JP2019140256A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解コンデンサにおいて、固体電解質層に含まれる導電性高分子の劣化を抑制する。【解決手段】電解コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子と、コンデンサ素子に電気的に接続されたリード端子と、コンデンサ素子およびリード端子の一部を覆う外装体と、を備える。コンデンサ素子は、陽極部を構成する陽極体と、陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含む陰極部と、を備える。電解コンデンサは、さらに、外装体の表面の少なくとも一部を被覆する第1の無機層を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質層を備える電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
電解コンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子と電気的に接続されたリード端子と、コンデンサ素子およびリード端子の一部を覆う外装体とを備える。外装体の封止性が低いと、電解コンデンサ内部に空気(酸素や水分)が侵入することがある。電解コンデンサ内部に侵入した空気と、コンデンサ素子に含まれる固体電解質層とが接触すると、固体電解質層に含まれる導電性高分子が劣化することがある。
そこで、特許文献1では、外装体による封止性を高めるために、外装樹脂層の表面にシリコーンオイルやフッ素系撥水剤を塗布して防湿性のコーティング層を形成することが提案されている。
特開平10−144575号公報
しかし、従来のコーティング層は、経時劣化により密着性が低下したり、高温に晒された場合に被覆性が低下したりすることがある。そのため、外装体における酸素や水分の透過を十分に抑制することが難しく、導電性高分子の劣化抑制効果が不十分である。
本発明の一局面は、少なくとも1つのコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に電気的に接続されたリード部材と、前記コンデンサ素子を覆うとともに、前記リード端子の一部を覆う外装体と、を備える電解コンデンサであって、
前記コンデンサ素子は、陽極部を構成する陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含む陰極部と、を備え、
前記外装体の表面の少なくとも一部を被覆する第1の無機層をさらに備える、電解コンデンサに関する。
本発明の他の局面は、少なくとも1つのコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に電気的に接続されたリード端子と、前記コンデンサ素子を覆うとともに、前記リード端子の一部を覆う外装体と、を備える電解コンデンサの製造方法であって、
前記製造方法は、
陽極部を構成する陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含む陰極部と、を備えた前記コンデンサ素子を準備する工程と、
前記コンデンサ素子に前記リード端子を電気的に接続する工程と、
前記コンデンサ素子および前記リード端子の一部を前記外装体で封止する工程と、
前記外装体の表面の少なくとも一部を覆うように、無機層を形成する工程と、を備える、電解コンデンサの製造方法に関する。
固体電解質層を備える電解コンデンサにおいて、固体電解質層に含まれる導電性高分子の劣化を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。
[電解コンデンサ]
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子と、コンデンサ素子に電気的に接続されたリード端子と、コンデンサ素子およびリード端子の一部を覆う外装体と、を備える。コンデンサ素子は、陽極部を構成する陽極体と、陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含む陰極部と、を備える。電解コンデンサは、さらに、外装体の表面の少なくとも一部を被覆する第1の無機層を備える。
電解コンデンサでは、コンデンサ素子が、樹脂外装体やケースなどの外装体に覆われている。樹脂外装体の場合や外装体の封止性が低い場合、空気(具体的には、酸素や水分)が外部から外装体内部に侵入し易い。空気が外装体の内部に侵入すると、コンデンサ素子の固体電解質層に接触して、固体電解質層に含まれる導電性高分子を劣化させる。導電性高分子の劣化は、高温および/または高湿度下では特に顕著である。固体電解質層の導電性高分子が劣化すると、固体電解質層の抵抗が増加するため、電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)が上昇する。
本実施形態では、上記のように、外装体の表面の少なくとも一部を被覆するように無機層(第1の無機層)を設ける。無機層は、高いガスバリア性を有するため、外部から外装体内への空気の侵入を抑制することができる。これにより、固体電解質層への空気の接触が規制され、固体電解質層に含まれる導電性高分子の劣化を抑制することができる。よって、ESRの上昇を抑制することができる。また、無機層は、有機成分で形成された層とは異なり、高温環境下および/または高湿度環境下に晒されても劣化し難いため、高いガスバリア性を長期にわたり確保することができ、導電性高分子の劣化抑制効果を長期にわたり維持することができる。
無機層は、リード端子の外装体からの露出部分の少なくとも一部をさらに覆っていることが好ましい。特に、樹脂外装体を用いる場合、外装体とリード端子との接触面において、振動や衝撃等によって外装体がリード端子から剥がれ、外装体とリード端子との間に隙間が生じ易く、この隙間を介して空気がコンデンサ内に侵入し易い。一方、ケース状の外装体を用いる場合も、封止材料の劣化に伴い外装体とリード端子との間に隙間が生じ易く、この隙間を介して空気がコンデンサ内に侵入し易い。無機層が外装体およびリード端子の露出部分を被覆していることで、外装体とリード端子との隙間を介した外装体への空気の侵入が抑制される。これにより、固体電解質層に含まれる導電性高分子の劣化を抑制でき、ESRの上昇を抑制することができる。
空気の侵入を抑制する観点からは、無機層は、少なくともリード端子の外装体からの突出部分と外装体の外表面との境界を跨ぐように、リード端子の露出部分および外装体の外表面を覆っていることが好ましい。
リード端子は、電解コンデンサの端子電極を構成するように、外装体の外表面に沿って折り曲げられ、電解コンデンサが実装される場合がある。この場合、折り曲げられたリード端子の上から、無機層による外装体の被覆を行ってもよい。この場合であっても、無機層は、折り曲げられたリード端子と外装体の隙間を埋めるように、折り曲げられたリード端子と対向する外装体の外表面の少なくとも一部にも形成され得る。これにより、空気が電解コンデンサ内部に侵入するのを一層抑制することができる。よって、固体電解質層と空気との接触をさらに抑制することができるため、導電性高分子の劣化抑制効果をさらに高めることができる。
勿論、折り曲げる前の電解コンデンサの外装体およびリード端子を無機層で被覆してもよい。無機層による被覆後に、リード端子を外装体に沿って折り曲げてもよい。
本実施形態では、さらに、コンデンサ素子の表面の少なくとも一部に、無機層(第2の無機層)を備えているとよい。コンデンサ素子の表面の少なくとも一部を覆うように、第2の無機層を設けることで、第1の無機層を超えて僅かな空気が外装体内に侵入した場合であっても、第2の無機層によってコンデンサ素子内部への空気の侵入は抑制される。固体電解質層と空気との接触をさらに抑制することができるため、導電性高分子の劣化抑制効果をさらに高めることができる。
第1の無機層は、酸化物および窒化物からなる群より選択される少なくとも一種で形成されていることが好ましい。酸化物は、アルミナ、チタニア、およびシリカからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。窒化物は、窒化ケイ素、および窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。このような材料を用いると、無機層を容易に成膜することができるとともに、酸素や水分の透過を抑制する効果に優れる無機層を得ることができる。
第2の無機層も、第1の無機層と同様、酸化物および窒化物からなる群より選択される少なくとも一種で形成されていることが好ましい。第2の無機層は、第1の無機層の材料として挙げられた材料を用いることができる。第2の無機層は、第1の無機層と同じ材料であってもよいし、第1の無機層と異なる材料であってもよい。
無機層による高い被覆性を確保し易く、高い膜特性が得られ易い観点からは、気相法により無機層(第1の無機層および/または第2の無機層)を形成することが好ましい。気相法としては、例えば、スパッタ法や原子堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD法)が挙げられる。ALD法によれば、リード端子と外装体とのわずかな隙間、および/または、コンデンサ素子のごくわずかな隙間における表面にも無機層を形成することができる。
例えば、リード端子を外装体に沿って折り曲げ、電解コンデンサを実装する場合には、折り曲げられたリード端子の外装体との対向面、および、折り曲げられたリード端子と対向する外装体の外表面の少なくとも一部にも無機層を形成することができる。この場合、ALD法により、無機層の高い被覆性を確保することができるため、固体電解質層の空気との接触を抑制する効果をさらに高めることができる。
折り曲げられたリード端子を覆うように無機層が形成される場合、無機層の抵抗を低く抑える観点からは、無機層の厚みは、100nm以下であることが好ましい。厚みがこのように薄い場合でも、無機層の高いガスバリア性により、固体電解質層の空気との接触を抑制することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの構造を概略的に示す断面図である。
図示例では、電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2を封止する外装体(具体的には、樹脂外装体)3と、外装体3の外部にそれぞれ少なくともその一部が露出する陽極リード端子4および陰極リード端子5と、を備えている。外装体3は、ほぼ直方体の外形を有しており、電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
コンデンサ素子2は、陽極部を構成する陽極体6と、陽極体6を覆う誘電体層7と、誘電体層7を覆う陰極部8とを備える。
陽極体6は、陰極部8と対向する領域と、対向しない領域とを含む。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、陰極部8に隣接する部分には、陽極体6の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離層13が形成され、陰極部8と陽極体6との接触が規制されている。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、他の一部は、陽極リード端子4と、溶接により電気的に接続されている。
陰極部8は、誘電体層7の少なくとも一部を覆う固体電解質層9と、固体電解質層9を覆う陰極引出層10とを備える。陰極引出層10は、カーボン層11および銀ペースト層12を有する。陰極リード端子5は、導電性接着剤により形成される接着層14を介して、陰極部8と電気的に接続される。
無機層15は、外装体3の表面の少なくとも一部を覆っている。図示例において、無機層15は、外装体3を覆うとともに、陽極リード端子4の外装体3からの露出部分、および、陰極リード端子5の外装体3からの露出部分を覆うように形成されている。
これにより、外装体、あるいは、外装体とリード端子との接触界面を通って空気が侵入するのを抑制し、固体電解質層9の空気との接触を抑制することができる。よって、陰極部8の固体電解質層9に含まれる導電性高分子の劣化が抑制される。
陽極リード端子4の外装体3からの露出部分は、外装体の外表面に沿って折り曲げられているが、無機層15は、折り曲げられた陽極リード端子4の露出部分の一方の面(外装体3の外表面と対向しない側の面)にも形成されている。同様に、陰極リード端子5の外装体3からの露出部分は、外装体の外表面に沿って折り曲げられているが、無機層15は、折り曲げられた陰極リード端子5の露出部分の一方の面(外装体3の外表面と対向しない側の面)にも形成されている。
無機層15は、さらに、折り曲げられた陽極リード端子4の露出部分の他方の面(外装体3の外表面と対向する側の面)、および当該他方の面に対向する外装体3の外表面を覆うように形成されている。無機層15は、また、折り曲げられた陰極リード端子5の露出部分の他方の面(外装体3の外表面と対向する側の面)、および当該他方の面に対向する外装体3の外表面を覆っている。この結果、無機層15は、折り曲げられたリード端子(陽極リード端子4および陰極リード端子5)と外装体の隙間を被覆するように形成されている。
結果、電解コンデンサ1の外部に露出する露出面の全面が、無機層15により被覆されている。これにより、空気の侵入が一層抑制され、固体電解質層と空気との接触をさらに抑制することができる。よって、導電性高分子の劣化抑制効果をさらに高めることができる。
図1では、電解コンデンサが1つのコンデンサ素子からなる場合を示したが、この場合に限られず、電解コンデンサは、複数のコンデンサ素子を備えていてもよい。
図2に示す電解コンデンサ101は、複数のコンデンサ素子2A、2B、2Cが積層された積層体を有している。積層体は、隣接するコンデンサ素子2A、2B、2Cの陰極部8が上下に重なり合うように、陰極引出層10同士を接続してなる。コンデンサ素子2A、2B、2Cの陽極体6は、陰極部8と対向しない領域において束ねられ、外部端子(陽極リード端子に相当)4と接続している。一方、最も下層に位置するコンデンサ素子2Cの陰極引出層10は、その下側において、陰極リード端子5と導電性接着層14を介して電気的に接続されている。陽極リード端子4、および、陰極リード端子5は、外装体3に覆われていない露出面(下面)を有している。
図2の例においても、外部端子(陽極リード端子)4および陰極リード端子5の外装体からの露出部分の全面、および、外装体3の外表面の全面が、無機層15により覆われている。図2の例では、特に図中のSで示す領域に外装体3を形成し難く、隙間が生じ易い。したがって、隙間Sに外気が侵入すると、固体電解質層9の劣化が進行し易い。しかしながら、このような電解コンデンサの構成においても、無機層15を設けることにより、固体電解質層9の空気との接触を抑制することができ、固体電解質層9に含まれる導電性高分子の劣化を抑制できる。
図3に示す電解コンデンサ102では、図1と同様、リード端子(陽極リード端子4および陰極リード端子5)の露出部分が外装体の外表面に沿って折り曲げられ、外装体の外表面、および、折り曲げられたリード端子の露出部分の一方の面および他方の面を覆うように、無機層15aが形成されている。加えて、電解コンデンサ102では、コンデンサ素子2の表面が無機層15bで被覆されている。無機層15bは、陰極部8、分離層13、および、陽極体6の表面を含むコンデンサ素子の表面全体を覆うように形成されている。
このように無機層15bが陰極部8を覆うように形成することで、無機層15aを超えて空気が外装体3内に侵入した場合であっても、無機層15bによってコンデンサ素子内部への空気の侵入は抑制される。無機層15bによって固体電解質層9と空気との接触の抑制効果がさらに高まり、導電性高分子の劣化抑制効果をさらに高めることができる。
なお、図3の例では、コンデンサ素子2の表面(より具体的には、陰極部8の表面)に無機層15bが形成されているため、陰極部8と導電性接着剤により形成される接着層14との間には無機層15bが介在している。
無機層15(15a、15b)は、前述のように気相法で形成することが好ましい。気相法により無機層15を形成すると、外装体3、リード端子4および5の外表面に凹凸や隙間が存在する場合でも、凹凸の表面や隙間の周囲の壁面を無機層15で覆うことができる。
図1および図3では、リード端子の外装体からの露出部分は外装体の外表面に沿って折り曲げられているが、露出部分は外装体の外表面と密着していないため、折り曲げられたリード端子と外装体の間に隙間が存在し得る。この隙間を形成する壁面(つまり、外装体3およびリード端子のそれぞれの対向面)にも無機層15(15a)が形成されている。
特に、ALD法により無機層15(15a)を形成する場合には、微細な凹部や隙間の深部にまで無機層を形成することができるため、固体電解質層9の空気との接触を抑制する効果を高めることができる。
以下に、電解コンデンサの構成についてより詳細に説明する。
(外装体3)
外装体3は、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を覆うものである。外装体3内への空気の侵入を抑制する観点からは、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部が外装体3で封止されていることが望ましい。図1〜図3では、外装体3が樹脂外装体である場合を示したが、この場合に限らず、外装体3は、コンデンサ素子を収容可能なケースなどであってもよい。樹脂外装体は、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を樹脂材料で封止することにより形成される。ケースとしては、コンデンサ素子2を収容する容器と、容器の開口部を覆う封止部材との組み合わせなどが挙げられる。容器や封止部材は、例えば、金属材料や樹脂材料などで形成される。
樹脂外装体は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂もしくはそれを含む組成物を含んでもよい。ケースを構成する樹脂材料としては、熱可塑性樹脂もしくはそれを含む組成物などが挙げられる。硬化性樹脂組成物や熱可塑性樹脂(組成物)については、後述で例示するものを用いることができる。ケースを構成する金属材料としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄などの金属あるいはその合金(ステンレス鋼、真鍮なども含む)が挙げられる。
樹脂材料で形成された外装体3では、樹脂材料が劣化したり、機械的な衝撃により損傷したりし易く、外部の空気が外装体を透過して外装体内に侵入し易い。本実施形態によれば、外装体の表面の少なくとも一部を被覆するように無機層15(15a)を形成するため、樹脂材料で形成された外装体3を用いる場合でも、固体電解質層9の空気との接触を抑制(または低減)できる。
(リード端子4,5)
リード端子4,5の一端部は、コンデンサ素子2(2A〜2C)と電気的に接続され、他端部は外装体3の外部に引き出される。電解コンデンサ1,102において、リード端子4,5の一端部側は、コンデンサ素子2とともに外装体3により覆われている。リード端子4,5としては、例えば、リードフレームと呼ばれるものを用いてもよい。リード端子4,5の素材としては、例えば、銅などの金属またはその合金などが挙げられる。
(コンデンサ素子2,2A〜2C)
コンデンサ素子2,2A〜2Cは、それぞれ、陽極部を構成する陽極体6と、誘電体層7と、固体電解質層9を含む陰極部8とを備える。陰極部8は、少なくとも固体電解質層9を備えていればよいが、図1〜図3に示されるように、固体電解質層9と、固体電解質層9を覆う陰極引出層10とを備えることが好ましい。
電解コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子を有する。電解コンデンサは、図1および図3に示す例のように、電解コンデンサ100〜102内にコンデンサ素子2を1つ有していてもよく、図2に示す例のように、複数のコンデンサ素子を有するものであってもよい。電解コンデンサに含まれるコンデンサ素子の数は、用途に応じて決定すればよい。
なお、図示例では、積層型のコンデンサ素子を用いる場合を示したが、この場合に限らず、巻回型のコンデンサ素子を用いてもよい。
(陽極体6)
陽極体6は、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などを含むことができる。これらの材料は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンが好ましく使用される。表面が多孔質な陽極体6は、例えば、エッチングなどにより弁作用金属を含む基材(箔状または板状の基材など)の表面を粗面化することで得られる。また、陽極体6は、弁作用金属を含む粒子の成形体またはその焼結体でもよい。なお、焼結体は、多孔質構造を有する。すなわち、陽極体6が焼結体である場合、陽極体6の全体が多孔質となり得る。
(誘電体層7)
誘電体層7は、陽極体6の表面の弁作用金属を、化成処理などにより陽極酸化することで形成される。誘電体層7は、陽極体6の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。誘電体層7は、通常、陽極体6の表面に形成される。誘電体層7は、陽極体6の多孔質の表面に形成されるため、陽極体6の表面の孔や窪み(ピット)の内壁面に沿って形成される。
誘電体層7は弁作用金属の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTa25を含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAl23を含む。尚、誘電体層7はこれに限らず、誘電体として機能するものであればよい。陽極体6の表面が多孔質である場合、誘電体層7は、陽極体6の表面(孔の内壁面を含む)に沿って形成される。
(陰極部8,固体電解質層9)
陰極部8を構成する固体電解質層9は、導電性高分子を含むが、必要に応じて、さらに、ドーパントや添加剤などを含んでもよい。導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびこれらの誘導体などを用いることができる。固体電解質層9は、例えば、原料モノマーを誘電体層7上で化学重合および/または電解重合することにより、形成することができる。あるいは、導電性高分子が溶解した溶液、または、導電性高分子が分散した分散液を、誘電体層7に接触させることにより、形成することができる。固体電解質層9は、誘電体層7の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。
(陰極引出層10)
陰極部8を構成する陰極引出層10は、カーボン層11および銀ペースト層12を備える。カーボン層11は、導電性を有していればよく、例えば、黒鉛などの導電性炭素材料を用いて構成することができる。銀ペースト層12には、例えば、銀粉末とバインダ樹脂(エポキシ樹脂など)を含む組成物を用いることができる。なお、陰極引出層10の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。陰極引出層10は、固体電解質層9の少なくとも一部を覆うように形成される。
(無機層15(15a,15b))
無機層は、外装体3の表面の少なくとも一部を覆うように形成すればよい。固体電解質層9の空気との接触を抑制する観点からは、リード端子4,5の外装体からの露出部分の少なくとも一部を覆うように第1の無機層15(15a)を形成することが好ましい。
さらに、図3に示すように、第2の無機層15bが、コンデンサ素子の表面の少なくとも一部を覆っていることが好ましい。このような構成により、固体電解質層9への空気の接触をさらに抑制することができる。
無機層15bを設ける場合、固体電解質層9への空気の接触をさらに抑制する観点からは、無機層15bは、コンデンサ素子2の表面の80%以上を覆うように形成することが好ましく、90%以上を覆うように形成することが好ましい。電解コンデンサが、複数のコンデンサ素子を備える場合には、各コンデンサ素子の表面の80%以上(または90%以上)を覆うように無機層を形成してもよい。電解コンデンサが、複数のコンデンサ素子の積層体を含む場合には、積層体の表面の80%以上(または90%以上)を覆うように無機層を形成してもよい。
無機層は、例えば、酸化物、窒化物、炭化物などの無機化合物で形成される。無機層は、これらの無機化合物を一種含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。無機化合物は、金属化合物であることが好ましい。金属化合物を構成する金属としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、およびケイ素などが挙げられる。金属化合物は、これらの金属を一種含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。酸化物としては、上記金属を含む金属酸化物が例示され、窒化物としては上記金属を含む金属窒化物が例示される。炭化物としては、炭化ケイ素などが好ましい。無機層の成膜が容易で、高いガスバリア性が確保し易い観点からは、これらの無機化合物のうち、酸化物および窒化物が好ましい。中でも、酸化物としては、アルミナ、チタニア、およびシリカからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、窒化物としては、窒化ケイ素、および窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
無機層の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.5nm以上200nm以下である。リード端子とコンデンサ素子との接続部分やコンデンサ素子内に無機層が形成される場合に、無機層の抵抗を低く抑える観点からは、無機層の厚みは、100nm以下が好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。
無機層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)により、無機層の断面画像を撮影し、TEM画像において無機層の断面の任意の10点の厚みを平均化することにより求めることができる。
[電解コンデンサの製造方法]
上記の電解コンデンサは、コンデンサ素子を準備する工程(第1工程)と、コンデンサ素子にリード端子を電気的に接続する工程(第2工程)と、コンデンサ素子およびリード端子の一部を外装体で覆う工程(第3工程)と、外装体の表面の少なくとも一部を覆うように、無機層を形成する工程(第4工程)と、を備える製造方法により製造できる。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
(第1工程)
第1工程では、コンデンサ素子2を作製する。第1工程は、陽極体6を準備する工程、誘電体層7を形成する工程、および固体電解質層9を形成する工程を含むことができる。また、第1工程は、さらに陰極引出層10を形成する工程を含むことができる。
(陽極体6を準備する工程)
この工程では、陽極体6の種類に応じて、公知の方法により、陽極部を構成する陽極体6を形成する。
陽極体6は、例えば、弁作用金属を含む箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより準備することができる。粗面化は、基材表面に凹凸を形成できればよく、例えば、基材表面をエッチング(例えば、電解エッチング)することにより行ってもよい。
また、上記の場合に限らず、弁作用金属の粉末を、所望の形状(例えば、ブロック状)に成形して成形体を得る。この成形体を焼結することで、多孔質構造の陽極体6を形成してもよい。
(誘電体層7を形成する工程)
この工程では、陽極体6上に誘電体層7を形成する。誘電体層7は、陽極体6を陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の方法、例えば、化成処理などにより行うことができる。化成処理は、例えば、陽極体6を化成液中に浸漬することにより、陽極体6の表面に化成液を含浸させ、陽極体6をアノードとして、化成液中に浸漬したカソードとの間に電圧を印加することにより行うことができる。化成液としては、例えば、リン酸水溶液などを用いることが好ましい。
(固体電解質層9を形成する工程)
この工程では、誘電体層7上に固体電解質層9を形成する。例えば、誘電体層7が形成された陽極体6に、導電性高分子を含む処理液を付着させた後、乾燥させて固体電解質層9を形成する。処理液は、さらにドーパントなどの他の成分を含んでもよい。導電性高分子には、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が用いられる。ドーパントには、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)が用いられる。処理液は、導電性高分子の分散液または溶液である。分散媒(溶媒)としては、例えば、水、有機溶媒、またはこれらの混合物が挙げられる。
(陰極引出層10を形成する工程)
この工程では、固体電解質層9上に、カーボン層11と銀ペースト層12とを順次積層することにより陰極引出層10を形成する。
なお、複数のコンデンサ素子を積層する場合には、上記のようにして各コンデンサ素子を作製した後で、コンデンサ素子を積層することにより、本工程でコンデンサ素子の積層体を準備してもよい。
(第2工程)
第2工程では、コンデンサ素子に、陽極リード端子および陰極リード端子を電気的に接続する。各リード端子の接続は、第1工程においてコンデンサ素子を作製した後に行ってもよい。陰極リード端子のコンデンサ素子への接続は、コンデンサ素子を作製した後に行われるが、陽極リード端子の陽極体6への接続は、コンデンサ素子を作製する工程の適当な段階で行ってもよい。例えば、焼結により多孔質構造の陽極体を形成する場合には、弁作用金属の粉末の中に、棒状体の陽極リード端子の長手方向の一端部を埋め込んだ状態で、所望の形状に成形された成形体を得る。そして、この成形体を焼結することで、陽極リード端子の一端部が埋め込まれた多孔質構造の陽極体を形成してもよい。
複数のコンデンサ素子の積層体を用いる場合には、陽極リード端子は上記と同様に陽極体に接続できる。陰極リード端子は、上記と同様にコンデンサ素子に接続してもよく、陰極部同士を電気的に接続させた複数のコンデンサ素子の積層体に、陰極リード端子の一端部を接続してもよい。
(第3工程)
第3工程では、コンデンサ素子およびリード端子の一部を外装体で覆うことにより、コンデンサ素子を外装体で封止する。封止は、外装体の種類に応じて行うことができる。
例えば、容器と封止体とを備えるケース状の外装体を用いる場合には、容器にコンデンサ素子を収容し、コンデンサ素子に接続したリード端子の他端部を封止体に形成した貫通口から引き出した状態で、容器の開口部を封止体で覆うことにより封止することができる。
図1〜3に示すような樹脂外装体3を採用する場合には、コンデンサ素子とリード部材とを電気的に接続した後、コンデンサ素子およびリード部材の一部を外装樹脂層で覆うことにより封止することができる。
樹脂外装体3は、射出成形、インサート成形、圧縮成形などの成形技術を用いて形成することができる。樹脂外装体3は、例えば、所定の金型を用いて、硬化性樹脂組成物または熱可塑性樹脂(組成物)をコンデンサ素子2およびリード端子の一端部を覆うように所定の箇所に充填して形成することができる。複数のコンデンサ素子の積層体を用いる場合には、積層体とリード端子の一部を覆うように樹脂外装体を形成すればよい。
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂に加え、フィラー、硬化剤、重合開始剤、および/または触媒などを含んでもよい。硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ジアリルフタレート、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。硬化性樹脂組成物は、複数の硬化性樹脂を含んでもよい。
フィラーとしては、例えば、絶縁性の粒子(無機系、有機系)および/または繊維などが好ましい。フィラーを構成する絶縁性材料としては、例えば、シリカ、アルミナなどの絶縁性の化合物(酸化物など)、ガラス、鉱物材料(タルク、マイカ、クレーなど)などが挙げられる。外装樹脂層は、これらのフィラーを一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。外装樹脂層中のフィラーの含有量は、例えば、10〜90質量%である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などを用いることができる。熱可塑性樹脂を含む組成物は、熱可塑性樹脂に加え、上記のフィラーなどを含んでもよい。
(第4工程)
第4工程では、外装体の表面の少なくとも一部を覆うように無機層(第1の無機層)が形成される。このとき、外装体の表面の少なくとも一部に加えて、外装体から突出するリード端子の表面の少なくとも一部を覆うように無機層(第1の無機層)を形成することが好ましい。
さらに、第1工程の後、第3工程の前に、コンデンサ素子の表面の少なくとも一部を覆うように無機層(第2の無機層)を形成してもよい。
無機層は、例えば、外装体の表面の少なくとも一部に、無機層を形成する無機化合物を付着させることにより形成してもよく、無機化合物の原料を、酸素や窒素を含む雰囲気に晒したり、炭化したりすることにより形成してもよい。無機層は、液相法により形成してもよいが、より均一な無機層を形成する観点からは気相法により形成することが好ましい。無機層を形成する際の導電性高分子の熱劣化を抑制する観点からは、無機層は、例えば、200℃以下(好ましくは120℃以下)の雰囲気下で形成することが好ましい。
液相法としては、析出法、ゾルゲル法などが好ましい。気相法としては、例えば、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、スパッタ法、ALD法などが挙げられる。PVDやCVDは、通常、200℃を超える高温化で行われるが、スパッタ法やALD法によれば、200℃以下、更には120℃以下の雰囲気で無機層を形成することができる。無機層を形成する際の導電性高分子の熱劣化を抑制する観点からは、スパッタ法やALD法により無機層を形成することが好ましい。スパッタ法やALD法(特に、ALD法)では、高い被覆性を確保することができるとともに、より均一な無機層を形成することができる。スパッタ法のうち、MPSスパッタリングでは、比較的低温でスパッタリングを行うことができるとともに、膜特性に優れる窒化ケイ素膜を形成することもできる。よって、固体電解質層への空気の接触を抑制する効果をさらに高めることができる。
ALD法では、無機化合物の原料として、蒸気圧の高い有機化合物が用いられる。このような原料を気化させることで、分子状の原料を外装体の表面の少なくとも一部の表面に相互作用させることができる。分子状の原料は、外装体やリード端子、またはこれらの接続部分などに凹凸や隙間が存在する場合でも、凹部や隙間の深部まで到達させやすく、均質な無機層を形成しやすい。
ALD法では、例えば、以下の手順により、外装体の表面の少なくとも一部を覆う無機層が形成される。
まず、外装体で封止されたコンデンサ素子が収容されている反応室に、気体の第1原料(上記の有機金属化合物や金属ハライドなど)を導入する。これにより、外装体は、第1原料を含む雰囲気に暴露される。その後、外装体の表面が第1原料の単分子層で覆われると、第1原料が有する有機基やハロゲン原子による自己停止機構が働き、それ以上の第1原料は外装体の表面に吸着しなくなる。余分な第1原料は不活性ガスなどでパージされ、反応室から除去される。
次に、外装体で封止されたコンデンサ素子が収容されている反応室に、気体の第2原料を導入する。これにより、外装体は、第2原料を含む雰囲気に暴露され、第1原料の単分子層と第2原料との反応が起こる。この反応が終了すると、それ以上の第2原料は外装体の表面に吸着しなくなる。余分な第2原料は不活性ガスなどでパージされ、反応室から除去される。
上記のように、第1原料の導入、パージ、第2原料の導入、パージからなる一連の操作を繰り返すことにより、外装体の表面に無機化合物が生成し、これにより、無機化合物の被膜である無機層が形成される。
また、反応室に第1原料および第2原料を導入し、パージする一連の操作を繰り返すことによっても、外装体の表面に無機層を形成することができる。必要に応じて、第1原料および第2原料の導入とパージとの繰り返しと、第1原料の導入、パージ、第2原料の導入、およびパージの繰り返しとを、組み合わせてもよい。
第1原料としては、特に限定されず、所望する無機層の種類に応じて、適切な金属化合物を選択すればよい。第1原料としては、例えば、アルミニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも一種の金属を含む金属化合物(有機金属化合物および/または金属ハライドなど)が挙げられる。従来、ALD法で用いられている各種の有機金属化合物や金属ハライドを、第1原料として使用してもよい。
有機金属化合物としては、上記の金属と、有機基とを有する化合物が挙げられる。有機基としては、炭化水素基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロペンタジエニル基など)、アルコキシ基、窒素含有有機基(例えば、有機アミノ基、アミド基、イミド基など)、酸素含有有機基(例えば、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基など)などが挙げられる。有機金属化合物は、これらの有機基を一種有していてもよく、二種以上有していてもよい。有機金属化合物は、さらにハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素)を有していてもよい。
金属ハライドに含まれるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素が挙げられる。金属ハライドの具体例としては、四塩化チタン、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四塩化ハフニウムなどが挙げられる。
第2原料としては、無機層を構成する無機化合物の種類に応じて、酸化剤、窒化剤などが使用される。酸化剤としては、水(水蒸気)、酸素、オゾンなどが挙げられる。窒化剤としては、窒素、アンモニアなどが挙げられる。必要に応じて、水素などを併用してもよい。第2原料は、一種を用いてもよく、必要に応じて、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、3種以上の原料を用いてもよい。すなわち、第1原料および第2原料の他に、更に1種以上の原料を用いてもよい。例えば、第1原料の導入、パージ、第2原料の導入、パージ、第1原料とも第2原料とも異なる第3原料の導入、パージからなる一連の操作を繰り返してもよい。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
下記の要領で、図1に示す電解コンデンサ1を作製し、その特性を評価した。
(1)コンデンサ素子の作製
基材としてアルミニウム箔(厚み100μm)を準備し、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施し、陽極体6を得た。陽極体6を濃度0.3質量%のリン酸溶液(液温70℃)に浸して70Vの直流電圧を20分間印加することにより、陽極体6の表面に酸化アルミニウム(Al2)を含む誘電体層7を形成した。その後、陽極体6の所定の箇所に絶縁性のレジストテープ(分離層13)を貼り付けた。
誘電体層7が形成された陽極体6を、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の水分散液(濃度2質量%)に浸漬した後、乾燥し、固体電解質層9を形成した。
固体電解質層9に、黒鉛粒子を水に分散した分散液を塗布した後、乾燥して、固体電解質層の表面にカーボン層11を形成した。次いで、カーボン層11の表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布した後、加熱してバインダ樹脂を硬化させ、銀ペースト層12を形成した。このようにして、カーボン層11と銀ペースト層12とで構成される陰極引出層10を形成した。
このようにして、コンデンサ素子2を得た。
(2)電解コンデンサの組み立て
無機層15を形成したコンデンサ素子2に、さらに、陽極リード端子4、陰極リード端子5、接着層14を配置し、フィラーとしてシリカ粒子を含む樹脂を用いて外装体3を形成した。その後、外装体から突出する陽極リード端子4および陰極リード端子5を外装体に沿って折り曲げ、図1に示す構造の電解コンデンサを作製した。
(3)無機層の形成
次に、ALD法(温度:200℃、第1原料:トリメチルアルミニウム、第2原料(酸化剤):HO、圧力:10Pa、90サイクル)により、電解コンデンサの表面に、無機層15として酸化アルミニウムの被膜(30nm)を形成した。
《比較例1》
無機層15を形成しない以外、実施例1と同様に電解コンデンサを作製した。
上記で作製した実施例および比較例の電解コンデンサについて、以下の評価を行った。
[評価]
20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)を、初期のESR値(X0)として測定した。次に、125℃の温度にて、電解コンデンサに定格電圧を3000時間印加した。その後、上記と同様の方法でESR値(X1)(mΩ)を測定した。そして、下記式よりESRの変化率を求めた。
ESRの変化率=X1/X0
評価結果を表1に示す。
Figure 2019140256
実施例1では、比較例1と比べて、ESRの変化率が小さくなった。実施例1では、無機層15の形成により、固体電解質層9への空気の接触が抑制され、導電性高分子の劣化が抑制されたためと考えられる。
本発明に係る電解コンデンサは、高温雰囲気や高湿雰囲気に曝された場合でも、固体電解質層に含まれる導電性高分子の劣化が抑制され、ESRの上昇を抑制できる。よって、低いESRが求められる様々な用途に利用できる。
1,101,102:電解コンデンサ、2,2A〜2C:コンデンサ素子、3:外装体、4:陽極リード端子、5:陰極リード端子、6:陽極体、7:誘電体層、8:陰極部、9:固体電解質層、10:陰極引出層、11:カーボン層、12:銀ペースト層 、13:分離層、14:接着層、15,15a:無機層(第1の無機層)、15b:無機層(第2の無機層)

Claims (12)

  1. 少なくとも1つのコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に電気的に接続されたリード端子と、前記コンデンサ素子を覆うとともに、前記リード端子の一部を覆う外装体と、を備える電解コンデンサであって、
    前記コンデンサ素子は、陽極部を構成する陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含む陰極部と、を備え、
    前記外装体の表面の少なくとも一部を被覆する第1の無機層をさらに備える、電解コンデンサ。
  2. 前記第1の無機層は、前記リード端子の前記外装体からの露出部分の少なくとも一部をさらに覆っている、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記リード端子が前記外装体の外表面に沿って折り曲げられており、
    前記第1の無機層が、折り曲げられた前記リード端子と対向する前記外装体の外表面の少なくとも一部に形成されている、請求項2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記コンデンサ素子の表面の少なくとも一部に、第2の無機層を備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  5. 前記第1の無機層は、酸化物および窒化物からなる群より選択される少なくとも一種で形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  6. 前記酸化物は、アルミナ、チタニア、およびシリカからなる群より選択される少なくとも一種を含み、
    前記窒化物は、窒化ケイ素、および窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項5に記載の電解コンデンサ。
  7. 前記第1の無機層の厚みは、100nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  8. 少なくとも1つのコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に電気的に接続されたリード端子と、前記コンデンサ素子を覆うとともに、前記リード端子の一部を覆う外装体と、を備える電解コンデンサの製造方法であって、
    前記製造方法は、
    陽極部を構成する陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含む陰極部と、を備えた前記コンデンサ素子を準備する工程と、
    前記コンデンサ素子に前記リード端子を電気的に接続する工程と、
    前記コンデンサ素子および前記リード端子の一部を前記外装体で封止する工程と、
    前記外装体の表面の少なくとも一部を覆うように、無機層を形成する工程と、を備える、電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記無機層を形成する工程は、さらに、前記外装体から突出する前記リード端子の表面の少なくとも一部を覆うことを含む、請求項8に記載の電解コンデンサの製造方法。
  10. 前記無機層は、前記無機層の原料を含む200℃以下の雰囲気下で形成される、請求項8または9に記載の電解コンデンサの製造方法。
  11. 前記無機層は、スパッタ法により形成される、請求項8〜10のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  12. 前記無機層は、原子堆積法により形成される、請求項8〜10のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
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