JP2016117707A - デカンター制御を伴う酢酸の製造方法 - Google Patents

デカンター制御を伴う酢酸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016117707A
JP2016117707A JP2015221834A JP2015221834A JP2016117707A JP 2016117707 A JP2016117707 A JP 2016117707A JP 2015221834 A JP2015221834 A JP 2015221834A JP 2015221834 A JP2015221834 A JP 2015221834A JP 2016117707 A JP2016117707 A JP 2016117707A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stream
acetic acid
phase
liquid
decanter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015221834A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6027212B2 (ja
Inventor
ロナルド・ディー・シェーヴァー
D Shaver Ronald
ヨウ−ファ・リュウ
Yaw-Hwa Liu
マーク・オー・スケーツ
O Scates Mark
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Celanese International Corp
Original Assignee
Celanese International Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Celanese International Corp filed Critical Celanese International Corp
Publication of JP2016117707A publication Critical patent/JP2016117707A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6027212B2 publication Critical patent/JP6027212B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/42Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C51/43Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation
    • C07C51/44Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation by distillation
    • C07C51/445Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation by distillation by steam distillation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/10Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reaction with carbon monoxide
    • C07C51/12Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reaction with carbon monoxide on an oxygen-containing group in organic compounds, e.g. alcohols
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/42Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C51/43Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation
    • C07C51/44Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation by distillation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/42Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C51/50Use of additives, e.g. for stabilisation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C53/00Saturated compounds having only one carboxyl group bound to an acyclic carbon atom or hydrogen
    • C07C53/08Acetic acid

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】有効なライトエンドカラム制御及び/又はデカンター液体レベル制御を行う酢酸の改良された製造方法の提供。【解決手段】下記(1)〜(4)の工程を含む酢酸の製造方法。(1)メタノールを反応媒体中でカルボニル化して粗酢酸生成物の形成;(2)該生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送付;(3)粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸を含む第1の蒸気流と、金属触媒及びハロゲン化物塩を含む液体残渣流と、の形成;(4)フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチルを含む第2の蒸気流と、精製された酢酸及び水を含む側流と、液体残渣流との形成;第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し、前記液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流する工程を更に含み、還流速度は、フラッシュ流速の変化に基づいて調節する方法。【選択図】図1

Description

[0001]本特許出願は、2014年11月14日出願の米国仮特許出願62/079,918(この出願の開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)に対する優先権を主張する。
[0002]本発明は、酢酸の製造方法、特に、有効なライトエンドカラム制御及び/又はデカンター液体レベル制御を示す酢酸の改良された製造方法に関する。
[0003]酢酸を合成するための広範囲に用いられて成功している商業的プロセスは、一酸化炭素によるメタノール、例えばメタノール(供給)組成物の接触カルボニル化を含む。触媒には、ロジウム及び/又はイリジウム、並びにハロゲン促進剤、通常はヨウ化メチルを含ませることができる。反応は、その中に触媒を溶解させた液体反応媒体を通して一酸化炭素を連続的にバブリングすることによって行う。反応媒体は、酢酸、酢酸メチル、水、ヨウ化メチル、及び触媒を含む。メタノールと一酸化炭素を反応媒体中で接触させ、互いと反応させて粗酢酸を形成する。メタノールをカルボニル化するための従来の商業的プロセスとしては、米国特許3,769,329、5,001,259、5,026,908、及び5,144,068(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているものが挙げられる。他の従来のメタノールカルボニル化プロセスとしては、Jones, J.H. (2002), "The Cativa Process for the Manufacture of Acetic Acid", Platinum Metals Review, 44 (3): 94-105(その全部を参照として本明細書中に包含する)において議論されているCativa(登録商標)プロセスが挙げられる。
[0004]通常は、粗酢酸は、とりわけカルボニル化反応器、フラッシュ容器、ライトエンドカラム、及びデカンターを有する分離系列を用いて分離される。米国特許7,855,306(その全体を参照として本明細書中に包含する)においては、(a)カルボニル化生成物を分離して蒸気オーバーヘッド流を与え;(b)蒸気オーバーヘッド流を蒸留して低沸点のオーバーヘッド蒸気流を得て;(c)低沸点のオーバーヘッド蒸気流を凝縮及び分離して凝縮された軽質液相を形成し;(d)単一の蒸留カラム内において、凝縮された軽質液相を蒸留して、PRCが富化された第2の蒸気相流を形成し;そして(e)第2の蒸気相流を凝縮及び水で抽出して、PRCを含む水性アセトアルデヒド流を得る;ことによって、カルボニル化生成物からPRCを減少及び/又は除去する方法、例えば分離区域を含む方法が開示されている。
[0005]米国特許8,940,932においては、アセトアルデヒドを効率的に除去しながら高純度の酢酸を安定して製造する方法が開示されている。この酢酸を製造する方法は、メタノールを、金属触媒、ハロゲン化物塩、及びヨウ化メチルの存在下で一酸化炭素と反応させる反応工程;反応混合物をフラッシュ容器に連続的に供給して、酢酸及びヨウ化メチルを含むより低沸点の成分、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含むより高沸点の成分を分離する工程;より低沸点の成分を蒸留カラムに供給し、ヨウ化メチル及びアセトアルデヒドを含むより低沸点の成分、及び酢酸を含む流れを分離して酢酸を回収する工程;より低沸点の成分を凝縮してデカンター内に一時的に保持して、より低沸点の成分をデカンターから排出する凝縮工程;並びにデカンターから排出されるより低沸点の成分をアセトアルデヒド及び液体残渣に分離し、液体残渣を反応系に再循環する工程;を含む。凝縮工程においては、保持するより低沸点の成分の量は、デカンターに供給するより低沸点の成分の変動する流速に基づいて制御する。
米国特許3,769,329 米国特許5,001,259 米国特許5,026,908 米国特許5,144,068 米国特許7,855,306 米国特許8,940,932
Jones, J.H. (2002), "The Cativa Process for the Manufacture of Acetic Acid", Platinum Metals Review, 44 (3): 94-105
[0006]上記に記載の方法は、粗酢酸を分離するため、具体的にはデカンター/凝縮器内の液体レベルを維持するための幾つかの方法を提供したが、これらの方法は、ライトエンドオーバーヘッド流を測定し、次に反応区域への再循環流を変化させることによって制御を行っており、このために反応系中における全体的な水収支に関する問題が生起する可能性があり、及び幾つかの場合においては不十分な制御が与えられる可能性がある。これらの方法はまた、更なるプロセス部品の使用又はプロセス部品の改変、例えば緩衝能力を有するデカンターを必要とする可能性もある。而して、(1)より安定した精製生成物の組成、例えば側流組成としてより安定したライトエンドカラム、及び(2)反応系中における水収支を阻害することがないか、又は更なるプロセス部品又はプロセスの改変を必要とせずにより正確な液体レベル制御を与える、安定したライトエンド及びデカンター運転を維持するための改良された方法に対する必要性が存在する。
[0007]本発明は酢酸の製造方法に関する。幾つかの態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水を含む反応媒体中でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成する工程を含む。この方法には、粗酢酸生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送る工程を更に含ませることができる。フラッシュ容器への粗酢酸の流れ(フラッシュ流)は、好ましくは液体状態である。フラッシュ流速は、通常の方法、例えば流量計によって測定することができる。粗酢酸生成物を、熱を加えるか又は加えないでフラッシングして、第1の蒸気流及び第1の液体残渣流を形成する。第1の蒸気流は酢酸及びヨウ化メチルを含む。第1の液体残渣流は金属触媒及びハロゲン化物塩を含み、反応器に再循環することができる。フラッシングされた第1の蒸気流は、ライトエンドカラム内で分離して、第2の蒸気流、側流、及び第2の液体残渣流を形成する。第2の蒸気流は、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む。側流は、精製された酢酸生成物及び場合によっては水を含む。第2の残渣流は、酢酸、水、及び触媒を含み、反応器に再循環することができる。第2の蒸気流の少なくとも一部をデカンター内で凝縮して、少なくとも1つの液相を形成する。幾つかの態様においては、この少なくとも1つの液相は軽質相を含む。幾つかの態様においては、この少なくとも1つの液相は重質相を含む。幾つかの態様においては、この少なくとも1つの液相は、軽質液相及び重質相の両方を含む。デカンター内の液体レベルは、第2の蒸気流を凝縮することによって定められる。液体レベルは、一般に液相がそこまで上昇するレベルである。液体レベルは、デカンターの攪乱又はオーバーフローが回避されるように維持する。少なくとも1つの液相の少なくとも一部をライトエンドカラムに還流して、これによって還流ループを構成する。幾つかの場合においては、軽質相を還流して還流ループを構成する。幾つかの場合においては、重質相を還流して還流ループを構成する。また、重質相及び軽質相の両方を還流して1つ又は複数の還流ループを構成することも意図される。還流ループは特定の還流速度を有し、これは少なくとも1つの液相をライトエンドカラムに戻す流速である。還流速度は、一般に通常の方法、例えば流量計によって測定することができる。還流速度は、フラッシュ流速の変化に基づいて調節される。例えば、フラッシュ流速が増加するにつれて、より多い量の流れがフラッシュ容器に導入されるように還流速度を調節することができる。より多い量の流れはまた、その後に、ライトエンドカラム中への流れ及びデカンターの液体レベルに影響を与える可能性もある。幾つかの場合においては、この方法には、フラッシュ流速及び還流速度の少なくとも1つに基づいて、例えばフラッシュ流速に基づいて、還流速度に基づいて、又はフラッシュ流速及び還流速度の両方に基づいて、デカンター内の液体レベルを制御する工程を含ませることができる。側流濃度の変動も向上する。例えば、側流中の水濃度は、定常状態運転下において±0.3%、例えば±0.2%、又は±0.1%変動するようにすることができ、及び/又は側流中の水濃度は、1.1重量%〜3重量%、例えば1.3重量%〜2.7重量%、又は1.5重量%〜2.5重量%の範囲にすることができる。
[0008]本発明はまた、酢酸の製造方法に関する。この方法は、メタノールを反応媒体中でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成する工程を含む。反応媒体は、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては水を含む。この方法は、熱を加えるか又は加えないで粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及び場合によってはヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相、例えば重質相及び/又は軽質相を形成する;工程を更に含む。この方法は、少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流する工程を更に含む。この方法は、還流速度によってデカンター内の液体レベルを制御する工程を更に含む。制御には、デカンター内の液体レベルを測定し、液体レベルに応じて還流速度を調節し、液体レベルが増加している場合には還流速度を増加させ、或いは液体レベルが減少している場合には還流速度を減少させる工程を含ませることができる。好ましくは、デカンター内の液体レベルは、定常状態運転下では実質的に一定である。カルボニル化は反応器内で行うことができ、反応器内の含水量は、定常状態運転下において実質的に一定のレベルに維持することができる。この方法には、乾燥カラム内において側流を脱水して、酢酸及び少量の水を含む脱水された酢酸生成物を形成する工程を更に含ませることができ、乾燥カラムに供給される側流中の水濃度は定常状態運転下において実質的に一定であり、例えば水濃度は±0.3%変動し、例えば側流の全重量を基準として1.1重量%〜3重量%の範囲である。一態様においては、重質相が形成され、重質相の比重は定常状態運転下において実質的に一定であり、例えば重質相の比重は±0.05変動し、例えば1.5〜1.8の範囲である。この方法には、少なくとも1つの液相を特定のPRS供給速度で過マンガン酸塩還元性化合物除去システムに送る工程を更に含ませることができ、PRS供給速度は定常状態運転下において実質的に一定である。一態様においては、少なくとも1つの液相は軽質相を含み、軽質相はライトエンドカラムに還流する。軽質相の比重は定常状態運転下において実質的に一定にすることができ、例えば軽質相の比重は、定常状態運転下において±0.05変動し、例えば0.9〜1.2の範囲である。
[0009]本発明は、添付の非限定的な図面を考慮するとより良好に理解されるであろう。
[0010]図1は、本発明による酢酸製造プロセスの概要を示す。 [0011]図2は、本発明による酢酸製造プロセスの概要を示す。
[0012]始めに、任意のかかる実際の態様の開発においては、1つの実施態様と他のものとで変化するシステム関連及びビジネス関連の制限との適合性のように、開発者の具体的な目標を達成するために、数多くの実施−具体的な決定を行わなければならないことを留意すべきである。更に、当業者に明らかなように、ここで開示する方法にはまた、挙げられているか又は具体的に言及されているもの以外の構成要素を含ませることもできる。
[0013]概説及びこの詳細な説明において、それぞれの数値は、一旦は(既に明らかにそのように修飾されていない限りにおいて)用語「約」によって修飾されているように読み、次に文脈において他に示されていない限りにおいて、そのように修飾されていないように再び読むべきである。また、概説及びこの詳細な説明において、有用、好適などとしてリスト又は記載されている濃度範囲は、端点を含むその範囲内のありとあらゆる濃度が示されているとみなすべきであると意図されることを理解すべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、約1と約10の間の連続体に沿ったありとあらゆる可能な数を示すものとして読むべきである。而して、この範囲内の具体的なデータ点が明確に特定されているか又は僅かな具体的なデータ点のみに関する場合、或いはこの範囲内のデータ点が明確に特定されていないか又は僅かな具体的なデータ点のみに関していない場合であっても、本発明者らはこの範囲内のありとあらゆるデータ点が特定されていたとみなすべきであると認識且つ理解し、且つ本発明者らはこの範囲内の全範囲及び全ての点の知識を有していたことを理解すべきである。
[0014]特許請求の範囲を含む明細書全体にわたって、以下の用語は他に示さない限りにおいて示されている意味を有する。
[0015]明細書及び特許請求の範囲において用いる「付近」は「における」を包含する。「及び/又は」という用語は、包含的な「及び」の場合、及び排他的な「又は」の場合の両方を指し、本明細書において簡潔さのために用いられる。例えば、酢酸及び/又は酢酸メチルを含む混合物は、酢酸単独、酢酸メチル単独、又は酢酸と酢酸メチルの両方を含んでいてよい。
[0016]全てのパーセントは、他に示していない限りにおいて、存在する特定の流れ又は組成物の全重量を基準とする重量パーセント(重量%)として表される。他に示していない限りにおいて、室温は25℃であり、大気圧は101.325kPaである。
[0017]本発明における目的のためには、
酢酸は「AcOH」と略称することがあり;
アセトアルデヒドは「AcH」と略称することがあり;
酢酸メチルは「MeAc」と略称することがあり;
メタノールは「MeOH」と略称することがあり;
ヨウ化メチルは「MeI」と略称することがあり;
ヨウ化水素は「HI」と略称することがあり;
一酸化炭素は「CO]と略称することがあり;及び
ジメチルエーテルは「DME」と略称することがある。
[0018]HIは、分子状ヨウ化水素、或いは極性媒体、通常は少なくとも若干の水を含む媒体中で少なくとも部分的にイオン化されている場合には解離ヨウ化水素酸のいずれかを指す。他に特定されていない限りにおいて、この2つは互換的に言及される。他に特定されていない限りにおいて、HI濃度は、酸−塩基滴定によって電位差滴定終点を用いて求められる。特に、HI濃度は、標準的な酢酸リチウム溶液を用いて電位差滴定終点まで滴定することによって求められる。本発明における目的のためには、HIの濃度は、腐食金属又は他の非Hカチオンの測定に関係すると推定されるヨウ化物の濃度を、試料中に存在する全イオン性ヨウ化物から減じることによっては求めないことを理解すべきである。
[0019]HI濃度はヨウ化物イオン濃度を指すものではないことを理解すべきである。HI濃度は、具体的には電位差滴定によって求められるHI濃度を指す。
[0020]この減算法は、全ての非Hカチオン(例えば、Fe、Ni、Cr、Moのカチオン)が専らヨウ化物アニオンのみと会合すると仮定していることのために、比較的低いHI濃度(例えば約5重量%未満)を求めるためには信頼性に欠ける不正確な方法である。実際には、このプロセスにおいては、金属カチオンの相当部分がアセテートアニオンと会合する可能性がある。更に、これらの金属カチオンの多くは多原子価状態を有し、これによってこれらの金属と会合する可能性があるヨウ化物アニオンの量に関する推定に更により多い非信頼性が加えられる。最終的には、この方法は、特にHI濃度を直接表す単純な滴定を行う能力を考慮すると、実際のHI濃度の信頼性に欠ける測定値を生じさせる。
[0021]本発明における目的のためには、蒸留カラムの「オーバーヘッド」又は「留出物」は、蒸留カラムの頂部又はその付近(例えば頂部の隣接位置)において排出される少なくとも1つのより低沸点の凝縮性フラクション、及び/又はその流れ又は組成物の凝縮形態を指す。明らかに、これも本発明における目的のためには、全てのフラクションは最終的には凝縮させることができ、凝縮性のフラクションは、当業者に容易に理解されるようにプロセス中に存在する条件下において凝縮させることができる。非凝縮性フラクションの例としては、窒素、水素などを挙げることができる。更に、オーバーヘッド流は蒸留カラムの最も上部の出口の直下において回収することができ、例えばここで最も低い沸点のフラクションは、当業者に容易に理解されるように非凝縮性の流れであるか或いは僅少な流れを表す。
[0022]蒸留カラムの「塔底流」又は「残渣」とは、蒸留カラムの底部又はその付近において排出される(本発明においてはカラムの底部液溜まりから流出するとも言う)1以上の最も高い沸点のフラクションを指す。残渣は蒸留カラムの最も底部の出口の直上から回収することができ、例えばここでカラムによって産出される最も底部のフラクションは、当業者に容易に理解されるように、塩、使用できないタール、固体廃棄物、又は僅少な流れである。
[0023]本発明における目的のためには、蒸留カラムは蒸留区域及び底部液溜まり区域を含む。蒸留区域は、底部液溜まり区域の上方、即ち底部液溜まり区域とカラムの頂部との間の全てを含む。本発明における目的のためには、底部液溜まり区域とは、より高沸点の成分の液体貯留槽がその中に存在し、塔底流又は残渣流がカラムから排出される際にそれから流出する蒸留カラムの下部部分(例えば蒸留カラムの底部)を指す。底部液溜まり区域には、リボイラー、制御装置などを含ませることができる。
[0024]蒸留カラムの内部部品に関する「通路」、「流路」、「流動導管」などの用語は、それを通して配置されており、及び/又は、液体及び/又は蒸気が内部部品の一方の側から内部部品の他方の側へ移動するための流路を与える、孔、管、溝、スリット、ドレンなどを指すように互換的に用いられる。蒸留カラムの液体分配器のような構造体を通して配置される流路の例としては、構造体を通して液体を一方の側から他の側へ流動させることを可能にするドレン孔、ドレン管、ドレンスリットなどが挙げられる。
[0025]平均滞留時間は、蒸留区域内の所定の相に関する全液体保持体積の総計を、蒸留区域を通過するその相の平均流速で割った値として定義される。所定の相に関する保持体積には、回収器、分配器などをはじめとするカラムの種々の内部部品内に含まれる液体の体積、並びにトレー上、降下管内、及び/又は規則若しくは不規則充填床セクション内に含まれる液体を含めることができる。
[0026]通常の酢酸反応及び分離プロセスは、とりわけカルボニル化反応器、フラッシュ容器、ライトエンドカラム、及びデカンターを有する分離系列を用いる。
[0027]デカンター内の安定した液体レベルを維持することの重要性は文書に記載されており、この目標を達成する試みにおいて幾つかの分離スキームが開発されている。例えば、1つの従来の分離スキームは、ライトエンドオーバーヘッドを凝縮し、その一部を反応区域に再循環する凝縮(デカンテーション)工程を用いる。この場合には、デカンター内の液体レベルは、反応区域に再循環される凝縮されたライトエンドオーバーヘッドの量を調節することによって維持される。残念なことに、反応系に再循環される凝縮されたライトエンドの量が変動するために、反応系中の水収支の攪乱が生起する可能性があり、また、乾燥カラム供給流におけるより大きな変動が引き起こされる可能性もある。また、この分離スキームにおいては、再循環されないライトエンドオーバーヘッドの部分は、アルデヒド分離プロセスに送られる。再循環される1つ又は複数の部分は運転中に変動するので、アルデヒド分離プロセスに送られる部分も同様に変動する。したがって、アルデヒド分離プロセスへのライトエンドオーバーヘッドの流れは非常に不安定であり、これは分離効率、例えばアルデヒド分離効率に対して有害である。まとめると、デカンター内の液体レベルを制御する試みにおいて、この分離スキームは、反応系中の水収支に関する問題、及びアルデヒド分離プロセスへの不安定な流れを発生させる。
[0028]上述の不安定性に加えて、反応系に再循環される凝縮されたライトエンドの量の変動によって、ライトエンドカラムの運転における大きな不安定性が発生する可能性がある。運転の変動のために、ライトエンドカラムの全体的な運転は悪影響を受ける。その結果、ライトエンド側流の組成が不安定になる。例えば、側中の含水量は、大きく、例えば±2%より大きく、又は±1%より大きく変動し、これは3%の目標に関して組成が1%〜5%又は2%〜4%に変動する可能性があることを意味する。側流における不安定性によって、下流の分離区域、例えば乾燥カラムにおいて更なる問題が発生する。
[0029]他の分離スキームは、緩衝機能を有するデカンターを用い、例えばデカンターは、デカンター中へ又はデカンターからの供給流の変動を軽減するのに十分な容量を有する。この分離スキームにおいては、デカンターはライトエンドオーバーヘッドの相当部分をしばしば貯留しなければならない。このタイプのデカンターを用いることは更なる費用がかかり、そのプロセス制御能力には大きな改善の余地が残されている。更に、緩衝性デカンターを用いると、通常は相当量のヨウ化メチルが保持され、したがってその使用が妨げられる。
[0030]ここで驚くべきことに且つ予期しなかったことに、ライトエンドカラム及びデカンターの両方の運転を制御するために、反応器からフラッシュ容器への粗酢酸生成物の流れ、例えば液体流を有効に用いることができることが見出された。有益なことに、フラッシュ容器への粗生成物の流れ(及び場合によっては、デカンターからライトエンドカラムへの還流流)を用いることによって、より効率的な制御スキームが構築される。例えば、開示する制御スキームを用いると、変化、例えばフラッシュ流速の変化を検知したら直ぐに、カラムに対する不可避の影響を見込んで応答を行って、これによって攪乱を回避することができる。これに対して、多くの従来の制御スキーム、例えばライトエンドオーバーヘッドに基づく制御を用いると、制御はフィードバック制御であり、攪乱が既にカラムを通過してデカンターに影響を与えるまでアクションが取られない。幾つかの場合においては、得られる制御スキームは、フラッシュ流速に基づくフィードフォワード制御スキームである。その結果、ライトエンドカラムの運転、及び側流として排出される組成物は、有利なことに非常により安定している。例えば、側流中の含水量に関しては、側流中の水濃度は、定常状態運転下において±0.3%、例えば±0.2%、又は±0.1%変動するようにすることができる。
[0031]上述したように、デカンター内の液体レベル(及びライトエンドカラムの運転)を有効に制御するために、デカンター内で形成される少なくとも1つの液相のライトエンドカラムへの還流を用いることができることも見出された。液相、例えば重質相及び/又は軽質相は、通常は、ライトエンドオーバーヘッドを凝縮する際にデカンター内で形成される。殆どの分離スキームにおいては、これらの液相の一部はライトエンドカラムに戻され、これにより還流ループが構成される。還流ループの使用は公知であるが、プロセス制御スキームにおいて用いるためのその潜在的可能性は検討されていなかった。ここで、デカンター内の液体レベル(及びライトエンドカラムの運転)を制御するために、1つ又は複数の液相をライトエンドカラムに戻す量、例えば還流速度を有利に用いることができることが見出された。このように液体レベルを制御することにより、反応器に再循環される1つ又は複数の液相を変動させることとは対照的に、反応系中の水収支に対する悪影響は最小になるか又は排除される。更に、再循環流が変動する可能性がある場合においても、還流速度に対する調節が既に制御スキームに対して大きく寄与するので、これらの再循環流は非常に小さくしか変動しない。したがって、水収支に対する変動は存在する可能性があるが、かかる変動は最小になる。
[0032]また、還流ループが既に存在しているので、更なる構成要素、例えば緩衝能力を有するデカンターをプロセスに加える必要はなく、他のプロセス改変を行う必要もない。
[0033]本発明は酢酸の製造方法に関する。幾つかの態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水を含む反応媒体中でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成する工程を含む。この方法には、粗酢酸生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送る工程を更に含ませることができる。フラッシュ容器への粗酢酸の流れ(フラッシュ流)は、好ましくは液体状態である。フラッシュ流速は、通常の方法、例えば流量計によって測定することができる。粗酢酸生成物を、熱を加えるか又は加えないでフラッシングして、第1の蒸気流及び第1の液体残渣流を形成する。第1の蒸気流は酢酸及びヨウ化メチルを含む。第1の液体残渣流は金属触媒及びハロゲン化物塩を含み、反応器に再循環することができる。フラッシングされた第1の蒸気流は、ライトエンドカラム内で分離して、第2の蒸気流、側流、及び第2の液体残渣流を形成する。第2の蒸気流は、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む。側流は、精製された酢酸生成物及び場合によっては水を含む。第2の液体残渣流は、酢酸、水、及び触媒を含み、反応器に再循環することができる。第2の蒸気流の少なくとも一部をデカンター内で凝縮して、少なくとも1つの液相を形成する。幾つかの態様においては、この少なくとも1つの液相は軽質相を含む。幾つかの態様においては、この少なくとも1つの液相は重質相を含む。幾つかの態様においては、この少なくとも1つの液相は軽質液相及び重質相の両方を含む。デカンター内の液体レベルは、第2の蒸気流を凝縮することによって定められる。液体レベルは、一般に液相がそこまで上昇するレベルである。液体レベルは、デカンターの攪乱又はオーバーフローが回避されるように維持する。少なくとも1つの液相の少なくとも一部をライトエンドカラムに還流して、これによって還流ループを構成する。幾つかの場合においては、軽質相を還流して還流ループを構成する。幾つかの場合においては、重質相を還流して還流ループを構成する。また、重質相及び軽質相の両方を還流して1つ又は複数の還流ループを構成することも意図される。還流ループは特定の還流速度を有し、これは少なくとも1つの液相をライトエンドカラムに戻す流速である。還流速度は、一般に通常の方法、例えば流量計によって測定することができる。還流速度は、フラッシュ流速の変化に基づいて調節される。例えば、フラッシュ流速が増加するにつれて、より多い量の流れがフラッシュ容器に導入されるように還流速度を調節することができる。より多い量の流れはまた、その後に、ライトエンドカラム中への流れ及びデカンターの液体レベルに影響を与える可能性もある。幾つかの場合においては、この方法には、フラッシュ流速及び還流速度の少なくとも1つに基づいて、例えばフラッシュ流速に基づいて、還流速度に基づいて、又はフラッシュ流速及び還流速度の両方に基づいて、デカンター内の液体レベルを制御する工程を含ませることができる。側流濃度の変動も向上する。例えば、側流中の水濃度は、定常状態運転下において±0.3%、例えば±0.2%、又は±0.1%変動するようにすることができ、及び/又は側流中の水濃度は、1.1重量%〜3重量%、例えば1.3重量%〜2.7重量%、又は1.5重量%〜2.5重量%の範囲にすることができる。
[0034]幾つかの態様においては、本発明方法の制御スキームによって、定常状態運転下において少なくとも6時間、例えば少なくとも12時間、又は少なくとも24時間の間、実質的に一定なデカンター内の液体レベルが与えられる。例えば、液体レベルは、この時間中に±5%、例えば±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、又は±0.2%変動するようにすることができる。
[0035]一態様においては、制御は、デカンター内の液体レベルを測定し、液体レベルに応答してフラッシュ流速(及び/又は還流速度)を調節することを含む。測定されたレベルを所定のレベルと比較することができ、この比較に基づいてフラッシュ流速(及び/又は還流速度)の調節を行うことができる。例えば、液体レベルが所定のレベルを超えて増加した場合には、制御にフラッシュ流速を減少させること(及び/又は還流速度を増加させること)を含ませることができる。その結果として、減少した流速の液体がフラッシュ容器(及びその後のユニット)に送られ、これにより液体レベルが減少する。減少した流速は、液体レベルが所定のレベル(誤差の範囲内)に戻るまで維持することができる。而して、制御には、液体レベルが増加した場合にフラッシュ流速を減少させることを含ませることができる。
[0036]一態様においては、制御に、液体レベルが減少した場合にフラッシュ流速を増加させる(及び/又は還流速度を減少させる)ことを含ませることができる。測定されたレベルを所定のレベルと比較することができ、この比較に基づいてフラッシュ流速(及び/又は還流速度)の調節を行うことができる。例えば、液体レベルが所定の値よりも低く減少した場合には、制御に、フラッシュ流速を増加させること(及び/又は還流速度を減少させること)を含ませることができる。その結果として、増加した流速の液体がフラッシュ容器(及びその後のユニット)に送られ、これにより液体レベルが増加する。増加した流速は、液体レベルが所定のレベル(誤差の範囲内)に戻るまで維持することができる。
[0037]一態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;粗酢酸生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送り;粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び場合によっては水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;フラッシュ流速及び還流速度の少なくとも1つに基づいてデカンター内の液体レベルを制御する;工程を含み;還流速度はフラッシュ流速の変動に基づいて調節され;及び/又は制御は、フラッシュ流速を測定し、測定に応答して還流速度を調節することを含む。
[0038]一態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;粗酢酸生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送り;粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた第1の蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び場合によっては水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流する;工程を含み;還流速度はフラッシュ流速の変化に基づいて調節され;側流中の水濃度は定常状態運転下において±0.3%変動し、及び/又は側流中の水濃度は1.1重量%〜3重量%の範囲である。
[0039]一態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;粗酢酸生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送り;粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた第1の蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び場合によっては水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流する;工程を含み;還流速度はフラッシュ流速の変化に基づいて調節され;少なくとも1つの液相は重質相の少なくとも一部を含み、重質相の比重は定常状態運転下において±0.05変動し、及び/又は重質相の比重は定常状態運転下において1.5〜1.8の範囲である。
[0040]一態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;粗酢酸生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送り;粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた第1の蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び場合によっては水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;少なくとも1つの液相の第2の部分を特定のPRS供給速度でPRC除去システムに送る;工程を含み;還流速度はフラッシュ流速の変化に基づいて調節され;場合によっては、PRS供給速度は定常状態運転下において±25%変動する。
[0041]一態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;粗酢酸生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送り;粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた第1の蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び場合によっては水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流する;工程を含み;還流速度はフラッシュ流速の変化に基づいて調節され;少なくとも1つの液相は軽質相の少なくとも一部を含み、軽質相の比重は定常状態運転下において±0.05変動し、及び/又は軽質相の比重は定常状態運転下において0.9〜1.2の範囲である。
[0042]幾つかの態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質、好ましくはメタノールを、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水を含む反応媒体中でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成する工程を含む。粗酢酸生成物を、熱を加えるか又は加えないでフラッシングして、第1の蒸気流及び第1の液体残渣流を形成する。第1の蒸気流は酢酸及びヨウ化メチルを含む。第1の液体残渣流は金属触媒及びハロゲン化物塩を含み、反応器に再循環することができる。フラッシングされた第1の蒸気流は、ライトエンドカラム内で分離して、第2の蒸気流、側流、及び第2の液体残渣流を形成する。第2の蒸気流は、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む。側流は、精製された酢酸生成物及び水を含む。第2の残渣流は、酢酸、水、及び触媒を含み、反応器に再循環することができる。第2の蒸気流の少なくとも一部をデカンター内で凝縮して、少なくとも1つの液相を形成する。幾つかの態様においては、この少なくとも1つの液相は軽質相を含む。幾つかの態様においては、この少なくとも1つの液相は重質相を含む。幾つかの態様においては、この少なくとも1つの液相は、軽質液相及び重質相の両方を含む。デカンター内の液体レベルは、第2の蒸気流を凝縮することによって定められる。液体レベルは、デカンターの攪乱又はオーバーフローが回避されるように維持する。少なくとも1つの液相の少なくとも一部をライトエンドカラムに還流して、これによって還流ループを構成する。幾つかの場合においては、軽質相を還流して還流ループを構成する。幾つかの場合においては、重質相を還流して還流ループを構成する。また、重質相及び軽質相の両方を還流して1つ又は複数の還流ループを構成することも意図される。還流ループは特定の還流速度を有し、これは少なくとも1つの液相をライトエンドカラムに戻す流速である。この方法は、還流ループの還流速度によってデカンター内の液体レベルを制御する工程を更に含む。好ましくは、デカンター内の液体レベルは、液体レベルが定常状態運転下において実質的に一定であり、及び重要なことには反応器内の含水量を定常状態運転下において実質的に一定のレベルに維持することができるように制御する。側流濃度の変動が向上する。例えば、側流中の水濃度は定常状態運転下において±0.3%、例えば±0.2%、又は±0.1%変動するようにすることができ、及び/又は側流中の水濃度は、1.1重量%〜3重量、例えば1.3重量〜2.7重量%、又は1.5重量%〜2.5重量%の範囲にすることができる。
[0043]一態様においては、制御は、デカンター内の液体レベルを測定し、液体レベルに応じて還流速度を調節することを含む。測定されたレベルを所定のレベルと比較することができ、この比較に基づいて還流速度の調節を行うことができる。例えば、液体レベルが所定のレベルを超えて増加した場合には、制御に還流速度を増加させることを含ませることができる。その結果として、増加した流速の液体がデカンターから(ライトエンドカラムへ)排出され、これにより液体レベルが減少する。増加した流速は、液体レベルが所定のレベル(誤差の範囲内)に戻るまで維持することができる。而して、制御には、液体レベルが増加した場合に還流速度を増加させることを含ませることができる。
[0044]一態様においては、制御に、液体レベルが減少した場合に還流速度を減少させることを含ませることができる。測定されたレベルを所定のレベルと比較することができ、この比較に基づいて還流速度の調節を行うことができる。例えば、液体レベルが所定のレベルよりも低く減少した場合には、制御に、還流速度を減少させることを含ませることができる。その結果として、減少した流速の液体がデカンターから(ライトエンドカラムへ)排出され、これにより液体レベルが増加する。減少した流速は、液体レベルが所定のレベル(誤差の範囲内)に戻るまで維持することができる。
[0045]一態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;還流速度を調節又は制御することによってデカンター内の液体レベルを制御する;工程を含み;側流中の水濃度は1.1重量%〜3重量の範囲である。
[0046]一態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;還流速度を調節又は制御することによってデカンター内の液体レベルを制御する;工程を含み;デカンター内の液体レベルは定常状態運転下において±5%変動する。
[0047]一態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;還流速度を調節又は制御することによってデカンター内の液体レベルを制御する;工程を含み;側流中の水濃度は±0.3%変動し、少なくとも1つの液相は重質相を含み、重質相の比重は定常状態運転下において1.5〜1.8の範囲であり、及び/又は少なくとも1つの液相は重質相を含み、重質相の比重は定常状態運転下において±0.05変動する。
[0048]一態様においては、この方法は、メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;ライトエンドカラム内において、フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;還流速度を調節又は制御することによってデカンター内の液体レベルを制御する;工程を含み;側流中の水濃度は±0.3%変動し、少なくとも1つの液相は軽質相を含み、軽質相の比重は定常状態運転下において±0.05変動し、及び/又は少なくとも1つの液相は軽質相を含み、軽質相の比重は定常状態運転下において0.9〜1.2の範囲である。
[0049]上述のプロセスの1つの有利な特徴は、安定したライトエンドカラムの運転及び/又はデカンター内の液体レベルを維持するための制御メカニズムとしてフラッシュ流速を用いることである。この点に関してフラッシュ流速の使用(及び場合によっては還流ループの使用)を実施するためにプロセス制御の一般的原理を用いることは、本発明の意図の範囲内である。本明細書において開示する代表的なプロセス制御メカニズムは単に例示に過ぎず、発明の範囲を限定することは意図しない。他の具体的なプロセス制御メカニズムは、安定したライトエンドカラムの運転及び/又はデカンター内の液体レベルを維持するためにフラッシュ流速(及び場合によっては還流ループ)を用いる限りにおいて、本発明の範囲内である。
[0050]上述のプロセスの他の有利な特徴は、デカンター内の液体レベルを維持するための制御メカニズムとして還流ループを用いることである。この点に関して還流ループの使用を実施するためにプロセス制御の一般的原理を用いることは、本発明の意図の範囲内である。本明細書において開示する代表的なプロセス制御メカニズムは単に例示に過ぎず、発明の範囲を限定することは意図しない。他の具体的なプロセス制御メカニズムは、デカンター内の液体レベルを維持するために還流ループを用いる限りにおいて、本発明の範囲内である。
[0051]ここで議論する制御スキームの結果として、ライトエンドカラムはより安定した運転を行うことができ、例えばより安定したカラムプロファイルが形成されて維持される。デカンターから排出される流れ、例えば反応器への再循環流によってデカンターレベルを制御する場合には、還流は一定に維持され、変動しない。このスキームは幾つかの蒸留カラムを制御するのに多少は有効である可能性があるが、このスキームは多くの分離系列に関して決して最適ではない。かかる状況において還流を一定に維持すると、カラムの攪乱が更に増幅する傾向があり、攪乱を処理する塔の能力を超過する可能性がある。オーバーヘッドデカンター内の物質の増加を引き起こすカラムへの供給流における攪乱は、ここで議論するように対応して還流を増加させることによって最も良く対処することができる。而して、ここに開示する制御スキームを用いることによって、例えば安定状態で運転している際にライトエンドカラムから排出される流れはより安定する。例えば、ライトエンドカラムから排出される側流中の水濃度は、例えばここに開示する範囲及び限界にしたがって実質的に一定である。側流中の水濃度の安定性は、カラムの運転、例えばカラムプロファイルの安定性を示すものである。ここに記載するライトエンド運転制御及び/又はデカンター液体レベル制御を行わないと、ライトエンドカラムから排出される側流は遙かにより不安定になる。
[0052]幾つかの態様においては、本発明方法の制御スキームによって、定常状態運転下において少なくとも6時間、例えば少なくとも12時間、又は少なくとも24時間の間実質的に一定である、デカンター内の液体レベルが与えられる。例えば、液体レベルは、この時間中に±5%、例えば±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、又は±0.2%変動するようにすることができる。
[0053]一態様においては、この方法は、少なくとも1つの液相の残りの少なくとも一部を特定のPRS供給速度で過マンガン酸塩還元性化合物(PRC)除去システムに送る工程を更に含む。PRSは、PRC、主としてアセトアルデヒドのようなアルデヒドを、ライトエンド蒸留カラムの低沸点オーバーヘッド蒸気流(第2の蒸気流)から、例えば軽質相及び/又は重質相から除去するために用いる。少なくとも1つの液相の少なくとも一部をPRSに送ることができる。PRSに送られる少なくとも1つの液相の部分は、ライトエンドカラムに還流される少なくとも1つの液相の部分ではない。ここに開示する制御スキームの結果として、PRSに送られる少なくとも1つの液相の部分が、量(PRS供給速度)及び組成の両方においてより安定する。一態様においては、PRS供給速度は定常状態運転下において実質的に一定である。例えば、PRS供給速度は、±25%、例えば±15%、±10%、±5%、又は±3%変動するようにすることができる。PRSに供給される流れの安定性によって、PRSのより安定した運転が与えられる。
[0054]一態様においては、少なくとも1つの液相は軽質相を含む。幾つかの場合においては、軽質相はライトエンドカラムに還流することができる。これらの場合においては、軽質相の比重は、有利なことに定常状態運転下において実質的に一定にすることができる。例えば、軽質相の比重は、±0.15、例えば±0.05、±0.03、例えば又は±0.01変動する。範囲に関しては、軽質相の比重は、0.9〜1.2、例えば1.0〜1.1、1.03〜1.07、又は1.04〜1.06にすることができる。軽質相の比重の安定性は、カラムの運転、例えばカラムプロファイルの安定性を示すものである。
[0055]一態様においては、少なくとも1つの液相は重質相を含む。幾つかの場合においては、重質相はライトエンドカラムに還流することができる。これらの場合においては、重質相の比重は、有利なことに定常状態運転下において実質的に一定にすることができる。例えば、重質相の比重は、±0.05、±0.03、例えば又は±0.01変動する。範囲に関しては、重質相の比重は、1.5〜1.8、1.55〜1.75、又は1.6〜1.7にすることができる。重質相の比重の安定性は、カラムの運転、例えばカラムプロファイルの安定性を示すものである。塔プロファイル(tower profile)が上昇すると、重質相密度は低下する。
[0056]一態様においては、側流は、乾燥カラム内で更に処理、例えば脱水又は乾燥して、酢酸及び少量の水を含む脱水した酢酸生成物を形成することができる。上述したように、乾燥カラムに供給される側流中の水濃度は、有益なことに、ここに開示する制御スキームの結果として実質的に一定である。而して、塔プロファイルの攪乱が最小になり、したがって側流の組成は、還流を一定に保持して塔組成プロファイルを変動させる場合よりもより安定状態に維持される。乾燥カラムに供給される流れの安定性によって、乾燥カラム内のより安定したプロファイルが可能になり、これにより向上した分離効率が与えられる。一態様においては、ここに開示する制御スキームの結果として、乾燥カラムに供給されるヨウ化水素の量は、還流速度又はフラッシュ流速によってデカンター液体レベルを維持しないプロセスから得られる同様の流れと比べて減少する。
[0057]一態様においては、本発明方法によって、ライトエンドカラムと乾燥カラムの間の分離バランスが可能になる。上述したように、ここに開示する制御スキームを用いることによって、ライトエンド塔のより定常的な運転、及びライトエンド塔内のより安定した組成プロファイルが得られる。これらの安定性によって、反応器へのより広い範囲の軽質相の再循環を行うことが可能になる。更に、側流の組成をより容易に制御することができる。これらの運転の1つの利益は、装置の実際の運転の制約内で最適の性能を得るために、生成物の酢酸からの水の総合的な分離を、丁度1つとは対照的に2つのカラムの間でバランスを取ることができる。
[0058]「定常状態の運転」は当該技術において周知の用語である。定常状態の運転とは、特定の運転のパラメーターが経時的に一定である(又は僅かしか変動しない)ことを意味する。例えば、カラムの運転に関しては、定常状態とは、運転に投入される流れの合計が、運転から排出される流れの合計の流れと同等であることを意味する。定常状態は、始動時又は停止時は指さない。本明細書において用いる「定常状態運転下」という用語は、少なくとも6時間、例えば少なくとも12時間、少なくとも24時間、又は少なくとも48時間の間の定常状態運転下として解釈することができる。
酢酸製造システム:
[0059]代表的な酢酸製造プロセスを下記に記載する。明確にするために、実際の実施の全ての特徴は本明細書には記載していない。プロセスの記載は単に例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。
[0060]酢酸生成物へのメタノールのカルボニル化反応は、メタノール供給流を、金属触媒、例えばロジウム触媒、ハロゲン含有触媒促進剤、例えばヨウ化メチル、更なる可溶性ハロゲン化物塩、例えばヨウ化リチウムのようなヨウ化物塩、並びに場合によっては酢酸メチル及び/又は水を含む酢酸溶媒反応媒体を通してバブリングしている気体状一酸化炭素と、カルボニル化生成物を形成するのに好適な温度及び圧力の条件において接触させることによって行うことができる。
[0061]触媒は、ロジウムのような第VIII族金属触媒、及びハロゲン含有触媒促進剤であってよい。特に有用なプロセスは、米国特許5,001,259において例示されているメタノールの酢酸への低水ロジウム触媒カルボニル化である。他の金属触媒、例えばイリジウムベースの触媒も意図される。一般に、触媒系の金属成分、例えばロジウム成分は、ロジウムと、配位化合物の少なくとも1つのリガンドを与えるハロゲン成分との配位化合物の形態で存在すると考えられる。ロジウムとハロゲンの配位に加えて、一酸化炭素がロジウムと配位するとも考えられている。触媒系のロジウム成分は、ロジウム金属、酸化物、酢酸塩、ヨウ化物、炭酸塩、水酸化物、塩化物等のようなロジウム塩、或いは反応雰囲気中でロジウムの配位化合物を形成する他の化合物の形態のロジウムを反応区域中に導入することによって与えることができる。金属触媒、例えばロジウム触媒は、幾つかの態様においては、200〜2000重量ppm(wppm)の量で存在する。
[0062]触媒系のハロゲン含有触媒促進剤は、有機ハロゲン化物を含むハロゲン化合物から構成される。而して、アルキル、アリール、及び置換アルキル又はアリールハロゲン化物を用いることができる。好ましくは、ハロゲン含有触媒促進剤はアルキルハロゲン化物の形態で存在する。更により好ましくは、ハロゲン含有触媒促進剤は、アルキル基がカルボニル化する供給アルコールのアルキル基に対応しているアルキルハロゲン化物の形態で存在する。而して、メタノールの酢酸へのカルボニル化において、ハロゲン化物促進剤としては、ハロゲン化メチル、より好ましくはヨウ化メチルが挙げられる。
[0063]一般に、重要なのはヨウ化物と会合するカチオンではなく、触媒系中のヨウ化物イオンの濃度であり、ヨウ化物の所定のモル濃度においては、カチオンの性質はヨウ化物濃度の効果ほどは重要ではないと認識される。塩がヨウ化物の所望のレベルを与えるのに十分に反応媒体中に可溶であるならば、任意の金属ヨウ化物塩、又は任意の有機カチオンの任意のヨウ化物塩、或いはアミン若しくはホスフィン化合物をベースとするもののような他のカチオン(場合によっては第3級又は第4級カチオン)を反応媒体中に保持することができる。ヨウ化物が金属塩である場合には、好ましくはこれは、"Handbook of Chemistry and Physics", CRC Press刊, Cleveland, Ohio, 2002-03(83版)に示されているような周期律表第IA族及び第IIA族の金属からなる群の元素のヨウ化物塩である。特に、アルカリ金属ヨウ化物が有用であり、ヨウ化リチウムが特に好適である。低水カルボニル化プロセスにおいては、ヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンに加えて更なるヨウ化物イオンを、概して、全ヨウ化物イオン濃度が2〜20重量%であり、酢酸メチルが概して0.5〜30重量%の量で存在し、ヨウ化メチルが概して5〜20重量%の量で存在するような量で触媒溶液中に存在させる。
[0064]幾つかの態様においては、反応媒体中に、所望のカルボン酸とアルコール、望ましくはカルボニル化において用いるアルコールとのエステル、並びにヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンの他に更なるヨウ化物イオンを保持することによって、低い水濃度においても所望の反応速度が得られる。所望のエステルは酢酸メチルである。米国特許5,001,259に記載されているように、低い水濃度下においては、酢酸メチル及びヨウ化リチウムは、比較的高い濃度のこれらの成分のそれぞれが存在している場合にのみ速度促進剤として機能し、これらの成分の両方が同時に存在している場合に促進がより高いことが分かっている。ヨウ化物イオン含量の絶対濃度は単に例として与えられており、限定として解釈すべきではない。
[0065]幾つかの態様においては、酢酸を製造する方法は、リチウム化合物を反応器中に導入して、反応媒体中において0.3〜0.7重量%の量の酢酸リチウムの濃度を維持することを更に含む。幾つかの態様においては、反応媒体中において0.1〜1.3重量%の量のヨウ化水素の濃度を維持する量のリチウム化合物を反応器中に導入する。幾つかの態様においては、カルボニル化反応器内に存在する反応媒体の全重量を基準として、ロジウム触媒の濃度は反応媒体中において200〜3000wppmの量に維持し、水の濃度は反応媒体中において0.1〜4.1重量%の量に維持し、酢酸メチルの濃度は反応媒体中において0.6〜4.1重量%に維持する。
[0066]幾つかの態様においては、反応器中に導入するリチウム化合物は、酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、他の有機リチウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。幾つかの態様においては、リチウム化合物は反応媒体中に可溶である。一態様においては、リチウム化合物の源物質として酢酸リチウム二水和物を用いることができる。
[0067]酢酸リチウムは、次の平衡反応(I):
[0068]
Figure 2016117707
にしたがってヨウ化水素と反応して、ヨウ化リチウム及び酢酸を形成する。
[0069]酢酸リチウムは、反応媒体中に存在する酢酸メチルのような他のアセテートに対してヨウ化水素濃度の改良された制御を与えると考えられる。理論には縛られないが、酢酸リチウムは酢酸の共役塩基であり、したがって酸−塩基反応によってヨウ化水素に対して反応性である。この特性は、酢酸メチルとヨウ化水素の対応する平衡によって生成するものを上回って反応生成物を有利に生成する反応(I)の平衡をもたらすと考えられる。この改良された平衡は、反応媒体中の4.1重量%未満の水の濃度によって推進される。更に、酢酸メチルと比べて比較的低い酢酸リチウムの揮発性によって、酢酸リチウムを、揮発損失及び蒸気粗生成物中への少量の同伴を除いて反応媒体中に保持することが可能になる。これに対して、酢酸メチルの比較的高い揮発性により、材料が精製系列中に留出して、酢酸メチルを制御するのがより困難になる。酢酸リチウムは、ヨウ化水素の安定して低い濃度において、プロセス中に保持及び制御するのが遙かにより容易である。したがって、反応媒体中のヨウ化水素濃度を制御するのに必要な酢酸メチルの量と比べて比較的少量の酢酸リチウムを用いることができる。更に、酢酸リチウムはロジウム[I]錯体へのヨウ化メチルの酸化的付加を促進するのに酢酸メチルよりも少なくとも3倍有効であることが見出された。
[0070]幾つかの態様においては、反応媒体中の酢酸リチウムの濃度は、0.3重量%以上、又は0.35重量%以上、又は0.4重量%以上、又は0.45重量%以上、或いは0.5重量%以上に維持し、及び/又は幾つかの態様においては、反応媒体中の酢酸リチウムの濃度は、0.7重量%以下、又は0.65重量%以下、又は0.6重量%以下、或いは0.55重量%以下に維持する。
[0071]反応媒体中の過剰の酢酸リチウムは、反応媒体中の他の化合物に悪影響を与えて生産性を減少させる可能性があることが見出された。これとは逆に、約0.3重量%より低い反応媒体中の酢酸リチウム濃度は、1.3重量%より低い反応媒体中の所望のヨウ化水素濃度を維持することができないことが見出された。
[0072]幾つかの態様においては、リチウム化合物は反応媒体中に連続的又は断続的に導入することができる。幾つかの態様においては、リチウム化合物は反応器の始動中に導入する。幾つかの態様においては、リチウム化合物は同伴損失を補償するために断続的に導入する。
[0073]反応媒体はまた、副生成物の形成を回避するために制御しなければならない不純物も含む可能性がある。反応媒体中の1つの不純物はヨウ化エチルである可能性があり、これは酢酸から分離することが困難である。本出願人らは、ヨウ化エチルの形成は、反応媒体中のアセトアルデヒド、酢酸エチル、酢酸メチル、及びヨウ化メチルの濃度などの数多くの変数によって影響を受ける可能性があることを更に見出した。更に、メタノール源物質中のエタノール含量、一酸化炭素源物質中の水素分圧及び水素含量は、反応媒体中のヨウ化エチル濃度、及びその結果として最終酢酸生成物中のプロピオン酸濃度に影響を与えることが見出された。
[0074]幾つかの態様においては、酢酸生成物中のプロピオン酸濃度は、更に、酢酸生成物からプロピオン酸を除去することなく、反応媒体中のヨウ化エチル濃度を750wppm以下に維持することによって250wppmより低く維持することができる。
[0075]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチル濃度と、酢酸生成物中のプロピオン酸は、3:1〜1:2の重量比で存在していてよい。幾つかの態様においては、反応媒体中のアセトアルデヒド:ヨウ化エチル濃度は、2:1〜20:1の重量比に維持する。
[0076]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチル濃度は、水素分圧、反応媒体中の酢酸メチル濃度、ヨウ化メチル濃度、及び/又はアセトアルデヒド濃度の少なくとも1つを制御することによって維持することができる。
[0077]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチルの濃度は、750wppm以下、又は例えば650wppm以下、又は550wppm以下、又は450wppm以下、或いは350wppm以下になるように維持/制御する。幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチルの濃度は、1wppm、又は例えば5wppm、又は10wppm、又は20wppm、或いは25wppm以上で、650wppm、又は例えば550wppm、又は450wppm、或いは350wppm以下に維持/制御する。
[0078]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチルと酢酸生成物中のプロピオン酸との重量比は、3:1〜1:2、又は例えば5:2〜1:2、又は2:1〜1:2、或いは3:2〜1:2の範囲であってよい。
[0079]幾つかの態様においては、反応媒体中のアセトアルデヒドとヨウ化エチルとの重量比は、20:1〜2:1、又は例えば15:1〜2:1、或いは9:1〜2:1の範囲であってよい。
[0080]一態様においては、気体パージ流106は、1重量%以下、例えば0.9重量%以下、0.8重量%以下、0.7重量%以下、0.5重量%以下の少量のヨウ化水素を含む。これらの量を超えるヨウ化水素は、スクラバーに対する負荷を増加させてヨウ化水素がパージされるのを妨げる可能性がある。
[0081]一態様においては、好適な過マンガンカリウム試験はJIS−K1351(2007)である。
[0082]用いる液体反応媒体には触媒系と適合性の任意の溶媒を含ませることができ、純粋なアルコール、又はアルコール供給材料及び/又は所望のカルボン酸及び/又はこれらの2つの化合物のエステルの混合物を挙げることができる。低水カルボニル化プロセスのために好ましい溶媒及び液体反応媒体は、所望のカルボン酸生成物を含む。而して、メタノールの酢酸へのカルボニル化において、好ましい溶媒系は酢酸を含む。
[0083]水は反応媒体中に含まれるが、望ましくは十分な反応速度を達成するために低い濃度で含まれる。例えば米国特許3,769,329において、ロジウム接触カルボニル化反応において、水の添加は反応速度に対して有益な効果を与えることが従前に教示されている。而して、幾つかの商業運転は、通常は14重量%より高い水濃度で運転する。しかしながら、幾つかの態様においては、14重量%以下、例えば10重量%以下、1重量%以下、又は0.1重量%以下の水濃度を用いることができる。範囲に関しては、反応媒体に、反応媒体の全重量を基準として0.1重量%〜14重量%、例えば0.2重量%〜10重量%、又は0.25重量%〜5重量%の水を含ませることができる。
[0084]カルボニル化のための通常の反応温度は150〜250℃であってよく、180〜225℃の温度範囲が好ましい範囲である。反応器内の一酸化炭素分圧は広範囲に変化させることができるが、通常は2〜30気圧、例えば3〜10気圧である。副生成物の分圧及び含まれている液体の蒸気圧のために、全反応器圧力は15〜40気圧の範囲であってよい。
[0085]代表的な反応及び酢酸回収システム100を図1に示す。示されているように、メタノール供給流101及び一酸化炭素含有供給流102を液相カルボニル化反応器104に送って、その中でカルボニル化反応を行って酢酸を形成する。
[0086]カルボニル化反応器104は、好ましくは撹拌容器、又は撹拌装置を有するか又は有しないバブルカラムタイプの容器のいずれかであり、これらの中で反応液又はスラリー内容物を好ましくは自動的に所定のレベルに維持し、これを好ましくは通常運転中において実質的に一定に維持する。反応媒体中における水の少なくとも限定濃度、例えば0.1重量%を維持するために必要に応じて、カルボニル化反応器104中に、一酸化炭素及び十分な水を連続的に導入する。
[0087]通常のカルボニル化プロセスにおいては、一酸化炭素をカルボニル化反応器中の望ましくは撹拌装置(内容物を撹拌するために用いることができる)の下方に連続的に導入する。気体供給流は、好ましくは、この撹拌手段によって反応液体を通して十分に分散される。望ましくは気体パージ流106を反応器104から排出して、気体状副生成物の蓄積を阻止し、所定の全反応器圧力において設定一酸化炭素分圧を維持する。反応器の温度は制御することができ、一酸化炭素供給流は、所望の全反応器圧力を維持するのに十分な速度で導入する。フラッシングされていない酢酸生成物を含む流れ113が反応器104から排出される。
[0088]粗酢酸生成物は分離区域108内で精製して酢酸を回収し、触媒溶液、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び他の系成分をプロセス内で再循環することができる。而して、フラッシュ容器112からの流れ110のような再循環触媒溶液、並びに場合によっては再循環流114、116、118、及び120の1以上も、反応器104中に導入する。勿論、1以上の再循環流を、反応器104中に導入する前に混合することができる。しかしながら上述したように、ここに開示する制御スキームを考慮すると、プロセス制御のためのこれらの再循環流の使用は、減少又は排除することができる。しかしながら、幾つかの場合においては、これらの再循環流は単に反応器に成分を戻すために用いることができる。
[0089]粗生成物を、カルボニル化反応器104から、その中の一定のレベルを維持するのに十分な速度で引き抜き、流れ113を通してフラッシュ容器112に供給する。フラッシュ容器112においては、粗生成物をフラッシュ分離工程で分離して、酢酸を含む揮発性(蒸気状)のオーバーヘッド流(第1の蒸気流)122、及び触媒含有溶液(主として、ロジウム及びヨウ化物塩を、より少量の酢酸メチル、ヨウ化メチル、及び水と共に含む酢酸)を含む揮発性がより低い(液体状の)残渣流110(これは好ましくは上記で議論したように反応器に再循環する)を得る。而して、粗酢酸生成物の精製には、熱を加えるか又は加えないで粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及び残留一酸化炭素を含む第1の蒸気流(流れ122)、並びに触媒を含む第1の液体残渣流(流れ110)を形成し、第1の液体残渣を第1の反応器に再循環する工程を含ませることができる。
[0090]一態様においては、蒸気生成物流は、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、アセトアルデヒド、及びヨウ化水素を含む。一態様においては、蒸気生成物流は、蒸気生成物流の全重量を基準として45〜75重量%の量の酢酸、20〜50重量%の量のヨウ化メチル、9重量%以下の量の酢酸メチル、及び15重量%以下の量の水を含む。他の態様においては、蒸気生成物流は、蒸気生成物流の全重量を基準として45〜75重量%の量の酢酸、24乃至36重量%未満の量のヨウ化メチル、9重量%以下の量の酢酸メチル、及び15重量%以下の量の水を含む。より好ましくは、蒸気生成物流は、55〜75重量%の量の酢酸、24〜35重量%の量のヨウ化メチル、0.5〜8重量%の量の酢酸メチル、及び0.5〜14重量%の量の水を含む。更に好ましい態様においては、蒸気生成物流は、60〜70重量%の量の酢酸、25〜35重量%の量のヨウ化メチル、0.5〜6.5重量%の量の酢酸メチル、及び1〜8重量%の量の水を含む。蒸気生成物流中のアセトアルデヒド濃度は、蒸気生成物流の全重量を基準として0.005〜1重量%、例えば0.01〜0.8重量%、又は0.01〜0.7重量%の量にすることができる。幾つかの態様においては、アセトアルデヒドは0.01重量%以下の量で存在するようにすることができる。蒸気生成物流は、蒸気生成物流の全重量を基準として1重量%以下、例えば0.5重量%以下、又は0.1重量%以下の量のヨウ化水素を含むようにすることができる。ヨウ化水素は、好ましくは蒸気生成物流中に存在する。蒸気生成物流は、好ましくはプロピオン酸を実質的に含まず、例えば蒸気生成物流の全重量を基準として0.0001重量%以下のプロピオン酸を含む。
[0091]液体再循環流は、酢酸、金属触媒、腐食金属、並びに他の種々の化合物を含む。一態様においては、液体再循環流は、60〜90重量%の量の酢酸;0.01〜0.5重量%の量の金属触媒;10〜2500wppmの合計量の腐食金属(例えば、ニッケル、鉄、及びクロム);5〜20重量%の量のヨウ化リチウム;0.5〜5重量%の量のヨウ化メチル;0.1〜5重量%の量の酢酸メチル;0.1〜8重量%の量の水;1重量%以下の量のアセトアルデヒド(例えば0.0001〜1重量%のアセトアルデヒド);及び0.5重量%以下の量のヨウ化水素(例えば0.0001〜0.5重量%のヨウ化水素);を含む。
[0092]フラッシュ容器112からのオーバーヘッド流は、流れ122としてライトエンドカラム124に送り、ここで蒸留によって、低沸点のオーバーヘッド蒸気流126、好ましくは側流128によって取り出される精製された酢酸生成物、及び高沸点の残渣流116を得る。側流128によって取り出される酢酸は、好ましくは、水から酢酸を選択的に分離するために、乾燥カラム130などにおいて更なる精製にかける。而して、精製には、ライトエンドカラム内において、フラッシングされた蒸気流を分離して、一酸化炭素を含む第2の蒸気流(流れ126)、精製された酢酸生成物を含む側流(流れ128)、及び第2の液体残渣流(流れ116)を形成する工程を更に含ませることができる。
[0093]米国特許6,143,930及び6,339,171においては、ライトエンドカラムから排出される低沸点のオーバーヘッド蒸気流中には、一般にカラムから排出される高沸点の残渣流中におけるよりも高いPRCの濃度、特にアセトアルデヒド濃度が存在することが開示されている。而して幾つかの場合においては、PRCを含む低沸点のオーバーヘッド蒸気流126を、PRS132内で更なる処理にかけて、存在するPRCの量を減少及び/又は除去する。したがって、示されているように、低沸点のオーバーヘッド蒸気流126を凝縮して、オーバーヘッド受容器デカンター134によって示されるオーバーヘッド相分離ユニットに送る。PRCに加えて、低沸点のオーバーヘッド蒸気流126は、通常はヨウ化メチル、酢酸メチル、酢酸、及び水を含んでいてよい。
[0094]プロセス内の条件は、望ましくは、低沸点のオーバーヘッド蒸気流126がデカンター134内に入ったら、分離して少なくとも1つの液相、例えば軽質相及び/又は重質相を形成することができるように維持する。一般に、低沸点のオーバーヘッド蒸気流126は、凝縮性のヨウ化メチル、酢酸メチル、アセトアルデヒド及び他のカルボニル成分、並びに水を凝縮及び分離して2つの別々の相を形成するのに十分な温度に冷却する。流れ126の一部は、一酸化炭素、二酸化炭素、水素などのような非凝縮性の気体を含む可能性があり、これは図1において流れ136によって示されるように排気することができ、低圧吸収器ユニット(図示せず)に送ることができる。デカンター内の液相によってデカンター134内の液体レベル135を形成することができる。測定装置137をデカンター134の内部又は周囲に配置する。測定装置137は液体レベルを測定する。この液体レベルは、開示されている制御スキームにおいて用いて、ライトエンドカラムの運転及び/又はデカンター液体レベルを制御することができる。好ましくは、測定装置137は、デカンターに関係する他の制御ハードウエア(図示せず)と連絡している。開示されている制御スキームを実施するために適当な制御ハードウエアを選択することは、十分に当業者の予測の範囲内である。
[0095]デカンター134内の凝縮された軽質相は、一般に、水、酢酸、及びPRC、並びに特定量のヨウ化メチル及び酢酸メチルを含む可能性がある。凝縮された軽質相は、ライン131を通してデカンター134から排出される。デカンター134内の凝縮された重質相は、一般に、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及びPRCを含む可能性がある。凝縮された重質相は、ライン118を通してデカンターから排出される。図1に示すように、軽質相及び/又は重質相の少なくとも一部を、ライトエンドカラム124に還流して戻すことができる。ライン131内の軽質相の一部を、ライン131’を通してライトエンドカラム124に還流して、これにより、ライン126、デカンター134、ライン131’、及びライトエンドカラム124によって還流ループを構成することができる。ライン118内の重質相の一部を、ライン118’を通して(ライン131’内の軽質相と共に、又はこれを伴わないで)ライトエンドカラム124に還流して戻して、これにより、ライン126、デカンター134、ライン118’、及びライトエンドカラム124によって還流ループを構成することができる。デカンター134内の液体レベルを維持するために、流れ131’及び/又は118’の還流速度を用いることができる。流れ131’及び118’は実線で示されているが、131’のみ又は118’のみを、ライン126、デカンター134、及びライトエンドカラム124と組み合わせて用いて還流ループを構成することができることは、本発明の意図の範囲内である。
[0096]還流することができる軽質相の部分131’に加えて、流れ131の別の部分をPRS132に送ることができる。流れ131”は、流れ131の別の部分を、ライン138を通してPRS132に送る。還流することができる重質相118’に加えて、流れ118の別の部分をPRS132に送ることができる。流れ118”は、流れ118の別の部分を、ライン131”と混合した後にPRS132に送る(場合によっては、流れ118”はPRS132に直接供給することができる)。ここに開示する制御スキームを考慮すると、流れ118”及び131”の組成をより安定にすることができ、これによって有利なことにPRS132におけるより有効な分離がもたらされる。
[0097]デカンター134内の凝縮された重質液相は、流れ118によって反応器104に直接か又は間接的のいずれかで好都合に再循環することができるが、この再循環はプロセス制御の理由のためには必ずしも必要ではない。例えば、この凝縮された重質液相の一部を反応器に再循環し、スリップ流(図示せず)、一般に少量、例えば重質液相の5〜40体積%、又は5〜20体積%をPRSに送ることができる。この重質液相のスリップ流は個々に処理することができ、或いは、カルボニル不純物の更なる蒸留及び抽出を行うために凝縮された軽質液相流138と混合することができる。
[0098]軽質相流の具体的な組成は広く変化する可能性があるが、幾つかの好ましい組成を下表1に与える。
Figure 2016117707
[0099]一態様においては、オーバーヘッドデカンターは、低い界面レベルを維持してヨウ化メチルの過剰の保持を防ぐように配置及び構成する。重質液相の具体的な組成は広く変化する可能性があるが、幾つかの例示的な組成を下表2に与える。
Figure 2016117707
[0100]重質液相134の密度は、1.3〜2、例えば1.5〜1.8、1.5〜1.75、又は1.55〜1.7であってよい。米国特許6,677,480において記載されているように、重質液相134において測定される密度は、反応媒体中の酢酸メチル濃度と相関する。密度が減少するにつれて、反応媒体中の酢酸メチル濃度は増加する。本発明の一態様においては、重質液相134は反応器に再循環し、軽質液相133は同じポンプを通して再循環されるように制御する。軽質液相133の一部を再循環することが望ましい可能性があり、これによりポンプを攪乱させず、1.3以上、例えば1.4以上、1.5以上、又は1.7以上の軽質液相133及び重質液相の混合密度を維持する。ここに記載するように、重質液相134の一部を処理してアセトアルデヒドのような不純物を除去することができる。
[0101]図1に示すように、軽質相は流れ131によってデカンター134から排出される。軽質相流の一部131”、例えばアリコート部分はPRS132に送る。軽質液相131の他の部分、例えばアリコート部分は、場合によって、反応器104内において更なる水が所望又は必要な場合には、再循環流114によって示されるように反応器104に再循環することができるが、この再循環はプロセス制御の理由のためには必ずしも必要ではない可能性がある。
[0102]ライトエンドカラム124はまた、好ましくは主として酢酸及び水を含む残渣又は塔底流116も形成する。ライトエンド塔底流116は通常は若干の残留触媒を含む可能性があるので、ライトエンドカラム残渣流116の全部又は一部を反応器104に再循環することが有益である可能性があるが、この再循環はプロセス制御の理由のためには必ずしも必要ではない可能性がある。場合によっては、ライトエンドカラム残渣流116は、図1に示されるように、フラッシュ容器112からの液体残渣流110と混合して、一緒に反応器104に戻すことができる。
[0103]上記に示すように、オーバーヘッド相に加えて、ライトエンドカラム124はまた、好ましくは主として酢酸及び水を含む酢酸側流128も形成する。効率的な生成物の分離を維持するためには、通常運転中において側流128の組成が大きく変化又は変動しないことが重要である。上記で議論したように、ここに開示する制御スキームによって、側流128の組成の安定性の向上が与えられる。
[0104]場合によっては、分離を向上させるために、側流128の一部を、ライトエンドカラム124、好ましくは側流128をライトエンドカラム124から取り出した位置よりも低い位置に再循環することができる。
[0105]側流128は酢酸に加えて水を含むので、ライトエンドカラム124からの側流128は好ましくは乾燥カラム130に送って、そこで酢酸及び水を互いから分離する。而して、本方法には、乾燥カラム内において側流(流れ128)を乾燥してそれから水を除去する工程を含ませることができる。示されるように、乾燥カラム130は、酢酸側流128を分離して、主として水を含むオーバーヘッド流144、及び主として酢酸を含む塔底流146を形成する。オーバーヘッド流144は、好ましくは相分離ユニット、例えばデカンター148内で冷却及び凝縮させて、軽質相及び重質相を形成する。示されるように、軽質相の一部は流れ150及び152によって示されるように還流し、軽質相の残りは流れ120によって示されるように反応器104に戻す。通常は水及びヨウ化メチルを含むエマルジョンである重質相は、好ましくは、流れ122によって示されるように、場合によっては流れ120と混合した後にその全部を反応器104に戻す。乾燥カラムオーバーヘッドの軽質相に関する例示的な組成を下表3に与える。
Figure 2016117707
[0106]乾燥カラム塔底流146は、好ましくは、少量のヨウ化水素と共に酢酸を含むか又はこれから実質的に構成される。好ましい態様においては、乾燥カラム塔底流146は、90重量%より多く、例えば95重量%より多く、又は98重量%より多い量の酢酸を含む。場合によっては、乾燥カラム塔底流146は、商業的使用のために貯蔵又は輸送する前に、例えばイオン交換樹脂に通すことによって更に処理することができる。
[0107]他の反応及び酢酸回収システム200を図2に示す。図2は図1と同じ構成要素の多くを示し、同様の数字は同様の構成要素を同じように運転することを反映している。例えば、図2における部材212は、図1におけるフラッシュ容器112と同様のフラッシュ容器を指し、フラッシュ容器112のものと同様に運転される。
[0108]示されているように、メタノール供給流201及び一酸化炭素含有供給流202を液相カルボニル化反応器204に送って、その中でカルボニル化反応を行って酢酸を形成する。反応媒体中における水の少なくとも限定濃度、例えば0.1重量%を維持するために必要に応じて、カルボニル化反応器204中に、メタノール組成物、一酸化炭素、及び十分な水を連続的に導入する。望ましくは気体パージ流206を反応器204から排出して、気体状副生成物の蓄積を阻止し、所定の全反応器圧力において設定一酸化炭素分圧を維持する。フラッシングされていない粗酢酸生成物を含む流れ113が反応器204から排出される。
[0109]粗酢酸生成物は分離区域208内で精製して酢酸を回収し、触媒溶液、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及びプロセス内の他の系成分を回収することができる。
[0110]粗生成物をカルボニル化反応器204から引き抜き、流れ213を通してフラッシュ容器212に供給する。図2に示すように、流れ213は随意的な凝縮器214に送ることができ、その中で存在する可能性がある蒸気を凝縮させる。測定装置215がライン213に沿って配置されている。測定装置215は、フラッシュ容器への粗酢酸生成物の流速、例えばフラッシュ流速を測定する。このフラッシュ流速を開示されている制御スキームにおいて用いて、ライトエンドカラムの運転及び/又はデカンターの液体レベルを制御することができる。好ましくは、測定装置215は、ライトエンドカラム及び/又はデカンターに関係する他の制御ハードウエア(図示せず)と連絡している。開示されている制御スキームを実施するために適当な制御ハードウエアを選択することは、十分に当業者の予測の範囲内である。
[0111]フラッシュ容器212においては、粗生成物をフラッシュ分離工程で分離して、酢酸を含む揮発性(蒸気状)オーバーヘッド流(第1の蒸気流)222、及び触媒含有溶液(主として、ロジウム及びヨウ化物塩を、より少量の酢酸メチル、ヨウ化メチル、及び水と共に含む酢酸)を含む揮発性がより低い(液体状の)残渣流210(これは好ましくは上記で議論したように反応器に再循環する)を得る。
[0112]フラッシュ容器212からのオーバーヘッド流は、流れ222としてライトエンドカラム224に送り、ここで蒸留によって、低沸点のオーバーヘッド蒸気流226、好ましくは側流228によって取り出される精製された酢酸生成物、及び高沸点の残渣流116を得る。側流228によって取り出される酢酸は、好ましくは、水から酢酸を選択的に分離するために、乾燥カラム230などにおいて更なる精製にかける。
[0113]米国特許6,143,930及び6,339,171においては、ライトエンドカラムから排出される低沸点のオーバーヘッド蒸気流中には、一般にカラムから排出される高沸点の残渣流中におけるよりも高いPRCの濃度、特にアセトアルデヒド濃度が存在することが開示されている。而して幾つかの場合においては、PRCを含む低沸点のオーバーヘッド蒸気流226を、PRS232内で更なる処理にかけて、存在するPRCの量を減少及び/又は除去する。したがって、示されているように、低沸点のオーバーヘッド蒸気流226を凝縮して、オーバーヘッド受容器デカンター234によって示されるオーバーヘッド相分離ユニットに送る。PRCに加えて、低沸点のオーバーヘッド蒸気流226は、通常はヨウ化メチル、酢酸メチル、酢酸、及び水を含んでいてよい。
[0114]プロセス内の条件は、望ましくは、低沸点のオーバーヘッド蒸気流226がデカンター234内に入ったら、分離して少なくとも1つの液相、例えば軽質相及び/又は重質相を形成することができるように維持する。一般に、低沸点のオーバーヘッド蒸気流226は、凝縮性のヨウ化メチル、酢酸メチル、アセトアルデヒド及び他のカルボニル成分、並びに水を凝縮及び分離して2つの相を形成するのに十分な温度に冷却する。流れ226の一部は、一酸化炭素、二酸化炭素、水素などのような非凝縮性の気体を含む可能性があり、これは図2において流れ236によって示されるように排気することができ、低圧吸収器ユニット(図示せず)に送ることができる。
[0115]凝縮された軽質相は、ライン231を通してデカンター234から排出される。凝縮された重質相は、ライン218を通してデカンターから排出される。図2に示すように、軽質相及び/又は重質相の少なくとも一部を、ライトエンドカラム224に還流して戻すことができる。ライン231内の軽質相の一部を、ライン231’を通してライトエンドカラム224に還流して、これにより、ライン226、デカンター234、ライン231’、及びライトエンドカラム224によって還流ループを構成することができる。ライン218内の重質相の一部を、ライン218’を通して(ライン231’内の軽質相と共に、又はこれを伴わないで)ライトエンドカラム224に還流して戻して、これにより、ライン226、デカンター234、ライン218’、及びライトエンドカラム224によって還流ループを構成することができる。ライトエンドカラムの運転及び/又はデカンター234内の液体レベルを維持するために、流れ231’及び/又は218’の還流速度を用いることができる。
[0116]還流することができる軽質相の部分231’に加えて、流れ231の別の部分をPRS232に送ることができる。流れ231”は、流れ231の別の部分を、ライン238を通してPRS232に送る。還流することができる重質相218’に加えて、流れ218の別の部分をPRS232に送ることができる。流れ218”は、流れ218の別の部分を、ライン231”と混合した後にPRS232に送る(場合によっては、流れ218”はPRS232に直接供給することができる)。ここに開示する制御スキームを考慮すると、流れ218”及び231”の組成をより安定にすることができ、これによって有利なことにPRS232におけるより有効な分離がもたらされる。
[0117]図2に示すように、軽質相は流れ231によってデカンター234から排出される。軽質相流の一部231”、例えばアリコート部分はPRS232に送る。軽質液相231の他の部分、例えばアリコート部分は、場合によって、反応器204内において更なる水が所望又は必要な場合には、再循環流214によって示されるように反応器204に再循環することができるが、この再循環はプロセス制御の理由のためには必ずしも必要ではない可能性がある。
[0118]上記に示したように、オーバーヘッド相に加えて、ライトエンドカラム224はまた、好ましくは主として酢酸及び水を含む酢酸側流228も形成する。効率的な生成物の分離を維持するためには、通常運転中において側流228の組成が大きくは変化又は変動しないことが重要である。上記で議論したように、ここに開示する制御スキームによって側流228の組成の安定性の向上が与えられる。
[0119]側流228は酢酸に加えて水を含むので、ライトエンドカラム224からの側流228は好ましくは乾燥カラム230に送って、そこで酢酸及び水を互いから分離する。示されるように、乾燥カラム230は、酢酸側流228を、主として水を含むオーバーヘッド流244、及び主として酢酸を含む塔底流246に分離する。
[0120]乾燥カラム塔底流246は、好ましくは、少量のヨウ化水素と共に酢酸を含むか又はこれから実質的に構成される。好ましい態様においては、乾燥カラム塔底流246は、90重量%より多く、例えば95重量%より多く、又は98重量%より多い量の酢酸を含む。場合によっては、乾燥カラム塔底流246は、商業的使用のために貯蔵又は輸送する前に、例えばイオン交換樹脂に通すことによって更に処理することができる。
PRC除去システム(PRS):
[0121]幾つかの態様においては、軽質液相及び/又は重質液相の一部は分離してPRC除去システムに送って、アセトアルデヒド除去プロセス中にヨウ化メチル及び酢酸メチルを回収することができる。上表1及び2において示されるように、軽質液相及び/又は重質液相はそれぞれPRCを含み、本方法には、酢酸生成物の品質を低下させるアセトアルデヒドのようなカルボニル不純物を除去することを含ませることができ、これらは、米国特許6,143,930;6,339,171;7,223,883;7,223,886;7,855,306;7,884,237;8,889,904;及び米国公開2006/0011462;(これらはその全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているような好適な不純物除去カラム及び吸収剤で除去することができる。アセトアルデヒドのようなカルボニル不純物は、ヨウ化物触媒促進剤と反応してアルキルヨウ化物、例えばヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ペンチル、ヨウ化ヘキシル等を形成する可能性がある。また、多くの不純物はアセトアルデヒドに由来するので、液体軽質相からカルボニル不純物を除去することが望ましい。
[0122]アセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給される軽質液相及び/又は重質液相の部分は、軽質液相及び/又は重質液相のいずれかの質量流の1%〜99%、例えば1〜50%、2〜45%、5〜40%、5〜30%、又は5〜20%で変化させることができる。また幾つかの態様においては、軽質液相及び重質液相の両方の一部をアセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給することができる。アセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給されない軽質液相の部分は、本明細書に記載するように第1のカラムに還流するか又は反応器に再循環することができる。アセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給されない重質液相の部分は、反応器に再循環することができる。重質液相の一部を第1のカラムに還流することができるが、ヨウ化メチルが富化されている重質液相を反応器に戻すことがより望ましい。
[0123]幾つかの場合においては、ライトエンド蒸留カラムの低沸点オーバーヘッド蒸気流から、より好ましくはライトエンド蒸留カラムからの低沸点オーバーヘッド蒸気流の凝縮された液相からPRC、主としてアセトアルデヒドのようなアルデヒドを除去することが有利である可能性がある。PRC除去システムからの流れの1以上を、直接か又は間接的にシステムに戻す、例えば再循環することができる。幾つかの場合においては、PRC除去システムからの戻り流は、反応器又は反応器への再循環ラインに送らない。PRC除去システムは、好ましくはPRCを減少及び/又は除去するための少なくとも1つの蒸留カラム及び少なくとも1つの抽出カラムを含む。米国特許公開2011/0288333(参照として本明細書中に包含する)においては、本方法と共に用いることができる種々のPRSの態様が記載されている。
[0124]図1及び2において示されるPRC除去システムには単一の抽出段階を含ませることができ、或いは例えば米国特許7,223,886に記載されているように複数の抽出段階を含ませることができ、場合によっては多段対向流抽出を含む。種々の態様によれば、例えば(i)PRC除去システム蒸留カラム及び/又は(ii)PRC除去システム抽出段階のいずれか又は両方から誘導される1以上の流れを、システム、例えば酢酸製造システムに関する分離システムの(i)ライトエンド除去カラム及び/又は(ii)乾燥カラムのいずれか又は両方に戻すことができる。例えば、PRC除去システムカラムからの塔底流の第1の部分、例えばアリコート部分を、更なる処理のためにライトエンドカラムに送ることができ、或いはPRC除去システムカラムからの塔底流の第2の部分、例えばアリコート部分を、更なる処理のために乾燥カラム、好ましくは乾燥カラムの上部部分に送ることができる。他の例として、特にヨウ化メチルを含むPRS抽出ユニットからのラフィネートを、システム、例えばライトエンドカラム又は乾燥カラムに戻すことができ、或いはラフィネートをデカンターに直接加えることができ、及び/又は反応器に戻すことができる。
[0125]本明細書及び特許請求の範囲の目的のためには、ライトエンド除去カラム及び乾燥カラムのオーバーヘッド流及びオーバーヘッドデカンターは、ライトエンド除去カラム及び乾燥カラムの一部とみなされる。
[0126]上記に示したように、低沸点のオーバーヘッド蒸気流のいずれの相も、続いて処理してPRCを除去することができる。
[0127]本明細書の目的のためには、「アリコート部分」という用語は、(i)それがそれから誘導される親流と同じ組成を有する親流の一部;及び(ii)それがそれから誘導される親流と同じ組成を有する親流の一部、及びそれと混合した1以上の更なる流れを含む流れ;の両方を指すことを理解すべきである。而して、PRS蒸留塔底流のアリコート部分を含む戻り流をライトエンドカラムに送ることには、PRS蒸留塔底流の一部をライトエンドカラムに直接送ること、並びに(i)PRS蒸留塔底流の一部、及び(ii)ライトエンドカラム中に導入する前にそれと混合する1以上の更なる流れを含む誘導流を送ることが包含される。「アリコート部分」は、例えば蒸留工程又は相分離工程において形成される流れ(これらは、それらがそれから誘導される親流と組成的に同じではなく、かかる流れからも誘導されない)を包含しない。
[0128]更に、複数のスクラバー溶媒の(交互の)使用を用いる吸収塔の使用を用いて、任意の幾つかの酢酸製造プロセス流からヨウ化水素を有効に分離することができることがここで見出された。吸収塔供給流として用いることができる代表的なプロセス流としては、反応器排出流、フラッシュ排出流、ライトエンド留出物、PRC除去システムオーバーヘッド(又は付随する受容器からの排出流)、並びにこれらのプロセス流の誘導体が挙げられる。ここに記載するスクラビング溶媒の具体的な組み合わせによって、それぞれのプロセス流からヨウ化水素が有効に除去されて、その腐食効果が有利に減少する。その結果、反応及び分離区域全体における金属に関する問題が最小になる。更に、驚くべきことに、本発明の具体的な溶媒の使用によって、更なるヨウ化メチルの形成を有益にもたらすことができ、次にこれを用いて反応区域(又は他の箇所)内における触媒の安定性を増大させることができる。理論には縛られないが、メタノール及び/又は酢酸メチルをスクラビング溶媒、例えば第2のスクラビング溶媒として用いると、メタノール及び/又は酢酸メチルは、種々の酢酸製造プロセス流中のヨウ化水素と反応して更なるヨウ化メチルを形成することができる。本発明のプロセスは、ヨウ化水素の除去を向上させ、ヨウ化メチルの形成を増加させ、及び全体的な触媒の安定性を有益に向上させることによって粗酢酸生成物の精製を向上させる。
[0129]本発明の蒸留カラムは、通常の蒸留カラム、例えば棚段塔、充填塔などであってよい。棚段塔としては、多孔板カラム、バブルキャップカラム、キッテルトレーカラム、ユニフラックストレー、又はリップルトレーカラムを挙げることができる。棚段塔に関しては、理論段数は特に限定されず、分離する成分の種類によって左右し、80段以下、例えば2〜80段、5〜60段、5〜50段、又はより好ましくは7〜35段を含ませることができる。蒸留カラムには、異なる蒸留装置の組合せを含ませることができる。例えば、バブルキャップカラムと多孔板カラムの組合せ、並びに多孔板カラムと充填カラムの組合せを用いることができる。
[0130]蒸留システムにおける蒸留温度及び圧力は、好適には、対象のカルボン酸の種類、及び蒸留カラムの種類、或いは供給流の組成にしたがってより低沸点の不純物及びより高沸点の不純物から選択される除去目標のような条件に応じて選択することができる。例えば、酢酸の精製を蒸留カラムによって行う場合には、蒸留カラムの内部圧力(通常はカラム頂部の圧力)は、ゲージ圧で0.01〜1MPa、例えば0.02〜0.7MPa、より好ましくは0.05〜0.5MPaであってよい。更に、蒸留カラムに関する蒸留温度、即ちカラム頂部の温度におけるカラムの内部温度は、カラムの内部圧力を調節することによって制御することができ、例えば20〜200℃、例えば50〜180℃、より好ましくは100〜160℃であってよい。
[0131]それぞれ蒸留システムに連絡しているカラム、バルブ、凝縮器、受容器、ポンプ、リボイラー、及び内部部品、並びに種々のラインなどの蒸留システムに関係するそれぞれの部材又はユニットの材料は、ガラス、金属、セラミック、又はこれらの組み合わせのような好適な材料であってよく、具体的なものに特に限定されない。本発明によれば、上記の蒸留システム及び種々のラインの材料は、鉄合金、例えばステンレススチール、ニッケル又はニッケル合金、ジルコニウム又はそのジルコニウム合金、チタン又はそのチタン合金、或いはアルミニウム合金のような遷移金属又は遷移金属ベースの合金である。好適な鉄ベースの合金としては、主成分として鉄を含む任意の合金、例えばステンレススチール(これは、クロム、ニッケル、モリブデンなども含む)が挙げられる。好適なニッケルベースの合金としては、主成分としてニッケル、及びクロム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、マンガンなどの1以上を含む任意の合金、例えばHASTELLOY(登録商標)及びINCONEL(登録商標)が挙げられる。耐腐食性の金属は、蒸留システム及び種々のラインのための材料として特に好適である可能性がある。
[0132]本開示の利益を享受する当業者であれば、所望の結果を達成するようにPRS蒸留カラムを設計及び運転することができる。したがって、このプロセスの実施は、特定の蒸留カラムの具体的な特徴、又は全段数、供給点、還流比、供給温度、還流温度、カラム温度プロファイルなどのようなその運転特性に必ずしも限定されない。
[0133]図面及び上記に示した明細書から明らかなように、種々の態様が意図される。
E1.メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;
粗酢酸生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送り;
粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;
ライトエンドカラム内において、フラッシングされた第1の蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び場合によっては水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;
デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;
少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;
フラッシュ流速の変化に基づいて還流速度を調節する;
ことを含む、酢酸の製造方法。
E2.フラッシュ流速及び還流速度の少なくとも1つに基づいてデカンター内の液体レベルを制御する工程を更に含む、態様E1の方法。
E3.制御が、フラッシュ流速を測定し、測定値に応じて還流速度を調節することを含む、態様E2の方法。
E4.制御が、液体レベルが増加している場合にフラッシュ流速を減少させることを含む、態様E2の方法。
E5.制御が、液体レベルが減少している場合にフラッシュ流速を増加させることを含む、態様E2の方法。
E6.デカンター内の液体レベルが、定常状態運転下において±5%変動する、態様E2の方法。
E7.側流中の水濃度が、定常状態運転下において±0.3%変動する、態様E1〜E6のいずれかの方法。
E8.側流中の水濃度が1.1重量%〜3重量%の範囲である、態様E1〜E7のいずれかの方法。
E9.カルボニル化を反応器内で行い、反応器内の含水量を定常状態運転下において実質的に一定のレベルに維持する、態様E1〜E8のいずれかの方法。
E10.少なくとも1つの液相が重質相の少なくとも一部を含み、重質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E11.少なくとも1つの液相が重質相の少なくとも一部を含み、重質相の比重が定常状態運転下において1.5〜1.8の範囲である、態様E1〜E10のいずれかの方法。
E12.少なくとも1つの液相の第2の部分を特定のPRS供給速度でPRC除去システムに送ることを更に含む、態様E1〜E11のいずれかの方法。
E13.PRS供給速度が定常状態運転下において±25%変動する、態様E12の方法。
E14.少なくとも1つの液相が軽質相の少なくとも一部を含み、軽質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する、態様E1〜E13のいずれかの方法。
E15.少なくとも1つの液相が軽質相の少なくとも一部を含み、軽質相の比重が定常状態運転下において0.9〜1.2の範囲である、態様E1〜E14のいずれかの方法。
E16.メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;
粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;
ライトエンドカラム内において、フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;
デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;
少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;
還流速度を調節又は制御することによってデカンター内の液体レベルを制御する;
ことを含み;
側流中の水濃度は定常状態運転下において±0.3%変動する、酢酸の製造方法。
E17.メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して粗酢酸生成物を形成し;
粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;
ライトエンドカラム内において、フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;
デカンター内において、第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;
少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;
還流速度を調節又は制御することによってデカンター内の液体レベルを制御する;
ことを含み;
側流中の水濃度は定常状態運転下において±0.3%変動する、態様E1〜E16のいずれかの方法。
E18.側流中の水濃度が1.1重量%〜3重量%の範囲である、態様E17の方法。
E19.デカンター内の液体レベルが、定常状態運転下において±5%変動する、態様E17又はE18の方法。
E20.少なくとも1つの液相が重質相を含み、重質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する、態様E17〜E19のいずれかの方法。
E21.少なくとも1つの液相が重質相を含み、重質相の比重が定常状態運転下において1.5〜1.8の範囲である、態様E17〜E20のいずれかの方法。
E22.少なくとも1つの液相が軽質相を含み、軽質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する、態様E17〜E21のいずれかの方法。
E23.少なくとも1つの液相が軽質相を含み、軽質相の比重が定常状態運転下において0.9〜1.2の範囲である、態様E17〜E22のいずれかの方法。
E24.側流中の水濃度が1.1重量%〜3重量%の範囲である、態様E1〜E17のいずれかの方法。
E25.デカンター内の液体レベルが、定常状態運転下において±5%変動する、態様E1〜E18のいずれかの方法。
E26.少なくとも1つの液相が重質相を含み、重質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する、態様E1〜E19のいずれかの方法。
E27.少なくとも1つの液相が重質相を含み、重質相の比重が定常状態運転下において1.5〜1.8の範囲である、態様E1〜E20のいずれかの方法。
E28.少なくとも1つの液相が軽質相を含み、軽質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する、態様E1〜E21のいずれかの方法。
E29.少なくとも1つの液相が軽質相を含み、軽質相の比重が定常状態運転下において0.9〜1.2の範囲である、態様E1〜E22のいずれかの方法。
[0134]本発明を詳細に記載したが、発明の精神及び範囲内の修正は当業者に容易に明らかになるであろう。上記の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景及び詳細な説明に関連して上記で議論した参照文献(これらの開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると。更に、下記及び/又は添付の特許請求の範囲において示されている本発明の複数の形態並びに種々の態様及び種々の特徴の複数の部分を、完全か又は部分的に結合又は交換することができることを理解すべきである。当業者に認められるように、種々の態様の上記の記載においては他の態様を示すこれらの態様を他の態様と適当に組み合わせることができる。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。

Claims (22)

  1. 酢酸の製造方法であって、
    メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して、粗酢酸生成物を形成し;
    該粗酢酸生成物を特定のフラッシュ流速でフラッシュ容器に送り;
    該粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;
    ライトエンドカラム内において、該フラッシングされた第1の蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び場合によっては水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;
    デカンター内において、該第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;
    該少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流する;
    ことを含む方法であり、該還流速度が該フラッシュ流速の変化に基づいて調節される方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、フラッシュ流速及び還流速度の少なくとも1つに基づいて該デカンター内の液体レベルを制御する工程を更に含む方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、該制御が、該フラッシュ流速を測定し、該測定値に応じて該還流速度を調節することを含む方法。
  4. 請求項2に記載の方法であって、該制御が、該液体レベルが増加している場合に該フラッシュ流速を減少させることを含む方法。
  5. 請求項2に記載の方法であって、該制御が、該液体レベルが減少している場合に該フラッシュ流速を増加させることを含む方法。
  6. 請求項2に記載の方法であって、該デカンター内の該液体レベルが、定常状態運転下において±5%変動する方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、該側流中の水濃度が、定常状態運転下において±0.3%変動する方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、該側流中の水濃度が1.1重量%〜3重量%の範囲である方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、該カルボニル化を反応器内で行い、該反応器内の含水量を定常状態運転下において実質的に一定のレベルに維持する方法。
  10. 請求項1に記載の方法であって、該少なくとも1つの液相が重質相の少なくとも一部を含み、該重質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する方法。
  11. 請求項1に記載の方法であって、該少なくとも1つの液相が重質相の少なくとも一部を含み、該重質相の比重が定常状態運転下において1.5〜1.8の範囲である方法。
  12. 請求項1に記載の方法であって、該少なくとも1つの液相の第2の部分を特定のPRS供給速度でPRC除去システムに送ることを更に含む方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、該PRS供給速度が定常状態運転下において±25%変動する方法。
  14. 請求項1に記載の方法であって、該少なくとも1つの液相が軽質相の少なくとも一部を含み、該軽質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する方法。
  15. 請求項1に記載の方法であって、該少なくとも1つの液相が軽質相の少なくとも一部を含み、該軽質相の比重が定常状態運転下において0.9〜1.2の範囲である方法。
  16. 酢酸の製造方法であって、
    メタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の反応物質を、金属触媒、ヨウ化メチル、ハロゲン化物塩、及び場合によっては限定量の水の存在下でカルボニル化して、粗酢酸生成物を形成し;
    該粗酢酸生成物をフラッシングして、酢酸及びヨウ化メチルを含む第1の蒸気流、並びに金属触媒及びハロゲン化物塩を含む第1の液体残渣流を形成し;
    ライトエンドカラム内において、該フラッシングされた蒸気流を分離して、ヨウ化メチル及び場合によってはアセトアルデヒドを含む第2の蒸気流、精製された酢酸生成物及び水を含む側流、並びに第2の液体残渣流を形成し;
    デカンター内において、該第2の蒸気流の少なくとも一部を凝縮して少なくとも1つの液相を形成し;
    該少なくとも1つの液相の少なくとも一部を特定の還流速度でライトエンドカラムに還流し;
    該還流速度を調節又は制御することによって該デカンター内の液体レベルを制御する;
    ことを含み;
    該側流中の水濃度が定常状態運転下において±0.3%変動する方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、該側流中の水濃度が1.1重量%〜3重量%の範囲である方法。
  18. 請求項16に記載の方法であって、該デカンター内の液体レベルが、定常状態運転下において±5%変動する方法。
  19. 請求項16に記載の方法であって、該少なくとも1つの液相が重質相を含み、該重質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する方法。
  20. 請求項16に記載の方法であって、該少なくとも1つの液相が重質相を含み、該重質相の比重が定常状態運転下において1.5〜1.8の範囲である方法。
  21. 請求項16に記載の方法であって、該少なくとも1つの液相が軽質相を含み、該軽質相の比重が定常状態運転下において±0.05変動する方法。
  22. 請求項16に記載の方法であって、該少なくとも1つの液相が軽質相を含み、該軽質相の比重が定常状態運転下において0.9〜1.2の範囲である、請求項16に記載の方法。
JP2015221834A 2014-11-14 2015-11-12 デカンター制御を伴う酢酸の製造方法 Active JP6027212B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201462079918P 2014-11-14 2014-11-14
US62/079,918 2014-11-14
US14/873,614 US9695101B2 (en) 2014-11-14 2015-10-02 Processes for producing acetic acid with decanter control
US14/873,614 2015-10-02

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016201582A Division JP6286006B2 (ja) 2014-11-14 2016-10-13 デカンター制御を伴う酢酸の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016117707A true JP2016117707A (ja) 2016-06-30
JP6027212B2 JP6027212B2 (ja) 2016-11-16

Family

ID=54291745

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015221834A Active JP6027212B2 (ja) 2014-11-14 2015-11-12 デカンター制御を伴う酢酸の製造方法
JP2016201582A Active JP6286006B2 (ja) 2014-11-14 2016-10-13 デカンター制御を伴う酢酸の製造方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016201582A Active JP6286006B2 (ja) 2014-11-14 2016-10-13 デカンター制御を伴う酢酸の製造方法

Country Status (12)

Country Link
US (1) US9695101B2 (ja)
EP (1) EP3218343B1 (ja)
JP (2) JP6027212B2 (ja)
KR (1) KR102397552B1 (ja)
CN (1) CN107108430B (ja)
ES (1) ES2759995T3 (ja)
MX (1) MX2017006295A (ja)
MY (1) MY181883A (ja)
RS (1) RS59569B1 (ja)
SA (1) SA517381512B1 (ja)
SG (1) SG11201703380PA (ja)
WO (1) WO2016076967A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9695101B2 (en) * 2014-11-14 2017-07-04 Celanese International Corporation Processes for producing acetic acid with decanter control
US11134901B2 (en) 2016-03-30 2021-10-05 Elfi-Tech Ltd. Method and apparatus for optically measuring blood pressure
US11350837B2 (en) 2016-03-30 2022-06-07 Elfi-Tech Ltd. Method and apparatus for optically measuring blood pressure
JP2021526651A (ja) 2018-05-16 2021-10-07 シェケル スケールズ(2008)リミテッド 計量ロードセルおよびそれらを棚において利用する構成
CN112219093A (zh) 2018-06-06 2021-01-12 磅秤 (2008)有限公司 用于对货架上的产品称重的系统和方法
WO2020003221A1 (en) 2018-06-28 2020-01-02 Shekel Scales (2008) Ltd Systems and methods for weighing products on a shelf

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004502747A (ja) * 2000-07-06 2004-01-29 ミレニアム ペトロケミカルズ インコーポレーテッド 酢酸製造のプロセスコントロール
JP2008539233A (ja) * 2005-04-28 2008-11-13 セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション 酢酸の製造方法
WO2012046593A1 (ja) * 2010-10-06 2012-04-12 ダイセル化学工業株式会社 酢酸の製造方法

Family Cites Families (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3791935A (en) 1971-11-10 1974-02-12 Monsanto Co Purification of carboxylic acids
US4039395A (en) 1975-08-11 1977-08-02 Monsanto Company Purification of acetic acid
US4008131A (en) 1975-12-11 1977-02-15 Monsanto Company Purification of acetic acid
US5001259A (en) 1984-05-03 1991-03-19 Hoechst Celanese Corporation Methanol carbonylation process
GB9211671D0 (en) 1992-06-02 1992-07-15 Bp Chem Int Ltd Process
US5352415A (en) 1993-09-29 1994-10-04 Hoechst Celanese Corporation Control system for acetic acid manufacturing process
US5625095A (en) 1994-06-15 1997-04-29 Daicel Chemical Industries, Ltd. Process for producing high purity acetic acid
KR100403367B1 (ko) * 1995-04-27 2004-03-26 다이셀 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 아세트산제조법
IN192600B (ja) 1996-10-18 2004-05-08 Hoechst Celanese Corp
GB9816385D0 (en) 1998-07-29 1998-09-23 Bp Chem Int Ltd Process
US6657078B2 (en) 2001-02-07 2003-12-02 Celanese International Corporation Low energy carbonylation process
JP5069827B2 (ja) 2001-02-28 2012-11-07 株式会社ダイセル 反応制御方法および制御装置
JP4732743B2 (ja) 2004-12-06 2011-07-27 ダイセル化学工業株式会社 蒸留方法
JP5075336B2 (ja) 2004-12-20 2012-11-21 株式会社ダイセル 酢酸の製造方法
JP4526381B2 (ja) 2004-12-27 2010-08-18 ダイセル化学工業株式会社 酢酸の製造方法
CN102971284B (zh) * 2010-05-18 2016-01-27 国际人造丝公司 生产乙酸的方法
US8785684B2 (en) * 2010-06-14 2014-07-22 Celanese International Corporation Methanol carbonylation process with rhodium catalyst, an iodide salt and a metallic co-catalyst selected from transition metals, indium, strontium, barium, zinc, tin and heteropoly acids
EP2598467B1 (en) 2010-07-26 2017-09-06 Daicel Corporation Process for producing acetic acid
JP5914358B2 (ja) * 2010-12-15 2016-05-11 株式会社ダイセル 酢酸の製造方法
SG190939A1 (en) 2010-12-15 2013-07-31 Daicel Corp Process for producing acetic acid
MY161203A (en) 2010-12-15 2017-04-14 Daicel Corp Process for producing acetic acid
MX338850B (es) 2010-12-24 2016-05-02 Daicel Corp Procedimiento para producir acido acetico.
TWI547477B (zh) 2012-03-14 2016-09-01 大賽璐股份有限公司 醋酸之製造方法
MX356188B (es) * 2012-12-21 2018-05-16 Daicel Corp Procedimiento para producir acido acetico.
AR094541A1 (es) 2013-01-25 2015-08-12 Daicel Corp Procedimiento para producir ácido carboxílico
US9695101B2 (en) * 2014-11-14 2017-07-04 Celanese International Corporation Processes for producing acetic acid with decanter control

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004502747A (ja) * 2000-07-06 2004-01-29 ミレニアム ペトロケミカルズ インコーポレーテッド 酢酸製造のプロセスコントロール
JP2008539233A (ja) * 2005-04-28 2008-11-13 セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション 酢酸の製造方法
WO2012046593A1 (ja) * 2010-10-06 2012-04-12 ダイセル化学工業株式会社 酢酸の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
SA517381512B1 (ar) 2021-02-09
SG11201703380PA (en) 2017-05-30
KR20170085559A (ko) 2017-07-24
RS59569B1 (sr) 2019-12-31
JP2017048199A (ja) 2017-03-09
JP6286006B2 (ja) 2018-02-28
US20160137581A1 (en) 2016-05-19
EP3218343A1 (en) 2017-09-20
MX2017006295A (es) 2017-08-21
WO2016076967A1 (en) 2016-05-19
KR102397552B1 (ko) 2022-05-12
CN107108430B (zh) 2019-05-10
JP6027212B2 (ja) 2016-11-16
ES2759995T3 (es) 2020-05-12
MY181883A (en) 2021-01-12
EP3218343B1 (en) 2019-10-02
CN107108430A (zh) 2017-08-29
US9695101B2 (en) 2017-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6286006B2 (ja) デカンター制御を伴う酢酸の製造方法
JP6480308B2 (ja) 低い酢酸ブチル含量を有する酢酸生成物の製造方法
JP5981014B1 (ja) 酢酸の製造方法
JP2016121126A (ja) カルボニル化プロセスにおけるヨウ化水素含量の減少
JP6039781B2 (ja) 低いヨウ化エチル含量を有する反応媒体から酢酸を製造する方法
JP6738356B2 (ja) 酢酸の製造方法
JP6139024B2 (ja) 酢酸の製造方法
JP6074009B2 (ja) リチウム化合物を導入することによる酢酸の製造方法
JP2018533555A (ja) 酢酸の精製及び無水物の水和方法
JP6676667B2 (ja) 水のリサイクルを伴う酢酸の製造方法
EP3317245A1 (en) Process for flashing a reaction medium
US9382186B1 (en) Process for producing acetic acid
JP2018535220A (ja) 酢酸の製造方法
JP5952951B1 (ja) 酢酸の製造方法
JP6069462B2 (ja) 反応媒体をフラッシュさせる方法
WO2016076973A1 (en) Process for flashing a reaction medium comprising lithium acetate
WO2017058264A1 (en) Process to produce acetic acid with recycle of water

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20160419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160913

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161013

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6027212

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250