JP2016113640A - 高強度チタン板およびその製造方法 - Google Patents

高強度チタン板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた延性を有する高強度チタン板およびその製造方法を提供することができる。【解決手段】質量%で、Fe:0.8〜1.5%、O:0.25〜0.40%を含有し、残部がTiおよび不純物からなる化学組成を有し、再結晶した等軸α相とβ相からなる2相組織を有し、等軸α相の面積率が70〜85%であり、β相の平均結晶粒径が3μm以下であり、β相個数が圧延幅方向の断面において1μm2の面積内に平均で0.02個以上存在している。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた延性を示すTi−Fe−O系高強度チタン板およびその製造方法に関する。
Ti−6Al−4Vに代表される高強度α+β型チタン合金は、軽量、高強度、高耐食性に加え、溶接性、超塑性、拡散接合性などの諸特性を有することから、宇宙・航空機産業を中心に広く使用されてきた。
近年では、これらの特性をさらに活用すべく、ゴルフ用品をはじめとしたスポーツ用品にも多用されるようになってきており、さらに、自動車エンジン部品、土木建築用素材、各種工具類、深海やエネルギー開発用途などいわゆる民生品分野への適用拡大も検討されている。
しかし、α+β型チタン合金の著しく高い製造コストが、その適用拡大を妨げており、これら民生品分野への適用拡大のためには、安価なチタン合金の開発が求められていた。
これら高強度α+β型チタン合金の製造コストが高い理由としては、(1)Vなどの高価なβ相安定化元素を使用していること、(2)α相安定化元素および固溶強化元素として使用しているAlが、熱間での変形抵抗を著しく高めるため、加工しにくくなるとともに熱間加工性を損ねるため、割れなどの欠陥を生じ易くなること、の2点を挙げることができる。
一方、チタン合金の高強度および優れた延性を両立させるため、特許文献1および2には、酸素やFeを添加して、熱間変形抵抗を増加させず室温強度を増加させたチタン合金が提案されている。また、特許文献3には、酸素やFeを含有するものの酸素の含有量を抑えたチタン合金が提案されている。
特許第3481428号公報 特許第3749589号公報 特開2008−240026号公報
近年では、低コスト化を実現するとともに、更に高い延性を有する高強度チタン合金が求められている。
しかし、特許文献1および2では、高強度・高延性の面内異方性を低減するために種々の製造条件が検討されているものの、高強度・高延性の各特性値自体を高めるものではない。このため、高強度と高延性とを高いレベルで両立できるような組織は得られていなかった。これらの文献に記載の検討結果によれば、延性が不十分であり近年の要求に対応するためには更なる改善が必要である。
特許文献3に記載の発明では、α安定化元素である酸素の含有量を低減することによりα相の軟化によるチタン合金材の延性を高めることができる、とされている。同文献には仕上げ焼鈍の前に焼鈍を1回以上行うことが記載されているものの、酸素の含有量が少ないために強度が500MPaに満たない。
また、特許文献1および2には強度を高めるために酸素を0.2質量%以上含有するチタン合金が開示されているが、特許文献3には延性を高めるために酸素濃度を0.1質量%以下に抑えることが開示されている。つまり、技術思想が相反するこれらの技術を組み合わせることも困難である。
このように、従来の技術では、近年の要求を満足するような高い延性を有する高強度チタン板は得られず、更なる検討が必要である。
そこで、本発明は、優れた延性を有する高強度チタン板を提供することを課題とする。
従来のチタン合金のように、Alを含有させて強度を高めると、延性が低下し靭性が損なわれてしまう。α相安定化元素である酸素やAlは固溶強化には効果的であるものの、強化能が高いためにすべり変形や双晶変形が起こりにくい。さらに、熱間変形抵抗が高いため、鍛造や圧延などで割れが生じやすい。本発明者らは、前述のように低コスト化と高強度化が可能な酸素をある程度含有させた上でFe含有量にも着目し、これらの元素と組織との関係を考慮しつつ鋭意検討を行った。この結果、以下の知見が得られた。
(1)酸素はAlと同様にすべり変形や双晶変形を抑制する効果があるが、含有量が0.25〜0.4質量%であれば、大きく延性を損なわず熱間変形抵抗も大きくならないため、鍛造などで割れが生じにくい。さらにFe含有量が0.8〜1.5質量%とすることで結晶粒を細粒化・整粒化でき良好な延性が得られる。
(2)α相を再結晶した等軸組織にしてβ相を微細に多く分散させることにより、良好な延性・成形性が得られる。
(3)α相を再結晶した等軸組織にする理由は以下の通りである。等軸組織であれば結晶粒の変形が均一で加工硬化しやすく、良好な延性および強度が得られる。一方、針状組織では結晶粒の形状が影響して、不均一変形が生じ加工硬化しにくいため、良好な延性および強度が得られない。
(4)β相を微細に多く分散させる理由は以下の通りである。α相とβ相は硬度差があり、塑性変形するとα相とβ相の粒界面に応力が集中し、塑性不安定になるとこの界面にボイドが発生する。これが成形加工の割れの起点となりうるため、できるだけα相とβ相の界面を多くして材料内の応力を分散させる必要があり、すなわちβ相を微細に多く分散させることが重要である。このため、優れた強度と延性を得るためには、β相の粒径と個数を制御する必要がある。
本発明者らは、β相の粒径と個数を制御するために検討を重ね、以下の知見を得た。
(5)β相が微細に多く分散した組織とするには、β相安定化元素であるFe含有量を前述の範囲に調整した上で、仕上げ焼鈍までに熱延コイルを750℃〜850℃の温度域で30〜300秒間保持する中間焼鈍を2回以上行わなければならない。焼鈍によって、十分なFeの固溶量を有するβ相を残留させ多量にチタン材料内に分散させるためである。
(6)中間焼鈍後の適度な再結晶を起こして、β相中のFe固溶量を維持しつつ十分な延性を得るため、仕上げ焼鈍温度は720〜850℃、焼鈍時間は30〜200secとする。
以上のようにβ相量、β相粒径およびβ相個数は、Fe含有量(mass%)、焼鈍温度T(℃)、焼鈍時間t(秒)に影響を受けるが、これら影響因子との関係が不明瞭であった。この関係性は、β相の分布を制御して強度と延性のバランスを優れたものにするため、明確にされることが非常に重要である。そこで、本発明者らは以下の検討を行った。β相量はFe含有量と焼鈍温度に、粒径と個数はFe含有量、焼鈍温度および焼鈍時間に強く依存する。また、粒径とともに個数が変動する。そこで、特に粒径と影響因子との関係に着目した。そして、本発明者らは、鋭意回帰分析を行った結果、以下の知見も得た。
(7)β相と影響因子が、式(1)および(2)で示される関係式において、−0.20≦A≦0.57、−0.20≦B≦0.55となるよう制御することが望ましい。これにより、高強度でも高延性が得られる知見を得た。すなわち、β相が微細に多数分散することでα/β相粒界への応力が分散しボイドが発生しにくくなり高延性となる。
A=0.98×[Fe]−1264÷(273+T)+0.05×t 0.25
(1)
B=0.98×[Fe]−1264÷(273+T)+0.05×t 0.25
(2)
式(1)および式(2)中、[Fe]は高強度チタン板のFeの濃度であり、TおよびTは各々中間焼鈍温度(℃)および仕上げ焼鈍温度(℃)であり、tおよびtは各々中間焼鈍時間(s)および仕上げ焼鈍時間(s)である。
上記の知見に基づき完成された本発明は以下の通りである。
(1)質量%で、Fe:0.8〜1.5%、O:0.25〜0.40%を含有し、残部がTiおよび不純物からなる化学組成を有し、再結晶した等軸α相とβ相からなる2相組織を有し、等軸α相の面積率が70〜85%であり、β相の平均結晶粒径が3μm以下であり、β相個数が圧延幅方向の断面において1μmの面積内に平均で0.02個以上存在していることを特徴とする高強度チタン板。
(2)チタン材に対して熱間圧延を行った後、冷間圧延および中間焼鈍をこの順で2回以上行い、最後の中間焼鈍後に仕上げ冷間加工および仕上げ焼鈍をこの順で行う上記(1)に記載の高強度チタン板の製造方法であって、前記中間焼鈍の焼鈍温度域を750〜850℃とし、前記中間焼鈍の焼鈍時間を30〜300秒とし、前記仕上げ焼鈍の焼鈍温度を720〜850℃とし、前記仕上げ焼鈍の焼鈍時間を30〜200秒とすることを特徴とする高強度チタン板の製造方法。
(3)前記中間焼鈍の条件は式(1)中のAの値が−0.20〜0.57を満たし、前記仕上げ焼鈍の条件は式(2)中のBの値が−0.20〜0.55を満たすことを特徴とする上記(2)に記載の高強度チタン板の製造方法。
A=0.98×[Fe]−1264÷(273+T)+0.05×t 0.25
(1)
B=0.98×[Fe]−1264÷(273+T)+0.05×t 0.25
(2)
式(1)および式(2)中、[Fe]は前記高強度チタン板のFeの含有量(質量%)であり、TおよびTは各々前記中間焼鈍の焼鈍温度(℃)および前記仕上げ焼鈍の焼鈍温度(℃)であり、tおよびtは各々前記中間焼鈍の焼鈍時間(s)および前記仕上げ焼鈍の焼鈍時間(s)である。
本発明によれば、優れた延性を有する高強度チタン板およびその製造方法を提供することができる。
以下の説明では、特に記載がない限り、「%」は「質量%」を表す。
1.高強度チタン板
1.1 化学組成
(1)Fe:0.8〜1.5%
Feは、チタン材料中に、0.8〜1.5%含有される。チタン材料において、Feはβ相安定化元素であり、一部はα相に固溶するものの、多くはβ相に固溶することが知られている。つまり、Feの量が多くなるとβ相の量が増加し、これに伴ってα相の粒成長を抑制でき細粒の組織が得られる。Fe含有量が0.8%未満であると十分な強度が得られないためである。好ましくは0.9%以上である。Fe含有量が1.5%を超えるとβ相の安定度が高くなり、室温に冷却してもα相に変態せずβ相として残留し、熱延、焼鈍などの加熱工程を経ていくごとに残留β相が粗大化する恐れがある。また、耐食性が低下する恐れがある。好ましくは1.4%以下である。さらに、Feは溶解・凝固時に偏析しやすい。コイルでの均質性の観点から、より好ましくは1.2%以下がよい。
(2)O:0.25〜0.40%
酸素は、チタン材料中に、0.25〜0.40%含有される。酸素はチタン材料全般に強度を増加させるために有効な元素である。酸素含有量が0.25%未満であると、チタン板を用いて製造する製品に十分な強度を付与させることが困難となるおそれがある。好ましくは0.28%以上、より好ましくは0.32%以上である。酸素含有量が0.40%を超えると、強度が大きくなりすぎてしまい延性が低いチタン板となってしまうためである。好ましくは0.39%以下、より好ましくは0.38%以下である。
残部はTiおよび不純物である。
1.2 チタン金属組織
(1)再結晶した等軸α相とβ相からなる2相組織
本発明のチタン板は等軸α相とβ相の2相によって構成される。針状α相は結晶粒の回転が難しく変形しにくいため延性を低下させる。等軸α相のアスペクト比(長軸/短軸)は延性を高める観点から1〜2であることが望ましい。また、アスペクト比が1〜2である等軸α相の面積率は、十分な延性を得るため70〜85%であることが望ましい。より好ましくは72〜80%である。また、α相を再結晶した等軸組織にしてβ相を微細に多く分散させることにより、良好な延性・成形性が得られるため、等軸α相とβ相との面積率の比は7:3〜17:3であることが好ましい。
(2)β相の平均結晶粒径:3μm以下、β相個数:圧延幅方向の断面において1μmの面積内に平均で0.02個以上
本発明のチタン板は硬度差が異なるα相とβ相で構成されている。このため、塑性変形ではα相とβ相の界面に応力が集中する。β相平均結晶粒径が3μm以下、β相個数が圧延幅方向の断面において1μmの面積内に平均で0.02個以上としたのは、β相が3μmを超えβ相個数が圧延幅方向の断面において1μmの面積内に平均で0.02個未満となると、α相とβ相の界面が少なくなり、応力集中がより生じやすくなるため延性が低下する。好ましくはβ相粒径が2.8μm以下、β相個数が平均で0.03個以上、より好ましくはβ相粒径が2.7μm以下、β相個数が平均で0.04個以上である。なお、「平均」としたのは、400μm×400μmの視野で3箇所のβ相個数を観察し、個数の合計を視野の合計で除した値であるためである。
2.高強度チタン板の製造方法
2.1 純チタンインゴットの熱間圧延
本発明では、熱間加工までの工程は一般的なチタン板の製造方法により製造することができる。例えば、スポンジチタン等からチタンインゴットを製造し、このインゴットを鍛造でスラブ形状にし、これを熱間圧延により熱延板に加工した。その後、熱延板にショットブラスト、酸洗による脱スケールを行い、冷間圧延に供するチタン材を製造する。これらの条件は特に限定されず、一般的な条件であればよい。
2.2 中間焼鈍
本発明の高強度チタン板で規定する組織とするには、仕上げ焼鈍までにチタン材を750℃〜850℃の温度域で30〜300秒保持する中間焼鈍を2回以上行わなければならない。焼鈍によって生成するβ相を残留させ多量にチタン材料内に分散させるためである。
中間焼鈍回数が2回未満の場合、β相が少ないため、応力集中を分散することができない。
中間焼鈍温度が750℃未満、保持時間が30秒未満では、β相の生成量が少ない。中間焼鈍温度が850℃超え、保持時間が300秒超えでは、β相が粒成長するためにα相とβ相の界面が減少し、また、β相自体の量が増大しβ相中のFe固溶量が少なくなりβ相が残留できず針状α相に変態するためである。さらに、焼鈍後の冷却速度は0.1℃/秒以上が望ましい。中間焼鈍で生成したβ相を室温においても残留させるためである。これより冷却速度が遅いとβ相がα相に変態するため、β相の量が少なくなる。この冷却速度は後述の仕上げ焼鈍においても同様である。
また、「中間焼鈍を2回以上行う」とは、熱延後のチタン材に対して、冷間圧延および中間焼鈍をこの順で2回以上行うことを表す。つまり、本発明では、冷間圧延および中間焼鈍を各々2回以上行う必要がある。中間焼鈍の前に行う冷間圧延の圧化率は、特に規定しないが、各々50%以上であればよい。
2.3 仕上げ焼鈍
本発明では、再結晶した等軸α相を得るため、仕上げ焼鈍温度は720〜850℃、焼鈍時間は30〜200秒とする。仕上げ焼鈍温度が720℃未満の場合、数分という短時間では再結晶が起こりにくく、十分な延性が得られない。なお、720℃未満であっても長時間焼鈍すれば再結晶するが平衡状態に到達してしまう。平衡状態では温度が低いほどβ相が少ないため、中間焼鈍でβ相を多く残留させても仕上げ焼鈍後のβ相個数が少なくなってしまう。したがって、焼鈍時間によらず、仕上げ焼鈍温度は720℃以上である必要がある。好ましくは725℃以上である。一方、850℃を超えると、焼鈍で生成したβ相は、Feの固溶量が少ないため、室温に冷却すると残留せず、延性を低下させる針状のα相に変態してしまう。
焼鈍時間を30〜200秒としたのは、30秒より短時間では再結晶が起こりにくく、十分な延性が得られない。200秒より長時間では、β相が粒成長・粗大化し、β相の個数が少なくなって、α相とβ相の界面の応力が分散しないため延性が低下する。
2.4 Fe含有量、焼鈍温度および焼鈍時間との関係
式(1)および(2)で示される関係式において、−0.20≦A≦0.57、−0.20≦B≦0.55となるよう制御することが望ましい。高強度でも高延性が得られるためである。β相が微細に多数分散することでα/β相粒界への応力集中が分散しボイドが発生しにくくなり高延性となる。
AおよびBがこの範囲より小さいとき、Fe含有量が少なくβ相粒径は小さいがβ相量が少なくβ相を多量に分散できない。このため、α/β相粒界に応力集中してボイドが発生しやすくなり、良好な延性が得られない。一方、AおよびBがこの範囲より大きいと、β相粒径が大きくなりすぎてしまい、β相個数が少なくβ相を多量に分散できないため、上記と同様良好な延性が得られない。
以上から、Fe含有量、焼鈍温度および焼鈍時間を各々式(1)、(2)に代入してAとBが上記の範囲となるようにすることで、β相粒径およびβ相個数を微細に多く分散させることができ、良好な強度と延性が得られる。なお、Aの範囲が好ましくは−0.20〜0.45、より好ましくは−0.20〜0.40であり、Bの範囲が好ましくは−0.20〜0.50、より好ましくは−0.20〜0.45である。好ましくい範囲の組み合わせはAが−0.36〜0.57、Bが−0.38〜0.55であり、より好ましくはAが−0.30〜0.45、Bが−0.30〜0.50であり、さらに好ましくはAが−0.20〜0.40、Bが−0.20〜0.45である。
中間焼鈍:
A=0.98×[Fe]−1264÷(273+T)+0.05×t 0.25
(1)
仕上げ焼鈍:
B=0.98×[Fe]−1264÷(273+T)+0.05×t 0.25
(2)
式(1)および式(2)中、[Fe]は高強度チタン板のFeの濃度であり、TおよびTは各々中間焼鈍温度(℃)および仕上げ焼鈍温度(℃)であり、tおよびtは各々中間焼鈍時間(s)および仕上げ焼鈍時間(s)である。
その後、硝ふっ酸などで完全にスケールを除去し、冷却してチタン材を得る。
真空アーク溶解で、表3および4に示すように、酸素含有量およびFe含有量の異なる種々のチタンインゴットを製造し、鍛造、熱延、表面切削を行い、中間焼鈍および冷間圧延を1〜3回行い、仕上げ焼鈍、冷延、酸洗により、板厚が0.9mmのチタン板を得た。得られたチタン板のFe含有量、酸素含有量、等軸α相面積率、β相面積率、β相個数、β相粒径、引張強度、伸びを測定した。
具体的な冷延条件、仕上げ焼鈍、酸洗条件を表1に示す。また、具体的な各評価方法を表2に示す。なお、各焼鈍後の冷却速度は0.1〜20℃/秒である。また、各焼鈍の前に行う冷延鋼板の圧下率は50%以上とした。
Figure 2016113640
Figure 2016113640
本実施例では、引張強度が900MPa以上であり、引張強度×伸び≧23,000MPa・%を合格とした。試験片TD面の任意の1mm×1mmの範囲を3μmピッチで後方散乱電子回折像EBSD(Electron Backscatter Diffraction Patern)を用いた結晶方位解析方法によって測定して付属の解析ソフトにて以下を求めた。また、400μm×400μmの視野で3箇所のβ相の粒径および個数を光学顕微鏡で観察した。個数は、3箇所の個数の合計を視野の合計面積で除した値を個数の平均値とした。また、同箇所で観察されるα相のアスペクト比(長軸/短軸)を求め、アスペクト比が1〜2であるα相を再結晶した等軸α相とみなし、面積率を調査した。β相の面積率は、α相(等軸および針状)を除く面積をβ相が占有するものとみなし、100からα相の面積率を差し引いて求めた。
これらの結果を表3および表4に示す。表3および4中、「式(1)−1」とは、1回目の中間焼鈍(中間焼鈍1)条件における式(1)のAの値である。「式(1)−2」、「式(1)−3」は、各々2回目、3回目の中間焼鈍(中間焼鈍2、中間焼鈍3)条件における式(1)のAの値である。
Figure 2016113640
Figure 2016113640
本発明の条件をすべて満たす発明例は、いずれも引張強度が900MPa以上であり、引張強度×伸びが23000(MPa・%)以上を示した。なお、No.11〜14、57および62を除いて、いずれも等軸α相の面積率が70〜85%であり、微細なβ相が分散していることを確認した。
一方、比較例であるNo.1〜8は、Fe含有量が少ないために引張強度が劣った。
No.9および10は、酸素含有量が少ないために引張強度が劣った。
No.11〜14は、仕上げ焼鈍温度が低いため、等軸α相の面積率が70%未満と低く、伸びが低く、引張強度×伸びが劣った。
No.15、21、26は、中間焼鈍温度が低いためにβ相が十分に生成されず、β相個数が少なく、引張強度×伸びが劣った。
No.19、20、24、25、30、34、38、42、46、50および70は、中間焼鈍温度が高いためにβ相が針状α相に変態し、β相個数が少なく、引張強度×伸びが劣った。
No.35〜37、39〜41は、仕上げ焼鈍温度が高いためにβ相が針状α相に変態し、β相個数が少なく、引張強度×伸びが劣った。
No.43〜45は、仕上げ焼鈍温度が低く長時間焼鈍しているために平衡状態に到達してしまい、β相個数が少なく、引張強度×伸びが劣った。
No.47〜49は、中間焼鈍を1回しか行っていないためにβ相が残留せず、β相個数が少なく、引張強度×伸びが劣った。
No.51は、中間焼鈍時間が短いためにβ相の生成量が少なく、β相個数が少なく、引張強度×伸びが劣った。
No.55および56は、中間焼鈍時間が長いためにβ相が針状α相に変態し、β個数が少なく、引張強度×伸びが劣った。
No.57および62は、仕上げ焼鈍時間が短いため、等軸α相の面積率が70%より低く、伸びが低く、引張強度×伸びが劣った。
No.60、61、65および66は、仕上げ焼鈍時間が長いためにβ相が粗大化しβ相個数が少なく、引張強度×伸びが劣った。
No.71および72は、酸素含有量が多いために引張強度×伸びが劣った。
No.75および76は、Fe含有量が多いために引張強度×伸びが劣った。

Claims (3)

  1. 質量%で、Fe:0.8〜1.5%、O:0.25〜0.40%を含有し、残部がTiおよび不純物からなる化学組成を有し、
    再結晶した等軸α相とβ相からなる2相組織を有し、等軸α相の面積率が70〜85%であり、β相の平均結晶粒径が3μm以下であり、β相個数が圧延幅方向の断面において1μmの面積内に平均で0.02個以上存在していることを特徴とする高強度チタン板。
  2. チタン材に対して熱間圧延を行った後、冷間圧延および中間焼鈍をこの順で2回以上行い、最後の中間焼鈍後に仕上げ冷間加工および仕上げ焼鈍をこの順で行う請求項1に記載の高強度チタン板の製造方法であって、
    前記中間焼鈍の焼鈍温度域を750〜850℃とし、前記中間焼鈍の焼鈍時間を30〜300秒とし、前記仕上げ焼鈍の焼鈍温度を720〜850℃とし、前記仕上げ焼鈍の焼鈍時間を30〜200秒とすることを特徴とする高強度チタン板の製造方法。
  3. 前記中間焼鈍の条件は式(1)中のAの値が−0.20〜0.57を満たし、前記仕上げ焼鈍の条件は式(2)中のBの値が−0.20〜0.55を満たすことを特徴とする請求項2に記載の高強度チタン板の製造方法。
    A=0.98×[Fe]−1264÷(273+T)+0.05×t 0.25
    (1)
    B=0.98×[Fe]−1264÷(273+T)+0.05×t 0.25
    (2)
    式(1)および式(2)中、[Fe]は前記高強度チタン板のFeの含有量(質量%)であり、TおよびTは各々前記中間焼鈍の焼鈍温度(℃)および前記仕上げ焼鈍の焼鈍温度(℃)であり、tおよびtは各々前記中間焼鈍の焼鈍時間(s)および前記仕上げ焼鈍の焼鈍時間(s)である。
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