JP5385038B2 - 高耐力でプレス成形性に優れたチタン板 - Google Patents

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Description

本発明は、高耐力でプレス成形性に優れたチタン板に関するものである。
Ti−6Al−4Vに代表される高強度α+β型チタン合金は、軽量、高強度、高耐食性に加え、溶接性、超塑性、拡散接合性などの利用加工諸特性を有することから、航空機産業を中心に多用されてきた。これらの特性を更に活用すべく、近年では、ゴルフ用品をはじめとしたスポーツ用品にも使用されるようになってきており、自動車部品、土木建築用素材、各種工具類などの民生品分野や、深海やエネルギー開発用途などへの適用拡大も進んでいる。しかし、α+β型チタン合金の著しく高い製造コストがその適用拡大の妨げとなっており、これら民生品分野等への更なる適用拡大を促進するには、上記した諸特性を阻害することなく、且つ安価なチタン合金板或いは純チタン板が開発されることであり、その開発が待ち望まれている。
これら高強度α+β型チタン合金の製造コストが高くなる理由としては次の2点を挙げることができる。Vなどの高価なβ相安定化元素を使用していること。α相安定化元素として使用しているAlが、熱間での変形抵抗を著しく高め、熱間加工性を損ねるため、加工しにくく、また割れなどの欠陥を生じやすいということ。以上の2点である。
特に、Alの添加は、主要製品である合金板を製造する際に製造コストが高くなる大きな要因となっており、圧延途中で再加熱を必要としたり、合金板の端部に割れを生じて材料歩留まりが低下したりするといった問題が発生する要因となっていた。例えば、汎用合金であるTi−6Al−4V合金板は、上述のように加工性が悪く、パック圧延が必須となり、その結果、製造コストも高くなる。
このような状況下で、近年、低コストチタン合金が種々提案されている。それらの中でも、Ti−Fe−O−N系高強度チタン合金は、β相安定化元素として、安価なFeを採用し、α相安定化元素として、熱間加工性を低下させるAlに替えて、熱間での加工性を損なわず且つ安価な酸素(O)や窒素(N)を採用していることから、従来のα+β型チタン合金に比べて、相当な低コスト化が期待されている。
しかしながら、このTi−Fe−O−N系高強度チタン合金は、通常の一方向圧延により板を製造した場合、極端な板面内材質異方性が生じ、板の圧延方向すなわち長手方向の特性は優れるものの、板の圧延垂直方向の延性が極端に乏しくなってしまうという問題を兼ね備えていた。
この問題を解消するための改善案として一度だけ圧延方向に対して垂直方向に圧延を行い、その面内異方性を小さくすることで、板の圧延方向、圧延垂直方向ともに高強度・高延性のTi−Fe−O−N系高強度チタン合金を得られることが、特許文献1に開示されている。しかしながら、このようなクロス圧延を実機に適用することはコスト増を招くことになり、実質的な改善とはなっていない。従って、実機へ適用してもコスト増を招かず低コストで、面内異方性が小さい上に、高耐力(高強度)で、プレス成形性に優れたチタン板或いはチタン合金板が開発されることが待ち望まれている。
特開平11−61297号公報
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、高耐力であると共に、プレス成形性に優れたチタン板を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、質量%で、Feを0.15%以下(0%を含まない)、Oを0.15%以下(0%を含まない)含有し、残部がTiおよび不可避的不純物であって、1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒のc軸の向きを平均化したc軸の向きに対する、各結晶粒のc軸の向きのずれ角の平均値(平均ずれ角)が、0.4〜2.0°であることを特徴とする高耐力でプレス成形性に優れたチタン板である。
請求項2記載の発明は、1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒の平均結晶粒径が、10〜200μmであることを特徴とする請求項1記載の高耐力でプレス成形性に優れたチタン板である。
請求項3記載の発明は、板の圧延方向(L方向)の耐力/板の圧延垂直方向(T方向)の耐力が、0.75以上であることを特徴とする請求項1または2記載の高耐力でプレス成形性に優れたチタン板である。
本発明によると、高耐力でプレス成形性に優れたチタン板を得ることができる。また、チタン本来の優れた耐久性はもとより、高い機械的強度に加えて、優れたプレス成形性を有しているので、プレート式熱交換器の構成材、燃料電池のセパレーター、携帯電話機、モバイルパソコン、カメラのボディ、眼鏡フレーム等、高耐力で高度な成形性が要求される用途に広く適用することができる。
実施例でプレス成形性の評価を行うために用いたプレス成形金型を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のF−F線断面図である。
本発明者らは、高耐力でプレス成形性に優れたチタン板を得るために、鋭意、実験、研究を進めた。その結果、Feの含有量とOの含有量を規定すると共に、そのチタン板の平面の1mm×1mm内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒のc軸の向きを平均化したc軸の向きに対する、各結晶粒のc軸の向きのずれ角の平均値(平均ずれ角)を、適切に制御することで、高耐力で、優れたプレス成形性を確保することが可能になることを見出し、本発明の完成に至った。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明では、チタン板の成分組成と、そのチタン板の平面の1mm×1mm内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒のc軸の向きを平均化したc軸の向きに対する、各結晶粒のc軸の向きのずれ角の平均値(平均ずれ角)を規定するが、その理由を説明する。
(成分組成)
純チタンは、不可避的不純物としてC、H、O、N、Fe等を微量に含有するが、本発明では、その中でも含有量が比較的多く、機械的性質に影響を及ぼすFeとOの含有量の上限を規定した。
Feの含有量が0.15質量%を超えて多くなりすぎると、強度が大きくなりすぎてチタン板の圧延方向(L方向)の全伸び並びに均一伸びが低下してしまい、成形性が劣化する。また、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角の平均値(α相の平均傾角)が大きくなりすぎて、板の圧延方向(L方向)の耐力/板の圧延垂直方向(T方向)の耐力、すなわち耐力比も小さくなる。従って、Feの含有量の上限は0.15質量%とする。尚、Feの含有量の好ましい上限は0.10質量%であり、より好ましい上限は0.07質量%である。
Oの含有量が0.15質量%を超えて多くなりすぎると、強度が大きくなりすぎてチタン板の圧延方向(L方向)の全伸び並びに均一伸びが低下してしまい、成形性が劣化する。従って、Oの含有量の上限は0.15質量%とする。尚、Oの含有量の好ましい上限は0.10質量%であり、より好ましい上限は0.07質量%である。
(結晶粒の平均ずれ角)
チタン板の1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒のc軸の向きを平均化したc軸の向きに対する、各結晶粒のc軸の向きのずれ角の平均値(平均ずれ角)が、0.4°未満であると、チタン板内部の蓄積歪量が少なくなり、耐力が低下してしまう。従って、前記した結晶粒の平均ずれ角の下限は0.4°とする。尚、その結晶粒の平均ずれ角の好ましい下限は0.6°であり、より好ましい下限は0.8°である。
一方、前記した結晶粒の平均ずれ角が2.0°を超えると、チタン板内部の蓄積歪量が多くなりすぎ、延性が低下して成形性が劣化する。従って、結晶粒の平均ずれ角の上限は2.0°とする。尚、その結晶粒の平均ずれ角の好ましい上限は1.8°であり、より好ましい上限は1.6°である。
また、以上説明したチタン板の成分組成と結晶粒の平均ずれ角を規定することに加えて、1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒の平均結晶粒径、並びに、チタン板の圧延方向(L方向)の耐力/チタン板の圧延垂直方向(T方向)の耐力、すなわち耐力比を規定することで、より確実に高耐力でプレス成形性に優れたチタン板を得ることができる。その理由を以下に説明する。
(結晶粒の平均結晶粒径)
前記した結晶粒(α相)の平均結晶粒径は、大きいほどプレス成形時の変形双晶の頻度を増加させ、チタン板の圧延方向(L方向)の全伸び並びに均一伸びが増加し、成形性が向上する。しかしながら、その平均結晶粒径が200μmを超えて大きくなりすぎると、成形品の成形後の肌荒れ発生の原因となる。従って、その平均結晶粒径が10〜200μmであることが好ましい。より好ましい下限は20μm、更に好ましい下限は30μmであり、より好ましい上限は175μm、更に好ましい上限は150μmである。尚、歪により導入された変形双晶の界面は結晶粒としないこととする。
(L方向の耐力/T方向の耐力)
チタン板の圧延方向(L方向)の耐力/チタン板の圧延垂直方向(T方向)の耐力、すなわち耐力比が、小さくなりすぎると、プレス成形時の幅方向からの流れ込み量が少なくなりすぎ、成形性が劣化してしまう。従って、その耐力比は0.75以上とすることが好ましい。より好ましくは0.80以上、更に好ましくは0.85以上とする。
(製造条件)
次に、本発明のチタン板の製造方法について説明する。通常のチタン板は、分塊圧延→熱間圧延→中間焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍といった各工程間に、随時ブラスト、酸洗処理を入れて製造されるが、製造するチタン板の成分組成や各工程の設定条件によって、得られる物性や組織状態は変わるので、一連の製造工程として総合的に条件を選択して決定すべきであって、個々の工程毎に条件を厳密に設定することは必ずしも適切でない。
しかしながら、本発明のチタン板を製造するための製造条件を、本発明者らが鋭意検討したところ、以下に示す製造条件を採用することで、本発明で意図する高耐力でプレス成形性に優れたチタン板を確実に製造することができることを確認した。
その製造条件は、分塊圧延、熱間圧延、冷間圧延を全て同一方向で行うと共に、最終焼鈍後のチタン板に対して、それら圧延方向と同一方向に、0.7〜5.0%の塑性変形を加えることである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
本実施例では、まず、CCIM(コールドクルーシブル誘導溶解法)により表1に示す含有量でFe並びにOを含有するチタン鋳塊を鋳造した。残部はTiおよびC、H、N、等の不可避的不純物である。鋳塊の大きさはφ100mmの円柱形で、10Kgである。この鋳塊を用いて分塊圧延を行い、その後は放冷して厚み45mmの板形状の分塊圧延材を得た。更に、熱間圧延を実施し、スケール除去を行い厚み約5mmの熱延板を得た。
次いで、大気炉にて、700℃で5分間加熱してから空冷する焼鈍処理(中間焼鈍)を行った後、スケール除去を行った。次に、冷間圧延率89%の冷間圧延を行った後、大気炉にて、800℃で3分間加熱してから空冷する焼鈍処理(最終焼鈍)を行い、スキンパスを実施し、スケール除去を行って厚み0.3mmのチタン板を製造した。
本実施例では、製造した各チタン板の金属組織の観察・測定と、耐力およびプレス成形性の評価を夫々下記の要領で行った。また、強度と伸びについても併せて測定した
本実施例では、電界放出型走査顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM)(日本電子社製、JSM5410)に、後方錯乱電子回析像(Electron Back Scattering(Scattered) Pattern:EBSP)システムを搭載した結晶方位解析法によって金属組織の観察・測定を実施した。この測定方法を用いたのは、EBSP法は他の測定方法と比較して高分解能であり、高精度な測定ができるためである。まず、測定原理について説明する。
EBSP法は、FESEMの鏡筒内にセットした試料に電子線を照射してスクリーン上にEBSPを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。算出された結晶の方位は3次元オイラー角として、位置座標(x、y)などと共に記録される。このプロセスが全測定点に対して自動的に行われるので、測定終了時には数万〜数十万点のデータを得ることができる。
このように、EBSP法には、X線回析法や透過電子顕微鏡を用いた電子線回析法よりも、観察視野が広く、数百個以上の多数の結晶粒に対する各種情報を、数時間以内で得ることができる利点がある。また、結晶粒毎の測定ではなく、指定した領域を一定間隔で走査して測定するために、測定領域全体を網羅した上記多数の測定ポイントに関する、上記各情報を得ることができる利点もある。尚、これらFESEMにEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法の詳細は、神戸製鋼技報/Vol.52 No.2(Sep.2002)P66−70などに詳細に記載されている。
<結晶粒の平均ずれ角>
チタン板の1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒のc軸の向きを平均化したc軸の向きに対する、各結晶粒のc軸の向きのずれ角の平均値(平均ずれ角)を、前記した測定により得た。この測定は、前記したように、FESEMにEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法を用いて、チタン板の表面に平行な平面であって、且つ、板厚方向の1/4t部の集合組織を測定することで実施した。具体的には、チタン板の圧延面表面を機械研磨し、更にバフ研磨に次いで電解研磨を行って表面を調整した試料を準備した。その後、日本電子社製FESEM(JEOL JSM 5410)を用いて、EBSPによる測定を行った。EBSP測定・解析システムは、EBSP:TSL社製のOIM(Orientation Imaging Microscopy)を用いた。
チタン板の測定範囲は、その平面のうち1mm×1mmの範囲とし、測定ピッチは縦横1μmピッチとした。チタン板の結晶粒のサイズは平均50μmであると想定され、この測定で1mm×1mmの範囲に存在する全ての結晶粒を、観察・測定することができる。この範囲で測定することができた結晶粒のうち、サイズが上位100個の結晶粒を抽出して観察を行い、各結晶粒のc軸の向きを求めた上で、前記した平均ずれ角を求め出した。
具体的には、隣り合う結晶と15°以上の結晶粒の境界を結晶粒界と定義した上で、平均ずれ角を、ΣXi/100という式から求め出した。尚、この式でXiは、上位100個の結晶粒のc軸の向きを平均化したc軸の向きと、各結晶粒のc軸の向きの角度差(ずれ角)を示す。
<結晶粒の平均結晶粒径>
チタン板の1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒の平均結晶粒径についても、前記した結晶粒の平均ずれ角の測定と同一の方法で測定した。結晶粒の平均結晶粒径は、(Σx)/100という式から求め出した。尚、この式でxは、夫々の測定した結晶粒径を示す。
<L方向の耐力/方向の耐力、耐力の測定>
チタン板の耐力については、製造した各チタン板からJISZ2201に規定される13号試験片を作製し、この試験片について、JISZ2241に準拠する引張試験を行い、試験片の圧延方向(L方向)の0.2%耐力(YS)と圧延垂直方向(T方向)の0.2%耐力(YS)を測定することで求めた。尚、試験片は、その長手方向が圧延方向および圧延垂直方向と一致するようにして採取した。また、試験速度は、0.3mm/minで一定とした。
この試験で得られた試験片の圧延方向(L方向)の0.2%耐力(YS)が200MPaを超えるものを、高耐力であると評価した。
<プレス成形性>
プレス成形性については、図1に示すような、V字形の溝を設けたプレート式熱交換器の熱交換部分をプレス成形することを模擬したプレス成形金型を用いてチタン板(試験体)のプレス成形を実施し、その評価を行った。プレス成形金型は、図1に示すように、成形部の大きさが100mm×100mmで、その表面には、ピッチ10mm、最大高さ4mmの平面V字形の平行する稜線部が6本形成されている。その各稜線部のR形状は、図1(a)の上から下に向かって順に、R=0.4、1.8、0.8、1.0、1.4、0.6の計6種類である。
この成形金型を用いて8ton油圧プレス機によってプレス成形を実施した。具体的には、各試験体の表裏面に動粘度34mm/s(40℃)のプレス油を塗布し、各試験体を、その圧延方向(L方向)が図1(a)の上下方向と一致するようにして下金型の上面に配置し、そのフランジ部を板押さえで拘束した後、プレス速度1mm/s、押し込み深さ3.8mmの条件でプレス成形を実施した。プレス成形性の評価は、プレス成形後に認められる割れの数で評価した。具体的な評価方法を以下に説明する。
プレス成形後の各試験体の図1(a)に示す稜線部と、測定位置A、B、C、C´、D、Eの一点鎖線との交点計36箇所について、割れの有無を目視で観察した。尚、測定位置C´は、図1(b)に示すように、隣接する稜線部の間に位置する谷部である。
この目視において、割れの起点となる測定位置A、C、C´、Eについては、割れもくびれも認められなければ2点、くびれが認められれば1点、割れが認められれば0点とし、他の測定位置B、Dについては、割れもくびれも認められなければ1点、くびれが認められれば0.5点、割れが認められれば0点とし、更にその各点数に加工Rの逆数を掛けて割れの状態を数値化し、その合計値を求めた。その合計値を、完全に割れ、くびれが認められない場合を100として規格化した後、温度(T)、潤滑油の粘度(μ)、試験体の板厚(t)に依存する関数F(T,μ,t)、並びに、プレス金型の稜線の角度(α)、ピッチ(p)に依存する関数G(α,p)を掛け合わせて、成形性スコアとして算出した。尚、F並びにGは0〜1の値である。
以上の成形性スコアの算出方法は、下記式によって表すことができる。
成形性スコア=F×G×ΣE(ij)/R(j)/(ΣA,C,C´,E 2/R(j)+ΣB,D 1/R(j))×100
この式において、A、C、C´、Eの場合は、E(ij)=1.0×(割れくびれなし:2、くびれ:1、割れ0)として、また、B、Dの場合は、E(ij)=0.5×(割れくびれなし:2、くびれ:1、割れ0)として算出した。また、本実施例では、温度(T)、潤滑油の粘度(μ)、試験体の板厚(t)、プレス金型の稜線の角度(α)、およびプレス金型の稜線のピッチ(p)を一定としたため、F×Gを便宜的に1として成形性スコアを算出した。
この算出した成形性スコアが、75点以上を◎、50点〜75点未満を○、50点未満を×とし、◎と○をプレス成形性に優れていると評価した。
<引張強度、全伸びの測定>
参考試験として、チタン板の引張強度と、チタン板の圧延方向(L方向)の全伸びについても測定した。
引張強度は、製造した各チタン板からJISZ2201に規定される13号試験片を作製し、この試験片について、JISZ2241に準拠する引張試験を行い、圧延方向(L方向)の引張強度(TS)を測定して求めた。尚、試験速度(引張試験での歪み速度)は、0.3mm/minとした。
また、全伸びは、標点距離を50mmとし、引張破断後に試験片を突き合わせて標点距離を測定することで求めた。
以上の試験結果を表1に示す。
No.2は、Feの含有量が上限に近い0.12質量%のもの、No.3は、Oの含有量が上限に近い0.11質量%のもの、No.4は、平均ずれ角が下限の0.4°のもの、No.5は、平均ずれ角が上限に近い1.9°のもの、No.1はFeとOの含有量、平均ずれ角がそれらの中間値であるものであり、全て本発明で規定する要件を満たす発明例である。
これに対し、No.6は、Feの含有量が上限を超える0.20質量%のもの、No.7は、Oの含有量が上限を超える0.20質量%のもの、No.8は、平均ずれ角が下限未満の0.3°のもの、No.9は、平均ずれ角が上限を超える2.2°のものであり、全て比較例である。尚、No.6は、結晶粒の平均結晶粒径についても本発明で規定する要件を満たしていない。
No.1〜5の発明例では、0.2%耐力(YS)は全て200MPaを超えており、プレス成形性の試験結果も○或いは◎で、プレス成形性に優れている。すなわち、No.1〜5のチタン板は、高耐力でプレス成形性に優れたチタン板であるということができる。
一方、No.6,7,9の比較例は、プレス成形性の試験結果が×で、プレス成形性に優れていなかった。すなわち、本発明で規定する要件から外れるチタン板は、高耐力でプレス成形性に優れるものとはいえないことが分かる。

Claims (3)

  1. 質量%で、Feを0.15%以下(0%を含まない)、Oを0.15%以下(0%を含まない)含有し、残部がTiおよび不可避的不純物であって、
    1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒のc軸の向きを平均化したc軸の向きに対する、各結晶粒のc軸の向きのずれ角の平均値(平均ずれ角)が、0.4〜2.0°であることを特徴とする高耐力でプレス成形性に優れたチタン板。
  2. 1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒のうち、そのサイズが上位100個の結晶粒の平均結晶粒径が、10〜200μmであることを特徴とする請求項1記載の高耐力でプレス成形性に優れたチタン板。
  3. 板の圧延方向(L方向)の耐力/板の圧延垂直方向(T方向)の耐力が、0.75以上であることを特徴とする請求項1または2記載の高耐力でプレス成形性に優れたチタン板。
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