JPH08295969A - 超塑性成形に適した高強度チタン合金およびその合金板の製造方法 - Google Patents

超塑性成形に適した高強度チタン合金およびその合金板の製造方法

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JPH08295969A
JPH08295969A JP10583395A JP10583395A JPH08295969A JP H08295969 A JPH08295969 A JP H08295969A JP 10583395 A JP10583395 A JP 10583395A JP 10583395 A JP10583395 A JP 10583395A JP H08295969 A JPH08295969 A JP H08295969A
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Japan
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titanium alloy
less
superplastic forming
grain size
equiaxed
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JP10583395A
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Inventor
Hideki Fujii
秀樹 藤井
Seiichi Soeda
精一 添田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、V,Mo, のような高価な合金元素や加
工性を損なうAlを含有することなく N,O,Fe,Ni,Cr の含
有量を酸素等価量値を用いて調整すると共に、粒径を20
μm以下に調整し、室温での高強度、高延性と比較的低
温での超塑性発現を兼ね備えた、安価なチタン材及びそ
の製造方法を提供する。 【構成】Fe:0.8〜2.3 wt% かつ、N:0.05% 以下にすると
共に、酸素等価量値Q=[O]+2.77[N]+0.1[Fe]:0.45〜1.00
の範囲になるようにし、残部実質的にTiからなるTi合金
であって、粒径が20μm以下の等軸α+β組織からなる
超塑性成形に適した高強度チタン合金。上記Feの一部
はCr及び/或いはNiで代替できる。なお、本発明材はパ
ック圧延及び冷延で製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はV,Moなどの高価な合
金元素を含有せず、また熱間加工性を低下させるAlを
含まず、室温で高強度、高延性を示し、かつ、超塑性成
形性に優れたチタン合金およびチタン合金板の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】室温で高強度を示す合金は、高い変形応
力とそれに伴う延性低下のため、一般には室温(冷間)
での精密な成形が困難である。α+β型チタン合金のい
くつかは、β変態点以下のある特定温度域で10-4〜1
-3/s-1の歪速度で超塑性を示すものがあり、場合によ
っては拡散接合と組合わせ、熱間での精密形状への成形
に利用されてきた。
【0003】超塑性は引張応力下でも絞れず低変形応力
で数百、場合によっては1000%の伸びを示す現象で
あり、α+β型チタン合金の代表的な合金であるTi−
6Al−4Vで等軸細粒組織を持つ材料では、室温で1
000MPa クラスの高強度、10%以上の高延性を有
し、900℃近傍(β変態点(約1000℃)-100 ℃)で超
塑性を示す。しかし、この材料は超塑性温度が高いた
め、高エネルギーを要し、かつ、金型や成形設備の寿命
が短くなること、さらに高価なVを使用しているために
材料費が高い,熱間加工性が悪く薄肉化に多大のコスト
を要する等の問題がある。
【0004】より低温での超塑性を発現するために、T
i−6Al−4Vに1〜2%のFe,Ni,Cr,Co
などβ安定化元素を添加し、変態点を下げ、超塑性発現
温度を800℃程度まで下げることが提案されている
が、材料費は依然として高い。
【0005】その他超塑性を示す材料として6%を超え
るAlと、含有量を低減したVの他に、Sn,Zr,M
o,Cr,Fe並びに酸素等を含む多元合金が特開昭6
4−39336号公報及び特開昭64−39337号公
報に開示されている。しかし、この材料も合金が多く複
雑で溶解管理が難しく、また、高Al含有ゆえ熱間加工
性が悪いと共に、V,Moを含有することでコストを高
くしている。
【0006】さらに、特開平1−92332号公報、特
開平1−92333号公報、特開平1−104735号
公報や特開平2−173234号公報には、5.5〜
6.75%AlにV,Ni,Cr,Fe,Moを添加し
た超塑性を有する材料を提案しているが、上記公報に開
示の材料と同様の問題が残る。
【0007】これに対して、AlやVを含まず、酸素或
いは窒素の侵入型強化元素を活用した低合金チタン材が
提案されている。例えば、特開昭61−159563号
公報には、酸素量を0.4〜0.6wt%含有させ、か
つ、据え込み鍛造や強加工などの複雑な鍛造成形を行っ
て高強度化を図っている。また、特開平1−25274
7号公報には、Fe:0.1〜0.8重量%を含有する
と共に、酸素等価量値Q=[O]+2.77[N]+
0.1[Fe]が0.35〜1.0になるように各元素
の含有量(重量%)を規定し、かつ、Nは実施例に明記
されているように0.05%以上含有せしめ、α+β二
相等軸相状もしくはラメラー相状細粒組織を示し65kg
f/mm2 以上の引張強さを有するチタン材を得ることが記
載されている。しかし、超塑性に関しての技術開示はな
されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うにV,Moのような高価元素やな、Alのような熱間
加工性を害する元素を全く含有することなく、窒素,酸
素,Fe,Ni,Crの含有量や、これらの量を規制す
る酸素等価量値を調整して、室温での強度、延性を高
め、かつ、組織を微細調整して比較的低温でも超塑性が
発現し得る安価な高強度、高延性チタン材及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、下記の構成を要旨とする。すなわち、(1)
Fe含有量を0.8〜2.3重量%、かつ、窒素含有量
を0.05重量%以下にすると共に、酸素等価量値Q=
[O]+2.77[N]+0.1[Fe]が0.45〜
1.00の範囲になるようにし、残部実質的にチタンか
らなるチタン合金であって、粒径が20μm以下の等軸
α+β組織からなることを特徴とする超塑性成形に適し
た高強度チタン合金であり、(2)Feと少なくとも1種
のCr及びNiを総量で0.8〜2.3重量%含有し、
ただし、Ni或いはCrは0.25重量%以下であり、
かつ、窒素含有量を0.05重量%以下にすると共に、
酸素等価量値Q=[O]+2.77[N]+0.1
([Fe]+[Ni]+[Cr])が0.45〜1.0
0の範囲になるようにし、残部実質的にチタンからなる
チタン合金であって、粒径が20μm以下の等軸α+β
組織からなることを特徴とする超塑性成形に適した高強
度チタン合金、及び (3)粒径が6μm以下の等軸α+β
組織からなることを特徴とする前項(1) 或いは(2) 記載
の超塑性成形に適した高強度チタン合金、さらに(4)前
項(1) 或いは(2) 記載の成分を有するチタン合金鋳塊
を、鍛造或いは熱間圧延して板とし、酸洗後或いは焼鈍
後酸洗した前記板を複数枚重ね、その周囲をステンレス
等の耐熱鋼で真空にパックし、これを加熱後30%以上
の圧下率で再熱間圧延してから剥離し焼鈍することによ
り、粒径が20μm以下の等軸α+β組織からなるよう
にすることを特徴とする超塑性成形に適した高強度チタ
ン合金薄手熱延板の製造方法であり、(5)複数枚重ねた
各板の間に離型材を塗布し、その後の熱間圧延を、圧延
方向及びそれと直交する方向に圧下するクロス圧延で実
施することを特徴とする前項(4) 記載の超塑性成形に適
した高強度チタン合金薄手熱延板の製造方法、また(6)
前項(1) 或いは(2) 記載の成分を有するチタン合金鋳塊
を、鍛造或いは熱間圧延して板とし、酸洗或いは焼鈍後
酸洗した前記板を圧下率20〜80%で冷間圧延してさ
らに焼鈍することにより、粒径が20μm以下の等軸α
+β組織からなるようにすることを特徴とする超塑性成
形に適した高強度チタン合金薄板の製造方法である。
【0010】
【作用】以下本発明を詳細に説明する。上述のような構
成にすることにより本発明は超塑性の発現と室温におけ
る高い強度・延性を両立させる。超塑性は体積比率でα
相:β相比が40:60〜60:40となる等軸細粒組
織であると発現しやすいことが知られている。この場
合、この様なα相:β相比が30℃以上の温度範囲
(幅)に亘って存在しなければ、すなわち狭い温度範囲
でしか超塑性を示さないと管理が困難であり、超塑性成
形加工を工業的に適用するのが難しくなる。
【0011】この様な効果を奏するために本発明はFe
を添加する。すなわち、Feはβ相を安定化すると共に
をα+β2相温度領域を拡大する役割を果たし、0.8
重量%(以下単に%で表す)以上添加すると超塑性を示
す温度幅を30℃以上の範囲に亘って保持することが可
能となる。しかし、過剰に添加すると、すなわち2.3
%を超えると凝固偏析が起こり、そのため室温での延性
が低下する。したがって本発明ではFeの含有量を0.
8〜2.3%に限定する。
【0012】また、超塑性を発現し易くするために20
μm以下の等軸細粒にする。特に6μm以下の等軸細粒
にすることにより、大きい超塑性伸びが得られる。
【0013】本発明において室温での主相であるα相の
強化には酸素,窒素を用いる。通常チタン合金の強化元
素として用いられるAlに比べて酸素,窒素は安価であ
り、しかも、侵入型の元素(Alは置換型)であってチ
タン結晶格子中に侵入するため、格子間隔が大きくなる
高温では動きやすく、強化能が低下し加工性が良くなる
ばかりか、超塑性変形中の変形応力も下がり超塑性も発
生しやすい。ただしFe:0.8〜2.3%含有する本
発明は、並存する窒素の添加量を制限する必要がある。
すなわちFeのこの範囲で、窒素を0.05%を超えて
添加すると延性が低下するので0.05%以下に限定す
る。
【0014】一方、酸素,窒素の増量のみによる固溶強
化では、強度は向上するが延性は下がる。しかし、窒素
を0.05%以下にしてFeを0.8%以上添加すると
展延性に富むβ相の量が増加して延性を低下させること
がないと共に、酸素等価量値Q=[O]+2.77
[N]+0.1[Fe]を設定し、酸素,窒素及びFe
の含有量を調整することにより、本発明が目標とする室
温での引張強さ750MPam以上、伸び15%以上という
特性が得られる。
【0015】このような特性を有する材料にするため
の、酸素等価量値Qは0.45〜1.00とする。Qを
0.45以上にしたのは750MPa 以上の引張強さを得
るためであり、上限を1.00としたのはこれを超える
と高い室温強度は得られるものの、延性が低下し伸び1
5%以上を得るのが困難になるからである。なお、酸素
等価量値Qの式中における[N],[Fe]の係数は、
酸素の単位重量%当たりの固溶体強化による強化能との
比を意味し、[]内元素は該元素の含有量(重量%)を
表す。
【0016】なお、Feはβ変態点を下げ、酸素,窒素
は変態点を上げる効果はあるが、上記本発明の組成範囲
ではβ変態点は866〜966℃であり、超塑性は粒径
20μmの等軸細粒であれば実施例にも示すように、7
50〜900℃の範囲で起こり、これは最も汎用なTi
−6Al−4Vより相対的に低い温度である。
【0017】本発明において、Feの効果はその一部を
Ni,Crの何れか又は両方で代替させることができ
る。すなわち、NiおよびCrは、Feと同様にβ相安
定化元素であり、強度,延性,超塑性特性の向上に役立
つ。(Fe+Ni+Cr)の Total含有量はFe単独と
同様に0.8〜2.3%の範囲とする。0.8%以上含
有させないと超塑性に適したα:β比がえられず、また
2.3を超えると凝固偏析が激しく特性を劣化するから
である。ただしこの場合、Ni或いはCrが多量になる
と脆い化合物であるTi2 Ni或いはTiCr2 が生成
し、室温延性を低下させるためNi,Crの各々を0.
25%以下にし、Feを0.3%以上とすることが好ま
しい。
【0018】その他不純物としてC,H,Mo,Mn,
Si,Sなどを含有するが、その含有量は各々0.05
%未満とする。
【0019】一般に本合金は、他のα+β型チタン合金
と同様、β変態点以下の2相温度域で強加工を行いその
後α+β温度域で焼鈍することにより、等軸微細組織を
得ることができるが、完全な等軸微細組織(20μm以
下の粒子)でしかも超塑性成形に適した薄手板とするに
は次の方法を採用することができる。すなわち、上記し
た成分を有するチタン合金鋳塊を、鍛造或いは鍛造と熱
間圧延をして板とし、酸洗後或いは焼鈍(α+β温度
域)後酸洗した前記板を複数枚重ね、必要あれば各板間
に離型材を塗布しておき、その周囲をステンレス等の耐
熱鋼で被覆して内部を真空にひき、このパックを当該合
金のβ変態点−200℃以上β変態点以下、或いはβ変
態点近傍のα+β二相域温度に加熱した後、30%以上
の圧下率で所望の板厚になるように圧延を行う。ここで
材質の異方性を減ずるには、前記板の圧延方向及びその
交叉方向に圧延するクロス圧延を行うことが好ましい。
圧延後各板を剥離しα+β二相域で焼鈍を行うことによ
り所望の厚さを有し、20μm以下の等軸細粒α+β組
織を持つ超塑性成形に適した高強度チタン合金板が得ら
れる。なお、30%以上の圧下率での圧延をすることと
したが、これ以上の圧下率で再圧延しないと完全な等軸
微細組織が得られない。
【0020】また、本発明においては上記した成分を有
するチタン合金鋳塊を、鍛造或いは熱間圧延して板と
し、焼鈍後酸洗した前記板を圧下率20〜80%で冷間
圧延し、さらにα+β域で焼鈍しても、粒径が20μm
以下の等軸α+β組織からなる超塑性成形に適した高強
度チタン合金板が得られる。ここで完全な等軸微細化に
は20%以上の圧下率が必要であり、80%を超える圧
下率は耳われが生じるため適さない。なお、薄手材の最
終焼鈍は、超塑性成形前に完了してもよいし、超塑性成
形時の加熱と併用してもよい。
【0021】上記チタン合金材は、通常融解炉中にチタ
ンを入れ、真空またはアルゴン雰囲気とした中でアーク
溶解(VAR溶解)工程を経て製造されるが、本発明に
おいてはこのような溶解時に、炭素鋼やステンレス鋼の
屑などを供給して、チタン中にFeやNi,Crの少な
くとも何れか一種を添加することができる。チタン中に
添加するこれらの元素は、このような方法でFe+Ni
+Crが0.9〜2.3%の範囲になるように添加して
も良いし、また、他の添加手段(例えばFeTi,Fe
2 3 など)と併用しその一部の量を添加するようにし
てもよい。添加原料は特に限定しないが、例えば、SS
400,Fe−7Cr(SUS430),Fe−18C
r−8Ni(SUS304),Fe−18Cr−8Ni
−2Mo(SUS316)等の炭素鋼やステンレス鋼屑
が用いられる。これらの原料中にはCやMoなどが含ま
れるが、Fe、Ni、Cr量に比較して何れも微量であ
り、チタン材中では0.05%以下の不純物に属する。
【0022】Fe、NiおよびCrの添加原料として本
発明は更に別の方法を用いることができる。すなわち、
チタンの精練において、クロール法でマグネシウム還元
を行ってスポンジチタンを製造する時、炭素鋼或いはス
テンレス製の容器が使用されるが、この容器壁からスポ
ンジチタンにFeおよびNi,Crの少なくとも一種が
侵入し、これらの元素を含有するスポンジチタンが容器
壁周辺や容器底部に生成する。これらは、通常別に採取
され他用途に向けられる場合があるが、本発明ではF
e,Ni,Crの少なくとも一種を含有するこのスポン
ジチタンを、チタン材添加元素の一部または全部の原料
として使用する。これによって低コスト化が可能とな
る。
【0023】この様に本発明は超塑性に適し、高強度
化、高延性のチタン合金を、低コストの合金元素である
酸素,窒素及びFe(Ni,Cr)を使用することによ
り供給でき、工業的に極めて有利である。
【0024】
【実施例1】100kgのVAR(真空アーク溶解)した
500mmφ鋳塊を鍛造し、次いで850℃に加熱後熱間
圧延により4mm厚の板材にし、さらに、750℃×1h
の焼鈍を施した後、酸洗により脱スケールした板材を用
い、板5枚を各板間に離型材を塗布して積層し、この積
層体の周囲をSUS304で被覆して真空パックし、こ
れを850℃に加熱してから圧延方向及びそれと直交方
向に同程度の圧下率で総計50%の圧下率のクロス圧延
を実施し、750℃×1hの焼鈍を施して1mmの厚さに
板を製造した。
【0025】この1mm厚の板から、平行部幅5mm,長さ
30mmの引張試験片を切り出し、Ar雰囲気中5×10
-4/S-1の歪速度で高温引張試験を行い、超塑性を示す目
安として400%を超える伸びが得られる温度域を求め
た。また、同じ試験片を用いて室温での引張試験を行
い、引張強度(TS)と伸びを測定した。結果を表1乃
至表4に示す。
【0026】表1には請求項1に関連する成分を含有し
た試料であり、Feの添加は純金属或いはFeTi,F
2 3 を用いた。材料のα+β組織は等軸粒で、粒径
は10μmである。表2には請求項2に関連する成分を
含有した試料であり、Fe,Ni,Crの添加は純金属
或いはFeCr,FeNi,FeTi,Fe2 3 (酸
化鉄)を用いた。材料の組織は等軸粒で、粒径は10μ
mである。表3は備考欄に示すように、含有成分の添加
方法別の例を示している。材料の組織は等軸粒で、粒径
は10μmである。
【0027】表4は組織の粒径と高温(840℃)引張
試験における破断伸びとの関係を示し、試料Aは試験番
号1と、試料Bは試験番号28と同じ材料を用いた。
【0028】表5は試験番号1と同じ材料でパック圧延
の圧下率を変えた場合の、高温(840℃)引張り試験
における破断伸びで、各々5本の試験結果である。焼鈍
温度は750℃×1hである。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】表1において、試験番号1〜4,6,7,
9,11、13,14は本発明の実施例であり、備考欄
に各例の特徴を付記している。試験番号5はFe含有量
が低い比較例であって、伸びが低く、かつ超塑性温度域
が小さくて本発明が目標とする30℃以上の幅に達しな
い。同8はFeを過剰に含有しているために凝固偏析を
起こし伸びが小さくなった比較例であり、試験番号10
は窒素が高く、伸びが低い比較例。試験番号12はQが
小さい比較例であり、引張強度が低くなっている。試験
番号15はQが大きい比較例であり、伸びが低くなって
いる。このように本発明範囲のチタン材のみが極めて優
れた特性を有していることが分かる。
【0035】表2において、試験番号16,17,1
9,20は本発明実施例であり、備考欄に各例の特徴を
付記している。試験番号20はFe+Ni+Crの総含有料が少
ないため、超塑性温度域が狭く本発明が目標にしている
30℃以上の温度幅に達していない比較例。同21はN
iが過剰に含有されておりTi2 Niの析出のため伸び
が著しく不足している比較例。同22はCrが過剰に含
有されておりTiCr2 析出のため伸びが不足している
比較例。同23はFe+Ni+Crの含有料が多く凝固偏析のた
め伸びが低下している比較例である。これにより本発明
範囲のチタン材が極めて優れた特性を有していることが
分かる。
【0036】表3において、試験番号24はVAR溶解
時にFe,Cr源としてSUS430屑を使用し、また
Fe源としてはさらにFeTiを用い、所定の成分にな
るように調整した例である。同25はFe,Ni,Cr
源としてSUS304屑を、Fe源としてさらにFeT
iを使用し、所定の成分になるように調整した例であ
り、同26はFe,Ni,Cr源としてSUS316
屑、Fe源としてさらにFeTiをを使用し、所定の成
分になるように調整した例である。同27はFe源とし
てSUS400を使用し、所定の成分になるように調整
した例である。また、試験番号28はスポンジチタン製
造過程で、容器壁近傍の、該容器から侵入したFe,N
i,Crを含有したスポンジチタン材を切り出して用
い、所定の成分になるように調整した例である。各成分
の含有量は表3に示す通りであ利、本発明範囲に成分調
整することにより引張強度は750MPa 以上、伸び15
%以上、しかも超塑性を示す温度域は30℃以上でかつ
900℃以下の低温の優れた特性を示している。
【0037】表4において、試料A及び試料Bともに7
00〜850℃×1hr〜10hr変化させた焼鈍を行い粒
径を4〜30μmとした。表からわかるように、試験番
号29,30及び36,37は何れも粒径が20μmを
超えているため、破断伸びが本発明の目標値である40
0%以上に達していない。粒径が20μm以下の細粒の
ものは何れも破断伸びは高く、特に6μm以下の粒径と
なっている試験番号34,35及び41,42は100
0%以上の高い破断伸び(超塑性)を示している。
【0038】表5において、パック圧延時の圧下率が3
0%以上だとすべての試験片において高い超塑性伸びが
得られているが、20%以下だと一部に400%未満の
伸びしか示さない試料があった(一部に粗大粒)。これ
によりパック圧延は30%以上の圧下率で行うのが好ま
しいことがわかる。
【0039】
【実施例2】試験番号2と同じ試料を4mmの熱間圧延板
とした後、750℃×1hの焼鈍を行い、酸洗後種々の
圧下率で冷間圧延を行い、さらに750℃×20分の真
空焼鈍を行い、各板厚で次実施例1と同じ試験(室温引
張、高温引張=450℃−歪速度1×10-4-1)を行
い、室温での引張強度,伸び,810℃における破断伸
びを調べた。
【0040】
【表6】
【0041】表6において、試験番号47,48は冷延
率が小さいため、再結晶不十分で強度は高いが延性はや
や低く、結晶粒径が微細化されていないため高温引張伸
びが小さい。試験番号49以下から分かるように、20
%以上の冷延圧下率で強度,延性,超塑性伸びを兼ね備
えた素材が得られる。ただし、試験番号53のように冷
延圧下率が80%を超えると、耳われと同時に内部ポロ
シティが生じ、室温伸び、高温伸びが損なわれる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
価な元素を使用せず、窒素,酸素,Fe,Ni,Crの
含有量を調整すると共にα+β組織を微細化し、超塑性
を発現しやすくした高強度、高延性α+β型チタン材
を、工業的に極めて有利に得ることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe含有量を0.8〜2.3重量%、か
    つ、窒素含有量を0.05重量%以下にすると共に、酸
    素等価量値Q=[O]+2.77[N]+0.1[F
    e]が0.45〜1.00の範囲になるようにし、残部
    実質的にチタンからなるチタン合金であって、粒径が2
    0μm以下の等軸α+β組織からなることを特徴とする
    超塑性成形に適した高強度チタン合金。
  2. 【請求項2】Feと少なくともCr及びNiの1種類を
    総量で0.8〜2.3重量%含有し、ただし、Ni或い
    はCrは0.25重量%以下であり、かつ、窒素含有量
    を0.05重量%以下にすると共に、酸素等価量値Q=
    [O]+2.77[N]+0.1([Fe]+[Ni]
    +[Cr])が0.45〜1.00の範囲になるように
    し、残部実質的にチタンからなるチタン合金であって、
    粒径が20μm以下の等軸α+β組織からなることを特
    徴とする超塑性成形に適した高強度チタン合金。
  3. 【請求項3】粒径が6μm以下の等軸α+β組織からな
    ることを特徴とする請求項1或いは2記載の超塑性成形
    に適した高強度チタン合金。
  4. 【請求項4】請求項1或いは2記載の成分を有するチタ
    ン合金鋳塊を、鍛造或いは熱間圧延して板とし、焼鈍後
    或いは焼鈍後酸洗した前記板を複数枚重ね、その周囲を
    ステンレス等の耐熱鋼で真空にパックし、これを加熱後
    30%以上の圧下率で再熱間圧延してから剥離し焼鈍す
    ることにより、粒径が20μm以下の等軸α+β組織か
    らなるようにすることを特徴とする超塑性成形に適した
    高強度チタン合金薄手熱延板の製造方法。
  5. 【請求項5】複数枚重ねた各板の間に離型材を塗布し、
    その後の熱間圧延を、圧延方向及びそれと直交する方向
    に圧下するクロス圧延で実施することを特徴とする請求
    項4記載の超塑性成形に適した高強度チタン合金薄手熱
    延板の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1或いは2記載の成分を有するチタ
    ン合金鋳塊を、鍛造或いは熱間圧延して板とし、酸洗或
    いは焼鈍後酸洗した前記板を圧下率20〜80%で冷間
    圧延し、さらに焼鈍することにより粒径が20μm以下
    の等軸α+β組織からなるようにすることを特徴とする
    超塑性成形に適した高強度チタン合金薄板の製造方法。
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