JP5027603B2 - 高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とその製造方法 - Google Patents

高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とその製造方法に関するものである。
Ti−6Al−4Vに代表される高強度α+β型チタン合金は、軽量、高強度、高耐食性に加え、溶接性、超塑性、拡散接合性などの利用加工諸特性を有することから、従来より航空機産業を中心に多用されている。近年では、これらの特性をさらに活用すべく、自動車部品、土木建築用素材、各種工具類、深海やエネルギー開発用途、更にはゴルフ用品をはじめとしたスポーツ用品にも使用されるなど、いわゆる民生品分野への適用拡大も進んでいる。しかし、上記高強度α+β型チタン合金の著しく高い製造コストが適用拡大を阻んでいるといった問題がある。
この様に高強度α+β型チタン合金の製造コストが高い理由として、
i)Vなどの高価なβ相安定化元素を使用していること、
ii)α相安定化元素および固溶強化元素として使用しているAlが、熱間での変形抵抗を著しく高め、熱間加工性を損ねるため、加工しにくく、また割れなどの欠陥を生じ易い、の2点を挙げることができる。
特に、上記ii)は、主要製品である板を製造する際の大きな高コスト要因であり、圧延途中で再加熱を必要としたり、板端部に割れを生じ材料歩留まりが低下するなどの問題点があった。
このような状況下で、近年、上記民生品分野への適用拡大を推進すべく、低コストチタン合金が種々提案されている。中でも、Ti−Fe−O−N系高強度チタン合金は、安価なFeをβ相安定化元素として採用し、さらに、熱間加工性を低下させるAlの代わりに、安価でかつ熱間加工性を損なわない酸素や窒素をα相安定化元素として採用していることから、従来のα+β型チタン合金に比べて、相当な低コスト化が期待されている。
しかし、このTi−Fe−O−N系高強度チタン合金の実用化にも問題が残っている。
Ti−Fe−O−N系チタン合金は、通常の一方向圧延により板を製造した場合に、極端な板面内材質異方性が生じ、板の長さ方向の特性は優れるが、軸方向の特性、特に延性が極端に乏しくなってしまうという問題点がある。また、この改善策として、例えば特許文献1には、圧延方向に対して垂直方向に圧延を行うクロス圧延を実施することで、上記異方性を小さくし、長さ方向および幅方向ともに高強度・高延性のTi−Fe−O−N系高強度チタン合金板を得ることが示されている。しかしながら、上記クロス圧延を実機で行うにあたりコスト増が避けられないことから、圧延方向に関係なく成形性に優れた高強度のチタン合金板を、低コストで得る方法の確立が切望されている。
特開平11−61297号公報
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高強度かつ成形性に優れたチタン合金板を低コストで製造することにある。
本発明に係る高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とは、Fe:0.8〜2.5%(質量%の意味、以下同じ)、O:0.10%以下(0%を含まない)を満たし、残部:Tiおよび不可避不純物からなるチタン合金板であって、
金属組織が、
α相の面積率:80〜97%、
α相の平均結晶粒径:10.0μm以下、および
α相の結晶粒径の標準偏差:2.5μm以下
を満たすところに特徴を有する。
更に、チタン合金板の圧延方向に平行な面を観察したときに、前記金属組織が、β相全体に占める{111}方位の面積率:30%以上を満たすようにすれば、成形性(特に深絞り性)のより高いチタン合金板が得られるので好ましい。
本発明は、この様なチタン合金板の製造方法も規定するものであって、該方法とは、上記成分組成を満たす鋳塊を用いて、分塊圧延、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延および最終焼鈍を順次行うにあたり、前記分塊圧延後の300℃までの冷却速度を0.1℃/s以上とするところに特徴を有する。
上記製造方法においては、更に、前記分塊圧延の終了温度を、Ti−Fe−O三成分系状態図においてα相とβ相の比率が6:4となる温度以上とすることが望ましい。
尚、上記「Ti−Fe−O三成分系状態図においてα相とβ相の比率が6:4となる温度」は、後述する実施例に示す方法で求めた温度をいう。
本発明によれば、高強度かつ成形性に優れたチタン合金板を低コストで製造できるため、上記スポーツ用品、自動車部品、土木建築用素材、各種工具類等の民生品分野や、深海やエネルギー開発用途へのチタン合金材の適用拡大を促進させることができる。
本発明者らは、高強度かつ成形性に優れたチタン合金板を低コストで得るべく鋭意研究を行った。その結果、特に、金属組織おいて、α相の面積率を規定すると共に、該α相の平均結晶粒径を規定して必要な強度を確保し、かつα相の結晶粒径の標準偏差を規定して結晶粒のサイズ分布を均一になるように制御すれば、優れた成形性を確保できること、更にはβ相全面積に占める{111}方位の面積を増加させれば、成形性(特に深絞り性)をより高めることができることを見出した。
またこの様な高強度かつ成形性に優れたチタン合金板を得るには、製造工程において、特に分塊圧延の条件を制御すればよい、との着想のもとでその具体的方法を見出した。以下、本発明について詳述する。
〈α相の面積率〉
チタンの金属組織において、HCP(Hexagonal Close−packed Structure)結晶構造であるα相は、そのすべり方向がHCP結晶構造の六角形面方向にあり、この面に対して垂直方向に荷重が加わると、結晶のすべり変形が生じずより大きな変形が生じやすい、即ち、優れた成形性が得られる、という特性を有する。
本発明では、この様な特性を示すα相を確保して成形性を高めるべく、全組織に占めるα相の面積率を80%以上とした。好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。但し、α相の面積率が100%近くになると、α相による伸びの異方性が大きくなり、成形性が却って劣化する。よって本発明では、全組織に占めるα相の面積率を97%以下とする。好ましくは95%以下であり、より好ましくは93%以下である。
〈α相の平均結晶粒径〉
α相の平均結晶粒径が小さいほど、結晶粒微細化効果により強度が高まる。本発明では、この様な効果を発揮させるべく、α相の平均結晶粒径の上限を10.0μmとした。好ましくは7μm以下、より好ましくは3μm以下である。この様にα相の平均結晶粒径が小さいほど優れた特性を示すが、現行の量産工程において低コストで製造する観点からは、α相の平均結晶粒径の下限は1μm程度となる。
〈α相の結晶粒径の標準偏差〉
上述の通りα相の平均結晶粒径が小さくても、α相の結晶粒径の標準偏差が大きければ、平均結晶粒径よりも粒径の大きなα結晶粒が多く存在し、成形性が劣化する。そこで本発明では、α相の結晶粒径の標準偏差を2.5μm以下とした。好ましくは2.0μm以下であり、より好ましくは1.5μm以下である。この様にα相の結晶粒径の標準偏差が小さいほど優れた特性を示すが、現行の量産工程において低コストで製造する観点からは、α相の結晶粒径の標準偏差の下限は0.25μm程度となる。
〈β相全面積に占める{111}方位の面積率〉
本発明のチタン合金板は、金属組織がα相とβ相からなるものであるが、該β相が、下記要件を満たすものがより好ましいことを見出した。具体的には、チタン合金板の圧延方向に平行な面を観察したときに、β相全体に占める{111}方位の面積率:30%以上を満たす金属組織とすれば、伸びの異方性が小さくなり、成形性として特に深絞り性が向上することを見出した。深絞り性をより高めるには、上記{111}方位の面積率を好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上とするのがよい。尚、製造可能であることを考慮すると、上記{111}方位の面積率の上限は80%程度となる。
〈成分組成について〉
本発明のチタン合金板は、Fe:0.8〜2.5%、O:0.10%以下(0%を含まない)を満たすものである。
Fe量が0.8%より少ないと、α相の結晶粒径が大きくなりすぎて必要最低限の強度を確保できない。また、α相の結晶粒径がばらつきやすくなり、成形性も低下するので好ましくない。好ましくはFe量を1.0%以上とするのがよい。一方、Fe量が2.5%を超えると、強度が必要以上に高くなり、成形性が劣化するので好ましくない。好ましくはFe量を2.3%以下とするのがよい。
O(酸素)は主に不純物として混入する元素である。O量が増加することで強度が高まるが、O量が0.10%を超えると、強度が必要以上に高くなり、成形性が劣化するので好ましくない。よって、本発明ではO量を0.10%以下とする。好ましくは0.08%以下である。
本発明のチタン合金板は、残部がTiおよび不可避不純物からなるものであり、該不可避不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素の混入が許容され得る。例えば、Ni、Crは総量で約0.05%以下であり、H(水素)、C(炭素)、N(窒素)は総量で数10質量ppm程度であり、上記O以外の不可避不純物は大凡0.05%程度である。
〈製造方法について〉
次に、上記チタン合金板の製造条件について説明する。チタン合金板は、一般に下記工程で製造される。チタン合金板の物性や組織状態は、用いるチタン合金板の化学組成や各工程の設定条件により異なるので、一連の製造工程として総合的に条件を選択して決定すべきであり、個々の工程ごとに条件を厳密に設定することは必ずしも適切ではない。
[鋳造]→[分塊圧延]→[均熱・熱間圧延]→[中間焼鈍]→[冷間圧延]→[最終焼鈍](上記各工程間で、随時、ブラストや酸洗処理が行われる)
しかし、本発明者らが、前記成分組成のチタン合金を用いて製造条件の検討を行ったところ、特に下記条件(1)を採用すれば、高強度で優れた成形性を有するチタン合金板を、確実にかつ低コストで得られることを見出した。また、更に下記条件(2)を採用することにより、より成形性の高いチタン合金板を製造することができることも見出した。
(1)分塊圧延後の300℃までの冷却速度:0.1℃/s以上
分塊圧延後300℃までを急冷することにより、その後の均熱する工程で、再結晶αの核となりうる微細αが生成する。この微細αの生成により、再結晶αを微細なものとすることができると共に、粒径を均一化してα相の結晶粒径の標準偏差を小さくすることができる。この様な冷却を行うには、例えば、分塊圧延により得られる板厚30〜250mmの分塊圧延材に、後述する実施例に示す様に多量の水をかけて冷却する他、積極的に送風を行ったり、ミスト冷却を行う方法が挙げられる。
(2)分塊圧延の終了温度:Ti−Fe−O三成分系状態図においてα相とβ相の比率が6:4となる温度以上
分塊圧延の終了温度を、Ti−Fe−O三成分系状態図においてα相とβ相の比率が6:4となる温度以上にすることで、分塊圧延後の工程におけるβ相量を一定以上確保できるとともに、β相を微細に分散させることができる。そして、その後の均熱する工程で、βの再結晶が促進されることにより、βの再結晶優先方位である{111}方位の割合が増えて、結果的にβ相全面積に占める{111}方位の割合を増加させることができる。
尚、分塊圧延におけるその他の条件や、その他の工程の条件は、一般的な条件を採用することができるが、上記中間焼鈍および最終焼鈍の加熱温度は、β変態温度以下とするのがよい。
本発明に係るチタン合金板(板厚0.2〜1mm程度)は、本来の優れた耐食性はもとより高い機械的強度に加えて、優れた成形性を有しているので、プレート式熱交換器の構成材の他、燃料電池のセパレーター、携帯電話機、モバイルパソコン、カメラ等のボディ、めがねフレーム等、高度な成形性が要求される用途に広く適用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
CCIM(コールドクルーシブル誘導加熱法)溶解により、チタン合金を溶製し、φ100mmの円柱形の10kg鋳塊を製造した。下記表1に鋳塊の成分分析結果を示す。この鋳塊を用いて、表1に示す条件で分塊圧延を行い、厚み45mmの板形状の分塊圧延材を得た。尚、上記分塊圧延を行うに際し、Ti−Fe−O三成分系状態図においてα相とβ相の比率が6:4となる温度を、総合熱力学計算ソフトウェア(Thermo−calc、CRC総合研究所から購入可能)に、各チタン合金の化学成分組成を入力し、熱力学的計算により求めた。その結果、Ti−Fe−O三成分系状態図においてFe量が0.8〜2.5%の場合は、上記α相とβ相の比率が6:4となる温度が概ね750〜850℃であり、Fe量が多くなるほど該温度が低下することを確認した。そして、表1に示すNo.1〜6、11〜14では、これよりも高い温度で分塊圧延を終了し、No.7〜10では、これよりも低い温度で分塊圧延を終了した。
上記分塊圧延終了後の300℃までの冷却は、それぞれ次の方法で行なった。即ち、表1に示すNo.1〜4、6〜13では、分塊圧延材に多量の水をかけて冷却し、No.5では、分塊圧延材に風を積極的にあてて冷却し、No.14では分塊圧延材を放置したまま空冷(放冷)した。
次いで、表1に示す条件で熱間圧延し、スケール除去をして厚み約5mmの熱延板を得た。その後、大気炉にて800℃で5分間加熱し、その後空冷する焼鈍処理(中間焼鈍)を行ってから、スケール除去を行なった。次いで、表1に示す冷間圧延率の冷間圧延を行った後、大気炉にて、表1に示す条件(温度・時間)で加熱してから空冷する焼鈍処理(最終焼鈍)を行い、その後、スケール除去を行って厚み0.3mmのチタン合金板を得た。
Figure 0005027603
得られたチタン合金板の金属組織の観察・測定、強度および成形性の評価を夫々下記の要領で行なった。
〈α相の平均結晶粒径、α相の結晶粒径の標準偏差、α相の面積率、および{111}方位の面積率の測定〉
チタン合金板の圧延面を機械研磨し、更に、バフ研磨に次いで電解研磨を行い、板厚t方向の1/4t面を観察できるように調整した試料を用意した。そして、この試料を用いて、電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM )に搭載された、後方散乱電子回折像[EBSP: Electron Back Scattering (Scattered) Pattern ](日本電子社製、JEOL JSM 5410)による結晶方位の測定および結晶粒径の測定を行った。測定領域は300μm×300μmであり、測定ステップ間隔は0.5μmとした。上記EBSP測定・解析システムは、TSL社製OIM(Orientation Imaging Microscopy)を用いた。
上記FESEMに搭載されたEBSP観察・測定システムは高分解能であることから、金属組織パラメータの測定を極めて精度よく行なうことができる。以下、上記測定原理について説明する。
EBSP法は、FESEMの鏡筒内にセットした試料に電子線を照射してスクリーン上にEBSPを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。コンピュータでは、この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。算出された結晶の方位は3次元オイラー角として、位置座標(x、y)などとともに記録される。このプロセスが全測定点に対して自動的に行なわれるので、測定終了時には数万〜数十万点の結晶方位データが得られる。
このように、EBSP法には、X線回折法や透過電子顕微鏡を用いた電子線回折法よりも、観察視野が広く、数百個以上の多数の結晶粒に対する、平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差、あるいは方位解析の情報を、数時間以内で得られる利点がある。また、結晶粒毎の測定ではなく、指定した領域を任意の一定間隔で走査して測定するために、測定領域全体を網羅した上記多数の測定ポイントに関する、上記各情報を得ることができる利点もある。なお、これらFESEM にEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法の詳細は、神戸製鋼技報/Vol.52 No.2(Sep.2002)P66−70などに詳細に記載されている。
ここで、通常のチタン合金の場合、β相(BCC)は、{111}方位({111}<112>、{111}<110>で規定)、{001}<100>方位、{011}<100>方位、{112}<110>方位、{554}<225>方位等からなる集合組織を形成する。
本発明においては、基本的に、各結晶方位から±15°以内の方位のずれのものは同一の結晶方位に属するものとした。また、隣り合う結晶粒の方位差が5°以上の結晶粒の境界を結晶粒界と定義した。
この様な測定手段により、測定範囲内のα相、β相の全結晶粒の方位を個別に同定し、各粒子の結晶粒径として円相当直径を求めた。また、測定したα相の結晶粒の数をn、それぞれの測定した結晶粒径をxとしたときの、α相の平均結晶粒径:(Σx)/nと、下記式(1)で表されるα相の結晶粒径の標準偏差を求めた。また、α相の面積率は下記式(2)により求めた。β相全体に占める{111}方位の面積率は、[β相中の{111}方位の面積/β相の面積]×100により求めた。
α相の結晶粒径の標準偏差=〔nΣx2 −(Σx)2 〕/〔n/(n−1)1/2 〕 …(1)
α相の面積率=[α相の面積/(α相の面積+β相の面積)]×100 …(2)
〈引張強度および深絞り性(r値)の測定〉
試験材から、JISZ2201で規定される13号試験片を、圧延方向のTS(引張強度)が測定できるように作製し、この試験片について、JISZ2241に規定の方法で引張試験を行い、引張強度を調べた。また、歪量5%における試験片の板厚t(mm)、ゲージ幅W(mm)を測定し、下記式(3)からr値を算出した。
r値=[ln(W/W)]/[ln(t/t)] …(3)
[上記式(3)において、W、tは、それぞれ試験前の板厚(mm)、ゲージ幅(mm)を示す]
このとき、試験速度(引張り試験での歪み速度)は、0.2%耐力までを0.5%/min、それ以降を10%/minとした。そして、圧延方向のTSが500MPa以上のものを高強度を示すと評価した。また、r値が1.00以上のものを深絞り性に優れると評価した。
〈成形性(エリクセン値)の測定〉
エリクセン試験を次の通り行なった。即ち、試験材からJISZ2247に規定される2号試験片を作製し、この試験片について、JISZ2247に規定の方法でエリクセン試験を実施した。
このとき、試験速度(エリクセン試験でのプレス速度、即ち、プレス工具の変位速度)は5mm/minとした。そして、エリクセン値が7.5以上のものを成形性に優れると評価した。
これらの結果を前記表1に併記する。
表1から次のように考察することができる。即ち、No.1〜10は本発明で規定する要件を満たすものであり、高強度かつ成形性に優れていることがわかる。特に、No.1〜6は、β相全面積に占める{111}方位の面積率も規定範囲内にあるため、深絞り性にも優れている。
これに対し、No.11〜14は、本発明で規定する要件を満たしていないため、高強度を確保できなかったり、成形性に劣るといった不具合が生じた。
詳細には、No.11は、Fe量が少ないため、α相の結晶粒径が大きくなり、またα相の結晶粒径のばらつきも大きくなり、結果として高強度を確保できず、かつ成形性にも劣っている。
No.12は、Fe量が過剰であるため、強度が必要以上に高くなり、成形性が劣っている。
No.13は、O量が過剰であるため、成形性に劣っている。
No.14は、分塊圧延後の300℃までの冷却速度が著しく遅いため、α相の結晶粒径にばらつきが生じ、優れた成形性を確保できていない。

Claims (4)

  1. Fe:0.8〜2.5%(質量%の意味、以下同じ)、O:0.10%以下(0%を含まない)を満たし、残部:Tiおよび不可避不純物からなるチタン合金板であって、
    金属組織が、
    α相の面積率:80〜97%、
    α相の平均結晶粒径:10.0μm以下、および
    α相の結晶粒径の標準偏差:2.5μm以下
    を満たすことを特徴とする高強度かつ成形性に優れたチタン合金板。
  2. チタン合金板の圧延方向に平行な面を観察したときに、前記金属組織が、
    β相全体に占める{111}方位の面積率:30%以上を満たす請求項1に記載のチタン合金板。
  3. 請求項1または2に記載のチタン合金板の製造方法であって、
    請求項1に規定の成分組成を満たす鋳塊を用いて、分塊圧延、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延および最終焼鈍を順次行うにあたり、前記分塊圧延後の300℃までの冷却速度を0.1℃/s以上とすることを特徴とする高強度かつ成形性に優れたチタン合金板の製造方法。
  4. 更に、前記分塊圧延の終了温度を、Ti−Fe−O三成分系状態図においてα相とβ相の比率が6:4となる温度以上とする請求項3に記載の製造方法。
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