JP3272917B2 - 調味料の製造法 - Google Patents
調味料の製造法Info
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係るものである。
の調理には勿論のこと、各種加工食品の調味料として多
用されている。通常、醤油は蒸した大豆と炒った小麦の
混合物に麹菌を接種して醤油麹と成し、これを高濃度の
食塩水と共に仕込み、6〜12ヵ月という長期間をかけ
て発酵、熟成させ製造される。この間麹中の酵素により
原料は分解されて旨味成分となり、あるいは乳酸菌、酵
母の働きにより種々のフレーバーが生成され、独特の味
と香りを有する調味料となる。
は、主として原料の分解、発酵、熟成中の有害な微生物
の繁殖を抑制(腐敗防止)するためであり、酵素の働き
にとってはマイナスの要素である。すなわち原料の酵素
分解は、仕込み食塩水の濃度の低いほうが速やかに行わ
れ、醸造期間の短縮を計ることができる。ところが食塩
水の使用は有害微生物の繁殖抑制という目的もあるの
で、一定の濃度以上にする必要があり、このため酵素分
解は長時間をかけざるを得ないというのが現状である。
に、グルタミン酸濃度/窒素濃度(Glu./T.
N.)も重要であるが、高食塩濃度下ではGlu./
T.N.を1以上にすることはきわめて困難である。
を食塩に頼らず、温度やpHをコントロールしたり、アル
コールを添加することによって行い、短期間に醸造する
方法として高温分解法やアルコール仕込み法、あるいは
これらを組み合わせた方法が提案されている。例えば特
公昭40−4433号「醤油の無塩分解法」、特公昭4
0−18817号「濃味なる調味料製造法」、特公昭4
4−21399号「減塩濃厚醤油の製造法」、特公昭6
2−62143号「低食塩醤油の製造法」、あるいは特
開平5−219915号「低塩醤油の製造法」等にこれ
らの例をみることができる。
高温度保持をもって行う高温分解法では、無塩の場合で
50℃以上、食塩濃度5%で45℃以上の条件が必要で
あり、分解液に温醸臭が付く、製品が濃色になる等の欠
点がある。またアルコールの存在によって有害微生物の
繁殖を抑制するアルコール仕込み法においては、温度を
低く設定することは可能であるが、分解液のグルタミン
酸/総窒素(Glu./T.N.)が低いこと、添加し
たアルコールが、後工程における乳酸菌、酵母の発酵を
抑制し、風味のよい調味料とすることが困難であるとい
う問題点がある。
問題点を解決し、温醸臭がなく、Glu./T.N.の
高い調味料を短期間に得る方法について検討したとこ
ろ、醤油麹をアルコール存在下で酵素分解する際に、ア
ルコール濃度をコントロールし、(1)初期段階での醤油
麹由来の雑菌繁殖及び装置 上のサニテーションの不完
全さに基づく雑菌汚染の防止を仕込み水中の高アルコー
ル濃度で抑制する、(2)第二段階で、水分活性を低下せ
しめるアミノ酸、糖等の分解生成物の溶出に合わせて、
防黴作用を有するアルコール濃度を強制的に低下せし
め、これら一連の操作により、目的とする調味料が得ら
れるという知見を得て本発明を完成させた。
明する。本発明で使用される醤油麹は通常の醤油麹と何
ら変わるところはなく、公知の方法で変性処理した大豆
と小麦の混合物に種麹を接種、培養して製せられたもの
である。
0%、好ましくは10〜15%になるように仕込み、よ
く混合する。仕込み時にアルコールを存在させること
は、仕込み初期のもろ味の腐敗を防止するためのもので
あって、分解温度、食塩濃度によってもその濃度は異な
るが、35℃、無塩であればアルコール濃度は20%、
45℃、5%であれば5%程度である。
のほかに、各種の酒類、例えば清酒、焼酎、みりん、ワ
イン等を用いることができる。この場合所定のアルコー
ル濃度に調整することが困難なときは、エタノールと併
用すればよい。また仕込み時の食塩は0%が好ましい
が、5%以下、例えば2〜3%程度の食塩を存在させて
もよい。そして当然のことながら、食塩を存在させた場
合にはアルコール濃度は低めに設定できる。更に本発明
においては、醤油麹と共に、米麹及び/又は蒸米を仕込
むことができる。こうすることにより得られる調味料
は、醤油とみりんを混合した、たれ様調味料を得ること
ができる。こうした仕込み物料を35〜45℃、好まし
くは40〜45℃に加温し、24〜72時間、好ましく
は36〜60時間酵素分解する。
が、高すぎると温醸臭が付き、また醤油麹の酵素作用条
件を考慮すれば上記温度範囲が好適である。またこの温
度範囲で分解を行うことにより、無塩ないし低食塩条件
であることも相俟って24〜48時間で分解率は90%
以上に達する。そして、上記の酵素分解工程で仕込み物
料中のアルコールを強制的に蒸散させる。
を強制的に蒸散させるところにあり、この点が従来のア
ルコール仕込み法と異なるところである。仕込み時にア
ルコールを存在させることは、有害微生物の増殖を抑制
するためであり、特に仕込み初期の有害微生物の抑制は
重要である。したがって仕込み初期のアルコール濃度は
高く設定する必要があるが、分解が進行して各種成分が
仕込み水中に溶出する程度に応じて、アルコール濃度を
低くしても、有害微生物の増殖は抑制される。そしてア
ルコールは蛋白質分解酵素等の酵素の働きを阻害するも
のであるから、アルコール濃度を低下させることにより
分解率が向上する。
素分解工程で仕込み物料中のアルコールを強制的に蒸散
させるのである。アルコールの蒸散は、仕込み物料にエ
アを吹き込むことによって、或いは分解タンクを減圧に
することによって、或いはこれらを組み合わせた方法に
よって行うことができる。
料のアルコール濃度が2%以下となるように徐々に行な
えばよい。残存アルコール濃度が高いと、次の発酵工程
に悪影響を及ぼすことになる。エア吹き込みによりアル
コールを蒸散させる場合のエアは、できるだけ微小粒径
のエアとし、仕込み物料との接触面積を大きくした方が
効率よくアルコールを蒸散させることができる。蒸散し
たアルコールは公知の方法、例えば活性炭による吸着、
及び冷却コンデンサーにより回収することができ、回収
されたアルコールは再利用できる。このようにして得ら
れた分解液は分解率(窒素利用率)が高く、またGl
u./T.N.の高い分解液であり、このままでも食品
の風味を強化する添加剤等に使用できる。
分解物に必要により食塩を添加し、発酵熟成させること
により、調味料とすることができる。例えば分解液に醤
油酵母及び/又は醤油乳酸菌を添加し、30〜38℃
で、時々攪拌しながら3〜10日間発酵、熟成させる。
こうして得られたもろ味は外観的にはほとんど醤油もろ
味と同様であり、これを圧搾、濾過、火入れ、殺菌して
液状の調味料とする。また、もろ味をモホジナイズ処理
して泥状の調味料としてもよい。本発明では仕込み原料
として醤油麹を用いているが、醤油原料を酵素剤を用い
て分解する方法に於いても本発明方法を応用することが
できる。
味料を得ることができ、またアルコールの強制蒸散に伴
い水分も蒸散するので、結果的に仕込み物料が濃縮され
ることになり、窒素濃度の高い調味料が得られるという
効果もある。
明する。なお以下の実施例における成分分析は(財)日
本醤油研究所「しょうゆ試験法」によった。
5:45の割合で混合し、これに醤油種麹を接種し、7
2時間通風製麹して醤油麹を得た。この醤油麹8kgをア
ルコール濃度15%の、40℃の仕込み水12.5l中
に仕込み(もろ味中のアルコール濃度10%)、この温
度を保ちながら48時間分解した。分解は図1に示す分
解タンクにより行い、分解中は図2に示す特殊攪拌翼を
回転させながら1分間当たり15lのエアを吹き込みな
がら攪拌した。図2に示す攪拌翼はその断面図である図
3からわかるように、攪拌翼のシャフトを通して導入さ
れたエアは8ケの翼の先端から上下に分れて噴出される
構造になっており、しかも高速で回転させているので、
導入されたエアは微細な粒径となってもろ味中に放出さ
れるのである。導入されたエアと共にもろ味上部から蒸
散したアルコールは分解タンクのBから、これに接続し
て設けられた、図4に示すアルコール回収装置の活性炭
に吸着させ、水蒸気で脱着後コンデンサーで凝縮させ、
アルコール水溶液として回収した。なおアルコール回収
装置は図5に示すように。活性炭に吸着させることなく
直接コンデンサーで凝縮させ回収してもよい。分解終了
後のもろ味液汁の分析値は表1の通りであった。なお対
照はエア吹き込みは行わず、攪拌翼のみの攪拌により分
解を行ったものの分析値である。
下部から取り出し38℃に冷却し、これに食塩を10%
になるように添加し、更に醤油酵母(サッカロマイセス
・ルキシー)及び醤油乳酸菌(ペディオコッカス・ハロ
フィルス)の培養液をもろ味1当たりそれぞれ15ml添
加し、37℃で5日間発酵させた。発酵もろ味を圧搾、
搾汁し、これを125℃、5秒間の火入れ殺菌し、55
℃で3日間保持しており引きして調味料を得た。これら
液汁の分析値を表2に示す。
0gをアルコール濃度15%、 食塩濃度0%の、 40
℃の仕込み水13l中に仕込み(もろ味中のアルコール
濃度10 .5% )、この温度を保ちながら48時間分
解した。なお分解開始30時間後に食塩1kgを添加し防
黴性を保った。分解は図1に示す分解タンクにより行
い、分解中は図2に示す特殊攪拌翼を回転させながら1
分間当たり15lのエアを吹き込みながら攪拌し、アル
コールを蒸散させた。蒸散したアルコールは図5に示す
アルコール回収装置の冷却コンデンサーで凝縮させ、ア
ルコール水溶液として回収した。分解終了後のもろ味液
汁の分析値は表3の通りであった。なお対照はエア吹き
込みは行わず、攪拌翼のみの攪拌により分解を行ったも
のの分析値である。
し、これに醤油酵母及び醤油乳酸菌の培養液をそれぞれ
もろ味1l当たり15ml添加し、37℃で 10日間発
酵させた。発酵もろ味を圧搾、搾汁し、これを125
℃、5秒間の火入れ殺菌後、55℃で3日間おり引きし
調味料を得た。これら液汁の分析値を表4に示す。
の割合で混合し、これに醤油種麹を接種し、72時間通
風製麹して醤油麹を得た。この醤油麹8kgをアルコール
濃度18%、食塩0%の、35℃の仕込み水12.5l
中に仕込み(もろ味中のアルコール濃度12.5%)、
この温度を保ちながら48時間分解した。分解開始30
時間後に食塩濃度10%になるように、1.8kgの食塩
を 添加した。分解は図1に示す分解タンクにより行
い、分解中は図2に示す特殊攪拌翼を回転させながら1
分間当たり15lのエアを吹き込みながら攪拌し、アル
コールを蒸散させた。蒸散したアルコールは図4に示す
アルコール回収装置の活性炭に吸着させ、水蒸気で脱着
後コンデンサーで凝縮させ、アルコール水溶液として回
収した。分解終了後のもろ味液汁の分析値は表5の通り
であった。なお対照はエア吹き込みは行わず、攪拌翼の
みの攪拌により分解を行ったものの分析値である。
醤油乳酸菌の培養液をもろ味1l当たり15ml添加し、
37℃で7日間発酵させた。発酵もろ味を圧搾、搾汁
し、これを115℃で5秒間火入れ殺菌し、55℃、3
日間おり引きして調味料を得た。これら液汁の分析値を
表6に示す。
の割合で混合し、これに醤油種麹を接種し、72時間通
風製麹して醤油麹を得た。この醤油麹8kgを赤ワイン
2.5l、みりん1lにエタノールを加えアルコール濃
度15%とした、35℃の仕込み水13l中に仕込み
(もろ味中のアルコール濃度12.5%)、この温度を
保ちながら48時間分解した。分解は図1に示す分解タ
ンクにより行い、分解中は図2に示す特殊攪拌翼を回転
させながら1分間当たり20lのエアを吹き込みながら
攪拌し、アルコールを蒸散させた。蒸散したアルコール
は図5に示すアルコール回収装置の冷却コンデンサーで
凝縮させ、アルコール水溶液として回収した。分解終了
後のもろ味液汁の分析値は表7の通りであった。
なるように添加し、更に醤油酵母及び醤油乳酸菌の培養
液をもろ味1当たり15ml添加し、37℃で7日間発酵
させた。発酵もろ味を均質化した後、パルパーフィニッ
シャーで小麦の皮を除去し、これを90℃、10秒間の
火入れ殺菌し、もろ味調味料を得た。これら液汁の分析
値を表8に示す。
による調味料は、Glu./T.N.が高いという特徴 を有し、
またアルコール蒸散に伴う濃縮によりT.N.が高いという
特徴を有する。また、無塩ないし低食塩下での分解であ
り、食塩濃度は任意に設定できるという特徴もある。
例を示す図。
する特殊攪拌翼の斜視図。
いたアルコール回収装置の一実施例を示す図。
回収装置の他の実施例を示す図。
Claims (4)
- 【請求項1】 醤油麹を食塩濃度0〜5%、アルコール
濃度5〜20%になるように仕込み、これを35〜45
℃で酵素分解し、この酵素分解工程中に分解終了時のア
ルコール濃度が2%以下になるように、アルコールを強
制的に蒸散させ、得られた分解液に必要により食塩を添
加し、発酵熟成させることを特徴とする調味料の製造
法。 - 【請求項2】 醤油麹、蒸し米及び/又は米麹を食塩濃
度0〜5%、アルコール濃度5〜20%になるように仕
込み、35〜45℃で酵素分解し、この酵素分解工程中
に分解終了時のアルコール濃度が2%以下になるよう
に、アルコールを強制的に蒸散させ、得られた分解液に
必要により食塩を添加し、発酵熟成させることを特徴と
する調味料の製造法。 - 【請求項3】 仕込み水に用いるアルコールがエタノー
ル、焼酎、清酒、みりん、ワインから選ばれた1種以上
であることを特徴とする請求項1又は2記載の調味料の
製造法。 - 【請求項4】 アルコールの蒸散をエア・バブリング及
び/又は減圧によって行なうことを特徴とする請求項1
又は2記載の調味料の製造法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP25575195A JP3272917B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 調味料の製造法 |
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JP25575195A JP3272917B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 調味料の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0975032A JPH0975032A (ja) | 1997-03-25 |
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ID=17283129
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP25575195A Expired - Lifetime JP3272917B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 調味料の製造法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP3272917B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
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KR100683438B1 (ko) | 2000-10-30 | 2007-02-20 | 아지노모토 가부시키가이샤 | 단백질 가수분해물의 제조방법 |
JP2005312439A (ja) * | 2004-03-31 | 2005-11-10 | Ajinomoto Co Inc | 新規食品とその製造方法 |
JP2006296421A (ja) * | 2005-03-22 | 2006-11-02 | Itoham Foods Inc | 調味料及びその製造方法 |
-
1995
- 1995-09-08 JP JP25575195A patent/JP3272917B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
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