JP2009179822A - 高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とその製造方法 - Google Patents

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【課題】高強度かつ成形性に優れたチタン合金板を提供する。
【解決手段】Fe:0.8〜2.5%(質量%の意味、以下同じ)、O:0.10%以下(0%を含まない)を満たし、残部:Tiおよび不可避不純物からなるチタン合金板であって、金属組織が、六方最密充填構造であるα相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値:45°以下、α相の面積率:80〜97%、およびα相の平均結晶粒径:7.0μm以下を満たすことを特徴とする高強度かつ成形性に優れたチタン合金板。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とその製造方法に関するものである。
Ti−6Al−4Vに代表される高強度α+β型チタン合金は、軽量、高強度、高耐食性に加え、溶接性、超塑性、拡散接合性などの利用加工諸特性を有することから、従来より航空機産業を中心に多用されている。近年では、これらの特性をさらに活用すべく、自動車部品、土木建築用素材、各種工具類、深海やエネルギー開発用途、更にはゴルフ用品をはじめとしたスポーツ用品にも使用されるなど、いわゆる民生品分野への適用拡大も進んでいる。しかし、上記高強度α+β型チタン合金の著しく高い製造コストが適用拡大を阻んでいるといった問題がある。
この様に高強度α+β型チタン合金の製造コストが高い理由として、
i)Vなどの高価なβ相安定化元素を使用していること、
ii)α相安定化元素および固溶強化元素として使用しているAlが、熱間での変形抵抗を著しく高め、熱間加工性を損ねるため、加工しにくく、また割れなどの欠陥を生じ易いこと、の2点を挙げることができる。
特に、上記ii)は、主要製品である板を製造する際の大きな高コスト要因であり、圧延途中で再加熱を必要としたり、板端部に割れを生じ材料歩留まりが低下するなどの問題点があった。
このような状況下で、近年、上記民生品分野への適用拡大を推進すべく、低コストチタン合金が種々提案されている。中でも、Ti−Fe−O−N系高強度チタン合金は、安価なFeをβ相安定化元素として採用し、さらに、熱間加工性を低下させるAlの代わりに、安価でかつ熱間加工性を損なわない酸素や窒素をα相安定化元素として採用していることから、従来のα+β型チタン合金に比べて、相当な低コスト化が期待されている。
しかし、このTi−Fe−O−N系高強度チタン合金の実用化にも問題が残っている。
Ti−Fe−O−N系チタン合金は、通常の一方向圧延により板を製造した場合に、極端な板面内材質異方性が生じ、板の長さ方向の特性は優れるが、軸方向の特性、特に延性が極端に乏しくなってしまうという問題点がある。また、この改善策として、例えば特許文献1には、圧延方向に対して垂直方向に圧延を行うクロス圧延を実施することで、上記異方性を小さくし、長さ方向および幅方向ともに高強度・高延性のTi−Fe−O−N系高強度チタン合金板を得ることが示されている。しかしながら、上記クロス圧延を実機で行うにあたりコスト増が避けられないことから、圧延方向に関係なく成形性に優れた高強度のチタン合金板を、低コストで得る方法の確立が切望されている。
特開平11−61297号公報
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高強度かつ成形性に優れたチタン合金板を低コストで製造することにある。
本発明に係る高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とは、Fe:0.8〜2.5%(質量%の意味、以下同じ)、O:0.10%以下(0%を含まない)を満たし、残部:Tiおよび不可避不純物からなるチタン合金板であって、
金属組織が、
六方最密充填構造であるα相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値:45°以下、
α相の面積率:80〜97%、および
α相の平均結晶粒径:7.0μm以下
を満たすところに特徴を有する。
本発明は、この様なチタン合金板の製造方法も規定するものであって、該方法は、上記成分組成を満たす鋳塊を用いて、分塊圧延、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延および最終焼鈍を順次行うにあたり、前記熱間圧延の開始温度を800℃以上とし、かつ前記最終焼鈍の焼鈍温度を700℃〜850℃とするところに特徴を有する。
本発明によれば、高強度かつ成形性に優れたチタン合金板を低コストで製造できるため、上記スポーツ用品、自動車部品、土木建築用素材、各種工具類等の民生品分野や、深海やエネルギー開発用途へのチタン合金材の適用拡大を促進させることができる。
本発明者らは、高強度かつ成形性に優れたチタン合金板を低コストで得るべく鋭意研究を行った。その結果、特に、金属組織おいて、六方最密充填構造であるα相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値およびα相の平均結晶粒径を、α相の面積率と共に制御すれば、圧延方向に関係なく、優れた成形性を発揮する高強度チタン合金板が得られることを見出した。
またこの様な高強度かつ成形性に優れたチタン合金板を得るには、製造工程において、特に熱間圧延と最終焼鈍の条件を制御すればよい、との着想のもとでその具体的条件を見出した。以下、本発明について詳述する。
〈α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値:45°以下〉
チタンの金属組織において、六方最密充填構造(HCP;Hexagonal Close−packed Structure)であるα相のすべり方向は、六方最密充填構造の結晶格子の六角形面[(0001)面]にあり、この面に対して垂直方向[(0001)面の法線方向]に荷重が加わると、結晶のすべり変形が生じずより大きな変形が生じやすい、即ち、優れた成形性を発揮する傾向にある。
そこで本発明者らは、成形性を確実に高めるべく、上記α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角と成形性との関係について調べた。その結果、後述する実施例に示す通り、観察領域の全α相結晶格子について測定した、α相結晶格子の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角(図1のθ)の平均値が45°以下であれば、優れた成形性を発揮し、かつ伸びの異方性も低減することを実験により明らかにした。上記方位角の平均値は、40°以下であることが好ましく、30°以下であればより好ましい。
この様に、上記方位角の平均値が小さいほど優れた成形性を示すが、現行の量産工程において低コストで製造する観点からは、上記方位角の平均値の下限は20°程度となる。
〈α相の面積率:80〜97%〉
上記の通り、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値が45°以下を満たしていても(即ち、α相全体に占める「板厚垂直方向に対する傾角の小さいα相」の割合が高くても)、金属組織に占めるα相自体の割合が少ないと、成形性の向上に寄与する上記方位角の小さいα相の絶対量が少なくなり、所望レベルの成形性が得られない。よって本発明では、全組織に占めるα相の面積率を80%以上とした。好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
但し、α相の面積率が100%近くになると、α相による伸びの異方性が大きくなり、成形性が却って劣化する。よって本発明では、全組織に占めるα相の面積率を97%以下とする。好ましくは95%以下であり、より好ましくは93%以下である。
〈α相の平均結晶粒径:7.0μm以下〉
α相の平均結晶粒径が小さいほど、結晶粒微細化効果により強度が高まる。本発明では、この様な効果を発揮させるべく、α相の平均結晶粒径の上限を7.0μmとした。好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。この様にα相の平均結晶粒径が小さいほど優れた特性を示すが、現行の量産工程において低コストで製造する観点からは、α相の平均結晶粒径の下限は1μm程度となる。
〈成分組成について〉
本発明のチタン合金板は、Fe:0.8〜2.5%、O:0.10%以下(0%を含まない)を満たすものである。
Fe量が0.8%より少ないと、α相の結晶粒径が大きくなりすぎて必要最低限の強度を確保できず、また、成形性も低下するので好ましくない。好ましくはFe量を1.0%以上とするのがよい。一方、Fe量が2.5%を超えると、強度が必要以上に高くなり、成形性が劣化するので好ましくない。好ましくはFe量を2.3%以下とするのがよい。
O(酸素)は主に不純物として混入する元素である。O量が増加することで強度が高まるが、O量が0.10%を超えると、強度が必要以上に高くなり、成形性が劣化するので好ましくない。よって、本発明ではO量を0.10%以下とする。好ましくは0.08%以下である。
本発明のチタン合金板は、残部がTiおよび不可避不純物からなるものであり、該不可避不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素の混入が許容され得る。例えば、Ni、Crは総量で約0.05%以下であり、H(水素)、C(炭素)、N(窒素)は総量で数10ppm程度であり、上記O以外の不可避不純物は大凡0.05%程度である。
〈製造方法について〉
次に、上記チタン合金板の製造条件について説明する。チタン合金板は、一般に下記工程で製造される。チタン合金板の物性や組織状態は、用いるチタン合金板の化学組成や各工程の設定条件により異なるので、一連の製造工程として総合的に条件を選択して決定すべきであり、個々の工程ごとに条件を厳密に設定することは必ずしも適切ではない。
[鋳造]→[分塊圧延]→[均熱・熱間圧延]→[中間焼鈍]→[冷間圧延]→[最終焼鈍](上記各工程間で、随時、ブラストや酸洗処理が行われる)
しかし、本発明者らが、前記成分組成のチタン合金を用いて製造条件の検討を行ったところ、特に下記条件(1)および(2)を採用すれば、高強度で優れた成形性を有するチタン合金板を、確実にかつ低コストで得られることを見出した。
(1)熱間圧延の開始温度:800℃以上
α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値を45°以下とするには、熱間圧延の開始温度を高める、即ち、熱間圧延の開始温度を800℃以上とする必要がある。好ましくは850℃以上であり、より好ましくは870℃以上である。
一方、熱間圧延の開始温度が高すぎても結晶粒が大きくなりすぎることから、β変態点の温度以下とすることが好ましい。
尚、熱間圧延後は、300℃まで急冷することにより、その後の均熱する工程で、再結晶α相の核となりうる微細α相が生成する。この微細α相の生成により、再結晶α相を微細なものとすることができる。この様な冷却を行うには、例えば、熱間圧延により得られる熱間圧延材に、後述する実施例に示す様に多量の水をかけて冷却する他、積極的に送風を行ったり、ミスト冷却を行う方法が挙げられる。
(2)最終焼鈍の焼鈍温度:700℃〜850℃
最終焼鈍の焼鈍温度が850℃を上回ると、α相の平均結晶粒径が大きくなりすぎて、強度が低くなる。よって本発明では、850℃以下の焼鈍温度で最終焼鈍を行う。該焼鈍温度は、好ましくは825℃以下であり、より好ましくは800℃以下である。しかし最終焼鈍の焼鈍温度が低すぎても、焼鈍後に未再結晶部が残り、成形性が劣化するので好ましくない。よって、最終焼鈍の焼鈍温度は700℃以上(好ましくは710℃以上、より好ましくは720℃以上)とする。
尚、最終焼鈍の時間は特に限定されず、上記温度範囲にて0.1〜10分間行えばよい。
上記熱間圧延や最終焼鈍におけるその他の条件や、その他の工程の条件は、一般的な条件を採用することができる。
本発明に係るチタン合金板(板厚0.2〜1mm程度)は、本来の優れた耐食性はもとより高い機械的強度に加えて、優れた成形性を有しているので、プレート式熱交換器の構成材の他、燃料電池のセパレーター、携帯電話機、モバイルパソコン、カメラ等のボディ、めがねフレーム等、高度な成形性が要求される用途に広く適用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
CCIM(コールドクルーシブル誘導加熱法)溶解により、チタン合金を溶製し、φ100mmの円柱形の10kg鋳塊を製造した。下記表1に鋳塊の成分分析結果を示す。この鋳塊を用いて、1050℃で分塊鍛造を行い、分塊鍛造後は放冷して、厚み45mmの板形状の分塊鍛造材を得た。その後、表1に示す条件で熱間圧延し、スケール除去をして厚み約5mmの熱延板を得た。
上記熱間圧延終了後の300℃までの冷却は、それぞれ次の方法で行った。即ち、表1に示すNo.1〜6、8〜10、12〜15、17、18では風を積極的にあてて冷却し、No.7、11では多量の水をかけて冷却し、No.16では放置したまま空冷(放冷)した。
次いで、大気炉にて表1に示す通り700℃で5分間加熱し、その後空冷する焼鈍処理(中間焼鈍)を行ってから、スケール除去を行った。そして、表1に示す通り冷間圧延率:89%の冷間圧延を行った後、大気炉にて、表1に示す焼鈍温度で3分間加熱してから空冷する焼鈍処理(最終焼鈍)を行い、その後、スケール除去を行って厚み0.3mmのチタン合金板を得た。
Figure 2009179822
得られたチタン合金板の金属組織の観察・測定、強度および成形性の評価を夫々下記の要領で行った。
〈α相の面積率、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値、およびα相の平均結晶粒径〉
チタン合金板の圧延面表面を機械研磨し、更に、バフ研磨に次いで電解研磨を行い、板厚t方向の1/4t部の圧延面を観察できるように調整した試料を用意した。そして、この試料を用いて、ショットキー電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM )(日本電子社製、JSM−6500F)に搭載された、後方散乱電子回折像[EBSP: Electron Back Scattering (Scattered) Pattern ](日本電子社製、JEOL JSM 5410)により、結晶方位の測定および結晶粒径の測定を行った。測定領域は100 μm×100 μmであり、測定ステップ間隔は0.2μmとした。上記EBSP測定・解析システムは、EEDAX/TSL社製OIM(Orientation Imaging Microscopy)(ver.4)を用いた。
上記FESEMに搭載されたEBSP観察・測定システムは高分解能であることから、金属組織パラメータの測定を極めて精度よく行うことができる。以下、上記測定原理について説明する。
EBSP法は、FESEMの鏡筒内にセットした試料に電子線を照射してスクリーン上にEBSPを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。コンピュータでは、この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。算出された結晶の方位は3次元オイラー角として、位置座標(x、y)などとともに記録される。このプロセスが全測定点に対して自動的に行われるので、測定終了時には数万〜数十万点の結晶方位データが得られる。
このように、EBSP法には、X線回折法や透過電子顕微鏡を用いた電子線回折法よりも、観察視野が広く、数百個以上の多数の結晶粒に対する、平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差、あるいは方位解析等の情報を、数時間以内で得られる利点がある。また、結晶粒毎の測定ではなく、指定した領域を任意の一定間隔で走査して測定するために、測定領域全体を網羅した上記多数の測定ポイントに関する、上記各情報を得ることができる利点もある。なお、これらFESEM にEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法の詳細は、神戸製鋼技報/Vol.52 No.2(Sep.2002)p.66−70などに詳細に記載されている。
ここで、通常のチタン合金の場合、β相(BCC)は、{111}方位({111}<112>、{111}<110>で規定)、{001}<100>方位、{011}<100>方位、{112}<110>方位、{554}<225>方位等からなる集合組織を形成する。
本発明においては、基本的に、方位のずれが各結晶方位から±15°以内のものは同一の結晶方位に属するとした。また、隣り合う結晶粒の方位差が5°以上の結晶粒の境界を結晶粒界と定義した。
この様な測定手段により、測定範囲内のα相、β相の全結晶粒の方位を個別に同定し、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値、およびα相の平均結晶粒径(測定したα相の各結晶粒の円相当直径の合計/測定したα相の結晶粒の数)を求めた。また、α相の面積率は下記式(1)により求めた。
α相の面積率=[α相の面積/(α相の面積+β相の面積)]×100 …(1)
〈引張強度および伸びの異方性の評価〉
上記試験材(0.3mmのチタン合金板)から、JISZ2201で規定される13号試験片を、長手方向が圧延方向(L)となるよう作製し、この試験片を用いて、JISZ2241に規定の方法で引張試験を行い、圧延方向(L)の引張強度(TS)および全伸びを測定した。このとき、試験速度(引張り試験での歪み速度)は、0.2%耐力までを0.5%/min、それ以降を10mm/minとした。また、上記試験材から、JISZ2201で規定される13号試験片を、長手方向が、上記L方向と直交する圧延面上の方向(T)となるよう作製し、この試験片を用いて、上記と同様にして引張試験を行い、T方向の全伸びを測定した。
そして、圧延方向(L)のTSが500MPa以上のものを高強度であると評価した。また、(T方向全伸び)−(L方向全伸び)から求めた伸びの異方性が7%以下のものを、伸びの異方性が小さいと評価した。
〈成形性(エリクセン値)の測定〉
エリクセン試験を次の通り行った。即ち、試験材からJISZ2247に規定される2号試験片を作製し、この試験片を用いて、JISZ2247に規定の方法でエリクセン試験を実施した。
このとき、試験速度(エリクセン試験でのプレス速度、即ち、プレス工具の変位速度)は5mm/minとした。そして、エリクセン値が7.5mm以上のものを成形性に優れると評価した。
これらの結果を前記表1に併記する。
表1から次のように考察することができる。即ち、No.1〜11は本発明で規定する要件を満たすものであり、高強度かつ成形性に優れていることがわかる。
これに対し、No.12〜18は、本発明で規定する要件を満たしていないため、高強度を確保できなかったり、成形性に劣るといった不具合が生じた。
詳細には、No.12は、Fe量が少ないため、α相の結晶粒径が大きくなり、結果として高強度を確保できず、かつ成形性にも劣っている。
No.13は、Fe量が過剰であるため、強度が必要以上に高くなり、成形性が劣っている。
No.14は、O量が過剰であるため、成形性に劣っている。
No.15は、熱間圧延の開始温度が低いため、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値が45°を上回り、伸びの異方性が大きく、また成形性に劣っている。
No.16から、高強度を達成させるには、熱間圧延後に300℃まで急冷して、α相の結晶粒粗大化を抑制すればよいことがわかる。
No.17は、最終焼鈍温度が高すぎるため、α相の結晶粒径が著しく大きくなり、結果として高強度を確保できず、かつ成形性にも劣っている。
No.18は、最終焼鈍の焼鈍温度が低すぎるため、焼鈍後に未再結晶部が残り、成形性が劣る結果となった。
α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角(θ)を示す図である。

Claims (2)

  1. Fe:0.8〜2.5%(質量%の意味、以下同じ)、O:0.10%以下(0%を含まない)を満たし、残部:Tiおよび不可避不純物からなるチタン合金板であって、金属組織が、六方最密充填構造であるα相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす方位角の平均値:45°以下、α相の面積率:80〜97%、およびα相の平均結晶粒径:7.0μm以下を満たすことを特徴とする高強度かつ成形性に優れたチタン合金板。
  2. 上記請求項1に規定の成分組成を満たす鋳塊を用いて、分塊圧延、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延および最終焼鈍を順次行うにあたり、前記熱間圧延の開始温度を800℃以上とし、かつ前記最終焼鈍の焼鈍温度を700℃〜850℃とすることを特徴とする高強度かつ成形性に優れたチタン合金板の製造方法。
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