WO2019187822A1 - 電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
電解コンデンサは、陽極体と、陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含む。陰極引出層は、炭素粒子と、フェノールカルボン酸および/またはフェノールカルボン酸の塩化合物と、を含む。
Description
本発明は、固体電解質層を備える電解コンデンサに関する。
電解コンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子を覆う外装体とを備える。コンデンサ素子は、陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘電体層上に形成された固体電解質層と、固体電解質層上に形成された陰極引出層とを備える。陰極引出層は、固体電解質層上に形成されたカーボン層と、カーボン層上に形成された銀ペースト層とを有する。
電解コンデンサでは、空気が外装体を透過して、電解コンデンサ内部に侵入することがある。電解コンデンサ内部に侵入した空気が固体電解質層に接触すると、固体電解質層に含まれる導電性高分子が劣化する。
特許文献1では、陽極体表面に誘電体皮膜、固体電解質層、カーボン層が順次形成されている固体電解コンデンサのカーボン層にシランカップリング剤を添加することによって、固体電解質層とカーボン層およびカーボン層と陰極引出層との密着性を向上させ、ESRの低い電解コンデンサを得ることが記載されている。
従来の陰極引出層では、固体電解質層と空気との接触を十分に抑制することが難しい。固体電解質層が空気と接触すると、導電性高分子が劣化して、固体電解質層の抵抗が増加するため、電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)が上昇する。
固体電解質層を備える電解コンデンサのESRの上昇を抑制できる。
[電解コンデンサ]
本発明の上記局面に係る電解コンデンサは、陽極体と、陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含む。陰極引出層は、炭素粒子と、下記式(1)で表されるフェノールカルボン酸化合物と、を含む。但し、Xは水素原子または1価のオニウム基またはアルカリ金属であり、R1~R5はそれぞれ、水素原子、水酸基、COOX基またはアルキル基の何れかであり、R1~R5の少なくとも1つは水酸基である。
本発明の上記局面に係る電解コンデンサは、陽極体と、陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含む。陰極引出層は、炭素粒子と、下記式(1)で表されるフェノールカルボン酸化合物と、を含む。但し、Xは水素原子または1価のオニウム基またはアルカリ金属であり、R1~R5はそれぞれ、水素原子、水酸基、COOX基またはアルキル基の何れかであり、R1~R5の少なくとも1つは水酸基である。
コンデンサ素子において、固体電解質層の少なくとも一部は、陰極引出層を構成するカーボン層で覆われている。カーボン層は、炭素粒子が集合した状態であるため、膜質が緻密とは言えない。そのため、電解コンデンサ内に空気(特に、酸素、もしくは酸素および水分)が侵入すると、カーボン層を透過する。電解コンデンサでは、通常、コンデンサ素子が、樹脂製の外装体に覆われているが、空気が外装体を透過して、内部に侵入し易い。空気が、固体電解質層に接触すると、固体電解質層に含まれる導電性高分子を劣化させる。導電性高分子の劣化は、高温および/または高湿度下では特に顕著になる。導電性高分子が劣化すると、固体電解質層の抵抗が増加するため、電解コンデンサのESRが上昇する。
本実施形態では、コンデンサ素子において、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層に含まれるカーボン層に、上記式(1)で表されるフェノールカルボン酸化合物を含有させる。フェノールカルボン酸化合物は酸化防止剤として作用し、空気がコンデンサ素子内部に侵入した場合においても、空気による固体電解質層の酸化劣化を抑制することができる。これにより、導電性高分子の劣化が抑制され、固体電解質層の抵抗が大きくなることが抑制される。よって、電解コンデンサにおけるESRの上昇を抑制することができる。
酸化防止剤としては、カテコール、あるいはピロガロールといったベンゼン環内に複数の水酸基を有するフェノール類も考えられる。しかしながら、これらの物質は、耐熱性が十分でないため、高温環境では揮発または熱分解し易く、十分な酸化防止性能が得られない。
これに対し、上記式(1)で表されるフェノールカルボン酸化合物は、十分な耐熱性を有しており、高温環境での使用においてもESRの上昇を抑制できる。
これに対し、上記式(1)で表されるフェノールカルボン酸化合物は、十分な耐熱性を有しており、高温環境での使用においてもESRの上昇を抑制できる。
特に、電解コンデンサの製造では、炭素粒子と分散媒を含むカーボンペーストを固体電解質層に付着させ、その後加熱乾燥させることによって、カーボン層が形成される。このときの乾燥工程では、一般に160℃以上にカーボンペーストが加熱され得る。さらに、カーボン層(第1導電層)上に金属ペーストを塗布し、金属ペースト層(第2導電層)を形成する場合には、金属ペースト中の熱硬化性樹脂を硬化させる際に、カーボン層が高温にさらされる場合がある。
このため、カテコールあるいはピロガロールをカーボン層(カーボンペースト)に加えた場合であっても、その後の加熱工程においてカテコールあるいはピロガロールが揮発(昇華および蒸発)により消散してしまったり、熱分解によって酸化防止性を有しない物質に変化したりし易い。結果、十分な酸化防止性を実現し難く、固体電解質層の酸化劣化を抑制し難く、ESRの上昇を抑制し難い。
酸化防止剤としては、リン系の酸化防止剤や、硫黄系の酸化防止剤も考えられる。しかしながら、リン系酸化防止剤は水に不溶であるため、分散媒に水を用いる場合、カーボンペースト内に分散させることが難しい。また、硫黄系酸化防止剤は、金属ペースト中の金属(特に、銀)と反応し得る。
しかしながら、上記式(1)で表されるフェノールカルボン酸化合物は、160℃以上の高熱においても分解され難いため、陰極引出層内で酸化防止剤としての効果を発揮することができる。これにより、固体電解質層の酸化劣化が抑制され、ESRの上昇が顕著に改善される。
さらに、フェノールカルボン酸化合物に含まれるCOOX基は、金属ペーストに含まれる熱硬化性樹脂と反応することができ、カーボン層(第1導電層)と金属ペースト層(第2導電層)との密着性が高められる。これにより、ESRが低減され得る。
なお、フェノールカルボン酸化合物が2つ以上のCOOX基を有する場合、COOX中のX部位は、互いに異なっていてもよく、同じであってもよい。
なお、フェノールカルボン酸化合物が2つ以上のCOOX基を有する場合、COOX中のX部位は、互いに異なっていてもよく、同じであってもよい。
陰極引出層内において、式(1)に示すフェノールカルボン酸化合物は、フェノールカルボン酸のほか、カルボン酸塩の形で含まれていてもよい。カルボン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、および、アンモニウム塩などの1価のオニウム塩が挙げられる。
フェノールカルボン酸化合物は、上記の通り、160℃以上の高温においても揮発し難く、且つ熱分解し難いものが好ましい。具体的には、下記の条件で加熱し、加熱前後の重量変化を測定したときに、フェノールカルボン酸化合物の重量減少率が8%以下であるとよい。
測定条件:
所定量のフェノールカルボン酸化合物を、熱重量分析(TGA)装置を用いて窒素雰囲気にて常温(20℃)から5℃/minで昇温し、160℃まで加熱したときの重量変化を測定する。加熱前の重量に対する加熱後の重量の減少割合を、重量減少率とする。
上記の条件で加熱した場合、ピロガロールの重量減少率は8.3%であり、没食子酸の重量減少率は0.1%であった。
測定条件:
所定量のフェノールカルボン酸化合物を、熱重量分析(TGA)装置を用いて窒素雰囲気にて常温(20℃)から5℃/minで昇温し、160℃まで加熱したときの重量変化を測定する。加熱前の重量に対する加熱後の重量の減少割合を、重量減少率とする。
上記の条件で加熱した場合、ピロガロールの重量減少率は8.3%であり、没食子酸の重量減少率は0.1%であった。
フェノールカルボン酸化合物としては、水酸基を複数有するものがよい。水酸基が複数あることで、酸化防止性が高くなる。水酸基が複数ある場合、少なくとも2つの水酸基が、ベンゼン環内で隣り合う炭素原子と結合している(すなわち、オルト配位している)とよい。この場合に、酸化防止性がより一層高くなる。
2つの水酸基を有するフェノールカルボン酸としては、2,3-ジヒドロキシ安息香酸(R1,R2=OH)、2,4-ジヒドロキシ安息香酸(R1,R3=OH)、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(R1,R4=OH)、2,6-ジヒドロキシ安息香酸(R1,R5=OH)、3,4-ジヒドロキシ安息香酸(R2,R3=OH)、3,5-ジヒドロキシ安息香酸(R2,R4=OH)が挙げられる。
3つの水酸基を有するフェノールカルボン酸としては、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)(R2,R3,R4=OH)、2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸(R1,R3,R5=OH)などが挙げられる。
また、フェノールカルボン酸は複数のカルボキシル基を有していてもよい。複数のカルボキシル基を有するフェノールカルボン酸としては、3-ヒドロキシフタル酸、4-ヒドロキシフタル酸、2-ヒドロキシイソフタル酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、2-ヒドロキシテレフタル酸などが挙げられる。
これらのなかでも、入手の容易さや、耐熱性および酸化防止性の高さから、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)が最も好ましい。
陰極引出層は、複数の導電層で構成されていてもよい。その場合、フェノールカルボン酸化合物は、複数の導電層の少なくともいずれか一層に含まれていればよい。二以上の導電層にフェノールカルボン酸が含まれていてもよい。導電性高分子を含む固体電解質層の酸化劣化の抑制効果を高め、ESRの上昇を一層抑制することができる。
好ましくは、陰極引出層が炭素粒子を含む第1導電層(カーボン層)と金属粒子(例えば、銀粒子)を含む第2導電層の2層を含み、第1導電層が固体電解質層の少なくとも一部を覆う構成とすることができる。フェノールカルボン酸は、第1導電層に含まれていてもよく、第2導電層に含まれていてもよく、第1導電層と第2導電層の両方に含まれていてもよい。
第1導電層(カーボン層)がフェノールカルボン酸を含む場合、第1導電層に占めるフェノールカルボン酸の割合は、3質量%以上20質量%以下とするとよい。第1導電層に占めるフェノールカルボン酸の割合を3質量%以上とすることで、固体電解質層の酸化劣化を十分に抑制できる。一方で、十分な導電性を得る観点から、第1導電層に占めるフェノールカルボン酸の割合は、20質量%以下が好ましい。
第1導電層(カーボン層)がフェノールカルボン酸を含む場合、第1導電層に占めるフェノールカルボン酸の割合は、3質量%以上20質量%以下とするとよい。第1導電層に占めるフェノールカルボン酸の割合を3質量%以上とすることで、固体電解質層の酸化劣化を十分に抑制できる。一方で、十分な導電性を得る観点から、第1導電層に占めるフェノールカルボン酸の割合は、20質量%以下が好ましい。
以下、適宜図面を参照しながら、電解コンデンサの構成についてより具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの構造を概略的に示す断面図である。
図示例では、電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2を封止する樹脂製の外装体3と、外装体3の外部にそれぞれ少なくともその一部が露出する陽極リード端子4および陰極リード端子5と、を備えている。外装体3は、ほぼ直方体の外形を有しており、電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
図1は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの構造を概略的に示す断面図である。
図示例では、電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2を封止する樹脂製の外装体3と、外装体3の外部にそれぞれ少なくともその一部が露出する陽極リード端子4および陰極リード端子5と、を備えている。外装体3は、ほぼ直方体の外形を有しており、電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
コンデンサ素子2は、陽極部を構成する陽極体6と、陽極体6を覆う誘電体層7と、誘電体層7を覆う陰極部8とを備える。
陽極体6は、陰極部8と対向する領域と、対向しない領域とを含む。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、陰極部8に隣接する部分には、陽極体6の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離層13が形成され、陰極部8と陽極体6との接触が規制されている。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、他の一部は、陽極リード端子4と、溶接により電気的に接続されている。陰極リード端子5は、導電性接着剤により形成される接着層14を介して、陰極部8と電気的に接続されている。
陰極部8は、誘電体層7を覆う固体電解質層9と、固体電解質層9を覆う陰極引出層10とを備える。陰極引出層10は、カーボン層11および銀ペースト層12を有する。カーボン層11には、式(1)に示すフェノールカルボン酸化合物が含まれている。フェノールカルボン酸化合物は酸化防止剤として作用し、空気がコンデンサ素子内部に侵入した場合においても、固体電解質層の酸化劣化を抑制することができる。これにより、陰極部8の固体電解質層9に含まれる導電性高分子の劣化が抑制され、ESRの上昇が抑制される。
以下に、電解コンデンサの構成についてより詳細に説明する。
(コンデンサ素子2)
コンデンサ素子2は、陽極部を構成する陽極体6と、誘電体層7と、固体電解質層9を含む陰極部8とを備える。陰極部8は、固体電解質層9と、固体電解質層9を覆う陰極引出層10とを備えている。
(コンデンサ素子2)
コンデンサ素子2は、陽極部を構成する陽極体6と、誘電体層7と、固体電解質層9を含む陰極部8とを備える。陰極部8は、固体電解質層9と、固体電解質層9を覆う陰極引出層10とを備えている。
電解コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子2を有していればよく、コンデンサ素子2を1つ有していてもよいし、複数のコンデンサ素子を有していてもよい。電解コンデンサに含まれるコンデンサ素子の数は、用途に応じて決定すればよい。
(陽極体6)
陽極体6は、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などを含むことができる。これらの材料は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンが好ましく使用される。表面が多孔質である陽極体6は、例えば、エッチングなどにより弁作用金属を含む基材(箔状または板状の基材など)の表面を粗面化することで得られる。また、陽極体6は、弁作用金属を含む粒子の成形体またはその焼結体でもよい。なお、焼結体は、多孔質構造を有する。すなわち、陽極体6が焼結体である場合、陽極体6の全体が多孔質となり得る。
陽極体6は、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などを含むことができる。これらの材料は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンが好ましく使用される。表面が多孔質である陽極体6は、例えば、エッチングなどにより弁作用金属を含む基材(箔状または板状の基材など)の表面を粗面化することで得られる。また、陽極体6は、弁作用金属を含む粒子の成形体またはその焼結体でもよい。なお、焼結体は、多孔質構造を有する。すなわち、陽極体6が焼結体である場合、陽極体6の全体が多孔質となり得る。
(誘電体層7)
誘電体層7は、陽極体6の表面の弁作用金属を、化成処理などにより陽極酸化することで形成される。誘電体層7は、陽極体6の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。誘電体層7は、通常、陽極体6の表面に形成される。誘電体層7は、陽極体6の多孔質の表面に形成されるため、陽極体6の表面の孔や窪み(ピット)の内壁面に沿って形成される。
誘電体層7は、陽極体6の表面の弁作用金属を、化成処理などにより陽極酸化することで形成される。誘電体層7は、陽極体6の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。誘電体層7は、通常、陽極体6の表面に形成される。誘電体層7は、陽極体6の多孔質の表面に形成されるため、陽極体6の表面の孔や窪み(ピット)の内壁面に沿って形成される。
誘電体層7は弁作用金属の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTa2O5を含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAl2O3を含む。尚、誘電体層7はこれに限らず、誘電体として機能するものであればよい。陽極体6の表面が多孔質である場合、誘電体層7は、陽極体6の表面(孔の内壁面を含む)に沿って形成される。
(陰極部8、固体電解質層9)
陰極部8を構成する固体電解質層9は、導電性高分子を含むが、必要に応じて、さらに、ドーパントや添加剤などを含んでもよい。導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびこれらの誘導体などを用いることができる。固体電解質層9は、例えば、原料モノマーを誘電体層7上で化学重合および/または電解重合することにより、形成することができる。あるいは、導電性高分子が溶解した溶液、または、導電性高分子が分散した分散液を、誘電体層7に接触させることにより、形成することができる。固体電解質層9は、誘電体層7の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。
陰極部8を構成する固体電解質層9は、導電性高分子を含むが、必要に応じて、さらに、ドーパントや添加剤などを含んでもよい。導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびこれらの誘導体などを用いることができる。固体電解質層9は、例えば、原料モノマーを誘電体層7上で化学重合および/または電解重合することにより、形成することができる。あるいは、導電性高分子が溶解した溶液、または、導電性高分子が分散した分散液を、誘電体層7に接触させることにより、形成することができる。固体電解質層9は、誘電体層7の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。
(陰極引出層10)
陰極部8を構成する陰極引出層10は、カーボン層11と、銀ペースト層12とを備える。陰極引出層10は、固体電解質層9の少なくとも一部を覆うように形成される。
陰極部8を構成する陰極引出層10は、カーボン層11と、銀ペースト層12とを備える。陰極引出層10は、固体電解質層9の少なくとも一部を覆うように形成される。
(カーボン層11)
カーボン層11は、炭素粒子と、酸化防止剤とを含む。酸化防止剤としては、上記式(1)に示すフェノールカルボン酸化合物が用いられる。カーボン層11は、必要に応じて、バインダ、および/または添加剤などを含むことができる。
カーボン層11は、炭素粒子と、酸化防止剤とを含む。酸化防止剤としては、上記式(1)に示すフェノールカルボン酸化合物が用いられる。カーボン層11は、必要に応じて、バインダ、および/または添加剤などを含むことができる。
炭素粒子としては、導電性の炭素粒子が好ましい。炭素粒子としては、例えば、黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、ソフトカーボン、ハードカーボンなどが挙げられる。黒鉛としては、黒鉛型の結晶構造を有する炭素材料が用いられ、人造黒鉛および天然黒鉛のいずれであってもよい。炭素粒子としては、カーボンナノチューブ、炭素繊維などを用いてもよい。カーボンナノチューブ、炭素繊維などの繊維状の炭素材料は、適当な長さにカットされたもの(粉砕物なども含む)であってもよい。これらの炭素粒子は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭素粒子の平均粒子径は、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。平均粒子径がこのような範囲である場合、カーボン層11内に炭素粒子を密に充填し易く、高い導電性を確保し易い。
炭素粒子の平均粒子径は、例えば、0.05μm以上であり、0.1μm以上が好ましい。
炭素粒子の平均粒子径は、例えば、0.05μm以上であり、0.1μm以上が好ましい。
カーボン層11は、主成分として炭素粒子を含む。カーボン層11中の炭素粒子の含有量は、例えば、60質量%より多く、70質量%以上が好ましい。炭素粒子の含有量がこのような範囲である場合、固体電解質層9と銀ペースト層12との間の高い密着性を確保することができる。カーボン層11中の炭素粒子の含有量の上限は、他の成分の含有量に応じて決定でき、特に制限されないが、例えば、99質量%以下である。
カーボン層11に含まれるバインダおよび添加剤としては、それぞれ、電解コンデンサのカーボン層に使用される公知の成分が特に制限なく使用できる。
カーボン層11の平均厚みは、例えば、0.01μm以上50μm以下である。
カーボン層11には、金属元素が含まれていてもよい。金属元素は、例えば、銀であってもよい。カーボン層11に含まれる銀の形状は特に制限されないが、銀は、平均粒子径の小さな(例えば、1nm以上1000nm以下の)銀粒子として含まれていてもよい。
(銀ペースト層12)
銀ペースト層12は、例えば、銀粒子と、バインダとを含む。銀ペースト層12は、必要に応じて、添加剤などを含むことができる。添加剤としては、銀ペースト層に用いられる公知のものが挙げられる。
銀ペースト層12は、例えば、銀粒子と、バインダとを含む。銀ペースト層12は、必要に応じて、添加剤などを含むことができる。添加剤としては、銀ペースト層に用いられる公知のものが挙げられる。
銀粒子には、他の金属元素が含まれていてもよい。銀粒子中の他の金属元素の含有量は、0.1質量%以下であることが好ましい。銀ペースト層12中の銀の含有量は、例えば、50質量%より多く、70質量%以上が好ましい。
銀ペースト層12に含まれるバインダとしては、特に制限されないが、硬化性樹脂の硬化物が好ましい。硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂は、カルボン酸化合物との密着性が良いため、カーボン層11に式(1)に示すフェノールカルボン酸化合物が含まれていることで、カーボン層11と銀ペースト層12との密着性が高まる。
酸化防止剤としてのフェノールカルボン酸化合物が、銀ペースト層12に含まれていてもよい。固体電解質層9に含まれる導電性高分子の劣化を一層抑制でき、ESRの上昇の抑制効果を高められる。
(外装体3)
外装体3は、コンデンサ素子2を覆うものである。通常、リード端子4,5の一部も外装体3に覆われている。外装体3は、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を樹脂材料で封止することにより形成される。
外装体3は、コンデンサ素子2を覆うものである。通常、リード端子4,5の一部も外装体3に覆われている。外装体3は、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を樹脂材料で封止することにより形成される。
外装体3は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂もしくはそれを含む組成物を含んでもよい。硬化性樹脂組成物や熱可塑性樹脂(組成物)については、後述で例示するものを用いることができる。
樹脂材料で形成された外装体3では、樹脂材料が劣化したり、機械的な衝撃により損傷したりし易く、外部の空気が外装体3を透過して外装体内に侵入し易い。本実施形態によれば、カーボン層11に含まれるフェノールカルボン酸化合物が酸化防止剤として働くため、空気が外装体3を通過してコンデンサ素子内部に侵入した場合においても、空気による固体電解質層の酸化劣化は抑制される。
(リード端子4,5)
リード端子4,5の一端部は、コンデンサ素子2に電気的に接続され、他端部は外装体3の外部に引き出される。電解コンデンサ1において、リード端子4,5の一端部側は、コンデンサ素子2とともに外装体3により覆われている。リード端子4,5としては、電解コンデンサで使用されるリード端子が特に制限なく利用でき、例えば、リードフレームと呼ばれるものを用いてもよい。リード端子4,5の素材としては、例えば、銅などの金属またはその合金などが挙げられる。
リード端子4,5の一端部は、コンデンサ素子2に電気的に接続され、他端部は外装体3の外部に引き出される。電解コンデンサ1において、リード端子4,5の一端部側は、コンデンサ素子2とともに外装体3により覆われている。リード端子4,5としては、電解コンデンサで使用されるリード端子が特に制限なく利用でき、例えば、リードフレームと呼ばれるものを用いてもよい。リード端子4,5の素材としては、例えば、銅などの金属またはその合金などが挙げられる。
[電解コンデンサの製造方法]
上記の電解コンデンサは、陽極体の少なくとも一部を覆うように誘電体層を形成する工程と、誘電体層の少なくとも一部を覆うように固体電解質層を形成する工程と、固体電解質層の少なくとも一部に陰極引出層を形成する工程と、を有する製造方法により製造される。陰極引出層を形成する工程は、カーボン層を形成する工程と、カーボン層の少なくとも一部に銀ペースト層を形成する工程と、を有する。電解コンデンサの製造方法は、さらに、誘電体層の形成工程に先立って、陽極体を準備する工程を備えていてもよい。また、電解コンデンサの製造方法は、さらに、コンデンサ素子にリード端子を電気的に接続する工程と、コンデンサ素子およびリード端子の一部を外装体で覆う工程(封止工程)と、を備えることができる。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
上記の電解コンデンサは、陽極体の少なくとも一部を覆うように誘電体層を形成する工程と、誘電体層の少なくとも一部を覆うように固体電解質層を形成する工程と、固体電解質層の少なくとも一部に陰極引出層を形成する工程と、を有する製造方法により製造される。陰極引出層を形成する工程は、カーボン層を形成する工程と、カーボン層の少なくとも一部に銀ペースト層を形成する工程と、を有する。電解コンデンサの製造方法は、さらに、誘電体層の形成工程に先立って、陽極体を準備する工程を備えていてもよい。また、電解コンデンサの製造方法は、さらに、コンデンサ素子にリード端子を電気的に接続する工程と、コンデンサ素子およびリード端子の一部を外装体で覆う工程(封止工程)と、を備えることができる。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
(陽極体6を準備する工程)
この工程では、陽極体6の種類に応じて、公知の方法により、陽極部を構成する陽極体6を形成する。陽極体6は、例えば、弁作用金属を含む箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより準備することができる。粗面化は、基材表面に凹凸を形成できればよく、例えば、基材表面をエッチング(例えば、電解エッチング)することにより行ってもよい。また、上記の場合に限らず、弁作用金属の粉末を、所望の形状(例えば、ブロック状)に成形して成形体を得る。この成形体を焼結することで、多孔質構造の陽極体6を形成してもよい。
この工程では、陽極体6の種類に応じて、公知の方法により、陽極部を構成する陽極体6を形成する。陽極体6は、例えば、弁作用金属を含む箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより準備することができる。粗面化は、基材表面に凹凸を形成できればよく、例えば、基材表面をエッチング(例えば、電解エッチング)することにより行ってもよい。また、上記の場合に限らず、弁作用金属の粉末を、所望の形状(例えば、ブロック状)に成形して成形体を得る。この成形体を焼結することで、多孔質構造の陽極体6を形成してもよい。
(誘電体層7を形成する工程)
この工程では、陽極体6上に誘電体層7を形成する。誘電体層7は、陽極体6を陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の方法、例えば、化成処理などにより行うことができる。化成処理は、例えば、陽極体6を化成液中に浸漬することにより、陽極体6の表面に化成液を含浸させ、陽極体6をアノードとして、化成液中に浸漬したカソードとの間に電圧を印加することにより行うことができる。化成液としては、例えば、リン酸水溶液などを用いることが好ましい。
この工程では、陽極体6上に誘電体層7を形成する。誘電体層7は、陽極体6を陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の方法、例えば、化成処理などにより行うことができる。化成処理は、例えば、陽極体6を化成液中に浸漬することにより、陽極体6の表面に化成液を含浸させ、陽極体6をアノードとして、化成液中に浸漬したカソードとの間に電圧を印加することにより行うことができる。化成液としては、例えば、リン酸水溶液などを用いることが好ましい。
(固体電解質層9を形成する工程)
この工程では、誘電体層7上に固体電解質層9を形成する。例えば、誘電体層7が形成された陽極体6に、導電性高分子を含む処理液を付着させた後、乾燥させて固体電解質層9を形成する。処理液は、さらにドーパントなどの他の成分を含んでもよい。導電性高分子には、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が用いられる。ドーパントには、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)が用いられる。処理液は、導電性高分子の分散液または溶液である。分散媒(溶媒)としては、例えば、水、有機溶媒、またはこれらの混合物が挙げられる。
この工程では、誘電体層7上に固体電解質層9を形成する。例えば、誘電体層7が形成された陽極体6に、導電性高分子を含む処理液を付着させた後、乾燥させて固体電解質層9を形成する。処理液は、さらにドーパントなどの他の成分を含んでもよい。導電性高分子には、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が用いられる。ドーパントには、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)が用いられる。処理液は、導電性高分子の分散液または溶液である。分散媒(溶媒)としては、例えば、水、有機溶媒、またはこれらの混合物が挙げられる。
(陰極引出層10を形成する工程)
この工程では、固体電解質層9上に、カーボン層11と銀ペースト層12とを順次積層することにより陰極引出層10を形成する。
この工程では、固体電解質層9上に、カーボン層11と銀ペースト層12とを順次積層することにより陰極引出層10を形成する。
(カーボン層11の形成工程)
本工程では、固体電解質層9の少なくとも一部にカーボンペーストを付着させてカーボン層11を形成する。固体電解質層9の少なくとも一部に形成されたカーボンペーストの塗膜をさらに加熱することによりカーボン層11を形成してもよい。
本工程では、固体電解質層9の少なくとも一部にカーボンペーストを付着させてカーボン層11を形成する。固体電解質層9の少なくとも一部に形成されたカーボンペーストの塗膜をさらに加熱することによりカーボン層11を形成してもよい。
カーボンペーストは、炭素粒子と、式(1)に示すフェノールカルボン酸化合物と、分散媒と、を含む。分散媒としては、水、有機媒体、またはこれらの混合物が使用される。カーボンペーストは、必要に応じて、バインダ、および/または添加剤などを含むことができる。
カーボンペーストに含まれる炭素粒子としては、カーボン層11について記載したものが挙げられる。
カーボンペースト中の固形分に占める炭素粒子の割合は、例えば、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。炭素粒子の含有量がこのような範囲である場合、固体電解質層9と銀ペースト層12との間の高い密着性を確保することができる。また、カーボン層11中で炭素粒子を配列させ易くなるため、カーボン層11における空気の透過抑制効果をさらに高めることができる。カーボンペースト中の炭素粒子の含有量の上限は、他の成分の含有量に応じて決定でき、特に制限されないが、例えば、99質量%以下である。
カーボンペーストに含まれるバインダとしては、特に制限されず、カーボン層の作製に用いられる公知のバインダが挙げられる。バインダとしては、例えば、熱可塑性樹脂(ポリエステル樹脂など)、熱硬化性樹脂(ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂など)などの高分子バインダが好ましい。
添加剤としては、特に制限されず、カーボン層の作製に用いられる公知の添加剤が挙げられる。添加剤としては、例えば、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、塩基、および/または酸などが挙げられる。
カーボン層11は、カーボンペーストを固体電解質層9の少なくとも一部に付着させて塗膜を形成し、乾燥することにより形成してもよい。塗膜を形成した後にさらに加熱してもよい。
カーボンペーストを固体電解質層9に接触させればよく、例えば、固体電解質層9を備える陽極体6を、カーボンペースト中に浸漬させてもよく、カーボンペーストを、公知のコーターなどを用いて、固体電解質層9の表面に塗布してもよい。
カーボンペーストの塗膜を加熱する際の温度は、例えば、150℃以上300℃以下である。
(銀ペースト層12の形成工程)
本工程では、カーボン層11の少なくとも一部に銀ペースト層12を形成する。銀ペースト層12は、カーボン層11の少なくとも一部に銀ペーストを付着させることにより形成できる。銀ペーストは、銀粒子と、バインダと、分散媒と、必要に応じて添加剤とを含むことができる。銀粒子、バインダ、添加剤としては、銀ペースト層12についての説明を参照できる。分散媒としては、水、有機媒体、およびこれらの混合物などが挙げられる。銀ペーストには、式(1)に示すフェノールカルボン酸化合物が含まれていてもよい。銀ペーストに炭素粒子が含まれていてもよい。
本工程では、カーボン層11の少なくとも一部に銀ペースト層12を形成する。銀ペースト層12は、カーボン層11の少なくとも一部に銀ペーストを付着させることにより形成できる。銀ペーストは、銀粒子と、バインダと、分散媒と、必要に応じて添加剤とを含むことができる。銀粒子、バインダ、添加剤としては、銀ペースト層12についての説明を参照できる。分散媒としては、水、有機媒体、およびこれらの混合物などが挙げられる。銀ペーストには、式(1)に示すフェノールカルボン酸化合物が含まれていてもよい。銀ペーストに炭素粒子が含まれていてもよい。
銀ペースト中の固形分に占める銀粒子およびバインダの含有量は、それぞれ、銀ペースト層12中の銀の含有量およびバインダの含有量について記載した範囲から選択すればよい。
銀ペースト層12は、カーボン層11の少なくとも一部に形成された銀ペーストの塗膜を、乾燥、および/または加熱することにより形成できる。例えば、バインダとして、熱硬化性樹脂を用いる場合には、銀ペーストの塗膜を加熱して、バインダを硬化させることにより銀ペースト層12が形成される。
(リード端子接続工程)
この工程では、コンデンサ素子2に、陽極リード端子4および陰極リード端子5を電気的に接続する。各リード端子の接続は、コンデンサ素子2を作製した後に行ってもよい。陰極リード端子5のコンデンサ素子2への接続は、コンデンサ素子2を作製した後に行われるが、陽極リード端子4の陽極体6への接続は、コンデンサ素子2を作製する工程の適当な段階で行ってもよい。例えば、焼結により多孔質構造の陽極体を形成する場合には、弁作用金属の粉末の中に、棒状体の陽極リード端子の長手方向の一端部を埋め込んだ状態で、所望の形状に成形された成形体を得る。そして、この成形体を焼結することで、陽極リード端子の一端部が埋め込まれた多孔質構造の陽極体を形成してもよい。
この工程では、コンデンサ素子2に、陽極リード端子4および陰極リード端子5を電気的に接続する。各リード端子の接続は、コンデンサ素子2を作製した後に行ってもよい。陰極リード端子5のコンデンサ素子2への接続は、コンデンサ素子2を作製した後に行われるが、陽極リード端子4の陽極体6への接続は、コンデンサ素子2を作製する工程の適当な段階で行ってもよい。例えば、焼結により多孔質構造の陽極体を形成する場合には、弁作用金属の粉末の中に、棒状体の陽極リード端子の長手方向の一端部を埋め込んだ状態で、所望の形状に成形された成形体を得る。そして、この成形体を焼結することで、陽極リード端子の一端部が埋め込まれた多孔質構造の陽極体を形成してもよい。
複数のコンデンサ素子の積層体を用いる場合には、陽極リード端子4は上記と同様に陽極体6に接続できる。陰極リード端子5は、上記と同様にコンデンサ素子に接続してもよく、陰極部8同士を電気的に接続させた複数のコンデンサ素子の積層体に、陰極リード端子5の一端部を接続してもよい。
(封止工程)
本工程では、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を外装体3で覆うことにより、コンデンサ素子2を外装体3で封止する。より具体的には、コンデンサ素子2とリード端子4,5とを電気的に接続した後、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を、樹脂外装体を構成する樹脂で覆うことにより封止することができる。
本工程では、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を外装体3で覆うことにより、コンデンサ素子2を外装体3で封止する。より具体的には、コンデンサ素子2とリード端子4,5とを電気的に接続した後、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を、樹脂外装体を構成する樹脂で覆うことにより封止することができる。
外装体3は、射出成形、インサート成形、圧縮成形などの成形技術を用いて形成することができる。外装体3は、例えば、所定の金型を用いて、硬化性樹脂組成物または熱可塑性樹脂(組成物)をコンデンサ素子2およびリード端子4,5の一端部を覆うように所定の箇所に充填して形成することができる。複数のコンデンサ素子の積層体を用いる場合には、積層体とリード端子の一部を覆うように樹脂外装体を形成すればよい。
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂に加え、フィラー、硬化剤、重合開始剤、および/または触媒などを含んでもよい。硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ジアリルフタレート、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。硬化性樹脂組成物は、複数の硬化性樹脂を含んでもよい。
フィラーとしては、例えば、絶縁性の粒子(無機系、有機系)および/または繊維などが好ましい。フィラーを構成する絶縁性材料としては、例えば、シリカ、アルミナなどの絶縁性の化合物(酸化物など)、ガラス、鉱物材料(タルク、マイカ、クレーなど)などが挙げられる。樹脂外装体は、これらのフィラーを一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。樹脂外装体中のフィラーの含有量は、例えば、10~90質量%である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などを用いることができる。熱可塑性樹脂を含む組成物は、熱可塑性樹脂に加え、上記のフィラーなどを含んでもよい。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1~3》
下記の要領で、図1に示す電解コンデンサ1を作製し、その特性を評価した。
(1)コンデンサ素子の作製
基材としてアルミニウム箔(厚み100μm)を準備し、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施し、陽極体6を得た。陽極体6を濃度0.3質量%のリン酸溶液(液温70℃)に浸して70Vの直流電圧を20分間印加することにより、陽極体6の表面に酸化アルミニウム(Al2O3)を含む誘電体層7を形成した。その後、陽極体6の所定の箇所に絶縁性のレジストテープ(分離層13)を貼り付けた。
下記の要領で、図1に示す電解コンデンサ1を作製し、その特性を評価した。
(1)コンデンサ素子の作製
基材としてアルミニウム箔(厚み100μm)を準備し、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施し、陽極体6を得た。陽極体6を濃度0.3質量%のリン酸溶液(液温70℃)に浸して70Vの直流電圧を20分間印加することにより、陽極体6の表面に酸化アルミニウム(Al2O3)を含む誘電体層7を形成した。その後、陽極体6の所定の箇所に絶縁性のレジストテープ(分離層13)を貼り付けた。
誘電体層7が形成された陽極体6を、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の水分散液(濃度2質量%)に浸漬した後、乾燥し、固体電解質層9を形成した。
固体電解質層9に、鱗片状の黒鉛粒子、没食子酸およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を水に分散した分散液(カーボンペースト)を塗布した後、200℃で加熱することにより、固体電解質層の表面にカーボン層11を形成した。カーボンペースト中の没食子酸の含有量は、加熱後のカーボン層11中に占める没食子酸の含有量が表1に示す質量%となるように調節した。カーボン層11中に占める没食子酸の含有量は、カーボンペースト中の固形分に占める没食子酸の含有量とほぼ同じであった。
次いで、カーボン層11の表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布した後、加熱してバインダ樹脂を硬化させ、銀ペースト層12を形成した。このようにして、カーボン層11と銀ペースト層12とで構成される陰極引出層10を形成した。
以上のようにして、カーボン層中の没食子酸の含有量の異なる複数のコンデンサ素子を得た。
以上のようにして、カーボン層中の没食子酸の含有量の異なる複数のコンデンサ素子を得た。
(2)電解コンデンサの組み立て
コンデンサ素子に、さらに、陽極リード端子4、陰極リード端子5、接着層14を配置し、フィラーとしてシリカ粒子を含む樹脂を用いて外装体3を形成することにより、電解コンデンサを作製した。
コンデンサ素子に、さらに、陽極リード端子4、陰極リード端子5、接着層14を配置し、フィラーとしてシリカ粒子を含む樹脂を用いて外装体3を形成することにより、電解コンデンサを作製した。
《比較例1》
カーボン層の形成において、没食子酸を添加しない分散液(カーボンペースト)を用いた。これ以外については、実施例1~3と同様にして、電解コンデンサを作製した。
カーボン層の形成において、没食子酸を添加しない分散液(カーボンペースト)を用いた。これ以外については、実施例1~3と同様にして、電解コンデンサを作製した。
《比較例2》
鱗片状の黒鉛粒子とピロガロールとを水に分散した分散液(カーボンペースト)を用いて、カーボン層11を形成した。カーボンペースト中のピロガロールの含有量は、加熱後のカーボン層11中に占めるピロガロールの含有量が10質量%となるように調節した。
鱗片状の黒鉛粒子とピロガロールとを水に分散した分散液(カーボンペースト)を用いて、カーボン層11を形成した。カーボンペースト中のピロガロールの含有量は、加熱後のカーボン層11中に占めるピロガロールの含有量が10質量%となるように調節した。
これ以外については、実施例1~3と同様にして、電解コンデンサを作製した。
上記で作製した実施例および比較例の電解コンデンサについて、以下の評価を行った。
[評価]
20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)を、初期のESR値(X0)(mΩ)として測定した。次に、電解コンデンサを、270℃で3分間加熱し、次いで、145℃で加熱を続けた。270℃での加熱開始から500時間後の電解コンデンサのESR値(X1)(mΩ)を、上記と同様の方法で測定した。そして、下記式よりESRの変化率を求めた。
ESRの変化率=X1/X0
評価結果を表1に示す。実施例1~3は、A1~A3であり、比較例1、2は、B1、B2である。
[評価]
20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)を、初期のESR値(X0)(mΩ)として測定した。次に、電解コンデンサを、270℃で3分間加熱し、次いで、145℃で加熱を続けた。270℃での加熱開始から500時間後の電解コンデンサのESR値(X1)(mΩ)を、上記と同様の方法で測定した。そして、下記式よりESRの変化率を求めた。
ESRの変化率=X1/X0
評価結果を表1に示す。実施例1~3は、A1~A3であり、比較例1、2は、B1、B2である。
本発明の上記局面に係る電解コンデンサは、高温雰囲気や高湿雰囲気に曝された場合でも、固体電解質層に含まれる導電性高分子の劣化が抑制され、ESRの上昇を抑制できる。よって、低いESRが求められる様々な用途に利用できる。
1:電解コンデンサ、2:コンデンサ素子、3:外装体、4:陽極リード端子、5:陰極リード端子、6:陽極体、7:誘電体層、8:陰極部、9:固体電解質層、10:陰極引出層、11:カーボン層、12:銀ペースト層、13:分離層、14:接着層
Claims (9)
- 前記R1~R5のうち少なくとも2つが水酸基である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
- 前記R1~R5のうち少なくとも3つが水酸基である、請求項2に記載の電解コンデンサ。
- 前記フェノールカルボン酸化合物は、ベンゼン環内で隣り合う炭素原子と結合する2つの水酸基を含む、請求項2または3に記載の電解コンデンサ。
- 前記フェノールカルボン酸化合物が、没食子酸を含む、請求項3または4に記載の電解コンデンサ。
- 前記陰極引出層は、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う第1導電層と、前記第1導電性を覆う第2導電層と、を備え、
少なくとも前記第1導電層が、前記炭素粒子および前記フェノールカルボン酸化合物を含み、
少なくとも前記第2導電層が、金属粒子を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。 - 前記第1導電層に占める前記フェノールカルボン酸化合物の割合は、3質量%以上20質量%以下である、請求項6に記載の電解コンデンサ。
- 前記金属粒子が、銀粒子を含む、請求項6または7に記載の電解コンデンサ。
- 前記第2導電層が、熱硬化性樹脂を含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
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122 | Ep: pct application non-entry in european phase |
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