊き立ての風味を有し、該炊飯米フレーバーをパックラ
イスなどの米飯食品に配合することにより、嗜好性を飛
躍的に向上させることができることを見いだし本発明を
完成した。
【0008】従って、本発明は、米に水を添加して澱粉
分解酵素で処理した酵素処理物を、水蒸気蒸留法または
気液向流接触抽出法などの香気回収手段に供して回収香
気を得ることを特徴とする炊飯米フレーバーの製造方法
およびその製造方法によって得られる炊飯米フレーバー
である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。
【0010】本発明の炊飯米フレーバーは、米に水を添
加して澱粉分解酵素で処理した酵素処理物を、水蒸気蒸
留法または気液向流接触抽出法などの香気回収手段に供
することにより得ることができる。
【0011】本発明で使用する米としては、その種類、
品種、産地などには限定されず、日本米、タイ米、香り
米など、いかなる米も使用することができる。また、米
の精米度にも限定されず、玄米、精米、米糠などのいず
れでも使用することができる。また、使用する米は澱粉
分解酵素で処理する前に、適宜な粉砕手段により粉砕す
ることが好ましい。
【0012】本発明ではまず、米に水を添加して澱粉分
解酵素で酵素処理をおこなう。かかる澱粉分解酵素とし
ては、特に制限されず、α−アミラーゼ、β−アミラー
ゼ、イソアミラーゼなどを主体とする酵素を挙げること
ができ、市場で容易に得ることができる。
【0013】米を澱粉分解酵素で処理する一実施態様を
例示すれば、例えば、米1重量部に水を約5〜約50重
量部添加し、約70〜約100℃程度の温度範囲で、約
5分〜約1時間程度加熱した後、冷却し、澱粉分解酵素
を米に対して約0.01〜約2重量%添加し、約40〜
約80℃の温度範囲で、約5分〜約4時間酵素処理する
ことにより酵素処理物を得ることができる。
【0014】上述の酵素処理物を香気回収手段に供する
ことにより、本発明の炊飯米フレーバーを得ることがで
きる。香気回収手段としては特に制限されないが、例え
ば、水蒸気蒸留法、気液向流接触抽出法を挙げることが
できる。水蒸気蒸留法は通常行われている方法であり、
これは、原料に水蒸気を通気し、水蒸気に伴われて留出
してくる香気成分を水蒸気とともに凝縮させる方法であ
る。このような水蒸気蒸留法は、加圧水蒸気蒸留、常圧
水蒸気蒸留、減圧水蒸気蒸留のいずれの蒸留方法も採用
できる。具体的には、上述の米の澱粉分解酵素処理物を
仕込んだ水蒸気蒸留釜の底部から水蒸気を吹き込み、上
部の留出側に接続した冷却器で留出蒸気を冷却すること
により凝縮水として揮発性香気成分を含有した留出液を
捕集する。必要に応じて、この香気捕集装置の先に冷媒
を用いたコールドトラップを接続することにより、より
低沸点の揮発性香気成分をも確実に捕集することができ
る。水蒸気蒸留における留出液捕集量は特別の制約はな
く、例えば、米の澱粉分解酵素処理物1重量部に対し約
0.01〜約2重量部、好ましくは約0.05〜約1重
量部の範囲を例示することができる。
【0015】次に気液向流接触抽出法について説明す
る。気液向流接触抽出法は特に限定されないが、例え
ば、特公平7−22646号公報に示されているような
装置を用いて抽出する方法を採用することができる。こ
の装置を用いて香気を回収する手段を具体的に説明する
と、回転円錐と固定円錐が交互に組み合わせられた構造
を有し、液状またはペースト状の米の澱粉分解酵素処理
物を上部から回転円錐上に流下させ、下部から蒸気を上
昇させ、米の澱粉分解酵素処理物に本来的に存在してい
る香気成分を回収する方法を例示することができる。こ
の気液向流接触抽出装置の操作条件としては、該装置の
処理能力、米の澱粉分解酵素処理物の種類および濃度、
香気の強度その他によって任意に選択できる。一例を示
せば、下記のごとくである。 原料供給速度:300〜700L/Hr 蒸気流量:5〜50Kg/Hr 蒸発量:3〜35Kg/Hr カラム底部温度:40〜100℃ カラム上部温度:40〜100℃ 真空度:大気圧〜−100Kpa 気液向流接触抽出法における回収香捕集量は特別の制約
はなく、例えば、米の澱粉分解酵素処理物1重量部に対
し約0.01〜約0.1重量部、好ましくは約0.02
〜約0.05重量部の範囲を例示することができる。
【0016】上記の如くして得られた炊飯米フレーバー
に、所望により本発明方法以外の手段で得られたフレー
バー又は化学合成による香料化合物などを混合した調合
香料などを配合することもできる。またこのようにして
得られた炊飯米フレーバーに糖類、デキストリン、サイ
クロデキストリン、澱粉、アラビアガム、ゼラチン、カ
ゼイン、植物蛋白質及びこれらの混合物の如き任意の賦
形剤を添加することができる。このような賦形剤を含有
した炊飯米フレーバーを、例えば、ホモジナイザーを用
いて均質化処理して乳状液として利用することができ
る。更に、該乳状液を噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥の
如き任意の既知の乾燥手段により、粉末状もしくは顆粒
状とすることができる。
【0017】本発明によって得られる炊飯米フレーバー
は、各種の無菌炊飯米に配合することにより、無菌炊飯
米の異臭の生成を抑制し、保存中の風味の劣化を防止す
ることができる。本発明の炊飯米フレーバーの添加時期
は、米飯食品の製造工程の当初から終了に至る任意の時
点、例えば、浸漬、蒸煮、加湿、調湿、炊飯などの各工
程のうち1または2以上の時点とすることができる。本
発明の炊飯米フレーバーの配合割合は特に限定されず、
配合する無菌炊飯米の種類等により適宜決定できるが、
例えば、無菌炊飯米の重量を基準として、約0.1〜約
1重量%を例示することができる。また、本発明の炊飯
米フレーバーは無菌炊飯米だけでなく、各種の飲食品に
炊飯米の香気を付与するための香気付与剤として有用で
ある。
【0018】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳細
に説明する。
【0019】実施例1 コシヒカリ(魚沼産)の粉砕物200gに水1800g
を添加して、約90℃にて30分間加熱し、70℃まで
冷却した後、コクラーゼ(三共(株)製の澱粉分解酵
素)2gを添加して約70℃にて30分間酵素処理して
酵素処理物2002gを得た。この酵素処理物を5リッ
トル容の水蒸気蒸留釜に仕込み、釜の下部より加熱水蒸
気を吹き込みながら約100℃で約1時間水蒸気蒸留を
行った。留出する揮発性香気成分を含んだ水蒸気を水冷
式ガラス冷却管を用いて約20℃に冷却し、凝縮させる
ことにより留出液200gを得た(本発明品1)。
【0020】実施例2 さわかおり(香り米)の粉砕物50Kgに水450Kg
を添加して、約90℃にて30分間加熱し、70℃まで
冷却した後、コクラーゼ25gを添加し、約70℃にて
30分間酵素処理して酵素処理物500Kgを得た。こ
の酵素処理物は下記の条件にて気液向流接触装置にて処
理して、炊飯米フレーバー20Kgを得た(本発明品
2)。気液向流接触装置の運転条件 原料供給速度:500L/Hr 蒸気供給量:40Kg/Hr 蒸発量:20Kg/Hr カラム底部温度:100℃ カラム上部温度:100℃ (パックライス配合例)精白米500gを洗米し一定量
の加水を行い、浸漬する。その後、一定量のグルコン酸
を添加して炊飯する際に、本発明品1または2の炊飯米
フレーバー5gを添加したもの(本発明品添加品)と、
添加しないもの(比較品)をそれぞれ炊飯し、容器に充
填した後、それぞれ常温で3日および1ヶ月間保管し
た。それぞれのパックライスを電子レンジで温めた後、
よく訓練された専門のパネラー15名により官能評価を
行った。15名のパネラーの平均の評価結果を表1に示
す。
【0021】
【表1】表1:香気官能評価
【0022】表1の結果から明らかな如く、本発明の炊
飯米フレーバー添加品は比較品に比べ、パックライスに
ある酸臭を好ましい炊飯米の香りによってマスキングし
ており、明確な差異が認められた。また、1ヶ月保存後
においても比較品が酸臭や劣化臭が感じられるのに対し
て、本発明の炊飯米フレーバー添加品は、自然で良好な
炊飯米の香りが維持されており、比較品にある異臭をマ
スキングしていた。15名のパネラー全員が3日後およ
び1ヶ月後のいずれにおいても本発明品添加品の方が良
好と判定した。
【0023】
【発明の効果】本発明によって得られる炊飯米フレーバ
ーは、各種の無菌炊飯米に配合することにより、無菌炊
飯米の異臭の生成を抑制し、保存中の風味の劣化を防止
することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月6日(2000.7.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 炊飯米アロマおよびその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、米飯の炊きたての
風味を付与することができる炊飯米アロマおよびその製
造方法に関する。さらに詳しくは、米に水を添加して澱
粉分解酵素で処理した酵素処理物を、香気回収手段に供
して回収香気を得ることを特徴とする炊飯米アロマの製
造方法及び該製造方法により得られる炊飯米アロマに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、家族構成の少人数化、生活スタイ
ルの都市化、食事嗜好の欧米化等によって、日本人の食
生活は大きく変化してきている。すなわち、家庭内で調
理することが減少し、家庭外で食事をする機会(外食)
と家庭外で調理した食品を購入し家庭内で食事をする機
会(内食)が増加している。内食についてみると、当初
は副食である総菜が中心であったが、炊飯技術や流通技
術の向上等によって、本来主食であるご飯についても家
庭外からの購入が増加し、レトルト米飯(パックライ
ス)、いわゆる無菌炊飯米の消費量は年々増加してい
る。
【0003】しかしながら、無菌炊飯米は日持ちを向上
させるため、例えば、pH調整剤などの添加物が使用さ
れているため、その添加物に由来する異臭がしたり、保
存中に風味が劣化して嗜好性を下げるという問題があ
る。
【0004】従来、米飯の風味を改善することを目的と
して数多くの提案がなされている。例えば、米をサイク
ロデキストリンと共に炊飯することにより、米飯の品質
を改良する方法(特開昭56−127058号公報)、
精白米の炊飯に際し、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパ
ーゼ等の酵素と食塩及びサイクロデキストリンを併用し
て低質米や古米などの炊飯時における品質を改良する方
法(特開昭58−86050号公報)、古米に対してグ
リシンを添加することよりなる古米臭の除去方法(特公
昭49−48744号公報)、食用油を適量添加して炊
飯する方法(特開昭56−68366号公報)、ツバキ
科植物の乾留分を添加して炊飯する方法(特開昭63−
113052号公報)、香味剤に乳化剤及び水を加えた
後、ホモジナイズして得られた香味改良剤を普通米に添
加して炊飯する方法(特開2000−14338号公
報)などが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来提案は、添加する米飯改良剤由来の異臭があり、米
飯の炊き立ての風味を付与する点では必ずしも満足でき
るものではない。
【0006】従って、本発明の目的は、米飯の炊き立て
の風味を付与することができる炊飯米アロマおよびその
製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のごと
き課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、米に
水を添加して澱粉分解酵素で処理した酵素処理物を、水
蒸気蒸留法または気液向流接触抽出法などの香気回収手
段に供して得た回収香気(炊飯米アロマ)が米飯の炊き
立ての風味を有し、該炊飯米アロマをパックライスなど
の米飯食品に配合することにより、嗜好性を飛躍的に向
上させることができることを見いだし本発明を完成し
た。
【0008】従って、本発明は、米に水を添加して澱粉
分解酵素で処理した酵素処理物を、水蒸気蒸留法または
気液向流接触抽出法などの香気回収手段に供して回収香
気を得ることを特徴とする炊飯米アロマの製造方法およ
びその製造方法によって得られる炊飯米アロマである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。
【0010】本発明の炊飯米アロマは、米に水を添加し
て澱粉分解酵素で処理した酵素処理物を、水蒸気蒸留法
または気液向流接触抽出法などの香気回収手段に供する
ことにより得ることができる。
【0011】本発明で使用する米としては、その種類、
品種、産地などには限定されず、日本米、タイ米、香り
米など、いかなる米も使用することができる。また、米
の精米度にも限定されず、玄米、精米、米糠などのいず
れでも使用することができる。また、使用する米は澱粉
分解酵素で処理する前に、適宜な粉砕手段により粉砕す
ることが好ましい。
【0012】本発明ではまず、米に水を添加して澱粉分
解酵素で酵素処理をおこなう。かかる澱粉分解酵素とし
ては、特に制限されず、α−アミラーゼ、β−アミラー
ゼ、イソアミラーゼなどを主体とする酵素を挙げること
ができ、市場で容易に得ることができる。
【0013】米を澱粉分解酵素で処理する一実施態様を
例示すれば、例えば、米1重量部に水を約5〜約50重
量部添加し、約70〜約100℃程度の温度範囲で、約
5分〜約1時間程度加熱した後、冷却し、澱粉分解酵素
を米に対して約0.01〜約2重量%添加し、約40〜
約80℃の温度範囲で、約5分〜約4時間酵素処理する
ことにより酵素処理物を得ることができる。
【0014】上述の酵素処理物を香気回収手段に供する
ことにより、本発明の炊飯米アロマを得ることができ
る。香気回収手段としては特に制限されないが、例え
ば、水蒸気蒸留法、気液向流接触抽出法を挙げることが
できる。水蒸気蒸留法は通常行われている方法であり、
これは、原料に水蒸気を通気し、水蒸気に伴われて留出
してくる香気成分を水蒸気とともに凝縮させる方法であ
る。このような水蒸気蒸留法は、加圧水蒸気蒸留、常圧
水蒸気蒸留、減圧水蒸気蒸留のいずれの蒸留方法も採用
できる。具体的には、上述の米の澱粉分解酵素処理物を
仕込んだ水蒸気蒸留釜の底部から水蒸気を吹き込み、上
部の留出側に接続した冷却器で留出蒸気を冷却すること
により凝縮水として揮発性香気成分を含有した留出液を
捕集する。必要に応じて、この香気捕集装置の先に冷媒
を用いたコールドトラップを接続することにより、より
低沸点の揮発性香気成分をも確実に捕集することができ
る。水蒸気蒸留における留出液捕集量は特別の制約はな
く、例えば、米の澱粉分解酵素処理物1重量部に対し約
0.01〜約2重量部、好ましくは約0.05〜約1重
量部の範囲を例示することができる。
【0015】次に気液向流接触抽出法について説明す
る。気液向流接触抽出法は特に限定されないが、例え
ば、特公平7−22646号公報に示されているような
装置を用いて抽出する方法を採用することができる。こ
の装置を用いて香気を回収する手段を具体的に説明する
と、回転円錐と固定円錐が交互に組み合わせられた構造
を有し、液状またはペースト状の米の澱粉分解酵素処理
物を上部から回転円錐上に流下させ、下部から蒸気を上
昇させ、米の澱粉分解酵素処理物に本来的に存在してい
る香気成分を回収する方法を例示することができる。こ
の気液向流接触抽出装置の操作条件としては、該装置の
処理能力、米の澱粉分解酵素処理物の種類および濃度、
香気の強度その他によって任意に選択できる。一例を示
せば、下記のごとくである。 原料供給速度:300〜700L/Hr 蒸気流量:5〜50Kg/Hr 蒸発量:3〜35Kg/Hr カラム底部温度:40〜100℃ カラム上部温度:40〜100℃ 真空度:大気圧〜−100Kpa 気液向流接触抽出法における回収香捕集量は特別の制約
はなく、例えば、米の澱粉分解酵素処理物1重量部に対
し約0.01〜約0.1重量部、好ましくは約0.02
〜約0.05重量部の範囲を例示することができる。
【0016】上記の如くして得られた炊飯米アロマに、
所望により本発明方法以外の手段で得られたフレーバー
又は化学合成による香料化合物などを混合した調合香料
などを配合することもできる。またこのようにして得ら
れた炊飯米アロマに糖類、デキストリン、サイクロデキ
ストリン、澱粉、アラビアガム、ゼラチン、カゼイン、
植物蛋白質及びこれらの混合物の如き任意の賦形剤を添
加することができる。このような賦形剤を含有した炊飯
米アロマを、例えば、ホモジナイザーを用いて均質化処
理して乳状液として利用することができる。更に、該乳
状液を噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥の如き任意の既知
の乾燥手段により、粉末状もしくは顆粒状とすることが
できる。
【0017】本発明によって得られる炊飯米アロマは、
各種の無菌炊飯米に配合することにより、無菌炊飯米の
異臭の生成を抑制し、保存中の風味の劣化を防止するこ
とができる。本発明の炊飯米アロマの添加時期は、米飯
食品の製造工程の当初から終了に至る任意の時点、例え
ば、浸漬、蒸煮、加湿、調湿、炊飯などの各工程のうち
1または2以上の時点とすることができる。本発明の炊
飯米アロマの配合割合は特に限定されず、配合する無菌
炊飯米の種類等により適宜決定できるが、例えば、無菌
炊飯米の重量を基準として、約0.1〜約1重量%を例
示することができる。また、本発明の炊飯米アロマは無
菌炊飯米だけでなく、各種の飲食品に炊飯米の香気を付
与するための香気付与剤として有用である。
【0018】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳細
に説明する。
【0019】実施例1 コシヒカリ(魚沼産)の粉砕物200gに水1800g
を添加して、約90℃にて30分間加熱し、70℃まで
冷却した後、コクラーゼ(三共(株)製の澱粉分解酵
素)2gを添加して約70℃にて30分間酵素処理して
酵素処理物2002gを得た。この酵素処理物を5リッ
トル容の水蒸気蒸留釜に仕込み、釜の下部より加熱水蒸
気を吹き込みながら約100℃で約1時間水蒸気蒸留を
行った。留出する揮発性香気成分を含んだ水蒸気を水冷
式ガラス冷却管を用いて約20℃に冷却し、凝縮させる
ことにより留出液200gを得た(本発明品1)。
【0020】実施例2 さわかおり(香り米)の粉砕物50Kgに水450Kg
を添加して、約90℃にて30分間加熱し、70℃まで
冷却した後、コクラーゼ25gを添加し、約70℃にて
30分間酵素処理して酵素処理物500Kgを得た。こ
の酵素処理物は下記の条件にて気液向流接触装置にて処
理して、炊飯米アロマ20Kgを得た(本発明品2)。気液向流接触装置の運転条件 原料供給速度:500L/Hr 蒸気供給量:40Kg/Hr 蒸発量:20Kg/Hr カラム底部温度:100℃ カラム上部温度:100℃ (パックライス配合例)精白米500gを洗米し一定量
の加水を行い、浸漬する。その後、一定量のグルコン酸
を添加して炊飯する際に、本発明品1または2の炊飯米
アロマ5gを添加したもの(本発明品添加品)と、添加
しないもの(比較品)をそれぞれ炊飯し、容器に充填し
た後、それぞれ常温で3日および1ヶ月間保管した。そ
れぞれのパックライスを電子レンジで温めた後、よく訓
練された専門のパネラー15名により官能評価を行っ
た。15名のパネラーの平均の評価結果を表1に示す。
【0021】
【表1】表1:香気官能評価
【0022】表1の結果から明らかな如く、本発明の炊
飯米アロマ添加品は比較品に比べ、パックライスにある
酸臭を好ましい炊飯米の香りによってマスキングしてお
り、明確な差異が認められた。また、1ヶ月保存後にお
いても比較品が酸臭や劣化臭が感じられるのに対して、
本発明の炊飯米アロマ添加品は、自然で良好な炊飯米の
香りが維持されており、比較品にある異臭をマスキング
していた。15名のパネラー全員が3日後および1ヶ月
後のいずれにおいても本発明品添加品の方が良好と判定
した。
【0023】
【発明の効果】本発明によって得られる炊飯米アロマ
は、各種の無菌炊飯米に配合することにより、無菌炊飯
米の異臭の生成を抑制し、保存中の風味の劣化を防止す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B023 LC02 LE11 LK17 LL03 LP20 4B047 LB03 LB06 LE01 LF02 LG41 LG58 LP01 LP18 4H059 AA04 BC44 BC48 CA12 CA18 DA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】米に水を添加して澱粉分解酵素で処理した
    酵素処理物を、香気回収手段に供して回収香気を得るこ
    とを特徴とする炊飯米フレーバーの製造方法。
  2. 【請求項2】香気回収手段が、水蒸気蒸留法または気液
    向流接触抽出法である請求項1記載の炊飯米フレーバー
    の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の製造方法により得
    られる炊飯米フレーバー。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014150760A (ja) * 2013-02-08 2014-08-25 Q P Corp 米香気強化組成物又は米香気強化剤、及びこれらを用いた米飯
JP2017029005A (ja) * 2015-07-29 2017-02-09 日油株式会社 製パン用油脂組成物
KR20210078601A (ko) * 2019-12-18 2021-06-29 동국대학교 산학협력단 쌀의 향기 성분의 추출 방법

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