JP2022156883A - 固体電解コンデンサ用導電性ペースト、固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ用導電性ペースト、固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022156883A
JP2022156883A JP2021060800A JP2021060800A JP2022156883A JP 2022156883 A JP2022156883 A JP 2022156883A JP 2021060800 A JP2021060800 A JP 2021060800A JP 2021060800 A JP2021060800 A JP 2021060800A JP 2022156883 A JP2022156883 A JP 2022156883A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
solid electrolytic
electrolytic capacitor
cathode
conductive paste
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021060800A
Other languages
English (en)
Inventor
雄太 富松
Yuta TOMIMATSU
恭平 小林
Kyohei Kobayashi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2021060800A priority Critical patent/JP2022156883A/ja
Publication of JP2022156883A publication Critical patent/JP2022156883A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

【課題】固体電解コンデンサが水分を含んだ状態で高温に晒された場合の漏れ電流を低減する。【解決手段】固体電解コンデンサ用の導電性ペーストは、金属粒子と、硬化性の樹脂バインダと、を含む。前記導電性ペーストは、前記固体電解コンデンサに含まれる固体電解コンデンサ素子の構成部材に付与された後、かつ前記固体電解コンデンサ素子の完成までの間に加熱処理に供される。前記樹脂バインダの硬化物の熱機械分析による収縮開始温度よりも、前記加熱処理の温度が高い。【選択図】図1

Description

本開示は、固体電解コンデンサ用導電性ペースト、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
固体電解コンデンサは、固体電解コンデンサ素子と、固体電解コンデンサ素子を封止する樹脂外装体と、固体電解コンデンサ素子に電気的に接続される外部電極とを備える。固体電解コンデンサ素子は、陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部とを備える。陰極部は、例えば、誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子を含む固体電解質層と、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層とを備える。陰極引出層は、例えば、固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、カーボン層の少なくとも一部を覆う金属粒子含有層とを含む。陰極引出層は、陰極リードを介して、陰極側の外部電極と電気的に接続される。金属粒子含有層は、例えば、金属粒子を含む導電性ペーストを用いて形成される。
特許文献1は、銅粉表面の少なくとも一部を銀で覆った銀コート銅粉末と、ガラス転移温度(Tg)が35~170℃のバインダ樹脂とを含有する導電性ペーストを提案している。
特許文献2は、固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の電極形成に使用されるカーボンペーストであって、少なくともカーボンフィラーと、フェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含み、前記熱硬化性樹脂中に含まれるフェノキシ比率が、20≦Wt%≦70の範囲になる、カーボンペーストを提案している。
特開2010-123457号公報 特開2018-37478号公報
固体電解コンデンサが水分を含んだ状態でリフロー処理などの高温に晒される場合には、漏れ電流が大きくなる場合がある。
本開示の第1側面は、金属粒子と、硬化性の樹脂バインダと、を含む固体電解コンデンサ用の導電性ペーストであって、
前記導電性ペーストは、前記固体電解コンデンサに含まれる固体電解コンデンサ素子の構成部材に付与された後、かつ前記固体電解コンデンサ素子の完成までの間に加熱処理に供され、
前記樹脂バインダの硬化物の熱機械分析による収縮開始温度よりも、前記加熱処理の温度が高い、導電性ペーストに関する。
本開示の第2側面は、陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を含む少なくとも1つの固体電解コンデンサ素子を含み、
前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含むとともに、前記陰極部の少なくとも一部に、金属粒子と、樹脂バインダの硬化物と、を含む金属粒子含有層を含み、
前記樹脂バインダの硬化物は、熱機械分析による収縮開始温度よりも高い温度での熱履歴を有する、固体電解コンデンサに関する。
本開示の第3側面は、陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を含む少なくとも1つの固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、
前記誘電体層の少なくとも一部を覆うように前記陰極部を形成する工程を含み、
前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含むとともに、前記陰極部の少なくとも一部に、金属粒子と、樹脂バインダの硬化物と、を含む金属粒子含有層を含み、
前記金属粒子含有層を形成する工程は、前記金属粒子と、前記樹脂バインダと、を含む導電性ペーストを、加熱処理する工程を含み、
前記樹脂バインダの硬化物の熱機械分析による収縮開始温度よりも、前記加熱処理の温度が高い、固体電解コンデンサの製造方法に関する。
固体電解コンデンサが水分を含んだ状態で高温に晒された場合の漏れ電流を低減することができる。
本開示の一実施形態に係る固体電解コンデンサの断面模式図である。
固体電解コンデンサは、一般に、高温に晒されるリフロー工程を経て基板にはんだ接合される。保管中に大気中の水分を多量に吸収した固体電解コンデンサをリフロー工程に供すると、リフロー工程後に漏れ電流が大きくなる場合がある。また、大きな漏れ電流によりショートが発生して、製品の不良率(以下、ショート不良率と称することがある)が増加する場合がある。これは、固体電解コンデンサの陰極部を構成する金属粒子含有層に含まれる樹脂バインダの硬化物が、リフロー工程時の熱によって顕著に収縮し、収縮に伴う応力によって、誘電体層が損傷するためと考えられる。固体電解コンデンサが水分を含む場合には、収縮に伴う応力の影響が特に顕著になる。
陰極部を構成する金属粒子含有層は、金属粒子と硬化性の樹脂バインダとを含む導電性ペーストを加熱処理することによって形成される。本開示の導電性ペーストおよび固体電解コンデンサの製造方法では、上記の加熱処理の温度が、樹脂バインダの硬化物の熱機械分析(Thermomechanical Analysis:TMA)による収縮開始温度よりも高くなるように構成する。また、本開示の固体電解コンデンサでは、樹脂バインダの硬化物は、TMAによる収縮開始温度よりも高い温度での熱履歴を有する。そのため、加熱処理によって金属粒子含有層を形成する際に樹脂バインダの硬化物の収縮を進行させることができる。同様に、樹脂バインダの硬化物が上記の熱履歴を有することで、樹脂硬化物の収縮が進行した状態になる。その結果、固体電解コンデンサが水分を含む状態でリフロー工程などの高温に晒された場合に、樹脂バインダの硬化物の収縮を抑制することができ、収縮に伴う応力が緩和される。よって、漏れ電流を低減することができる。また、ショート不良率を低減することもできる。固体電解コンデンサでは、金属粒子含有層において樹脂バインダの硬化物が収縮した状態であるため、金属粒子同士が接触して導電性パスが広がり、金属粒子含有層の高い導電性を確保することができる。よって、固体電解コンデンサの初期の等価直列抵抗(ESR)を低く抑えることもできる。
なお、樹脂バインダのTgが同程度であっても、硬化物の収縮開始温度が加熱処理の温度以上であれば、固体電解コンデンサを、水分を含んだ状態でリフロー工程などの高温に晒した場合の漏れ電流の増加を低く抑えることは難しい。
上記の加熱処理は、導電性ペーストを、固体電解コンデンサに含まれる固体電解コンデンサ素子(以下、単にコンデンサ素子と称することがある)の構成部材に付与した後、かつコンデンサ素子の完成までの間に行われる。そのため、加熱処理は、コンデンサ素子の完成後(より具体的には固体電解コンデンサの完成後)に行われるリフロー工程における加熱とは区別される。例えば、固体電解質層を覆うカーボン層とカーボン層を覆う金属粒子含有層とを含む陰極引出層を形成する場合、導電性ペーストをカーボン層の少なくとも一部を覆うように付与した後に、加熱処理を行うことによって、金属粒子含有層が形成される。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本開示の導電性ペースト、固体電解コンデンサおよびその製造方法についてより具体的に説明する。
(導電性ペースト)
金属粒子としては、例えば、銀含有粒子が挙げられる。銀含有粒子としては、例えば、銀粒子および銀合金粒子が挙げられる。金属粒子としては、銀含有被覆層を有する被覆粒子を用いてもよい。このような被覆粒子としては、銅含有粒子と、銅含有粒子の少なくとも一部を覆う銀含有被覆層とを有する被覆粒子が好ましい。銅含有粒子は、例えば、銅粒子および銅合金粒子が挙げられる。銀含有被覆層は、銀で構成されていてもよく、銀合金で構成されていてもよい。銀粒子および銅粒子はそれぞれ少量の不純物を含み得る。銀で構成された銀含有被覆層は、少量の不純物を含み得る。被覆粒子において、銅含有粒子100質量部に対する銀含有被覆層の割合は、0.1質量部以上300質量部以下であってもよい。
導電性ペーストは、金属粒子を一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。
金属粒子の平均粒子径は、例えば、1nm以上50μm以下であり、5nm以上20μm以下であってもよい。
導電性ペースト中の液状媒体(後述の液状媒体)以外の成分の総量に占める金属粒子の比率は、例えば、導電性と密着性とのバランスを考慮して決定される。金属粒子の比率は、例えば、85質量%以上96質量%以下であってもよいが、この範囲に限定されない。
導電性ペーストにおける金属粒子の平均粒子径は、導電性ペーストから分離した金属粒子について、動的光散乱法、もしくはレーザ回折または散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定される体積基準の粒度分布における累積の50%粒子径(中央径)である。平均粒子径が10μm以下の場合には、動的光散乱法の粒度分布測定装置が使用され、平均粒子径が10μmを超える場合には、レーザ回折または散乱方式の粒度分布測定装置が使用される。動的光散乱法による粒度分布測定装置としては、例えば、大塚電子社製の光散乱光度計DLS-8000が用いられる。レーザ回折または散乱方式の粒度分布測定装置としては、例えば、日機装株式会社製のマイクロトラックシリーズMT3300が使用される。
樹脂バインダとしては、硬化性樹脂材料が挙げられる。硬化性樹脂材料としては、硬化性樹脂(例えば、熱硬化性樹脂)と、硬化性樹脂の硬化に関与する成分と、必要に応じて添加剤および液状媒体からなる群より選択される少なくとも一種とを含む樹脂組成物が挙げられる。硬化性樹脂の硬化に関与する成分としては、硬化性樹脂の種類に応じて、例えば、重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、架橋剤、硬化触媒が挙げられる。このような成分は一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。添加剤としては、例えば、固体電解コンデンサの導電性ペーストに使用される公知の添加剤が挙げられる。液状媒体は、導電性ペーストを調製または付与する温度において液状の媒体であればよく、室温(例えば、20℃~35℃)で液状の媒体であってもよい。液状媒体としては、例えば、有機溶媒が用いられる。液状媒体として、有機溶媒と水とを併用してもよい。液状媒体は、硬化性樹脂、硬化に関与する成分、および添加剤の種類などに応じて選択される。
樹脂バインダは、加熱処理の温度が樹脂バインダの硬化物のTMAによる収縮開始温度よりも高くなるように選択される。硬化物の収縮開始温度と加熱処理の温度との差(=加熱処理の温度-収縮開始温度)は、例えば、0.5℃以上であり、1℃以上であってもよい。漏れ電流およびショート不良率をさらに低減する観点からは、硬化物の収縮開始温度と加熱処理の温度との差は、3℃以上が好ましく、4℃以上がより好ましい。硬化物の収縮開始温度と加熱処理の温度との差は、例えば、50℃以下であり、30℃以下または20℃以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。
硬化物の収縮開始温度は、例えば、210℃未満であり、207℃以下であってもよく、206℃以下であってもよい。硬化物の収縮開始温度がこのような範囲である場合、導電性ペーストを加熱処理する際に、樹脂バインダの硬化物の収縮がスムーズに進行して、金属粒子同士が接触することによって導電性パスを広げることができる。固体電解コンデンサが、水分を多く含んだ状態でリフロー工程などの高温環境に晒された場合に、金属粒子含有層における樹脂バインダの収縮が低減されるため、誘電体層の損傷が低減される。よって、漏れ電流およびショート不良率を低減する硬化が高まる。また、金属粒子含有層の高い導電性を確保することができる。
硬化物の収縮開始温度は、例えば、硬化性樹脂および硬化に関与する成分の種類を選択したり、形成される硬化物の分子量を調節したりすることによって調節することができる。例えば、硬化物の分子量が小さくなると、収縮開始温度は低くなる傾向がある。
樹脂バインダの硬化物の収縮開始温度は、例えば、導電性ペーストの硬化膜を測定用サンプルとして用い、下記の条件で測定される。
測定装置:TMA SII EXSTAR6000 TMASS6100、日立ハイエンテクス社製
測定モード:引張
本体部/検出方法:全膨張方式
測定雰囲気:N
温度範囲:25℃~300℃
昇温速度:5℃/min
荷重:300±100mN
荷重モード:f-sin制御
上記の収縮開始温度の測定には、導電性ペーストを硬化させることによって形成される5mm×20mm×厚さ1mmのサイズのサンプルが用いられる。サンプルは、次の手順で作製される。ポリテトラフルオロエチレン製のシートの表面に、アプリケータにて導電性ペーストを乾燥後の膜厚が100μm以上200μm以下となるような塗布量で塗布して、塗膜を形成する。塗膜を、100℃で30分間加熱し、次いで150℃で10分間加熱し、さらに210℃で20分間加熱する。このようにして、塗膜を、乾燥および硬化させることによって、硬化物のサンプルが得られる。
硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などが好ましい。樹脂バインダは、硬化性樹脂を一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。収縮開始温度の調節が容易である観点からは、樹脂バインダは、中でも、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
導電性ペーストにおいて、樹脂バインダの量は、金属粒子100質量部に対して、4質量部以上18質量部以下であってもよく、4質量部以上10質量部以下であってもよいが、これらの範囲に限定されない。樹脂バインダの量は、導電性と密着性とのバランスを考慮して決定される。
導電性ペーストは、構成成分を混合することにより得ることができる。混合には、公知の方法を採用できる。
[固体電解コンデンサ]
固体電解コンデンサは、1つのコンデンサ素子または2つ以上のコンデンサ素子を備える。
(コンデンサ素子)
(陽極体)
コンデンサ素子に含まれる陽極体は、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などを含むことができる。陽極体は、これらの材料を一種含んでもよく、二種以上を組み合わせて含んでもよい。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンが好ましく使用される。表面が多孔質である陽極体は、例えば、エッチングなどにより弁作用金属を含む基材(シート状(例えば、箔状、板状)の基材など)の表面を粗面化することで得られる。粗面化は、例えば、エッチング処理などにより行うことができる。また、陽極体は、弁作用金属を含む粒子の成形体またはその焼結体でもよい。なお、成形体および焼結体のそれぞれは、多孔質構造を有する。成形体および焼結体のそれぞれは、シート状の形状であってもよく、直方体、立方体またはこれらに類似の形状などであってもよい。
陽極体は、通常、陽極引出部および陰極形成部を有する。陰極部は、陽極体の陰極形成部に、通常、誘電体層を介して形成される。陽極引出部には、陽極リードが接続される。
(誘電体層)
誘電体層は、陽極体の少なくとも一部の表面を覆うように形成された誘電体として機能する絶縁性の層である。誘電体層は、陽極体の表面の弁作用金属を、化成処理などにより陽極酸化することで形成される。誘電体層は、陽極体の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。誘電体層は、通常、陽極体の表面に形成される。誘電体層は、陽極体の多孔質の表面に形成されるため、誘電体層の表面は、上述のように微細な凹凸形状を有する。
誘電体層は弁作用金属の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTa25を含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAl23を含む。尚、誘電体層はこれに限らず、誘電体として機能すればよい。
(陰極部)
陰極部は、陽極体の表面に形成された誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成される。陰極部を構成する各層は、陰極部の層構成に応じて、公知の方法で形成できる。
陰極部は、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含む。陰極部は、さらに固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層を含んでもよい。陰極引出層と陰極リードとが導電性接着剤により接続される場合、本明細書では、陰極引出層と陰極リードとの間に介在する導電性接着剤層(以下、第1導電性接着剤層と称することがある)も陰極部に包含される。複数のコンデンサ素子を含む固体電解コンデンサにおいて、複数のコンデンサ素子が導電性接着剤により固定される場合、本明細書では、隣接するコンデンサ素子間を固定する導電性接着剤層(以下、第2導電性接着剤層と称することがある)も陰極部(より具体的には、いずれか一方のコンデンサ素子の陰極部)に包含される。
本開示の固体電解コンデンサにおいて、陰極部は、陰極部の少なくとも一部に金属粒子含有層を含む。この金属粒子含有層とは、金属粒子と、樹脂バインダの硬化物と、を含み、樹脂バインダの硬化物が、TMAによる収縮開始温度よりも高い温度での熱履歴を有する金属粒子含有層である。この金属粒子含有層は、上述のように、上記の導電性ペーストを加熱処理することによって形成される。このような金属粒子含有層を、第1金属粒子含有層と称することがある。
陰極部は、例えば、陰極引出層、第1導電性接着剤層、および第2導電性接着剤層からなる群より選択される少なくとも1つの少なくとも一部に第1金属粒子含有層を含んでもよい。陰極部は、第1金属粒子含有層以外の金属粒子含有層(以下、第2金属粒子含有層または第3金属粒子含有層と称することがある)を含んでもよい。例えば、陰極引出層が、導電性カーボンを含むとともに固体電解質層の少なくとも一部を覆う第1層(カーボン層とも称される)と、第1層の少なくとも一部を覆う第2層としての第2金属粒子含有層を含み、第2金属粒子含有層と陰極リードとの間に介在する第1導電性接着剤層として第1金属粒子含有層を含んでもよい。また、固体電解コンデンサは、第1層と、第1層の少なくとも一部を覆う第2層としての第2金属粒子含有層を含む陰極引出層を含む複数のコンデンサ素子が、第2導電性接着剤層としての第1金属粒子含有層を介して積層された積層体を含んでもよい。このような積層体において、各コンデンサ素子の陰極引出層と陰極リードとは、第1導電性接着剤層としての第3金属粒子含有層または第1金属粒子含有層を介して接続されていてもよい。
誘電体層への応力の影響は、第1導電性接着剤層および第2導電性接着剤層に比較すると、陰極引出層の方が大きい。本開示では、陰極部が、少なくとも陰極引出層に第1金属粒子含有層を含む場合でも、漏れ電流を効果的に低減することができ、ショート不良率を低減することができる。
以下、陰極部の構成要素について説明する。
(固体電解質層)
固体電解質層は、陽極体の表面に、誘電体層を介して、誘電体層を覆うように形成される。固体電解質層は、必ずしも誘電体層の全体(表面全体)を覆う必要はなく、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。固体電解質層は、固体電解コンデンサにおける陰極部の少なくとも一部を構成する。
固体電解質層は、導電性高分子を含む。導電性高分子は、例えば、共役系高分子およびドーパントを含んでいる。固体電解質層は、必要に応じて、さらに、添加剤を含んでもよい。
共役系高分子としては、固体電解コンデンサに使用される公知の共役系高分子、例えば、π共役系高分子が挙げられる。共役系高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、およびポリチオフェンビニレンを基本骨格とする高分子が挙げられる。これらのうち、ポリピロール、ポリチオフェン、またはポリアニリンを基本骨格とする高分子が好ましい。上記の高分子は、基本骨格を構成する少なくとも一種のモノマー単位を含んでいればよい。モノマー単位には、置換基を有するモノマー単位も含まれる。上記の高分子には、単独重合体、二種以上のモノマーの共重合体も含まれる。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などが含まれる。
固体電解質層は、共役系高分子を、一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。
共役系高分子の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば1,000以上1,000,000以下である。
なお、本明細書中、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の値である。なお、GPCは、通常は、ポリスチレンゲルカラムと、移動相としての水/メタノール(体積比8/2)とを用いて測定される。
ドーパントとしては、例えば、アニオンおよびポリアニオンからなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
アニオンとしては、例えば、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硼酸イオン、有機スルホン酸イオン、カルボン酸イオンなどが挙げられるが、特に制限されない。スルホン酸イオンを生成するドーパントとしては、例えば、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
ポリアニオンとしては、ポリマーアニオンなどが挙げられる。固体電解質層は、例えば、チオフェン化合物に対応するモノマー単位を含む共役系高分子と、ポリマーアニオンとを含んでもよい。
ポリマーアニオンとしては、例えば、複数のアニオン性基を有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、アニオン性基を有するモノマー単位を含むポリマーが挙げられる。アニオン性基としては、スルホン酸基、カルボキシ基などが挙げられる。
固体電解質層において、ドーパントのアニオン性基は、遊離の形態、アニオンの形態、または塩の形態で含まれていてもよく、共役系高分子と結合または相互作用した形態で含まれていてもよい。本明細書中、これらの全ての形態を含めて、単に「アニオン性基」、「スルホン酸基」、または「カルボキシ基」などと称することがある。
カルボキシ基を有するポリマーアニオンとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方を用いた共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
スルホン酸基を有するポリマーアニオンの具体例としては、例えば高分子タイプのポリスルホン酸としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸(共重合体および置換基を有する置換体なども含む)、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリエステルスルホン酸(芳香族ポリエステルスルホン酸など)、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
固体電解質層に含まれるドーパントの量は、共役系高分子100質量部に対して、例えば、10~1000質量部であり、20~500質量部または50~200質量部であってもよい。
固体電解質層は、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、および導電性高分子以外の公知の導電性材料からなる群より選択される少なくとも一種を含んでもよい。導電性材料としては、例えば、二酸化マンガンなどの導電性無機材料、およびTCNQ錯塩からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
なお、誘電体層と固体電解質層との間には、密着性を高める層などを介在させてもよい。
固体電解質層は、単層であってもよく、複数の層で構成してもよい。例えば、固体電解質層を、誘電体層の少なくとも一部を覆う第1固体電解質層と、第1固体電解質層の少なくとも一部を覆う第2固体電解質層とを含むように構成してもよい。各層に含まれる共役系高分子、ドーパント、添加剤などの種類、組成、含有量などは各層で異なっていてもよく、同じであってもよい。
固体電解質層は、例えば、共役系高分子の前駆体およびドーパントを含む処理液を用いて、前駆体を誘電体層上で重合させることにより形成される。重合は、化学重合、および電解重合の少なくともいずれかにより行うことができる。共役系高分子の前駆体としては、モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーなどが挙げられる。固体電解質層は、誘電体層に、導電性高分子を含む処理液(例えば、分散液または溶液)を付着させた後、乾燥させることにより形成してもよい。分散媒(または溶媒)としては、例えば、水および有機溶媒からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。処理液は、さらに、他の成分(ドーパント、および添加剤からなる群より選択される少なくとも一種など)を含んでもよい。例えば、導電性高分子(例えば、PEDOT)、ドーパント(例えば、ポリスチレンスルホン酸などのポリアニオン)、および必要に応じて添加剤を含む処理液を用いて、固体電解質層を形成してもよい。
共役系高分子の前駆体を含む処理液を用いる場合、前駆体を重合させるために酸化剤が使用される。酸化剤は、添加剤として処理液に含まれていてもよい。また、酸化剤は、誘電体層が形成された陽極体に処理液を接触させる前または後に、陽極体に塗布してもよい。このような酸化剤としては、Fe3+を生成可能な化合物(硫酸第二鉄など)、過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなど)、過酸化水素が例示できる。酸化剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
処理液への浸漬と重合(または乾燥)とにより固体電解質層を形成する工程は、1回行なってもよいが、複数回繰り返してもよい。各回において、処理液の組成および粘度などの条件を同じにしてもよく、少なくとも1つの条件を変化させてもよい。
(陰極引出層)
陰極引出層は、固体電解質層と接触するとともに固体電解質層の少なくとも一部を覆う第1層を少なくとも備えていればよく、第1層と第1層の少なくとも一部を覆う第2層とを備えていてもよい。
第1層としては、例えば、導電性粒子を含む層、金属箔などが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、導電性カーボンおよび金属粉から選択される少なくとも一種が挙げられる。例えば、第1層としての導電性カーボンを含む層(カーボン層)と、第2層としての金属粉を含む層または金属箔とで陰極引出層を構成してもよい。第1層として金属箔を用いる場合には、この金属箔で陰極引出層を構成してもよい。
導電性カーボンとしては、例えば、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛など)が挙げられる。
第2層としての金属粉を含む層は、例えば、金属粉を含む組成物を第1層の表面に積層することにより形成できる。このような第2層としては、例えば、金属粉と樹脂(バインダ樹脂)とを含むペーストを用いて形成される金属ペースト層が挙げられる。バインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることもできるが、イミド系樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。第2層の高い導電性が得られ易い観点からは、金属粉としては、銀含有粒子が好ましい。銀含有粒子としては、銀粒子、銀合金粒子などが挙げられる。第2層は、銀粒子と銀合金粒子とを含んでもよい。金属粉としては、上述のような被覆粒子を用いてもよい。第2層のより高い導電性を確保し観点からは、銀含有粒子としては銀粒子が好ましい。銀粒子は、少量の不純物を含み得る。銀含有粒子を含む第2層は、第1金属粒子含有層であってもよく、第2金属粒子含有層であってもよい。
第1層として金属箔を用いる場合、金属の種類は特に限定されない。金属箔には、弁作用金属(アルミニウム、タンタル、ニオブなど)または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。必要に応じて、金属箔の表面を粗面化してもよい。金属箔の表面には、化成皮膜が設けられていてもよく、金属箔を構成する金属とは異なる金属(異種金属)や非金属の被膜が設けられていてもよい。異種金属や非金属としては、例えば、チタンのような金属またはカーボン(導電性カーボンなど)のような非金属などを挙げることができる。
上記の異種金属または非金属(例えば、導電性カーボン)の被膜を第1層として、上記の金属箔を第2層としてもよい。
陰極引出層が第1金属粒子含有層を含む場合、陰極引出層全体を第1金属粒子含有層で構成してもよく、第1層を第1金属粒子含有層で構成してもよく、第2層を第1金属粒子含有層で構成してもよい。例えば、陰極引出層は、導電性カーボンを含む第1層(カーボン層)と、第1層の少なくとも一部を覆う第1金属粒子含有層を含む第2層とを含んでもよい。
陰極引出層は、その層構成に応じて、公知の方法により形成される。例えば、陰極引出層が第1層または第2層として金属箔を含む場合には、固体電解質層または第1層の少なくとも一部を覆うように金属箔を積層することによって、第1層または第2層が形成される。導電性粒子を含む第1層は、例えば、導電性粒子と必要に応じて樹脂バインダ(水溶性樹脂、硬化性樹脂など)とを含む導電性ペーストまたは液状分散体を、固体電解質層の表面に付与することによって形成される。金属粉を含む第2層は、例えば、金属粉と樹脂バインダとを含むペーストを第1層の表面に付与することによって形成される。陰極引出層の形成過程では、必要に応じて、乾燥処理、加熱処理などを行ってもよい。
(第1導電性接着剤層)
固体電解コンデンサは、陰極リードを含む。固体電解コンデンサにおいて、陰極リードは、第1導電性接着層を介して、陰極引出層と接続されている。固体電解コンデンサが複数のコンデンサ素子を含む場合、一部のコンデンサ素子の陰極引出層と陰極リードとが第1導電性接着剤層を介して接続されていてもよい。第1導電性接着剤層によって、コンデンサ素子の陰極引出層と陰極リードとが電気的に接続される。
第1導電性接着剤層は、公知の導電性接着剤を用いて形成してもよい。公知の導電性接着剤としては、例えば、導電性粒子と樹脂バインダ(硬化性樹脂など)とを含むペーストが挙げられる。公知の導電性接着剤を用いて形成される第1導電性接着剤層は、公知の銀含有接着剤(例えば、銀含有ペースト)を用いて形成される第2金属粒子含有層であってもよい。このような第1導電性接着剤層は、例えば、上記のペースト(銀含有ペーストを含む)を、陰極引出層と陰極リードとの間に挟持されるように配置することによって形成される。例えば、上記のペーストを陰極引出層の表面の一部に塗布または転写し、形成されたペーストの塗膜に陰極リードの一端部側の部分を重ねてもよい。第1導電性接着剤層の形成過程では、必要に応じて、乾燥処理、加熱処理などを行ってもよい。
第1導電性接着剤層は、第1金属粒子含有層であってもよい。この場合、陰極部は、陰極引出層と陰極リードとの間に介在する第1金属粒子含有層を含む。
(第2導電性接着剤層)
固体電解コンデンサが複数のコンデンサ素子を含む場合、複数のコンデンサ素子は、第2導電性接着剤層を介して固定されていてもよい。例えば、固体電解コンデンサが、複数のコンデンサ素子の積層体を含む場合、複数のコンデンサ素子は、第2導電性接着剤層を介して積層されていてもよい。第2導電性接着剤層は各コンデンサ素子の陰極引出層と接触していてもよい。第2導電性接着剤層によって、複数のコンデンサ素子が電気的に接続される。
第2導電性接着剤層は、公知の導電性接着剤を用いて形成してもよい。公知の導電性接着剤としては、例えば、導電性粒子と樹脂バインダ(硬化性樹脂など)とを含むペーストが挙げられる。公知の導電性接着剤を用いて形成される第2導電性接着剤層は、公知の銀含有接着剤(例えば、銀含有ペースト)を用いて形成される第3金属粒子含有層であってもよい。このような第2導電性接着剤層は、例えば、上記のペースト(銀含有ペーストを含む)を、隣接するコンデンサ素子間に挟持されるように配置することによって形成される。例えば、上記のペーストをコンデンサ素子の陰極引出層の表面の一部に塗布または転写し、形成されたペーストの塗膜に別のコンデンサ素子を重ねてもよい。第2導電性接着剤層の形成過程では、必要に応じて、乾燥処理、加熱処理などを行ってもよい。
第2導電性接着剤層は、第1金属粒子含有層であってもよい。この場合、隣接する固体電解コンデンサ素子は、第1金属粒子含有層を介して固定されている。
陰極部に含まれる第1金属粒子含有層について、以下により詳細に説明する。
(第1金属粒子含有層)
第1金属粒子含有層は、上述の導電性ペーストを加熱処理することによって形成されるため、金属粒子と、樹脂バインダの硬化物と、を含む。加熱処理の温度は、上述のように、樹脂バインダの硬化物のTMAによる収縮開始温度よりも高い。そのため、第1金属粒子含有層において、樹脂バインダの硬化物は、TMAによる収縮開始温度よりも高い温度での熱履歴を有する。
硬化物の熱履歴は、例えば、導電性ペースト(または導電性ペーストから分離した樹脂バインダ)を、様々な温度で硬化させ、硬化物の物性(例えば、Tg、粘弾性)を、TMA、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)などで分析し、硬化温度と物性との関係から確認することができる。
金属粒子および樹脂バインダ、これらの比率、樹脂バインダの硬化物のTMAによる収縮開始温度、収縮開始温度と加熱処理の温度との差、添加剤などに関しては、導電性ペーストについての説明を参照できる。第1金属粒子含有層中の金属粒子の含有率は、導電性ペーストについて記載した、液状媒体以外の成分の総量に占める金属粒子の比率の範囲から選択できる。
第1金属粒子含有層の厚さは、例えば、0.5μm以上100μm以下であり、1μm以上50μm以下であってもよく、1μm以上20μm以下であってもよい。
第1金属粒子含有層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)による断面画像において、第1金属粒子含有層の厚さを、複数箇所(例えば、10箇所)について計測し、平均化することによって求められる。
第1金属粒子含有層の厚さの測定には、例えば、コンデンサ素子の第1金属粒子含有層を含む部分のSEMによる断面画像が用いられる。撮影用のサンプルは、例えば、次の手順で作製できる。まず、固体電解コンデンサを、硬化性樹脂に埋め込んで硬化性樹脂を硬化させる。硬化物を湿式研磨または乾式研磨して、陰極部の厚み方向に平行な断面(陰極部の各層の積層状態を確認可能な断面)を露出させる。露出した断面を、イオンミリングで平滑化することによって、撮影用のサンプルが得られる。
(第1金属粒子含有層の形成)
第1金属粒子含有層は、上述の導電性ペーストを、コンデンサ素子(より具体的には陰極部)を構成する少なくとも1つの部材(構成部材とも称される)の少なくとも一部を覆うように付与し、加熱処理することによって形成することができる。そのため、固体電解コンデンサの製造方法は、このような第1金属粒子含有層を形成する工程を含む。導電性ペーストが付与される構成部材としては、陰極部において第1金属粒子含有層と接触する層、例えば、固体電解質層、陰極引出層、陰極引出層を構成する第1層または第2層、および陰極リードが挙げられる。
第1金属粒子含有層の形成工程は、導電性ペーストを加熱処理する工程を含む。より具体的には、構成部材に付与された導電性ペーストが加熱処理されることで、第1金属粒子含有層が形成される。加熱処理の温度は、樹脂バインダの硬化物のTMAによる収縮開始温度よりも高いため、加熱処理の間に、導電性ペーストが乾燥し、樹脂バインダの硬化が進行するとともに、硬化物の収縮が進行する。固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子は、樹脂外装体によって封止されているため、固体電解コンデンサがリフロー工程などで高温に晒された場合に、樹脂バインダの硬化物の収縮が顕著であると、応力が緩和され難く、誘電体層が損傷されやすい。本開示では、上記の導電性ペーストを用い、樹脂バインダの硬化物の収縮開始温度よりも高い温度で加熱することで第1金属粒子含有層を形成する。そのため、固体電解コンデンサが多くの水分を含んだ状態でリフロー工程などの高温に晒されても、第1金属粒子含有層の収縮に伴う応力が低減され、誘電体層の損傷が低減される。よって、漏れ電流が低減されるとともに、ショート不良率を低減することができる。なお、本開示によれば、第1金属粒子含有層を形成する際に、加熱処理によって樹脂バインダが収縮するが、加熱処理の有無によってコンデンサ素子における漏れ電流値の変化はほとんど見られない。そのため、加熱処理の際の収縮に伴う応力の誘電体層への影響は小さいと考えられる。
加熱処理は、例えば、導電性ペーストを構成部材に付与した後、樹脂外装体によって封止する前に行われる。加熱処理は、1段階で(1回)行ってもよく、2段階以上の多段階で(2回以上)行ってもよい。
加熱処理の温度は、例えば、150℃以上230℃以下であってもよく、200℃以上230℃以下であってもよく、210℃以上230℃以下であってもよい。
加熱処理の時間は、例えば、10秒以上2時間以下であり、1分以上1時間以下であってもよい。
(その他)
固体電解コンデンサは、巻回型であってもよく、チップ型または積層型のいずれであってもよい。例えば、固体電解コンデンサは、2つ以上のコンデンサ素子の積層体を備えていてもよい。固体電解コンデンサが複数のコンデンサ素子を含む場合、各コンデンサ素子は、例えば、巻回型であってもよく、積層型であってもよい。コンデンサ素子の構成は、固体電解コンデンサのタイプに応じて、選択すればよい。
金属箔を陰極引出層に用いる場合、金属箔と陽極体との間にはセパレータを配置してもよい。
コンデンサ素子において、陰極引出層には、陰極リードの一端部が電気的に接続される。陽極体には、陽極リードの一端部が電気的に接続される。陽極リードの他端部および陰極リードの他端部は、それぞれ樹脂外装体から引き出される。樹脂外装体から露出した各リードの他端部は、固体電解コンデンサを搭載すべき基板との半田接続などに用いられる。各リードとしては、リード線を用いてもよく、リードフレームを用いてもよい。
コンデンサ素子は、樹脂外装体によって封止される。例えば、コンデンサ素子および外装体の材料樹脂(例えば、未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラー)を金型に収容し、トランスファー成型法、圧縮成型法等により、コンデンサ素子を樹脂外装体で封止してもよい。このとき、コンデンサ素子から引き出された、陽極リードの他端部側の部分および陰極リードの他端部側の部分を、それぞれ金型から露出させる。また、コンデンサ素子を、陽極リードの他端部側の部分および陰極リードの他端部側の部分が有底ケースの開口側に位置するように有底ケースに収納し、封止体で有底ケースの開口を封口することにより固体電解コンデンサを形成してもよい。
図1は、本開示の一実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を概略的に示す断面図である。図1に示すように、固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2を封止する樹脂外装体3と、樹脂外装体3の外部にそれぞれ少なくともその一部が露出する陽極端子4および陰極端子5と、を備えている。陽極端子4および陰極端子5は、例えば銅または銅合金などの金属で構成することができる。樹脂外装体3は、ほぼ直方体の外形を有しており、固体電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
コンデンサ素子2は、陽極体6と、陽極体6を覆う誘電体層7と、誘電体層7を覆う陰極部8とを備える。陰極部8は、誘電体層7を覆う固体電解質層9と、固体電解質層9を覆う陰極引出層10とを備えている。陰極引出層10は、固体電解質層9を覆う第1層11と、第1層を覆う第2層12とを備える。
陽極体6は、陰極部8と対向する領域と、対向しない領域とを含む。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、陰極部8に隣接する部分には、陽極体6の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離部13が形成され、陰極部8と陽極体6との接触が規制されている。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、他の一部は、陽極端子4と、溶接により電気的に接続されている。陰極端子5は、第1導電性接着剤層14を介して、陰極部8と電気的に接続している。
第2層12および第1導電性接着剤層14の少なくとも一方(好ましくは、少なくとも第2層12)を、上記の導電性ペーストを加熱処理することによって形成してもよい。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1~3および比較例1》
下記の要領で、固体電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(1)陽極体の準備
基材としてのアルミニウム箔(厚み:100μm)の両方の表面をエッチングにより粗面化することで、陽極体を作製した。
(2)誘電体層の形成
陽極体の他端部側の部分を、化成液に浸漬し、2.5Vの直流電圧を、20分間印加して、酸化アルミニウムを含む誘電体層を形成した。
(3)固体電解質層の形成
ピロールモノマーとp-トルエンスルホン酸とを含む水溶液を調製した。この水溶液中のモノマー濃度は、0.5mol/Lであり、p-トルエンスルホン酸の濃度は0.3mol/Lとした。
得られた水溶液に、上記(2)で誘電体層が形成された陽極体と、対電極とを浸漬し、25℃で、重合電圧3V(銀参照電極に対する重合電位)で電解重合を行うことにより、固体電解質層を形成した。
(4)陰極部の形成
上記(3)で得られた陽極体を、黒鉛粒子を水に分散した分散液に浸漬し、分散液から取り出し後、乾燥することにより、少なくとも固体電解質層の表面に第1層(カーボン層)を形成した。乾燥は、150℃で30分間行った。
次いで、第1層の表面に、銀粒子を含む導電性ペーストを塗布し、210℃で10分間加熱処理を行うことによって金属粒子含有層である第2層を形成した。このようにして第1層と第2層とで構成される陰極引出層を形成した。第2層の厚さは、約10μmであった。上記のようにして、コンデンサ素子を作製した。
第2層の形成に用いた導電性ペーストは、銀粒子(平均粒子径3μm)、樹脂バインダ、および液状媒体(または樹脂バインダを含む分散液または溶液)を混合することによって調製した。樹脂バインダとしては、既述の手順で測定されるTMAによる収縮開始温度が表1に示す値となるエポキシ樹脂組成物を用いた。導電性ペースト中の液状媒体以外の成分の総量に占める銀粒子の含有率は、93.5質量%であった。銀粒子100質量部に対する樹脂バインダの比率は、7質量部であった。
(5)固体電解コンデンサの組み立て
上記(4)で得られたコンデンサ素子の陰極引出層と、陰極リードの一端部とを導電性接着剤を用いて接合した。また、陽極体の、固体電解質層および陰極引出層に覆われていない部分の一端部と、陽極リードの一端部とをレーザ溶接により接合した。そして、コンデンサ素子の周囲に、モールド成形によって、絶縁性樹脂で形成された樹脂外装体を形成した。このとき、陽極リードの他端部と、陰極リードの他端部とは、樹脂外装体から引き出した状態とした。このようにして、固体電解コンデンサを完成させた。上記と同様にして、各固体電解コンデンサを合計120個作製した。
[評価]
導電性ペーストまたは固体電解コンデンサを用いて、下記の評価を行った。
(a)樹脂バインダの硬化物の収縮開始温度
第2層の形成に用いた導電性ペーストを用いて、既述の手順で、硬化物の収縮開始温度を測定した。
(b)漏れ電流(LC)
25℃にて、固体電解コンデンサに1kΩの抵抗を直列につなぎ、直流電源にて2Vの定格電圧を1分間印加した後の漏れ電流(μA)を測定し、120個の固体電解コンデンサの平均値(初期の漏れ電流(LC))を求めた。
次いで、固体電解コンデンサを、185℃で4時間静置し、85℃で85%RHの加湿環境下で12時間静置した。その後、固体電解コンデンサを、リフロー工程を想定して295℃で6分間加熱した。この加熱(リフロー)後の漏れ電流を、初期の漏れ電流の場合と同様にして、120個の固体電解コンデンサの平均値(リフロー後の漏れ電流(LC))を求めた。
(c)ショート不良率
上記(b)のリフロー後の漏れ電流の測定において、1mAを超える漏れ電流が測定された固体電解コンデンサの個数が、120個に占める比率(%)を求めた。この比率を、ショート不良率とした。
評価結果を表1に示す。表中、A1~A3は実施例1~3であり、B1は比較例1である。
Figure 2022156883000002
本開示の固体電解コンデンサは、水分を含んだ状態でリフロー工程などの高温に晒された場合でも漏れ電流が小さく、高い耐熱性および高い信頼性を有している。そのため、固体電解コンデンサは、様々な用途に用いることができる。
1:固体電解コンデンサ、2:コンデンサ素子、3:樹脂外装体、4:陽極端子、5:陰極端子、6:陽極体、7:誘電体層、8:陰極部、9:固体電解質層、10:陰極引出層、11:第1層、12:第2層、13:分離部、14:第1導電性接着剤層

Claims (8)

  1. 金属粒子と、硬化性の樹脂バインダと、を含む固体電解コンデンサ用の導電性ペーストであって、
    前記導電性ペーストは、前記固体電解コンデンサに含まれる固体電解コンデンサ素子の構成部材に付与された後、かつ前記固体電解コンデンサ素子の完成までの間に加熱処理に供され、
    前記樹脂バインダの硬化物の熱機械分析による収縮開始温度よりも、前記加熱処理の温度が高い、導電性ペースト。
  2. 前記金属粒子は、銀含有粒子、および銅含有粒子と前記銅含有粒子の少なくとも一部を覆う銀含有被覆層とを有する被覆粒子からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記収縮開始温度は、210℃未満である、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記収縮開始温度と前記加熱処理の温度との差は、3℃以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  5. 前記樹脂バインダは、エポキシ樹脂を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  6. 陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を含む少なくとも1つの固体電解コンデンサ素子を含み、
    前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含むとともに、前記陰極部の少なくとも一部に、金属粒子と、樹脂バインダの硬化物と、を含む金属粒子含有層を含み、
    前記樹脂バインダの硬化物は、熱機械分析による収縮開始温度よりも高い温度での熱履歴を有する、固体電解コンデンサ。
  7. 前記陰極部は、前記固体電解質層と前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層とを含み、
    前記陰極引出層は、前記金属粒子含有層を含む、請求項6に記載の固体電解コンデンサ。
  8. 陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を含む少なくとも1つの固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆うように前記陰極部を形成する工程を含み、
    前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を含むとともに、前記陰極部の少なくとも一部に、金属粒子と、樹脂バインダの硬化物と、を含む金属粒子含有層を含み、
    前記金属粒子含有層を形成する工程は、前記金属粒子と、前記樹脂バインダと、を含む導電性ペーストを、加熱処理する工程を含み、
    前記樹脂バインダの硬化物の熱機械分析による収縮開始温度よりも、前記加熱処理の温度が高い、固体電解コンデンサの製造方法。
JP2021060800A 2021-03-31 2021-03-31 固体電解コンデンサ用導電性ペースト、固体電解コンデンサおよびその製造方法 Pending JP2022156883A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021060800A JP2022156883A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 固体電解コンデンサ用導電性ペースト、固体電解コンデンサおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021060800A JP2022156883A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 固体電解コンデンサ用導電性ペースト、固体電解コンデンサおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022156883A true JP2022156883A (ja) 2022-10-14

Family

ID=83559039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021060800A Pending JP2022156883A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 固体電解コンデンサ用導電性ペースト、固体電解コンデンサおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022156883A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5257796B2 (ja) 固体電解コンデンサ素子及びその製造方法
CN109478466B (zh) 电解电容器及其制造方法
JP4955000B2 (ja) 固体電解コンデンサ
JP5152882B1 (ja) 導電性高分子溶液、導電性高分子組成物、並びにそれを用いた固体電解コンデンサ及びその製造方法
WO1999065044A1 (fr) Element de condensateur en feuille et condensateur electrolytique solide stratifie
WO2018221096A1 (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JP6110964B2 (ja) 改善されたesr安定性を備えた固体電解コンデンサ
JP2001230156A (ja) 積層型固体電解コンデンサ
US20100149729A1 (en) Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing the same
US10325728B2 (en) Electrolytic capacitor and production method for same
WO2018123525A1 (ja) 電解コンデンサ
JP5020020B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
WO2022085747A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
JP2022156883A (ja) 固体電解コンデンサ用導電性ペースト、固体電解コンデンサおよびその製造方法
WO2021085350A1 (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JP2004087713A (ja) アルミニウム固体電解コンデンサ
WO2023119843A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
WO2024070142A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
JP2002025863A (ja) 固体電解コンデンサ素子及びその製造方法
WO2022158350A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
WO2023127251A1 (ja) 固体電解コンデンサ
WO2022181607A1 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
WO2023074172A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
JP2022131169A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
WO2024057931A1 (ja) 有機導電体用の添加剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240301