JP2016118772A - 樹脂組成物及び積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、基板上にIRカット層等の層を形成する際は、基板とIRカット層等との高い密着性が求められている。
特に、透明基板との密着性が高く、耐熱性及び耐湿熱性に優れる樹脂組成物及びこれをコーティングして作製した積層体(特に近赤外線カットフィルター)を提供することを主目的とする。
まず、樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収色素と、特定のシランカップリング剤と、特定の樹脂とを含有するものである。本発明の樹脂組成物は、コーティング用であることが好ましく、近赤外線遮断用であることが好ましく、透明基板への積層用樹脂組成物であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、色素は、600〜900nmの波長域に吸収極大を有する色素(以下、特定色素とも称す)を含むことが好ましい。このような色素を含むことで、特に580nm〜1000nmの赤外線を低減でき、これに起因する光学ノイズを除去することが可能となる。これによって、可視光透過率が高く、かつ近赤外領域の遮断性能に優れるという、光学ノイズ低減のために好適な性能が得られることになる。上記特定色素としてより好ましくは、600〜800nmの波長域に吸収極大を有する色素であり、さらに好ましくは650〜750nmの波長域に吸収極大を有する色素である。
上記フタロシアニン系化合物としては、金属フタロシアニン錯体が好適であり、例えば、銅、亜鉛、インジウム、コバルト、バナジウム、鉄、ニッケル、錫、銀、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、鉛等の金属元素を中心金属とする金属フタロシアニン錯体が挙げられる。これらの金属元素の中でも、溶解性又は分散性(例えば、樹脂成分への溶解性又は分散性)、可視光透過性、耐光性がより優れることから、銅、バナジウム及び亜鉛のいずれか1以上を中心金属とする金属フタロシアニン錯体が好ましい。すなわち中心金属として好ましくは銅、亜鉛及びバナジウムであり、より好ましくは銅及び亜鉛である。銅を用いたフタロシアニンは、どのような樹脂成分(バインダー樹脂)に分散させても光による劣化がなく、非常に優れた耐光性を有する。また、亜鉛を中心金属とするフタロシアニン錯体(フタロシアニン系色素)は、樹脂成分に対する溶解性に優れ、光選択透過性がより高い積層体(特に、近赤外線カットフィルター)が得られ易いため、好適である。
スクアリリウム系化合物としては、特に構造は限定されないが、下記式(5S)で表されるスクアリリウム系化合物が特に好ましい。なお、下記式(5S)中の特定の構造単位であるRa1とRa2は、同一構造であっても異なっていてもよい。
環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(5S)中の4員環との結合部位を表す。)
なお*は式(5S)中の4員環との結合部位を表す。)
式(6S)中、環Aは、構成員数が4〜9員である不飽和炭化水素環である。環Aは、スクアリリウム骨格に結合する炭素原子(上記式(6S)中、矢印で示す炭素原子)とピロール環を構成する炭素原子との間に少なくとも1個の二重結合を有する不飽和炭化水素環であればよく、当該二重結合以外にも不飽和結合(好ましくは二重結合)を有するものであってもよいが、好ましくは環Aが有する二重結合は1個であるのがよい。環Aは、好ましくは5〜8員環であり、より好ましくは6〜8員環であり、さらに好ましくは6員環又は8員環である。
本発明に用いられる好適なスクアリリウム系化合物の一つである上記式(6S)で示される特定の構造単位を有するスクアリリウム系化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記式(7):
SAJJADIFAR ET AL: 'New 3H-Indole Synthesis by Fischer’s Method. Part I.' Molecules 2010, no. 15, April 2010, pages 2491-2498
Serguei Miltsov ET AL; 'New Cyanine Dyes:Norindosquarocyanines ', Tetrahedron Letters, Volume 40, Issue 21, May 1999, pages 4067-4068
式(7S)中、Rf1及びRf5は少なくとも一方が、窒素原子又は酸素原子を含む有機基又は極性官能基である。好ましくは、Rf1及びRf5は一方が−NHRg1又はヒドロキシル基であり、他方は、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、−NRg2Rg3、または−NRg4である。Rg1〜Rg3は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、−S(=O)2−Rg5、または−C(=O)−Rg6(Rg5、Rg6は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基)である。Rg4は、構成員数が3〜9員のシクロアルキル基又は、シクロアルキル基中の一部の−CH2−が、−O−、−S−、−Se−、−S(=O)2−、−C(=O)−、または−NRg7−(Rg7は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基)で置換された構成員数が3〜9員のシクロアルキル基である。Rf1、Rf5は、共に−NHRg1及びヒドロキシル基のいずれか一方であることが好ましい。
本発明に用いられる好適なスクアリリウム系化合物の一つである上記式(7S)で示される特定の構造単位を有するスクアリリウム系化合物の製造方法は、特に限定されず、公知の合成手法を適宜採用することによって合成できる。
クロコニウム系化合物としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(S2)で表される化合物が挙げられる。
環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(S2)中の5員環との結合部位を表す。)]
本発明に用いるシランカップリング剤は、アミノ基を有するシランカップリング剤である。上記シランカップリング剤を、樹脂組成物に含有させることで、透明基板との密着性を向上させる効果や撥水作用により樹脂組成物中への水分の浸入を抑制する効果があり、その結果、耐熱性や耐湿熱性に優れる近赤外線カットフィルターを得ることができる。具体的には、半田リフロー工程、湿熱環境における使用において、剥がれ等を抑制することが可能となる。
上記含有量とすることで、透明基板との密着性に優れ、耐熱性が高い積層体(特に近赤外線カットフィルター)を得ることができる。
本発明に用いるポリ(アミド)イミド樹脂は、溶剤可溶性樹脂であるポリ(アミド)イミド樹脂である。このような樹脂を用いた層は、後述する溶媒キャスト法によって形成(成膜)することができるため、色素を高濃度で均一に分散できるとともに、比較的低温で樹脂層を形成することができる。
樹脂組成物は、上述した溶媒を含んでいてもよい。塗工性を高める観点から、近赤外線樹脂組成物が塗布される際には、溶媒を用いるのが好ましい。溶媒は特に限定されないが、モノアルコール類;グリコール類;環状エーテル類;グリコールモノエーテル類;グリコールエーテル類;グリコールモノエーテルのエステル類(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等);アルキルエステル類;ケトン類;芳香族炭化水素類;ハロゲン化芳香族炭化水素類;脂肪族炭化水素類;アミド類;等が好ましい。フタロシアニン系化合物を含有する樹脂層用組成物に対しては、上述した中でもPGMEA(2−アセトキシ−1−メトキシプロパン)、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノンが特に好ましい。また、オキソカーボン系化合物は、双極子モーメントが小さい溶媒中で高い耐久性を有するので、オキソカーボン系化合物を含有する樹脂層用組成物に対しては、双極子モーメントが4.5D以下である溶媒が好ましく、双極子モーメントが3.5D以下である溶媒がより好ましく、3D以下である溶媒が特に好ましい。このような溶媒の具体例として、例えば、シクロペンタノン、o−ジクロロベンゼン、PGMEA、エチルシクロヘキサン、キシレン、トリメチルベンゼン、リモネン等が好ましい。上述した中でも、シクロペンタノン、o−ジクロロベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルシクロヘキサン、キシレン、リモネンが特に好ましい。
樹脂組成物は、目的に応じて、適切な添加剤を含有してもよい。例えば、樹脂組成物の総量(固形分)100質量%に対して、0.00001質量%以上、10質量%以下の範囲で含有していることが好ましい。添加剤の具体例としては、硬化剤、レベリング剤、顔料、顔料分散剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、充填剤、補強材、可塑剤、潤滑剤、防食剤、防錆剤、乳化剤、鋳型脱型剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、すべり付与剤、密着性付与剤、防汚剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤、光増感剤、表面改良剤、IRカット剤、カップリング剤以外の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の調製方法は特に限定されず、含有成分を通常の方法で混合することにより得ることができる。含有成分を混合する際には、必要に応じて、各成分又は混合物を加熱して、均一組成になるように混合することもできる。加熱温度としては、好ましくは140〜20℃、より好ましくは120〜40℃である。
本発明の近赤外線カットフィルターは、透明基板と本発明の樹脂組成物からなる樹脂層(近赤外線吸収層)とを少なくとも含む構造である。透明基板の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、メチルメタクリレート系共重合物等のアクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ガラス等が挙げられる。
上記樹脂組成物からなる層(樹脂層)の厚みは特に限定されないが、成膜時やリフロー時の耐熱性及び透明性の観点、熱膨張による界面での剥離や割れを防止する観点から、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下であり、特に好ましくは10μm以下であり、最も好ましくは5μm以下である。また、一般的な異物サイズよりも膜厚を充分に厚くすることにより欠点を防ぐ観点、樹脂組成物へ溶解させる色素濃度を低減し、色素の会合や析出を抑制する観点から、0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上である。
本発明の樹脂組成物を用いて得られる積層体は、透明基板(以下、単に「基板」ともいう)上に、樹脂層を有する。すなわち本発明のコーティング用樹脂組成物は、基板上に層を形成する材料として使用することができる。樹脂層は、基板の片面のみに有していてもよいし、両面に有していてもよい。また、基板及び樹脂層は、それぞれ単層構造又は多層構造のいずれであってもよい。
上記基板(又は他の構成部材)上に樹脂組成物からなる塗膜を形成する方法としては、溶液塗布法が好適である。具体的には、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等の通常使用される方法が挙げられる。これらの中では、スピンコート法が、基板上のコート層の偏差を小さくする観点で好ましい。スピンコート法により塗膜を形成する場合、室温(25℃)付近で、透明無機材料層(又は他の構成部材)を500〜4000rpmで10〜60秒間程度回転させながら、溶媒を(半)乾燥させることが好ましいが、溶媒の半乾燥は回転時以外に行われてもよい。ここでの(半)乾燥とは、完全に溶媒が除去されていてもよく、残留溶媒が微量含まれていてもよい。また、インクジェット法で行うことも、スピンコートでは得にくい丸型以外のサンプルを得つつ、偏差を小さくするという観点では好ましい。
本発明の近赤外線カットフィルターは、好ましくは透明基板上に樹脂層を形成させた近赤外線カットフィルターであり、樹脂層が、上記樹脂組成物をコーティングして作製されたことを特徴とする近赤外線カットフィルターであることが特に好ましい。
得られた化合物約1mgをガラス棒に塗布して付着させ、直接イオン化ユニット(DART)(島津製作所社製「DART−OS」、ヒーター温度500℃)にてイオン化し、質量分析計(島津製作所社製「LCMS−2020」、M/Z=50−2000、ポジティブ,ネガティブ同時スキャン)により、得られた化合物のMSスペクトルを測定した。
1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸(アルドリッチ製、純度95%)5部と無水酢酸(和光純薬工業社製)44部とを、フラスコに仕込み、攪拌しながら反応器内を窒素ガスで置換した。窒素ガス雰囲気下で溶剤の還流温度まで昇温し、10分間溶剤を還流させた。その後、攪拌しながら室温まで冷却し、結晶を析出させた。析出した結晶を固液分離し、乾燥して目的物(1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物)の結晶を得た。続いて、温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク、冷却管を備えたフラスコに、窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(和光純薬工業社製)0.89部と、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン7.6部を仕込んで溶解させた後、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物1部を室温にて固体のまま1時間かけて分割投入し、室温下2時間撹拌した。共沸脱水剤としてキシレンを2.6部添加して180℃で3時間反応を行い、ディーンスタークで還流して共沸する生成水を分離した。190℃に昇温しながらキシレンを留去した後、冷却しポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液を得たあと、このN−メチル−2−ピロリドン溶液をγ―ブチロラクトンでさらに希釈し、固形分3%のポリイミド樹脂溶液とした。このポリイミド樹脂溶液1部に対して、メタノール50部で再沈し、固液分離した。固液分離したポリイミド樹脂をγ−ブチロラクトンで溶解し、再び固形分3%とし、先程と同様にメタノールで再沈し、固液分離した。再沈して得られた樹脂を乾燥してポリイミド樹脂Aを得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管を備えたガラス容器に、4,4−オキシジアニリン27.63g(0.138mol)を仕込み、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と称す。)300g、トリエチルアミン13.96g(0.138mol)を加え、一定時間攪拌して均一溶液を作製した。作製した均一溶液を、氷冷しながら、40℃を超えないように無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライド30.00g(0.138mol)をゆっくり添加した。添加終了後、氷冷をやめ、室温にて2時間反応させた後、アニリン0.21g(0.002mol)を添加し、さらに30分攪拌し、粘度19psのポリアミド溶液を作製した。この様にして作製したポリアミド溶液に、無水酢酸26mL、ピリジン12mLを添加し、55℃にて2時間攪拌し、イミド化を行った。得られた反応溶液を、水/メタノール混合溶液に添加し、得られた粉末を水洗、乾燥することによりポリアミドイミド樹脂Bを得た。
(工程1)
1000mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル54g(0.27mol)、フッ化カリウム34.5g(0.59mol)、及び、アセトン126gを仕込み、更に滴下ロートに3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸メトキシエチルエステル127g(0.55mol)及びアセトン216gを仕込んだ。反応容器を氷冷下、攪拌しながら、滴下ロートより3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸メトキシエチルエステル溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、中間体(1)を108.7g(収率64.8%)を得た。この工程1の反応を、以下に簡略して示す。
200mlの四つ口フラスコに、工程1で得られた中間体(1)20.0g(0.032mol)、ヨウ化亜鉛(II)2.57g(0.0081mol)、及び、ベンゾニトリル30.0gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、メチルセロソルブ52.7gを反応液に加えた後、メタノールと水の混合溶液に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウェットケーキを得た。得られたケーキを再度、メタノールと水の混合溶液で撹拌洗浄し、吸引ろ過した。得られたケーキを、真空乾燥機を用いて90℃で24時間乾燥後、目的物であるフタロシアニン(1)を17.78g(収率86.7%)得た。この工程2の反応を、以下に簡略して示す。
ポリイミド樹脂Aを5部と溶媒であるγ―ブチロラクトン(GBL)80部、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)15部の混合液に、色素として上記フタロシアニン(1)(吸収最大波長:670nm)1.05部、シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越シリコーン社製)0.15部を加え、混合、溶解して樹脂組成物溶液を調製した。得られた樹脂組成物溶液をイソプロパノール溶媒で洗浄したガラス基板(松波硝子工業社製、水縁磨スライドガラス、S9213、76mm×52mm×1.2〜1.5mm)上に0.6cc垂らした後、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)を用い、0.2秒間かけて2000回転にし、10秒間その回転数で保持し、その後0.2秒間かけて0回転(rpm)になるようにして樹脂層を成膜した。樹脂層を成膜したガラス基板を、精密恒温器(ヤマト科学社製DH611)を用いて、100℃で3分間初期乾燥した後に、イナートオーブン(ヤマト科学社製DN610I)を用いて50℃で30分間窒素置換した後、15分程度で200℃に昇温し、200℃で30分間追加乾燥(窒素雰囲気下)し、樹脂層を備えたガラス基板(以下、樹脂層積層基板という)を得た。
密着性試験サンプルの作製方法は以下の通りである。
コーティングガラス基板の表面にカッター(エヌティー社製A−300)で切り込みを入れ、縦列、横列にそれぞれ2mm間隔で10本のクロスカット線を設けることによって4mm2の四角を81マス作製し、評価用サンプル基板を作製した。次に、この評価用サンプル基板を、120℃、2気圧、湿度100%の高圧高温高湿槽(パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−E(平山製作所社製)、動作モード1)に、15時間または50時間入れた。続いて、室温にて、空気が入らないようにテープ(3M(スリーエム)社製スコッチ(登録商標)透明粘着テープ透明美色(登録商標))を貼り付け、10秒間放置した。その後、基板からのテープの剥離を1秒以内に行い、下記基準で評価した。なお、いずれのマスにおいても剥離力が一定となるようにテープの剥離を行った。
○:作製した81マスの四角のうち、1マスも剥がれが発生しなかった。
△:作製した81マスの四角のうち、1〜9マスに剥がれが発生した。
×:作製した81マスの四角のうち、10〜81マスに剥がれが発生した。
樹脂組成物を構成する各組成の種類や量、成膜条件を表1及び表2に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして各樹脂組成物を得た。各実施例及び比較例の樹脂組成物を用いて、表1及び表2に記載の成膜条件で塗布及び乾燥を行い、コーティングガラス基板を得た。得られた各コーティングガラス基板の樹脂層とガラス基板との密着性(以下、単に「密着性」という)を、上述のPCT耐湿熱試験にて評価した。その結果を以下の表1、表2にまとめた。
また、溶剤可溶性樹脂であるポリ(アミド)イミド樹脂を用いた実施例1〜12では、その他の樹脂を用いた比較例5〜8より密着性が向上することを確認できた。
その他、吸収色素について、フタロシアニン系化合物(実施例1)を用いた場合とスクアリリウム系化合物(吸収最大波長:701nm、実施例2)を用いた場合には、用いる化合物に応じて溶媒を変更することで同様に調製することができた。フタロシアニン系化合物を用いた場合であっても、スクアリリウム系化合物を用いた場合であっても密着性が向上することも各々確認できた。
KBM−903:信越シリコーン社製KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
Z−6011:東レ・ダウコーニング社製Z−6011(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)
Z−6020:東レ・ダウコーニング社製Z−6020(3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン)
Z−6040:東レ・ダウコーニング社製Z−6040(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
Z−6043:東レ・ダウコーニング社製Z−6043(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)
P−1700NT11:ソルベイスペシャリティポリマーズ社製UDEL(登録商標) P−1700NT11(ポリスルホン樹脂)
アートン樹脂:ARTON(登録商標)(JSR社製シクロオレフィンポリマー樹脂)
GBL:γ―ブチロラクトン
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
なお、シクロペンタノンの双極子モーメントは3.3Dであり、沸点は130.6℃である。
Claims (6)
- 近赤外線吸収色素と、アミノ基を有するシランカップリング剤と、溶剤可溶性樹脂であるポリ(アミド)イミド樹脂とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 前記近赤外線吸収色素は、フタロシアニン系化合物及び/又はオキソカーボン系化合物を含有し、該色素は600〜900nmの波長域に吸収極大を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記シランカップリング剤の含有量が、前記ポリ(アミド)イミド樹脂100質量部に対して0.3〜5.0質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記シランカップリング剤は第一級アミノ基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 基板上に樹脂層を形成させた積層体において、
該樹脂層が、請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成されることを特徴とする積層体。 - 透明基板上に樹脂層を形成させた近赤外線カットフィルターにおいて、
該樹脂層が、請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成されることを特徴とする近赤外線カットフィルター。
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