JP5399759B2 - 高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 - Google Patents

高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板およびチタン合金板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、強度と成形性に優れたチタン合金板と、そのチタン合金板の製造方法に関するものである。
Ti−6Al−4Vに代表される高強度α+β型チタン合金は、軽量、高強度、高耐食性に加え、溶接性、超塑性、拡散接合性などの利用加工諸特性を有することから、航空機産業を中心に多用されてきた。これらの特性を更に活用すべく、近年では、ゴルフ用品をはじめとしたスポーツ用品にも使用されるようになってきており、自動車部品、土木建築用素材、各種工具類などの民生品分野や、深海やエネルギー開発用途などへの適用拡大も進んでいる。しかし、α+β型チタン合金の著しく高い製造コストがその適用拡大の妨げとなっており、これら民生品分野等への更なる適用拡大を促進するには、上記した諸特性を阻害することなく、且つ安価なチタン合金が開発されることであり、その開発が待ち望まれている。
これら高強度α+β型チタン合金の製造コストが高くなる理由としては次の2点を挙げることができる。Vなどの高価なβ相安定化元素を使用していること。α相安定化元素として使用しているAlが、熱間での変形抵抗を著しく高め、熱間加工性を損ねるため、加工しにくく、また割れなどの欠陥を生じやすいということ。以上の2点である。
特に、Alの添加は、主要製品である合金板を製造する際に製造コストが高くなる大きな要因となっており、圧延途中で再加熱を必要としたり、合金板の端部に割れを生じて材料歩留まりが低下したりするといった問題が発生する要因となっていた。
このような状況下で、近年、低コストチタン合金が種々提案されている。それらの中でも、Ti−Fe−O−N系高強度チタン合金は、β相安定化元素として、安価なFeを採用し、α相安定化元素として、熱間加工性を低下させるAlに替えて、熱間での加工性を損なわず且つ安価な酸素(O)や窒素(N)を採用していることから、従来のα+β型チタン合金に比べて、相当な低コスト化が期待されている。
しかしながら、このTi−Fe−O−N系高強度チタン合金は、通常の一方向圧延により板を製造した場合、極端な板面内材質異方性が生じ、板の圧延方向すなわち長さ方向の特性は優れるものの、その幅方向の延性が極端に乏しくなってしまうという問題を兼ね備えていた。
この問題を解消するための改善案として一度だけ圧延方向に対して垂直方向に圧延を行い、その面内異方性を小さくすることで、長さ方向、幅方向ともに高強度・高延性のTi−Fe−O−N系高強度チタン合金を得られることが、特許文献1に開示されている。しかしながら、このようなクロス圧延を実機に適用することはコスト増を招くことになり、実質的な改善とはなっていない。
更には、Ti−Fe系チタン合金として、曲げ加工性並びに張り出し性に優れたチタン合金が特許文献2として提案されている。この提案は、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角が40°以上であることを規定したもので、この出願時点では、目的とする優れた曲げ加工性と張り出し性を得ることができたものの、現時点では、更なる曲げ加工性や成形性のバランス特性の向上が求められているのが現状である。
特開平11−61297号公報 特開2008−127633号公報
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたもので、高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れ、更には、安価なチタン合金板とそのチタン合金板の製造方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、β安定化元素を0.8〜2.5質量%含有し、Oの含有量が0.1質量%以下(0質量%を含まない)であり、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、α相の面積率が80〜97%、α相の平均結晶粒径が10μm以下、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角の平均値が、40°以上、且つ、前記傾角が70°以上であるα相の、全α相に占める面積率が20%以上であって、更には、β相の最大結晶粒径が20μm以下であり、前記β安定化元素が、Feであることを特徴とする高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板である。
請求項記載の発明は、請求項1に記載の高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板を製造する方法であって、チタン合金鋳塊を用いて、分塊圧延、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延、最終焼鈍を順次実施してチタン合金板を製造するにあたり、熱間圧延の開始温度を750℃〜Tβ(β変態点)の範囲とすると共に、最終焼鈍の焼鈍温度と焼鈍時間の関係を、以下の2式を満足する条件とすることを特徴とする高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板の製造方法である。
exp{−(T−775)/30.0}≦t≦exp{−(T−825)/30.2})
700≦T≦Tβ
上式で、Tは最終焼鈍温度(単位:℃)、tは最終焼鈍時間(単位:min)である。
本発明によると、高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板を得ることができる。更には、添加するβ安定化元素をFeとすることで安価なチタン合金板を得ることができる。また、チタン合金本来の優れた耐久性はもとより、高い機械的強度に加えて、優れた成形性を有しているので、プレート式熱交換器の構成材、燃料電池のセパレーター、携帯電話機、モバイルパソコン、カメラのボディ、眼鏡フレーム等、高度な成形性が要求される用途に広く適用することができる。
α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角(θ)を示す参考図である。
本発明者らは、高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板を得るために、鋭意、実験、研究を進めた。
まず、チタン合金板の強度を確保するためにα相の結晶粒径を微細に制御すると共に、硬質のβ相を分散させることを検討した。チタン合金板の金属組織をこのような構成にすることで、従来のJISクラスのチタン合金板より高強度のチタン合金板を実現することが確認できたが、一方で、粗大なβ相が形成されると、成形時の破壊の起点となり、成形性が劣化することも確認した。
そこで、曲げ加工性を確保するために、チタン合金板の金属組織における、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角(図1に示すθ)を適切に制御し、更に、プレス成形性を確保するために、破壊の起点となるβ相の最大結晶粒径を微細に制御することとした。
その結果、高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板を得ることができることを見出し、本発明の完成に至った。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
(成分組成)
β安定化元素としては、Mo、V、Fe、Cr、Ta、Nb、Mn、Cu、Ni、Ca、Si、およびHを挙げることができるが、その中でもFeを添加することが、Feは自然界に多量に存在し、安価な元素であることから好ましい。β安定化元素としてのFeの含有量は、0.8〜2.5質量%である。Feの含有量が0.8質量%未満であると、必要最低限の強度が得られなくなる。一方、Feの含有量が2.5質量%を超えると、粗大なβ相が形成され、成形性が劣化してしまう。Feの含有量の下限は、1.0質量%であることがより好ましく、1.2質量%であることが更に好ましい。また、上限は、2.3質量%であることがより好ましく、2.1質量%であることが更に好ましい。
尚、β安定化元素としては、Feのほかにも、前記したMo、V、Cr、Ta、Nb、Mn、Cu、Ni、Ca、Si、およびHの1種以上の元素を添加することができるが、その場合もそれらβ安定化元素の含有量は、0.8〜2.5質量%とする。
また、チタン合金中のα相を硬化させるα安定化元素として、Oを添加することが、安価であることもあって好ましい。α安定化元素であるOは材料の強度の増加に寄与するが、Oの含有量が多くなりすぎると、伸びが小さくなり、成形性が低下してしまう。従って、Oの含有量は、0.1質量%以下(0質量%を含まない)であることが好ましい。より好ましくは0.08質量%以下、更に好ましくは0.06質量%以下である。
(α相の面積率)
チタン合金におけるα相の結晶構造は六方最密充填構造(HCP)、β相の結晶構造は体心立方構造(BCC)である。よって、α相が減少するに伴い伸びの異方性が減少し、成形性が向上する。但し、α相が減少するに伴いα相の平均結晶粒径が大きくなるため、強度が低下してしまう。α相の面積率が97%を超えると、伸びの異方性が大きくなりすぎ、成形性が劣化してしまう。一方、α相の面積率が80%未満であると、β相の最大結晶粒径が大きくなりすぎ、成形性が劣化してしまう。従って、α相の面積率の上限は97%、下限は80%とする。好ましい上限は96%、下限は90%である。
(α相の平均結晶粒径)
α相の平均結晶粒径が、小さいほど結晶粒微細化効果により強度が大きくなる。従って、α相の平均結晶粒径の上限は、特に優れた強度を確保できる限界値の10μmとする。好ましい上限は8μmである。但し、α相の平均結晶粒径が1μm以下のチタン合金は、現行の量産工程では作製することは困難である。
(α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角の平均値)
チタンの金属組織における、六方最密充填構造(HCP)であるα相は、そのすべり方向がHCP構造の六角形の底面方向にある。本発明では、このような観点から、チタン合金板において、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角(図1に示すθ)について検討を行った。その結果、その傾角の平均値が40°未満である場合に、曲げ加工性が劣化することを確認した。
従って、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角(図1に示すθ)の平均値の下限を40°とする。その下限は、好ましくは45°、より好ましくは50°である。
(傾角が70°以上のα相が全α相に占める面積率)
曲げ加工性を向上させるためには、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角(図1に示すθ)の平均値ができるだけ大きいほうが良い。従って、本発明では、その傾角が70°以上のα相が全α相に占める面積率を規定した。実験を行った結果、傾角が70°以上のα相が全α相に占める面積率を20%以上とすることで、十分な曲げ加工性を確保することができることを確認した。
この面積率の下限は、好ましくは25%、より好ましくは30%である。一方、この面積率の上限については、本発明では特に規定しないが、量産適用が可能な通常の製法の場合、その上限は50%程度となる。
(β相の最大結晶粒径)
粗大なβ相が形成されると成形時の破壊の起点となり、成形性が劣化してしまう。成形性を劣化させないためには、β相の最大結晶粒径を20μm以下とする必要がある。好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。尚、β相の最大結晶粒径の下限については特に規定しないが、好ましい下限は0.1μmである。
(製造条件)
次に、本発明のチタン合金板の製造方法について説明する。通常のチタン合金板は、分塊圧延→熱間圧延→中間焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍といった各工程間に、随時ブラスト、酸洗処理を入れて製造されるが、製造するチタン合金板の成分組成や各工程の設定条件によって、得られる物性や組織状態は変わるので、一連の製造工程として総合的に条件を選択して決定すべきであって、個々の工程毎に条件を厳密に設定することは必ずしも適切でない。
しかしながら、本発明のチタン合金板を製造するための条件として、本発明者らが鋭意検討したところ、以下に示す製造条件を採用することで、本発明で意図する高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板を確実に製造することができることを確認した。その製造条件を以下に示す。
まず、1つ目の条件は、熱間圧延の開始温度を750℃〜Tβ(β変態点)の範囲とすることである。熱間圧延開始温度がTβ(β変態点)を超えると、熱間圧延終了後の冷却中に粗大なβ相が形成され、成形性が劣化する。一方、熱間圧延開始温度が750℃未満であると、製造されるチタン合金板のβ相量が少なくなってしまい、最低限必要なβ相量を確保できなくなってしまう。
2つ目の条件は、最終焼鈍における、最終焼鈍温度T(単位:℃)と最終焼鈍時間t(単位:min)の関係を、以下の2式を満足する条件とすることである。その2式は、exp{−(T−775)/30.0}≦t≦exp{−(T−825)/30.2})と、700≦T≦Tβである。
以上の各条件を適切に組み合わせて熱間圧延並びに最終焼鈍を実施することで、本発明で意図する高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金を確実に製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
本実施例では、まず、CCIM(コールドクルーシブル誘導溶解法)により表1に示す各成分組成のチタン合金でなる鋳塊を鋳造した。鋳塊の大きさはφ100mmの円柱形で、10Kgである。この鋳塊を用いて分塊圧延し、以下、熱間圧延→中間焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍という工程を経て厚み0.3mmのチタン合金板を製造した。
熱間圧延の開始温度、並びに最終焼鈍の焼鈍温度と焼鈍温度を表1に示す。尚、本実施例で用いたチタン合金のTβ(β変態点)は、約830〜870℃である。
製造した各チタン合金板の金属組織の観察・測定と、強度、曲げ加工性、並びにプレス成形性の評価を夫々下記の要領で行った。
<α相の面積率、α相の平均結晶粒径、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角の平均値、傾角が70°以上のα相が全α相に占める面積率、β相の最大結晶粒径>
本実施例では、上記各パラメータの測定を、電界放出型走査顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM)(日本電子社製、JSM5410)に、後方錯乱電子回析像(Electron Back Scattering(Scattered) Pattern:EBSP)システムを搭載した結晶方位解析法で行った。この測定方法を用いたのは、EBSP法は他の測定方法と比較して高分解能であり、高精度な測定ができるためである。まず、測定原理について説明する。
EBSP法は、FESEMの鏡筒内にセットした試料に電子線を照射してスクリーン上にEBSPを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。算出された結晶の方位は3次元オイラー角として、位置座標(x、y)などと共に記録される。このプロセスが全測定点に対して自動的に行われるので、測定終了時には数万〜数十万点のデータを得ることができる。
このように、EBSP法には、X線回析法や透過電子顕微鏡を用いた電子線回析法よりも、観察視野が広く、数百個以上の多数の結晶粒に対する、各種情報を、数時間以内で得ることができる利点がある。また、結晶粒毎の測定ではなく、指定した領域を一定間隔で走査して測定するために、測定領域全体を網羅した上記多数の測定ポイントに関する、上記各情報を得ることができる利点もある。尚、これらFESEMにEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法の詳細は、神戸製鋼技報/Vol.52 No.2(Sep.2002)P66−70などに詳細に記載されている。
チタン合金板のα相の面積率、α相の平均結晶粒径、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角の平均値、傾角が70°以上のα相が全α相に占める面積率、β相の最大結晶粒径を、この測定から得た。これらの測定については、前記したように、FESEMにEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法を用いて、チタン合金板の表面に平行な面であり、且つ、板厚方向の1/4t部の集合組織を測定して行った。具体的には、チタン合金板の圧延面表面を機械研磨し、更にバフ研磨に次いで電解研磨を行い、表面を調整した試料を準備した。その後、日本電子社製FESEM(JEOL JSM 5410)を用いて、EBSPによる測定を行った。測定領域は300μm×300μmの領域であり、測定ステップ間隔0.5μmとした。EBSP測定・解析システムは、EBSP:TSL社製のOIM(Orientation Imaging Microscopy)を用いた。
ここで、通常のチタン合金の場合、β相(BCC)は、{111}方位({111}<112>、{111}<110>で規定)、{001}<100>方位、{011}<100>方位、{554}<225>方位等からなる集合組織を形成する。
本発明においては、基本的に、方位のズレが各結晶方位から±15°以内のものは同一の結晶方位に属するとした。また、隣り合う結晶粒の境界を結晶粒界と定義した。
このような測定方法により、測定範囲内のα相の面積率、α相の平均結晶粒径、β相の最大結晶粒径を求めた。α相の平均結晶粒径は、測定した結晶粒の数をn、夫々の測定した結晶粒径をxとしたときに、(Σx)/nという数式から求めた。また、β相の最大結晶粒径は円相当径を採用した。更には、上記したような測定方法により、測定範囲内のα相、β相の全結晶粒の方位を個別に同定し、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角の平均値、その傾角が70°以上のα相が全α相に占める面積率を求めた。
<引張強度の測定>
得られた各チタン合金板からJISZ2201に規定される13号試験片を作製し、この試験片について、圧延方向の引張強度(TS)を測定した。このとき、試験速度(引張試験での歪み速度)は、3mm/minとした。この試験で得られた圧延方向の引張強度(TS)が、500MPa以上のものを高強度であると評価した。
<曲げ試験>
本試験では、得られた各チタン合金板からL130mm×W20mmの短冊状試験片を作製し、密着曲げを行い、目視にて割れの有無を判別した。この試験で割れが確認できなかったものを表1に○として示し、曲げ加工性に優れると評価した。因みに、この試験で割れが確認できものは表1に×として示した。
<成形性(エリクセン値)の測定>
本実施例の試験では、プレス成形性の評価にエリクセン試験を採用した。得られた各チタン合金板からJISZ2247に規定される2号試験片を作製し、この試験片について、JISZ2247の規定に準拠するエリクセン試験を実施し、エリクセン値を測定した。このとき、試験速度(エリクセン試験でのプレス速度すなわちプレス工具の変位速度)は、5mm/minとした。この試験で得られたエリクセン値が、8.0以上のものをプレス成形性に優れると評価した。
以上の試験結果を表1に示す。
Figure 0005399759
No.2は、β安定化元素であるFeの含有量が上限の2.50質量%のもの、No.3は、β安定化元素であるFeの含有量が下限の0.80質量%のもの、No.1はFeの含有量がその中間の1.80質量%のものであり、熱間圧延、並びに最終焼鈍の条件は、本発明のチタン合金板の製造方法の条件を夫々満足している。
これに対し、No.4〜7は、製造条件を略上下限としたものであり、No.4は、熱間圧延の開始温度を上限の850℃(Tβ)としたもの、No.5は、熱間圧延の開始温度を下限の750℃としたもの、No.6は、最終焼鈍の焼鈍温度を上限の850℃(Tβ)とし、焼鈍時間を最短限界時間としたもの、No.7は、最終焼鈍の焼鈍温度を下限の700℃(Tβ)とし、焼鈍時間を最長限界時間としたものである。
これらNo.1〜7は、本発明の発明例であって、α相の面積率、α相の平均結晶粒径、α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角の平均値、傾角が70°以上のα相が全α相に占める面積率、β相の最大結晶粒径は、本発明で規定する要件を全て満たすものであり、試験で得られた圧延方向の引張強度(TS)は、全て500MPa以上、曲げ加工性は全て○、エリクセン値は、全て8.0以上である。すなわち、本発明で規定する要件を満たすチタン合金板は、高強度で、且つ曲げ加工性、並びにプレス成形性に優れるものであることが分かる。
一方、No.8〜12は比較例であって、No.8は、β安定化元素であるFeの含有量が下限未満の0.70質量%のもの、No.9は、β安定化元素であるFeの含有量が上限を超える2.60質量%のもの、No.10は、熱間圧延の開始温度が上限(Tβ)を超える900℃のもの、No.11は、熱間圧延の開始温度が下限未満の700℃のもの、No.12は、最終焼鈍の焼鈍温度が高温で、焼鈍時間が長すぎるものである。
本発明で規定する要件のうち、何らかの要件を満たさないNo.8〜12の比較例は、試験で測定した圧延方向の引張強度(TS)、曲げ加工性、エリクセン値という特性のうち、少なくとも1つの特性で合格基準に達しなかった。すなわち、本発明で規定する要件から外れるチタン合金板は、高強度で、且つ曲げ加工性、並びにプレス成形性且つ深絞り性に優れたものとはいえないことが分かる。

Claims (2)

  1. β安定化元素を0.8〜2.5質量%含有し、
    Oの含有量が0.1質量%以下(0質量%を含まない)であり、
    残部がTiおよび不可避的不純物からなり、
    α相の面積率が80〜97%、
    α相の平均結晶粒径が10μm以下、
    α相の(0001)面の法線と圧延面の法線とがなす傾角の平均値が、40°以上、
    且つ、前記傾角が70°以上であるα相の、全α相に占める面積率が20%以上であって、
    更には、β相の最大結晶粒径が20μm以下であり、
    前記β安定化元素が、Feであることを特徴とする高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板。
  2. 請求項1に記載の高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板を製造する方法であって、
    チタン合金鋳塊を用いて、分塊圧延、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延、最終焼鈍を順次実施してチタン合金板を製造するにあたり、
    熱間圧延の開始温度を750℃〜Tβの範囲とすると共に、
    最終焼鈍の焼鈍温度と焼鈍時間の関係を、以下の2式を満足する条件とすることを特徴とする高強度で曲げ加工性並びにプレス成形性に優れたチタン合金板の製造方法。
    exp{−(T−775)/30.0}≦t≦exp{−(T−825)/30.2})
    700≦T≦Tβ
    上式で、Tは最終焼鈍温度(単位:℃)、tは最終焼鈍時間(単位:min)である。
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