JP5654933B2 - 高耐力でプレス成形性に優れたチタン板 - Google Patents

高耐力でプレス成形性に優れたチタン板 Download PDF

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Description

本発明は、高耐力で且つプレス加工等の成形性に優れたチタン板に関するものである。
チタンは優れた耐食性並びに比強度を有することから、熱交換器、化学プラント部材、或いは海岸部の構造材等に広く採用されており、特に海水に対しては全く腐食しないことから海水熱交換器に採用されることが多い。中でも、プレート式熱交換器には板状に加工したチタン板が採用されており、伝熱効率向上のために表面を凹凸形状にプレス成形したチタン板が用いられている。また、近年は伝熱効率を更に向上させるため、チタン板を薄肉化させる、凹凸形状を複雑化させるといったニーズがあり、高耐力で且つプレス成形等の成形性が更に優れたチタン板が開発されることが待望されているという背景もあり、高耐力でプレス成形性に優れたチタン板に関しては、そのチタン板の材質等の構成並びにその成形加工技術に関する様々な提案がある。
チタンの材質面では、チタンの結晶構造が六方晶であるために異方性があることから、特許文献1として、通常の圧延方向と直角に圧延して、異方性を低減する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、製造工程の途中で圧延方向を変更しなければならないため、生産性を落とさざるを得ないという実情があった。
成形加工技術の観点からは、表面潤滑の適正化等が検討されており、例えば、特許文献2として、板材の表面に潤滑剤キャリアの鉄、亜鉛合金層を形成させ、その後、リン酸亜鉛処理を行い、潤滑剤を塗布するという方法が提案されている。しかしながら、この方法では、潤滑剤処理に多数の工程が必要となり、その面で不効率な方法であった。
また、板材の表面潤滑性に着目した提案も多くあり、特許文献3および特許文献4として、板材の表面に酸化被膜を形成させたチタン板とその製造方法が、特許文献5として、板材の表面に窒素富化層を形成させたチタン板とその製造方法が、特許文献6として、板材の表面にTiC含有層を形成させたチタン板が、夫々提案されている。しかしながら、これらのチタン板やその製造方法では、板材の表面に被覆層を形成する必要があり、その製造工程が複雑であるという実情があった。
特開昭60−82227号公報 特開昭63−174749号公報 特開平6−173083号公報 特開平6−248404号公報 特開平10−204609号公報 特開2006−291362号公報
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、高耐力であると共にプレス成形性に優れたチタン板を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、質量%で、Feを0.04〜0.06%、Oを0.07〜0.11%含有し、残部がTiおよび不可避的不純物であって、1/4t(tは板厚)部の圧延面における、圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値が0.40以上であることを特徴とする高耐力でプレス成形性に優れたチタン板である。
請求項2記載の発明は、1/4t(tは板厚)部の1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒(α相)の平均結晶粒径が、75〜200μmである請求項1記載の高耐力でプレス成形性に優れたチタン板である。
本発明によると、高耐力でプレス成形性に優れたチタン板を得ることができる。また、チタン本来の優れた耐久性はもとより、高い機械的強度に加えて、優れたプレス成形性を有しているので、プレート式熱交換器の構成材のほか、燃料電池のセパレーター、携帯電話機、モバイルパソコン、カメラのボディ、眼鏡フレーム等、高耐力で高度な成形性が要求される用途に広く適用することができる。
また、結晶粒(α相)の平均結晶粒径を、請求項2に記載のように適切に制御することで、高耐力で、更に優れたプレス成形性を得ることができる。
実施例でプレス成形性の評価を行うために用いたプレス成形金型を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のF−F線断面図である。
本発明者らは、高耐力でプレス成形性に優れたチタン板を得るために、鋭意、実験、研究を進めた。その結果、Feの含有量とOの含有量を規定すると共に、そのチタン板の1/4t(tは板厚)部の圧延面における圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値を、適切に制御することで、高耐力で、優れたプレス成形性を確保することが可能になることを見出し、本発明の完成に至った。
また、それに加えて、チタン板の1/4t(tは板厚)部の平面の1mm×1mm内に存在する結晶粒(α相)の平均結晶粒径を、適切に制御することで、高耐力で、更に優れたプレス成形性を確保したチタン板とすることができることも確認した。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明では、チタン板の成分組成と、そのチタン板の1/4t(tは板厚)部の圧延面における圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値を規定するが、まず、成分組成について説明する。
(成分組成)
純チタンは、不可避的不純物としてC、H、O、N、Fe等を微量に含有するが、本発明では、その中でも含有量が比較的多く、機械的性質に影響を及ぼすFeとOの含有量を規定した。
Feの含有量が0.06質量%を超えて多くなりすぎると、耐力が大きくなりすぎてプレス成形性が低下する傾向がある。従って、Feの含有量の上限は0.06質量%とする。一方、Feの含有量が0.04質量%より少なくなると耐力が小さくなりすぎるので、Feの含有量の下限は0.04質量%とする。
Oの含有量が0.11質量%を超えて多くなりすぎると、耐力が大きくなりすぎてプレス成形性が低下する傾向がある。従って、Oの含有量の上限は0.11質量%とする。一方、Oの含有量が0.07質量%より少なくなると耐力が小さくなりすぎるので、Oの含有量の下限は0.07質量%とする。
(圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値)
チタン板の1/4t(tは板厚)部の圧延面における圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子(Schmid factor)の平均値が小さすぎると、チタン板の成形時に発生する変形双晶の頻度が少なくなりすぎて、本発明で意図する優れたプレス成形性を得られなくなってしまう。本発明で意図する優れたプレス成形性を確保するためには、前記した圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値が0.4以上でなければならない。好ましくはシュミット因子の平均値を0.42以上、より好ましくはシュミット因子の平均値を0.44以上とする必要がある。尚、このシュミット因子の平均値は理論上0.5を超えることはない。
また、以上説明したチタン板の成分組成と圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値を規定することに加えて、1/4t(tは板厚)部の1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒(α相)の平均結晶粒径を規定することで、高耐力で、十分なプレス成形性を確保することができるが、その理由を以下に説明する。
(結晶粒の平均結晶粒径)
結晶粒(α相)の平均結晶粒径が大きくなりすぎると、プレス成形時のチタン板の肌荒れが顕著になり、より厳しい条件での成形では割れが生じやすくなる。従って、結晶粒(α相)の平均結晶粒径は、200μm以下であることが好ましい。より好ましい上限は175μm、更に好ましい上限は150μmである。一方、平均結晶粒径が小さすぎると変形時の変形双晶頻度が少なくなり、プレス成形性が低下する。従って、結晶粒(α相)の平均結晶粒径は、75μm以上であることが好ましい。より好ましい下限は100μmである。
(製造条件)
次に、本発明のチタン板の製造方法について説明する。通常のチタン板は、分塊圧延→熱間圧延→中間焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍といった各工程間に、随時ブラスト、酸洗処理を入れて製造されるが、製造するチタン板の成分組成や各工程の設定条件によって、得られる物性や組織状態は変わるので、一連の製造工程として総合的に条件を選択して決定すべきであって、個々の工程毎に条件を厳密に設定することは必ずしも適切でない。
しかしながら、本発明のチタン板を製造するための製造条件を、本発明者らが鋭意検討したところ、以下に示す製造条件を採用することで、本発明で意図する高耐力でプレス成形性に優れたチタン板を確実に製造することができることを確認した。
その製造条件は、分塊圧延、熱間圧延、冷間圧延を全て同一方向で行うと共に、最終焼鈍の焼鈍温度を830℃〜Tβ、その焼鈍時間を5分以上とすることである。これらの条件を適切に組み合わせてチタン板を製造することで、本発明で意図する高耐力でプレス成形性に優れたチタン板を製造することができる。
尚、一般にチタン板を製造するときの条件は、最終焼鈍の焼鈍温度を800℃前後、焼鈍時間を1分以上5分未満とするか、或いは、最終焼鈍の焼鈍温度をそれより低温とし、焼鈍時間をそれより長時間とする。また、本発明では、最終焼鈍前の冷延率については特に規定しないが、通常は50〜60%の範囲の冷延率で最終焼鈍前の冷間圧延は行われる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
本実施例では、まず、CCIM(コールドクルーシブル誘導溶解法)により表1に示す含有量でFe並びにOを含有するチタン鋳塊を鋳造した。残部はTiおよびC、H、N、等の不可避的不純物である。鋳塊の大きさはφ100mmの円柱形で、10kgである。この鋳塊を用いて分塊圧延を行い、その後は放冷して厚み45mmの板形状の分塊圧延材を得た。更に、熱間圧延を実施し、スケール除去を行い厚み約4mmの熱延板を得た。
次いで、大気炉にて、700℃で5分間加熱してから空冷する焼鈍処理(中間焼鈍)を行った後、スケール除去を行い、冷間圧延を実施した。この作業を2回繰り返した後に、大気炉にて、表1に示す条件で加熱してから空冷する焼鈍処理(最終焼鈍)を行い、スキンパスを実施し、スケール除去を行って厚み0.5mmのチタン板を製造した。
本実施例では、製造した各チタン板の金属組織等の観察・測定と、耐力およびプレス成形性の評価を夫々下記の要領で行った。
本実施例では、電界放出型走査顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM)(日本電子社製、JSM5410)に、後方錯乱電子回析像(Electron Back Scattering(Scattered) Pattern:EBSP)システムを搭載した結晶方位解析法によって金属組織の観察・測定を実施した。この測定方法を用いたのは、EBSP法は他の測定方法と比較して高分解能であり、高精度な測定ができるためである。まず、測定原理について説明する。
EBSP法は、FESEMの鏡筒内にセットした試料に電子線を照射してスクリーン上にEBSPを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。算出された結晶の方位は3次元オイラー角として、位置座標(x、y)などと共に記録される。このプロセスが全測定点に対して自動的に行われるので、測定終了時には数万〜数十万点のデータを得ることができる。
このように、EBSP法には、X線回析法や透過電子顕微鏡を用いた電子線回析法よりも、観察視野が広く、数百個以上の多数の結晶粒に対する各種情報を、数時間以内で得ることができる利点がある。また、結晶粒毎の測定ではなく、指定した領域を一定間隔で走査して測定するために、測定領域全体を網羅した上記多数の測定ポイントに関する、上記各情報を得ることができる利点もある。尚、これらFESEMにEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法の詳細は、神戸製鋼技報/Vol.52 No.2(Sep.2002)P66−70などに詳細に記載されている。
(圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値)
チタン板の圧延面表面を機械研磨し、更に、バフ研磨に次いで電解研磨を行い、チタン板の表面から深さt/4(tは板厚)部の圧延面(チタン板の表面に平行な面であって、その板厚方向の深さt/4部の面)の結晶組織が観察できるように調整し、その圧延面における圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値を、前記した測定により得た。測定エリアは1mm×1mmの平面内とし、測定ピッチは1μmとした。
圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値は、測定した各測定点のシュミット因子を用いて、シュミット因子が0〜0.1、0.1〜0.2、0.2〜0.3、・・・、4.9〜5.0の区分毎の測定点数を抽出し、以下の式により求めた。
Figure 0005654933

ここで、iは各区分の中央値、kiは各区分の測定点数、nは全測定点数である。
<結晶粒(α相)の平均結晶粒径>
結晶粒(α相)の平均結晶粒径は、チタン板の圧延面表面を機械研磨し、更に、バフ研磨に次いでエッチングを行い、チタン板の表面から深さt/4部の圧延面の結晶組織が観察できるように調整し、光学顕微鏡を用いて×100にて任意の3箇所を写真撮影し、得られた写真を元にJIS G 0551の切断法により粒度番号測定を実施し、その粒度番号をもとにα相の円相当平均粒径(直径)を計算により求めた。尚、粒度番号測定に用いた光学顕微鏡による観察領域は1mm×1mmとした。
<耐力の測定>
チタン板の耐力については、製造した各チタン板からJISZ2201に規定される13号試験片を作製し、この試験片について、JISZ2241に準拠する引張試験を行い、試験片の圧延方向の0.2%耐力(YS)を測定することで求めた。尚、試験片は、その長手方向(L方向)が圧延方向と一致するようにして採取した。また、試験速度(引張試験での歪み速度)は、0.3mm/minで一定とした。
この試験で得られた試験片の圧延方向の0.2%耐力(YS)が200MPa以上のものを、高耐力であると評価した。
<プレス成形性>
プレス成形性については、図1に示すような、V字形の溝を設けたプレート式熱交換器の熱交換部分をプレス成形することを模擬したプレス成形金型を用いてチタン板(試験体)のプレス成形を実施し、その評価を行った。プレス成形金型は、図1に示すように、成形部の大きさが100mm×100mmで、その表面には、ピッチ10mm、最大高さ4mmの平面V字形の平行する稜線部が6本形成されている。その各稜線部のR形状は、図1(a)の上から下に向かって順に、R=0.4、1.8、0.8、1.0、1.4、0.6の計6種類である。
この成形金型を用いて80ton油圧プレス機によってプレス成形を実施した。具体的には、各試験体の表裏面に動粘度34mm/s(40℃)のプレス油を塗布し、各試験体を、その圧延方向(L方向)が図1(a)の上下方向と一致するようにして下金型の上面に配置し、そのフランジ部を板押さえで拘束した後、プレス速度1mm/s、押し込み深さ4.0mmの条件でプレス成形を実施した。プレス成形性の評価は、プレス成形後に認められる割れの数で評価した。具体的な評価方法を以下に説明する。
プレス成形後の各試験体の図1(a)に示す稜線部と、測定位置A、B、C、C´、D、Eの一点鎖線との交点計36箇所について、割れの有無を目視で観察した。尚、測定位置C´は、図1(b)に示すように、隣接する稜線部の間に位置する谷部である。
この目視において、割れの起点となる測定位置A、C、C´、Eについては、割れもくびれも認められなければ2点、くびれが認められれば1点、割れが認められれば0点とし、他の測定位置B、Dについては、割れもくびれも認められなければ1点、くびれが認められれば0.5点、割れが認められれば0点とし、更にその各点数に加工Rの逆数を掛けて割れの状態を数値化し、その合計値を求めた。その合計値を、完全に割れ、くびれが認められない場合を100として規格化した後、温度(T)、潤滑油の粘度(μ)、試験体の板厚(t)に依存する関数F(T,μ,t)、並びに、プレス金型の稜線の角度(α)、ピッチ(p)に依存する関数G(α,p)を掛け合わせて、成形性スコアとして算出した。尚、F並びにGは0〜1の値である。
以上の成形性スコアの算出方法は、下記式によって表すことができる。
成形性スコア=F×G×ΣE(ij)/R(j)/(ΣA,C,C´,E 2/R(j)+ΣB,D 1/R(j))×100
この式において、A、C、C´、Eの場合は、E(ij)=1.0×(割れくびれなし:2、くびれ:1、割れ0)として、また、B、Dの場合は、E(ij)=0.5×(割れくびれなし:2、くびれ:1、割れ0)として算出した。また、本実施例では、温度(T)、潤滑油の粘度(μ)、試験体の板厚(t)、プレス金型の稜線の角度(α)、およびプレス金型の稜線のピッチ(p)を一定としたため、F×Gを便宜的に1として成形性スコアを算出した。
この算出した成形性スコアが、75点以上を◎、50点〜75点未満を○、40点〜50点未満を△、40点未満を×とし、◎、○、△をプレス成形性に優れていると評価した。
<エリクセン値の測定>
本実施例の試験では、等方的な形状のプレス成形性の評価にエリクセン試験を採用した。製造した各チタン板からJISZ2247に規定される2号試験片を作製し、この試験片について、JISZ2247の規定に準拠するエリクセン試験を実施し、エリクセン値を測定した。尚、試験速度(エリクセン試験でのプレス速度、すなわちプレス工具の変位速度)は、5mm/minとした。
この試験で得られたエリクセン値が9.0以上のものを成形性に優れていると評価した。
以上の試験結果を表1に示す。
Figure 0005654933
No.2は、FeとOの含有量が共に上限に近いもの、No.3は、FeとOの含有量が共に下限に近いものであり、また、No.4は、最終焼鈍の焼鈍温度が上限に近いもの、No.5は、最終焼鈍の焼鈍温度が下限の830℃のもの、No.6は、最終焼鈍の焼鈍時間が500分と比較的長いもの、No.7は、最終焼鈍の焼鈍時間が5分と短いもの、No.8は、最終焼鈍の焼鈍時間が1000分とNo.6より更に長いものである。また、No.1は、FeとOの含有量が本発明で規定する要件の中間値のものであり、これらNo.1〜8の成分組成は、全て本発明の要件を満足し、製造条件も好ましい条件である。
これに対し、No.9は、FeとOの含有量が共に上限を超えるもの、No.10は、FeとOの含有量が共に下限を下回るもの、No.11は、最終焼鈍の焼鈍温度が上限より高いもの、No.12は、最終焼鈍の焼鈍温度が下限より低いものであり、また、No.13は、最終焼鈍の焼鈍時間が1分と短すぎるもの、No.14は、Oの含有量がNo.10より更に少ないもの、No.15は、FeとOの含有量が共に更に多いものである。
No.1〜7は、圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値、結晶粒の平均結晶粒径という本発明で規定する要件も全て満足しており、0.2%耐力(YS)は全て200MPa以上であり、プレス成形性の試験結果も○或いは◎で、エリクセン値も9.0以上である。すなわち、No.1〜7のチタン板は、高耐力でプレス成形性に優れたチタン板であるということができる。
また、No.8は、圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値が本発明で規定する要件を満足しているものの、請求項2で規定する結晶粒の平均結晶粒径は要件を満足していない。その結果、0.2%耐力(YS)は200MPa以上で、エリクセン値も9.0以上という結果を得ることができたが、プレス成形性の試験結果は△で合格判定基準は満足しているものの、No.1〜7よりは劣る結果となった。
一方、No.9〜15は、0.2%耐力(YS)、プレス成形性、エリクセン値のいずれか一つ以上で合格判定基準を満足しない結果となった。すなわち、本発明で規定する要件から外れるチタン板は、高耐力でプレス成形性に優れるものとはいえないことが分かる。

Claims (2)

  1. 質量%で、Feを0.04〜0.06%、Oを0.07〜0.11%含有し、残部がTiおよび不可避的不純物であって、
    1/4t(tは板厚)部の圧延面における、圧延方向引張時の{11−22}<11−23>双晶変形のシュミット因子の平均値が0.40以上であることを特徴とする高耐力でプレス成形性に優れたチタン板。
  2. 1/4t(tは板厚)部の1mm×1mmの平面内に存在する結晶粒(α相)の平均結晶粒径が、75〜200μmである請求項1記載の高耐力でプレス成形性に優れたチタン板。
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