JP6391944B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
弁作用金属としてタンタル、ニオブなどを用いた固体電解コンデンサは、小型で静電容量が大きく、周波数特性に優れていることから、パーソナルコンピュータ等の電子機器に広く使用されている。
また、近年では電気製品や電子機器の高信頼性化や高性能化に伴い、固体電解コンデンサに関する漏れ電流の低減、低等価直列抵抗化などの要求が高まってきている。
コンデンサ素子と、陽極端子および陰極端子の一部とを外装樹脂で覆った従来の固体電解コンデンサとして、例えば、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1では、外装樹脂としてコンデンサ素子を被覆する樹脂外装と、樹脂外装の表面を覆う耐湿層とを設けた樹脂外装型電子部品が開示されている。樹脂外装の表面に耐湿層を設けて湿気の浸透を抑制することで、半田リフロー等の基板実装の際に加わる熱ストレスによって発生する樹脂外装のクラックを防止している。
実開平01−054320号公報
従来の構成では、耐湿層を含む外装樹脂で固体電解コンデンサを覆っていたとしても、高湿環境下で用いた場合、耐湿層の厚みが薄いため空気中の水分や酸素等が陽極端子および陰極端子と外装樹脂の界面より外装樹脂内部に入り込むおそれがある。その場合、マイグレーション不良等を発生させ、等価直列抵抗(ESR)等の特性が低下するという課題がある。
また、一般的に外装樹脂は所定形状の型にコンデンサ素子を入れた後、樹脂に圧力を加えて型の内部に流し込み、硬化することで得られる。外装樹脂の成形の際にかかるコンデンサ素子へのストレス増大を防止するため、コンデンサ素子を覆う外装樹脂に用いる材料選択には制限がある。さらに、コンデンサ素子を覆う外装樹脂に耐湿性や耐熱性の高い材料を用いると、射出成型が困難となる。これらの理由より、コンデンサ素子を覆う外装樹脂には、耐湿性や耐熱性の高い材料を用いることができない等の課題がある。
そこで本発明は、空気中の水分や酸素等の外装樹脂内部への浸透を抑制し、低ESRの固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の固体電解コンデンサは、陽極リードを導出した弁作用金属の多孔質体からなる陽極体の表面に陰極層を備えるコンデンサ素子と、前記陰極層と電気的に接続した陰極端子と、前記陽極リードと電気的に接続した陽極端子と、前記コンデンサ素子ならびに前記陽極端子の一部と前記陰極端子の一部を被覆する第1の外装樹脂と、前記陽極端子および前記陰極端子の前記第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部ならびに前記第1の外装樹脂の少なくとも一部を被覆する第2の外装樹脂を有し、前記第2の外装樹脂は、前記第1の外装樹脂よりも酸素透過度または水蒸気透過度の少なくとも一方が低いことを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサの前記コンデンサ素子は、実装面となる底面と、前記底面を含む平面と交差する側面とを有し、前記陽極端子および前記陰極端子は前記側面から突出しており、前記側面と対向する側面対向部を有していることが望ましい。
また、本発明の固体電解コンデンサの前記第2の外装樹脂は、前記側面対向部と、前記側面対向部に近接した前記側面の少なくとも一部とを被覆していることが望ましい。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、陽極リードを導出した弁作用金属の多孔質体からなる陽極体の表面に陰極層を形成してコンデンサ素子を作製する工程と、前記陽極リードと陽極端子、前記陰極層と陰極端子をそれぞれ接合する工程と、前記コンデンサ素子ならびに前記陽極端子の一部と前記陰極端子の一部を第1の外装樹脂で被覆する工程と、前記陽極端子および前記陰極端子の実装部を除き、前記陽極端子および前記陰極端子の前記第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部ならびに前記第1の外装樹脂の少なくとも一部に、酸素透過度または水蒸気透過度の少なくとも一方が前記第1の外装樹脂より低い第2の外装樹脂を塗布する工程を有することを特徴とする。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、陽極リードを導出した弁作用金属の多孔質体からなる陽極体の表面に陰極層を形成してコンデンサ素子を作製する工程と、前記陽極リードと陽極端子、前記陰極層と陰極端子をそれぞれ接合する工程と、前記コンデンサ素子ならびに前記陽極端子の一部と前記陰極端子の一部を第1の外装樹脂で被覆する工程と、前記陽極端子および前記陰極端子の実装部を除き、前記陽極端子および前記陰極端子の前記第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部ならびに前記第1の外装樹脂の少なくとも一部を、酸素透過度または水蒸気透過度の少なくとも一方が前記第1の外装樹脂より低いフィルムからなる第2の外装樹脂で覆い、熱圧着する工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、陽極端子および陰極端子の第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部および第1の外装樹脂の少なくとも一部を、酸素透過度または水蒸気透過度の少なくとも一方が第1の外装樹脂より低い第2の外装樹脂で被覆することによって、高温環境下や高湿環境下で用いた場合でも、空気中の水分や酸素等が外装樹脂内部に入り込むのを防止できる。
以上のことより、空気中の水分や酸素等の外装樹脂内部への浸透を抑制し、低ESRの固体電解コンデンサが得られる。
本発明の第1の実施形態による固体電解コンデンサを示す断面図である。 本発明の第2の実施形態による固体電解コンデンサを示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態による固体電解コンデンサを示す断面図である。本実施形態における固体電解コンデンサ100について、図1を用いて説明する。
本実施形態における固体電解コンデンサ100のコンデンサ素子10は、陽極体1と、陽極体1から導出した陽極リード2と、陰極層(図示せず)とを有する。ここで、陰極層とは陽極体1の表面に誘電体層、固体電解質層、導電層を順次形成して構成される。
陽極リード2に陽極端子3を接続し、陰極層に導電性接着剤9を介して陰極端子4を接続する。陽極端子3および陰極端子4を接続したコンデンサ素子10と陽極端子3の一部および陰極端子4の一部とを第1の外装樹脂5で被覆する。
さらに、陽極端子および陰極端子の第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部および第1の外装樹脂の少なくとも一部を第2の外装樹脂で被覆して、本実施形態における固体電解コンデンサ100を得る。
ここで、陽極端子および陰極端子の第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部および第1の外装樹脂の少なくとも一部とは、陽極端子および陰極端子が第1の外装樹脂より突出した、陽極端子および陰極端子と第1の外装樹脂との界面を少なくとも示している。つまり、第2の外装樹脂は、少なくとも陽極端子および陰極端子と第1の外装樹脂との界面に生じる隙間と、その近傍を覆っている。
また、第2の外装樹脂30は酸素透過度または水蒸気透過度の少なくとも一方が第1の外装樹脂5より低い樹脂を用いる。
例えば、空気中の酸素等の侵入を抑制し、所望する耐熱性を有した固体電解コンデンサを得る場合には、酸素透過度が低い、エチレン−ビニルアルコール共重合、ポリビニルアルコール、ポリプレピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。また、空気中の水分等の侵入を抑制し、所望する耐湿性を有した固体電解コンデンサを得る場合には、ポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂)等を用いることができる。
陽極体1は、弁作用を有する金属微粒子からなる焼結体や、エッチングによって拡面処理され多孔質層化した弁作用金属などによって形成する。弁作用金属は、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウム、またはこれらの合金などから適宜選定すれば良い。
本実施形態では、弁作用を有する金属粉に陽極リード2を部分的に埋設した後、加圧成形して成形体を得る。次に、成形体を焼結して、焼結体からなる陽極体1を得る。
このようにして得た陽極体1の表面を電解酸化させて、誘電体皮膜を形成した後、固体電解質層を形成する。更に、固体電解質層の上に導電層となるグラファイト層、銀ペースト層を順次形成して、コンデンサ素子10を得る。
陽極端子3および陰極端子4は、一般的に銅板等の母材にニッケルやスズをめっき形成して得られる。このようにして得た陽極端子3を、抵抗溶接等を用いて陽極リード2に電気的に接続する。また、陽極端子3と同様に得た陰極端子4を、コンデンサ素子10の陰極層に導電性接着剤9等を介して電気的に接続する。
次に、コンデンサ素子10全体と、陽極端子3の一部と陰極端子4の一部を被覆するように、所定形状の型を用いた射出成型を行って樹脂を硬化させ、第1の外装樹脂5を形成する。
陽極端子3および陰極端子4は第1の外装樹脂5の側面から突出した根元部分を基点として、回路基板に搭載する際の実装面に向かって折り曲げ、第1の外装樹脂5の側面と対向する側面対向部8を形成する。さらに、実装面となる第1の外装樹脂5の底面に沿って折り曲げ、回路基板に固定する実装部6を形成し、実装用の電極を形成する。
このように、陽極端子3および陰極端子4は、第1の外装樹脂5の側面と対向する側面対向部8と、固体電解コンデンサ100を回路基板に搭載する際に回路基板に固定する実装部6とを有している。
ここで、第1の外装樹脂5で被覆する際に、陽極端子3および陰極端子4は、すでに折り曲げ加工されているものを用いてもよい。
また、本実施形態では端子の形状をコの字状としているが、回路基板に固定する位置に合わせて適宜、実装部を形成すればよく、本実施形態には限らない。
その後、陽極端子3および陰極端子4の第1の外装樹脂5で被覆されていない部位の少なくとも一部および第1の外装樹脂5の少なくとも一部を覆うように、第1の外装樹脂5より酸素透過度または水蒸気透過度の少なくとも一方が低い樹脂からなるペーストを塗布し、熱処理を行うことで第2の外装樹脂30を形成する。
本実施形態において、陽極端子3および陰極端子4の第1の外装樹脂5で被覆されていない部位の少なくとも一部とは、陽極端子3および陰極端子4が第1の外装樹脂5から突出した根元部分から側面対向部8までを示している。また、第1の外装樹脂5の少なくとも一部とは、陽極端子3および陰極端子4が第1の外装樹脂5から突出した根元部分近傍の第1の外装樹脂を示している。これによって、陽極端子3および陰極端子4が第1の外装樹脂5から突出した根元部分とその近傍が第2の外装樹脂で被覆される。
このように、陽極端子3および陰極端子4の第1の外装樹脂5で被覆されていない部位の少なくとも一部および第1の外装樹脂5の少なくとも一部を第2の外装樹脂によって覆うことで、陽極端子3および陰極端子4が第1の外装樹脂5から突出した根元部分とその近傍を第2の外装樹脂で厚く覆う事が可能となる。よって、空気中の水分や酸素等が陽極端子および陰極端子と外装樹脂の界面より外装樹脂内部に入り込むのを防止できる。
また、第2の外装樹脂の表面側の、陽極端子および陰極端子と外装樹脂の界面に隙間が生じた場合においても、第2の外装樹脂で厚く覆う事によって空気中の水分や酸素等が第1の外装樹脂内部まで入り込むのを防止できる。よって、低ESRの固体電解コンデンサが得られる。
また、陽極端子および陰極端子が第1の外装樹脂から突出した根元部分から、陽極端子および陰極端子を回路基板に搭載する際の実装面に向かって折り曲げた部分までを、第2の外装樹脂で覆うことで、陽極端子および陰極端子を第2の外装樹脂で固定することができる。そのため、陽極端子が陽極リードから外れるのを防止し、陰極端子が陰極層から外れるのを防止できる。
第2の外装樹脂で覆う範囲が広ければ広いほど、陽極端子および陰極端子が第2の外装樹脂で覆われる距離が長くなる。そのため、空気中の水分や酸素等が外装樹脂内部へ入り込むのをより防止できる。つまり、陽極端子および陰極端子の第1の外装樹脂で被覆されていない部位および第1の外装樹脂を覆う範囲が広ければ広いほど、より耐湿性、耐熱性が向上し、低ESRの固体電解コンデンサが得られる。
また、第2の外装樹脂に用いる樹脂は、第1の外装樹脂のように射出成型やコンデンサ素子へのストレス増大等による制限がないため、酸素透過度または水蒸気透過度の低い樹脂を用いることが可能である。
酸素透過度または水蒸気透過度の低い樹脂を第2の外装樹脂に用いることで、陽極端子および陰極端子と外装樹脂との隙間から空気中の水分や酸素等の浸透をより抑制し、耐湿性、耐熱性が向上した低ESRの固体電解コンデンサが得られる。
また、第1の外装樹脂と第2の外装樹脂は、シリカなどの無機フィラーを含んでいても良い。
また、本実施形態では、陽極端子および陰極端子は第1の外装樹脂の側面から突出し、実装面である底面に向かって折り曲げられているが、本発明はこれに限らない。つまり、第1の外装樹脂の実装面である底面から突出した後、L字型に折り曲げられ、実装部を形成していてもよい。この場合、実装部が第2の外装樹脂で被覆されないように、陽極端子および陰極端子の第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部および第1の外装樹脂の少なくとも一部を被覆すればよい。
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態による固体電解コンデンサを示す断面図である。本実施形態における固体電解コンデンサ200について、図2を用いて説明する。なお、第2の外装樹脂40以外は第1の実施形態と同等のため、説明は省略する。
図2に示すように、本実施形態の陽極端子13および陰極端子14は、第1の外装樹脂5の側面から突出した根元部分を基点として、第1の外装樹脂5に沿うように折り曲げ、第1の外装樹脂5の側面と対向する側面対向部8を形成する。さらに、実装面となる第1の外装樹脂5の底面に沿って折り曲げ、回路基板に固定する実装部6を形成する。
陽極端子13および陰極端子14は、第1の外装樹脂5で被覆された後、折り曲げ加工してもよいし、すでに折り曲げ加工したものを用いて、第1の外装樹脂5で被覆してもよい。
その後、陽極端子13および陰極端子14の側面対向部8と、側面対向部8に近接した第1の外装樹脂5の側面の少なくとも一部を、第1の外装樹脂5より酸素透過度または水蒸気透過度の低い樹脂からなるフィルムで覆い、熱圧着を行うことで第2の外装樹脂40を形成する。
このように、第2の外装樹脂を形成することによって、空気中の水分や酸素等が外装樹脂内部へ入り込むのを防止でき、耐湿性、耐熱性が向上し、低ESRの固体電解コンデンサが得られる。
フィルムで覆われた陽極端子および陰極端子の範囲および第1の外装樹脂の側面の範囲が広ければ広いほど、空気中の水分や酸素等が外装樹脂内部へ入り込むのを防止でき、より耐湿性、耐熱性が向上する。
また、第1の外装樹脂の実装面となる底面を除き、第1の外装樹脂を第2の外装樹脂で被覆すると、第1の外装樹脂からの空気中の水分や酸素等の浸透を抑制できるため、より耐湿性、耐熱性が向上する。
このように、陽極端子および陰極端子の実装部を除き、第1の外装樹脂全体または底面を除いた全体を第2の外装樹脂で被覆する方法は、フィルムで被覆する方法の他に、第1の外装樹脂と同様に射出成型によって形成してもよい。
射出成型によって第2の外装樹脂を形成する場合、コンデンサ素子は第1の外装樹脂で被覆されているため、コンデンサ素子へのストレス増加を抑制できる。
また、射出成型や樹脂ペーストの塗布によって第2の外装樹脂を形成する場合は、陽極端子および陰極端子の側面対向部と第1の外装樹脂の側面との間に、容易に第2の外装樹脂が充填できるため、第2の外装樹脂の粘度は、1Pa・s以下が望ましい。
(実施例1)
実施例1について、第1の実施形態で用いた図1を参照して説明する。
陽極体1を構成する弁作用金属には、タンタル粉末を用いた。タンタルワイヤーからなる陽極リード2をタンタル粉末に埋設し、加圧成形した後、1250℃で焼結し、陽極体1を得た。
その後、陽極体1をリン酸水溶液中に浸して、陽極酸化処理を行い、陽極体1の表面に誘電体皮膜を形成した。次に、固体電解質としてポリチオフェンの化学重合を繰り返して、固体電解質層を形成した。さらに、固体電解質層の上にグラファイト層を形成し、グラファイト層の上に銀ペースト層を形成して、陰極層(図示せず)を備えるコンデンサ素子10を得た。
陽極端子3および陰極端子4は、厚さ50μmの銅フレームを母材として、その表面に1μmのニッケルめっき層を形成し、次に、2μmのすずめっき層を形成して得た。
得られた陽極端子3を、陽極リード2に抵抗溶接で溶着して電気的に接続した。同様に得られた陰極端子4を、銀フィラーとエポキシ樹脂からなる導電性接着剤9を用いて、コンデンサ素子10の陰極層と接着して、電気的に接続した。
次に、コンデンサ素子10と、陽極端子3および陰極端子4の一部をエポキシ樹脂で覆うように、所定形状の型を用いて射出成型を行う。その後、200℃で熱処理を行い、エポキシ樹脂を完全に硬化させて第1の外装樹脂5を形成した。
第1の外装樹脂5の側面から突出した陽極端子3および陰極端子4を、側面から突出した根元部分を基点として実装面となる底面に向かって折り曲げ、第1の外装樹脂5の側面と対向する側面対向部8を形成した。さらに、実装面となる第1の外装樹脂5の底面に沿って折り曲げて、回路基板に実装する際にはんだ付けする実装部6を形成した。つまり、陽極端子3および陰極端子4はコの字型に折り曲げ加工した。
次に、酸素透過度が第1の外装樹脂5より低い、ポリビニルアルコール樹脂ペーストを、シリンジにより10μm以上の厚みで塗布し、陽極端子3および陰極端子4が第1の外装樹脂5から突出した根元部分から側面対向部8までとその近傍の第1の外装樹脂5を覆った。その後、150℃で熱処理を行って硬化させて第2の外装樹脂30を形成した。
(実施例2)
実施例2について、第2の実施形態で用いた図2を参照して説明する。
実施例1と同様にコンデンサ素子10を作製した後、陽極端子13および陰極端子14を接続し、第1の外装樹脂5を形成した工程は実施例1と同様のため、説明は省略する。
第1の外装樹脂5の側面から突出した陽極端子13および陰極端子14を、側面から突出した根元部分を基点として第1の外装樹脂5の側面に沿うように折り曲げ、第1の外装樹脂5の側面と対向する側面対向部8を形成した。さらに、実装面となる第1の外装樹脂5の底面に沿って折り曲げて、回路基板に実装する際にはんだ付けする実装部6を形成した。
その後、陽極端子13および陰極端子14の側面対向部8と、側面対向部8に近接した第1の外装樹脂5の側面を、酸素透過度が第1の外装樹脂5より低い、厚さ10μmのポリエステルフィルムで覆い、180℃で熱圧着することにより第2の外装樹脂40を形成した。
(比較例1)
比較例1は、第2の外装樹脂を形成しない固体電解コンデンサを実施例1と同様の方法で作製した。
実施例1、2および比較例1の固体電解コンデンサを各々100個作製し、耐熱試験として、150℃の環境下で1000時間放置した場合での、放置前に対する等価直列抵抗(ESR)の増加率を表1に示す。
Figure 0006391944
また、実施例1〜3および比較例1の固体電解コンデンサを各々100個作製し、耐湿試験として、65℃で相対湿度(RH)95%の環境下で1000時間放置した場合での、放置前に対する等価直列抵抗(ESR)の増加率を表1に示す。
Figure 0006391944
表1および表2に示すように、実施例1、2は比較例1より、ESR増加率が抑制されており、低ESRの固体電解コンデンサが得られた事がわかる。本発明の構成により、第1の外装樹脂内部に空気中の水分や酸素等の浸透を抑制できているのが確認できた。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、上記に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の変更や修正が可能である。すなわち、当業者であれば成し得るであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれることは勿論である。
100、200 固体電解コンデンサ
1 陽極体
2 陽極リード
3、13 陽極端子
4、14 陰極端子
5 第1の外装樹脂
6 実装部
8 側面対向部
9 導電性接着剤
10 コンデンサ素子
30、40 第2の外装樹脂

Claims (3)

  1. 陽極リードを導出した弁作用金属の多孔質体からなる陽極体の表面に陰極層を備えるコンデンサ素子と、
    前記陰極層と電気的に接続した陰極端子と、
    前記陽極リードと電気的に接続した陽極端子と、
    前記コンデンサ素子ならびに前記陽極端子の一部と前記陰極端子の一部を被覆する第1の外装樹脂と、
    前記陽極端子および前記陰極端子の前記第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部ならびに前記第1の外装樹脂の少なくとも一部を被覆する第2の外装樹脂を有し、
    前記コンデンサ素子は、実装面となる底面と、前記底面を含む平面と交差する側面とを有し、
    前記陽極端子および前記陰極端子は前記側面から突出しており、前記側面と対向する側面対向部を有し、
    前記第2の外装樹脂は、前記側面対向部と、前記側面対向部に近接した前記側面の少なくとも一部とを被覆しており、前記第1の外装樹脂よりも酸素透過度または水蒸気透過度の少なくとも一方が低いことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 陽極リードを導出した弁作用金属の多孔質体からなる陽極体の表面に陰極層を形成してコンデンサ素子を作製する工程と、
    前記陽極リードと陽極端子、前記陰極層と陰極端子をそれぞれ接合する工程と、
    前記コンデンサ素子ならびに前記陽極端子の一部と前記陰極端子の一部を第1の外装樹脂で被覆する工程と、
    前記陽極端子および前記陰極端子の実装部を除き、前記陽極端子および前記陰極端子の前記第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部ならびに前記第1の外装樹脂の少なくとも一部に、酸素透過度または水蒸気透過度の少なくとも一方が前記第1の外装樹脂より低い第2の外装樹脂を塗布する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 陽極リードを導出した弁作用金属の多孔質体からなる陽極体の表面に陰極層を形成してコンデンサ素子を作製する工程と、
    前記陽極リードと陽極端子、前記陰極層と陰極端子をそれぞれ接合する工程と、
    前記コンデンサ素子ならびに前記陽極端子の一部と前記陰極端子の一部を第1の外装樹脂で被覆する工程と、
    前記陽極端子および前記陰極端子の実装部を除き、前記陽極端子および前記陰極端子の前記第1の外装樹脂で被覆されていない部位の少なくとも一部ならびに前記第1の外装樹脂の少なくとも一部を、酸素透過度または水蒸気透過度の少なくとも一方が前記第1の外装樹脂より低いフィルムからなる第2の外装樹脂で覆い、熱圧着する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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