JP6676667B2 - 水のリサイクルを伴う酢酸の製造方法 - Google Patents

水のリサイクルを伴う酢酸の製造方法 Download PDF

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Description

[0001]本発明は、酢酸の製造方法に関し、特に水のリサイクル、及び反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器にリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比を制御するための改良された方法に関する。
[0002]現在採用されている酢酸の合成方法の中で最も商業的に有用なものの1つは、触媒を用いてメタノールを一酸化炭素によりカルボニル化する方法である。この方法は米国特許第3,769,329号に教示されているが、特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。カルボニル化触媒は、液体反応媒体中に溶解又は分散された、あるいは不活性固体に担持されたロジウム等の金属触媒、及びヨウ化メチル等のハロゲン含有触媒促進剤を含む。この反応は触媒を溶解させた液体反応媒体中で一酸化炭素ガスを連続的にバブリングして行う。
[0003]原料としてメタノールと一酸化炭素を反応器に供給する。反応媒体の一部を連続的に取り出してフラッシュ容器に供給し、そこで生成物をフラッシュさせ、蒸気として精製系に送る。この精製系は軽質分留塔を備えており、この塔ではオーバーヘッドとして「軽質」すなわち低沸点成分が除去され、さらなる精製に付される側流が得られる。この精製系はさらに、この側流を脱水するする塔、あるいは側流からプロピオン酸等の「重質」すなわち高沸点成分を除去する塔を備えていてもよい。酢酸を製造するためのカルボニル化工程では、蒸留操作の数を最小限にし、この工程で使用するエネルギーを最少にすることが望ましい。
[0004]米国特許第5,416,237号には、ロジウム触媒、ヨウ化メチル及びヨウ化物塩安定化剤の存在下でメタノールをカルボニル化することにより酢酸を製造する方法が開示されている。米国特許第5,416,237号による改良は、液体反応組成物中の水の有限濃度を約10重量%まで、酢酸メチル濃度を少なくとも2重量%に維持しながら、液体反応組成物をフラッシュ域を通過させて蒸気留分を生成し、その蒸気留分を単一の蒸留塔に供給し、そこで酢酸生成物を取り出すことにより酢酸生成物を回収するというものである。蒸留工程を省くと生成物の純度が損なわれるという欠点がある。特に蒸留塔は高沸点ヨウ化物とアルデヒド汚染物を除去する傾向がある。これら不純物はいずれも最終製品として要望される商業的価値に影響を及ぼす。
[0005]米国特許第9,006,483号には、ヨウ化水素濃縮の抑制を目的とし、蒸留塔からのオーバーヘッドの液−液分離を改良した、酢酸の製造方法が開示されている。酢酸は、第1の蒸留塔(3)でヨウ化水素、水、酢酸、及び酢酸メチルを含む混合物を蒸溜し、オーバーヘッド及び酢酸を含むサイドカット(side cut)又は底部流を形成し、凝縮器でこのオーバーヘッドを冷却・凝縮してデカンタ(4)で上相と下相に分離することにより製造される。この方法によると、水濃度が有効量以上、5重量%以下(例えば、0.5〜4.5重量%)で酢酸メチル濃度が0.5〜9重量%(例えば、0.5〜8重量%)である混合物を蒸留塔に供給し、この混合物を蒸溜することにより、水濃度が高い領域が蒸留塔内の混合物の供給位置よりも上方に形成される。この水濃度が高い領域でヨウ化水素を酢酸メチルと反応させてヨウ化メチルと酢酸を製造することができる。
[0006]米国特許第7,884,241号では、ヨウ化水素と水を含み、蒸留系内での水の含有量が5重量%以下(特に3重量%以下)である混合物が開示されている。この混合物を蒸留して蒸留系内でのヨウ化水素の凝縮を防止する。この混合物は、ヨウ化水素、水
、メタノール,ヨウ化メチル、酢酸、及び酢酸メチルを含んでいてもよい。混合物が重量換算で1〜3000ppmの濃度のヨウ化水素を含んでいる場合でも、塔の塔頂からヨウ化水素を含む留分を取り出し、サイドカット流又は塔の底部からの流れとして酢酸を取り出すことにより、ヨウ化水素濃度が50ppm以下である酢酸生成物を得ることができる。このような方法(蒸留方法)は、蒸留系内でのヨウ化水素の凝縮及び蒸留系内の腐食を有効に抑制する。水濃度を低く保つため、この方法は2.35という大きな還流比を必要とし、消費エネルギーが大きい。
[0007]米国特許第6,657,078号では、メタノールのカルボニル化による低エネルギーで酢酸を製造する方法が開示されている。この方法は、最大2基の蒸留塔を用い、約14重量%未満の水で機能するロジウム触媒系を含む。
[0008]米国特許第4,008,131号では、水とヨウ化メチルを含む粗酢酸を精製する蒸留系の運転時に純粋な酸の生産率を低下させ、リサイクル流中に増加する傾向にある過剰な水を除去する方法が開示されている。粗酸を蒸留域の上半分に導入する。ヨウ化メチル、大部分の水、及び当量の酸を蒸留域からオーバーヘッドとして除去する。少量の酢酸を含む少量の水を蒸留域の頂近傍で液体側部取り出し流(sidedraw)として除去する。実質的にヨウ化メチルを含まず本質的に乾燥した酸生成物流は、蒸留域の底部から除去される。オーバーヘッド流は、貯蔵又は廃棄することができるが、好ましくは酸製造工程にリサイクルすることができる。液体水側部取り出し流は廃棄してもよく、あるいは酢酸の回収のために精留してもよい。
[0009]米国特許第3,791,935号では、水とハロゲン汚染物を含むモノカルボン酸流を蒸留塔の上半分に導入し、この蒸留塔に投入された主に水とハロゲン化アルキルからなるオーバーヘッド留分を除去し、蒸留塔内に存在する大部分のハロゲン化水素を含む流れを蒸留塔の中部から除去し、蒸留塔に投入されたハロゲン汚染物質を実質的に含まず本質的に乾燥した酸生成物流を蒸留塔の底部又はその近傍から除去する方法が開示されている。この方法は特に酢酸及びプロピオン酸から水とヨウ素含有化合物を除去するのに有用である。これらの例では、酢酸を含む底部生成物は、83〜132重量ppm(wppm)の水と0.083重量ppmから0.3重量ppmのヨウ化水素を含むことが報告されている。
[0010]このような観点から、酢酸の回収を制御するための酢酸製造の改良方法が求められている。
[0011]一態様では、本発明は、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器内で分離して液体リサイクルと蒸気生成物流を形成すること、該蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%、例えば、好ましくは1.1〜2.5重量%の水を含む側流と、第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流とを得ること、該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離して重質液相及び軽質液相を形成すること、該側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し90重量%又はそれを下回る量、例えば、好ましくは50〜90重量%の水を含む水性リサイクル流を得ること、及び該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を該反応器にリサイクルすることを含み、該反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器にリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回り、例えば1.5であるか又はそれを下回り、1であるか又はそれを下回り、0.5であるか又はそれを下回る、酢酸の製造方法に関する。一態様では、該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0〜2である。他の態様では、該水性リサイクル流の質
量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0〜1である。一態様では、該水性リサイクル流は、さらに20重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチル、10重量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、及び20重量%又はそれを下回る量の酢酸を含む。該水性リサイクル流の組成物は、水性オーバーヘッドから得てもよく、該水性オーバーヘッドは側流中の水の90%又はそれを超える水を含む。いくつかの態様では、上記方法は、該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し有機相及び水相を形成することをさらに含み、該水性リサイクル流は該水相の一部を含み、及び/又は該水性リサイクル流は該有機相の1〜100%を含む。該水相の一部を第2の塔に還流してもよい。一態様では、該側流のヨウ化水素濃度は50重量ppm又はそれを下回る量、例えば0.1〜50重量ppmである。該側流は、さらに1種以上のヨウ化C〜C14アルキルを0.1〜6重量%の濃度で含んでいてもよく、該側流はさらに0.1〜6重量%の濃度で酢酸メチルを含む。一態様では、該側流は、1種以上のヨウ化C〜C14アルキル及び酢酸メチルをそれぞれ、該側流中の水濃度の±0.9重量%の範囲内の量で含む。一態様では、該反応媒体は0.5〜30重量%の酢酸メチル、200〜3000重量ppmの金属触媒、1〜25重量%のヨウ化物塩、及び1〜25重量%のヨウ化メチルを含む。不純物/副生物の生成を制御するため、該重質液相の一部を処理してアセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、及びこれらのアルドール縮合生成物からなる群より選択される少なくとも1種の過マンガン酸還元性化合物を除去してもよい。該軽質液相は40〜80重量%の水を含み、また水に加えて1〜40重量%の酢酸、1〜50重量%の酢酸メチル、及び10重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチルを含んでいてもよい。該精製酢酸生成物は好ましくは0.2重量%又はそれを下回る量の水を含むが、該第2の塔の底部又はその近傍から取り出されてもよい。一態様では、上記方法は、該精製酢酸生成物の総ヨウ化物濃度が5重量ppmであるか又はそれを下回る場合に該精製酢酸生成物をガード床と接触させることをさらに含む。
[0012]他の態様では、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、該蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%、例えば、好ましくは1.1〜2.5重量%の水を含む側流と、第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流とを得ること、該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、該側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し水性リサイクル流を得ること、該水性オーバーヘッドは該側流中の水の90%又はそれを超える水を含み、及び該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を該反応器にリサイクルすることであり、該反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回り、例えば、1.5であるか又はそれを下回り、1であるか又はそれを下回り、0.5であるか又はそれを下回る。一態様では、該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0〜2である。他の態様では、該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0〜1である。一態様では、該水性リサイクル流は90重量%又はそれを下回る量の水、20重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチル、10重量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、20重量%又はそれを下回る量の酢酸を含む。いくつかの態様では、上記方法は、該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し有機相及び水相を形成することをさらに含み、該水性リサイクル流は水相の一部を含み、かつ/又は該水性リサイクル流は該有機相の1〜100%を含む。該水相の一部を第2の塔に還流してもよい。一態様では、該側流中のヨウ化水素濃度は50重量ppmであるか又はそれを下回り、例えば、0.1〜50重量ppmである。該側流は、0.1〜6重量%の濃度で1種以上のヨウ化C〜C14アルキルをさらに
含んでいてもよく、該側流はさらに0.1〜6重量%の濃度の酢酸メチルを含む。一態様では、該側流は、1種以上のヨウ化C〜C14アルキルと酢酸メチルをそれぞれ、該側流の水濃度の±0.9重量%の範囲内の量で含む。一態様では、該反応媒体は0.5〜30重量%の酢酸メチル、200〜3000重量ppmの金属触媒、1〜25重量%のヨウ化物塩、及び1〜25重量%のヨウ化メチルを含む。不純物/副生物の生成を制御するため、該重質液相の一部を処理してアセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、及びこれらのアルドール縮合生成物からなる群より選択される少なくとも1種の過マンガン酸還元性化合物を除去してもよい。該軽質液相は、40〜80重量%の水を含み、水の他に1〜40重量%の酢酸、1〜50重量%の酢酸メチル、及び10重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチルを含んでいてもよい。該精製酢酸生成物は好ましくは0.2重量%又はそれを下回る量の水を含むが、第2の塔の底部又はその近傍から回収してもよい。一態様では、上記方法は、該精製酢酸生成物の総ヨウ化物濃度が5重量ppm又はそれを下回る量である場合に該精製酢酸生成物をガード床と接触させることをさらに含む。
[0013]本発明は、添付の非限定的な図面によって十分に理解されよう。
[0014]図1は、本発明に係る酢酸製造を示す概略図である。
[0015]先ず、当然のことながら、このような実際の態様を開発するにあたって、実施毎に変わり得る、システム関連や業務関連の制約を順守すること等、数多くの実行に特有な決断を行って開発者らの特定の目標を達成していく必要がある。更に、当業者には明らかなように、本明細書に開示の方法は、引用又は具体的に言及された構成部分以外のものを含んでもよい。
[0016]発明の概要及び詳細な説明においては、文脈で特に明記されていない限り、各数値は、(明確な修飾が既になされていない場合には)一旦は「約」という用語で修飾して読み取った後、その修飾を外して再度読み取るべきである。また、発明の概要及び詳細な説明においては、当然のことながら、有用な濃度範囲、適切な濃度範囲等と記載されている場合には、その範囲内(終点を含む)のあらゆる濃度が記載されていると考えるべきである。例えば、「1〜10」の範囲の場合には、約1と約10との間の連続体に沿ったありとあらゆる可能な数を示すものとして理解すべきである。従って、その範囲内で所定のデータ点がごくわずかにしか示されていない場合やデータ点が明確に特定されていない場合であっても、当然のことながら、発明者らは、その範囲内のありとあらゆるデータ点が特定されているものとして考慮すべきであることを理解しており、発明者らは、範囲全体及びその範囲内の全ての点に関する知見を有している。
[0017]特に明記しない限り、本明細書全体(特許請求の範囲を含む)を通して、次の用語は以下に記された意味を有する。
[0018]本明細書及び特許請求の範囲で用いる「(ある値や場所の)近傍」とは「(その値や場所)自体」を含む。「及び/又は」という用語は、包含的な「及び」の場合と排他的な「又は」の場合の両方を意味するが、本明細書では簡潔にするために用いている。例えば、酢酸及び/又は酢酸メチルを含む混合物は、酢酸のみを含んでもよく、酢酸メチルのみを含んでもよく、酢酸と酢酸メチルの両方を含んでもよい。
[0019]特に明記しない限り、全ての割合は、特定の流れ、又はそこに存在する組成の全重量に対する重量%(wt%)で表す。特に明記しない限り、室温は25℃であり、大気圧は101.325kPaである。
[0020]本明細書では、
酢酸を「AcOH」と略記し、
アセトアルデヒドを「AcH」と略記し、
酢酸メチルを「MeAc」と略記し、
メタノールを「MeOH」と略記し、
ヨウ化メチルを「MeI」と略記し、
ヨウ化水素を「HI」と略記し、
一酸化炭素を「CO」と略記し、
ジメチルエーテルを「DME」略記することがある。
[0021]HIは、ヨウ化水素分子、又は極性媒体(通常は少なくとも多少の水を含む媒体)中で少なくとも部分的にイオン化している解離ヨウ化水素酸を指す。特に明記しない限り、この2つは区別しないで用いられる。特に明記しない限り、HI濃度は電位差滴定終点を用いた酸−塩基滴定により求められる。特に、HI濃度は、標準酢酸リチウム溶液を用いて電位差滴定終点まで滴定することにより求められる。当然のことながら、本明細書では、HIの濃度は、腐食金属や他の非H陽イオンの測定値に因ると思われるヨウ化物の濃度を試料中に存在する全ヨウ化物イオンから差し引いて求めるものではない。
[0022]当然のことながら、HI濃度はヨウ化物イオン濃度を指すものではない。HI濃度は、具体的には電位差滴定によって求めたHI濃度を指す。
[0023]この減算方法は、すべての非H陽イオン(Fe、Ni、Cr、Mo等の陽イオン)がヨウ化物陰イオンとのみ結合することを想定しているため、比較的低いHI濃度(すなわち5重量%又はそれを下回る量)を求めるためには信頼性を欠く不正確な方法である。実際、本発明の方法では金属陽イオンの大部分は酢酸陰イオンと結合し得る。また、これら金属陽イオンの多くは、多価の状態であり、これらの金属に結合し得るヨウ化物陰イオンの量に関わる仮定に対する信頼性がますます低くなる。結局のところ、特にHI濃度を直接表す簡単な滴定を実施できることを考慮すれば、この減算方法で実際のHI濃度を求めることは低い信頼性をもたらす。
[0024]本発明では、蒸留塔の「オーバーヘッド」又は「蒸留物」は、蒸留塔の頂部又はその近傍(例えば頂付近)を出る、低沸点の凝集性留分の少なくとも1つ及び/又はその流や組成物の凝縮した形態を指す。すべての留分が最終的には凝集性であることは明らかであるが、当業者であれば容易に理解されるように本明細書では凝集性留分は、本方法に存在する条件下で凝集性である。非凝集性留分としては例えば、窒素、水素等が挙げられる。同様に、オーバーヘッド流は蒸留塔の最上部出口の直下から取り出すことができるが、当業者であれば容易に理解されるように、例えば最も沸点の低い留分は非凝集性流又は微少な流れである。
[0025]蒸留塔の「ボトム(留分)」又は「残渣」は、蒸留塔の底部又はその近傍を出る最も沸点の高い留分の1つを指すと共に、本明細書では蒸留塔の底部貯留域から流出する留分も指す。当然のことながら、残渣は蒸留塔の底部出口の直ぐ上から取り出すことができるが、当業者であれば容易に理解できるように、例えば、蒸留塔で生成した最も底部の留分は塩、利用できないタール、固形廃棄物、又は微少な流れである。
[0026]本明細書では、蒸留塔は蒸留域と底部貯留域を含む。蒸留域は、底部貯留域の上方、すなわち底部貯留域と塔頂部の間のすべての領域を含む。本明細書では、底部貯留域は、高沸点成分の液体貯留層が存在する蒸留塔の下部(例えば、蒸留塔の底部)を指し、そこからボトム流や残渣流が流れて塔外に排出される。底部貯留域は、リボイラや制御装置等を含んでいてもよい。
[0027]当然のことながら、蒸留塔の内部構成部分に関連する「通路」、「流路」、「流導管」等の用語は区別することなく用いられて孔、管、溝、スリット、ドレーン等を指す。これらは、内部構成部分の一方から他方へ液体及び/又は蒸気が移動する経路中に配置される、かつ/又はその経路を形成する。蒸留塔の液体分配器等の構造体内に配置される通路としては例えば、ドレーン孔、ドレーン管、ドレーンスリット等が挙げられる。これらにより、液体は構造体内を一方から他方へ流れることができる。
[0028]平均滞留時間は、蒸留域内の所定相の全液体容積ホールドアップの総量を、蒸留域を通る所定相の平均流速で割ったものと定義する。所定相のホールドアップ容積は、収集器や分配器等を含む蒸留塔の様々な内部構成部分中に含まれる液体容積、並びに、トレイ上、下降管内、及び/又は構造化された床部又はランダムに充填された床部内に含有される液体も包含しうる。
リサイクル比
[0029]本発明は、酢酸回収工程において一次精製系の2基の塔の間で水濃度を制御し、それぞれの塔からの水を含む流れのリサイクル比を得るための方法を提供する。一般に本明細書で側流と言われる2基の塔の間の流れは、主にカルボニル化によって生成された酢酸を含む。少量の水、例えば0.1〜4.1重量%の水を含む反応媒体を用いて運転されるカルボニル化方法では、一次精製系中の水の量は少ない。これによりこれらの塔を安定して運転することが困難になる場合があり、2基の塔の不均衡を引き起こし、生成する酢酸の品質が低下する場合がある。本発明は、酢酸の回収における一次精製系の2基の塔の間の水濃度を制御し、塔の運転を安定させるリサイクル比を用いて運転することによる利点を提供する。このリサイクル比は、一次精製系の反応媒体から分離した水を反応器に戻すことに好適である。
[0030]本発明では、一次精製系は、第1の塔として示す軽質分留塔と、第2の塔として示す乾燥塔(本明細書でさらに説明する)を備えている。側流(本明細書でさらに説明する)は、第1の塔から回収されて、乾燥塔に供給される。
[0031]酢酸は氷酢酸、すなわち無水形態が最も有用であり、0.2重量%又はそれを下回る量、例えば0.15重量%又はそれを下回る量、0.12重量%又はそれを下回る量、又は0.1重量%又はそれを下回る量の水を含む酢酸生成物を製造することが望ましい。しかしながら、カルボニル化工程では水を含む反応媒体に均質触媒を用いる。効率的に酢酸を生成するためには、この反応媒体中の水濃度を維持することが望ましい。反応媒体から水の一部を酢酸と共に除去し、2つ以上のリサイクル流に分離する。本発明によれば、2基の塔を安定して稼働させながら、これらリサイクル流を反応器に戻すことができる。
[0032]一態様では、酢酸の製造方法は、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%、例えば、好ましくは1.1〜2.5重量%の水を含む側流及び第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し90重量%又はそれを下回る量の水を含む水性リサイクル流を得ること、及び上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を上記反応器にリサイクルすることを含み、反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回る。
[0033]第1の塔からの軽質液相と第2の塔からの水性オーバーヘッドのリサイクル比は、第1の蒸留塔と第2の蒸留塔を安定して稼働させながら反応器中の水を所望の濃度に維持することを助長する。一態様では、反応器への水性オーバーヘッドの質量流量に対する反応器にリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回り、例えば1.8であるか又はそれを下回り、1.5であるか又はそれを下回り、1であるか又はそれを下回り、0.7であるか又はそれを下回り、0.5であるか又はそれを下回り、0.35であるか又はそれを下回り、0.25であるか又はそれを下回り、かつ/又は反応器への水性オーバーヘッドの質量流量に対する反応器にリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0であるか又はそれを超え、例えば0.05であるか又はそれを超え、0.1であるか又はそれを超え、0.15であるか又はそれを超え、0.2であるか又はそれを超え、又は1であるか又はそれを超える。一態様では、反応器への水性オーバーヘッドの質量流量に対する反応器にリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0〜2、例えば0〜1.5、0〜1.3、0〜1、0〜0.9、0〜0.7、0〜0.5、0〜0.35、又は0〜0.25である。
[0034]いくつかの態様では、反応器にリサイクルされる軽質液相の質量流量は反応器に導入される水性オーバーヘッドの質量流量よりも大きく、リサイクル比は1を超える。過剰な水が第2の塔に入らないように軽質液相のリサイクルを増加させ、側流中の水の量を1〜3重量%、例えば、好ましくは1.1〜2.5重量%に制御する。水が過剰に存在すると分離が困難になり、第2の塔から取り出される酢酸生成物において所望の水濃度が得られなくなる場合がある。またいくつかの態様では、水が増加すると側流中の酢酸メチルも増加する場合がある。よって一態様では、酢酸の製造方法は、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%の水を含む側流及び第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し90重量%又はそれを下回る量の水を含む水性リサイクル流を得ること、及び上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を上記反応器にリサイクルすることを含み、反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が1超、例えば1〜2である。
[0035]いくつかの態様では、反応器にリサイクルされる軽質液相の質量流量は反応器に導入される水性オーバーヘッドの質量流量より低く、リサイクル比は1未満である。第2の塔の水濃度を維持するため、軽質液相のリサイクルを低減し側流中の水の量を1〜3重量%、例えば、好ましくは1.1〜2.5重量%に制御する。十分な量の水を供給し塔の運転を安定に維持することにより、第2の塔中での不十分な分離を防止する。この不十分な分離は第2の塔の負荷及び/又は還流を増加させることにより克服することができる場合があるが、水濃度を維持することにより制御が容易になる。よって一態様では、酢酸の製造方法は、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%の水を含む側流と第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物と第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し90重量%又はそれを下回る量の水を含む水性リサイクル流を得ること、及び上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を上記反応器にリサイクルすることを含み、反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比は1未満、例えば、0〜1である。
[0036]一態様では、水は一次精製系、例えば第1の塔、第2の塔のいずれにも導入されない。水を加えると、反応媒体中の水バランスがさらに崩れる場合がある。必要に応じて水を少し加えて反応媒体中のロスを補ってもよいが、水のすべて、又はほとんどすべてを反応媒体に戻すことが望ましい。
側流
[0037]一態様では、側流の水濃度を制御し、第1の塔及び第2の塔の両方で水のバランスを取る。反応媒体中で用いる水の量が14重量%又はそれを下回る量、より好ましくは4.1重量%又はそれを下回る量の場合、第2の塔の水の量が十分ではなくなり、第2の塔を安定して運転できないことがある。側流中の水濃度を1重量%又はそれを下回る量に低減することも可能な場合があるが、それにより第2の塔中で水の不均衡が生じることがある。これにより酢酸の回収がより困難になり、規格外製品となる場合がある。さらに、側流中に水が存在することにより、第2の塔において水性オーバーヘッド中の水を除去することができる。
[0038]側流中の水濃度は、1〜3重量%、例えば1〜2.5重量%、より好ましくは1.1〜2.1重量%である。いくつかの態様では、側流中の水濃度を1重量%又はそれを超える量、1.1重量%又はそれを超える量、1.3重量%又はそれを超える量、1.5重量%又はそれを超える量、又は2重量%又はそれを超える量に維持し、かつ/又はいくつかの態様では、側流中の水濃度を3重量%又はそれを下回る量、2.8重量%又はそれを下回る量、2.5重量%又はそれを下回る量、又は2.1重量%又はそれを下回る量に維持する。
[0039]本発明では、側流中の水濃度を維持し還流比2であるか又はそれを下回りの条件で運転することにより、側流中の主要成分である酢酸濃度を増加させることができる。よって、側流においては90重量%又はそれを超える量、例えば94重量%又はそれを超える量又は96重量%又はそれを超える量の酢酸を含む。酢酸濃度は90〜99重量%、例えば、91〜98重量%であってもよい。これにより第1の塔に供給された酢酸の大部分を側流中に取り出し、さらなる精製に付すことができる。酢酸は、第1の塔のオーバーヘッドや底部では回収されないことが好まししい。
[0040]酢酸及び水に加えて、側流はまた1種以上のヨウ化C〜C14アルキルを0.1〜6重量%、例えば0.5〜5重量%、0.6〜4重量%、0.7〜3.7重量%、又は0.8〜3.6重量%の量で含んでいてもよい。一態様では、この1種以上のヨウ化C〜C14アルキルは少なくともヨウ化メチルを含む。ヨウ化ヘキシル等の他のヨウ化アルキルをアセトアルデヒド等のカルボニル不純物から生成させてもよい。側流は1種以上のヨウ化C〜C14アルキルを0.5〜3重量%の量で含むことがより好ましい。水の存在により、この側流はまた酢酸メチルを0.1〜6重量%、例えば0.5〜5重量%、0.6〜4重量%、0.7〜3.7重量%、又は0.8〜3.6重量%の量で含んでいてもよい。一態様では、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%の水、0.1〜6重量%の酢酸メチル及び/又は0.1〜6重量%の1種以上のヨウ化C〜C14アルキルを含む側流、及び第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し90重量%又はそれを下回る量の水を含む水性リサイクル流を得ること、及び上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を上記反応器にリサイクルすることを含み、反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質
量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回る、酢酸の製造方法が提供される。
[0041]本明細書で示すように、いくつかの態様では、側流中、水濃度に対して安定した量の他の反応器成分や不純物(例えばヨウ化C〜C14アルキル等(すなわちヨウ化メチルと酢酸メチル))が存在してもよい。「安定した量」とは、1種以上のヨウ化C〜C14アルキルの濃度と酢酸メチルの濃度が側流中の水濃度の±0.9重量%の範囲内、例えば±0.7重量%、±0.6重量%、±0.5重量%、±0.4重量%、±0.3重量%、±0.2重量%、又は±0.1重量%であることを意味する。例えば、水濃度が2.5重量%である場合、ヨウ化C〜C14アルキルの濃度は1.6〜3.4重量%であり、酢酸メチルの濃度は1.6〜3.4重量%である。これは、軽質液相の一部の反応器へのリサイクル率の制御により達成し得る。いくつかの態様では、軽質液相の一部の反応器へのリサイクル率を制御すると、側流中のヨウ化メチルが、側流中の水濃度の±0.6重量%の範囲内、例えば±0.5重量%、±0.4重量%、±0.3重量%、±0.2重量%、又は±0.1重量%等、安定した濃度で得られる場合がある。一態様では、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し、1〜3重量%の水、1種以上のヨウ化C〜C14アルキルの濃度及び酢酸メチルの濃度が側流中の水濃度の±0.9重量%の範囲内である1種以上のヨウ化C〜C14アルキル及び酢酸メチルを含む側流と第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物と第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し90重量%又はそれを下回る量の水を含む水性リサイクル流を得ること、及び上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を上記反応器にリサイクルすることを含み、反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比は2であるか又はそれを下回る、酢酸の製造方法が提供される。
[0042]側流中の水濃度の制御に加え、ヨウ化水素濃度もまた調整し、軽質分留塔(すなわち第1の塔)から次の酢酸回収のために乾燥塔(すなわち第2の塔)に送られるヨウ化水素の量を低下させてもよい。側流中の水濃度は、1〜3重量%であってもよく、また側流中のヨウ化水素の量は50重量ppm又はそれを下回る量、例えば0.1〜50重量ppm、又は5〜30重量ppmに維持してもよい。いくつかの態様では、側流中のヨウ化水素の濃度は、50重量ppm又はそれを下回る量、45重量ppm又はそれを下回る量、40重量ppm又はそれを下回る量、35重量ppm又はそれを下回る量、又は30重量ppm又はそれを下回る量に維持され、かつ/又はいくつかの態様では側流中のヨウ化水素の濃度は、0.1重量ppm又はそれを超える量、1重量ppm又はそれを超える量、5重量ppm又はそれを超える量、又は10重量ppm又はそれを超える量に維持される。よって一態様では、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%の水と50重量ppm又はそれを下回る量のヨウ化水素を含む側流及び第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し90重量%又はそれを下回る量の水を含む水性リサイクル流を得ること、及び上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を上記反応器にリサイクルすることを含み、反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回る、酢酸の製造方法が提供される。
[0043]本発明に記載するように、側流中のヨウ化水素濃度を測定し軽質液相のリサイク
ル率を制御してもよい。他の開示では、ヨウ化水素含有量を計算によって間接的に求めている。例えば米国特許公開第2013/0310603号では、ヨウ化物塩形態(共触媒及び金属ヨウ化物に由来するヨウ化物を含む)に由来するヨウ化物イオン濃度をヨウ化物イオン(I)の総濃度から差し引くことによりヨウ化物イオン濃度を算出してもよいことが示されている。このような間接計算技術が通常は不正確であり、この元になるイオン測定法が不正確であるために実際のヨウ化水素濃度が十分な精度で得られない。また、この間接的計算技術では他のヨウ化物形態を考慮していない。その理由として金属陽イオンを測定し、これら陽イオンがヨウ化物陰イオンとのみ結合することを前提としているが、これは誤りであり、実際にはこれら金属陽イオンは酢酸陰イオンや触媒陰イオン等の他の陰イオンと結合する場合があるからである。これに対して、本発明によるヨウ化水素濃度の直接測定は、系内の実際のヨウ化水素濃度を反映しており、0.01%という低い確度が得られるという利点がある。一態様では、側流中のヨウ化水素濃度を滴定試薬として酢酸リチウムを用いた電位差滴定により求めてもよい。
[0044]側流中のヨウ化水素濃度を検出することにより、検出されたヨウ化水素濃度に応じて側流のリサイクル比及び組成を制御してもよい。例えば、ヨウ化水素濃度が50重量ppmの所定閾値を越える場合は、軽質液相のリサイクル率を増加させてもよい。一旦ヨウ化水素濃度が所定閾値の50重量ppmを下回ると、軽質液相のリサイクル率を低下させてもよい。本明細書に記載するように、軽質液相のリサイクル率は、還流する軽質液相の量に対する、リサイクルされる軽質液相の量である。軽質液相は、カルボニル化反応器へ直接リサイクルしてもよく、反応器へリサイクルする前にまずカルボニル化合物等の不純物を除去することにより、間接的にカルボニル化反応器にリサイクルしてもよい。
反応工程
[0045]例示的な反応及び酢酸回収系100を図1に示す。図のように、メタノール含有供給流101及び一酸化炭素含有供給流102を液相カルボニル化反応器105に導入し、反応器内においてカルボニル化反応を行い酢酸を生成させる。
[0046]メタノール含有供給流101は、メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。メタノール含有供給流101は、一部は新たな供給に由来するものであってもよく、あるいは系からリサイクルされたものであってもよい。少なくともメタノール及び/又はその反応性誘導体のいくつかは、酢酸とのエステル化により液体媒体中で酢酸メチルに変換されるため、この液体媒体中において酢酸メチルとして存在する。
[0047]カルボニル化の通常の反応温度は150〜250℃であってもよく、180〜225℃の温度範囲が好ましい範囲である。反応器内の一酸化炭素分圧は大きく変動することがあるが、通常2〜30atmであり、例えば3〜10atmである。反応器の水素分圧は、通常0.05〜2atmであり、例えば0.25〜1.9atmである。いくつかの態様では、本発明は、0.3〜2atm、例えば、0.3〜1.5atm、又は0.4〜1.5atmの水素分圧で運転してもよい。副生成物の分圧及び含有される液体の蒸気圧により、反応器の全圧は15〜40atmの範囲であってもよい。酢酸の生成率は、5〜50モル/L・h、例えば10〜40モル/L・h、好ましくは15〜35モル/L・hであってもよい。
[0048]カルボニル化反応器105は機械撹拌容器、攪拌機搭載又は非搭載のエダクタ混合又はポンプ混合(an educted or pump-around mixing)を用いた容器、又は気泡塔式容器であることが好ましい。この容器内では反応液体又はスラリーの含有量を自動的に所定の値に維持することが好ましいが、通常運転時は実質的に一定であることが好ましい。必要に応じ、新たなメタノール、一酸化炭素、及び十分な水をカルボニル化反応器105に
連続的に導入し反応媒体中でこれらの濃度を好適に維持する。
[0049]金属触媒はVIII族金属を含んでいてもよい。好適なVIII族触媒としては、ロジウム触媒及び/又はイリジウム触媒が挙げられる。ロジウム触媒を用いる場合、ロジウムが触媒溶液中に[Rh(CO)]陰イオンを含む平衡混合物として存在するべく、ロジウム触媒を当該分野で周知の任意の好適な形態で添加してもよい。本明細書に記載した方法の反応混合物中に存在してもよいヨウ化物塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の可溶性塩、四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、又はこれらの混合物の形態であってもよい。ある態様では、触媒共促進剤はヨウ化リチウム、酢酸リチウム、又はこれらの混合物である。この塩共促進剤は、ヨウ化物塩を生成させる非ヨウ化物塩として添加してもよい。ヨウ化物触媒安定化剤を直接反応系に導入してもよい。あるいは、ヨウ化物塩をin−situで生成してもよい。換言すれば、反応系の運転条件下では、広範囲の非ヨウ化物塩前駆体を反応媒体中のヨウ化メチル又はヨウ化水素酸と反応させて対応する共促進剤ヨウ化物塩安定化剤を生成するからである。ロジウム触媒及びヨウ化物塩の生成についての詳細は、米国特許第5,001,259号、5,026,908号、5,144,068号、及び7,005,541号を参照されたい。これらの内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。イリジウム触媒を用いたメタノールのカルボニル化がよく知られており、一般に米国特許第5,942,460号、5,932,764号、5,883,295号、5,877,348号、5,877,347号、及び5,696,284号に記載されている。これらの内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
[0050]触媒系のハロゲン含有触媒促進剤は、有機ハロゲン化物を含むハロゲン化合物からなる。従って、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化置換アルキル、又はハロゲン化置換アリールを用いることができる。ハロゲン含有触媒促進剤はハロゲン化アルキルの形態で存在することが好まししい。ハロゲン含有触媒促進剤は、アルキル基が、カルボニル化される供給アルコールのアルキル基と対応するハロゲン化アルキルの形態で存在することがより好ましい。従って、メタノールの酢酸へのカルボニル化において、ハロゲン化物促進剤はハロゲン化メチル、より好ましくはヨウ化メチルを含んでいてもよい。
[0051]反応媒体の成分を規定限界範囲内に維持し十分な量の酢酸の生成を確実に行う。反応媒体は、例えば、ロジウム触媒等の金属触媒を200〜3000重量ppm、例えば800〜3000重量ppm又は900〜1500重量ppmの濃度で含有する。反応媒体中の水の濃度を14重量%又はそれを下回る量、例えば0.1重量%〜14重量%、0.2重量%〜10重量%、又は0.25重量%〜5重量%に維持する。反応は水の少ない条件下で行われ、反応媒体は水を0.1〜4.1重量%、例えば0.1〜3.1重量%又は0.5〜2.8重量%の量で含むことが好まししい。反応媒体中のヨウ化メチル濃度は1〜25重量%、例えば5〜20重量%、4〜13.9重量%に維持される。反応媒体中のヨウ化物塩(例えば、ヨウ化リチウム等)の濃度は1〜25重量%、例えば2〜20重量%、3〜20重量%に維持される。反応媒体中の酢酸メチル濃度は0.5〜30重量%、例えば0.3〜20重量%、0.6〜9重量%、又は0.6〜4.1重量%に維持される。以下の量は反応媒体の総重量に基づく。
[0052]反応媒体中の酢酸濃度は、一般に30重量%又はそれを超える量、例えば40重量%又はそれを超える量又は50重量%又はそれを超える量である。
[0053]いくつかの態様では、上記酢酸の製造方法は、リチウム化合物を反応器に導入し反応媒体中の酢酸リチウム濃度を0.3〜0.7重量%に維持することをさらに含む。いくつかの態様では、ある量のリチウム化合物を反応器に導入し反応媒体中のヨウ化水素濃度を0.1〜1.3重量%に維持する。いくつかの態様では、カルボニル化反応器内に存在する反応媒体の総重量に対し、反応媒体中のロジウム触媒の濃度を200〜3000重
量ppm、反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%、及び反応媒体中の酢酸メチル濃度を0.6〜4.1重量%に維持する。
[0054]いくつかの態様では、反応器に導入するリチウム化合物は、酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、その他の有機リチウム塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される。いくつかの態様では、リチウム化合物は反応媒体に可溶性である。一態様では、リチウム化合物源として酢酸リチウム二水和物を用いてもよい。
[0055]以下の平衡反応(I)に従って酢酸リチウムをヨウ化水素と反応させヨウ化リチウムと酢酸を生成する。
LiOAc+HI←→LiI+HOAc(I)
[0056]酢酸リチウムは、酢酸メチル等、反応媒体中に存在するその他の酢酸塩に比べてヨウ化水素濃度の制御を向上させると考えられる。特定の理論に縛られるものではないが、酢酸リチウムは酢酸の共役塩基であるため、酸−塩基反応によりヨウ化水素に対して反応性がある。この特性により、反応(I)の平衡は、対応する酢酸メチルとヨウ化水素の平衡が生成する以上の反応生成物をもたらすと考えられる。この改良された平衡は、反応媒体中の水濃度が4.1重量%又はそれを下回る量であると好都合である。また、酢酸リチウムは酢酸メチルに比べて比較的揮発性が低いため、揮発により失われたり、流れに含まれてわずかに蒸気粗生成物に流入する以外は、反応媒体中に残留することができる。これに対して、酢酸メチルは比較的揮発性が高いため、この化合物は蒸留され精製系に導入される。従って酢酸メチルの制御はより困難になる。本方法では、ヨウ化水素の濃度を低く保ちながらより容易に酢酸リチウムを維持・制御する。従って、反応媒体中のヨウ化水素濃度を制御するために必要な酢酸メチルの量に対し比較的少量の酢酸リチウムを用いてもよい。さらに、ヨウ化メチルのロジウム[I]錯体への酸化付加を促進する上で、酢酸リチウムは酢酸メチルに比べて少なくとも3倍有効であることがわかった。
[0057]いくつかの態様では、反応媒体中の酢酸リチウム濃度は0.3重量%又はそれを超える量、0.35重量%又はそれを超える量、0.4重量%又はそれを超える量、0.45重量%又はそれを超える量、又は0.5重量%又はそれを超える量に維持され、かつ/又はいくつかの態様では、反応媒体中の酢酸リチウム濃度は0.7重量%又はそれを下回る量、0.65重量%又はそれを下回る量、0.6重量%又はそれを下回る量、又は0.55重量%又はそれを下回る量に維持される。
[0058]反応媒体中の酢酸リチウムが過剰になると、反応媒体中の他の化合物に悪影響を及ぼし、生産性が低下し得ることがわかった。逆に、反応媒体中の酢酸リチウム濃度が0.3重量%未満の場合、反応媒体中のヨウ化水素を所望の濃度である1.3重量%未満に維持することができないことがわかった。
[0059]いくつかの態様では、リチウム化合物を連続的に、又は断続的に反応媒体に導入してもよい。いくつかの態様では、リチウム化合物を反応器の起動時に導入する。いくつかの態様では、リチウム化合物を断続的に導入し、流れに含まれて失った分を補う。
[0060]いくつかの態様では、反応媒体中に所望のカルボン酸とアルコール、望ましくはカルボニル化に用いるアルコールのエステル、及びヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンの他に別のヨウ化物イオンを維持することにより、水濃度が低い場合でも所望の反応速度を得ることができる。望ましいエステルは酢酸メチルである。上記別のヨウ化物イオンはヨウ化物塩であることが望ましく、ヨウ化リチウム(LiI)が好ましい。米国特許第5,001,259号に記載されているように、水濃度が低いと、酢酸メチル及びヨウ化リチウムは、これらの成分がそれぞれ高濃度で存在するときのみ速度促進剤として作用
すること、またこれら成分の両方が同時に存在するときのみ促進がより高まることがわかった。
[0061]メタノールの酢酸生成物へのカルボニル化反応は、カルボニル化生成物を生成するに際し好適な温度及び圧力条件にて、ロジウム触媒,ヨウ化メチル促進剤、酢酸メチル、及び他の可溶性ヨウ化物塩を含有する酢酸溶媒反応媒体中にバブリングにより供給される一酸化炭素ガスと供給メタノールを接触させることにより行ってもよい。一般に、重要なことは触媒系中のヨウ化物イオン濃度であり、ヨウ化物と結合する陽イオンの濃度ではないことが認識されている。また、ヨウ化物が所定のモル濃度である場合、陽イオンの特性はヨウ化物濃度の効果ほど重要ではないことが知られている。塩の反応媒体中での可溶性が所望量のヨウ化物を投入するに充分なレベルであれば、如何なるヨウ化金属塩も、又は如何なる有機陽イオンの如何なるヨウ化物塩も、又は他の陽イオン、例えばアミン化合物又はホスフィン化合物に基づく陽イオン(第3級又は第4級陽イオンであってもよい)も反応媒体中に保持することができる。ヨウ化物が金属塩である場合、「Handbook of Chemistry and Physics(化学・物理学便覧)2002-03 (83rd edition)」(オハイオ州クリ
ーブランドCRC Pressから出版)に記載されているように、周期表のIA族金属及びII
A族金属からなる群から選択されたヨウ化物塩であることが好ましい。特に、アルカリヨウ化金属が有用であり、ヨウ化リチウムが特に好適である。低水分カルボニル化工程では、一般にヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンの他に別のヨウ化物イオンが、ヨウ化物イオンの総濃度が1〜25重量%の範囲の量で触媒溶液に存在する。一般に酢酸メチルは0.5〜30重量%の量で存在し、ヨウ化メチルは一般に1〜25重量%の量で存在する。ロジウム触媒は一般に200〜3000ppmの量で存在する。
[0062]また、反応媒体は、副生物の生成を回避するために制御しなければならない不純物を含んでいる場合がある。反応媒体中の不純物の1つはヨウ化エチルであり、ヨウ化エチルは酢酸からの分離が困難である。本発明者はさらに、ヨウ化エチルの生成は、反応媒体中のアセトアルデヒド、酢酸エチル、酢酸メチル、及びヨウ化メチルの濃度を含む多くの変動要素によって影響され得ることを発見した。また、メタノール源中のエタノール含有量、一酸化炭素源中の水素分圧及び水素含有量が、反応媒体中のヨウ化エチル濃度、ひいては最終酢酸生成物中のプロピオン酸濃度に影響を及ぼすことがわかった。
[0063]いくつかの態様では、酢酸生成物からプロピオン酸を除去することなく、反応媒体中のヨウ化エチル濃度を750重量ppm又はそれを下回る量に維持することにより、酢酸生成物中のプロピオン酸濃度をさらに250重量ppm未満に維持し得る。
[0064]いくつかの態様では、反応媒体中のヨウ化エチルと酢酸生成物中のプロピオン酸は重量比3:1〜1:2で存在してもよい。いくつかの態様では、反応媒体中のアセトアルデヒド濃度とヨウ化エチル濃度を重量比2:1〜20:1に維持する。
[0065]いくつかの態様では、水素分圧、反応媒体中の酢酸メチル濃度、ヨウ化メチル濃度、及び/又はアセトアルデヒド濃度のうち、少なくとも1つを制御することにより反応媒体中のヨウ化エチル濃度を維持してもよい。
[0066]いくつかの態様では、反応媒体中のヨウ化エチル濃度を750重量ppm又はそれを下回る量、例えば650重量ppm又はそれを下回る量、550重量ppm又はそれを下回る量、450重量ppm又はそれを下回る量、又は350重量ppm又はそれを下回る量に維持/制御する。いくつかの態様では、反応媒体中のヨウ化エチル濃度を1重量ppm又はそれを超える量、例えば5重量ppm、10重量ppm、20重量ppm、又は25重量ppm、かつ650重量ppm又はそれを下回る量、例えば550重量ppm、450重量ppm、又は350重量ppmに維持/制御する。
[0067]いくつかの態様では、酢酸生成物中のプロピオン酸に対する反応媒体中のヨウ化エチルの重量比は、3:1〜1:2の範囲であってもよく、例えば5:2〜1:2、2:1〜1:2、又は3:2〜1:2の範囲であってもよい。
[0068]いくつかの態様では、反応媒体中のヨウ化エチルに対するアセトアルデヒドの重量比は、20:1〜2:1の範囲であってもよく、例えば15:1〜2:1又は9:1〜2:1の範囲であってもよい。
[0069]通常のカルボニル化工程では、一酸化炭素をカルボニル化反応器、好ましくは攪拌機の下に連続的に導入し、攪拌機を用いて内容物を撹拌してもよい。ガス状供給原料をこの撹拌手段により反応液体全体に十分分散させることが好ましい。排気流106を反応器105から放出してガス副生成物の蓄積を防止し、所定の反応器全圧下で設定された一酸化炭素分圧を維持することが望ましい。一態様では、排気流106は1重量%又はそれを下回る量、例えば0.9重量%又はそれを下回る量、0.8重量%又はそれを下回る量、0.7重量%又はそれを下回る量、0.5重量%又はそれを下回る量の少量のヨウ化水素を含む。ヨウ化水素がこれらの量を越えると、ヨウ化水素の排出を防止するためのスクラバへの負荷が増加する。反応器の温度を制御し、所望の反応器全圧を維持するのに十分な速度で一酸化炭素原料を供給する。液体反応媒体を含む流れ113を反応器105から取り出す。
[0070]酢酸製造システムは、本工程内で酢酸を回収し、金属触媒、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及びその他の系の成分をリサイクルするために用いる分離系108を含むことが好ましい。反応器に導入する前にリサイクル流の1つ以上を混合してもよい。また分離系は、カルボニル化反応器内及び系全体の水及並びに酢酸の含有量を制御し、過マンガン酸還元性化合物(「PRC」)の除去を容易にすることが好ましい。PRCとしては、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、及びこれらのアルドール縮合生成物が含まれ得る。一態様では、好適な過マンガン酸カリウム試験としてJIS
K1351(2007)が挙げられる。
フラッシュ容器
[0071]カルボニル化反応器内において反応媒体を一定の水準に維持するために十分な速度で反応媒体をカルボニル化反応器105から取り出し、流れ113を介してフラッシュ容器110に供給する。フラッシュ分離を1〜10atmの絶対圧力の下、80℃から200℃の温度にて行ってもよい。フラッシュ容器110内において、反応媒体をフラッシュ分離工程により分離し、酢酸を含む蒸気生成物流112と触媒含有溶液を含む液体リサイクル111を得る。蒸気生成物流112及び液体リサイクル111各々の流速は異なってもよく、例示的な一態様では、フラッシュ容器110への流れの15%〜55%が蒸気生成物流112として取り出され、この流れの45%〜85%が液体リサイクル111として取り出される。触媒含有溶液は大部分が酢酸であり、ロジウム及びヨウ化物塩を含んでおり、それらより少量の酢酸メチルとヨウ化メチルを含んでいてもよい。上述の通り、水が反応器にリサイクルされる。液体リサイクルを反応器に戻す前に、米国特許第5,731,252号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、スリップ流をイオン交換床等の腐食性金属除去床を通過させ、流れに含まれるいくつかの腐食性金属(ニッケル、鉄、クロム、及びモリブデン等)を除去してもよい。また、米国特許第8,697,908号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、腐食性金属除去床を用いてアミン等の窒素化合物を除去してもよい。
[0072]一態様では、蒸気生成物流112は酢酸,ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、アセトアルデヒド、及びヨウ化水素を含む。一態様では、蒸気生成物流112は、蒸気生成物流の総重量に対して45〜75重量%の酢酸、20〜50重量%のヨウ化メチル、9重量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、及び15重量%又はそれを下回る量の水を含む。他の態様では、蒸気生成物流112は、蒸気生成物流の総重量に対して45〜75重量%の酢酸、24〜36重量%のヨウ化メチル、9重量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、及び15重量%又はそれを下回る量の水を含む。蒸気生成物流112は、55〜75重量%の酢酸、24〜35重量%のヨウ化メチル、0.5〜8重量%の酢酸メチル、及び0.5〜14重量%の水を含むことがより好ましい。さらに好ましい態様では、蒸気生成物流112は、60〜70重量%の酢酸、25〜35重量%のヨウ化メチル、0.5〜6.5重量%の酢酸メチル、及び1〜8重量%の水を含む。蒸気生成物流中のアセトアルデヒド濃度は、蒸気生成物流の総重量に対して0.005〜1重量%、例えば、0.01〜0.8重量%又は0.01〜0.7重量%であってもよい。いくつかの態様では、アセトアルデヒドは0.01重量%又はそれを下回る量の量で存在してもよい。蒸気生成物流112は、蒸気生成物流の総重量に対して1重量%又はそれを下回る量、例えば0.5重量%又はそれを下回る量又は0.1重量%又はそれを下回る量のヨウ化水素を含んでいてもよい。蒸気生成物流112は実質的にプロピオン酸を含まない、すなわち含まれるプロピオン酸が蒸気生成物流の総重量に対して0.0001重量%又はそれを下回る量であることが好ましい。
[0073]液体リサイクル流111は、酢酸、金属触媒、腐食性金属、及びその他の様々な化合物を含む。一態様では、液体リサイクル流は、60〜90重量%の酢酸、0.01〜0.5重量%の金属触媒、合計で10〜2500重量ppmの腐食性金属(例えば、ニッケル、鉄、及びクロム等)、5〜20重量%のヨウ化リチウム、0.5〜5重量%のヨウ化メチル、0.1〜5重量%の酢酸メチル、0.1〜8重量%の水、1重量%又はそれを下回る量のアセトアルデヒド(例えば、0.0001〜1重量%のアセトアルデヒド)、及び0.5重量%又はそれを下回る量のヨウ化水素(例えば、0.0001〜0.5重量%のヨウ化水素)を含む。
[0074]酢酸の他に、蒸気生成物流112はまた、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、及びPRC(例えば、アセトアルデヒド及びクロトンアルデヒド)を含む。反応器105から送り出されてフラッシュ容器110に供給される溶解ガスは、一酸化炭素の一部を含んでいるが、メタン、水素、及び二酸化炭素等のガス状副生成物を含んでいてもよい。このような溶解ガスを蒸気生成物流112の一部としてフラッシュ容器110から送り出す。一態様では、排気流106中の一酸化炭素をフラッシュ容器110の底部に供給しロジウムの安定性を高めてもよい。
酢酸の回収
[0075]酢酸の蒸留及び回収は本発明の目的のために特に限定されるものではない。
第1の塔
[0076]図1に示すように、蒸気生成物流112を第1の塔120(軽質分留塔とも言う)に導入する。一態様では、蒸気生成物流112は、酢酸、酢酸メチル、水,ヨウ化メチル、及びアセトアルデヒド、更に他の不純物(ヨウ化水素及びクロトンアルデヒド等)、及び副生物(プロピオン酸等)を含んでいてもよい。蒸留により低沸点オーバーヘッド蒸気流122、好ましくは側流123を経由して取り出される精製酢酸生成物、及び高沸点残渣流121が得られる。酢酸の大部分は側流123から取り出されるが、高沸点残渣流121から回収される酢酸はわずかであるか、もしくは全くないことが好ましい。高沸点残渣流121中の酢酸濃度は比較的高いこともあるが、側流123に比べて高沸点残渣流121の質量流量は極めて少ない。いくつかの態様では、高沸点残渣流121の質量流量は側流123の0.75%又はそれを下回る量、例えば、0.55%又はそれを下回る量
又は0.45%又はそれを下回る量である。
[0077]一態様では、低沸点オーバーヘッド蒸気流122は、水を5重量%又はそれを超える量、例えば10重量%又はそれを超える量又は25重量%又はそれを超える量含む。水の量は、80重量%以下であってもよい。範囲に関しては、オーバーヘッド中の水濃度は、5重量%から80重量%、例えば、10重量%から70重量%、又は25重量%から60重量%であってもよい。水濃度が5重量%未満に低下すると、反応系に戻される酢酸リサイクルが増加し、精製系全体のリサイクルが増加するため、有益ではない。水の他に、低沸点オーバーヘッド蒸気流122はまた、酢酸メチル,ヨウ化メチル、及びカルボニル不純物を含む場合があるが、これらをオーバーヘッド中に濃縮し側流123中の酢酸から除去することが好ましい。本明細書ではこれらのカルボニル不純物はPRCとも言う場合がある。
[0078]図示するように、低沸点オーバーヘッド蒸気流122を凝縮し、オーバーヘッドデカンタ124として示すオーバーヘッド相分離ユニットに導入することが好ましい。一旦デカンタ124で凝縮した低沸点オーバーヘッド蒸気流122を分離し軽質液相133と重質液相134を得るような条件を維持することが望ましい。この相分離は、これら2つの相の間に第3の相、すなわちエマルジョンが形成されないように2つの分離相を保持しなければならない。オフガス成分をライン132経由でデカンタ124から放出してもよい。いくつかの態様では、オーバーヘッドデカンタ124内での凝縮低沸点オーバーヘッド蒸気流122の平均滞留時間は、1分又はそれを超える時間、例えば、3分又はそれを超える時間、5分又はそれを超える時間、又は10分又はそれを超える時間であり、かつ/又は平均滞留時間は60分又はそれを下回る時間、例えば、45分又はそれを下回る時間、30分又はそれを下回る時間、又は25分又はそれを下回る時間である。
[0079]軽質液相133の具体的な組成は大きく変動し得るが、いくつかの例示的な組成を以下の表1に示す。
Figure 0006676667
[0080]一態様では、オーバーヘッドデカンタ124は界面水準を低く維持してヨウ化メチルの過剰なホールドアップを防止するように構成されている。重質液相134の具体的な組成は大きく変動し得るが、いくつかの例示的な組成を以下の表2に示す。
Figure 0006676667
[0081]重質液相134の密度は、1.3〜2、例えば、1.5〜1.8、1.5〜1.75、又は1.55〜1.7であってもよい。米国特許第6,677,480号に記載されているように、重質液相134の測定密度は、反応媒体中の酢酸メチル濃度と相関する。密度が低下すると、反応媒体中の酢酸メチル濃度は上昇する。本発明の一態様では、重質液相134を反応器にリサイクルし、軽質液相133を同じポンプでリサイクルするように制御する。ポンプの妨げにならない一部の軽質液相133をリサイクルし、軽質液相133と重質液相を合わせた密度が1.3であるか又はそれを超え、例えば、1.4であるか又はそれを超え、1.5であるか又はそれを超え、又は1.7であるか又はそれを超えるように維持することが望ましい。本明細書に記載するように、重質液相134の一部を処理してアセトアルデヒド等の不純物を除去してもよい。
[0082]表1及び表2に示すように、軽質液相133中の水濃度は、重質液相134中よりも高い。本発明では、軽質液相のリサイクルにより側流中の水濃度を制御することができる。ライン136経由で軽質液相133を反応器105にリサイクルするリサイクル率によって、水及びヨウ化水素の濃度を側流123中で制御する。ライン135経由で軽質液相133の第1の塔への還流比(本明細書では、重質相134(すべてリサイクルするかどうかは問わない)と軽質相133の両方を含む、塔120の頂部から送り出される総質量流量で除した還流の質量流量を意味する)は、0.05〜0.4、例えば、0.1〜0.35又は0.15〜0.3であることが好ましい。一態様では、還流比を低下させるため、側流と第1の塔の塔頂との間の理論段数は5以上、例えば好ましくは10以上であってもよい。他の態様では、ライン136中の軽質液相を反応器105に戻すリサイクル率は、塔オーバーヘッド(還流及びリサイクル)から凝縮された総軽質液相133の20%以下、例えば、10%以下である。範囲に関しては、ライン136中の軽質液相のリサイクル率は、第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流(還流及びリサイクル)から凝縮された総軽質液相133の0〜20%、例えば、0.1〜20%、0.5〜20%、1〜15%、又は1〜10%である。残った部分を還流として軽質分留塔で用いてもよく、あるいはアセトアルデヒド除去系に供給してもよい。図1に示すように、ライン136中のリサイクルは液体リサイクル111と混合し、反応器105に間接的に戻してもよい。一態様では、ライン136中のリサイクルを、リサイクルされている他の流れと混合し反応器105に間接的にリサイクルしてもよく、あるいは反応器105に直接リサイクルしてもよい。乾燥塔125からの凝縮オーバーヘッド流138を相分離し水相と有機相を形成する場合、ライン136中のリサイクルを好ましくは水相と混合してもよい。あるいは、ライン136中のリサイクルを少なくとも部分的に重質液相134及び/又はオーバーヘッド流138からの有機相と混合してもよい。
[0083]本発明では、流量バルブ(図示されていない)及び/又は流量モニター(図示さ
れていない)を用いてライン135中の還流及びライン136中のリサイクルを制御してもよい。一態様では、試料流141をオンライン分析計142に供給することにより、側流123中のヨウ化水素濃度を求めてもよい。一態様では、ライン135中の還流及びライン136中のリサイクルを、オンライン分析計142と通信しながら制御してもよく、オンライン分析計がフィードバック情報を送り反応器への還流比及びリサイクル率をそれぞれ制御してもよい。還流比を変化させると、反応器にリサイクルされる水の量に影響を及ぼす場合がある。いくつかの態様では、軽質液相133が反応器へ全くリサイクルされないように水の量を変化させてもよい。還流を減少させ(かつ反応器へのリサイクルを増加させる)と、側流中の水の含有量も減少する。還流を増加させると、側流中の水濃度も増加し、反応器にリサイクルされる水は減少する。還流比が0.4を越えると、側流中の水濃度も増加して3重量%を越え、第2の塔で酢酸生成物から水、酢酸メチル、及びヨウ化メチルを除去するための分離が困難になる。従って、このような酢酸生成物を乾燥塔の底部又は底部近傍の側部から回収しても、ガード床により効果的に処理するには高すぎる総濃度のヨウ化物を含む場合がある。
PRC除去系
[0084]図には示されていないが、軽質液相133及び/又は重質液相134の一部を分離し、アセトアルデヒド又はPRC除去系に導入し、アセトアルデヒド除去工程中でヨウ化メチルと酢酸メチルを回収してもよい。表1及び表2に示すように、軽質液相133及び/又は重質液相134はそれぞれPRCを含んでおり、本発明の方法は、酢酸生成物の品質を損なうアセトアルデヒド等のカルボニル不純物を除去することを含み得る。このようなカルボニル不純物は、米国特許第6,143,930号、6,339,171号、7,223,883号、7,223,886号、7,855,306号、7,884,237号、8,889,904号、及び米国特許公開第2006/0011462号に記載された好適な不純物除去塔や不純物吸収装置により除去してもよい。これらの内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。アセトアルデヒド等のカルボニル不純物をヨウ化物触媒促進剤と反応させ、例えば、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ペンチル、ヨウ化ヘキシル等のヨウ化アルキルを生成させてもよい。不純物の多くはアセトアルデヒドに由来するため、軽質液相からカルボニル不純物を除去することが望ましい。
[0085]アセトアルデヒド又はPRC除去系に供給される軽質液相133及び/又は重質液相134の一部は、軽質液相133及び/又は重質液相134の質量流量の1%から99%の範囲、例えば、1〜50%、2〜45%、5〜40%、5〜30%、又は5〜20%の範囲で変動してもよい。いくつかの態様では、軽質液相133及び重質液相134のいずれも、その一部をアセトアルデヒド又はPRC除去系に供給してもよい。本明細書で記載したように、アセトアルデヒド又はPRC除去系に供給されない軽質液相133の一部を第1の塔に還流してもよく、あるいは反応器にリサイクルしてもよい。アセトアルデヒド又はPRC除去系に供給されない重質液相134の一部を反応器にリサイクルしてもよい。重質液相134の一部を第1の塔に還流してもよいが、ヨウ化メチルが濃縮された重質液相134は反応器に戻す方がより望ましい。
[0086]一態様では、軽質液相133及び/又は重質液相134の一部が蒸留塔に供給され、蒸留塔のオーバーヘッドにおいてアセトアルデヒドとヨウ化メチルが濃縮される。構成にもよるが、2基に分かれた蒸留塔があってもよく、第2の塔のオーバーヘッドにおいてアセトアルデヒド及びヨウ化メチルが濃縮されていてもよい。ジメチルエーテルは、in−situで生成し得るが、オーバーヘッドに存在していてもよい。オーバーヘッドに対して1段以上の抽出操作を行い、ヨウ化メチルが濃縮された抽残液(raffinate)及び
抽出剤を除去してもよい。抽残液の一部を蒸留塔、第1の塔、オーバーヘッドデカンタ、及び/又は反応器に戻してもよい。例えば、重質液相134をPRC除去系で処理する場合、抽残液の一部を蒸留塔又は反応器に戻すことが望ましい場合がある。また、例えば、
軽質液相133をPRC除去系で処理する場合、抽残液の一部を第1の塔、オーバーヘッドデカンタ、又は反応器に戻すことが望ましい場合がある。いくつかの態様では、抽出剤をさらに蒸留して水を除去し、1段以上の抽出操作に戻してもよい。塔のボトム留分は軽質液相133より多くの酢酸メチル及びヨウ化メチルを含んでおり、これもまた反応器105にリサイクルする、かつ/又は第1の塔120に還流してもよい。
[0087]一態様では、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し側流及び5重量%又はそれを超える量の水を含む低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮して得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記重質液相の一部を分離しアセトアルデヒド又はその他のPRCを除去すること、反応器への軽質液相のリサイクル率を制御することにより側流中の水濃度を1〜3重量%、例えば、好ましくは1.1〜2.5重量%に維持し、側流中のヨウ化水素濃度を50重量ppm又はそれを下回る量、例えば、好ましくは0.1〜50重量ppmに維持すること、及び側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物を得ることを含む、酢酸の製造方法が提供される。
[0088]一態様では、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%の水を含む側流及び第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮して得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記重質液相の一部を分離してアセトアルデヒド又は他のPRCを除去すること、上記側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し90重量%又はそれを下回る量の水を含む水性リサイクル流を得ること、及び上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を上記反応器にリサイクルすることを含み、反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回ることを含む、酢酸の製造方法が提供される。
第2の塔
[0089]側流123経由で回収する酢酸を第2の塔125(乾燥塔とも言う)等でさらに精製することが好ましい。また、第2の塔において側流123を分離し、主に水を含む水性オーバーヘッド流126と、主に酢酸を含む生成物流127を形成する。側流由来の水を水性オーバーヘッド流において濃縮する。凝縮した場合、水性リサイクル流は、側流中の水の90%又はそれを超える水、例えば、95%又はそれを超える水、97%又はそれを超える水、99%又はそれを超える水を含む。酢酸の製造方法は、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%の水を含む側流及び第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮して得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物と第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し側流中の水の90%又はそれを超える水を含む水性リサイクル流を得ること、及び上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を上記反応器にリサイクルすることを含み、反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回る。
[0090]水性リサイクル流は、水を50〜90重量%、例えば、50〜85重量%、50〜80重量%、又は55〜70重量%含んでいてもよい。いくつかの態様では、水性リサイクル流は、水を90重量%又はそれを下回る量、例えば、85重量%又はそれを下回る量、75重量%又はそれを下回る量含んでいてもよい。また、酢酸メチル及びヨウ化メチ
ルは側流から除去され、オーバーヘッド流で濃縮される。酢酸は水性リサイクル流に存在してもよいが、酢酸濃度を低く維持し、酢酸の大部分を生成物として回収することが望ましい。一態様では、水性リサイクル流は、20重量%又はそれを下回る量、例えば、15重量%又はそれを下回る量又は10重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチルと、10重量%又はそれを下回る量、例えば、5重量%又はそれを下回る量又は1重量%又はそれを下回る量の酢酸メチルと、20重量%又はそれを下回る量、例えば、10重量%又はそれを下回る量又は5重量%又はそれを下回る量の酢酸をさらに含む。従って一態様では、酢酸の製造方法は、反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、上記蒸気生成物流を第1の塔で蒸留し1〜3重量%の水を含む側流及び第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮して得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、上記側流を第2の塔で蒸留し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、90重量%又はそれを下回る量の水、20重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチル、10重量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、及び20重量%又はそれを下回る量の酢酸を含む水性リサイクル流を得ること、及び上記第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を上記反応器にリサイクルすることを含み、反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回る。
[0091]一態様では、第2の塔125から得られる水性オーバーヘッド流126は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水等の反応成分を含み、これらの反応成分は工程内で保持されることが好ましい。水性オーバーヘッド流126は熱交換器により凝縮され流れ138となり、反応器105にリサイクルされる、かつ/又は第2の塔125に還流される。オフガス成分をライン137経由で凝縮低沸点オーバーヘッド蒸気流126から放出してもよい。第1の塔120から得られる凝縮低沸点オーバーヘッド蒸気流と同様に、凝縮オーバーヘッド流138もまた水相と有機相に分離し、これらの相を必要に応じリサイクル又は還流し、反応媒体中のそれらの濃度を維持してもよい。
[0092]乾燥塔オーバーヘッドの水相の例示的な組成を以下の表3に示す。
Figure 0006676667
[0093]一態様では、水性リサイクル流を水相の一部から得てもよい。第2の塔を効率的に運転するためには、水相の一部を第2の塔に還流させることが好ましい。水性リサイクル流は水相の他に、1〜100%、例えば、10〜100%、20〜100%、50〜100%、70〜100%、又は80〜100%の有機相を含んでいてもよい。第2の塔のオーバーヘッドデカンタには少量のヨウ化メチルが存在するため、分離した有機相を回収することが困難な場合がある。有機相を一部の水相と共に回収し水性リサイクル流を形成してもよい。また、いくつかの態様では水性リサイクル流は、100%又はそれを下回る量、例えば、99.9%又はそれを下回る量、99.5%又はそれを下回る量、又は99
%又はそれを下回る量の有機相を含んでいてもよく、かつ/あるいは水性リサイクル流は、10%又はそれを超える量、例えば、20%又はそれを超える量、50%又はそれを超える量、50%又はそれを超える量、80%又はそれを超える量、又は90%又はそれを超える量の有機相を含んでいてもよい。
[0094]生成物流127は、本質的に酢酸を含む、又は酢酸からなり、第2の塔125の底部又は底部近傍の側流から取り出されることが好ましい。底部近傍の側流として取り出される場合、側流は液体であってもよく、あるいは蒸気流であってもよい。好ましい態様では、生成物流127は90重量%又はそれを超える量、例えば、95重量%又はそれを超える量又は98重量%又はそれを超える量の酢酸を含む。生成物流127はさらに、商業利用のために貯蔵又は輸送される前に、例えばイオン交換樹脂を通過させる等の処理をしてもよい。
[0095]放出流、特にライン106、132、及び137からの残渣液体を回収するために、これらラインをスクラバに供給してもよい。スクラバは冷却メタノール及び/又は酢酸を用いて運転し、酢酸メチル及びヨウ化メチルを除去する。米国特許第8,318,977号に好適なスクラバが記載されており、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
[0096]本発明の蒸留塔は、従来の蒸留塔、例えば、棚段塔、充填塔、及びその他の塔であってもよい。棚段塔としては、多孔板塔、泡鐘塔、キッテルトレイ塔、ユニフラックストレイ又はリップルトレイ塔を挙げることができる。棚段塔の場合、理論段数は特に限定されず、分離される成分の種類に依存しており、80段以下、例えば、2〜80段、5〜60段、5〜50段、より好ましくは7〜35段とすることができる。蒸留塔は様々な蒸留装置の組み合わせを備えていてもよい。例えば、泡鐘塔と多孔板塔の組み合わせ、或いは多孔板塔と充填塔の組み合わせを用いてもよい。
[0097]蒸留系の蒸留温度及び圧力は、目的とするカルボン酸の種類、蒸留塔の種類、又は供給流の組成に従い、低沸点不純物及び高沸点不純物から選択される除去対象物等の条件に応じて好適に選択することができる。例えば、酢酸を蒸留塔で精製する場合、蒸留塔の内圧(通常は塔頂部の圧力)はゲージ圧で0.01〜1MPa、例えば、0.02〜0.7MPa、より好ましくは0.05〜0.5MPaであってもよい。さらに、塔の内圧を調整することにより、蒸留塔の蒸留温度、すなわち塔頂部の温度により塔の内部温度を制御することができる。例えば、塔の内部温度は20〜200℃、例えば、50〜180℃、より好ましくは100〜160℃であってもよい。
[0098]塔、バルブ、凝縮器、受器、ポンプ、リボイラ、内部構造物及び各種ライン(これらはそれぞれ蒸留系に繋がっている)を含む蒸留系に関連した各部位又はユニットの材料は、ガラス、金属、セラミックス、又はこれらの組み合わせ等、好適な材料で形成されていてもよく、特に特定の材料に限定されない。本発明によれば、上述の蒸留系及び各種ラインの材料は、遷移金属又は鉄合金等の遷移金属基合金、例えば、ステンレス鋼、ニッケル又はニッケル合金、ジルコニウム又はジルコニウム合金、チタン又はチタン合金、又はアルミニウム合金等である。好ましい鉄基合金としては、主成分として鉄を含む合金、例えば、クロム、ニッケル、モリブテン及びその他の金属も含むステンレス鋼等が挙げられる。好ましいニッケル基合金としては、主成分としてニッケル並びに、クロム、鉄、コバルト、モリブテン、タングステン、マンガン、及びその他の金属の1種以上を含む合金、例えば、HASTELLOY(商標)やINCONEL(商標)等が挙げられる。蒸留系及び各種ラインの材料として耐腐食性金属が特に好適な場合がある。
ガード床(Guard bed)
[0099]例えば、酢酸流等のカルボン酸流は、ハロゲン化物及び/又は腐食性金属で汚染されているが、広範囲の運転条件下においてイオン交換樹脂組成物と接触させてもよい。イオン交換樹脂組成物をガード床中に設けることが好まししい。ガード床を用いて汚染カルボン酸を精製することは、例えば米国特許第4,615,806号、5,653,853号、5,731,252号、及び6,225,498号等(これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる)、当該分野ではよく知られている。一般に、汚染された液体カルボン酸流をイオン交換樹脂組成物と接触させるが、このイオン交換樹脂組成物はガード床中に設けられていることが好ましい。例えば、ヨウ化物汚染物質等のハロゲン化物汚染物質を金属と反応させ金属ヨウ化物を生成させる。いくつかの態様では、ヨウ化物と結合し得る炭化水素部位(例えば、メチル基等)はカルボン酸をエステル化させることがある。例えば、ヨウ化メチルで汚染された酢酸の場合、酢酸メチルがヨウ化物除去の副生物として生成される。このエステル化生成物の生成は、通常は処理済みのカルボン酸流に有害な効果を及ぼすことはない。
[0100]一態様では、イオン交換樹脂は金属交換イオン交換樹脂であり、銀、水銀、パラジウム、及びロジウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含んでいてもよい。一態様では、この金属交換樹脂の強酸交換部位の少なくとも1%を銀が占める。他の態様では、この金属交換樹脂の強酸交換部位の少なくとも1%を水銀が占める。本発明の方法は、カチオン性交換樹脂で精製酢酸生成物を処理し銀、水銀、パラジウム、ロジウムのいずれかを回収することをさらに含んでいてもよい。
[0101]接触工程時の圧力は、樹脂の物理的強度によってのみ制限される。一態様では、0.1MPa〜1MPa、例えば、0.1MPa〜0.8MPa又は0.1MPa〜0.5MPaの範囲の圧力で接触を行う。しかしながら、便宜上、圧力と温度の両方を規定して、汚染カルボン酸流を液体として処理することが好ましい場合がある。従って、例えば、一般に経済的観点から好ましいとされる大気圧での運転では、温度は17℃(酢酸の凝固点)から118℃(酢酸の沸点)の範囲であってもよい。他のカルボン酸化合物を含む生成物流に対して同様の範囲を定めることは当業者の理解の範囲内である。接触工程の温度を比較的低く保ち樹脂の劣化を最小限にすることが好ましい。一態様では、25℃〜120℃、例えば、25℃〜100℃又は50℃〜100℃の範囲の温度で接触を行う。数種の陽イオン性マクロ網状樹脂は、通常150℃の温度で劣化し始める(酸触媒の芳香族脱スルホン化の機構による)。炭素数が5以下、例えば、3以下のカルボン酸はこの範囲の温度で液体の状態を保つ。従って接触時の温度を、用いられる樹脂の劣化温度未満に維持しなければならない。いくつかの態様では、運転温度を樹脂の限界温度より低く保ち、ハロゲン化物除去のための所望の反応速度及び液相操作との整合性をとる。
[0102]酢酸精製系内のガード床の構成は大きく異なっていてもよい。例えば、ガード床を乾燥塔の後に設けてもよい。それに加えて、あるいはそれに代えて、ガードを重質留分除去塔又は仕上げ塔の後に設けてもよい。酢酸生成物流の温度が低い位置、例えば、120℃又はそれを下回る温度又は100℃又はそれを下回る温度の位置にガード床を設けることが好まししい。上述した利点に加え、運転温度が低い場合、運転温度が高い場合に比べて金属の腐食が少ない。また運転温度が低い場合、上述したように樹脂の総合寿命を低下させるおそれがある腐食性金属汚染物質の生成が抑制される。また、運転温度が低い場合、腐食が抑制されるため、容器を高価な耐腐食性金属ではなく、一般的なステンレス鋼で作製してもよいというさらなる利点がある。
[0103]一態様では、ガード床における流速は0.1床体積/時間(bed volumes per hour)(BV/hr)から50BV/hrの範囲、例えば、1BV/hrから20BV/hr又は6BV/hrから10BV/hrの範囲である。有機媒体の床体積は、樹脂床が占める体積に等しい媒体の体積である。流速が1BV/hrであるとは、樹脂床が占める体
積に等しい量の有機液体が1時間で樹脂床を通過することを意味する。
[0104]一態様では、総ヨウ化物濃度が高い精製酢酸生成物により樹脂が消耗するのを回避するため、精製酢酸生成物の総ヨウ化物濃度が5重量ppm又はそれを下回る量、例えば、好ましくは1重量ppm又はそれを下回る量である場合に、底部流127中の精製酢酸生成物をガード床と接触させる。総ヨウ化物濃度には、ヨウ化C〜C14アルキル等の有機物及びヨウ化水素等の無機物の両方に由来するヨウ化物が含まれる。ガード床で処理した結果、精製酢酸組成物が得られる。一態様では、精製酢酸組成物は、100wppb又はそれを下回る量、例えば、90wppb又はそれを下回る量、50wppb又はそれを下回る量、又は25wppb又はそれを下回る量のヨウ化物を含む。一態様では、精製酢酸組成物は1000wppb又はそれを下回る量、例えば、750wppb又はそれを下回る量、500wppb又はそれを下回る量、又は250wppb又はそれを下回る量の腐食性金属を含む。本発明では、腐食性金属は、ニッケル、鉄、クロム、モリブテン、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属を含む。範囲に関しては、精製酢酸組成物は0〜100wppb、例えば、1〜50wppbのヨウ化物及び/又は0〜1000wppb、例えば、1〜500wppbの腐食性金属を含んでいてもよい。他の態様では、ガード床により、粗酢酸生成物からヨウ化物の少なくとも25重量%、例えば、少なくとも50重量%又は少なくとも75重量%が除去される。一態様では、ガード床により、粗酢酸生成物から腐食性金属の少なくとも25重量%、例えば、少なくとも50重量%又は少なくとも75重量%が除去される。
[0105]他の態様では、生成物流を陽イオン交換体に接触させリチウム化合物を除去してもよい。酸形態の陽イオン交換体は、酸形態の強酸陽イオン交換マクロ網状樹脂、マクロ多孔質樹脂、又はメソ多孔質樹脂を含む。特定の理論には縛られないが、10重量ppm又はそれを超える量のリチウム化合物を含むイオン交換樹脂に生成物流を供給すると、処理生成物中の金属が置換される。イオン交換樹脂の上流に陽イオン交換体を用いることによりこの問題を克服できるという利点がある。陽イオン交換体と接触させた後、生成物流はリチウムイオンを50重量ppb(wppb)又はそれを下回る量、例えば、10wppb又はそれを下回る量、又は5wppb又はそれを下回る量の濃度で含んでいてもよい。
[0106]生成物流をイオン交換樹脂に接触させヨウ化物を除去してもよいが、生成物流をフラッシュすること、あるいは生成物流を活性炭を含む吸着系に接触させることは好ましくない。生成物流のフラッシュは、生成物流から酢酸の50%超を回収するのに十分な圧力低下が生じないため、効率的ではない。従って、一態様では、生成物流のうち、フラッシュしない部分をイオン交換床に供給しヨウ化物を除去する。
[0107]上述の図面や説明から明らかなように、様々な態様が意図されている。
E1.反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器内で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、
該蒸気生成物流を第1の塔で蒸溜し1〜3重量%の水を含む側流と、第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流とを得ること、
該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、
該側流を第2の塔で蒸溜し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し90重量%又はそれを下回る量の水を含む水性リサイクル流を得ること、及び
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を該反応器にリサイクルすることを含み、
該反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイク
ルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回る、酢酸の製造方法。
E2.該水性リサイクル流はさらに50〜90重量%の水を含む、態様E1に記載の方法。
E3.該水性リサイクル流はさらに、20重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチル、10重量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、20重量%又はそれを下回る量の酢酸を含む、態様E1〜E2のいずれか1態様に記載の方法。
E4.該水性オーバーヘッドが該側流中の水の90%又はそれを超える水を含む、態様E1〜E3のいずれか1態様に記載の方法。
E5.該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し得られた凝縮流を二相に分離し有機相及び水相を形成することをさらに含み、該水性リサイクル流が該水相の一部を含む、態様E1〜E4のいずれか1態様に記載の方法。
E6.該水性リサイクル流が当該有機相の1〜100%を含む、態様E5に記載の方法。E7.該水相の一部を該第2の塔に還流させることをさらに含む、態様E5に記載の方法。
E8.該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0〜2である、態様E1〜E7いずれか1態様に記載の方法。
E9.該反応器への水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が1であるか又はそれを下回る、態様E1〜E8のいずれか1態様に記載の方法。
E10.該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0〜1である、態様E1〜E9のいずれか1態様に記載の方法。
E11.該側流中のヨウ化水素濃度が50重量ppm又はそれを下回る量である、態様E1〜E10のいずれか1態様に記載の方法。
E12.該重質液相の一部を該反応器にリサイクルする、態様E1〜E11のいずれか1態様に記載の方法。
E13.該軽質液相の一部を該第1の塔に還流させることをさらに含む、態様E1〜E12のいずれか1態様に記載の方法。
E14.該反応器への軽質液相のリサイクル率が、該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流から凝縮した総軽質相の0〜20%である、態様E1〜E13のいずれか1態様に記載の方法。
E15.該反応媒体が、0.5〜30重量%の酢酸メチル、200〜3000重量ppmの金属触媒、1〜25重量%のヨウ化物塩、及び1〜25重量%のヨウ化メチルを含む、態様E1〜E14のいずれか1態様に記載の方法。
E16.該重質液相の一部を処理してアセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド,及びこれらのアルドール縮合生成物からなる群より選択される少なくとも1種の過マンガン酸還元性化合物を除去する、態様E1〜E15のいずれか1態様に記載の方法。
E17.該側流中の水濃度を1.1〜2.5重量%に維持する、態様E1〜E16のいずれか1態様に記載の方法。
E18.該側流中のヨウ化水素濃度を0.1〜50重量ppmに維持する、態様E1〜E17のいずれか1態様に記載の方法。
E19.該側流が、さらに1種以上のヨウ化C〜C14アルキルを0.1〜6重量%の濃度で含み、さらに酢酸メチルを0.1〜6重量%の濃度で含む、態様E1〜E18のいずれか1態様に記載の方法。
E20.該側流が、該1種以上のヨウ化C〜C14アルキル及び該酢酸メチルのそれぞれを該側流中の水濃度の±0.9重量%の範囲内の量で含む、態様E1〜E19のいずれか1態様に記載の方法。
E21.該軽質液相が、40〜80重量%の水を含む、態様E1〜E20のいずれか1態様に記載の方法。
E22.該軽質液相が、さらに1〜40重量%の酢酸、1〜50重量%の酢酸メチル、及び10重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチルを含む、態様E1〜E21のいずれか1態様に記載の方法。
E23.該精製酢酸生成物が該第2の塔の底部又は底部近傍から取り出される、態様E1〜E22のいずれか1態様に記載の方法。
E24.該精製酢酸生成物の総ヨウ化物濃度が5重量ppm又はそれを下回る量である場合に該精製酢酸生成物をガード床に接触させることをさらに含む、態様E1〜E23のいずれか1態様に記載の方法。
E25.該精製酢酸生成物が0.2重量%又はそれを下回る量の水を含む、態様E1〜E24のいずれか1態様に記載の方法。
E26.反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器内で分離し液体リサイクル及び蒸気生成物流を形成すること、
該蒸気生成物流を第1の塔で蒸溜し1〜3重量%の水を含む側流と、第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流とを得ること、
該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し重質液相及び軽質液相を形成すること、
該側流を第2の塔で蒸溜し精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を得ること、
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し水性リサイクル流を得ることであって、該水性オーバーヘッドが該側流中の水の90%又はそれを超える水を含むこと、及び
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を該反応器にリサイクルすることを含み、
該反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回る、酢酸の製造方法。
E27.該水性リサイクル流が、90重量%又はそれを下回る量の水、25重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチル、25重量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、1重量%又はそれを下回る量の酢酸を含む、態様E26に記載の方法。
E28.該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し有機相及び水相を形成することをさらに含み、該水性リサイクル流が該水相の一部を含む、態様E26〜E27のいずれか1態様に記載の方法。
E29.該水性リサイクル流が該有機相の1〜100%を含む、態様E28に記載の方法。
E30.該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0〜2である、態様E26〜E29のいずれか1態様に記載の方法。
E31.該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が1であるか又はそれを下回る、態様E26〜E30のいずれか1態様に記載の方法。
E32.該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が0〜1である、態様E26〜E31のいずれか1態様に記載の方法。
E33.該側流中のヨウ化水素濃度が50重量ppm又はそれを下回る量である、態様E26〜E32のいずれか1態様に記載の方法。
[0108]本発明を詳細に説明したが、当業者であれば本発明の精神及び範囲内での変更が
容易に自明であろう。上記の説明を考慮して、当該分野での関連する知見、背景技術及び
発明を実施するための形態に関連した上述の参考文献、開示内容はすべて参照により本明
細書に組み込まれる。また、当然のことながら、本発明の側面及び様々な態様の部分、以
下の記述及び/又は添付の特許請求の範囲で列挙した様々な特徴は、その全体又は一部を
組み合わせたり、入れ替えたりしてもよい。当業者であれば、様々な態様に関する上述の
説明において、他の態様に言及する態様は別の態様と適切に組み合わせてもよいことが理
解されよう。さらに、当業者であれば、上述の説明は単なる例示であって本発明を限定す
るものではないことが理解されよう。
以下に、出願時の特許請求の範囲の記載を示す。
[請求項1]
反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器内で分離し、液体リサイクル及び蒸気生
成物流を形成すること、
該蒸気生成物流を第1の塔で蒸溜し、1重量%〜3重量%の水を含む側流と、第1の低
沸点オーバーヘッド蒸気流とを得ること、
該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し、重質
液相及び軽質液相を形成すること、
該側流を第2の塔で蒸溜し、精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を
得ること、
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、90重量%又はそれを下回る量の水を
含む水性リサイクル流を得ること、及び
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を該反応器にリサイクルすることを含み、
該反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイク
ルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回る、酢酸の製造
方法。
[請求項2]
該水性リサイクル流がさらに50〜90重量%の水を含む、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
該水性リサイクル流がさらに、20重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチル、10重
量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、及び20重量%又はそれを下回る量の酢酸を含む
、請求項1に記載の方法。
[請求項4]
該水性オーバーヘッドが、該側流中の水の90%又はそれを超える水を含む、請求項1
に記載の方法。
[請求項5]
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し有機相
及び水相を形成することをさらに含み、該水性リサイクル流は該水相の一部を含む、請求
項1に記載の方法。
[請求項6]
該水性リサイクル流が、該有機相の1%〜100%を含む、請求項5に記載の方法。
[請求項7]
該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流
量のリサイクル比が0〜2である、請求項1に記載の方法。
[請求項8]
該反応器への水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液
相の質量流量のリサイクル比が1であるか又はそれを下回る、請求項1に記載の方法。
[請求項9]
該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流
量のリサイクル比が0〜1である、請求項1に記載の方法。
[請求項10]
該側流中のヨウ化水素濃度が50重量ppmであるか又はそれを下回る、請求項1に記
載の方法。
[請求項11]
該反応器への軽質液相のリサイクル率が、該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流から凝
縮した総軽質相の0%〜20%である、請求項1に記載の方法。
[請求項12]
該反応媒体が、0.5重量%〜30重量%の酢酸メチル、200重量ppm〜3000
重量ppmの金属触媒、1重量%〜25重量%のヨウ化物塩、及び1重量%〜25重量%
のヨウ化メチルを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項13]
該重質液相の一部を処理して、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブ
チルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチ
ルアルデヒド、及びこれらのアルドール縮合生成物からなる群より選択される少なくとも
1種の過マンガン酸還元性化合物を除去する、請求項1に記載の方法。
[請求項14]
該側流中の水濃度を1.1重量%〜2.5重量%に維持する、請求項1に記載の方法。
[請求項15]
該側流中のヨウ化水素濃度を0.1重量ppm〜50重量ppmに維持する、請求項1
に記載の方法。
[請求項16]
該側流がさらに、0.1重量%〜6重量%の濃度で1種以上のヨウ化C〜C14アル
キルを含み、さらに0.1重量%〜6重量%の濃度で酢酸メチルを含む、請求項1に記載
の方法。
[請求項17]
該側流が、該1種以上のヨウ化C〜C14アルキル及び該酢酸メチルのそれぞれを該
側流中の水濃度の±0.9重量%の範囲内の量で含む、請求項1に記載の方法。
[請求項18]
該軽質液相が40重量%〜80重量%の水を含む、請求項1に記載の方法。
[請求項19]
該軽質液相がさらに、1〜40重量%の酢酸、1〜50重量%の酢酸メチル、及び10
重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチルを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項20]
該精製酢酸生成物は該第2の塔の底部又は底部近傍から取り出される、請求項1に記載
の方法。
[請求項21]
該精製酢酸生成物の総ヨウ化物濃度が5重量ppmであるか又はそれを下回る場合に該
精製酢酸生成物をガード床に接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
[請求項22]
該精製酢酸生成物が0.2重量%又はそれを下回る量の水を含む、請求項1に記載の方
法。
[請求項23]
反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器内で分離し、液体リサイクル及び蒸気生
成物流を形成すること、
該蒸気生成物流を第1の塔で蒸溜し、1重量%〜3重量%の水を含む側流と、第1の低
沸点オーバーヘッド蒸気流とを得ること、
該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し重質液
相及び軽質液相を形成すること、
該側流を第2の塔で蒸溜し、精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を
得ること、
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、水性リサイクル流を得ること、ここで
、該水性オーバーヘッドは、該側流中の水の90%又はそれを超える水を含む、及び
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を該反応器にリサイクルすることを含み、
該反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイク
ルされる軽質液相の質量流量のリサイクル比が2であるか又はそれを下回る、酢酸の製造
方法。
[請求項24]
該水性リサイクル流が、90重量%又はそれを下回る量の水、25重量%又はそれを下
回る量のヨウ化メチル、25重量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、1重量%又はそれ
を下回る量の酢酸を含む、請求項23に記載の方法。
[請求項25]
該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し有機相
及び水相を形成することをさらに含み、該水性リサイクル流は該水相の一部を含む、請求
項23に記載の方法。
[請求項26]
該水性リサイクル流が、該有機相の1%〜100%を含む、請求項25に記載の方法。
[請求項27]
該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流
量のリサイクル比が0〜2である、請求項23に記載の方法。
[請求項28]
該反応器への水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液
相の質量流量のリサイクル比が1であるか又はそれを下回る、請求項23に記載の方法。
[請求項29]
該水性リサイクル流の質量流量に対する反応器へリサイクルされる軽質液相の質量流量
のリサイクル比が0〜1である、請求項23に記載の方法。
[請求項30]
該側流中のヨウ化水素濃度が50重量ppmであるか又はそれを下回る、請求項23に
記載の方法。

Claims (20)

  1. 反応器内で形成した反応媒体をフラッシュ容器内で分離し、触媒含有溶液を含む液体リ
    サイクルと蒸気生成物流とを形成すること、
    該蒸気生成物流を第1の塔で蒸溜し、側流と、第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流とを
    得ること、
    該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、得られた凝縮流を二相に分離し、重質
    液相及び軽質液相を形成し、当該軽質液相の一部を、当該第1の塔へ還流させ、そして当該軽質液相の別の一部を当該反応器にリサイクルさせること、
    該側流を第2の塔で蒸溜し、精製酢酸生成物及び第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を
    得ること、
    該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を凝縮し、90重量%又はそれを下回る量の水を
    含む水性リサイクル流を得ること、及び
    当該水性リサイクル流を該反応器にリサイクルすることを含む、酢酸の製造方法であっ
    て、
    当該方法は、該反応器にリサイクルされる水性リサイクル流の質量流量に対する該反応
    器へリサイクルされる軽質液相の一部の質量流量のリサイクル比を、0.15から1未満
    の範囲に低減させ、当該側流中の水を1重量%〜3重量%に制御することをさらに含み、
    該精製酢酸生成物は該第2の塔の底部から取り出される、
    前記方法。
  2. 該水性リサイクル流がさらに50〜90重量%の水を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 該水性リサイクル流がさらに、20重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチル、10重
    量%又はそれを下回る量の酢酸メチル、及び20重量%又はそれを下回る量の酢酸を含む
    、請求項1に記載の方法。
  4. 該第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流が、該側流中の水の90%又はそれを超える水を
    含む、請求項1に記載の方法。
  5. 当該凝縮された第2の低沸点オーバーヘッド蒸気流を二相に分離し有機相及び水相を形
    成することをさらに含み、該水性リサイクル流は該水相の一部を含む、請求項1に記載の
    方法。
  6. 該水性リサイクル流が、該有機相の1%〜100%を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 該水性リサイクル流の質量流量に対する該反応器へリサイクルされる軽質液相の一部の
    質量流量のリサイクル比が、0.7であるかそれを下回り、かつ0.2であるか又はそれ
    を上回る、請求項1に記載の方法。
  8. ヨウ化水素が、該側流中に50重量ppmであるか又はそれを下回る濃度で存在する、
    請求項1に記載の方法。
  9. 該反応器への軽質液相のリサイクル率が、該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流から凝
    縮した総軽質相の0.5%〜20%である、請求項1に記載の方法。
  10. 該反応媒体が、0.5重量%〜30重量%の酢酸メチル、200重量ppm〜3000
    重量ppmの金属触媒、1重量%〜25重量%のヨウ化物塩、及び1重量%〜25重量%
    のヨウ化メチルを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 該重質液相の一部を処理して、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブ
    チルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチ
    ルアルデヒド、及びこれらのアルドール縮合生成物からなる群より選択される少なくとも
    1種の過マンガン酸還元性化合物を除去する、請求項1に記載の方法。
  12. 該側流中の水濃度が、1.1重量%〜2.5重量%に維持される、請求項1に記載の方
    法。
  13. ヨウ化水素が該側流中に存在し、その濃度が該側流中で0.1重量ppm〜50重量p
    pmに維持される、請求項1に記載の方法。
  14. 該側流がさらに、0.1重量%〜6重量%の濃度で1種以上のヨウ化C〜C14アル
    キルを含み、さらに0.1重量%〜6重量%の濃度で酢酸メチルを含む、請求項1に記載
    の方法。
  15. 該側流が、該1種以上のヨウ化C〜C14アルキル及び該酢酸メチルのそれぞれを該
    側流中の水濃度の0.9重量%の範囲内の量で含む、請求項1に記載の方法。
  16. 該軽質液相が40重量%〜80重量%の水を含む、請求項1に記載の方法。
  17. 該軽質液相がさらに、1〜40重量%の酢酸、1〜50重量%の酢酸メチル、及び10
    重量%又はそれを下回る量のヨウ化メチルを含む、請求項1に記載の方法。
  18. 該精製酢酸生成物の総ヨウ化物濃度が5重量ppmであるか又はそれを下回る場合に該
    精製酢酸生成物をガード床に接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  19. 該精製酢酸生成物が0.2重量%又はそれを下回る量の水を含む、請求項1に記載の方
    法。
  20. 当該軽質液相の一部が、0.4又はそれを下回る還流比で当該第1の塔へ還流され、当
    該還流比は、当該第1の低沸点オーバーヘッド蒸気流の総質量流量で除した当該還流の質
    量流量によって定義される、請求項1に記載の方法。
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