JP5605232B2 - α+β型チタン合金の熱間圧延方法 - Google Patents

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本発明は、Feを含有する高強度α+β型チタン合金を、β変態温度以上に加熱して熱間圧延を行う際に、表面疵が少なく歩留及び品質の良好なチタン合金板材を製造する熱間圧延方法に関する。
従来から、軽量で、高強度のチタン合金は航空機分野をはじめとして、工業、自動車、民生品分野等で用いられてきた。チタン合金板製品の製造工程は、チタン原料及び合金原料を真空溶解して鋳塊を製造する工程、鍛造又は分塊等によってスラブを製造する工程、熱間圧延によってコイル又はシート状の板製品とする工程からなる。
熱間圧延には、一方向に圧延してコイル又はシートを製造する方法の他、圧延途中で板の向きを90°変えてクロス圧延を行ってシートを製造する方法も含まれる。
チタン合金の中でも、強度、延性、靭性、耐熱性がバランスした合金として、α+β型のTi−6Al−4Vが、広く知られ、使用されてきた。そして、これまで、より広範囲な用途への適用、拡大を狙って、Ti−6Al−4Vと同等の性質を有しながら、β相安定化元素としてFeを利用することで、低コスト化、及び、用途に応じた諸特性の最適化を図る合金開発が活発に行われてきた(特許文献1及び2、参照)。
高強度α+β型チタン合金板の製造工程において、鍛造又は分塊工程では、チタン合金スラブをβ単相域に加熱し、変形抵抗の小さい高温域で加工することが、一般的に行われている。熱間圧延工程においては、一般に、熱間圧延前の加熱温度を、β変態温度以下とすることが多い。
これは、従来の熱間圧延製品の用途において、材質の異方性を小さくすることが求められることが多く、そのために、β変態温度以下のα+β域にて、なるべく低い温度で熱延を行って、等軸状の微視組織としたり、又は、集合組織をB−Texture(六方晶の結晶の六角形底面が板面に平行に配向した結晶粒が多い集合組織)としたりする(非特許文献1及び2、参照)ことが有利であるからである。
また、鋳塊をβ域で加熱して鍛造又は分塊した後、所定のβ域熱処理の後急冷し、その後に、さらに、α+β域に加熱して熱延することも、等軸状の微視組織を得るための方法が知られている(特許文献3、参照)。
しかし、高強度α+β型チタン合金を、上記のような方法で加工すると、表面に小さな割れが生じて、品質上の問題になることがある。この割れは、α+β型チタン合金が、β域で加熱加工された後、α+β域に冷却される過程で、旧β粒の粒界にα相が生成し、その後のα+β域の加熱仕上げ加工時に、粒界α相の界面で割れを生じることに起因する。
上記問題を回避するため、特許文献4には、(1)β域に加熱し、加工した後、α+β域で仕上げ加工する方法、(2)β域に加熱し、加工した後、α+β域で加熱し、仕上げ加工する前に、所定の関係式に従って、β域で熱処理を施す方法が開示されている。特許文献4に記載の方法は、いずれも、仕上げ熱間圧延は、α+β域に加熱して行うことを前提としている。
しかし、B−texture以外の集合組織を得るため、熱間圧延において、β変態点以上の温度に加熱することが必要な場合がある。例えば、非特許文献1及び2に示すように、集合組織を、T−Texture(六方晶の結晶の六角形底面法線が板幅方向に平行に向いた結晶粒が多い集合組織)としたい場合である。
また、β変態点以上の温度に加熱して熱間圧延することができれば、変形抵抗が小さい領域で圧延することになるので、圧延コストは低減する。この場合、前述のように、β域に加熱した後、α+β域に冷却する過程で、旧β粒の粒界にα相が形成され、その後のα+β域の加熱仕上げ加工時に、粒界α相の界面で割れが生じることに起因する表面割れ又は疵が発生する懸念がある。
特許文献5には、鍛造工程を省略して鋳塊を直接圧延する際、β域で圧延を行うことにより表面のしわ疵を低減する方法が記載されている。具体的には、粗大な結晶粒を有する鋳塊を、883℃以上のβ域で、2パス以上でかつ圧下率40%以上の圧延を行い、引続き、α+β域で仕上圧延を行って、再結晶による結晶粒の微細化を促進し、表面のしわ及び/又は疵を低減する。
しかし、特許文献5記載の方法は、対象材が純チタンに限定されるもので、β域から温度降下する際のα相の析出形態を考慮するものでなく、単なる細粒化のみを狙いとしている。また、対象とす疵は、鋳塊の粗大粒に起因するしわ疵であり、Feを含有するα+β型チタン合金(本発明が対象とするチタン合金)においては、通常の鍛造工程を経れば、細粒になるので、しわ疵は問題とならない。
最近では、前述したように、Feを活用して、安価なチタン合金を開発することが、積極的に行われている。高強度α+β型チタン合金の用途が拡大するにしたがい、集合組織をT−Textureを主体とする組織として、特定の方向に高い強度を得たり、曲げ加工性を向上させたりして、材質の異方性が積極的に活用されている。
例えば、ゴルフクラブ等の民生用途や、エネルギー関連用途では、地熱発電井のケーシング管のように、圧延板を素材として溶接管を製造して使用する例がある。そのような用途では、上述した集合組織制御に加え、追加的な熱処理や加工などの、コストをかけない手法で、熱間圧延製品を製造することが要求されている。
このため、熱間圧延において、圧延機への機械的負荷を低減するため、β単相域に加熱し、熱間変形抵抗の小さい高温域で圧延して、熱延板を製造する場合があるが、スケールや表面疵の増加など、品質及び歩留に係る問題が残っている。
特許第3076697号公報 特許第3076696号公報 特開昭61−044167号公報 特開昭60−086256号公報 特開昭61−159562号公報
「チタン」、Vol.54、No.1(社団法人日本チタン協会、平成18年4月28日、発行)、42〜51頁 「金属」、Vol.69、No.1((株)アグネ技術センター、1999年、発行)、30〜51頁
Feを含有する高強度α+β型チタン合金、即ち、質量%で、Al:4.5%以上6.5%未満、Fe:0.5%以上2.1%未満、Fe+Mo+V:0.5%以上4.5%未満、Si:0.25%未満、O:0.08%以上0.20%未満を含有するチタン合金を、β単相域に加熱して熱間圧延を行う際、チタン合金の表面に表面疵が数多く発生する。
表面疵は、熱延後のショットブラスト工程、酸洗によるスケール除去工程を経ても、完全に除去されず、需要者がチタン合金を製品に加工する際に、問題点として顕在化する。
本発明は、高強度α+β型チタン合金の熱間圧延において発生する表面疵を低減することを課題とし、Feを含有する高強度α+β型チタン合金の熱間圧延において、熱間圧延中に生じる表面疵を低減し、歩留や品質に優れたチタン合金板を製造できる熱間圧延方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、Feを含有する高強度α+β型チタン合金の熱間圧延において、種々の条件を変えて熱延試験を行い、表面疵が発生するメカニズムを検討した。その結果、温度条件及び圧下条件を所要の範囲に規定すれば、表面疵の少ない熱間圧延板を製造できることが解った。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)α+β型チタン合金の熱間圧延方法において、質量%で、Al:4.5%以上6.5%未満、Fe:0.7%以上2.1%未満、Fe+Mo+V:0.7%以上4.5%未満、Si:0.25%未満、O:0.08%以上0.20%未満、残部チタン及び不可避的不純物からなるチタン合金をβ変態温度以上に加熱し、β変態温度以上で熱間圧延を開始し、全圧下量の85%以上を900℃以上で行うことを特徴とするα+β型チタン合金の熱間圧延方法。
本発明によれば、従来に比べ、品質及び歩留に優れるFe含有高強度α+β型チタン合金板を製造することができるので、製造工程におけるエネルギー消費量の低減の他、高性能チタン合金の用途拡大が可能になる。また、本発明によれば、ゴルフクラブ等の民生品分野、及び、海底油田・ガス田や、地熱発電井用等の新旧エネルギー分野で使用可能な板材を提供することができる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
α+β型チタン合金の表面に発生する表面疵は、主として、ヘゲ疵と呼ばれるものである。その発生メカニズムは、次のように推定される。
(a)チタン合金をβ単相域に加熱して加工を行う際、β単相域からα+β二相域に温度が低下する過程で、β粒界にα相が析出する。
(b)析出した粒界α相の界面に生じた微小な割れによって、板表面に凹みが生じる。
(c)さらなる圧延によって、凹みが潰れて、被さり状のヘゲ疵になる。
そして、Fe含有チタン合金において、表面疵が特に問題となる理由は、次のように推定される。
Feは、α相中への固溶量が、VやMo等の他のβ安定化元素と比較して小さいので、加熱炉から出た後の輸送中及び圧延初期において粒界に析出したα相の変形能と、粒界から排出されたFeが濃化したβ相との変形能の差が顕著である。
従来、Feを含有するα+β型チタン合金において、このような報告はなく、むしろ、β相安定化能が高いFeを含有する合金においては、粒界α相の析出が遅れ、割れは発生し難くなると考えられていた。
表面疵の低減には、粒界α相の析出を抑制することが考えられたが、大気に曝されるスラブ表面の温度の低下を防止することは、非現実的である。粒界α相の析出に伴う合金添加元素の移動は、加熱炉から圧延機までの搬送時間と比較しても、短い時間で進行する。
そこで、本発明者らがさらに検討した結果、析出したα相の変形能と、周囲のβ相の変形能の差が顕著になって割れが発生する前に、熱間圧延を行うことができれば、疵の低減が可能であることが判明した。
即ち、粒界αが粗大化し易い900℃以上の温度域で、熱間加工の一定量以上を完了できればよいことが判明した。そして、検討の結果、“熱間加工の一定量”の下限は、全圧下量の85%であり、望ましくは90%以上であるとの結論に至った。
熱間圧延を行う温度域を900℃以上としたのは、β変態温度以上から温度が低下する場合において、β変態温度以下900℃以上の温度域では、β粒界に沿ってα相が析出し易く、容易に粗大化するためである。
β粒界に析出するα相は、アスペクト比が大きいので、変形能の差が顕著に表れて、境界に割れが生じ易い。その結果、板表面に凹みが生じ、その後、より低温域で、さらに圧延されることによって、被さり状のヘゲ疵になる。
本発明においては、圧延開始時の温度がβ変態温度以上であり、圧延開始以降の温度低下により、β変態温度以下900℃以上の温度域に至って、α相の析出が始まっても、それまでの間に、充分に加工変形されていて、α相析出核が充分に存在しているので、微細なα相が多く、割れ発生に関与する粗大な粒界α相にならず、疵の要因にはならない。
したがって、本発明においては、Feを含有するα+β型チタン合金を、900℃以上で熱間圧延を開始することにより、割れの発生、及び、割れ発生の核の生成を抑制することができる。
熱間開始温度が900℃以下であると、α相がβ粒内にも析出する。このα相は、粒界での析出形態と異なって、アスペクト比が小さい形態なので、割れは発生し難いが、本発明が対象とするα+β型チタン合金は、900℃以下では、熱間変形能の高いβ相の比率が低下し、変形抵抗が大きくなるので、圧延コストが上昇したり、耳割れが生じたりする。それ故、熱間圧延は、900℃以上で、全圧下量の85%以上を終えてしまうことが好ましい。
“全圧下量の85%以上”は、製鉄所の大規模熱延設備を使用する場合、粗圧延が終わった段階に概ね相当する。前述したように、全圧下量に対する圧下量は、85%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。さらに、900℃以上で、熱間圧延の多くを終えてしまうのが、コスト低下を図る上で好ましい。
熱延操業上は、粗圧延を900℃以上で終えることを目標とする。厚板圧延を行う場合でも、圧延途中で温度管理を行って、圧延温度を制御する。また、圧延方向を途中で変えるクロス圧延を行う際にも、同様に、圧延温度を制御する。
熱間圧延用のチタン合金素材として、鍛造又は分塊圧延の後、研削又は切削加工でスケールを除去した150〜300mm厚のスラブを用いる。熱延コイル製品として、3〜6mm厚のコイル製品が製造され、厚板製品としては、4〜60mm厚の板製品が製造される。
例えば、250mm厚のスラブから5mm厚の熱延板を製造する場合、全圧下量の90%は、(250−5)×0.90≒220mmで、その時の板厚は30mmとなる。
表面疵の生成には、スラブ又は板の表面近傍の微視組織が影響し、内部の微視組織は影響しないので、温度は、スラブ又は板の表面温度で規定する。スラブ加熱において、β変態温度以上に保持する時間は、均熱するためには30分以上が望ましい。均熱が長時間になると、粒径の粗大化に起因する疵を誘発する懸念があるので、時間未満が望ましい。
本発明では、Fe含有高強度α+β型チタン合金として、質量%で、Al:4.5%以上6.5%未満、Fe:0.7%以上2.1%未満、Fe+Mo+V:0.7%以上4.5%未満、Si:0.25%未満、O:0.08%以上0.20%未満を対象とする。
なお、以下、組成に係る%は、質量%を意味する。
Alは、α相を安定化し、高温強度の向上に寄与する元素である。Alが4.5%未満であると、熱間変形抵抗が高くなく、β変態温度以上に加熱しなくても熱間圧延が可能である。Alが6.5%以上であると、熱間変形能の低下により、熱間圧延の効率が著しく低下して、量産が困難となる。そこで、Alは4.5%以上6.5%未満とした。
Feは、β相を安定化する元素であり、強度レベルの調整や、組織制御性の確保等のために添加するが、α相中への固溶量が極めて少ない元素である。0.5%以上添加すると、β域からα+β域に温度が低下する際、析出する粒界αの変形能と、周囲に排出されたFeが濃化するβ相の変形能との差が顕著になる。この顕著な差が、熱延表面疵発生に極めて重要な作用を及ぼしていることから、本発明者らは、本発明に至った。
なお、特許請求の範囲では、添加量の下限を、実施例で効果の確認されている0.7%とした。
Feは、凝固偏析が大きい元素でもあり、2.1%以上添加すると、大型インゴットで製造する実用合金としては課題があるので、上限を2.1%未満とする。
MoとVは、Feと同様にβ相を安定化する元素であり、強度レベルの調整や、組織制御性の確保等のために添加する。Fe+Mo+Vを4.5%以上添加すると、β相の安定度が高くなり、β変態温度が低下して、加熱炉から出た後のα相の析出が遅れるので、疵の発生に繋がるような粗大な粒界α相の生成には至らない。そこで、Fe+Mo+Vの上限は4.5%未満とした。
Siは、チタン合金のクリープ特性を向上させる元素である。0.25%未満の添加でも、本発明の効果が発現する。0.25%以上添加すると、チタン合金の疲労特性を著しく低下させるので、添加量は、少ないほうが好ましく、0.25%未満とした。
Oは、強度レベルの調整のために添加する。少量でも、β変態温度への影響が大きいので、0.08%以上0.20%未満とした。
本発明において、熱延板の品質を評価は、熱延板にショットブラストを施し、硝沸酸で酸洗した後、板表面を目視で観察し、表面疵の有無を判定して行った。酸洗による溶削量は、100〜300μm/両側であった。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
表1に示す成分組成のチタン合金を、VAR溶解法で製造し、約200kgの鋳塊とした。これら鋳塊を、鍛造、切削して、厚み100mm、幅200mm、長さ300mmの熱延用スラブを製造した。
表2に示す条件で熱間圧延を行い、ショットブラスト、硝沸酸による酸洗を施し、目視、及び、断面の光学顕微鏡観察により、表面疵の有無を判定した。中間板厚13mmに至った時点で、全圧下量に対する圧下量の比率は、約90%である。各試料のβ変態温度は、試料1が約1000℃であり、試料2と試料3が約980℃であった。加熱終了から圧延開始までの温度降下は約30℃であったので、加熱温度は、β変態温度+30℃以上の1020〜1060℃とした。
表2に、熱延条件と実績、及び、熱延板の疵判定を、併せて示す。熱延No.1、3、及び、5は、本発明の実施例である。熱延No.2、4、及び、6は比較例で、中間温度が900℃未満で、表面疵が残存している例である。
Figure 0005605232
Figure 0005605232
(実施例2)
質量%で、Al:5.1%、Fe:1.8%、Mo:1.5%、O:0.13%のチタン合金を、VAR溶解法で製造し、約3.7tonの鋳塊を製造した。本合金のβ変態温度は約960℃である。これら鋳塊を、鍛造、切削して、220mm厚、1100mm幅、1400mm長さの厚板圧延用スラブを製造した。表3に示す加熱温度で、中間板厚80mmまで圧延した後、90℃方向を変えて最終板厚まで圧延を行った。
圧延材から試料を採取し、ショットブラスト、硝沸酸で酸洗を施し、目視、及び、断面の光学顕微鏡観察により、表面疵の有無を判定した。熱延No.7の条件において、中間温度は、中間板厚80mmの時点で900℃であったが、全圧下量に対する圧下量の比率は70%であり、本発明の条件から外れている。表面疵も残存していた。
Figure 0005605232
(実施例3)
質量%で、Al:5.0%、Fe:1.0%、O:0.15%のチタン合金を、VAR溶解法で製造し、約3.7tonの鋳塊を製造した。本合金のβ変態温度は、約1000℃である。これら鋳塊を、鍛造、切削して、250mm厚の熱延用スラブを製造した。
表4に示す加熱温度で、板厚30mmまで粗圧延し、引続き、5mmまで仕上げ圧延を行った。粗圧延終了時、全圧下量に対する圧下量の比率は、約90%である。
採取した試料に、ショットブラスト、硝沸酸による酸洗を施し、目視、及び、断面の光学顕微鏡観察により、表面疵の有無を判定した。熱延No.8においては、全圧下量が90%の時点で、温度は910℃であり、本発明の条件内であり、表面疵も残存していなかった。一方、熱延No.9においては、中間温度が880℃であり、本発明の条件から外れている。表面疵も残存していた。
Figure 0005605232
前述したように、本発明によれば、従来に比べ、品質及び歩留に優れるFe含有高強度α+β型チタン合金板を製造することができるので、製造工程におけるエネルギー消費量の低減の他、高性能チタン合金の用途拡大が可能になる。また、本発明によれば、ゴルフクラブ等の民生品分野、及び、海底油田・ガス田や、地熱発電井用等の新旧エネルギー分野で使用可能な板材を提供することができる。よって、本発明は、チタン製品製造産業において利用可能性が高いものである。

Claims (1)

  1. α+β型チタン合金の熱間圧延方法において、質量%で、Al:4.5%以上6.5%未満、Fe:0.7%以上2.1%未満、Fe+Mo+V:0.7%以上4.5%未満、Si:0.25%未満、O:0.08%以上0.20%未満、残部チタン及び不可避的不純物からなるチタン合金をβ変態温度以上に加熱し、β変態温度以上で熱間圧延を開始し、全圧下量の85%以上を900℃以上で行うことを特徴とするα+β型チタン合金の熱間圧延方法。
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