JP6171836B2 - 熱間圧延用チタン合金スラブおよびその製造方法 - Google Patents
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(1)チタン合金スラブの少なくとも圧延面にあたる面の表層に溶融再凝固層を有し、前記溶融再凝固層の深さが3mm以上、15mm未満であり、溶融再凝固層の組織が針状組織であり、針状組織の短軸方向の幅が10μm以下であることを特徴とする熱間圧延用チタン合金スラブ。
(2)前記溶融再凝固層が、再溶融凝固処理により表面層をβ変態点以上の温度に加熱して急冷した微細針状組織からなる層であることを特徴とする(1)に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
(3)前記スラブが、電子ビーム溶解炉もしくはプラズマ溶解炉により製造されることを特徴とする、(1)又は(2)の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
(4)電子ビーム溶解炉もしくはプラズマ溶解炉から直接溶製されるチタン合金スラブの製造方法であって、溶製後に溶解鋳造ままの面を溶融再凝固させること特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
(5)表層の溶融再凝固層を形成するための加熱を、電子ビーム加熱、誘導加熱およびレーザー加熱のうちの一種また二種以上を組み合わせて行うことを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
(6)前記の溶融再凝固層を形成するための加熱を真空で行うことを特徴とする、(5)に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
上述のとおり本発明では、溶融再凝固層の厚みを3mm以上、15mm未満としている。溶融再凝固層の厚みが3mm未満だと、溶融再凝固層の厚みが薄く、スラブ表層部近傍に鋳造欠陥起因の空隙が残存してしまい、熱延時にその空隙起因でクラックが発生し、熱延板表面に粗大な表面疵が発生してしまう。3mm以上であれば、後述するように溶融再凝固を真空中で行うことから、それより深い位置に残存する空隙は真空でありかつ十分深いため、クラックは発生せず熱延時に圧着するため表面疵に進展しない。そのため、3mmを下限とした。一方、15mm以上と溶融深さを大きくすると、鋳造欠陥は十分に除去されるが、入熱量が大きくなってしまうため溶融再凝固直後の冷却速度が遅くなり、後述するスラブ表層の溶融再凝固層の組織が不十分となってしまうため、これを上限とした。
本発明では、溶融再凝固層の組織を針状組織とし、さらに、針状組織の短軸方向の幅が10μm未満としている。α+β二相域で熱延を行う場合、α相同士の変形異方性やα相とβ相の熱間変形抵抗差に起因し表面疵が発生する。変形異方性起因の疵については数mm程度の結晶粒で発生するが、α相とβ相の熱間変形抵抗については、数十μm程度であってもβ相とα相が層状の組織を持って隣接してしまうと発生する場合がある。β相は針状のα相の間に熱延加熱中に生成する。そのため、針状組織を微細とすることでβ相の核形成領域を多くすることができ、α相間に生成するβ相が層状に生成し難くなる。その結果、α相とβ相が層状の組織を持って隣接しなくなり表面疵を抑制することができる。針状組織の短軸方向の幅が10μm未満であれば、粒界面積が十分大きくなり、層状のβ相が生成しなくなることからこれを上限とした。なお、針状組織が微細であるほど表面疵には有利であることから下限については特に規定しない。また、図2に示すように、針状組織は結晶粒を横断するように生成するので、その長軸の長さ、あるいはアスペクト比は、針状組織によって異なるため、針状組織の長軸の長さ、あるいはアスペクト比を限定することはできない。
溶融再凝固層の厚みの測定方法について説明する。この溶融再凝固層は断面の埋め込み研磨試料を硝フッ酸水溶液でエッチングした光学顕微鏡写真で容易に判別できる。図1に溶融再凝固処理後のスラブ表層の断面組織の一例を示す。溶融再凝固処理した部位を含むようにサンプルを採取し、機械研磨の後、硝酸濃度が約12%、フッ酸濃度が約1.5%の硝フッ酸水溶液を用いてエッチングする。再溶融凝固処理を施すと、表層部は溶融後、下部の母材との金属接触により急冷されるため、溶融再凝固層には後述するように非常に微細な針状組織やを形成する。一方、母材部では鋳造により形成された粗大な組織を示す。この微細な針状組織層の厚みを測定し、これを溶融再凝固層厚みの値とした。なお、実際にはこの微細針状層には溶融部の他にβ変態点以上融点未満へ加熱後、冷却された熱影響部(βHAZ)も存在するが、これを区別することが困難である。しかしながら、この熱影響部も含めた組織改質層の深さが上述した厚みの範囲にあれば、鋳造欠陥を十分に除去可能であることから、本発明ではβHAZも含めて「溶融再凝固層」とした。
本発明が対象とするチタン合金は、鋳造後のスラブ表面の溶融再凝固層組織が針状組織となることが重要である。前述のとおり、α型あるいはα+β型チタン合金であり、マルテンサイト変態点が室温以上である合金を用いて、溶融再凝固層の深さを15mm以下とすることにより実現できる。その限りにおいて、合金成分組成としてはとくに限定するものではない。
本発明で好ましくは、インゴットの溶解方法は電子ビーム溶解もしくはプラズマ溶解とする。上述したように、チタン合金インゴットの溶製方法としては、真空アーク溶解法、および、電子ビーム溶解法が一般的である。しかしながら、真空アーク溶解法では上述したように円柱形のインゴットしか溶製することが出来ないため、真空アーク溶解ではブレークダウン工程を省略し、直接熱延可能なチタン合金スラブを製造することは出来ない。一方、電子ビーム溶解法やプラズマ溶解法では、矩形のインゴットを鋳造することが可能であり、ブレークダウン工程を省略し、直接熱延可能なチタン合金スラブを製造することができる。
本発明では、通常の切削等によるインゴット表面手入れを行わず、直接、鋳造ままの鋳肌に溶融再凝固処理を行うこととしている。そうすることで、インゴットの表層部の切削等による精整工程を省略により工程省略や歩留まり向上によるコスト低減が期待できる。但し、溶融再凝固処理でも取り除くことのできない大きな鋳肌欠陥が存在する場合には、部分的に表面を手入れした後、溶融再凝固処理しても良い。
本発明では、インゴットの表層部を加熱し、溶融再凝固させることを特徴としている。表層部の加熱方法としては、電子ビーム加熱、誘導加熱およびレーザー加熱のうち一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、エネルギー効率や処理時間等から電子ビーム加熱であることが好ましい。
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- チタン合金スラブの少なくとも圧延面にあたる面の表層に溶融再凝固層を有し、前記溶融再凝固層の深さが3mm以上、15mm未満であり、溶融再凝固層の組織が針状組織であり、針状組織の短軸方向の幅が10μm以下であることを特徴とする熱間圧延用チタン合金スラブ。
- 前記溶融再凝固層が、再溶融凝固処理により表面層をβ変態点以上の温度に加熱して急冷した微細針状組織からなる層であることを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
- 前記スラブが、電子ビーム溶解炉もしくはプラズマ溶解炉により製造されることを特徴とする、請求項1又は2の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
- 電子ビーム溶解炉もしくはプラズマ溶解炉から直接溶製されるチタン合金スラブの製造方法であって、溶製後に溶解鋳造ままの面を溶融再凝固させること特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
- 表層の溶融再凝固層を形成するための加熱を、電子ビーム加熱、誘導加熱およびレーザー加熱のうちの一種また二種以上を組み合わせて行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
- 前記の溶融再凝固層を形成するための加熱を真空で行うことを特徴とする、請求項5に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
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