JP5102926B2 - チタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法 - Google Patents

チタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、プラスチック、セラミック、塗料等の着色に使用する黄色を呈するチタン−鉄系複合酸化物顔料、およびその製造方法に関する。
【0002】
背景技術
黄色を呈するチタン−鉄系の無機顔料としては、擬ブルッカイト型の複合酸化物顔料が知られている。
【0003】
米国特許4,036,662号明細書には、FeTiO・xTiO(x=0〜15)で表される擬ブルッカイト型および擬ブルッカイト型とルチル型の混合した顔料が開示されている。これによれば、FeTiOとTiOの混合割合を変えることにより色調の調整が可能であり、原料を水性懸濁液にして混合し、その混合物を脱水した後、600〜1100℃の温度で焼成することで平均粒径1μm以下の微細粒子が得られること、さらにカーボンブラックなどの還元剤を用いて焼成雰囲気を還元性にするとより黄色の顔料が得られることが述べられている。しかしながら、上記方法で得られた顔料は、高機能が要求されるプラスチックスや塗料の着色用としては、彩度、着色力および隠蔽性の点で満足できるレベルのものではない。
【0004】
鈴木福二は、アナターゼ型酸化チタンとα−酸化鉄(ヘマタイト)を混合し、この混合物を大気中で1100〜1200℃で焼成することにより擬ブルッカイト型のFeTiOを合成した(「色材」、57(12)652−659、1984)。しかしながら、この方法では800℃以上でFeTiOが生成し始めるが、反応を完結させるには反応物を1200℃まで加熱する必要があり、このような高温度で合成を行うために焼成コストが高くつき、また焼結が進んでいるため粉砕にも手間がかかるという欠点がある。その上、このようにして得られたFeTiOは、前述の米国特許のx=0の組成と同じであり、彩度、着色力および隠蔽性に劣る。
【0005】
特開平8−73224号公報には、AlFe2−xTiOTiO(0<x≦1、0≦y)で表される擬ブルッカイト型複合酸化物顔料の製造方法が開示されている。これによると、含水酸化チタンスラリーに鉄やアルミニウムの酸化物や水酸化物あるいは水溶性の塩を分散もしくは溶解させ、適当なpHのもとで共沈を起こさせ、この共沈物を水洗、濾過、乾燥し、800〜1100℃程度の温度で焼成することにより、黄味が強く、彩度の高い黄色の微細粒子複合酸化物顔料を得ている。しかしながら、この方法では出発原料が限定される上、設備や工程が複雑となり、製造コストが高くつく。
【0006】
このように、チタン−鉄系の擬ブルッカイト型複合酸化物顔料は、酸化チタンやメタチタン酸と、酸化鉄や水酸化鉄あるいは水溶性の鉄塩とを原料とし、所定の割合で配合した原料を湿式や乾式で混合し、あるいはチタンや鉄の水溶性の塩の水溶液を共沈させた沈殿物を洗浄し乾燥することにより得られる原料混合物を800〜1200℃の温度で、空気中あるいは還元雰囲気のもとで焼成して製造されている。焼成工程では、それぞれの原料粒子からTiとFeおよびOが相互に拡散し、これにより、反応が起こり擬ブルッカイト型の結晶が生成し成長していく。このような固相反応では安定した生成物、特に鉄を含む複合酸化物を工業的に製造するためには、使用する原料の安定性、原料混合状態の安定性、そして焼成の安定性が極めて重要である。
【0007】
原料については、特に酸化鉄あるいは水酸化鉄などの鉄化合物では、わずかな温度や雰囲気の変化により容易に酸化あるいは還元されて構造が変わるため、焼成時に常に安定した反応性を示すものを得ることが難しく、使用できる原料が限定される。また比重や粒度、嵩などの異なる原料を混合する場合は、混合時あるいは混合後に比重や粒度差による偏析などが起こり易く、均一な組成の原料混合物を得ることは困難である。
【0008】
また、原料粉体相互の物質移動が反応の律速となるため、低温では反応速度が遅くなり生産性が低く、目的物を工業的に量産するためには焼成を高温でしなければならない。さらに原料混合物中の酸化鉄や水酸化鉄は、わずかな温度や雰囲気の変化により容易に酸化あるいは還元されるため、焼成時の温度や雰囲気を厳密に制御しなければ、安定した発色の生成物を得ることはできない。
【0009】
このように、鉄を含む複合酸化物顔料を、均一な発色で安定して製造するためには、厳密に制御された高品質の原料を用いる上に、原料の混合状態を常に均一にし、温度、時間、雰囲気を厳密に制御して混合物を焼成する必要があることはよく知られており、これが設備や工程が複雑になり製造コストが高くなる原因となっている。
【0010】
本発明の課題は、上記の点に鑑み、プラスチックス、セラミックや塗料などの着色に汎用的に用いることのできる、従来よりも黄味が強く、発色の安定した、チタン−鉄系の擬ブルッカイト型複合酸化物を含む黄色顔料、およびその安価で効率的な製造方法を提供することである。
【0011】
発明の開示
本出願人は、先に、酸化チタンと、Co、Cr、Niのいずれかの酸化物と、Sb、Nb、Wのいずれかの酸化物とを配合し、この配合物を粉砕機を用いて乾式粉砕処理し、メカノケミカル反応を利用した複合粒子を作成し、これを焼成することによりルチル型の黄色の顔料を得る方法を提案した(特開平10−219134号公報参照)。これはTi−Sb−Cr、Ti−Sb−Ni、Ti−Nb−Co、Ti−W−Niなどのルチル型の複合酸化物顔料を製造するためのものである。
【0012】
本発明者らは、引き続いて黄色顔料の製造研究を重ね、チタン−鉄系の原料粒子に対してメカノケミカル反応を適用し、複合粒子を作成し焼成したところ、優れた特性の擬ブルッカイト型複合酸化物顔料が得られることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明による第1の複合酸化物顔料を製造する方法は、
Ti、Fe、AlおよびMの各源物質の粒子を所定比率で配合し、得られた粒子配合物に乾式粉砕処理を施してメカノケミカル反応を起こすに充分なエネルギーを与え、粒子同士を接合一体化させて、Ti、Fe、AlおよびMの各元素が共存する複合粒子を作成し、この複合粒子を700〜1200℃で焼成することによって、
組成式(I);(M 1−x ・Fe )O・2TiO または
組成式(II);(Fe 1−y ・Al ・TiO
(式中、Mは2価金属Mg、SrおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1つを意味し、Fe、AlおよびMのTiに対する比は、0≦Al/Ti≦2、および0≦M/Ti≦0.5、組成式(I)では0.3≦Fe/Ti≦0.5、組成式(II)では0.3≦Fe/Ti≦2、の範囲にある。xおよびyは0≦x<1および0≦y<1の範囲にある。)
で表される擬ブルッカイト型複合酸化物を含むチタン−鉄系複合酸化物顔料を製造することを特徴とするチタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法である。
【0014】
発明による第2の複合酸化物顔料を製造する方法は、
Ti、Fe、AlおよびMと、Li、B、SiおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素との各源物質の粒子を所定比率で配合し、得られた粒子配合物に乾式粉砕処理を施してメカノケミカル反応を起こすに充分なエネルギーを与え、粒子同士を接合一体化させて、Ti、Fe、AlおよびMの各元素と、Li、B、SiおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素とが共存す複合粒子を作成し、この複合粒子を700〜1200℃で焼成することによって、
組成式(I);(M 1−x ・Fe )O・2TiO または
組成式(II);(Fe 1−y ・Al ・TiO
(式中、Mは2価金属Mg、SrおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1つを意味し、Fe、AlおよびMのTiに対する比は、0≦Al/Ti≦2、および0≦M/Ti≦0.5、組成式(I)では0.3≦Fe/Ti≦0.5、組成式(II)では0.3≦Fe/Ti≦2、の範囲にある。xおよびyは0≦x<1および0≦y<1の範囲にある。)
で表わされる擬ブルッカイト型複合酸化物を含み、かつ、Li、B、SiおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素が添加されてなるチタン−鉄系複合酸化物顔料を製造することを特徴とするチタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法である。
第2の複合酸化物顔料は樹脂と加熱下に混合されても、変色を生ぜず、耐熱性に優れている。
【0015】
第1および第2の複合酸化物顔料を製造する方法(以下、本発明方法という場合もある)では、出発原料(すなわち、第1および第2の複合酸化物顔料を構成する元素の源物質)の粒子を所定の割合で配合した後、この配合物を混合機を用いて湿式または乾式で混合する従来の混合方法に代えて、高い粉砕効率を有する粉砕機を用いて原料粒子を乾式粉砕処理し、原料粒子の微細化と混合を進める。この後さらに乾式粉砕処理を継続して粉砕に要するエネルギー以上の強力な摩砕、摩擦、圧縮、引っ張り、曲げ、衝突等の機械的エネルギーを原料粒子に与えると、粉砕され均一に混ざり合った原料粒子同士が接合し、粒子サイズが大きくなる「逆粉砕」と呼ばれる現象が生じる。これにより配合した諸元素が一定の割合で均一に共存する複合二次粒子が形成される。またこれと並行して各原料の結晶性が低下し、一部非晶質化が進行する。これがいわゆるメカノケミカル反応である。
【0016】
このメカノケミカル反応を利用した原料粒子の乾式粉砕処理では、処理時間を長くすると、逆粉砕による粒子サイズの増大と、粉砕による粒子サイズの低下が同時に進行するため、粒子サイズの変化が平衡状態に達するという特徴がある。このため出発原料の比重や粒度、嵩が変わっても、この乾式粉砕処理を一定時間以上行うことにより、常に安定した粒度と均一な組成の複合二次粒子を得ることができる。
【0017】
このメカノケミカル反応による複合二次粒子は単なる混合物ではなく、配合されたすべての元素が粒子内に一定の割合で均一かつ緻密に共存しているため極めて反応性が高く、低温短時間で焼成可能であり、従来法の湿式混合や乾式混合により混合物を焼成したものに比べて著しく彩度が高く、着色力の優れた顔料が得られる。
【0018】
本発明方法は、従来の原料混合工程に代えて、粉砕機を用いた乾式粉砕処理を行うだけで上記課題の達成が可能になるため、共沈法のように複雑な製造工程を必要としない。さらに、従来よりも低温、短時間で焼成でき、焼成後の粉砕も容易なためコスト的にも有利になる。また従来の原料混合方法では、比重や粒度の異なる原料を用いて均一な組成の原料混合物を得ることは困難であったが、本発明方法の乾式粉砕処理では粒度や比重の異なる原料を用いても常に均一な組成の複合二次粒子を形成することができ、出発原料が限定されることもない。
【0019】
メカノケミカル反応自体は久保輝一郎著「無機物のメカノケミストリー」(総合技術出版刊、1987)にも記載されているように公知であり、粒子の表面改質、高温超伝導物質の合成等に適応することが明らかにされているが、擬ブルッカイト型複合酸化物顔料の製造に応用した例はない。
【0020】
第1の複合酸化物顔料の製造に用いる原料、すなわち同顔料を構成する各元素の源物質は、Ti、Fe、AlおよびM(2価金属Mg、SrおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1つ)の例えば酸化物、水酸化物または炭酸塩、もしくは加熱により酸化物となる化合物であってよい。一般的にはTi源としてアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、メタチタン酸(含水酸化チタン)などが、Fe源としては酸化鉄、黄色水酸化鉄、塩化鉄、硝酸鉄などが、Al源としては酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウムなどが好ましい。またMg源、Sr源およびZn源にはこれらの金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硝酸塩などが好ましい。
【0021】
第2の複合酸化物顔料の製造に用いる原料、すなわち同顔料を構成する各元素の源物質のうち、Ti、Fe、AlおよびMの源物質は第1の複合酸化物顔料の製造に用いるものと同じである。Li、B、SiおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の各源物質は、該金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硝酸塩などであってよい。
【0022】
上記原料の乾式粉砕処理による複合二次粒子は、原料の比重や粒度や嵩の影響を受けにくいため、いずれの原料でも広範囲の粒度や嵩の原料が使用可能であり、一般的に入手可能な安価な汎用品で十分である。価格や供給量の点から好ましい原料は、表面処理をしていないアナターゼ型またはルチル型の酸化チタンまたはメタチタン酸、酸化第1鉄、酸化第2鉄、黄色水酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酸化亜鉛、炭酸リチウム、硼酸、酸化珪素、炭酸カルシウムなどである。
【0023】
第1および第2の複合酸化物顔料の製造において、Ti、Fe、AlおよびMの源物質の配合割合は、
組成式(I);(M1−x・Fe)O・2TiO(式中、0≦x<1)または
組成式(I;(Fe1−y・Al・TiO(式中、0≦y<1)
における、Fe、AlおよびM(2価金属Mg、SrおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1つ)のTiに対する比が、0≦Al/Ti≦2、および0≦M/Ti≦0.5、組成式(I)では0.3≦Fe/Ti≦0.5、組成式(II)では0.3≦Fe/Ti≦2、の範囲に入るように、決められる。
【0024】
TiとFeは必須成分である。Fe/Ti<0.3では発色成分のFeの含有量が少なすぎて発色が十分でない。
Alの添加は色調の調整に有効である
Mg、Sr、Znは発色元素ではないが、これを添加することにより発色の濃度や色調を調整することができる
第2の複合酸化物顔料の製造において、Li、B、SiおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の各源物質の配合割合は、好ましくは下記のように決められる。
【0025】
Liの源物質の配合割合は、Liが、擬ブルッカイト型複合酸化物(N)に対して0.07≦LiO/N≦0.75(重量比)の範囲に入り、かつFeに対して0.015≦Li/Fe≦0.074の関係を満たすように、決められる。0.07<LiO(重量比)では耐熱性改善効果が小さく、LiO>0.75(重量比)では逆に耐熱性が悪くなる。より好ましい範囲は0.07≦LiO≦0.17(重量比)かつ0.015≦Li/Fe≦0.03である。
【0026】
Bの源物質の配合割合は、Bが、擬ブルッカイト型複合酸化物(N)に対して0.2≦B/N≦1.20(重量比)の範囲で、かつFeに対して0.015≦B/Fe≦0.05の関係を満たすように、決められる。0.2<B(重量比)では耐熱性改善効果が小さく、B>1.20(重量比)では焼成時に粒子の焼結が進んで粉砕しにくくなり、また発色は暗い色調の茶色となる。より好ましい範囲は0.2≦B≦0.43(重量比)かつ0.015≦B/Fe≦0.03である。
【0027】
Siの源物質の配合割合は、Siが、擬ブルッカイト型複合酸化物(N)に対して0.59≦SiO/N≦4.90(重量比)の範囲で、かつFeに対して0.024≦Si/Fe≦0.125の関係を満たすように、決められる。0.59<SiO(重量比)では耐熱性改善効果が小さく、SiO>4.9(重量比)では焼成時に粒子の焼結が進んで粉砕しにくくなり、また色調がくらい茶色の発色となる。より好ましい範囲は0.59≦SiO≦1.8(重量比)かつ0.024≦Si/Fe≦0.03である。
【0028】
Caの源物質の配合割合は、Caが、擬ブルッカイト型複合酸化物(N)に対して0.55≦CaO/N≦4.50(重量比)の範囲で、かつFeに対して0.026≦Ca/Fe≦0.13の関係を満たすように、決められる。0.55<CaO(重量比)では耐熱性改善効果が小さく、CaO>4.5(重量比)では焼成時に粒子の焼結が進んで粉砕しにくくなり、また色調がくらい茶色の発色となる。より好ましい範囲は0.55≦CaO≦1.71(重量比)かつ0.026≦Ca/Fe≦0.078である。
【0029】
次に、本発明によるチタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法について、具体的に説明をする。
【0030】
第1および第2の複合酸化物顔料の各元素の源物質の配合物に乾式粉砕処理を行う。この乾式粉砕処理に用いる粉砕機の例としては、回転ボールミル、チューブミル、振動ミル、遊星ミル、媒体撹拌式ミル、せん断摩砕式ミル、高速回転衝撃式ミルなどの高い粉砕効率を有する粉砕機が挙げられる。粉砕機は回分式でも連続式でもよい。工業的なスケールアップや操作のし易さおよび処理効率の点では、振動ミルや媒体撹拌式ミルが好ましい。粉砕媒体を使用する乾式粉砕機では、粉砕媒体としてボールやシリンダー、ロッドなどが使用できる。媒体の材質はアルミナやジルコニアなどのセラミックス、スチールや工具鋼などの金属であってよい。振動ミルや遊星ミル、媒体撹拌式ミルでは粉砕媒体としてボールを使用する。ボールの大きさは乾式粉砕処理により生成する複合二次粒子の大きさに影響し、一般的に直径は1〜30mmである。乾式粉砕処理の時間は使用する粉砕機によって、また原料投入量と粉砕媒体の量によっても変わるが、投入原料の粒度低下が見られなくなり、逆粉砕による粒子サイズの増大と粉砕による粒子サイズの低下が平衡状態に達して粒子サイズの変化が見られなくなるまで、乾式粉砕処理を続けることが好ましい。
【0031】
乾式粉砕処理においては、粉砕媒体への原料粒子の付着を防ぎ、メカノケミカル反応を有効に引き起こすために、乾式粉砕処理条件下で液体の助剤を添加することができる。乾式粉砕処理の助剤としてはエタノール、プロパノールなどのアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール;ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン;ステアリン酸;低融点のワックスなどが使用できる。これら助剤の添加量は、助剤の種類と原料粒子の粒度や粉砕媒体の表面積によって変わるが、通常は原料投入量の0.05〜5重量%の範囲である。助剤の添加量が少なすぎると、原料粒子が粉砕機内壁や粉砕媒体に付着して、粉砕、混合が進行せず、複合二次粒子の生成も起こらない。助剤の添加量が多すぎると、粉砕と混合は進むが複合二次粒子が生成しなくなる。
【0032】
つぎに、この複合二次粒子を焼成する。この焼成は通常の焼成炉を使用して大気雰囲気のもとに、700〜1200℃の温度で0.5〜10時間行う。焼成温度が700℃以下になると反応速度が遅くなり焼成時間がかかりすぎる。また焼成温度1200℃以上では生成物の焼結が激しく、焼成後の粒度調整が困難となる。好ましい焼成条件は温度800〜1100℃で時間1〜6時間である。焼成雰囲気は特に限定されるものではなく、大気雰囲気でよい。
【0033】
擬ブルッカイト型複合酸化物顔料の出発原料粒子に乾式粉砕処理を施す第1の複合酸化物顔料を得る方法では、原料粒子の非晶質化により焼成時における固相反応を生起するのに必要な活性化エネルギーは減少し、さらに粒子同士は強固に接合して反応開始点となる粒子接点が著しく増し、さらに配合された全元素が粒子内に一定の割合で均一かつ緻密に共存しているため極めて反応性が高く、固相反応速度は著しく増加する。したがって、出発原料粒子の乾式粉砕処理により、従来法よりも低温かつ短時間の焼成により、彩度が高く着色力の優れた黄味の強い擬ブルッカイト型複合酸化物を含む顔料を安定して製造することができる。
【0034】
さらにLi、B、Siおよび/またはCaを添加してなる第2の複合酸化物顔料は、樹脂と加熱下に混合されても、変色を生ぜず、耐熱生に優れている。
【0035】
こうして、本発明によると、プラスチックス、セラミックや塗料などの着色に用いることのできる、彩度が高く着色力の優れた黄味の強いチタン−鉄系の擬ブルッカイト型複合酸化物を含む黄色顔料を容易に製造することができる。
【0036】
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施例を示す。
【0037】
原料(各元素の源物質)としては、Ti源にはアナターゼ型酸化チタン(TiO含有量99%、平均粒子径0.9μm)および乾燥メタチタン酸(TiO含有量83%、平均粒子径0.4μm)、Fe源には酸化第二鉄(Fe含有量99%、平均粒子径1.2μm)および酸化第一鉄(Fe(OH)含有量99%、平均粒子径0.3μm)、Al源には水酸化アルミニウム微粉(Al(OH)含有量98%、平均粒子径1.1μm)および水酸化アルミニウム粗粉(Al(OH)含有量98%、平均粒子径8μm)、Mg源には炭酸マグネシウム(MgCO含有量99%、平均粒子径0.5μm)、Sr源には炭酸ストロンチウム(SrCO含有量98%、平均粒子径0.7μm)、Zn源には酸化亜鉛(ZnO含有量99%、平均粒子径0.5μm)、Li源には炭酸リチウム(LiCO含有量99%)、B源には硼酸(HBO含有量99%)、Si源には酸化珪素(SiO含有量99%、平均粒径1.0μm)、Ca源には炭酸カリシウム(CaCO含有量98%、平均粒径1.8μm)をそれぞれ使用した。
【0038】
なお、実施例1〜3は第1の複合酸化物顔料の組成および組成範囲による影響、実施例4は第1の複合酸化物顔料の焼成温度と原料の種類と粒度による影響、実施例5は第1の複合酸化物顔料の焼成時間による影響、実施例6は第1の複合酸化物顔料の粉砕機の種類による影響、実施例7〜13は第2の複合酸化物顔料の耐熱性に関するものである。
【0039】
実施例の配合物のうち、配合物3、4、10および16は参考例である。
実施例1
表1に示す割合で原料粒子を配合し配合物1〜4を得た。各配合物を粉砕容器に入れ、これに粉砕媒体を加え、粉砕機を用いて乾式粉砕処理した。原料投入量は500gとし、粉砕媒体は直径15mmのアルミナボール2000gとし、使用した粉砕機は中央化工機社製の振動ミル(MB−1型)、粉砕容器は内容積2000mlの磁製ポットであった。常温下で30分間乾式粉砕処理を行った。
【0040】
その後、処理した粒子を粉砕機から取出し、るつぼに入れて900℃の電気炉で4時間焼成した。得られた焼成物を湿式ボールミルを用いて、平均粒子径が0.7±0.02μmとなるまで粉砕し、粉砕物を乾燥して、顔料A1〜A4を得た。
【0041】
【表1】
Figure 0005102926
塗膜の色調測定
各顔料4gとアクリルラッカー40gを70mlのガラスビンに入れ、ガラスビーズ40gを加えてペイントシェーカー(レッドデヴィル社製)を用いて15分間振とうして塗料を得た。この塗料をアプリケーターにて150μmの厚みでアート紙上に塗布し、乾燥後、色調を分光測色計を用いて測色した。測色結果をCIELAB表色系を用いて表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0005102926
実施例1の顔料A1〜A4のb*値はいずれも47以上であり、強い黄味の発色が得られた。
【0043】
比較例1
表1に示す配合物1〜4を湿式で粉砕混合した以外、実施例1と同じ操作で顔料B1〜B4を得た。すなわち、実施例1と同じ振動ミル、粉砕容器、粉砕媒体および原料投入量を用い、配合物に水500mlを加えて湿式で30分間粉砕混合を行った後、110℃の乾燥炉で乾燥して原料混合粒子を得た。これを実施例1と同様の方法で焼成、粉砕して、顔料B1〜B4得た。
【0044】
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0005102926
比較例1の顔料B1〜B4は実施例1の顔料A1〜A4に比べ、相対的にL*値が小さく、暗い。またa*値は大きくて赤みが強く、b*値は小さくて黄色みが弱い。
【0046】
実施例2
表4に示す割合で原料粒子を配合し配合物5と6を得た。各配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、焼成、粉砕して顔料A5とA6を得た。
【0047】
【表4】
Figure 0005102926
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表5に示す。
【0048】
【表5】
Figure 0005102926
実施例2ではZnを導入したが、b*値は53と黄みの強い発色が得られた。Srを導入するとL*値と黄みが低下するが、色調の調整に効果がある。
【0049】
比較例2
表4に示す配合物5と6を湿式で粉砕混合した以外、実施例2と同じ操作で、顔料B5とB6を得た。
【0050】
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表6に示す。
【0051】
【表6】
Figure 0005102926
比較例2の顔料B5とB6は実施例2の顔料A5とA6に比べ、相対的にL*値が小さく、暗い。またa*値は大きくて赤みが強く、b*値は小さくて黄色みが弱い。
【0052】
実施例3
表7に示す割合で原料粒子を配合し配合物7〜11を得た。各配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、焼成、粉砕して、顔料A7〜A11を得た。
【0053】
【表7】
Figure 0005102926
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表8に示す。
【0054】
【表8】
Figure 0005102926
比較例3
表7に示す配合物7〜11を湿式で粉砕混合した以外、実施例3と同じ操作で、顔料B7〜B11得た。
【0055】
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表9に示す。
【0056】
【表9】
Figure 0005102926
比較例3の顔料B7〜B11は実施例3の顔料A7〜A11に比べ、相対的にL*値が小さく、暗い。またa*値は大きくて赤みが強く、b*値は小さくて黄色みが弱い。
【0057】
実施例4
表10に示す割合で原料粒子を配合し配合物12を得た。この配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、得られた粉砕物を4分し、各部分を800、900、1000、1100℃の温度でそれぞれ4時間焼成した後、粉砕して、顔料A12〜A15を得た。
【0058】
【表10】
Figure 0005102926
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表11に示す。
【0059】
【表11】
Figure 0005102926
実施例4の顔料A12〜A15については、焼成温度800〜1100℃ですべてb*値は50以上であり、黄色の発色をしている。また800℃で焼成したもの(A12)を基準に900〜1100℃で焼成したものの色差(ΔE*)を見てみると、ΔE*<4と広い温度範囲で安定した発色の顔料が得られた。
【0060】
また、実施例4の顔料A12とFe/TiおよびM/Tiが同じである実施例3の顔料A8と比べると、同じ温度(900℃)で焼成した場合は、原料の種類や粒度が変わってもΔE*が約2とほぼ同等の発色が得られた。
【0061】
比較例4
表10に示す配合物12を湿式で粉砕混合した以外、実施例4と同じ操作で、顔料B12〜B15得た。
【0062】
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表12に示す。
【0063】
【表12】
Figure 0005102926
比較例4の顔料B12〜B15については、焼成温度800〜1100℃の範囲すべてにおいてa*値は20以上、b*値は40以下と赤褐色の発色となった。また800℃で焼成したもの(B12)を基準に900〜1100℃で焼成したものの色差(ΔE*)をみると、ΔE*が1000℃で7.7、1100℃では19となり、焼成温度が変化すると発色は大きく変化し、焼成温度に対する安定性は見られない。
【0064】
また、比較例4の顔料B12とFe/TiおよびM/Tiが同じである比較例3の顔料B8と比べるといずれの焼成温度でもΔE*は10以上で全く異なる発色をしており、原料の種類や粒度が変わると大きく発色が異なる結果となった。
【0065】
実施例5
表13に示す割合で原料粒子を配合し配合物16を得た。この配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、得られた粉砕物を4分し、各部分を900℃でそれぞれ2、4、8、12時間焼成した後、粉砕して、顔料A16〜19を得た。
【0066】
【表13】
Figure 0005102926
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表14に示す。
【0067】
【表14】
Figure 0005102926
実施例5の顔料A16〜A19については、焼成時間が2〜12時間の範囲ですべてa*値は20前後で赤みが弱く、b*値は50以上であり黄みの強い発色が得られた。
【0068】
比較例5
表13に示す配合物16を湿式で粉砕混合した以外、実施例5と同じ操作で、顔料B16〜B19得た。
【0069】
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表15に示す。
【0070】
【表15】
Figure 0005102926
比較例5の顔料B16〜B19については、焼成時間が2〜12時間の範囲ですべてa*値は30前後で赤みが強く、b*値は40以下と黄みの弱い発色となった。
【0071】
実施例6
実施例1の表1の配合物2を粉砕容器に入れ、これに粉砕媒体を加え、粉砕機を用いて乾式粉砕処理した。使用した粉砕機は媒体撹拌ミル(三井鉱山製の竪型アトライタMA−1D)、粉砕容器は内容積5000mlのステンレス製容器であった。原料投入量は200gとし、助剤としてプロピレングリコールを0.2ml投入した。粉砕媒体は直径10mmの鋼球7500gとした。
【0072】
乾式粉砕処理を常温で30分および60分間行った後、粉砕物を実施例1と同様の方法で焼成、粉砕し、顔料A20とA21を得た。
【0073】
これらの顔料について、実施例1と同様の方法で塗膜の色調測定を行った。測色結果をCIELAB表色系を用いて表16に示す。
【0074】
【表16】
Figure 0005102926
実施例6の顔料A20とA21は、実施例1とは異なる形式の粉砕機を使用し、乾式粉砕処理の時間も変えて得たものであるが、実施例1の顔料A2とほぼ同等の発色が得られた。
【0075】
実施例7
表17に示す割合で原料粒子を配合し配合物17〜24を得た。各配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、焼成、粉砕して顔料C17〜C24を得た。
【0076】
【表17】
Figure 0005102926
耐熱試験
各顔料5gとステアリン酸亜鉛1gを乳鉢で均一に混合し、得られた混合物2.4gと60℃で乾燥したポリプロピレン樹脂(グランドポリマー社製JHH−G)400gとをプラスチック容器に入れ、ペイントシェーカー(レッドデヴィル社製)を用いて5分間振とうして着色ペレットを作成した。
【0077】
ついでこの着色ペレットを射出成型機を用いて成形温度210℃および280℃で成形し、着色プレートを作成した(射出成型機内で材料の滞留無)。また、280℃で射出成型機内で材料を10分間滞留させた後に成形してプレート(滞留有)を作成した。各着色プレートの色を分光測色計を用いて測色し、成形温度210℃で成形したプレートのCIELab表色系色調に対する、成形温度280℃で滞留無または滞留有で成形した各プレートのCIELab表色系色調の色差を求め、得られた結果より耐熱性を評価した。求めた色差を表18に示す。
【0078】
比較例6
表17に示す配合物17から炭酸リチウムを除いた配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、焼成、粉砕して顔料D1を得た。
【0079】
この顔料について、実施例7と同様の方法で色差を求め、得られた結果より耐熱性を評価した。求めた色差を表18に示す。
【0080】
【表18】
Figure 0005102926
顔料C17〜C23は成形温度280℃で滞留無および滞留有共に顔料D1より耐熱性に優れている。C24のようにLi/Feが0.074を越えると耐熱性が低下する。耐熱性の向上に好ましいLiの範囲は0.015≦Li/Fe≦0.074である。
【0081】
実施例8
表19に示す割合で原料粒子を配合し配合物25〜31を得た。各配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、焼成、粉砕して顔料C25〜C31を得た。
【0082】
【表19】
Figure 0005102926
これらの顔料について、実施例7と同様の方法で色差を求め、得られた結果より耐熱性を評価した。求めた色差を表20に示す。
【0083】
【表20】
Figure 0005102926
顔料C25〜C31は成形温度280℃で滞留無および滞留有共に顔料D1より耐熱性に優れている。耐熱性の向上に好ましい範囲は0.015≦B/Fe≦0.05である。
【0084】
実施例9
表21に示す割合で原料粒子を配合し配合物32〜38を得た。各配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、焼成、粉砕して顔料C32〜C38を得た。
【0085】
【表21】
Figure 0005102926
これらの顔料について、実施例7と同様の方法で色差を求め、得られた結果より耐熱性を評価した。求めた色差を表22に示す。
【0086】
【表22】
Figure 0005102926
顔料C32〜C38は成形温度280℃で滞留無および滞留有共に顔料D1より耐熱性に優れている。耐熱性の向上に好ましい範囲は0.024≦Si/Fe≦0.125である。
【0087】
実施例10
表23に示す割合で原料粒子を配合し配合物39〜45を得た。各配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、焼成、粉砕して顔料C39〜C45を得た。
【0088】
【表23】
Figure 0005102926
これらの顔料について、実施例7と同様の方法で色差を求め、得られた結果より耐熱性を評価した。求めた色差を表24に示す。
【0089】
【表24】
Figure 0005102926
顔料C39〜C45は成形温度280℃で滞留無および滞留有共に顔料D1より耐熱性に優れている。耐熱性の向上に好ましい範囲は0.026≦Ca/Fe≦0.13である。
【0090】
実施例11
表25に示す割合で原料粒子を配合し配合物46〜48を得た。各配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、焼成、粉砕して顔料C46〜C48を得た。
【0091】
【表25】
Figure 0005102926
これらの顔料について、実施例7と同様の方法で色差を求め、得られた結果より耐熱性を評価した。求めた色差を表26に示す。
【0092】
【表26】
Figure 0005102926
顔料C46〜C48は成形温度280℃で滞留無および滞留有共に顔料D1より耐熱性に優れている。Li、B、SiおよびCaのいずれかを組み合わせて使用しても耐熱性は向上する。
【0093】
実施例12
表27に示す割合で原料粒子を配合し配合物49〜52を得た。各配合物を実施例1と同様の方法で乾式粉砕処理し、焼成、粉砕して顔料C49〜C52を得た。
【0094】
【表27】
Figure 0005102926
これらの顔料について、実施例7と同様の方法で色差を求め、得られた結果より耐熱性を評価した。求めた色差を表28に示す。
【0095】
【表28】
Figure 0005102926
顔料C49〜C52は成形温度280℃で滞留無および滞留有共に顔料D1より耐熱性に優れている。Mgのような2価の金属を含む組成においてもこれにLi、B、SiあるいはCaと組み合わせて使用することにより耐熱性は向上する。
【0096】
実施例13
実施例23の表23の配合物43を、実施例6で用いた媒体撹拌ミル(三井鉱山製の竪型アトライタMA−1D)で、実施例6と同様にして常温下で30分間乾式粉砕処理した。
【0097】
その後、得られた粉砕物を実施例1と同様の方法で焼成、粉砕して顔料C53を得た。
【0098】
この顔料について、実施例7と同様の方法で色差を求め、得られた結果より耐熱性を評価した。求めた色差を表29に示す。
【0099】
【表29】
Figure 0005102926
顔料C53は、実施例23とは異なる形式の粉砕機で、異なる乾式混合処理時間で得られたものであるが、実施例23の顔料C43とほぼ同等の耐熱性が得られた。
【0100】
産業上の利用可能性
本発明は、プラスチックス、セラミックや塗料などの着色に用いることのできる、彩度が高く着色力の優れた黄味の強いチタン−鉄系の擬ブルッカイト型複合酸化物を含む黄色顔料を製造するものである。

Claims (6)

  1. Ti、Fe、AlおよびMの各源物質の粒子を所定比率で配合し、得られた粒子配合物に乾式粉砕処理を施してメカノケミカル反応を起こすに充分なエネルギーを与え、粒子同士を接合一体化させて、Ti、Fe、AlおよびMの各元素が共存する複合粒子を作成し、この複合粒子を700〜1200℃で焼成することによって、
    組成式(I);(M 1−x ・Fe )O・2TiO または
    組成式(II);(Fe 1−y ・Al ・TiO
    (式中、Mは2価金属Mg、SrおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1つを意味し、Fe、AlおよびMのTiに対する比は、0≦Al/Ti≦2、および0≦M/Ti≦0.5、組成式(I)では0.3≦Fe/Ti≦0.5、組成式(II)では0.3≦Fe/Ti≦2、の範囲にある。xおよびyは0≦x<1および0≦y<1の範囲にある。)
    で表される擬ブルッカイト型複合酸化物を含むチタン−鉄系複合酸化物顔料を製造することを特徴とするチタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法。
  2. Ti、Fe、AlおよびMと、Li、B、SiおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素との各源物質の粒子を所定比率で配合し、得られた粒子配合物に乾式粉砕処理を施してメカノケミカル反応を起こすに充分なエネルギーを与え、粒子同士を接合一体化させて、Ti、Fe、AlおよびMの各元素と、Li、B、SiおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素とが共存す複合粒子を作成し、この複合粒子を700〜1200℃で焼成することによって、
    組成式(I);(M 1−x ・Fe )O・2TiO または
    組成式(II);(Fe 1−y ・Al ・TiO
    (式中、Mは2価金属Mg、SrおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1つを意味し、Fe、AlおよびMのTiに対する比は、0≦Al/Ti≦2、および0≦M/Ti≦0.5、組成式(I)では0.3≦Fe/Ti≦0.5、組成式(II)では0.3≦Fe/Ti≦2、の範囲にある。xおよびyは0≦x<1および0≦y<1の範囲にある。)
    で表わされる擬ブルッカイト型複合酸化物を含み、かつ、Li、B、SiおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素が添加されてなるチタン−鉄系複合酸化物顔料を製造することを特徴とするチタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法。
  3. Liが、擬ブルッカイト型複合酸化物(N)に対して0.07≦LiO/N≦0.75(重量比)、Feに対して0.015≦Li/Fe≦0.074の関係を満たすように添加されてなるチタン−鉄系複合酸化物顔料を製造することを特徴とする請求項2記載のチタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法。
  4. Bが、擬ブルッカイト型複合酸化物(N)に対して0.2≦B/N≦1.20(重量比)、Feに対して0.015≦B/Fe≦0.05の関係を満たすように添加されてなるチタン−鉄系複合酸化物顔料を製造することを特徴とする請求項2記載のチタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法。
  5. Siが、擬ブルッカイト型複合酸化物(N)に対して0.59≦SiO/N≦4.90(重量比)、Feに対して0.024≦Si/Fe≦0.125の関係を満たすように添加されてなるチタン−鉄系複合酸化物顔料を製造することを特徴とする請求項2記載のチタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法。
  6. Caが、擬ブルッカイト型複合酸化物(N)に対して0.55≦CaO/N≦4.50(重量比)、Feに対して0.026≦Ca/Fe≦0.13の関係を満たすように添加されてなるチタン−鉄系複合酸化物顔料を製造することを特徴とする請求項2記載のチタン−鉄系複合酸化物顔料の製造方法。
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