WO2022181607A1 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

表層に多孔質部を有する陽極箔と、前記多孔質部の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを有するコンデンサ素子を含む。前記陽極箔は、第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有するとともに、第1端部を含み、かつ前記固体電解質層が形成されていない第1部分と、前記第1端部とは反対側の第2端部を含み、かつ前記第1部分以外の第2部分とを含む。前記コンデンサ素子は、前記第1端部と前記第2端部との間において、前記第1主面側に第1絶縁領域を有するとともに、前記第2主面側に第2絶縁領域を有する。前記第2絶縁領域の少なくとも一部における撥水性R2は、前記第1絶縁領域における撥水性R1よりも高い固体電解コンデンサを用いることで、漏れ電流を低減する固体電解コンデンサを提供する。

Description

固体電解コンデンサおよびその製造方法
 本開示は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
 固体電解コンデンサは、固体電解コンデンサ素子と、固体電解コンデンサ素子を封止する外装体と、固体電解コンデンサ素子に電気的に接続される外部電極とを備える。固体電解コンデンサ素子は、陽極箔と、陽極箔の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部とを備える。陰極部は、誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子を含む固体電解質層を備える。固体電解質層は、例えば、導電性高分子を含む処理液を用いて形成される。また、導電性高分子の前駆体を含む重合液を用いて、化学重合または電解重合によって固体電解質層を形成することもできる。
 特許文献1は、弁作用金属の表面を粗面化し、その表面に誘電体酸化皮膜層を形成する陽極処理工程と、この弁作用金属を陽極引き出し部と陰極部の境界部分を形成すべく導電性高分子材料の浸透を防止する第一の禁止帯と第二の禁止帯を形成し、この第一の禁止帯と第二の禁止帯に絶縁部材を形成する禁止帯部形成工程と、上記陰極部の表面に固体電解質層および導電体層を順次形成する陰極部形成工程と、上記陽極引き出し部および導電体層のそれぞれにリード端子を取り付け、このリード端子の一部が露出するように外装樹脂で被覆する後処理工程を具備した固体電解コンデンサの製造方法を提案している。
特開2003-7571号公報
 本開示の第1側面に係る固体電解コンデンサは、表層に多孔質部を有する陽極箔と、前記多孔質部の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを有するコンデンサ素子を含み、
 前記陽極箔は、第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有するとともに、第1端部を含み、かつ前記固体電解質層が形成されていない第1部分と、前記第1端部とは反対側の第2端部を含み、かつ前記第1部分以外の第2部分とを含み、
 前記コンデンサ素子は、前記第1端部と前記第2端部との間において、前記第1主面側に第1絶縁領域を有するとともに、前記第2主面側に第2絶縁領域を有し、
 前記第2絶縁領域の少なくとも一部における撥水性R2は、前記第1絶縁領域における撥水性R1よりも高い。
 本開示の第2側面に係る固体電解コンデンサの製造方法は、表層に多孔質部を有する陽極箔と、前記多孔質部の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを有するコンデンサ素子を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、
 前記陽極箔は、第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有するとともに、第1端部を含み、かつ前記固体電解質層で覆われていない第1部分と、前記第1端部とは反対側の第2端部を含み、かつ前記第1部分以外の第2部分とを含み、
 前記製造方法は、前記第1端部と前記第2端部との間において、前記第1主面側に第1絶縁領域を形成するとともに、前記第2主面側に第2絶縁領域を形成する工程を含み、
 前記第2絶縁領域の少なくとも一部における撥水性R2は、前記第1絶縁領域における撥水性R1よりも高い。
 本開示によれば、固体電解コンデンサにおいて漏れ電流を低減できる。
図1は、本開示の一実施形態に係る固体電解コンデンサの断面模式図である。 図2は、図1の固体電解コンデンサに含まれる固体電解コンデンサ素子を模式的に示す断面図である。
 実施形態の説明に先立って、従来技術における課題について簡単に以下に示す。
 陽極箔の一方の端部側の部分(陽極部と称される)には、陽極リード端子が接続されるため、固体電解質層を含む陰極部は、陽極箔の他方の端部側の部分に形成される。陽極部と陰極部との絶縁性を確保するため、陽極部の陰極部側の端部またはその近傍には、絶縁部が設けられる。
 電解重合で固体電解質層を形成する場合、例えば、陽極箔の一方の主面側において絶縁部に給電体(給電テープなど)が接続される。陽極箔を導電性高分子の前駆体に接触させた状態で、給電体に重合電圧が印加され、給電体の端部から導電性高分子の前駆体(より具体的には、導電性高分子に含まれる共役系高分子の前駆体)の重合が進行し、導電性高分子を含む固体電解質層が形成される。陽極箔の一方の主面(第1主面)側では、絶縁部の大部分を覆うように接続される。そのため、第1主面側では、絶縁部の表面では、導電性高分子の前駆体の重合が妨げられる。しかし、陽極箔の他方の主面(第2主面)側では、絶縁部の表面が露出した状態であるため、前駆体の重合が進行し易く、固体電解質層が形成される傾向がある。絶縁部の表面に固体電解質層が形成されると、漏れ電流が増加する。
 上記課題を鑑み、本開示では、陽極箔の第1主面側に第1絶縁領域を形成するとともに、第2主面側に第2絶縁領域を形成する。そして、第2絶縁領域の少なくとも一部における撥水性R2を第1絶縁領域における撥水性R1よりも高くする。これによって、第2絶縁領域の表面で導電性高分子の前駆体の重合が進行し難くなり、固体電解質層が形成されることが抑制される。よって、漏れ電流を低減できる。また、固体電解コンデンサのショート不良率を低減することもできる。
 撥水性R1およびR2は、各絶縁領域に含まれる材料に対する水の静的接触角で表すことができる。絶縁領域の撥水性が高い(換言すると、絶縁領域に含まれる材料に対する水の静的接触角が大きい)と、電解重合に用いられる導電性高分子の前駆体を含む重合液に対する絶縁領域の親和性または濡れ性が低くなる。そのため、撥水性R1およびR2は、各絶縁領域が重合液を弾く指標であると言える。
 本開示において、陽極箔は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有する。固体電解質層は、陽極箔の第2端部側に形成され、第1端部には形成されない。第1端部を含み、陽極箔の固体電解質層が形成されていない部分を第1部分と称する。第1部分は、陽極部に相当する。第1部分には、陽極リード端子が接続される。陽極箔の第1部分以外の部分を第2部分と称する。第2部分は第2端部を含む。
 陽極箔は、陽極箔の表面の大部分を占める一対の主面である第1主面および第1主面とは反対側の第2主面を有している。陽極箔は、第1主面および第2主面の端部に、端面を有している。第1主面および第2主面と端面とは、陽極箔の外形を形作っている。
 本明細書中、陽極箔の第1端部から第2端部に向かう方向を陽極箔の長さ方向とし、陽極箔の主面を当該主面に垂直な方向から見たときに、陽極箔の長さ方向と垂直な方向を陽極箔の幅方向とする。陽極箔の幅方向は、陽極箔の厚さ方向とも垂直である。第1端部から第2端部に向かう方向とは、陽極箔の第1端部側の端面の中心と第2端部側の端面の中心とを結ぶ直線方向に平行な方向である。
 以下、必要に応じて図面を参照しながら、本開示の固体電解コンデンサおよびその製造方法についてより具体的に説明する。
[固体電解コンデンサ]
 固体電解コンデンサに含まれる固体電解コンデンサ素子は、表層に多孔質部を有する陽極箔と、多孔質部の少なくとも一部を覆う誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を含む。以下、固体電解コンデンサ素子を、単にコンデンサ素子と称することがある。
(陽極箔)
 陽極箔は、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などを含むことができる。これらの材料は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンが好ましく使用される。
 陽極箔は、基材部と、基材部の双方の主たる表面側にそれぞれ位置する表層の多孔質部とを含む。多孔質部は、必要に応じて、陽極箔の表層に加え、表層以外の部分にも形成されていてもよい。陽極箔は、多孔質部を、第2部分の少なくとも一部の表層に有していればよく、第2部分全体の表層に有していてもよく、陽極箔全体の表層に有していてもよい。表層に多孔質部を有する陽極箔は、例えば、弁作用金属を含むシート状の基材(金属箔など)の表面を粗面化することによって形成される。粗面化は、例えば、エッチング処理(例えば、電解エッチング)などによって行うことができる。
(誘電体層)
 誘電体層は、誘電体として機能する絶縁性の層である。誘電体層は、陽極箔の表面の弁作用金属を、化成処理などによって陽極酸化することで形成される。誘電体層は、陽極箔の多孔質部の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。誘電体層は、通常、陽極箔の表面に形成される。そのため、誘電体層は、陽極箔の表面の凹凸および多孔質部の空隙の内壁面に沿って形成される。
 誘電体層は、例えば、陽極箔の第2部分の少なくとも一部の表面に形成されている。誘電体層は、必要に応じて、陽極箔の第1部分の少なくとも一部の表面に形成されていてもよい。
 誘電体層は弁作用金属の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTaを含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAlを含む。なお、誘電体層はこれらの例に限らず、誘電体として機能する材料で形成されていればよい。
(絶縁領域または絶縁部)
 コンデンサ素子は、陽極箔の第1端部と第2端部との間において、陽極箔の第1主面側に第1絶縁領域を有し、第2主面側に第2絶縁領域を有する。固体電解質層は、第1絶縁領域に給電体を接続して、誘電体層を有する陽極箔が導電性高分子の前駆体を含む重合液に接触した状態(例えば、浸漬した状態)で、電解重合を行うことによって形成される。第2絶縁領域の少なくとも一部における撥水性R2は、第1絶縁領域における撥水性R1よりも高い。そのため、第2絶縁領域において、導電性高分子の前駆体の重合の進行が妨げられ、固体電解質層の形成が抑制される。よって、陽極部と陰極部との間の絶縁が確保され、漏れ電流を低減できる。
 第1絶縁領域および第2絶縁領域のそれぞれは、陽極箔の幅方向に沿って帯状に設けられていることが好ましい。この場合、各絶縁領域では、陽極箔の幅方向に沿って固体電解質層の形成が抑制されるため、陽極部と陰極部との絶縁を確保する効果を高めることができる。当該効果がさらに高まる観点からは、第1絶縁領域および第2絶縁領域のそれぞれは、陽極箔の幅方向全体に設けられていることが好ましい。
 第1絶縁領域の幅w1は、例えば、0.01L以上0.3L以下であり、0.03L以上0.15L以下であってもよい。w1がこのような範囲である場合、給電体を接続し易く、第1主面側において陽極部と陰極部との絶縁をさらに確保し易いことに加え、高い静電容量を確保し易い。
 本明細書中、Lは、陽極箔の長さである。陽極箔の長さLは、陽極箔の第1端部側の端面の中心と第2端部側の端面の中心とを結ぶ直線の長さである。
 第2絶縁領域の幅w2は、例えば、0.01L以上0.3L以下であり、0.03L以上0.15であってもよい。w2がこのような範囲である場合、第2主面側において陽極部と陰極部との絶縁をさらに確保し易いことに加え、高い静電容量を確保し易い。
 各絶縁領域の幅w1およびw2は、それぞれ、陽極箔の長さ方向に沿う方向における各絶縁領域の長さである。各絶縁領域の幅w1およびw2は、それぞれ、任意の複数箇所(例えば、10箇所)について各絶縁領域の幅を計測し、平均化することによって求められる。各絶縁領域の幅および陽極箔の長さLは、固体電解コンデンサまたはコンデンサ素子の断面画像(例えば、走査型電子顕微鏡による断面画像)から求めることができる。
 絶縁領域の幅および陽極箔の長さLの測定には、次のような手順で得られるサンプル(サンプルA)を用いることができる。まず、固体電解コンデンサを硬化性樹脂に埋め込んで硬化性樹脂を硬化させる。硬化物に研磨処理またはクロスセクションポリッシャー加工を行うことにより、固体電解質層の厚さ方向に平行でコンデンサ素子の長さ方向に平行な断面を露出させる。当該断面は、陽極箔の第1端部側の端面の中心と第2端部側の端面の中心とを通る断面とする。このようにして、測定用のサンプル(サンプルA)が得られる。
 各絶縁領域は、陽極箔の第1端部と第2端部との間であれば、第1端部および第2端部を除くどの位置に形成されていてもよい。陽極箔の第1主面側と第2主面側とで同程度の長さの固体電解質層が形成されるように、陽極箔の長さ方向および厚さ方向に平行な断面を見たときに、第2絶縁領域は第1絶縁領域の少なくとも一部と重なっていてもよい。
 各絶縁領域の位置は、コンデンサ素子の設計に応じて決定すればよい。陽極リード端子との接続性および高い静電容量を確保し易い観点からは、各絶縁領域は、例えば、第1端部から、0.1L以上0.5L以下の位置に設けてもよく、0.1L以上0.3L以下の位置に設けてもよい。
 第1絶縁領域および第2絶縁領域は、それぞれ、少なくとも陽極箔の第1主面および第2主面に形成されていればよい。陽極箔の第1主面側に絶縁部(第1絶縁部)を形成し、第1絶縁部の外側の表面が第1絶縁領域を構成してもよい。陽極箔の第2主面側に絶縁部(第2絶縁部)を形成し、第2絶縁部の外側の表面が第2絶縁領域を構成してもよい。
 第1絶縁部は、例えば、第1絶縁材料を含む。第1絶縁領域は、第1絶縁材料によって、絶縁性を有する。第1絶縁部は、陽極箔の第1主面を覆うように(例えば、層状に)形成されていてもよく、第1主面側の多孔質部に含まれていてもよく、これらの双方であってもよい。
 第2絶縁部は、絶縁性の撥液材料を含む。撥液材料は、高い撥水性を有し、導電性高分子の前駆体を含む重合液を弾く効果が高い。このような撥液材料によって、第2絶縁領域は、絶縁性を示すとともに、高い撥水性R2を有する。第2絶縁部は、陽極箔の第2主面を覆うように(例えば、層状に)形成されていてもよく、第2主面側の多孔質部に含まれていてもよく、これらの双方であってもよい。第2絶縁部において、絶縁性の撥液材料を含む部分を撥液部と称することがある。
 第2絶縁部は、第2絶縁材料を含んでもよい。第2絶縁部において、第2絶縁材料の少なくとも一部は、上記の撥液材料で覆われている。これによって、第2絶縁部の外側の表面は、第2絶縁領域を構成し、高い撥水性R2を示す。第2絶縁材料は、陽極箔の第2主面を覆うように(例えば、層状に)配されていてもよく、第2主面側の多孔質部に含まれていてもよく、これらの双方であってもよい。例えば、第2絶縁材料が、第2主面を覆うように層状に配されている場合、撥液材料は、第2絶縁材料の層の少なくとも一部を覆うように配される。第2絶縁材料が、多孔質部に含まれている場合には、撥液材料は、多孔質部に含まれていてもよく、第2主面を覆うように配されていてもよく、これらの双方であってもよい。第2絶縁部において、撥液材料を含まず、第2絶縁材料を含む部分を、絶縁部2Aと称することがある。第2絶縁部では、例えば、絶縁部2Aの少なくとも一部が、撥液部で覆われている。
 陽極箔の第1絶縁部および第2絶縁部が設けられる部分では、必要に応じて、多孔質部が圧縮されていてもよく、多孔質部の少なくとも一部が除去されていてもよい。
 各絶縁領域(または各絶縁部)の電気抵抗値は、特に限定されない。各絶縁部の電気抵抗値は、例えば、1.0×1012Ω・m以上であってよく、1.0×1013Ω・m以上であってよい。
 第1絶縁材料および第2絶縁材料のそれぞれとしては、硬化性材料の硬化物、熱可塑性樹脂などが挙げられる。第1絶縁材料と第2絶縁材料とは同種であってもよく、異種であってもよい。第1絶縁領域には、給電テープなどの給電体が接続されるため、第1絶縁領域は適度なタック性(粘着性)を有することが好ましい。熱可塑性樹脂を含む第1絶縁材料を用いることで、第1絶縁領域において適度なタック性が得られ、安定して電解重合を行うことができるとともに、第1絶縁領域での固体電解質層の形成を制限できる。
 硬化性材料は、熱硬化性および光硬化性のいずれであってもよい。硬化性材料は、例えば、反応性化合物と、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、重合開始剤、触媒、および添加剤からなる群より選択される少なくとも一種などとを含む。硬化性材料は、一液硬化型および二液硬化型のいずれであってもよい。反応性化合物は、例えば、熱または光の作用によって、重合または架橋可能な化合物である。
 硬化性材料としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、フラン樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、アリル樹脂、ケイ素樹脂(シリコーン)、硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリイミドが挙げられる。各絶縁部は、これらの材料を一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。多孔質部への浸透性が高い観点からは、不飽和ポリエステルが好ましい。
 硬化性材料の硬化物のガラス転移点(Tg)は特に限定されない。硬化物のTgは、例えば、100℃以上であってよく、110℃以上であってよい。また、硬化物のTgは、例えば、400℃以下であってよく、350℃以下であってよく、200℃以下であってよい。Tgは、例えば、昇温速度2℃/分、周波数1Hzの条件での動的粘弾性測定(DMA)によって求められる。
 熱可塑性樹脂としては、耐酸性、耐熱性および強度に優れる観点から、エンジニアリングプラスチックが好ましい。エンジニアリングプラスチックの例は、汎用エンジニアリングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチックを含む。
 熱可塑性樹脂(エンジニアリングプラスチックなど)の例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリルエーテルケトン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、およびフッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデンなど)を含む。各絶縁部は、熱可塑性樹脂を一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。耐酸性および耐熱性に優れる観点からは、ポリアミドイミドが好ましい。
 撥液性材料としては、例えば、撥水性基を含む樹脂材料が挙げられる。撥水性基としては、炭化水素基、フッ素化された炭化水素基などが挙げられる。撥水性基に含まれる炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(アルキル基など)、脂環族炭化水素基、および芳香族炭化水素基(フェニル基などのアリール基など)などが挙げられる。このような樹脂材料としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、および炭化水素樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。高い撥水性が得られる観点から、フッ素樹脂としては、パーフルオロオレフィンをモノマー単位として含むフッ素樹脂が好ましい。このようなフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などが挙げられる。シリコーン樹脂としては、例えば、側鎖にアルキル基またはアリール基などの撥水性基を有するポリシロキサンが挙げられる。第2絶縁部(または撥液部)は、撥液材料を一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。
 撥液部は、撥液材料のみを含んでもよい。第2絶縁領域の高い撥水性を確保しながら、第2絶縁部の絶縁性を調節したり、第2絶縁部(または撥液部)を形成したりし易い観点から、撥液部は、撥液材料と他の樹脂材料とを含んでもよい。他の樹脂材料としては、例えば、第1絶縁材料および第2絶縁材料について例示した材料のうち、熱可塑性樹脂が挙げられる。撥液部は、他の樹脂材料を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。耐酸性および耐熱性に優れるとともに、撥液材料との親和性に優れる観点から、他の樹脂材料としては、ポリアミドイミドが好ましい。
 撥液部中の撥液材料の含有率は、例えば、0.1質量%以上であり、1質量%以上または10質量%以上であってもよい。撥液部中の撥液材料の含有率は、100質量%以下である。
 撥液部に含まれる他の樹脂材料の種類および撥液材料の含有率は、例えば、第2絶縁領域に含まれる材料の静的接触角(=撥水性R2)が後述の範囲となるように決定すればよい。
 第2絶縁領域の少なくとも一部における撥水性R2は、第2絶縁領域に含まれる材料(例えば、撥液材料)に対する水の静的接触角で表される。撥水性R2(=第2絶縁領域に含まれる材料(例えば、撥液材料)に対する水の静的接触角)は、例えば、60°以上であり、75°以上であってもよく、80°以上であってもよい。撥水性R2は、例えば、180°以下であり、150°以下または130°以下であってもよい。撥水性R2がこのような範囲である場合、第2絶縁領域において固体電解質層の形成を抑制する効果がさらに高まる。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。第2絶縁領域は、少なくとも一部がこのような撥水性R2を示す撥液材料で構成されていればよい。第2絶縁領域全体が上記の撥水性R2を示す撥液材料で構成されている場合、陽極部と陰極部との間の絶縁をさらに確保し易くなる。第2絶縁領域が撥液材料と他の樹脂材料との混合物を含む場合には、当該混合物に対する水の静的接触角が撥水性R2に相当し、上記の範囲であることが好ましい。
 第1絶縁領域の撥水性R1は、第1絶縁領域に含まれる材料(例えば、第1絶縁材料)に対する水の静的接触角で表される。撥水性R1(=第1絶縁領域に含まれる材料(例えば、第1絶縁材料)に対する水の静的接触角)は、撥水性R2(=第2絶縁領域に含まれる材料(例えば、撥液材料またはその混合物)に対する水の静的接触角)よりも小さければよい。撥水性R1の撥水性R2に対する比(=R1/R2)は、1未満であり、0.95以下であってもよく、0.9以下であってもよい。給電体としての給電テープを第1絶縁領域に貼り付ける場合には、給電体と第1絶縁領域との接続性を確保し易い観点から、撥水性R1は、80°以下であってもよく、80°未満または75°以下であってもよく、75°未満であってもよい。
 撥水性R1およびR2のそれぞれは、第1絶縁領域に含まれる材料(例えば、第1絶縁材料)または第2絶縁領域に含まれる材料(例えば、撥液材料またはその混合物)を用いた被膜を形成し、この被膜を用いて液滴法によって測定することができる。より具体的には、23℃および50RH%の環境下で、上記の被膜上に、約3μLの蒸留水を滴下し、接触角計によって、被膜に対する水滴の静的接触角を測定する。水滴の静的接触角の測定は、5回行い、平均値を算出する。この平均値を、第1絶縁領域に含まれる材料(例えば、第1絶縁材料)または第2絶縁領域に含まれる材料(例えば、撥液材料またはその混合物)に対する水の静的接触角として、撥水性R1およびR2のそれぞれの指標とする。接触角計としては、例えば、協和界面科学(株)製の「DCA-UZ」が使用される。
 (絶縁領域または絶縁部の形成)
 本開示の固体電解コンデンサを製造する際、陽極箔の第1端部と第2端部との間において、第1絶縁領域は、第1主面側に形成され、第2絶縁領域は、第2主面側に形成される。各絶縁領域は、第2絶縁領域の少なくとも一部における撥水性R2が、第1絶縁領域の撥水性R1よりも高くなるように形成すればよい。
 絶縁領域を形成する工程において、第1絶縁領域の形成と第2絶縁領域の形成とは、並行して行ってもよく、いずれか一方の絶縁領域を形成した後に、他方の絶縁領域を形成してもよい。絶縁領域の形成工程は、固体電解質層を形成する工程の前に行われる。絶縁領域の形成工程は、陽極箔に誘電体層を形成する工程の前に行ってもよいが、通常、誘電体層を形成する工程の後に行われる。
 第1絶縁領域は、例えば、陽極箔の第1端部と第2端部との間の所定の位置において、陽極箔の第1主面側に第1絶縁材料(またはその前駆体)を付与して、第1絶縁材料を含む第1絶縁部を形成することによって形成される。形成された第1絶縁部の外側の表面が第1絶縁領域を構成する。第1絶縁材料(またはその前駆体)は、第1主面側の多孔質部に塗布してもよい。塗布によって、少なくとも一部の第1絶縁材料(またはその前駆体)が多孔質部に含浸されてもよい。塗布によって、第1絶縁材料の被膜が第1主面上に形成されてもよい。また、層状またはシート状の第1絶縁材料を第1主面に積層(または転写)してもよい。多孔質部内に固体電解質層が形成されることを抑制する観点からは、第1絶縁材料(またはその前駆体)を多孔質部に含浸させることが好ましい。陽極箔の第1主面側に付与された第1絶縁材料(またはその前駆体)には、必要に応じて、乾燥、加熱、および光照射からなる群より選択される少なくとも1つの処理などを行ってもよい。第1絶縁材料の前駆体は、加熱または光照射などによって硬化され、第1絶縁材料が形成される。第1絶縁材料(またはその前駆体)の陽極箔への付与は、一段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。
 第2絶縁領域は、例えば、陽極箔の第1端部と第2端部との間の所定の位置において、陽極箔の第2主面側に少なくとも撥液材料を付与し、撥液材料を含む第2絶縁部を形成することによって形成される。形成された第2絶縁領域の外側の表面が第2絶縁領域を構成する。陽極箔に付与された撥液材料には、必要に応じて、乾燥処理または加熱処理を行ってもよい。陽極箔の第2主面側に、撥液材料と他の樹脂材料とを含む混合物を付与することによって第2絶縁部を形成してもよい。
 撥液材料の陽極箔への付与に先立って、第2絶縁材料(またはその前駆体)を陽極箔の第2主面側に付与してもよい。この場合、第2絶縁材料を含む絶縁部2Aと撥液材料を含む撥液部とを含む第2絶縁部が形成される。このような第2絶縁部では、第2絶縁材料の少なくとも一部が撥液材料で覆われている。
 撥液材料(およびその混合物)、第2絶縁材料(またはその前駆体)の陽極箔への付与は、それぞれ、第1絶縁材料(またはその前駆体)の場合に準じて行うことができる。陽極箔の第2主面側に付与された第2絶縁材料(またはその前駆体)には、必要に応じて、乾燥、加熱、および光照射からなる群より選択される少なくとも1つの処理などを行ってもよい。第2絶縁材料の前駆体は、加熱または光照射などによって硬化され、第2絶縁材料が形成される。
 第1絶縁材料、撥液材料(および他の樹脂材料)、および第2絶縁材料のそれぞれは、液状媒体に分散または溶解された液状混合物(分散液または溶液など)の形態で陽極箔に付与してもよい。液状媒体としては、室温(例えば、20℃以上35℃以下)で液状である媒体が挙げられる。液状媒体としては、例えば、水、および有機溶剤からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
(陰極部)
 陰極部は、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を少なくとも含む。固体電解質層は、陽極箔の第2部分の表面に誘電体層を介して形成されている。陰極部は、通常、固体電解質層と、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層とを備える。以下、固体電解質層および陰極引出層について説明する。
 (固体電解質層)
 固体電解質層は、導電性高分子を含む。導電性高分子は、例えば、共役系高分子およびドーパントを含んでいる。固体電解質層は、必要に応じて、さらに、添加剤を含んでもよい。
 共役系高分子としては、固体電解コンデンサに使用される公知の共役系高分子、例えば、π共役系高分子が挙げられる。共役系高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、およびポリチオフェンビニレンを基本骨格とする高分子が挙げられる。これらのうち、ポリピロール、ポリチオフェン、またはポリアニリンを基本骨格とする高分子が好ましい。上記の高分子は、基本骨格を構成する少なくとも一種のモノマー単位を含んでいればよい。モノマー単位には、置換基を有するモノマー単位も含まれる。上記の高分子には、単独重合体、二種以上のモノマーの共重合体も含まれる。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。
 共役系高分子のうち、ピロール化合物、チオフェン化合物、およびアニリン化合物からなる群より選択される少なくとも一種に対応するモノマー単位を含む共役系高分子が好ましい。ピロール化合物としては、ピロール環を有し、対応するモノマー単位の繰り返し構造を形成可能な化合物が挙げられる。チオフェン化合物としては、チオフェン環を有し、対応するモノマー単位の繰り返し構造を形成可能な化合物が挙げられる。これらの化合物は、ピロール環またはチオフェン環の2位および5位で連結してモノマー単位の繰り返し構造を形成することができる。アニリン化合物としては、ベンゼン環とこのベンゼン環に結合した少なくとも1つ(好ましくは1つ)のアミノ基とを有し、対応するモノマー単位の繰り返し構造を形成可能な化合物が挙げられる。アニリン化合物は、例えば、アミノ基とこのアミノ基に対してp-位のCH基(ベンゼン環を構成するCH基)の部分で連結してモノマー単位の繰り返し構造を形成することができる。
 ピロール化合物は、例えば、ピロール環の3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよい。チオフェン化合物は、例えば、チオフェン環の3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよい。3位の置換基と4位の置換基とは連結してピロール環またはチオフェン環に縮合する環を形成していてもよい。ピロール化合物としては、例えば、3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよいピロールが挙げられる。チオフェン化合物としては、例えば、3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよいチオフェン、アルキレンジオキシチオフェン化合物(エチレンジオキシチオフェン化合物などのC2-4アルキレンジオキシチオフェン化合物など)が挙げられる。アルキレンジオキシチオフェン化合物には、アルキレン基の部分に置換基を有するものも含まれる。アニリン化合物としては、例えば、アミノ基に対して、o-位およびp-位の少なくとも一方に置換基を有していてもよいアニリンが挙げられる。
 置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基などのC1-4アルキル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1-4アルコキシ基など)、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基などのヒドロキシC1-4アルキル基など)などが好ましいが、これらに限定されない。ピロール化合物、チオフェン化合物、およびアニリン化合物のそれぞれが、2つ以上の置換基を有する場合、それぞれの置換基は同じであってもよく、異なってもよい。
 少なくともピロールに対応するモノマー単位を含む共役系高分子、または少なくとも3,4-エチレンジオキシチオフェン化合物(3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)など)に対応するモノマー単位を含む共役系高分子(PEDOTなど)を用いてもよい。少なくともピロールに対応するモノマー単位を含む共役系高分子は、ピロールに対応するモノマー単位のみを含んでもよく、当該モノマー単位に加え、ピロール以外のピロール化合物(置換基を有するピロールなど)に対応するモノマー単位を含んでもよい。少なくともEDOTに対応するモノマー単位を含む共役系高分子は、EDOTに対応するモノマー単位のみを含んでもよく、当該モノマー単位に加え、EDOT以外のチオフェン化合物に対応するモノマー単位を含んでもよい。
 固体電解質層は、共役系高分子を、一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。
 共役系高分子の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば1,000以上1,000,000以下である。
 なお、本明細書中、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の値である。なお、GPCは、通常は、ポリスチレンゲルカラムと、移動相としての水/メタノール(体積比8/2)とを用いて測定される。
 ドーパントとしては、例えば、アニオンおよびポリアニオンからなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
 アニオンとしては、例えば、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硼酸イオン、有機スルホン酸イオン、カルボン酸イオンなどが挙げられるが、特に制限されない。スルホン酸イオンを生成するドーパントとしては、例えば、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
 ポリアニオンとしては、ポリマーアニオンなどが挙げられる。固体電解質層は、例えば、チオフェン化合物に対応するモノマー単位を含む共役系高分子と、ポリマーアニオンとを含んでもよい。
 ポリマーアニオンとしては、例えば、複数のアニオン性基を有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、アニオン性基を有するモノマー単位を含むポリマーが挙げられる。アニオン性基としては、スルホン酸基、カルボキシ基などが挙げられる。
 固体電解質層において、ドーパントのアニオン性基は、遊離の形態、アニオンの形態、または塩の形態で含まれていてもよく、共役系高分子と結合または相互作用した形態で含まれていてもよい。本明細書中、これらの全ての形態を含めて、単に「アニオン性基」、「スルホン酸基」、または「カルボキシ基」などと称することがある。
 カルボキシ基を有するポリマーアニオンとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方を用いた共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
 スルホン酸基を有するポリマーアニオンの具体例としては、例えば高分子タイプのポリスルホン酸としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸(共重合体および置換基を有する置換体なども含む)、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリエステルスルホン酸(芳香族ポリエステルスルホン酸など)、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
 固体電解質層に含まれるドーパントの量は、共役系高分子100質量部に対して、例えば、10~1000質量部であり、20~500質量部または50~200質量部であってもよい。
 固体電解質層は、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、および導電性高分子以外の公知の導電性材料からなる群より選択される少なくとも一種を含んでもよい。導電性材料としては、例えば、二酸化マンガンなどの導電性無機材料、およびTCNQ錯塩からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
 なお、誘電体層と固体電解質層との間には、密着性を高める層などを介在させてもよい。
 固体電解質層は、単層であってもよく、複数の層で構成してもよい。固体電解質層が複数層で構成される場合、各層に含まれる導電性高分子は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、各層に含まれるドーパントは同じであってもよく、異なっていてもよい。
 固体電解質層は、電解重合によって形成される。電解重合は、誘電体層を有する陽極箔が導電性高分子の前駆体を含む重合液(液状組成物)に接触(例えば、浸漬)した状態で、重合電圧を印加することによって行うことができる。重合電圧の印加は、給電体を介して行われる。給電体は、第1絶縁領域に接続(または貼付)される。給電体は、第1絶縁領域の大部分を(特に、陽極箔の幅方向全体を帯状に)覆うように第1絶縁領域に接続(または貼付)されることが好ましい。これによって、第1絶縁領域上に固体電解質層が形成されることが抑制され、陽極部と陰極部との絶縁を確保する効果が高まる。
 液状組成物は、導電性高分子の前駆体を含む。導電性高分子の前駆体は、少なくとも共役系高分子の前駆体を含み、必要に応じてドーパントを含む。共役系高分子の前駆体としては、共役系高分子の原料モノマー、原料モノマーの複数の分子鎖が連なったオリゴマーおよびプレポリマーなどが挙げられる。前駆体は一種を用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。共役系高分子のより高い配向性が得られ易い観点から、前駆体としては、モノマーおよびオリゴマーからなる群より選択される少なくとも一種(特に、モノマー)を用いることが好ましい。
 液状組成物は、通常、溶媒を含む。溶媒としては、例えば、水、および有機溶媒からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
 ドーパント、他の導電性材料、添加剤などを用いる場合には、液状組成物に添加してもよい。電解重合に先立って、誘電体層の表面に導電性材料を含むプレコート層を形成してもよい。
 液状組成物は、必要に応じて、酸化剤を含んでもよい。また、酸化剤は、誘電体層を有する陽極箔に液状組成物を接触させる前または後に、陽極箔に塗布してもよい。このような酸化剤としては、Fe3+を生成可能な化合物(硫酸第二鉄など)、過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなど)、過酸化水素が例示できる。酸化剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
 電解重合において、重合電圧は、例えば、0.6V以上1.5V以下であり、0.7V以上1V以下であってもよい。なお、重合電圧は、参照電極(銀/塩化銀電極(Ag/Ag))に対する給電体の電位である。
 電解重合を行う温度は、例えば、5℃以上60℃以下であり、15℃以上35℃以下であってもよい。
 (陰極引出層)
 陰極引出層は、固体電解質層と接触するとともに固体電解質層の少なくとも一部を覆う第1層を少なくとも備えていればよく、第1層と第1層を覆う第2層とを備えていてもよい。第1層としては、例えば、導電性粒子を含む層、金属箔などが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、導電性カーボンおよび金属粉から選択される少なくとも一種が挙げられる。例えば、第1層としての導電性カーボンを含む層(カーボン層とも称する)と、第2層としての金属粉を含む層または金属箔とで陰極引出層を構成してもよい。第1層として金属箔を用いる場合には、この金属箔で陰極引出層を構成してもよい。
 導電性カーボンとしては、例えば、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛など)が挙げられる。
 第2層としての金属粉を含む層は、例えば、金属粉を含む組成物を第1層の表面に積層することにより形成できる。このような第2層としては、例えば、銀粒子などの金属粉と樹脂(バインダ樹脂)とを含む組成物を用いて形成される金属ペースト層が挙げられる。樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることもできるが、イミド系樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
 第1層として金属箔を用いる場合、金属の種類は特に限定されない。金属箔には、弁作用金属(アルミニウム、タンタル、ニオブなど)または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。必要に応じて、金属箔の表面を粗面化してもよい。金属箔の表面には、化成皮膜が設けられていてもよく、金属箔を構成する金属とは異なる金属(異種金属)や非金属の被膜が設けられていてもよい。異種金属や非金属としては、例えば、チタンのような金属やカーボン(導電性カーボンなど)のような非金属などを挙げることができる。
 上記の異種金属または非金属(例えば、導電性カーボン)の被膜を第1層として、上記の金属箔を第2層としてもよい。
(セパレータ)
 金属箔を陰極引出層に用いる場合、金属箔と陽極箔との間にはセパレータを配置してもよい。セパレータとしては、特に制限されず、例えば、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミド、アラミドなどの芳香族ポリアミド)の繊維を含む不織布などを用いてもよい。
(その他)
 固体電解コンデンサは、巻回型であってもよく、チップ型または積層型のいずれであってもよい。固体電解コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子を含んでいればよく、複数のコンデンサ素子を含んでもよい。例えば、固体電解コンデンサは、2つ以上のコンデンサ素子の積層体を備えていてもよい。固体電解コンデンサが複数のコンデンサ素子を含む場合、各コンデンサ素子は、例えば、巻回型であってもよく、積層型であってもよい。コンデンサ素子の構成は、固体電解コンデンサのタイプに応じて、選択すればよい。
 コンデンサ素子において、陰極引出層には、陰極リード端子の一端部が電気的に接続される。陽極箔の第1部分には、陽極リード端子の一端部が電気的に接続される。陽極リード端子の他端部および陰極リード端子の他端部は、それぞれ樹脂外装体またはケースから引き出される。樹脂外装体またはケースから露出した各リード端子の他端部は、固体電解コンデンサを搭載すべき基板との半田接続などに用いられる。各リード端子としては、リード線を用いてもよく、リードフレームを用いてもよい。
 コンデンサ素子は、樹脂外装体またはケースを用いて封止される。例えば、コンデンサ素子および外装体の材料樹脂(例えば、未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラー)を金型に収容し、トランスファー成型法、圧縮成型法等により、コンデンサ素子を樹脂外装体で封止してもよい。このとき、コンデンサ素子から引き出された、陽極リード端子の他端部側の部分および陰極リード端子の他端部側の部分を、それぞれ金型から露出させる。また、コンデンサ素子を、陽極リード端子の他端部側の部分および陰極リード端子の他端部側の部分が有底ケースの開口側に位置するように有底ケースに収納し、封止体で有底ケースの開口を封口することにより固体電解コンデンサを形成してもよい。
 図1は、本開示の第1実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を概略的に示す断面図である。図2は、図1の固体電解コンデンサに含まれるコンデンサ素子2を概略的に示す拡大断面図である。
 固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2を封止する外装体3と、外装体3の外部にそれぞれ少なくともその一部が露出する陽極リード端子4および陰極リード端子5と、を備えている。外装体3は、ほぼ直方体の外形を有しており、固体電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
 コンデンサ素子2は、陽極箔6と、陽極箔6の表面を覆う誘電体層(図示せず)と、誘電体層を覆う陰極部8とを備える。誘電体層は、陽極箔6の表面の少なくとも一部に形成されていればよい。
 陰極部8は、固体電解質層9と、陰極引出層10とを備える。固体電解質層9は、電解重合によって形成され、誘電体層の少なくとも一部を覆っている。陰極引出層10は、固体電解質層9の少なくとも一部を覆うように形成されている。陰極引出層10は、例えば、カーボン層である第1層11および金属ペースト層である第2層12を有する。陰極リード端子5は、導電性接着剤により形成される接着層14を介して、陰極部8と電気的に接続されている。
 陽極箔6は、基材部6aと、基材部6aの表面に形成された多孔質部6bとを備えている。多孔質部6bは、陽極箔6の表層に形成されている。陽極箔6は、固体電解質層9(または陰極部8)が形成されない第1部分Iと、第1部分I以外の第2部分IIとを備える。第1部分Iには、陽極リード端子4が溶接により電気的に接続されている。陽極箔6は、陽極リード端子4と接続される側の第1端部Ieと、第1端部Ieとは反対側の第2端部IIeとを有する。
 陽極箔6は、第1主面m1および第1主面m1とは反対側の第2主面m2とを有する。第1端部Ieと第2端部IIeとの間において、陽極箔6の第1主面m1側には、第1絶縁部i1pが設けられ、第2主面m2側には、第2絶縁部i2pが設けられている。第1絶縁部i1pでは、多孔質部6bが第1絶縁材料を含んでおり、第1絶縁部i1pの外側の表面が第1絶縁領域i1aを構成している。第2絶縁部i2pでは、多孔質部6bが少なくとも撥液材料を含んでおり、第2絶縁部i2pの外側の表面が第2絶縁領域i2aを構成している。
 外装体3は、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を覆うものである。外装体3内への空気の侵入を抑制する観点からは、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部が外装体3で封止されていることが望ましい。図1には、外装体3が樹脂外装体である場合を示したが、この場合に限らず、外装体3は、コンデンサ素子2を収容可能なケースなどであってもよい。樹脂外装体は、コンデンサ素子2およびリード端子4,5の一部を樹脂材料で封止することにより形成される。
 陽極リード端子4および陰極リード端子5の一端部は、コンデンサ素子2に電気的に接続され、他端部は外装体3の外部に引き出される。固体電解コンデンサ1において、リード端子4,5の一端部側は、コンデンサ素子2とともに外装体3によって覆われている。
[実施例]
 以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《固体電解コンデンサA1》
 下記の要領で、図1に示す固体電解コンデンサ1(固体電解コンデンサA1)を作製し、その特性を評価した。
 (1)陽極箔6の準備
 基材としてのアルミニウム箔(厚み:100μm)の両方の表面をエッチングにより粗面化することで、表層に多孔質部6bを有する陽極箔6を作製した。
 (2)誘電体層の形成
 陽極箔6の第2部分IIを、化成液に浸漬し、70Vの直流電圧を、20分間印加して、酸化アルミニウムを含む誘電体層を形成した。
 (3)第1絶縁領域i1aおよび第2絶縁領域i2aの形成
 誘電体層が形成された陽極箔6の第1主面m1側の多孔質部6bの所定の位置に、陽極箔6の幅方向全体に幅方向に沿って帯状に、第1絶縁材料としてのポリアミドイミド樹脂を含浸させ、200℃で30分間加熱することによって、第1絶縁部i1pを形成した。第1絶縁部i1pの外側の表面は第1絶縁領域i1aを構成する。第1絶縁領域i1aの幅w1は、陽極箔6の長さLに対して、0.07Lであった。
 次いで、陽極箔6の第2主面m2側の多孔質部6bの所定の位置に、陽極箔6の幅方向全体に幅方向に沿って帯状に、ポリアミドイミド樹脂と撥液材料としてのフッ素樹脂(DIC(株)製「メガファックRS-76-E」)との混合物を含浸させ、200℃で30分間加熱することによって、第2絶縁部i2pを形成した。第2絶縁部i2pの外側の表面は第2絶縁領域i2aを構成する。第2絶縁領域i2aの幅w2は、陽極箔6の長さLに対して、0.07Lであった。
 (4)固体電解質層9の形成
 上記(3)で得られた陽極箔6の第2部分IIを、導電性材料を含む液状組成物に浸漬し、取り出して乾燥することにより、プレコート層(図示せず)を形成した。第1絶縁領域i1aの外側の表面には、給電テープを貼り付けた。
 ピロール(共役系高分子のモノマー)と、ナフタレンスルホン酸(ドーパント)と、水とを含む重合液(液状組成物)を調製した。得られた重合液中に、プレコート層が形成された陽極箔6と、対電極とを浸漬した。給電テープの電位が1.0V(=重合電圧)となるように、給電テープに電圧を印加して、25℃で電解重合を行い、固体電解質層9を形成した。重合電圧は、参照電極(銀/塩化銀参照電極)に対する給電体の電位である。
 (5)陰極引出層10の形成
 上記(4)で得られた固体電解質層9が形成された陽極箔6を、黒鉛粒子を水に分散した分散液に浸漬し、分散液から取り出し後、乾燥することにより、少なくとも固体電解質層9の表面にカーボン層である第1層11を形成した。乾燥は、150℃で30分間行った。
 次いで、第1層11の表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布し、150℃で30分間加熱することでバインダ樹脂を硬化させ、金属ペースト層である第2層12を形成した。こうして、第1層11と第2層12とで構成される陰極引出層10を形成し、固体電解質層9と陰極引出層10とで構成される陰極部8を形成した。
 上記のようにして、コンデンサ素子2を作製した。
 (6)固体電解コンデンサの組み立て
 上記(5)で得られたコンデンサ素子2の陰極部8と、陰極リード端子5の一端部とを導電性接着剤の接着層14で接合した。コンデンサ素子2から突出した陽極箔6の第1端部Ieに、陽極リード端子4の一端部をレーザー溶接により接合した。
 次いで、モールド成形により、コンデンサ素子2の周囲に、絶縁性樹脂で形成された樹脂外装体3を形成した。このとき、陽極リード端子4の他端部と、陰極リード端子5の他端部とは、樹脂外装体3から引き出した状態とした。
 このようにして、固体電解コンデンサ1(A1)を完成させた。上記と同様にして、各固体電解コンデンサを合計20個作製した。
《固体電解コンデンサB1》
 上記(3)において、第2絶縁部i2pを形成する際に、撥液材料に代えて、第2絶縁材料として、第1絶縁材料と同じ材料を用い、200℃で30分間加熱した。これら以外は、固体電解コンデンサA1の場合と同様にして、固体電解コンデンサB1を合計20個作製した。
[評価]
 固体電解コンデンサまたは評価用サンプルを用いて、下記の評価を行った。
 (a)第1絶縁領域および第2絶縁領域の撥水性
 既述の手順で、第1絶縁領域および第2絶縁領域に含まれる材料に対する水の静的接触角(°)を求め、各絶縁領域の撥水性R1およびR2の指標とした。
 (b)初期の静電容量およびESR(等価直列抵抗)
 20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、各固体電解コンデンサの周波数120Hzにおける初期の静電容量(μF)を測定するとともに、周波数100kHzにおける初期のESR(mΩ)をそれぞれ測定した。そして、20個の電解コンデンサにおける平均値を求めた。
 (c)漏れ電流
 固体電解コンデンサに1kΩの抵抗を直列につなぎ、直流電源にて25Vの定格電圧を1分間印加した後の漏れ電流(μA)を測定し、20個の電解コンデンサの平均値を求めた。
 評価結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示されるように、実施例では、比較例に比べて、漏れ電流が小さく、標準偏差も小さかった。比較例の固体電解コンデンサでは、第2絶縁領域i2aの表面にも固体電解質層9が形成されており、漏れ電流が大きくなったと考えられる。
 本開示の固体電解コンデンサでは、漏れ電流が低減され、優れたコンデンサ性能が得られる。そのため、固体電解コンデンサは、例えば、高い信頼性が要求される様々な用途に用いることができる。
 1:固体電解コンデンサ、2:コンデンサ素子、3:外装体、4:陽極リード端子、5:陰極リード端子、6:陽極箔、6a:基材部、6b:多孔質部、8:陰極部、9:固体電解質層、10:陰極引出層、11:第1層、12:第2層、14:接着層、I:第1部分、II:第2部分、Ie:第1端部、IIe:第2端部、m1:第1主面、m2:第2主面、i1p:第1絶縁部、i2p:第2絶縁部、i1a:第1絶縁領域、i2a:第2絶縁領域
 

Claims (9)

  1.  表層に多孔質部を有する陽極箔と、前記多孔質部の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを有するコンデンサ素子を含み、
     前記陽極箔は、第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有するとともに、第1端部を含み、かつ前記固体電解質層が形成されていない第1部分と、前記第1端部とは反対側の第2端部を含み、かつ前記第1部分以外の第2部分とを含み、
     前記コンデンサ素子は、前記第1端部と前記第2端部との間において、前記第1主面側に第1絶縁領域を有するとともに、前記第2主面側に第2絶縁領域を有し、
     前記第2絶縁領域の少なくとも一部における撥水性R2は、前記第1絶縁領域における撥水性R1よりも高い、固体電解コンデンサ。
  2.  前記第1端部から前記第2端部に向かう方向を前記陽極箔の長さ方向とし、前記長さ方向と垂直な方向を前記陽極箔の幅方向とするとき、
     前記第1絶縁領域および前記第2絶縁領域のそれぞれは、前記陽極箔の前記幅方向に沿って帯状に設けられている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3.  前記第1絶縁領域および前記第2絶縁領域のそれぞれは、前記陽極箔の前記幅方向全体に設けられている、請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4.  前記陽極箔の長さをLとするとき、前記第2絶縁領域の幅w2は、0.01L以上0.3L以下である、請求項2または3に記載の固体電解コンデンサ。
  5.  前記撥水性R2は、前記第2絶縁領域に含まれる材料に対する水の静的接触角で表され、前記静的接触角は、75°以上180°以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  6.  前記コンデンサ素子は、前記第1主面側の前記多孔質部に第1絶縁材料を含む第1絶縁部と、前記第2主面側の前記多孔質部に絶縁性の撥液材料を含む第2絶縁部とを有し、
     前記第1絶縁部の外側の表面は、前記第1絶縁領域を構成し、
     前記第2絶縁部の外側の表面は、前記第2絶縁領域を構成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  7.  前記コンデンサ素子は、前記第1主面側の前記多孔質部に第1絶縁材料を含む第1絶縁部と、前記第2主面側の前記多孔質部に絶縁性の撥液材料を含む第2絶縁部と、を有し、
     前記第2絶縁部は、前記第2主面側の前記多孔質部に、さらに第2絶縁材料を含み、前記第2絶縁材料の少なくとも一部は、前記撥液材料で覆われており、
     前記第1絶縁部の外側の表面は、前記第1絶縁領域を構成し、
     前記第2絶縁部の外側の表面は、前記第2絶縁領域を構成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  8.  前記固体電解質層は、共役系高分子を含み、
     前記共役系高分子は、ピロール化合物、チオフェン化合物、およびアニリン化合物からなる群より選択される少なくとも一種に対応するモノマー単位を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  9.  表層に多孔質部を有する陽極箔と、前記多孔質部の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを有するコンデンサ素子を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、
     前記陽極箔は、第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有するとともに、第
    1端部を含み、かつ前記固体電解質層で覆われていない第1部分と、前記第1端部とは反対側の第2端部を含み、かつ前記第1部分以外の第2部分とを含み、
     前記製造方法は、前記第1端部と前記第2端部との間において、前記第1主面側に第1絶縁領域を形成するとともに、前記第2主面側に第2絶縁領域を形成する工程を含み、
     前記第2絶縁領域の少なくとも一部における撥水性R2は、前記第1絶縁領域における撥水性R1よりも高い、固体電解コンデンサの製造方法。
     
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