JP5399759B2 - 高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 - Google Patents
高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5399759B2 JP5399759B2 JP2009094888A JP2009094888A JP5399759B2 JP 5399759 B2 JP5399759 B2 JP 5399759B2 JP 2009094888 A JP2009094888 A JP 2009094888A JP 2009094888 A JP2009094888 A JP 2009094888A JP 5399759 B2 JP5399759 B2 JP 5399759B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phase
- titanium alloy
- alloy plate
- bending workability
- high strength
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)
- Metal Rolling (AREA)
Description
exp{−(T−775)/30.0}≦t≦exp{−(T−825)/30.2})
700≦T≦Tβ
上式で、Tは最終焼鈍温度(単位:℃)、tは最終焼鈍時間(単位:min)である。
β安定化元素としては、Mo、V、Fe、Cr、Ta、Nb、Mn、Cu、Ni、Ca、Si、およびHを挙げることができるが、その中でもFeを添加することが、Feは自然界に多量に存在し、安価な元素であることから好ましい。β安定化元素としてのFeの含有量は、0.8〜2.5質量%である。Feの含有量が0.8質量%未満であると、必要最低限の強度が得られなくなる。一方、Feの含有量が2.5質量%を超えると、粗大なβ相が形成され、成形性が劣化してしまう。Feの含有量の下限は、1.0質量%であることがより好ましく、1.2質量%であることが更に好ましい。また、上限は、2.3質量%であることがより好ましく、2.1質量%であることが更に好ましい。
チタン合金におけるα相の結晶構造は六方最密充填構造(HCP)、β相の結晶構造は体心立方構造(BCC)である。よって、α相が減少するに伴い伸びの異方性が減少し、成形性が向上する。但し、α相が減少するに伴いα相の平均結晶粒径が大きくなるため、強度が低下してしまう。α相の面積率が97%を超えると、伸びの異方性が大きくなりすぎ、成形性が劣化してしまう。一方、α相の面積率が80%未満であると、β相の最大結晶粒径が大きくなりすぎ、成形性が劣化してしまう。従って、α相の面積率の上限は97%、下限は80%とする。好ましい上限は96%、下限は90%である。
α相の平均結晶粒径が、小さいほど結晶粒微細化効果により強度が大きくなる。従って、α相の平均結晶粒径の上限は、特に優れた強度を確保できる限界値の10μmとする。好ましい上限は8μmである。但し、α相の平均結晶粒径が1μm以下のチタン合金は、現行の量産工程では作製することは困難である。
チタンの金属組織における、六方最密充填構造(HCP)であるα相は、そのすべり方向がHCP構造の六角形の底面方向にある。本発明では、このような観点から、チタン合金板において、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角(図1に示すθ)について検討を行った。その結果、その傾角の平均値が40°未満である場合に、曲げ加工性が劣化することを確認した。
曲げ加工性を向上させるためには、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角(図1に示すθ)の平均値ができるだけ大きいほうが良い。従って、本発明では、その傾角が70°以上のα相が全α相に占める面積率を規定した。実験を行った結果、傾角が70°以上のα相が全α相に占める面積率を20%以上とすることで、十分な曲げ加工性を確保することができることを確認した。
粗大なβ相が形成されると成形時の破壊の起点となり、成形性が劣化してしまう。成形性を劣化させないためには、β相の最大結晶粒径を20μm以下とする必要がある。好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。尚、β相の最大結晶粒径の下限については特に規定しないが、好ましい下限は0.1μmである。
次に、本発明のチタン合金板の製造方法について説明する。通常のチタン合金板は、分塊圧延→熱間圧延→中間焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍といった各工程間に、随時ブラスト、酸洗処理を入れて製造されるが、製造するチタン合金板の成分組成や各工程の設定条件によって、得られる物性や組織状態は変わるので、一連の製造工程として総合的に条件を選択して決定すべきであって、個々の工程毎に条件を厳密に設定することは必ずしも適切でない。
本実施例では、上記各パラメータの測定を、電界放出型走査顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM)(日本電子社製、JSM5410)に、後方錯乱電子回析像(Electron Back Scattering(Scattered) Pattern:EBSP)システムを搭載した結晶方位解析法で行った。この測定方法を用いたのは、EBSP法は他の測定方法と比較して高分解能であり、高精度な測定ができるためである。まず、測定原理について説明する。
得られた各チタン合金板からJISZ2201に規定される13号試験片を作製し、この試験片について、圧延方向の引張強度(TS)を測定した。このとき、試験速度(引張試験での歪み速度)は、3mm/minとした。この試験で得られた圧延方向の引張強度(TS)が、500MPa以上のものを高強度であると評価した。
本試験では、得られた各チタン合金板からL130mm×W20mmの短冊状試験片を作製し、密着曲げを行い、目視にて割れの有無を判別した。この試験で割れが確認できなかったものを表1に○として示し、曲げ加工性に優れると評価した。因みに、この試験で割れが確認できものは表1に×として示した。
本実施例の試験では、プレス成形性の評価にエリクセン試験を採用した。得られた各チタン合金板からJISZ2247に規定される2号試験片を作製し、この試験片について、JISZ2247の規定に準拠するエリクセン試験を実施し、エリクセン値を測定した。このとき、試験速度(エリクセン試験でのプレス速度すなわちプレス工具の変位速度)は、5mm/minとした。この試験で得られたエリクセン値が、8.0以上のものをプレス成形性に優れると評価した。
Claims (2)
- β安定化元素を0.8〜2.5質量%含有し、
Oの含有量が0.1質量%以下(0質量%を含まない)であり、
残部がTiおよび不可避的不純物からなり、
α相の面積率が80〜97%、
α相の平均結晶粒径が10μm以下、
α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角の平均値が、40°以上、
且つ、前記傾角が70°以上であるα相の、全α相に占める面積率が20%以上であって、
更には、β相の最大結晶粒径が20μm以下であり、
前記β安定化元素が、Feであることを特徴とする高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板。 - 請求項1に記載の高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板を製造する方法であって、
チタン合金鋳塊を用いて、分塊圧延、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延、最終焼鈍を順次実施してチタン合金板を製造するにあたり、
熱間圧延の開始温度を750℃〜Tβの範囲とすると共に、
最終焼鈍の焼鈍温度と焼鈍時間の関係を、以下の2式を満足する条件とすることを特徴とする高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板の製造方法。
exp{−(T−775)/30.0}≦t≦exp{−(T−825)/30.2})
700≦T≦Tβ
上式で、Tは最終焼鈍温度(単位:℃)、tは最終焼鈍時間(単位:min)である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009094888A JP5399759B2 (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009094888A JP5399759B2 (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010242197A JP2010242197A (ja) | 2010-10-28 |
JP5399759B2 true JP5399759B2 (ja) | 2014-01-29 |
Family
ID=43095526
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009094888A Expired - Fee Related JP5399759B2 (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5399759B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5660061B2 (ja) * | 2012-02-28 | 2015-01-28 | 新日鐵住金株式会社 | 冷延性および冷間での取り扱い性に優れた耐熱チタン合金冷間圧延用素材及びその製造方法 |
JP5807648B2 (ja) * | 2013-01-29 | 2015-11-10 | 信越半導体株式会社 | 両面研磨装置用キャリア及びウェーハの両面研磨方法 |
PL3623487T3 (pl) * | 2017-08-31 | 2022-02-21 | Nippon Steel Corporation | Tytanowa blacha cienka |
JPWO2022162814A1 (ja) * | 2021-01-28 | 2022-08-04 | ||
EP4286551A4 (en) * | 2021-01-28 | 2024-03-06 | Nippon Steel Corporation | TITANIUM ALLOY PLATE, TITANIUM ALLOY COIL, METHOD FOR PRODUCING A TITANIUM ALLOY PLATE AND METHOD FOR PRODUCING A TITANIUM ALLOY COIL |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4304425B2 (ja) * | 2002-12-05 | 2009-07-29 | 住友金属工業株式会社 | 冷間圧延チタン合金板および冷間圧延チタン合金板の製造方法 |
JP2006034414A (ja) * | 2004-07-23 | 2006-02-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | シューズ用スパイク |
JP5183911B2 (ja) * | 2006-11-21 | 2013-04-17 | 株式会社神戸製鋼所 | 曲げ性および張り出し性にすぐれたチタン合金板およびその製造方法 |
JP5112723B2 (ja) * | 2007-03-26 | 2013-01-09 | 株式会社神戸製鋼所 | 強度および成形性に優れたチタン合金材およびその製造方法 |
JP5027603B2 (ja) * | 2007-09-18 | 2012-09-19 | 株式会社神戸製鋼所 | 高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とその製造方法 |
-
2009
- 2009-04-09 JP JP2009094888A patent/JP5399759B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010242197A (ja) | 2010-10-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5298368B2 (ja) | 高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とその製造方法 | |
JP5166921B2 (ja) | 高強度で成形性に優れたチタン合金板 | |
JP5592818B2 (ja) | 疲労強度に優れたα−β型チタン合金押出材およびそのα−β型チタン合金押出材の製造方法 | |
JP5161059B2 (ja) | 高強度で深絞り性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 | |
KR101905784B1 (ko) | 냉간에서의 코일 취급성이 우수한 고강도 α+β형 티타늄 합금 열연판 및 그 제조 방법 | |
JP5625646B2 (ja) | 圧延幅方向の剛性に優れたチタン板及びその製造方法 | |
JP4666271B2 (ja) | チタン板 | |
JP5399759B2 (ja) | 高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 | |
JP5937865B2 (ja) | プレス成形性と強度のバランス、及び耐食性に優れた純チタン板の製造方法 | |
JP5027603B2 (ja) | 高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とその製造方法 | |
JP5385038B2 (ja) | 高耐力でプレス成形性に優れたチタン板 | |
JP5988899B2 (ja) | チタン板およびチタン板の製造方法 | |
JP5088876B2 (ja) | 高強度かつ成形性に優れたチタン合金板とその製造方法 | |
JP5064356B2 (ja) | 高強度で成形性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 | |
JP5865582B2 (ja) | 曲げ加工性に優れた成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
JP5421873B2 (ja) | 強度異方性に優れた高強度α+β型チタン合金板および高強度α+β型チタン合金板の製造方法 | |
JP5874707B2 (ja) | 高強度、高ヤング率を有し疲労特性、衝撃靭性に優れるチタン合金 | |
JP5444182B2 (ja) | 成形性に優れたチタン板 | |
JP2013227618A (ja) | α+β型チタン合金板、およびその製造方法 | |
JP5427154B2 (ja) | 高強度で成形性に優れたチタン板 | |
JP2013177651A (ja) | 冷延性および冷間での取り扱い性に優れた耐熱チタン合金冷間圧延用素材及びその製造方法 | |
JP5421872B2 (ja) | 曲げ加工性および曲げ異方性に優れた高強度α+β型チタン合金板並びに高強度α+β型チタン合金板の製造方法 | |
TWI796118B (zh) | 鈦合金板及鈦合金捲材暨鈦合金板之製造方法及鈦合金捲材之製造方法 | |
WO2023145050A1 (ja) | チタン合金板 | |
JP2017226858A (ja) | 耐力と延性のバランスに優れるチタン板とその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111003 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20130522 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130523 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20130522 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130702 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130813 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130903 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130930 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131022 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131024 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5399759 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |