JP2016121038A - 鉄−チタン系複合酸化物茶色顔料 - Google Patents

鉄−チタン系複合酸化物茶色顔料 Download PDF

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Abstract

【解決手段】本発明は、組成式xFe2O3−yAl2O3−zTiO2で表され且つ擬ブルッカイト型結晶構造を含む複合酸化物茶色顔料である。x、yおよびzは以下の関係を満たす:x+y+z=1、0.55≦x≦0.9、0≦y≦0.4、0.05≦z≦0.35。【効果】道路舗装材や、タイル、コンクリート、モルタルといった建材、塗料、プラスチック材或いは化粧料などの広範な用途に用いることができ、且つ、従来の茶色顔料が抱える、磁性を有する点や、プラスチック中における分散性に乏しい点などの問題を解消することができ、しかも有害元素を含まない新規な茶色系の複合酸化物顔料を提供することができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、酸化鉄、酸化アルミニウムおよび酸化チタンからなり、且つその結晶構造中に擬ブルッカイトを含むことを特徴とする複合酸化物茶色顔料に関するものである。
本発明による顔料は、クロム、アンチモン、亜鉛、或いは水酸化鉄を含まない配合からなり、分散性に優れ、低磁性であり、且つ高い安全性を有することが特徴であり、建材、塗料、プラスチック、或いは化粧料等の着色に幅広く使用することが可能である。
現在、茶色系の顔料としては、古くから使用されている赤味の茶の酸化鉄(べんがら、ピグメントレッド101)、黄味の茶のオキシ水酸化鉄(鉄黄、ピグメントイエロー42)に加え、ZnO−Fe系の黄味の茶(タン、ピグメントイエロー119)、およびZnO−Cr−Fe系の赤味の茶(ピグメントブラウン33)等が知られている。
これらの茶色系顔料は道路舗装材やタイル、コンクリート、モルタルといった建材、塗料、プラスチック、或いは化粧料の着色に広く用いられている。
無機顔料は構造が安定していることから、耐熱性、化学的耐久性、耐候性、更には安全性が総じて高いことが特徴であるが、特にエンジニアリングプラスチックスや耐熱塗料、屋外用塗料の分野においては、顔料などの着色剤に対して更なる要求特性の高まりを見せており、かかる従来の茶色系顔料は、それぞれ下記する問題点を有する。
ピグメントイエロー42は、耐熱性が悪く220℃以上に加熱されることで赤味に大きく変色してしまう。更にこれは特にプラスチック中における分散性に乏しく、着色加工時の生産性を低下させるだけでなく、成形物に望ましくない色ムラや着色ツブを生じる要因となる。
ピグメントイエロー119およびピグメントブラウン33はピグメントイエロー42よりも耐熱性は良いが、プラスチック中における分散性は、その他の無機顔料と比較して相対的に優れているとは言えない。
更にピグメントイエロー119およびピグメントブラウン33は酸化鉄を主成分とするスピネルフェライトであることから磁性を有する。
磁性は顔料などの着色剤には好ましくない特性である。磁性顔料を含む塗料は磁石に近接することで色成分が分離してしまう難点がある。またこれは金属探知機にも反応しえる為、この反応が金属探知機の本来目的とする反応と干渉してしまう等の問題も生じる。
加えてピグメントブラウン33は、その組成中にクロムを含んでいる。クロムは水に溶出した際には有害な六価クロムイオンに変化することから、近年はクロムを含む顔料の使用は制限されつつある。
一方、比表面積が2〜15m/gであり、組成AlFe2−xTiO・yTiO(xおよびyは所定範囲を示す)を有する複合酸化物は黄色顔料として公知である(特許文献1)。
本出願人は、先に、TiとFeに加えて、Alか若しくは、Mg、SrおよびZnのいずれかを特定比率で含んでなる擬ブルッカイト型複合酸化物を含むチタン−鉄系複合酸化物顔料について特許を取得した(特許文献2)。
この特許発明では、原料配合物に乾式粉砕処理を施してメカノケミカル反応を起こすに充分なエネルギーを付加することで、彩度に優れた黄色の複合酸化物顔料が得られる。
本発明は、上記特許発明の研究の延長上に有るものであって、Ti、FeおよびAlを特定比率で含んでなる擬ブルッカイト型複合酸化物を製造し、これが黄味から赤味を帯びた茶色に発色し、プラスチック中において分散性に優れ、且つ磁性が低く、良好な茶色系の複合酸化物顔料であることを見出し、完成するに至ったものである。
特開平8−73224公報 特許第5102926号公報
本発明は、道路舗装材や、タイル、コンクリート、モルタルといった建材、塗料、プラスチック材或いは化粧料などの広範な用途に用いることができ、且つ、従来の茶色顔料が抱える、磁性を有する点や、プラスチック中における分散性に乏しい点などの問題を解消することができ、しかも有害元素を含まない新規な複合酸化物茶色顔料、およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、下記組成式[I]で表され、且つ擬ブルッカイト型結晶構造を含む組成物を製造し、これがプラスチック中における分散性に優れ且つ磁性が低くしかも有害元素を含まない複合酸化物茶色顔料として有用であることを見出し、本発明を完成した。
xFe−yAl−zTiO ・・・・・・・[I]
式中のx、yおよびzは以下の関係を満たす:
x+y+z=1、
0.55≦x≦0.9、0≦y≦0.4、0.05≦z≦0.35
本発明はまた、鉄、アルミニウム、チタンの各源物質の粒子を所定比率で配合し、得られた粒子配合物に乾式粉砕処理を施してメカノケミカル反応を起こすに充分なエネルギーを与え、粒子同士を接合一体化させ、鉄、アルミニウム、チタンの各元素が共存する複合粒子を作成し、この複合粒子を700〜1200℃で焼成することで、上述した複合酸化物茶色顔料を製造する方法を提供する。
本発明により、道路舗装材や、タイル、コンクリート、モルタルといった建材、塗料、プラスチック材或いは化粧料などの広範な用途に用いることができ、且つ、従来の茶色顔料が抱える、磁性を有する点や、プラスチック中における分散性に乏しい点などの問題を解消することができ、しかも有害元素を含まない新規な茶色系の複合酸化物顔料を提供することができる。
本発明による複合酸化物茶色顔料は、以下の組成式[I]で表される組成域において得られたものである。
xFe−yAl−zTiO ・・・・・・・[I]
式中、x、yおよびzは以下の関係を満たす:
x+y+z=1、
0.55≦x≦0.9、0≦y≦0.4、0.05≦z≦0.35
x、yおよびzは好ましくは以下の関係を満たす:
x+y+z=1、
0.6≦x≦0.9、0≦y≦0.3、0.1≦z≦0.3
x、yおよびzの別の好ましい関係は以下の通りである:
x+y+z=1、
0.7≦x≦0.8、0≦y≦0.2、0.1≦z≦0.3
x、yおよびzのもう1つの好ましい関係は以下の通りである:
x+y+z=1、
0.6≦x≦0.8、0≦y≦0.1、0.1≦z≦0.3
xの値が小さすぎると、顔料は黄色系の発色を呈するか或いは極端に白味の茶色を呈し、茶色系の複合酸化物顔料としては好適に使用することは出来ない。
xの値が大きすぎると、顔料は実質的にピグメントレッド101、すなわち弁柄色と同様の色調を呈し、産業的な有用性が失われる。
後述の実施例に示す通り、本発明による茶色系複合酸化物顔料は従来のピグメントイエロー119やピグメントイエロー42、ピグメントブラウン33に近い色調を呈するものであり、且つプラスチック中における分散性に優れ、磁性が低い。
上記組成式[I]におけるx、yおよびzがそれぞれx=0.6,y=0.1,z=0.3である場合は、黄味を帯びた茶色であるZnO−Fe系のピグメントイエロー119に近似した色調の顔料が得られる。
上記組成式[I]におけるx、yおよびzがそれぞれx=0.7,y=0,z=0.3である場合は、赤味の茶色であるZnO−Cr−Fe系のピグメントブラウン33に近似した色調の顔料が得られる。
上記組成式[I]におけるx、yおよびzがそれぞれx=0.8,y=0.1,z=0.1である場合は、赤味の茶色であるZnO−Cr−Fe系のピグメントブラウン33に近似した色調の顔料が得られる。
つぎに、本発明による複合酸化物茶色顔料の製造方法について説明をする。
本発明による製造方法は、鉄、アルミニウム、チタンの各源物質の粒子を所定比率で配合し、得られた粒子配合物に乾式粉砕処理を施してメカノケミカル反応を起こすに充分なエネルギーを与え、粒子同士を接合一体化させ、鉄、アルミニウム、チタンの各元素が共存する複合粒子を作成し、この複合粒子を700〜1200℃で焼成することで、上述した本発明による複合酸化物茶色顔料を得ることを特徴とする複合酸化物茶色顔料の製造方法である。
本発明による製造方法では、出発原料(すなわち、複合酸化物顔料を構成する元素の源物質)の粒子を所定の割合で配合した後、この配合物を混合機により湿式または乾式で混合する従来の混合方法に代えて、高い粉砕効率を有する粉砕機を用いて原料粒子を乾式粉砕処理し、原料粒子の微細化と混合を進める。
その後さらに乾式粉砕処理を継続して粉砕に要するエネルギー以上の強力な摩砕、摩擦、圧縮、引っ張り、曲げ、衝突等の機械的エネルギーを原料粒子に与える。この一連の処理により、配合した諸元素が一定の割合で均一に共存する複合二次粒子が形成される。またこれと並行して各原料の結晶性が低下し、一部非晶質化が進行する。これがいわゆるメカノケミカル反応である。
このメカノケミカル反応を利用した原料粒子の乾式粉砕処理では、粒子サイズの変化が平衡状態に達するという特徴があるため出発原料の比重や粒度、嵩が変わっても、この乾式粉砕処理を一定時間以上行うことにより、常に安定した粒度と均一な組成の複合二次粒子を得ることができる。
このメカノケミカル反応による複合二次粒子を焼成することで、従来法の湿式混合や乾式混合により混合物を焼成しても得られない色調の組成物を得ることが出来る。
メカノケミカル反応自体は久保輝一郎著「無機物のメカノケミストリー」(総合技術出版刊、1987)にも記載されているように公知である。
本出願人は、既に、メカノケミカル反応を鉄−チタン系の複合酸化物の合成に適用することで、前記特許文献2の特許を取得した。
本発明は、上記特許発明の研究の延長上にあるものであって、鉄、アルミニウムおよびチタンを特定比率で含んでなる擬ブルッカイト型複合酸化物を製造し、これが黄味から赤味を帯びた茶色に発色し、プラスチック中において分散性に優れ、且つ磁性が低い、良好な茶色系の複合酸化物顔料であることを見出し、完成するに至ったものである。
(原料)
本発明の複合酸化物顔料の製造に用いる原料、すなわち同顔料を構成する各元素の源物質は、鉄、アルミニウムおよびチタンの例えば酸化物、水酸化物、炭酸塩、もしくは加熱により酸化物となる化合物であってよい。一般的には、チタン源としてアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、メタチタン酸(含水酸化チタン)などが、鉄源としては酸化鉄、黄色水酸化鉄、塩化鉄、硝酸鉄などが、アルミニウム源としては酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等が好ましい。
製造に用いる原料、すなわち同顔料を構成する各元素の源物質の比率は、上記組成式[I]で表される複合酸化物茶色顔料が得られるように、予め決められる。式[I]中のx、yおよびzの関係は上述したとおりである。
(各工程)
各元素の源物質を所定比率で配合し、この配合物に乾式粉砕処理を施す。この乾式粉砕処理に用いる粉砕機の例としては、回転ボールミル、チューブミル、振動ミル、遊星ミル、媒体撹拌式ミル、せん断摩砕式ミル、高速回転衝撃式ミルなどの高い粉砕効率を有する粉砕機が挙げられる。粉砕機は回分式でも連続式でもよい。工業的なスケールアップや操作のし易さおよび処理効率の点では、振動ミルや媒体撹拌式ミルが好ましい。粉砕媒体を使用する乾式粉砕機では、粉砕媒体としてボールやシリンダー、ロッドなどが使用できる。媒体の材質はアルミナやジルコニアなどのセラミックス、スチールや工具鋼などの金属であってよい。振動ミルや遊星ミル、媒体撹拌式ミルでは粉砕媒体としてボールを使用する。ボールの大きさは乾式粉砕処理により生成する複合二次粒子の大きさに影響し、一般的に直径は1〜30mmである。乾式粉砕処理の時間は使用する粉砕機によって、また原料投入量と粉砕媒体の量によっても変わるが、投入原料の粒度低下が見られなくなり、逆粉砕による粒子サイズの増大と粉砕による粒子サイズの低下が平衡状態に達して粒子サイズの変化が見られなくなるまで、乾式粉砕処理を続けることが好ましい。
乾式粉砕処理においては、粉砕媒体への原料粒子の付着を防ぎ、メカノケミカル反応を有効に引き起こすために、乾式粉砕処理条件下で液体の助剤を添加することができる。乾式粉砕処理の助剤としてはエタノール、プロパノールなどのアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール;ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン;ステアリン酸;低融点のワックスなどが使用できる。これら助剤の添加量は、助剤の種類と原料粒子の粒度や粉砕媒体の表面積によって変わるが、通常は原料投入量の0.05〜5重量%の範囲である。助剤の添加量が少なすぎると、原料粒子が粉砕機内壁や粉砕媒体に付着して、粉砕、混合が進行せず、複合二次粒子の生成も起こらない。助剤の添加量が多すぎると、粉砕と混合は進むが複合二次粒子が生成しなくなる。
つぎに、この複合二次粒子を焼成する。この焼成は通常の焼成炉を使用して大気雰囲気のもとに、好ましくは、700〜1200℃の温度で0.5〜10時間行う。焼成温度が700℃以下になると反応速度が遅くなり焼成時間がかかりすぎる。また焼成温度1200℃以上では生成物の焼結が激しく、焼成後の粒度調整が困難となる。より好ましい焼成条件は温度800〜1100℃で時間1〜6時間である。焼成雰囲気は特に限定されるものではなく、大気雰囲気でよい。
得られた焼成品は、一般的には粉砕によって粒度調整に付される。所望の粒度の顔料が得られれば粉砕方式に特に限定はなく、一般的な乾式粉砕、或いは湿式粉砕いずれの方法も適用できる。粉砕機の一例としては、乾式の場合はアトマイザーやジェットミル、湿式の場合はボールミル、振動ミル、或いは媒体攪拌型ミル等を挙げられる。湿式粉砕の場合は、粉砕後のスラリーを十分に乾燥して目的の製品を得る。
次に、本発明に対応する実施例および対応しない比較例を幾つか挙げる。
実施例1
酸化チタン30g、酸化鉄60g、水酸化アルミニウム10gを秤量し、粉砕容器に入れ、これに粉砕媒体を加え、粉砕機を用いて乾式粉砕処理をした。原料投入量は100gとし、粉砕助剤としてプロピレングリコールを原料粉体に対して1重量%添加した。粉砕媒体には直径15mmのアルミナボール300gを用いた。粉砕機には遠心式ボールミル(ラピッドミル)を用い、粉砕容器には内容積400mlの磁製ポットを使用した。常温下で15分間乾式粉砕処理を行った。その後、処理した粉体を粉砕機から取り出し、耐熱るつぼに入れて電気炉で900℃、3時間焼成した。得られた焼成品を20g、粉砕媒体としてガラスビーズを90g、水を40g、容量140ccの瓶に収容し、ペイントコンディショナーで焼成品を30分粉砕した。ガラスビーズを除去した後、粉砕品を約100℃で4時間程度乾燥し、複合酸化物茶色顔料を作成した。
実施例2
実施例1おいて、原料配合を、酸化チタン30g、酸化鉄70gにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、複合酸化物茶色顔料を作成した。
実施例3
実施例1おいて、原料配合を、酸化チタン10g、酸化鉄80g、水酸化アルミニウム10gにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、複合酸化物茶色顔料を作成した。
比較例1
酸化鉄60g、酸化亜鉛40gを秤量し、ヘンシェルミキサーを用いて十分に混合し均一に混ぜた。ついでこの混合品を1000℃で3時間焼成した。得られた焼成品を20g、粉砕媒体としてガラスビーズを90g、水を40g、容量140ccの瓶に収容し、ペイントコンディショナーで焼成品を30分粉砕した。ガラスビーズを除去した後、粉砕品を約100℃で4時間程度乾燥し、複合酸化物顔料(ピグメントイエロー119)を作成した。
比較例2
比較例1おいて、原料配合を、酸化クロム20g、酸化亜鉛40g、酸化鉄40gにした以外は、比較例1と同様の操作を行い、複合酸化物顔料(ピグメントブラウン33)を作成した。
比較例3
比較例1おいて、原料配合を酸化鉄70g、酸化亜鉛20g、酸化クロム10gにした以外は、比較例1と同様の操作を行い、複合酸化物顔料(ピグメントブラウン33)を作成した。
特性評価
(a)色調
アクリル樹脂100重量部に対して、実施例および比較例で得た複合酸化物顔料各10重量部を、70mlのガラス瓶に入れ、ガラスビーズ40gを加えてペイントコンディショナーにより分散させた。次いで得られた塗料を150μmのアプリケータを用いて白色紙上に展色した。乾燥後、塗膜を分光光度計にて測色した(標準光源D65、10°視野)。CIELAB表色系による測色結果を表1に示す。
Figure 2016121038
表1から、本発明に対応する実施例1〜3の複合酸化物茶色顔料は、従来の茶色系複合酸化物顔料(比較例1〜3)と同様の色調を呈することがわかる。
(b)磁性
実施例および比較例で得た顔料の磁性を試料振動式磁力計(東英工業株式会社製VSM−5−15)により測定した。すなわち、所定の重量に秤量した顔料を、樹脂性の容器に充填し、それに−20k(Oe)から+20k(Oe)までの磁場をかけ、磁化(emu/g)を測定した。得られた磁化曲線から飽和磁化を求めた。この測定結果を表2に示す。
Figure 2016121038
表2から、本発明に対応する実施例1〜3の複合酸化物茶色顔料の磁性は、従来の茶色系複合酸化物顔料(比較例1〜3)の磁性と比較して低いことが分かる。
(c)分散性
実施例および比較例で得た複合酸化物顔料の分散性を昇圧試験により評価した。昇圧試験には二軸押出機(株式会社テクノベル KZW15TW)を用いた。押出機の運転条件は、温度設定を260℃、スクリュ回転数を200rpmとした。評価には低密度ポリエチレン樹脂ペレット(MFI 1.3,LDPE)を用いた。ろ過フィルタには実行ろ過粒度20μmの焼結フィルタ(関西金網社製 Bekipor ST20AL3SS)を用いた。先端のダイスにろ過フィルタを取り付けた二軸押出機に樹脂を供給速度0.5kg/hで投入し、押出機内のろ過フィルタ手前の圧力を初期圧(Ps/MPa)とした。Psが安定した時点で、供給速度0.3kg/hにて顔料を10分間投入した。その後、さらに10分間樹脂のみを供給し、その時点における前述の圧力を最終圧(Pe/MPa)とした。顔料投入前後の圧力差をΔP=Pe−Psとし、フィルタの目詰まり程度を示す指標とした。目詰まりが少ないほど、すなわちΔPの値が小さいほど溶融樹脂中における複合酸化物顔料の分散性が優れていると判断した。各複合酸化物顔料のΔPを表3に示す。
Figure 2016121038
表3から、本発明に対応する実施例1〜3の複合酸化物茶色顔料は、従来の茶色系複合酸化物顔料(比較例1〜3)と比較して、分散性に優れていることが分かる。

Claims (6)

  1. 下記組成式[I]で表され、且つ擬ブルッカイト型結晶構造を含むことを特徴とする複合酸化物茶色顔料。
    xFe−yAl−zTiO ・・・・・・・[I]
    式中のx、yおよびzは以下の関係を満たす:
    x+y+z=1、
    0.55≦x≦0.9、0≦y≦0.4、0.05≦z≦0.35
  2. x、yおよびzが以下の関係を満たすことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物茶色顔料。
    x+y+z=1、
    0.6≦x≦0.9、0≦y≦0.3、0.1≦z≦0.3
  3. x,yおよびzがそれぞれx=0.6,y=0.1,z=0.3であり、且つ擬ブルッカイト型結晶構造を含むことを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載の複合酸化物茶色顔料。
  4. x,yおよびzがそれぞれx=0.7,y=0,z=0.3であり、且つ擬ブルッカイト型結晶構造を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の複合酸化物茶色顔料。
  5. x,yおよびzがそれぞれx=0.8,y=0.1,z=0.1であり、且つ擬ブルッカイト型結晶構造を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の複合酸化物茶色顔料。
  6. 鉄、アルミニウム、チタンの各源物質の粒子を所定比率で配合し、得られた粒子配合物に乾式粉砕処理を施してメカノケミカル反応を起こすに充分なエネルギーを与え、粒子同士を接合一体化させ、鉄、アルミニウム、チタンの各元素が共存する複合粒子を作成し、この複合粒子を700〜1200℃で焼成することで、請求項1〜5のいずれかに記載の複合酸化物茶色顔料を得ることを特徴とする複合酸化物茶色顔料の製造方法。
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Citations (4)

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