JP2016122689A - 固体電解コンデンサ用品、固体電解コンデンサ、リードフレームおよび固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の固体電解コンデンサ用品は、少なくとも一対の陽極端子と陰極端子を有するリードフレームと、前記陽極端子及び前記陰極端子に接続されたコンデンサ素子と、前記陽極端子、前記陰極端子およびこれらに接続されたコンデンサ素子の外表面を被覆するシリコーン樹脂層とを備える。
【選択図】図1
Description
すなわち、本発明は以下に示す構成を備えるものである。
なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。また、以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる固体電解コンデンサ用品の断面模式図である。
本発明の第1実施形態に係る固体電解コンデンサ用品100は、少なくとも一対の陽極端子11と陰極端子12を有するリードフレーム10と、陰極端子12に載置され、陽極端子11及び陰極端子12と接続されたコンデンサ素子20と、陽極端子11、陰極端子12およびこれらに接続されたコンデンサ素子20の外表面を被覆するシリコーン樹脂層30とを備える。
コンデンサ素子20は、外部に導出された陽極部(例えば、陽極リード線22)を有し、表面に誘電体層21Aが形成された陽極体21上に、半導体層23、導電体層24が順に形成されてなる。
弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、タングステン等を用いることができる。中でもタングステンを用いることが好ましい。
タングステンを主成分とする陽極体を用いると、大容量の固体電解コンデンサ素子を実現することが可能である。また、タングステンを主成分とする陽極体は、化成工程において誘電体層が割れやすいという問題を有する。そのため、外部からの水分を誘電体層で十分防ぐことができず、漏れ電流がより発生しやすくなる。すなわち、タングステンを主成分とする陽極体において、本発明の構成を適用した場合に、漏れ電流を抑制する効果がより顕著となる。
誘電体層21Aは、陽極体21の一部が化成処理によって酸化されたものであり、金属酸化物を含む。例えば、陽極体21がタングステンからなる場合、酸化タングステン(WO3)を含む。
図2は、本発明の一態様に係るリードフレームを模式的に示した斜視図である。リードフレーム10は、少なくとも一対の陽極端子11となる部分と陰極端子12となる部分を有する。陽極端子11となる部分と陰極端子12となる部分以外の補強部13は、コンデンサ素子と結合された後の適当な時期にリードフレームから分離されることになる。図2では、一対の陽極端子11となる部分と、陰極端子12となる部分が3つある場合を例示しているが、当該構造に限られない。例えば、より複数の陽極端子11となる部分及び陰極端子12となる部分が並列して配置された構造でも良く、一対のみからなる構造でもよい。
図2に示す一対の陽極端子11となる部分及び陰極端子12となる部分のそれぞれは、少なくとも1つのコンデンサ素子20と接続することができる。リードフレーム10の陽極端子11は、コンデンサ素子20の陽極部(例えば、陽極リード線22)と溶接等で接続され、リードフレーム10の陰極端子12は、コンデンサ素子20の導電体層24の一部と銀ペースト等で接続される。固体電解コンデンサとして使用する際は、リードフレーム10の補強部13を切り取って用いる。
シリコーン樹脂層30は、コンデンサ素子20をリードフレーム10に載置後に形成したものでも、リードフレーム10とコンデンサ素子20との接続部を除き、載置前に各々別々に形成したものでもよい。またリードフレーム10全面にシリコーン樹脂層30を被覆してもよい。この場合、使用時にコンデンサ素子との電気的な接続を得るために、接続部のシリコーン樹脂層を除去する必要がある。
シリコーン樹脂層30は、陽極端子11、陰極端子12およびこれらに接続されたコンデンサ素子20の外表面を被覆する。シリコーン樹脂層30は、高い撥水性を有する。そのため、外部からの水分(水蒸気等)が、コンデンサ素子20(特に陽極体21)と直接接触することを抑制することができる。そのため、シリコーン樹脂層30が、陽極端子11、陰極端子12およびこれらに接続されたコンデンサ素子20の外表面を被覆することで、固体電解コンデンサの耐湿性を高めることができる。
図3は、本発明の固体電解コンデンサを模式的に図示した断面模式図である。図3では、一つの固体電解コンデンサのみを図示しているが、一対の陽極端子11および陰極端子12上に複数のコンデンサ素子を並列に方向を揃えて載置することもできる。
固体電解コンデンサ200は、少なくとも一対の陽極端子11と陰極端子12を有するリードフレーム10と、陰極端子12に載置され、陽極端子11及び陰極端子12に接続されたコンデンサ素子20と、陽極端子11及び陰極端子12の一部、並びにこれらに接続されたコンデンサ素子20の外表面を被覆するシリコーン樹脂層30と、シリコーン樹脂とは異なる樹脂でシリコーン樹脂層30を覆う樹脂外装40とを備える。また陽極端子11及び陰極端子12の樹脂外装40が形成されていない部分には、シリコーン樹脂層30より厚いメッキ層50が形成されていてもよい。リードフレーム10、コンデンサ素子20、シリコーン樹脂30は前述と同様のものを用いることができる。
樹脂外装40は、シリコーン樹脂と異なる樹脂であれば、一般に公知のものを用いることができる。たとえばエポキシ樹脂を用いて封口したものを用いることができる。樹脂外装40によって、固体電荷コンデンサ素子100が外部からの影響を受けることを抑制することができる。
メッキ層50は、陽極端子11及び陰極端子12の樹脂外装40が形成されていない部分に形成されていてもよい。またその厚みは、シリコーン樹脂層30より厚いことが好ましい。メッキ層50の厚みが、シリコーン樹脂層30の厚みより厚いと、より外部からの水分の進入を防ぐことができる。当該理由について以下に説明する。
本発明の一態様に係る固体電解コンデンサの製造方法は、少なくとも一対の陽極端子と陰極端子を有するリードフレームとコンデンサ素子とを接続する工程と、陽極端子、陰極端子およびこれらに接続されたコンデンサ素子の外表面をシリコーン樹脂層で被覆する工程と、シリコーン樹脂層が被覆された陽極端子及び陰極端子の一部、並びにこれらに接続されたコンデンサ素子を、さらにシリコーン樹脂と異なる樹脂で樹脂封口する工程と、陽極端子及び陰極端子の内、樹脂封口されていない部分のシリコーン樹脂層を除去する工程を有する。またさらに、陽極端子及び陰極端子の内、シリコーン樹脂層が除去された部分に、シリコーン樹脂層より厚いメッキ層を形成する工程を有することが好ましい。以下、図3を参照しながら固体電解コンデンサの製造方法を説明する。
まず、コンデンサ素子20を作製する。コンデンサ素子20は、公知の方法で作製することができる。例えば、陽極リード線22が植立された金属粉の焼結体を成形し、その焼結体に化成処理を施すことによって、誘電体層21Aが形成された陽極体21を作製する。化成処理は、一般に用いられる方法を使用することができ、電解質液中にタングステン陽極体を浸漬させ、電流量を制限しながら行う。電解質液中の電解質としては、例えば、硝酸、硫酸及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
化成処理の終了点は、定電流で化成処理を開始し、電圧が予め設定した化成電圧に達したところで定電圧処理を継続し、電流量がある一定値まで減少したところとするのが一般的である。
次いで、陽極端子11、陰極端子12およびこれらに接続されたコンデンサ素子20の外表面をシリコーン樹脂で被覆し、シリコーン樹脂層30を形成する。シリコーン樹脂層30は、リードフレーム10とコンデンサ素子20が一体化されたものを、シリコーン樹脂溶液に浸漬後に乾燥硬化させることにより作製する。
またシリコーン樹脂溶液に浸漬前に、リードフレーム10とコンデンサ素子20が一体化されたものを界面活性剤が溶解した溶液に浸漬し、乾燥させることが好ましい。界面活性剤溶液に浸漬することで、シリコーン樹脂の被覆性を高めることができる。界面活性剤により、導電体層がシリコーン樹脂をはじくことを低減できる。界面活性剤溶液としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01%水溶液等を用いることができる。
シリコーン樹脂層30が被覆された陽極端子11及び陰極端子12の一部、並びにこれらに接続されたコンデンサ素子20をさらに樹脂封口する。樹脂封口は、公知の方法を用いることができ、例えば、エポキシ樹脂等を用いて、トランスファー成形で固体電解コンデンサ素子を封口することができる。
次いで、陽極端子11及び陰極端子12の内、樹脂封口されていない部分のシリコーン樹脂層30を除去する。除去方法は、特に限定されるものではなく、例えばブラスト処理等を行うことができる。
陽極端子11及び陰極端子12の内、シリコーン樹脂層30が除去された部分に、シリコーン樹脂層30より厚いメッキ層50を形成してもよい。メッキは従来公知の方法で作製することができる。例えば、ニッケルメッキや錫メッキ等を設けることができる。
まず、コンデンサ素子を作製する。三酸化タングステンを水素還元して得た平均粒径0.2μmのタングステン粉に、平均粒径1μmのケイ素粉を混合し、真空下1120℃30分仮焼した塊状物を解砕し造粒粉を得た。さらに、この造粒粉に仮焼前のタングステン粉を10質量%加えた混合粉を作製した(平均粒径D50が75μm、D10が0.3μm、D90が125μm)。この混合粉を成形後1320℃20分真空下に焼結し、大きさ1.0×2.3×1.7mm(1.0×2.3mmの面に直径0.24mmのタンタル線が植立。質量32mg)の陽極体を作製した。
次いで、陽極体表面に誘電体層と半導体層及び導電体層を形成した。
まず第1の半導体層を、以下のようにして形成した。誘電体膜を形成した陽極体を10質量%3,4−エチレンジオキシチオフェンエタノール溶液につけ乾燥後、別途用意した10質量%トルエンスルホン酸鉄(III)水溶液に浸漬し60℃で反応させることを3回繰り返した(化学重合)。さらに、陽極体を正極にし、溶液中に配置したステンレス板を負極にして電解重合を行った。電解重合は、別途用意した過飽和の3,4−エチレンジオキシチオフェンと3質量%アントラキノンスルホン酸が溶解した水70部、エチレングリコール30部の混合溶液を用いて行った。その際、陽極体1個当たり60μAが加わるように、室温で60分行った。そして電解重合後のサンプルを、水洗、エタノール洗浄し、125℃乾燥を行った。次いで、化成液を使用し、陽極体1個当たり電流0.5mAで室温4Vの条件で15分間、後化成を行った。
このエチレンジオキシチオフェンの前記混合溶液への含浸、電解重合、洗浄、後化成の一連の操作をさらに3回(計4回)行い、第1の半導体層を作製した。電解重合時の電流値は、1回目と2回目は、陽極体1個当たり60μAで、3回目と4回目は、陽極体1個当たり70μAで行った。
そしてさらに、分散液のへの浸漬から固化の一連の操作をさらに2回(合計3回)行った後に前記後化成・洗浄・乾燥を行い、第2の半導体層を形成した。
続いて界面活性剤を付着後の部材を、シリコーン樹脂水溶液ハジックス(商品名(有限会社コメンス製)の1/2希釈溶液に浸漬した。そして、引き揚げ後130℃で乾燥することで、一体化された部材表面に厚み5±2μmのシリコーン樹脂層を形成した。
実施例1で界面活性剤を付着させなかった以外は、実施例1と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製した。初期のLC値は全て50μA以下であったが、耐湿試験500時間後に500μAを超えるものが1個出現した。
実施例1で、メッキを施さなかった以外は、実施例1と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製した。初期のLC値は全て50μA以下であったが、耐湿試験500時間後に400μAを超えるものが12個、1000μAを超えるものが1個あった。
実施例1で、界面活性剤付着およびシリコーン樹脂層形成を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてチップ状固体電解コンデンサを作製した。初期のLC値は全て50μA以下であったが、耐湿試験500時間後には、全て1000μAを超えていた。
Claims (7)
- 少なくとも一対の陽極端子と陰極端子を有するリードフレームと、
前記陰極端子に載置され、前記陽極端子及び前記陰極端子に接続されたコンデンサ素子と、
前記陽極端子、前記陰極端子およびこれらに接続されたコンデンサ素子の外表面を被覆するシリコーン樹脂層とを備える固体電解コンデンサ用品。 - 一対の陽極端子と陰極端子を有し、前記陰極端子に載置され、前記陽極端子及び前記陰極端子に接続されたコンデンサ素子と、
前記陽極端子及び前記陰極端子の一部、並びにこれらに接続されたコンデンサ素子の外表面を被覆するシリコーン樹脂層と、
前記シリコーン樹脂とは異なる樹脂で前記シリコーン樹脂層を覆う樹脂外装とを備える固体電解コンデンサ。 - 前記陽極端子及び前記陰極端子の前記樹脂外装が形成されていない部分に、前記シリコーン樹脂層より厚いメッキ層が形成されている請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
- 少なくとも一対の陽極端子と陰極端子を有し、一対の陽極端子と陰極端子に少なくとも1個の固体電解コンデンサ素子が接続されているリードフレームであって、
前記リードフレームの外表面を被覆するシリコーン樹脂層を備えるリードフレーム。 - 少なくとも一対の陽極端子と陰極端子を有するリードフレームとコンデンサ素子とを接続する工程と、
前記陽極端子、前記陰極端子およびこれらに接続されたコンデンサ素子の外表面をシリコーン樹脂層で被覆する工程と、
前記シリコーン樹脂層が被覆された前記陽極端子及び前記陰極端子の一部、並びにこれらに接続されたコンデンサ素子を、さらにシリコーン樹脂と異なる樹脂で樹脂封口する工程と、
前記陽極端子及び前記陰極端子の内、樹脂封口されていない部分のシリコーン樹脂層を除去する工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記陽極端子及び前記陰極端子の内、前記シリコーン樹脂層が除去された部分に、前記シリコーン樹脂層より厚いメッキ層を形成する工程をさらに有する請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記シリコーン樹脂層を被覆する工程の前に、前記リードフレームと前記コンデンサ素子が一体化されたものを界面活性剤が溶解した溶液に浸漬する工程を有する請求項5または6のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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