JPH10219134A - 黄色無機顔料の製造方法 - Google Patents

黄色無機顔料の製造方法

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JPH10219134A
JPH10219134A JP2820097A JP2820097A JPH10219134A JP H10219134 A JPH10219134 A JP H10219134A JP 2820097 A JP2820097 A JP 2820097A JP 2820097 A JP2820097 A JP 2820097A JP H10219134 A JPH10219134 A JP H10219134A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単にルチル型複合酸化物を得ることがで
き、しかも、低い温度での短時間の焼成によって均質な
黄色無機顔料を得る製造方法を確立する。 【解決手段】 酸化チタンあるいはメタチタン酸、又は
その両者と(A)Co、Cr、Ni、及びCoとNiか
らなるグループのうちのいずれか一種と、(B)Sb、
W、及びNbからなるグループのうちのいずれか一種も
しくは二種以上の種々の元素の酸化物、もしくは加熱後
に酸化物となる化合物とを混合し、その混合物を汎用の
粉砕機を用いて乾式粉砕して微細化を進め、さらに、乾
式での処理を続けることによって原料粉体に粉砕に必要
なエネルギー以上のエネルギーを付加してメカノケミカ
ル反応を生じさせる。これによって原料粒子が強固に接
合し、複合化が起こると同時に、原料粒子表面から非晶
質化(無定形化)が進む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロム、ニッケ
ル、及びコバルトの酸化物のうちの一種、もしくは二種
以上と、アンチモン、タングステン、及びニオブの酸化
物のうちの一種、もしくは二種以上とが酸化チタンに固
溶したルチル型構造である黄色無機顔料の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】クロム、ニッケル、及びコバルトの酸化
物のうちの一種、もしくは二種以上と、アンチモン、タ
ングステン、及びニオブの酸化物のうちの一種、もしく
は二種以上が酸化チ夕ンに固溶したルチル型構造である
黄色無機顔料は、耐候性、耐熱性に優れていることか
ら、窯業用の着色剤、塗料や合成樹脂の着色剤等に幅広
く使われている。
【0003】この黄色無機顔料の製造には、多くの手法
が採用され、また、提案もされている。
【0004】例えば、古くから、チタンと、(A)コバ
ルト、クロム、ニッケル、及びコバルトとニッケルから
なるグループのうちのいずれか一種、(B)アンチモ
ン、タングステン、及びニオブからなるグループのうち
のいずれか一種もしくは二種以上の種々の元素の酸化
物、もしくは加熱後に酸化物となる化合物の粉砕物を、
所定の割合で混合して焼成する方法が知られている。
【0005】しかし、この方法では、均質で充分に発色
した焼成物を得るためには、1100〜1300°C程
度の高い焼成温度で、3〜6時間程度の長い焼成時間が
必要であり、そのため、エネルギーコストが高くなるば
かりでなく、焼成物の焼結が進み、粒子が粗大化してし
まうために、焼成後、多大な機械的エネルギーをかけて
再度粉砕する必要が生じてくる。
【0006】また、配合原料を長時間かけて湿式混合粉
砕することによって超微細化し、かつ混合状態をより均
質化した後焼成する手法がある。これによって多少、焼
成時間の短縮は可能となるが、湿式混合粉砕の欠点であ
る粉砕タンクや粉砕媒体の摩耗から不純物が混入してし
まうという問題も生じる。さらに、焼成温度の低温化を
目的として融剤を併用する方法もあるが、焼ムラがひど
く、焼結による粒成長も著しい。
【0007】さらには、共沈法を利用する方法もある。
例えば特開平5−201732号公報、特開平4−17
0323号公報等には、出発原料を水性溶媒中で、溶解
もしくは分散させ、適当なpHの条件により共沈させ得
られた混合物を水洗、ろ過、乾燥、焼成する方法が開示
されている。この共沈法による製造方法では、800°
C程度の比較的、低い焼成温度によりルチル型複合酸化
物顔料を得ることができる利点がある反面、製造工程が
複雑でそのことが製造コストを跳ね上げる欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】本発明が解決しよ
うとする課題は、簡単にルチル型複合酸化物を得ること
ができ、しかも、低い温度での短時間の焼成によって均
質な黄色無機顔料を得るための製造方法を確立すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の黄色無機顔料の
製造方法は、酸化チタンあるいはメタチタン酸、又はそ
の両者と(A)コバルト、クロム、ニッケル、及びコバ
ルトとニッケルからなるグループのうちのいずれか一種
と、(B)アンチモン、タングステン、及びニオブから
なるグループのうちのいずれか一種もしくは二種以上の
種々の元素の酸化物、もしくは加熱後に酸化物となる化
合物とを混合し、その混合物を容器駆動式ミル、媒体撹
拌式ミル、剪断摩擦式ミル、高速回転衝撃剪断式ミル等
の汎用の粉砕機を用いて乾式粉砕して微細化を進め、さ
らに、乾式での処理を続けることによって原料粉体に粉
砕に必要なエネルギー以上のエネルギーを付加してメカ
ノケミカル反応を生じさせる。これによって原料粒子が
強固に接合し、複合化が起こると同時に、原料粒子表面
から非晶質化(無定形化)が進む。
【0010】もちろん、この処理は粉砕機による乾式粉
砕の延長線上に存在するため、この複合化現象と同時に
粉砕も平行して起こり、複合化による粒子径の増大を防
ぐ作用も奏する。
【0011】この複合化処理によって得られた個々の粒
子は、チタン、(A)コバルト、クロム、ニッケル、及
びコバルトとニッケルからなるグループのうちのいずれ
か一種(B)アンチモン、タングステン、及びニオブか
らなるグループのうちのいずれか一種もしくは二種以上
のそれぞれの元素が原料配合比率で共存する複合粒子で
あり、かつ、結晶質に比べて反応性に富んだ非晶質への
変化が進んだ複合粒子である。つまり、原料粒子同士が
強固に接合し、固相反応速度の重要因子である粒子同士
の接点、すなわち、反応点が著しく増加する上、複合粒
子の非晶質化がさらなる反応促進に寄与しているため、
従来の製造方法に比べて、高温、長時間の焼成を必要と
しない。従って、従来の製造方法よりも低温、かつ短時
間の、焼結が過剰に進行しない焼成条件で、均質でかつ
充分発色した顔料を得ることができる。
【0012】このメカノケミカル反応による現象は、X
線回折結果での非晶質化の進行、TG−DTA/DSC
などの熱分析での発熱、吸熱ピークの消滅や移動、又、
複合化による比表面積の増加傾向から減少傾向への移行
等で確認できる。
【0013】このようなメカノケミカル反応自体は、久
保輝一郎著「無機物のメカノケミストリ−」総合技術出
版(1987)にも記載されているように公知であり、
粉体の表面改質、高温超伝導物質の生成等に適応できる
ことが知られているが、クロム、ニッケル、及びコバル
トの酸化物のうちの一種、もしくは二種以上と、アンチ
モン、タングステン、及びニオブの酸化物のうちの一
種、もしくは二種以上とが酸化チタンに固溶したルチル
型構造の複合酸化物である黄色無機顔料をはじめとした
無機顔料の製造方法への応用は勿論、これによって得ら
れる無機顔料の特性については全く知られていない。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で使用するチタン源には、
酸化チタン、メタチタン酸等の酸化物または加熱後酸化
物となるチタン化合物が使用できる。また、コバルト源
には酸化コバルト、炭酸コバルト、水酸化コバルト等の
酸化物または加熱後酸化物となるコバルト化合物が使用
でき、クロム源には酸化クロム、水酸化クロム等の酸化
物または加熱後酸化物となるクロム化合物が使用でき
る。ニッケル源には酸化ニッケル、炭酸ニッケル、水酸
化ニッケル等の酸化物または加熱後酸化物となるニッケ
ル化合物が使用できる。アンチモン源には五酸化アンチ
モン、三酸化アンチモン等の酸化物または加熱後酸化物
となるアンチモン化合物が使用できる。タングステン源
には酸化タングステン、タングステン酸アンモニウム等
の酸化物または加熱後酸化物となるタングステン化合物
が使用できる。ニオブ源には酸化ニオブ等の酸化物また
は加熱後酸化物となるニオブ化合物が使用できる。
【0015】このように本発明の複合化処理は、加熱後
酸化物となるような粉体であれば本質的に全てが出発原
料として適用可能であるが、コバルト源として水酸化コ
バルト、クロム源として水酸化クロム、ニッケル源とし
て炭酸ニッケルを用いるのがより低いエネルギー付加で
容易に非晶質化が進むことから都合が良い。
【0016】さらに、各成分の構成割合についても、コ
バルト、クロム、ニッケル、アンチモン、タングステ
ン、ニオブの各種金属がルチル型の酸化チタンに固溶可
能な範囲内であれば、それぞれの組み合わせが、その組
成を問わず適用可能である。この際、従来より色目の改
善や、物性の向上のために、酸化剤、粒成長促進剤や酸
化リチウム等、種々の添加剤を配合原料に加えて焼成す
ることができるが、このような添加剤を加えても色目や
物性の制御は可能である。
【0017】配合原料を粉砕機によって乾式で処理する
際の粉砕形態は特定されない。例えば、転動ボールミ
ル、振動ミル、石臼型ミル、インパクトミル、ロール転
動ミル、デイスクミル、ピンミル、媒体撹拌ミル(アト
ライター)、遊星ボールミルなどが挙げられる。ただ、
振動ミル、媒体撹拌ミル、遊星ボールミルなどの摩砕に
よる粉砕機構を含むものがメカノケミカル反応を誘発さ
せやすい点から望ましい。また、粉砕媒体を使用する粉
砕機の場合、粉砕媒体は、ロッド、シリンダー、ボール
のいずれも使用可能であるが、摩砕効果が高まるよう粉
砕媒体条件下で複合化処理を行うことが望ましい。例え
ば、振動ミルや遊星ボールミルの場合、微粉砕に適する
ボール径の1.1〜2.0倍のものを使用、もしくは、
ボール量を1〜2割増しの状態で使用することによっ
て、摩砕効果を高めることが容易にできる。
【0018】また、粉砕媒体への付着防止のために少量
の液体助剤を添加するのはメカノケミカル反応を起こす
のに有効であり、例えば、一般に乾式粉砕の助剤として
広く使われているエタノール、プロパノールなどがよ
い。添加量については、配合原料の総量に対し0.05
〜5.0wt%の範囲での添加が望ましい。
【0019】さらに複合化処理する際、粒子間の接合を
より低いエネルギーで起こすための助剤としては、原料
である無機物表面に吸着し、かつ、バインダーの役目を
担うに充分な粘度をもつ有機物が特に有効である。例え
ば、無機物表面への吸着性から1分子中に水酸基もしく
はカルボキシル基を複数有する有機物、具体的には、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン
などの多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミンなどのアルコール系アミン類、もしく
は、1分子中にカルボキシル基を複数有するジカルボン
酸類、あるいはポリカルボン酸類などが挙げられる。も
し、その有機物が常温で固体あるいはあまりに高粘度の
場合は、水もしくはその他の溶剤で粘度を、必要に応じ
て水もしくはその他の溶剤で調整して、常温(20°
C)下で、10〜500センチポイズの溶液として用い
る。これは、原料粒子全体に均一分散させるのに適した
範囲の粘度である。
【0020】添加量については、配合原料の総量に対し
0.05〜5.0重量%の範囲、望ましくは0.5〜
2.0重量%の範囲である。添加量を5.0重量%以上
にすると、大多数の原料が複合化処理の初期段階で粉砕
タンク内壁や粉砕媒体に未処理のまま付着し、その付着
物がその後の処理作用を阻害してしまう。また、0.0
5重量%以下では添加の効果がほとんど認められなくな
る。これらの助剤を使用すると処理効率が向上し、場合
によっては、ボールミル等の低エネルギ一型の粉砕機で
も複合化処理が可能となる。
【0021】
【実施例】
実施例1 配合原料の組成を示す表1において、サンプル1に示し
た所定量を調合し、振動ボールミル(MB−1、中央化
工機(株)社製)を用いて常温条件下で、3時間、乾式
複合化処理を行った。この際、容器はナイロン製ポット
(3.01)、粉砕メディアは、25mmφのアルミナ
ボールを5.0kg、配合原料の投入量は100gとし
た。
【0022】
【表1】
【0023】複合化処理後のサンプル1の結晶構造をX
線回折装置(RAD−III/理学電機(株)社製)に
より調べたところ、図1に示したように、複合化処理に
より配合原料の非晶質化が進行したことが認められた。
さらにその表面形態を電子顕微鏡観察(S−2300型
走査電子顕微鏡/(株)日立製作所製)したところ、図
2に示したような複数の粒子が強固に接合した、2次粒
子を形成しているのが観察された。この二次粒子をED
X(エネルギー分散形X線マイクロアナライザーEMA
X−3700/(株)堀場製作所製)によって元素マッ
ピングしたところ、図3〜図5のようにチタン、コバル
ト、及びアンチモン元素すべてが共存する複合粒子であ
ることが認められた。図6はこの複合粒子の形態を模式
化して示す。
【0024】従って、本発明の複合化処理を配合原料に
施すことにより、非晶質化の進行した粒子同士が強固に
接合し、かつ配合原料に含まれる全ての金属元素を含む
複合粒子が得られた。次いでサンプル1の組成の複合粒
子をローラーハース炉、もしくはSiC電気炉で、80
0°C〜1100°Cで1時間焼成し、得られた焼成品
を1μm以下に解砕し、展色し、測色した。展色、測色
の方法は以下に記すとおりである。測色結果はCIEL
AB表色系を用いて比較、評価した。
【0025】測色方法 マヨネーズ瓶(70cc)に以下の重量比で混和し、ペ
イントシェイカー(レッド デヴィル社製)で20分間
分散させる。そしてアート紙にアプリケーター(150
μ)にて展色し、分光光度計(カラコムシステム/大日
精化工業(株)社製)で測色する。 試料(1μm以下) 4部 ガラスビーズ(ユニビーズUB−2527L/ユニオン(株)社製) 45部 アクリル樹脂(ニッペアクリル オートクリアスーパー) 30部 シンナー 1部 表2にそれぞれの焼成温度、時間、それにCIELAB
表色系による測色結果を示す。
【0026】
【表2】
【0027】複合化処理を施すことで800°C、1時
間の焼成条件で均一な赤味の黄色の発色が認められた。
従来の製造方法ではこの焼成条件では全く発色は認めら
れない。
【0028】さらに高温で焼成するほど、得られる顔料
の発色は強いものとなり、1000°C、1時間の焼成
により、従来の製造方法においては1100°Cで6時
間焼成しなければ得られない発色を有する赤味の黄色の
顔料を得ることができた。さらに、1100°Cにて焼
成すると同原料、同組成であるのにもかかわらず、従来
の製造方法では6時間以上焼成しても得られない黄味、
赤味共に濃い顔料をわずか1時間の焼成時間で得ること
ができた。
【0029】比較例1 表1のサンプル1に示した所定量を調合し、へンシェル
ミキサー(サンプルミル、協立理工(株)社製)で混合
した。混合処理後のサンプル1の結晶構造をX線回折装
置により調べたところ、図1に示すように、混合処理を
ほどこしても配合原料の非晶質化は認められなかった。
さらにその表面形態を電子顕微鏡観察したところ、実施
例1において見られたような二次粒子は認められなかっ
た。さらにEDX(エネルギ一分散形X線分析装置 E
MAX−3700/堀場製作所)によって元素マッピン
グしたところ、チタン、コバルト、及びアンチモン元素
がそれぞれ単独に存在しているのが認められた。図7に
混合処理後の配合原料の形態を模式化したものを示す。
従って、従来の製造方法における混合処理では、実施例
1記載の処理により得られる複合粒子は得られなかっ
た。
【0030】次いでサンプル1の組成の混合物をローラ
ーハース炉、もしくはSiC電気炉にて、800°C〜
1100°Cで1〜6時間焼成して実施例1と同様に、
粉砕、展色し、測色した。表2にそれぞれの焼成温度、
時間、それにCIELAB表色系による測色結果を示
す。
【0031】得られた顔料は実施例1のそれと比較して
焼成時間が1時間ではムラが目立った。さらに発色の程
度も、実施例1と同じ焼成条件で比較すると黄味、赤味
共に弱く、実施例1において1000°C、1時間の焼
成条件にて得られる水準にまで発色させるためには11
00°Cで6時間焼成しなければならなかった。
【0032】実施例2 表1のサンプル2〜10に示した所定量を調合し、複合
化処理を実施例1と同様に行った。複合化処理後のサン
プル2〜10は、実施例1の場合と同様、非晶質化の進
行した粒子同士が強固に接合し、かつ配合原料に含まれ
る全ての金属元素を含む複合粒子であった。次いでサン
プル2〜10に示した組成の複合粒子をローラーハース
炉、もしくはSiC電気炉にて、1000°Cで1時間
焼成し、得られた焼成品を1μm以下に解砕し、実施例
1と同様に展色し測色した。
【0033】表3にそれぞれの組成、それにCIELA
B表色系による測色結果を示す。サンプル2〜7のいず
れにおいても、非常に均一な赤味の黄色の発色を有する
顔料が得られた。即ちアンチモンの代わりに、タングス
テン及びニオブのいずれを用いても、もしくは組み合わ
せて用いた場合でも複合化処理の効果は実施例1と同様
に認められた。
【0034】
【表3】
【0035】さらにサンプル8〜10のいずれにおいて
も、非常に均一な赤味の黄色、もしくはレモンイエロー
の発色を有する顔料が得られた。即ちコバルトの代わり
にクロム、ニツケル、及びコバルトとニッケルをルチル
型の酸化チタンに固溶させる場合であっても複合化処理
の効果は実施例1と同様に認められた。
【0036】比較例2 表1のサンプル2〜10に示した所定量を調合し、混合
処理を比較例1と同様に行なった。サンプル2〜10の
いずれにおいても、比較例1の場合と同様に、混合処理
では、実施例1のような複合粒子は得られなかった。次
いでサンプル2〜10に示した組成の混合物をローラー
ハース炉、もしくはSiC電気炉で1000°Cで1時
間焼成し、得られた焼成品を1μm以下に解砕し、実施
例1と同様に展色し、測色した。
【0037】表3にそれぞれの組成、それにCIELA
B表色系による測色結果を示す。得られた顔料はサンプ
ル2〜10のいずれの組成においても実施例2のそれと
比較してムラが目立ち、かつ発色も不十分なものであっ
た。
【0038】実施例3 エタノール、プロピレングリコール、ポリカルボン酸
(ディスパロン2150/楠本化成(株)製)、トリエ
タノールアミン、ジエタノールアミンもしくはモノエタ
ノールのいずれかをそのまま、あるいは、エタノールで
希釈して、所定の粘度に調整し、それらを助剤A〜Hと
した。次いで、表1に記載のサンプル1の組成の配合原
料100gに、これらの助剤A〜Hをそれぞれ添加し、
実施例1に記載の複合化処理を行った。ただし、処理時
間は0.5〜2時間とし、助剤の添加量は助剤A〜Hに
ついては投入総量の1重量%とし、助剤Hを10重量%
添加したものを助剤H’とした。上記処理によって得ら
れた複合粒子をローラーハース炉にて、800°Cで1
時間焼成し、焼成条件での発色の程度を評価した。
【0039】表4に、添加した助剤A〜H’の成分、そ
の粘度(20°C/センチポイズ)及び上記焼成条件で
の発色の程度を示す。助剤D〜Hを添加した場合、つま
り、助剤の粘度が10〜500センチポイズの範囲内
で、かつ、分子中に水酸基もしくはカルボキシル基、又
はその両者を2つ以上有する有機物を含む助剤を添加し
た場合、1.0時間もしくは1.5時間の処理で実施例
1において3時間処理したときととほぼ同等の発色を呈
した。従って、助剤D〜Hを添加することにより、助剤
無添加の場合と比べ、より短時間で複合粒子が形成させ
ることができた。助剤A,B,Cについては、助剤D〜
Hほどは著しい効果は認められなかった。即ち、助剤
A,Cのような、1分子中に水酸基を1つしか有さない
有機物を含んだ溶液では、助剤の無機物表面への吸着力
が不足してバインダーの役目が担えず、粒子間の接合に
は直接寄与しなかった。また、助剤A,Bのように1分
子中に水酸基を2つ以上有する有機物を含んだ溶液であ
っても、バインダーとして働くのに必要な粘性を有さな
ければ、粒子間の接合には直接寄与しなかった。
【0040】
【表4】
【0041】また、助剤Hを10重量%添加した、助剤
H’は複合化処理を2時間行った場合でも充分な発色が
得られなかった。これは、助剤を過剰添加したH’は、
大多数の原料が複合化処理の初期段階でポット内壁やア
ルミナボールに未処理のまま付着し、この付着物が、そ
の後の処理作用を阻害したからである。
【0042】
【発明の効果】
(1)上記黄色無機顔料が、従来の製造方法と比べ低温
かつ短時間の焼成により製造が可能となる。 A.そのため、従来の製造方法と比べ、大幅なエネルギ
ーコストの低減が期待できる。 B.そのため、従来の製造方法と比べ、焼成工程での大
幅な生産性の向上が期待できる。C.そのため、焼結に
よる粒子の粗大化が起こることなく焼成が終了し、最終
段 階の粉砕工程がより簡素に、もしくは省略できる。 (2)従来の製造方法と比べ、高品質な顔料が安定して
得られる。 (3)格別の設備を用いることなく実施できる。 (4)製造工程の簡略化により、低コストで従来通り、
もしくはそれ以上の品質の顔料が得られる。 (5)配合原料のコバルト源として水酸化コバルト、ク
ロム源として水酸化クロム、ニッケル源として炭酸ニッ
ケルをそれぞれ用いれば、本発明の処理による効果が著
しく表われる。 (6)本発明の処理をする際、1分子中に水酸基を2つ
以上、又は1分子中にカルボキシル基を2つ以上、又は
1分子中に水酸基とカルボキシル基の合計が2つ以上で
ある有機物を、常温(20°C)で10〜500センチ
ポイズの粘度となるように、必要に応じて水もしくはそ
の他の溶剤で調整した溶液を、複合化処理促進のための
助剤として、配合原料の総量に対し0.05〜5.0w
t%の範囲で添加することによって、本発明の処理効率
が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によって得た複合粒子と比較
例1によって得た混合物のX線回折プロファイルを示
す。
【図2】本発明の実施例1によって得た複合粒子表面の
図面に代わる電子顕微鏡写真を示す。
【図3】本発明の実施例1によって得た複合粒子のチタ
ン元素に対する面分析結果の図面に代わる電子顕微鏡写
真を示す。
【図4】本発明の実施例1によって得た複合粒子のコバ
ルト元素に対する面分析結果の図面に代わる電子顕微鏡
写真を示す。
【図5】本発明の実施例1によって得た複合粒子のアン
チモン元素に対する面分析結果の図面に代わる電子顕微
鏡写真を示す。
【図6】本発明の実施例1によって得た複合粒子の面分
析結果に基づいた模式図を示す。
【図7】本発明の比較例1によって得た混合物の面分析
結果に基づいた模式図を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化チタンあるいはメタチタン酸と、コ
    バルト、クロムあるいはニッケルの酸化物もしくは加熱
    後にそれらの酸化物となる化合物の中の一種または二種
    以上と、アンチモン、タングステンあるいはニオブの酸
    化物、もしくは加熱後にそれらの酸化物となるそれらの
    化合物の中の一種または二種以上を配合した配合原料を
    粉砕機を用いて乾式で粉砕処理したのち焼成する黄色無
    機顔料の製造方法において、 配合原料を粉砕機を用いて乾式で粉砕処理するに当たっ
    て、メカノケミカル反応を起こすのに充分なエネルギー
    をその配合原料に与えて粉砕粒子同士を接合せしめて、 この接合した粉砕粒子を、配合原料の原料がその混合比
    率の割合で共存する複合粒子とし、 さらに、 この複合粒子を800〜1100°Cの温度で焼成する
    ことを特徴とする黄色無機顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】 配合原料が、コバルト源として水酸化コ
    バルトと、クロム源として水酸化クロムと、ニッケル源
    として炭酸ニッケルとの組合せから構成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の黄色無機顔料の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 配合原料を粉砕機を用いて乾式で粉砕処
    理するに当たって、1分子中に水酸基を2つ以上、また
    は1分子中にカルボキシル基を2つ以上、または1分子
    中に水酸基とカルボキシル基の合計が2以上である有機
    物を常温下で10〜500センチポイズの粘度となるよ
    うに調整した溶液を、配合原料の総量に対し0.05〜
    5.0重量%添加することを特徴とする請求項1または
    請求項2に記載の黄色無機顔料の製造方法。
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