WO2022158350A1 - 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ Download PDF

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Abstract

陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を備える。前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を備える。前記固体電解質層は、共役系高分子を含む導電性高分子成分を含む。前記固体電解質層は、230℃で5時間加熱したときの酸素透過度P1が、1.0cm3/m2・24h・atm以下である固体電解コンデンサ素子を用いることで、耐熱性に優れる固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサを提供する。

Description

固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
 本開示は、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサに関する。
 固体電解コンデンサは、固体電解コンデンサ素子と、固体電解コンデンサ素子を封止する樹脂外装体またはケースと、固体電解コンデンサ素子に電気的に接続される外部電極とを備える。固体電解コンデンサ素子は、陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部とを備える。陰極部は、誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子成分を含む固体電解質層を備えている。
 特許文献1は、少なくとも弁金属からなる陽極と、この弁金属の上に形成した誘電体被膜と、この誘電体被膜の上に形成された導電性高分子からなる固体電解質層とで構成された固体電解コンデンサにおいて、導電性高分子をイオン性高分子との複合体とすることを提案している。特許文献1には、導電性高分子が化学重合または電解重合で形成されることが記載されている。
特開2005-21410号公報
 本開示の第1側面に係る固体電解コンデンサ素子は、陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を備え、前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を備え、前記固体電解質層は、共役系高分子を含む導電性高分子成分を含み、前記固体電解質層は、230℃で5時間加熱したときの酸素透過度P1が、1.0cm/m・24h・atm以下である。
 本開示の第2側面に係る固体電解コンデンサは、上記の固体電解コンデンサ素子を少なくとも1つ備える。
 本開示によれば、耐熱性に優れる固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサを提供できる。
図1は、本開示の一実施形態に係る固体電解コンデンサの断面模式図である。
 実施形態の説明に先立って、従来技術における課題について簡単に以下に示す。
 固体電解コンデンサでは、内部に空気が侵入すると、空気中に含まれる水分または酸素の作用により、導電性高分子成分(共役系高分子、ドーパントなど)が劣化する。導電性高分子成分が劣化すると、固体電解質層の導電性が低下する。また、固体電解質層における共役系高分子の配向性が低いと、固体電解コンデンサが高温に晒された場合に、空気が侵入し易くなる。そのため、導電性高分子成分の劣化は、特に、高温環境下で顕著である。固体電解コンデンサは、用途によって、高温環境下で用いられることがある。また、固体電解コンデンサは、一般に、高温に晒されるリフロー工程を経て基板にはんだ接合される。そのため、優れた耐熱性を有する固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサが求められている。
 上記課題を鑑み、本開示の第1側面に係る固体電解コンデンサ素子では、高温に晒された場合の固体電解質層において空気(より具体的には酸素)の侵入が低く抑えられている。より具体的には、固体電解質層は、230℃で5時間加熱したときの酸素透過度P1が、1.0cm/m・24h・atm以下である。1cm/m・24h・atm=9.87mL/m・day・MPaである。
 第1側面の固体電解コンデンサ素子では、固体電解質層における共役系高分子の高い配向性が得られる。共役系高分子の高い配向性によって、共役系高分子の結晶性が向上したり、共役系高分子がエネルギー的に安定化したりする。そのため、膜質に優れる緻密で剛直な固体電解質層が得られる。その結果、固体電解質層における酸素透過度を低く抑えることができるとともに、固体電解質層の高い導電性を確保することができる。高温に晒された場合でも、固体電解質層の劣化が抑制され、コンデンサ性能(静電容量など)の低下を抑制できる。よって、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの高い耐熱性を確保することができる。優れた耐熱性が得られることで、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの信頼性を高めることができる。
 このような固体電解質層は、3極式の電解重合により形成することができる。従来の一般的な電解重合は、表面に誘電体層が形成された陽極体を陽極とし、この陽極と対電極との2つの電極を用いる2極式により行われる。それに対し、3極式の電解重合は、表面に誘電体層が形成された陽極体を陽極とし、この陽極と対電極と参照電極との3つの電極を用いて行われる。3極式の電解重合では、参照電極を利用することで、対電極の自然電位の変化に影響されずに陽極の電位を精密に制御することができる。よって、3極式の場合には、2極式の場合に比べて、電解重合反応がより精密に制御されるため、電解重合により形成される共役系高分子の配向性が高まり、結晶性が向上したり、共役系高分子がエネルギー的に安定化されたりする。なお、2極式および3極式のいずれの場合にも、固体電解質層は、誘電体層の表面において、共役系高分子の前駆体を、必要に応じてドーパントの存在下で、電解重合することにより形成することができる。
 固体電解質層は、酸素透過度Pと上記加熱の前の酸素透過度Pとの差(P-P)が、0.3cm/m・24h・atm以下であることが好ましく、0.25cm/m・24h・atm以下であってもよい。この場合、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの耐熱性をさらに高めることができる。より具体的には、固体電解コンデンサ素子が高温に晒された場合でも、酸化反応が進行し難く、固体電解質層の劣化が抑制されるとともに高い導電性が維持され、コンデンサ性能(静電容量など)の低下がさらに抑制される。
 固体電解コンデンサ素子は、200℃を超え300℃以下の温度で熱処理されていてもよい。従来の固体電解コンデンサ素子では、このような温度で熱処理を行うと、酸化反応が進行し、酸素透過度は、1.0cm/m・24h・atmより大きく、通常、1.3cm/m・24h・atm以上に大きくなる。本開示の固体電解コンデンサ素子では、固体電解質層の膜質が優れるため、上記のような温度で熱処理を行った後の酸素透過度が低く抑えられる。よって、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの高い耐熱性が得られる。熱処理は、例えば、1時間以上行ってもよい。
 本明細書中、固体電解質層の酸素透過度とは、厚さ4μmの固体電解質層を有するサンプルを用いて、JIS K7126-2:2006に準拠して測定される酸素透過度(cm/m・24h・atm)である。酸素透過度Pの測定には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(縦100mm×100mm×厚さ100μm)の一方の表面に、固体電解コンデンサ素子の固体電解質層を形成する場合と同じ条件で厚さ4μmの固体電解質層を形成したサンプル(サンプルA)が用いられる。固体電解コンデンサ素子の固体電解質層の形成において、プレコート層を形成する場合には、サンプルの固体電解質層を形成する前に厚さ0.1μmのプレコート層を形成する。酸素透過度Pは、サンプルAを230℃で5時間加熱した後に測定される酸素透過度である。例えば、酸素透過度の測定に供されるサンプルの固体電解質層は、固体電解コンデンサ素子の固体電解質層の結晶性と同じ程度の結晶性を有するように形成される。すなわち、サンプルの固体電解質層のラマンスペクトルと固体電解コンデンサ素子の固体電解質層のラマンスペクトルとを概ね対応させてもよい。具体的には、サンプルの固体電解質層のラマンスペクトルにおいて共役系高分子に由来するCC伸縮振動に帰属されるピーク(第1ピーク)の半値全幅は、固体電解コンデンサ素子の固体電解質層のラマンスペクトルの第1ピークの半値全幅の±5%以内の値であってよい。あるいは、サンプルの固体電解質層のラマンスペクトルの第1ピークの基準位置からのシフト量は、固体電解コンデンサ素子の固体電解質層のラマンスペクトルの第1ピークの基準位置からのシフト量の±5%以内の値であってよい。なお、固体電解質層のラマンスペクトル、基準位置、および第1ピークのシフト量については、後述のラマンスペクトルに関する説明を参照できる。酸素透過度の測定は、例えば、下記の条件で行われる。
 装置:MOCON社製の酸素透過率測定装置OXTRAN2/21
 検出器:クーロメトリックセンサ
 測定温度:23℃
 相対湿度:60%RH
 以下、必要に応じて図面を参照しながら、本開示の固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサ素子(以下、単にコンデンサ素子と称することがある)についてより具体的に説明する。
[固体電解コンデンサ]
 固体電解コンデンサは、1つまたは2つ以上のコンデンサ素子を備える。固体電解コンデンサに含まれるコンデンサ素子の少なくとも1つにおいて、上記のような酸素透過度を示す固体電解質層を備えていればよい。固体電解コンデンサに含まれるコンデンサ素子の個数の50%以上(より好ましくは75%以上)において、上記のような酸素透過度を示す固体電解質層を備えていることが好ましく、全てのコンデンサ素子において、上記のような酸素透過度を示す固体電解質層を備えていることがさらに好ましい。
(コンデンサ素子)
 (陽極体)
 陽極体は、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などを含むことができる。これらの材料は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンが好ましく使用される。表面が多孔質である陽極体は、例えば、エッチングなどにより弁作用金属を含む基材(シート状(例えば、箔状、板状)の基材など)の表面を粗面化することで得られる。粗面化は、例えば、エッチング処理などにより行うことができる。また、陽極体は、弁作用金属を含む粒子の成形体またはその焼結体でもよい。なお、成形体および焼結体のそれぞれは、多孔質構造を有する。成形体および焼結体のそれぞれは、シート状の形状であってもよく、直方体、立方体またはこれらに類似の形状などであってもよい。
 陽極体は、通常、陽極引出部および陰極形成部を有する。陰極部は、陽極体の陰極形成部に、通常、誘電体層を介して形成される。陽極引出部には、陽極端子が接続される。
 (誘電体層)
 誘電体層は、陽極体の少なくとも一部の表面を覆うように形成された誘電体として機能する絶縁性の層である。誘電体層は、陽極体の表面の弁作用金属を、化成処理などにより陽極酸化することで形成される。誘電体層は、陽極体の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。誘電体層は、通常、陽極体の表面に形成される。誘電体層は、陽極体の多孔質の表面に形成されるため、誘電体層の表面は、上述のように微細な凹凸形状を有する。
 誘電体層は弁作用金属の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTa25を含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAl23を含む。尚、誘電体層はこれに限らず、誘電体として機能すればよい。
 (陰極部)
 陰極部は、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を備えている。また、陰極部は、さらに固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層を備えていてもよい。陰極部は、通常、陽極体の少なくとも一部の表面に、誘電体層を介して形成されている。以下、固体電解質層および陰極引出層について説明する。
 (固体電解質層)
 固体電解質層は、陽極体の表面に、誘電体層を介して、誘電体層を覆うように形成される。固体電解質層は、必ずしも誘電体層の全体(表面全体)を覆う必要はなく、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。固体電解質層は、固体電解コンデンサにおける陰極部の少なくとも一部を構成する。
 固体電解質層は、通常、導電性高分子成分を含む。導電性高分子成分は、少なくとも共役系高分子を含んでおり、必要に応じてさらにドーパントを含んでいてもよい。
  (共役系高分子)
 共役系高分子としては、電解コンデンサに使用される公知の共役系高分子、例えば、π共役系高分子などが使用できる。共役系高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、およびポリチオフェンビニレンを基本骨格とする高分子が挙げられる。上記の高分子は、基本骨格を構成する少なくとも一種のモノマー単位を含んでいればよい。モノマー単位には、置換基を有するモノマー単位も含まれる。上記の高分子には、単独重合体、二種以上のモノマーの共重合体も含まれる。
 共役系高分子のうち、ピロール化合物、チオフェン化合物、およびアニリン化合物からなる群より選択される少なくとも一種に対応するモノマー単位を含む共役系高分子が好ましい。ピロール化合物としては、ピロール環を有し、対応するモノマー単位の繰り返し構造を形成可能な化合物が挙げられる。チオフェン化合物としては、チオフェン環を有し、対応するモノマー単位の繰り返し構造を形成可能な化合物が挙げられる。これらの化合物は、ピロール環またはチオフェン環の2位および5位で連結してモノマー単位の繰り返し構造を形成することができ、これにより、π電子雲が分子全体に広がったポリマーを形成可能である。アニリン化合物としては、ベンゼン環とこのベンゼン環に結合した少なくとも1つ(好ましくは1つ)のアミノ基とを有し、対応するモノマー単位の繰り返し構造を形成可能な化合物が挙げられる。アニリン化合物は、例えば、アミノ基とこのアミノ基に対してp-位のCH基(ベンゼン環を構成するCH基)の部分で連結してモノマー単位の繰り返し構造を形成することができ、これにより、π電子雲が分子全体に広がったポリマーを形成可能である。
 ピロール化合物は、例えば、ピロール環の3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよい。チオフェン化合物は、例えば、チオフェン環の3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよい。3位の置換基と4位の置換基とは連結してピロール環またはチオフェン環に縮合する環を形成していてもよい。ピロール化合物としては、例えば、3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよいピロールが挙げられる。チオフェン化合物としては、例えば、3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよいチオフェン、アルキレンジオキシチオフェン化合物(エチレンジオキシチオフェン化合物などのC2-4アルキレンジオキシチオフェン化合物など)が挙げられる。アルキレンジオキシチオフェン化合物には、アルキレン基の部分に置換基を有するものも含まれる。アニリン化合物としては、例えば、アミノ基に対して、o-位およびp-位の少なくとも一方に置換基を有していてもよいアニリンが挙げられる。
 置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基などのC1-4アルキル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1-4アルコキシ基など)、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基などのヒドロキシC1-4アルキル基など)などが好ましいが、これらに限定されない。ピロール化合物、チオフェン化合物、およびアニリン化合物のそれぞれが、2つ以上の置換基を有する場合、それぞれの置換基は同じであってもよく、異なってもよい。
 中でも、少なくともピロールに対応するモノマー単位を含む共役系高分子、または少なくとも3,4-エチレンジオキシチオフェン化合物(3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)など)に対応するモノマー単位を含む共役系高分子(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)など)を用いると、固体電解質層の膜質をさらに高めることができる。よって、固体電解質層の酸素透過度を低減する効果が高まる。また、高い耐熱性が得られ易いことに加え、固体電解質層のより高い導電性を確保し易い。少なくともピロールに対応するモノマー単位を含む共役系高分子は、ピロールに対応するモノマー単位のみを含んでもよく、当該モノマー単位に加え、ピロール以外のピロール化合物(置換基を有するピロールなど)に対応するモノマー単位を含んでもよい。少なくともEDOTに対応するモノマー単位を含む共役系高分子は、EDOTに対応するモノマー単位のみを含んでもよく、当該モノマー単位に加え、EDOT以外のチオフェン化合物に対応するモノマー単位を含んでもよい。
 ピロール化合物に対応するモノマー単位を含む共役系高分子において、より高い静電容量を確保し易い観点からは、ピロール化合物(またはピロール)に対応するモノマー単位のモル比率は、50モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましい。共役系高分子におけるピロール化合物(またはピロール)に対応するモノマー単位のモル比率は、100モル%以下である。共役系高分子は、ピロール化合物(またはピロール)に対応するモノマー単位の繰り返し構造のみで構成してもよい。
 チオフェン化合物に対応するモノマー単位を含む共役系高分子において、より高い静電容量を確保し易い観点からは、チオフェン化合物(またはEDOT)に対応するモノマー単位のモル比率は、50モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましい。共役系高分子におけるチオフェン化合物(またはEDOT)に対応するモノマー単位のモル比率は、100モル%以下である。共役系高分子は、チオフェン化合物(またはEDOT)に対応するモノマー単位の繰り返し構造のみで構成してもよい。
 共役系高分子は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
 共役系高分子の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば1,000以上1,000,000以下である。
  (ドーパント)
 ドーパントとしては、例えば、アニオンおよびポリアニオンからなる群より選択される少なくとも一種が使用される。
 アニオンとしては、例えば、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硼酸イオン、有機スルホン酸イオン、カルボン酸イオンなどが挙げられるが、特に制限されない。スルホン酸イオンを生成するドーパントとしては、例えば、p-トルエンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
 ポリアニオンとしては、ポリマーアニオンなどが挙げられる。固体電解質層は、例えば、チオフェン化合物に対応するモノマー単位を含む共役系高分子と、ポリマーアニオンとを含んでもよい。固体電解コンデンサがポリマーアニオンを含む場合、固体電解コンデンサ素子が高温に晒された場合でも、脱ドープが起こりにくいため、より高い耐熱性が得られる。
 ポリマーアニオンとしては、例えば、複数のアニオン性基を有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、アニオン性基を有するモノマー単位を含むポリマーが挙げられる。アニオン性基としては、スルホン酸基、カルボキシ基などが挙げられる。
 固体電解質層において、ドーパントのアニオン性基は、遊離の形態、アニオンの形態、または塩の形態で含まれていてもよく、共役系高分子と結合または相互作用した形態で含まれていてもよい。本明細書中、これらの全ての形態を含めて、単に「アニオン性基」、「スルホン酸基」、または「カルボキシ基」などと称することがある。
 カルボキシ基を有するポリマーアニオンとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方を用いた共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
 スルホン酸基を有するポリマーアニオンの具体例としては、例えば高分子タイプのポリスルホン酸としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸(共重合体および置換基を有する置換体なども含む)、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリエステルスルホン酸(芳香族ポリエステルスルホン酸など)、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
 固体電解質層に含まれるドーパントの量は、共役系高分子100質量部に対して、例えば、10~1000質量部であり、20~500質量部または50~200質量部であってもよい。
  (酸素透過度)
 固体電解質層の230℃で5時間加熱したときの酸素透過度Pは、1.0cm/m・24h・atm以下であり、0.9cm/m・24h・atm以下が好ましく、0.8cm/m・24h・atm以下であってもよく、0.7cm/m・24h・atm以下であってもよい。このような酸素透過度Pを示す固体電解質層は、共役系高分子の配向性が高く、共役系高分子がエネルギー的に安定化した状態である。また、このような固体電解質層は、膜質が緻密であり、高い導電性を有する。よって、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサでは、高温に晒された場合の固体電解質層の劣化が抑制され、静電容量などのコンデンサ性能の低下が抑制される。よって、高い耐熱性が得られる。固体電解質層の酸素透過度Pは、例えば、0.01cm/m・24h・atm以上である。
 例えば、2極式の電解重合で形成されるポリピロールおよびドーパント(ナフタレンスルホン酸など)を含む固体電解質層の酸素透過度Pは、1.0cm/m・24h・atmより高く、通常、1.3cm/m・24h・atm以上である。また、ポリピロールおよびドーパント(ポリスチレンスルホン酸など)を含む液状分散体を用いて形成される固体電解質層の酸素透過度Pは、通常、1.3cm/m・24h・atm以上である。ピロールおよびドーパント(ナフタレンスルホン酸など)を含む重合液を用いて化学重合により形成される固体電解質層の酸素透過度Pは、通常、1.5cm/m・24h・atm以上である。
 2極式の電解重合で形成されるPEDOTおよびドーパント(ポリスチレンスルホン酸など)を含む固体電解質層の酸素透過度Pは、1.0cm/m・24h・atmより高く、通常、1.3cm/m・24h・atm以上である。また、PEDOTおよびドーパント(ポリスチレンスルホン酸など)を含む液状分散体を用いて形成される固体電解質層の酸素透過度Pは、通常、1.3cm/m・24h・atm以上である。EDOTおよびドーパント(ポリスチレンスルホン酸など)を含む重合液を用いて化学重合により形成される固体電解質層の酸素透過度Pは、通常、1.5cm/m・24h・atm以上である。
 第1側面の固体電解コンデンサ素子では、固体電解質層が膜質に優れるため、高温に晒された場合でも、固体電解質層の酸素透過度を低く抑えることができる。固体電解質層について、230℃で5時間加熱したときの酸素透過度Pと加熱前の酸素透過度Pとの差(P-P)は、例えば、0.3cm/m・24h・atm以下であり、0.25cm/m・24h・atm以下であってもよい。なお、従来の固体電解コンデンサ素子では、固体電解質層は膜質に劣り、酸素透過度Pが大きくなるため、(P-P)の値は、0.5cm/m・24h・atmを超える大きな値となる。
 固体電解コンデンサ素子は、例えば、200℃を超える高温で熱処理されていてもよい。熱処理の温度は、例えば、200℃を超え300℃以下であり、210℃以上300℃以下であってもよく、210℃以上250℃以下であってもよい。従来の固体電解コンデンサ素子では、固体電解質層の膜質に劣るため、このような高温で熱処理を行うと、導電性高分子成分の劣化によって、固体電解質層の酸素透過度が大きくなるとともに、導電性が低下する。よって、静電容量などのコンデンサ性能が低下する。しかし、第1側面の固体電解コンデンサ素子では、高温での熱処理を行っても、固体電解質層の優れた膜質が維持され、高いコンデンサ性能を確保することができる。
 熱処理時間は、例えば、1時間以上であり、2時間以上であってもよく、3時間以上であってもよい。熱処理時間は、例えば、10時間以下であり、6時間以下または5時間以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。
 熱処理は、大気中で行ってもよく、不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。熱処理の際の雰囲気は、熱処理を行う段階によって選択できる。例えば、陰極引出層を形成した後に熱処理を行う場合、熱処理は大気中で行ってもよい。
 (ラマンスペクトル)
 本開示の固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサでは、固体電解質層は、共役高分子の高い配向性により、高い結晶性を示す。また、固体電解質層では、共役系高分子がエネルギー的に安定化した状態である。そのため、固体電解質層は、特徴的なラマンスペクトルを示す。以下に、固体電解質層のラマンスペクトルについてより具体的に説明する。
 固体電解質層の主たる成分は共役系高分子であり、固体電解質層のラマンスペクトルでは、共役系高分子に由来するCC伸縮振動に帰属されるピーク(第1ピーク)の高さが最も高く、特徴的である。固体電解質層において、共役系高分子の配向性が高まったり、エネルギー状態が変化したりすると、CC結合の振動状態が変化するため、CC伸縮振動に帰属される第1ピークの半値全幅およびピークの位置の少なくとも一方が変化する。そのため、CC伸縮振動に帰属される第1ピークの半値全幅およびピーク位置の少なくとも一方に基づいて、固体電解質層における共役系高分子の配向状態またはエネルギー状態を把握することができる。
 固体電解質層のラマンスペクトルにおいて、第1ピークをローレンツ関数でフィッティングしたときの第1ピークの半値全幅が80cm-1以下である場合が好ましい。この場合、固体電解質層において、共役系高分子の配向性がさらに高まり、膜質を向上できる。よって、固体電解質層の酸素透過度を低く抑えることができるとともに、高い導電性を確保することができる。また、固体電解コンデンサ素子が、高温に晒された場合でも、酸化反応が進行し難く、固体電解質層の劣化が抑制されることで、高い導電性が維持され、静電容量などのコンデンサ性能の低下が抑制される。固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの高い耐熱性が得られることで、信頼性を高めることができる。第1ピークの半値全幅は、例えば、35cm-1以上である。この場合、固体電解質層を容易に形成することができる。共役系高分子のより高い配向性が得られる観点から、第1ピークの半値全幅は、50cm-1以上であってもよく、55cm-1以上または58cm-1以上であってもよい。なお、第1ピークの半値全幅が上記範囲である場合、固体電解質層の酸素透過度Pが、1.0cm/m・24h・atm以下であると推定できる。
 固体電解質層のラマンスペクトルでは、第1ピークの位置は、固体電解質層が2極式の電解重合により形成され、230℃で5時間加熱した場合の基準位置から、低波数側にシフトした状態である場合も好ましい。この場合、固体電解質層において、共役系高分子の配向性が高まり、共役系高分子がエネルギー的に安定化した状態となる。そのため、固体電解質層の酸素透過度を低く抑えることができるとともに、固体電解質層の高い導電性を確保し易くなる。また、固体電解質層の膜質が向上することで、固体電解コンデンサ素子が高温に晒された場合でも、酸化反応が進行し難く、高い導電性が維持され、静電容量などのコンデンサ性能の低下が抑制される。また、共役系高分子にドーパントが適度にドープされ易くなることで、共役系高分子が還元状態となることが低減されることからも、酸化反応の進行が妨げられる。固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサの高い耐熱性が得られることで、信頼性を高めることができる。なお、基準位置は、2極式の電解重合により形成される共役系高分子を含み、かつ230℃で5時間加熱したときの固体電解質層のラマンスペクトルにおいて、共役系高分子に由来するCC伸縮振動に帰属されるピーク(第2ピーク)をローレンツ関数でフィッティングしたときの第2ピークの位置である。
 第1ピークの位置の基準位置からのシフト量は、通常、0.2%以上であり、0.25%以上または0.3%以上が好ましい。シフト量がこのような範囲である場合、固体電解質層中で共役系高分子がエネルギー的に安定化した状態となるため、酸化反応が進行し難い。例えば、共役系高分子にドーパントが適度にドープされ易くなることで、共役系高分子が還元状態となることが低減される。よって、高い耐熱性が得られる。シフト量は、通常、1%以下であり、0.7%以下または0.51%以下であってもよい。シフト量がこのような範囲である場合、共役系高分子にドーパントが適度にドープされ易くなることで、固体電解質層に含まれるドーパントの分解が過度に多くなることが抑制される。よって、高い耐熱性が得られる。シフト量の下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。なお、第1ピークのシフト量が上記範囲である場合、酸素透過度Pは、1.0cm/m・24h・atm以下であると推定できる。シフト量は、基準位置の波数(cm-1)を100%としたときの、第1ピークの基準位置からの実際のシフト量(cm-1)の比率(%)である。
 例えば、共役系高分子が少なくともピロールに対応するモノマー単位を含む場合、第1ピークの位置は、1566cm-1以上1578cm-1以下であることが好ましく、1570cm-1以上1577cm-1以下がより好ましい。共役系高分子が、少なくともEDOTに対応するモノマー単位を含む場合、第1ピークの位置は、1423cm-1以上1435cm-1以下であることが好ましく、1429cm-1以上1434cm-1以下であることがより好ましい。これらの場合、固体電解コンデンサ素子のより高い耐熱性を確保することができる。
 なお、基準位置を決定するための固体電解コンデンサは、固体電解質層を2極式の電解重合で形成し、230℃で5時間加熱する以外は、比較される3極式の電解重合を利用して固体電解コンデンサを形成する場合と同様の条件で形成される。2極式の電解重合は、共役系高分子の前駆体と必要に応じてドーパントとを含む液状組成物に、表面に誘電体層が形成された陽極体の陰極形成部と、対電極としてのTi電極とを浸漬し、銀/塩化銀参照電極に対する陽極体の電位が3.0Vとなるように、陽極体に電圧を印加することにより行われる。液状組成物のpHは、例えば、3.0である。共役系高分子の前駆体およびドーパントは、比較される3極式の電解重合を利用して固体電解コンデンサを形成する場合と同じ成分が使用される。230℃での加熱は、陰極引出層を形成した後に、大気中で行われる。
 固体電解コンデンサ素子は、第1ピークの半値全幅が上記のような範囲であってもよく(条件a)、または、第1ピークの位置のシフト量が上記のような範囲であってもよい(条件b)。あるいは、固体電解コンデンサ素子は、条件aおよび条件bの双方を充足してもよい。
 本明細書中、固体電解コンデンサ素子の固体電解質層のラマンスペクトルは、固体電解コンデンサ素子の所定の位置における固体電解質層の断面について、下記の条件で測定される。サンプルAの固体電解質層のラマンスペクトルは、サンプルAの任意の位置における厚み方向に平行な固体電解質層の断面について、下記の条件で測定される。
 ラマン分光装置:NanoPhoton社 RamanFORCE PAV
 回折格子:600gr/cm
 測定波数範囲:0cm-1以上2500cm-1以下
 温度:25℃
 照射レーザー光波長、レーザー出力密度、および露光時間は、共役系高分子の種類に応じて決定される。例えば、共役系高分子がポリピロールの場合、照射レーザー光波長は532nmであり、レーザー出力密度は140W/cmであり、露光時間は75秒である。共役系高分子がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の場合、照射レーザー光波長は785nmであり、レーザー出力密度は660W/cmであり、露光時間は60秒である。
 固体電解コンデンサ素子の固体電解質層のラマンスペクトルの測定には、次のような手順で採取したサンプル(サンプルB)を用いることができる。まず、固体電解コンデンサを硬化性樹脂に埋め込んで硬化性樹脂を硬化させる。硬化物に研磨処理またはクロスセクションポリッシャー加工を行うことにより、固体電解質層の厚み方向に平行でコンデンサ素子の長さ方向に垂直な断面を露出させる。断面は、コンデンサ素子の長さ方向に平行な方向における固体電解質層の長さを1とするとき、固体電解質層の陽極引出部とは反対側の端部から0~0.05の位置における断面とする。このようにして、測定用のサンプル(サンプルB)が得られる。サンプルBの露出した固体電解質層の断面において、固体電解質層の表面から深さ100nmまでの部分(表層部分)、ならびに固体電解質層の陽極体の表面の孔および窪み(ピットと呼ばれることがある。)内に形成された部分の8μm×8μmの領域について、ラマンスペクトルが測定される。CC伸縮振動に帰属されるピークの半値全幅およびピーク位置は、表層部分の8μm×8μmの領域6箇所および固体電解質層のピット内に形成された部分の8μm×8μmの領域12箇所についての測定値を平均化することにより求められる。サンプルAの断面は、サンプルBの断面を露出させる場合と同様にして露出させることができる。
 陽極体は、通常、第1端部を含む陽極引出部および第2端部を含む陰極形成部を有する。陽極体の第1端部側から第2端部側に向かう方向を、陽極体またはコンデンサ素子の長さ方向と称する。固体電解質層の長さは、コンデンサ素子の長さ方向に平行な方向における長さである。陽極体の第1端部側から第2端部側に向かう方向とは、第1端部の端面の中心と第2端部の端面の中心とを結ぶ直線方向に平行な方向である。
  (その他)
 固体電解質層は、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、および導電性高分子成分以外の公知の導電性材料からなる群より選択される少なくとも一種を含んでもよい。導電性材料としては、例えば、二酸化マンガンなどの導電性無機材料、およびTCNQ錯塩からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
 固体電解質層は、単層であってもよく、複数の層で構成してもよい。例えば、固体電解質層を、誘電体層の少なくとも一部を覆う第1固体電解質層と、第1固体電解質層の少なくとも一部を覆う第2固体電解質層とを含むように構成してもよい。各層に含まれる導電性高分子成分、添加剤などの種類、組成、含有量などは各層で異なっていてもよく、同じであってもよい。
 (固体電解質層の形成方法)
 固体電解質層は、誘電体層の表面において、共役系高分子の前駆体を、必要に応じてドーパントの存在下で、3極式で電解重合することにより形成することができる。例えば、共役系高分子の前駆体および必要に応じてドーパントを含む液状組成物に、表面に誘電体層が形成された陽極体の陰極形成部を浸漬した状態で、電解重合を行う。このような電解重合を行うことで、共役系高分子の配向性を高めることができる。また、ドーパントが適度にドープされて、共役系高分子をエネルギー的に安定化させることができる。よって、コンデンサ素子の高い耐熱性を確保することができる。
 共役系高分子の前駆体としては、共役系高分子の原料モノマー、原料モノマーの複数の分子鎖が連なったオリゴマーおよびプレポリマーなどが挙げられる。前駆体は一種を用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。共役系高分子のより高い配向性が得られ易い観点から、前駆体としては、モノマーおよびオリゴマーからなる群より選択される少なくとも一種(特に、モノマー)を用いることが好ましい。
 液状組成物は、通常、溶媒を含む。溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、水と有機溶媒(水溶性有機溶媒など)との混合溶媒が挙げられる。
 ドーパント、他の導電性材料、添加剤などを用いる場合には、液状組成物に添加してもよい。
 液状組成物は、必要に応じて、酸化剤を含んでもよい。また、酸化剤は、誘電体層が形成された陽極体に液状組成物を接触させる前または後に、陽極体に塗布してもよい。このような酸化剤としては、Fe3+を生成可能な化合物(硫酸第二鉄など)、過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなど)、過酸化水素が例示できる。酸化剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
 液状組成物のpHは、例えば、0.5以上2.5以下であり、0.5以上2以下または1以上2以下が好ましく、1.3以上1.7以下であってもよい。液状組成物のpHがこのような範囲である場合、電解重合時に酸素の発生を抑制でき、膜質に優れる固体電解質層が得られ易い。液状組成物のpHは、例えば、液状組成物中のドーパントの含有量、酸化剤の含有量などを調節することで調節することができる。
 3極式の電解重合は、液状組成物に、陽極体と、対電極と、参照電極とを浸漬した状態で行われる。対電極としては、例えば、Ti電極が用いられるがこれに限定されない。参照電極としては、銀/塩化銀電極(Ag/Ag)を用いることが好ましい。
 電解重合において、陽極体に印可される電圧(重合電圧)は、例えば、0.6V以上1.5V以下であり、0.7V以上1V以下であってもよく、0.7V以上0.9V以下であってもよく、0.7V以上0.85V以下であってもよく、0.7V以上0.8V以下であってもよい。3極式で電解重合を行うことで、このように比較的低い重合電圧で電解重合を行うことができ、重合反応を精密に制御することができる。よって、共役系高分子の配向性をさらに高めることができる。また、ドーパントを適度にドープさせることができる。なお、重合電圧は、参照電極(銀/塩化銀電極(Ag/Ag))に対する陽極体の電位である。電解重合では、陽極引出部に給電体(給電テープなど)が電気的に接続され、給電体を介して陽極体に電圧が印加される。陽極体の電位とは、陽極体に電気的に接続された給電体の電位である。
 電解重合を行う温度は、例えば、5℃以上60℃以下であり、15℃以上35℃以下であってもよい。
 電解重合に先立って、誘電体層の表面にプレコート層を形成してもよい。プレコート層は、例えば、導電性材料を含む。プレコート層は、共役系高分子およびドーパントを含む液状分散体を用いて形成してもよい。プレコート層の共役系高分子と電解重合により形成される共役系高分子とは同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。プレコート層のドーパントと電解重合に用いるドーパントとは同じであってもよく、異なってもよい。
 (陰極引出層)
 陰極引出層は、固体電解質層と接触するとともに固体電解質層の少なくとも一部を覆う第1層を少なくとも備えていればよく、第1層と第1層を覆う第2層とを備えていてもよい。第1層としては、例えば、導電性粒子を含む層、金属箔などが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、導電性カーボンおよび金属粉から選択される少なくとも一種が挙げられる。例えば、第1層としての導電性カーボンを含む層(カーボン層とも称する)と、第2層としての金属粉を含む層または金属箔とで陰極引出層を構成してもよい。第1層として金属箔を用いる場合には、この金属箔で陰極引出層を構成してもよい。
 導電性カーボンとしては、例えば、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛など)が挙げられる。
 第2層としての金属粉を含む層は、例えば、金属粉を含む組成物を第1層の表面に積層することにより形成できる。このような第2層としては、例えば、銀粒子などの金属粉と樹脂(バインダ樹脂)とを含む組成物を用いて形成される金属ペースト層が挙げられる。樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることもできるが、イミド系樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
 第1層として金属箔を用いる場合、金属の種類は特に限定されない。金属箔には、弁作用金属(アルミニウム、タンタル、ニオブなど)または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。必要に応じて、金属箔の表面を粗面化してもよい。金属箔の表面には、化成皮膜が設けられていてもよく、金属箔を構成する金属とは異なる金属(異種金属)や非金属の被膜が設けられていてもよい。異種金属や非金属としては、例えば、チタンのような金属やカーボン(導電性カーボンなど)のような非金属などを挙げることができる。
 上記の異種金属または非金属(例えば、導電性カーボン)の被膜を第1層として、上記の金属箔を第2層としてもよい。
(セパレータ)
 金属箔を陰極引出層に用いる場合、金属箔と陽極箔との間にはセパレータを配置してもよい。セパレータとしては、特に制限されず、例えば、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミド、アラミドなどの芳香族ポリアミド)の繊維を含む不織布などを用いてもよい。
(その他)
 固体電解コンデンサは、巻回型であってもよく、チップ型または積層型のいずれであってもよい。例えば、固体電解コンデンサは、2つ以上のコンデンサ素子の積層体を備えていてもよい。コンデンサ素子の構成は、固体電解コンデンサのタイプに応じて、選択すればよい。
 コンデンサ素子において、陰極引出層には、陰極端子の一端部が電気的に接続される。陰極端子は、例えば、陰極引出層に導電性接着剤を塗布し、この導電性接着剤を介して陰極引出層に接合される。陽極体には、陽極端子の一端部が電気的に接続される。陽極端子の他端部および陰極端子の他端部は、それぞれ樹脂外装体またはケースから引き出される。樹脂外装体またはケースから露出した各端子の他端部は、固体電解コンデンサを搭載すべき基板との半田接続などに用いられる。
 コンデンサ素子は、樹脂外装体またはケースを用いて封止される。例えば、コンデンサ素子および外装体の材料樹脂(例えば、未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラー)を金型に収容し、トランスファー成型法、圧縮成型法等により、コンデンサ素子を樹脂外装体で封止してもよい。このとき、コンデンサ素子から引き出された陽極リードに接続された陽極端子および陰極端子の他端部側の部分を、それぞれ金型から露出させる。また、コンデンサ素子を、陽極端子および陰極端子の他端部側の部分が有底ケースの開口側に位置するように有底ケースに収納し、封止体で有底ケースの開口を封口することにより固体電解コンデンサを形成してもよい。
 上述のように固体電解コンデンサ素子を200℃を超える温度で熱処理する場合、熱処理は、固体電解質層を形成した後の適当な段階で行うことができる。例えば、熱処理は、固体電解質層を形成した後、かつ陰極引出層を形成する前に行ってもよく、陰極引出層を形成した後、かつ樹脂外装体またはケースを用いて封止する前に行ってもよく、封止後に行ってもよい。
 図1は、本開示の一実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を概略的に示す断面図である。図1に示すように、固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2を封止する樹脂外装体3と、樹脂外装体3の外部にそれぞれ少なくともその一部が露出する陽極端子4および陰極端子5と、を備えている。陽極端子4および陰極端子5は、例えば銅または銅合金などの金属で構成することができる。樹脂外装体3は、ほぼ直方体の外形を有しており、固体電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
 コンデンサ素子2は、陽極体6と、陽極体6を覆う誘電体層7と、誘電体層7を覆う陰極部8とを備える。陰極部8は、誘電体層7を覆う固体電解質層9と、固体電解質層9を覆う陰極引出層10とを備えている。図示例において、固体電解質層9は、共役系高分子を含む導電性高分子成分を含む。
 陽極体6は、陰極部8と対向する領域と、対向しない領域とを含む。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、陰極部8に隣接する部分には、陽極体6の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離部13が形成され、陰極部8と陽極体6との接触が規制されている。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、他の一部は、陽極端子4と、溶接により電気的に接続されている。陰極端子5は、導電性接着剤により形成される接着層14を介して、陰極部8と電気的に接続している。
[実施例]
 以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
《固体電解コンデンサA1~A3》
 下記の要領で、図1に示す固体電解コンデンサ1(固体電解コンデンサA1~A3)を作製し、その特性を評価した。
 (1)陽極体6の準備
 基材としてのアルミニウム箔(厚み:100μm)の両方の表面をエッチングにより粗面化することで、陽極体6を作製した。
 (2)誘電体層7の形成
 陽極体6の陰極形成部を、化成液に浸漬し、70Vの直流電圧を、20分間印加して、酸化アルミニウムを含む誘電体層7を形成した。
 (3)固体電解質層9の形成
 誘電体層7が形成された陽極体6の、固体電解質層を形成する領域と固体電解質層を形成しない領域との間に、絶縁性のレジストテープを貼り付けることにより、分離部13を形成した。分離部13が形成された陽極体6を、導電性材料を含む液状組成物に浸漬し、取り出して乾燥することにより、プレコート層(図示せず)を形成した。
 ピロール(共役系高分子のモノマー)と、ナフタレンスルホン酸(ドーパント)と、水とを含む重合液を調製した。ナフタレンスルホン酸の添加量を調節することで、重合液のpHを表1に示すように調節した。得られた重合液を用いて3極式で電解重合を行った。より具体的には、重合液中に、プレコート層が形成された陽極体6と、対電極と、参照電極(銀/塩化銀参照電極)とを浸漬した。参照電極に対する陽極体6の電位が表1に示す重合電圧の値となるように陽極体6に電圧を印加して、25℃で電解重合を行い、固体電解質層9を形成した。
 (4)陰極引出層10の形成
 上記(3)で得られた陽極体6を、黒鉛粒子を水に分散した分散液に浸漬し、分散液から取り出し後、乾燥することにより、少なくとも固体電解質層9の表面にカーボン層11を形成した。乾燥は、150℃で30分間行った。
 次いで、カーボン層11の表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布し、150℃で30分間加熱することでバインダ樹脂を硬化させ、金属ペースト層12を形成した。こうして、カーボン層11と金属ペースト層12とで構成される陰極引出層10を形成し、固体電解質層9と陰極引出層10とで構成される陰極部8を形成した。
 上記のようにして、コンデンサ素子2を作製した。
 (5)固体電解コンデンサの組み立て
 上記(4)で得られたコンデンサ素子2の陰極部8と、陰極端子5の一端部とを導電性接着剤の接着層14で接合した。コンデンサ素子2から突出した陽極体6の一端部と、陽極端子4の一端部とをレーザー溶接により接合した。
 次いで、モールド成形により、コンデンサ素子2の周囲に、絶縁性樹脂で形成された樹脂外装体3を形成した。このとき、陽極端子4の他端部と、陰極端子5の他端部とは、樹脂外装体3から引き出した状態とした。
 このようにして、固体電解コンデンサ1(A1~A4)を完成させた。上記と同様にして、各固体電解コンデンサを合計20個作製した。
《固体電解コンデンサA4~A6》
 陰極引出層10を形成した後に、230℃で5時間、熱処理を行った。これ以外は、固体電解コンデンサA1~A3と同様にして、固体電解コンデンサA4~A6のそれぞれを合計20個作製した。
《固体電解コンデンサB1》
 固体電解質層の形成において、2極式で電解重合を行った。電解重合では、重合液中に、プレコート層が形成された陽極体と、対電極としてのTi電極とを浸漬し、銀/塩化銀参照電極に対する陽極体の電位が表1に示す重合電圧の値となるように、陽極体に電圧を印加した。また、陰極引出層を形成した後に、230℃で5時間、熱処理を行った。これら以外は、固体電解コンデンサA1と同様にして、固体電解コンデンサB1を合計20個形成した。
[評価]
 固体電解コンデンサまたは評価用サンプルを用いて、下記の評価を行った。
 (a)酸素透過度の測定
 各固体電解コンデンサの固体電解質層を形成するときと同じ条件で、既述の手順で酸素透過度を測定するためのサンプルAを作製した。サンプルAを用いて、既述の手順で固体電解質層の酸素透過度を測定した。なお、固体電解コンデンサA1~A3では、固体電解質層の熱処理が行われていないため、酸素透過度Pを測定した。他の固体電解コンデンサについては、230℃で5時間の熱処理が行われているため、酸素透過度Pを測定した。
 (b)固体電解質層のラマンスペクトル測定
 固体電解コンデンサから取り出したコンデンサ素子の固体電解質層(サンプルB)の断面について、既述の手順でラマンスペクトルを測定した。固体電解コンデンサB1の固体電解質層のラマンスペクトルでは、ポリピロールに由来するCC伸縮振動に帰属されるピーク(第2ピーク)が1582cm-1に観察された。固体電解コンデンサから取り出したコンデンサ素子の固体電解質層のラマンスペクトルにおいて、ポリピロールに由来する第1ピークの全値半幅を求めるとともに、第2ピークの位置(基準位置)からのシフト量を求めた。
 (c)静電容量
 20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、各固体電解コンデンサの周波数120Hzにおける初期の静電容量(μF)を測定した。そして、20個の固体電解コンデンサにおける平均値を求めた。
 次いで、145℃環境下で、固体電解コンデンサに定格電圧を2000時間印加することにより加速試験を行った。その後、初期の静電容量の場合と同様の手順で、20℃環境下で、加速試験後の静電容量を測定し、20個の固体電解コンデンサの平均値を求めた。加速試験後の静電容量から初期の静電容量を減じた値を静電容量変化率として、初期の静電容量を100%としたときの比率で表した。静電容量変化率は負の値となり、小さいほど、耐熱性が低いことを示している。
 評価結果を表1に示す。A1~A6は実施例であり、B1は比較例である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示されるように、固体電解コンデンサA1~A6では、固体電解コンデンサB1に比べて、固体電解質層の酸素透過度が低く、静電容量の低下が抑制されている。固体電解コンデンサA1~A3の固体電解質層を、230℃で5時間加熱したときの酸素透過度Pは、それぞれ、固体電解コンデンサA4~A6における酸素透過度Pとほぼ同じである。よって、固体電解コンデンサA1~A6では、熱処理後も酸素透過度が低く抑えられていると言える。固体電解コンデンサA1~A6では、固体電解コンデンサB1に比べて、固体電解質層のラマンスペクトルにおける第1ピークの半値全幅が小さい。また、固体電解コンデンサA1~A6では、第1ピークが基準位置から低波数側にシフトしている。そのため、固体電解コンデンサA1~A6では、固体電解質層において、共役系高分子の配向性が高まることによって結晶性が向上したり、共重合性高分子がエネルギー的に安定になったりすることで、固体電解質層の膜質が向上し、酸素透過度PまたはPが低く抑えられていると考えられる。
 本開示によれば、耐熱性に優れる固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサが提供される。よって、固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサは、高い信頼性が求められる様々な用途に用いることができる。
 1:固体電解コンデンサ、2:コンデンサ素子、3:樹脂外装体、4:陽極端子、5:陰極端子、6:陽極体、7:誘電体層、8:陰極部、9:固体電解質層、10:陰極引出層、11:カーボン層、12:金属ペースト層 、13:分離部、14:接着層

 

Claims (10)

  1.  陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を備え、
     前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を備え、
     前記固体電解質層は、共役系高分子を含む導電性高分子成分を含み、
     前記固体電解質層は、230℃で5時間加熱したときの酸素透過度Pが、1.0cm/m・24h・atm以下である、固体電解コンデンサ素子。
  2.  前記固体電解質層は、前記酸素透過度Pと前記加熱の前の酸素透過度Pとの差(P-P)が、0.3cm/m・24h・atm以下である、請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。
  3.  前記固体電解コンデンサ素子は、200℃を超え300℃以下の温度で熱処理されている、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ素子。
  4.  前記熱処理は、1時間以上行われる、請求項3に記載の固体電解コンデンサ素子。
  5.  前記共役系高分子は、ピロール化合物、チオフェン化合物、およびアニリン化合物からなる群より選択される少なくとも一種に対応するモノマー単位を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  6.  前記固体電解質層のラマンスペクトルにおいて、前記共役系高分子に由来するCC伸縮振動に帰属される第1ピークをローレンツ関数でフィッティングしたとき、前記第1ピークの半値全幅は35cm-1以上80cm-1以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  7.  前記第1ピークの位置は、基準位置から低波数側に0.2%以上1%以下シフトしており、 前記基準位置は、2極式の電解重合により形成される前記共役系高分子を含み、かつ230℃で5時間加熱したときの固体電解質層のラマンスペクトルにおいて、前記共役系高分子に由来するCC伸縮振動に帰属される第2ピークをローレンツ関数でフィッティングしたときの前記第2ピークの位置である、請求項6に記載の固体電解コンデンサ素子。
  8.  前記固体電解質層のラマンスペクトルにおいて、前記共役系高分子に由来するCC伸縮振動に帰属される第1ピークをローレンツ関数でフィッティングしたとき、前記第1ピークの位置は、基準位置から低波数側に0.2%以上1%以下シフトしており、
     前記基準位置は、2極式の電解重合により形成される前記共役系高分子を含み、かつ230℃で5時間加熱したときの固体電解質層のラマンスペクトルにおいて、前記共役系高分子に由来するCC伸縮振動に帰属される第2ピークをローレンツ関数でフィッティングしたときの前記第2ピークの位置である、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
  9.  前記共役系高分子は、少なくともピロールに対応するモノマー単位を含み、
     前記基準位置は、1582cm-1である、請求項7または8に記載の固体電解コンデンサ素子。
  10.  前記共役系高分子は、少なくともピロールに対応するモノマー単位を含み、
     前記第1ピークの位置は、1566cm-1以上1578cm-1以下である、請求項6に記載の固体電解コンデンサ素子。
     
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