JP6171836B2 - 熱間圧延用チタン合金スラブおよびその製造方法 - Google Patents

熱間圧延用チタン合金スラブおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間圧延用チタン合金スラブおよびその製造方法に関するものであり、特に、分塊圧延工程や精整工程を省略しても熱間圧延後の表面性状を良好に保つことができる熱間圧延用チタン合金スラブおよびその製造方法に関する。
チタン材ストリップは、一般に、溶解工程から得られるインゴットを分塊や鍛造などのブレークダウン工程でスラブ形状にして、表面を手入れした後、熱間圧延、さらには焼鈍や冷間加工を施して製造される。溶解工程には、広く用いられている真空アーク溶解(VAR:Vacuum Arc Remelting)法のほか、鋳型とは別の場所で溶解を行い鋳型に流し込む電子ビーム溶解(EBR:Electron Beam Remelting)法やプラズマ溶解法等がある。真空アーク溶解は鋳型が円筒型に限定されるため板材の製造には分塊もしくは鍛造工程が必須である。一方、電子ビーム溶解やプラズマ溶解は、鋳型形状の自由度が高く、円筒型の他、角型の鋳型を使用できる。従って、電子ビーム溶解法やプラズマ溶解法を用いれば、角型インゴットや円柱型インゴットを直接鋳込むことができる。そのため、角型インゴットから板材を製造する場合や、円柱型インゴットから棒材や線材を製造する場合には、インゴット形状の点からはブレークダウン工程を省略することができる。この場合、分塊工程にかかるコストと時間が省略できるため、生産効率が著しく向上することが期待される。
このように直接熱延可能なチタンスラブを鋳造可能な真空下での鋳造法を適用すれば、従来必要とされていたブレークダウン工程を省略することが可能となり、その結果、チタン薄板製造の生産性を向上させ、製造コストを低減することが可能となる。しかしながら、真空下での鋳造により得られたスラブも、鋳造したままの鋳片の表面層は、凹凸が激しくかつ欠陥が多い。さらに、真空から解放した後の酸化により、表層部が酸素リッチな層(通常は酸化物によって黒色に近い暗色を呈するため、黒皮と称している)となっているのが通常であり、このような鋳片をそのまま熱間圧延に供すれば、熱延板の表面性状が悪くなるため、前述のように大型インゴットからのブレークダウン工程を適用した場合と同様に、表面に切削加工を施してから熱間圧延に供さざるを得ないのが実状であり、したがって材料の歩留まりが低下し、また精整工程の手間、コストを要する。特にチタン合金は純チタンに比べ硬質であるため、精整工程に要するコストが純チタンよりも遥かに大きく、未だ改善の要望が強かったのが実情である。
さらに 真空中で溶解すると鋳造時の冷却速度が遅くなり、β変態点以上に保持される時間が長くなり旧β結晶粒径が数十mmにもおよぶ粗大粒となる。さらに、冷却速度が遅いためα変態後の組織も粗大になる。このスラブを直接圧延すると、粗大な結晶粒に起因して粒内及び各結晶粒間の変形異方性の影響により、表面に凹凸を生じて表面疵となる。さらに、チタン合金では変態時に旧β結晶粒の粒界近傍にα相が生成(粒界α相)する。チタン合金でよく用いられるAlやOなどのα安定化元素を多量に含む合金系では、α相とβ相の熱間変形抵抗が大きく異なり、この差が後の熱間、冷間加工時の割れの起点になることもある。そのため、前記電子ビーム溶解やプラズマ溶解法で、角型インゴットや円柱型インゴットを直接製造したチタン合金スラブを、分塊工程を経ないで直接熱間圧延する場合には、粗大な結晶粒やα相とβ相の変形抵抗差などに起因して熱延板表面に粗大な表面疵が発生してしまう。熱間圧延で発生した表面疵を除去するためには、酸洗工程で熱延板表面の溶削量を増やす必要があり、コストや歩留を悪化させる問題が生じる。即ち、表面疵を落とすための精整工程を新たに導入する必要がある。従って、分塊工程を省略することによって期待される生産効率の向上は、このような精整工程の新たな導入によって相殺されてしまう。
このような問題に対し、熱間圧延用素材の製造方法や製造後に加工や熱処理を施すことによって表面疵を低減する方法が提案されている。
特許文献1では、チタン材のインゴットを、分塊工程を省略して直接熱延加工する場合に、表層付近の結晶粒を微細化するために、表面層にひずみを付与した後、再結晶温度以上に加熱して表面から深さ2mm以上を再結晶させる方法が提案されている。ひずみを付与する手段としては、鍛造、ロール圧下、ショットブラスト等が挙げられている。
特許文献2では、チタン材のインゴットを、Tβ+50℃以上に加熱後、Tβ−50℃以下に冷却した後に熱間圧延することで、粗大な結晶粒の変形異方性によって圧延中に形成される表面の波打ちやシワを低減し、表面疵を低減する方法が提案されている。
特許文献3では、チタン材において、分塊工程を経る場合の圧延製品の表面疵低減方法として、分塊工程終了時の温度をα域にする、あるいは、さらに熱間圧延前の加熱をα域で行うことにより、表面から60μm以上を等軸晶とする方法が提案されている。これにより、酸素リッチ層が部分的に深くなることを避けることができ、脱スケール工程で酸素リッチ層を除去できるようになり、硬度・延性の不均一な部分が無くなるため、冷間加工後の表面性状が改善するとしている。
特許文献4では、チタン材のインゴットを、熱間加工工程を省略して直接熱間圧延を行う場合に、インゴットの圧延面にあたる面の表層を高周波誘導加熱、アーク加熱、プラズマ加熱、電子ビーム加熱およびレーザー加熱などで溶融再凝固させることで、表層から深さ1mm以上を細粒化し、熱間圧延後の表層組織を改善する方法が挙げられている。これは、表層部を急冷凝固により微細で不規則な方位を有する凝固組織を形成することで、表面疵の発生を防止している。チタンスラブの表層組織を溶融させる方法として、高周波誘導加熱、アーク加熱、プラズマ加熱、電子ビーム加熱、およびレーザー加熱が挙げられている。この提案の方法の場合、チタンの融点は当然にβ変態点以上の温度であるから、表面を溶融させるに伴って、表面の溶融層よりも下側(母材側)の熱影響領域(HAZ)層も、β変態点以上に加熱されて、β変態することになる。そしてこの提案の方法では、熱間圧延用チタンスラブの表面層が溶融することによって、表面が平滑化され、さらにその後に母材側からの抜熱によって溶融層が急冷されて凝固し、同時に下側のHAZ層(β相)が急冷されることによって、溶融層およびHAZ層が、微細な変態組織(通常は微細針状組織)となる。そしてこのようにして微細化された表面層は、その後の熱間圧延の初期において再結晶して、微細で不規則な方位を有する粒状の組織(等軸粒組織)となる。そのため、粗大組織に起因する凹みの発生を防止することが可能であり、熱間圧延後の熱延板の表面疵も解消することが可能となる。
特許文献5では、熱間圧延用チタン素材を、うねりの輪郭曲線要素の平均高さが0.2〜1.5mm、平均長さが3〜15mmのディンプルを冷間で塑性変形によって付与することで、インゴットのブレークダウン工程を省略しても熱間圧延にて生じる表面欠陥を軽微にする方法が提案されている。
特許文献6では、電子ビーム溶解炉で溶製したチタンスラブを、鋳型内から直接引き抜いたスラブの断面組織において、表層から内部に向かう凝固方向とスラブの鋳造方向とのなす角θが45°〜90°、もしくは、表層の結晶方位分布において、hcpのc軸とスラブ表層との法線のなす角が、35°〜90°である場合に、熱間加工工程を省略しても、鋳肌が良好で且つ熱間圧延後の表面疵が改善できる方法が開示されている。即ち、表面の結晶粒の形状や結晶方位を制御することによってこのような粗大結晶粒に起因する疵の発生を抑制することができる。
特開平01−156456号公報 特開平08−060317号公報 特開平07−102351号公報 特開2007−332420号公報 WO2010/090352 WO2010/090353
しかしながら特許文献1に記載の方法では、ひずみを付与する手段にショットブラストが挙げられているが、一般的なショットブラストで付与されるひずみの深さは純チタンでも300〜500μm程度以下である。そのため、純チタンより高強度なチタン合金では、ひずみ深さはより浅くなる。また、ショットブラストで付与されるひずみ量はさほど多くない。そのため、品質を改善するために必要としている深さ2mm以上までの組織の微細化や再結晶や組織の分断により粒界α相を解消させるには不十分である。従って、実質的には、鍛造もしくはロール圧下により深い位置まで歪を与えることが必要であるが、鍛造もしくはロール圧下を、熱間圧延用の大型インゴットに対して行うには大きな設備が必要で、通常の分塊工程と比較してコスト低下になるものではない。
また、特許文献2に記載の方法は、β域への加熱により粗大な結晶粒が再結晶して微細化する効果がある。しかし、分塊工程を経ない場合には加工歪が与えられていないため再結晶核が少ないことや、インゴット全体を加熱するため加熱後の冷却速度が遅く結晶粒が粗大化することにより、再結晶による微細化効果は限定され、変形異方性の低減は十分ではない。また、再結晶しても元の粗大粒の結晶方位の影響を受けることも、変形異方性の解消に至らない要因である。逆に、中程度の細粒化によって表面の凹凸の元となる粒界は増加する結果となり、表面疵の発生が増加する結果になる。
また、特許文献3に記載の方法は、分塊工程を経ることによって鋳造組織が壊されて細粒化および等軸化することを前提としており、分塊工程を省略する場合には意味をなさない。仮に分塊工程を省略して熱処理のみによって、表面から60μm以上の等軸粒を形成しても、単なる再結晶でありその結晶方位は元の結晶方位の影響を受ける。従って、鋳造まま組織の粗大粒による変形異方性に起因する凹凸を防止するには不十分であり、表面疵による問題が生じることは明らかである。
また、特許文献4に記載の方法は、ブレークダウン工程を経ていない熱間圧延用チタンスラブを主に対象としている。ブレークダウン工程を経ていないチタンスラブであっても、その表面状況によっては、有効に表面層を改質して、熱延板の表面疵発生を防止し得ることが発明者らによって確認されている。すなわち、既に述べたように、ブレークダウン工程を経ていない熱間圧延用チタンスラブにおいても、鋳造したままの鋳片の表面層は、凹凸が激しくかつ欠陥が多い。さらに、真空から解放した後の酸化により、表層部が酸素リッチな層(通常は酸化物よって黒色に近い暗色を呈するため、黒皮と称している)となっているのが通常であるが、そのようなスラブの表層部を数mmにわたって切削加工を施すこととで、表層の激しい凹凸を除去した後、組織改質を行うことで熱延後の表面性状は良くなることが確認されている。しかしながら、上述のような表面改質処理前の表面切削加工には、多大な手間と時間を要し、歩留まりも大きく低下する。
また、特許文献5に記載の方法は、冷間でインゴット表層部の組織改質を行っており、熱延後の表面性状は良くなるが、冷間で表層組織改質を行う場合、鋳造ままの鋳肌に直接行っても、鋳造時に発生した鋳肌割れ等の鋳造欠陥を全て除去することが難しいことが予想され、切削等の精整工程を省略できない可能性が懸念される。
また、特許文献6では、鋳造時の操業条件のばらつきにより、インゴット全面を狙いとしている組織に制御するのは難しく、場合によっては、粗大鋳造組織に起因した表面疵が発生し、表面性状が悪化する可能性が懸念される。
そこで、本発明では、インゴットの精整工程を省略しながら、ブレークダウン工程を省略しても熱間圧延後の表面性状を良好に保つことのできる、チタン合金スラブおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために前述の特許文献4に示される表面改質技術について鋭意実験・検討を重ねたところ、次のような知見を得た。
即ち、溶融再凝固処理を行った場合、冷却は母材側からの抜熱によって行われるのが通常である。この際、溶融層の厚みが薄いほど、鋳片表面の単位面積当たりの入熱量が少ないため、加熱直後の冷却速度が大きくなり、そのため冷却されて凝固した溶融再凝固層は、より微細な組織となり、その結果、熱延初期に発生する微小凹みや熱延板の表面疵を確実に抑えることが可能となる。ところが、溶融深さが浅い場合、表面からある程度の深さ位置に存在する鋳造に由来する空隙や皺などの欠陥は消滅しないことがある。特に、切削工程を省略して、鋳造ままの鋳肌に溶融再凝固処理を行った場合、表層には鋳造時に発生した数mmに至る大きな皺や空隙が存在するため、溶融再凝固処理を施しても、これら欠陥を十分に除去できず、熱延時に欠陥部が起点となり表面疵に至る。一方、再溶融凝固層の厚みを深くすると、入熱量が多くなるため、加熱直後の冷却速度が粗大となってしまい、熱延時に粗大組織やそれにより生成した粗大なα粒や粒界α相に起因し、表面疵が発生してしまう。即ち、溶融再凝固によって表層の組織を十分に微細化させるためには、溶融深さを抑える必要があるが、鋳造に由来する欠陥はある程度の深さの位置まで存在することが多く、これら鋳造に由来する欠陥の影響を除去することができない場合、熱延時にこれら欠陥が起点となってクラックが発生し、表面に微小な凹部が生じ、表面疵が発生することが知見された。
このような新規な知見をベースとして本発明者らが誠意実験・検討を重ねた結果特許文献4に示される表面改質技術をさらに改良することによって、インゴット表層部に切削加工を施すことなくスラブ表層部のみを電子ビームなどの加熱手段を制御することで、加熱により溶融される深さと、加熱により改質される組織の両方を制御することで、切削精整工程やブレークダウン工程を省略しても、鋳造ままスラブ表層の激しい凹凸や欠陥、さらには粒界α相や粗大な凝固組織の影響による表面疵が低減し、精整工程やブレークダウン工程を経る場合と同等な表面性状を得ることができることを見出した。
即ち、溶融再溶融処理の条件を工夫することにより、所定の溶融再凝固層の深さを確保することで鋳造欠陥に起因した欠陥を除去し、さらに、所定の組織形態とすることで、組織に起因した表面疵を抑制することで、切削工程を省略し鋳造ままの鋳肌に溶融再凝固処理を施しても、熱延板の表面疵も抑制し得ることを見い出した。
本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)チタン合金スラブの少なくとも圧延面にあたる面の表層に溶融再凝固層を有し、前記溶融再凝固層の深さが3mm以上、15mm未満であり、溶融再凝固層の組織が針状組織であり、針状組織の短軸方向の幅が10μm以下であることを特徴とする熱間圧延用チタン合金スラブ。
(2)前記溶融再凝固層が、再溶融凝固処理により表面層をβ変態点以上の温度に加熱して急冷した微細針状組織からなる層であることを特徴とする(1)に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法
(3)前記スラブが、電子ビーム溶解炉もしくはプラズマ溶解炉により製造されことを特徴とする、(1)又は(2)の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法
(4)電子ビーム溶解炉もしくはプラズマ溶解炉から直接溶製されチタン合金スラブの製造方法であって、溶製後に溶解鋳造ままの面を溶融再凝固させること特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法
(5)表層の溶融再凝固層を形成するための加熱を、電子ビーム加熱、誘導加熱およびレーザー加熱のうちの一種また二種以上を組み合わせて行うことを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
(6)前記の溶融再凝固層を形成するための加熱を真空で行うことを特徴とする、(5)に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
本発明の熱間圧延用チタン合金スラブおよびその製造方法は、チタン合金ストリップの製造に際し従来必要であった分塊や鍛造などのブレークダウン工程やその後の精整工程を省略しても、ブレークダウン工程や精整工程を経る場合と同等以上の表面性状を有するチタン合金ストリップの製造を可能にするものであり、ブレークダウン工程の省略による加熱時間の低減や表面品質向上による酸洗量の低減による歩留りの向上、さらには精整工程の省略によるコスト削減や歩留まりの向上が図られることから、製造コストの削減のみならず、エネルギー効率の向上にも大きな効果があり、産業上の効果は計り知れない。
本発明の熱間圧延用チタン合金スラブの溶融再凝固処理後のスラブ表面近傍の断面組織の一例を示す模式図である。 本発明の熱間圧延用チタン合金スラブの溶融再凝固層内の組織の一例を示す模式図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明者らは、分塊や鍛造などのブレークダウン工程や精整工程を省略し、チタン合金スラブを直接熱延しても、表面疵を低減し表面性状に優れた熱間圧延用チタン合金スラブおよびその製造方法について、鋭意研究を重ねた。その結果、鋳造ままのチタン合金スラブ表層部のみ溶融再凝固させ、その際の溶融深さと溶融部の組織を制御することにより、表面疵が低減された表面性状の優れたチタン合金ストリップが得られることを見出した。
本発明の指針を説明する。一般に、チタン合金の熱間圧延に際し、分塊圧延や鍛造等のブレークダウン工程後、インゴット表面を切削加工などの精整工程を経た後、β単相域もしくはβ変態点直下のα+β二相高温域に加熱され熱延される。本発明は後述するように、鋳造まま鋳肌の熱間圧延用チタン合金スラブ表層のみを溶融再凝固させることによりスラブ表層部の鋳造欠陥を除去し、さらに溶融再凝固層に微細な組織を形成させることで、熱延後の表面疵を低減するとしている。
チタン合金スラブを鋳造すると、スラブ表層には湯皺などの鋳造欠陥が多数存在する。そのため、そのまま熱延すると鋳造欠陥に起因し熱延板表面に粗大な疵が発生してしまう。そのため、従来はスラブ表面を切削加工などの精整工程で除去していた。しかしながら、チタン合金は硬質のため精整工程で多大な時間を要することとなるうえ、歩留り落ちも大きくなる。また、スラブ鋳造後の酸化により、表層部が酸素リッチな層(黒皮)となっているのが通常であり、このような鋳片をそのまま熱間圧延に供すれば、熱延板の表面性状が悪くなる。
熱延工程においても表面疵が発生していた。チタン合金をβ変態点以上のβ単相域で熱延される場合は、変態点以上では結晶粒成長は速いがβ相は変形異方性や変形抵抗が小さいため表面疵発生に対しスラブ表層の組織は大きく影響しない。一方、β変態点以下のα+β二相高温域で熱延される場合、加熱時の結晶粒成長は二相域であるため速くないが、スラブ表層部のもともとの組織が粗大の場合はα相の変形異方性に起因し、また、粗大な旧β粒界に沿ったα相(粒界α相)や粗大な針状α相が生成していると、熱延加熱時にα相に隣接するようにβ相が層状に粗大に生成し、α相とβ相の変形抵抗差に起因し熱延時に表面疵が発生し、表面性状は悪化する。
このように、鋳造時に発生するスラブ表層の欠陥のみならず、スラブ表層部の組織でも表面疵が発生することから、本発明では表層再溶融によりスラブ表面の鋳造欠陥と組織の両方を制御することで熱延後の表面疵を抑制することとした。
本発明の熱間圧延用チタン合金スラブは、チタン合金スラブの圧延面にあたる面の表層がインゴット溶製後に1回以上の溶融再凝固処理されて溶融再凝固層が形成されており、前記溶融再凝固層の深さが3mm以上、15mm未満であり、溶融再凝固層の組織が針状組織であり、針状組織の短軸方向の幅が10μm以下であるとすることにより、上記問題を解決した。
チタン合金スラブの圧延面にあたる面の表層に溶融再凝固層を形成するため、電子ビームなどの高エネルギー密度の加熱手段によってインゴット表面を加熱し、表層のみを溶融させる。その際に、溶融深さが浅くなると表層からある程度の深さの位置に存在する空隙や皺などの鋳造に由来する欠陥が消滅しないことがある。そのため、3mm未満程度しか溶融させなかった場合には、それより深い位置に存在した欠陥部は空隙として残存し、その後の熱延時にこれらの空隙が起点となってクラックが発生し、表面に微細な凹部が生じ、熱延疵が発生してしまう。溶融時に投入するエネルギー量が小さいと溶融部の厚みが浅くなってしまう。そのため、ある一定以上の溶融部の厚みを確保するためには、投入するエネルギー量を大きくする必要がある。また、溶融再凝固処理後には表層部の酸素リッチな層(黒皮)は形成されないので、黒皮起因の熱延板の表面性状圧下を防止することができる。
一方で、表面疵の低減には溶融再凝固層の組織も重要となる。本発明では、溶融再凝固層の組織が針状組織であり、針状組織の短軸方向の幅が10μm以下であるとする。電子ビームなどの高エネルギー密度の加熱手段によってインゴット表面を加熱して表層のみを溶融させた後の冷却は、母材側からの抜熱によって行なわれるのが通常である。この際、溶融部の厚みが薄いほど、インゴット表面の単位面積当たりの入熱量が少ないため、加熱直後の冷却速度が大きくなり、そのため冷却されて凝固したスラブ表面層には微細な組織が形成される。そのため、熱延板の表面疵の発生を抑制することが可能となる。しかし、溶融深さを確保するために投入エネルギーを大きくしすぎると、入熱量が大きくなり、加熱直後の母材側からの抜熱による冷却速度が遅くなる。そのため、組織が十分に微細化されなくなり、その結果、熱延板の表面疵が十分に抑制されなくなってしまう。これに対し、本発明ではある一定以上の溶融深さを確保しつつ溶融再凝固層の深さを15mm以下とすることによって溶融部の組織も制御することで、熱間圧延後の表面疵を十分に低減できることがわかった。
[溶融再凝固層の厚み]
上述のとおり本発明では、溶融再凝固層の厚みを3mm以上、15mm未満としている。溶融再凝固層の厚みが3mm未満だと、溶融再凝固層の厚みが薄く、スラブ表層部近傍に鋳造欠陥起因の空隙が残存してしまい、熱延時にその空隙起因でクラックが発生し、熱延板表面に粗大な表面疵が発生してしまう。3mm以上であれば、後述するように溶融再凝固を真空中で行うことから、それより深い位置に残存する空隙は真空でありかつ十分深いため、クラックは発生せず熱延時に圧着するため表面疵に進展しない。そのため、3mmを下限とした。一方、15mm以上と溶融深さを大きくすると、鋳造欠陥は十分に除去されるが、入熱量が大きくなってしまうため溶融再凝固直後の冷却速度が遅くなり、後述するスラブ表層の溶融再凝固層の組織が不十分となってしまうため、これを上限とした。
[溶融再凝固層の組織]
本発明では、溶融再凝固層の組織を針状組織とし、さらに、針状組織の短軸方向の幅が10μm未満としている。α+β二相域で熱延を行う場合、α相同士の変形異方性やα相とβ相の熱間変形抵抗差に起因し表面疵が発生する。変形異方性起因の疵については数mm程度の結晶粒で発生するが、α相とβ相の熱間変形抵抗については、数十μm程度であってもβ相とα相が層状の組織を持って隣接してしまうと発生する場合がある。β相は針状のα相の間に熱延加熱中に生成する。そのため、針状組織を微細とすることでβ相の核形成領域を多くすることができ、α相間に生成するβ相が層状に生成し難くなる。その結果、α相とβ相が層状の組織を持って隣接しなくなり表面疵を抑制することができる。針状組織の短軸方向の幅が10μm未満であれば、粒界面積が十分大きくなり、層状のβ相が生成しなくなることからこれを上限とした。なお、針状組織が微細であるほど表面疵には有利であることから下限については特に規定しない。また、図2に示すように、針状組織は結晶粒を横断するように生成するので、その長軸の長さ、あるいはアスペクト比は、針状組織によって異なるため、針状組織の長軸の長さ、あるいはアスペクト比を限定することはできない。
本発明において、α型又はα+β型チタン合金、すなわち、マルテンサイト変態点が室温以上である組成のものを用い、表層を溶融再凝固し、溶融再凝固層の深さを15mm以下とすることにより、溶融再凝固層の組織を針状組織であって短軸方向の幅が10μm未満の組織とすることができる。β型チタン合金だと、β変態点以上の温度から急冷すると、針状組織を形成せずβ相が室温で安定に存在する。β相はα相と異なり変形異方性が小さいため、上述した異方性起因の凹みは発生し難くなるが、溶融再凝固処理に形成するβ相は非常に粗大なため、この粗大粒に起因した表面疵が発生してしまう。α型又はα+β型チタン合金であれば、マルテンサイト変態点が室温より高温に存在するため、溶融再凝固処理時に針状組織を形成し、組織が微細化され、熱延板の表面疵を抑制することができる。
[溶融再凝固層の厚みの測定方法]
溶融再凝固層の厚みの測定方法について説明する。この溶融再凝固層は断面の埋め込み研磨試料を硝フッ酸水溶液でエッチングした光学顕微鏡写真で容易に判別できる。図1に溶融再凝固処理後のスラブ表層の断面組織の一例を示す。溶融再凝固処理した部位を含むようにサンプルを採取し、機械研磨の後、硝酸濃度が約12%、フッ酸濃度が約1.5%の硝フッ酸水溶液を用いてエッチングする。再溶融凝固処理を施すと、表層部は溶融後、下部の母材との金属接触により急冷されるため、溶融再凝固層には後述するように非常に微細な針状組織やを形成する。一方、母材部では鋳造により形成された粗大な組織を示す。この微細な針状組織層の厚みを測定し、これを溶融再凝固層厚みの値とした。なお、実際にはこの微細針状層には溶融部の他にβ変態点以上融点未満へ加熱後、冷却された熱影響部(βHAZ)も存在するが、これを区別することが困難である。しかしながら、この熱影響部も含めた組織改質層の深さが上述した厚みの範囲にあれば、鋳造欠陥を十分に除去可能であることから、本発明ではβHAZも含めて「溶融再凝固層」とした。
[合金組成]
本発明が対象とするチタン合金は、鋳造後のスラブ表面の溶融再凝固層組織が針状組織となることが重要である。前述のとおり、α型あるいはα+β型チタン合金であり、マルテンサイト変態点が室温以上である合金を用いて、溶融再凝固層の深さを15mm以下とすることにより実現できる。その限りにおいて、合金成分組成としてはとくに限定するものではない。
しかしながら、自動車用エンジン部材やファスナー、ゴルフクラブフェースなどを考えた場合、好ましい成分としては、質量%で、5.5%未満のAl、2,3%未満Fe、4.5%未満のV、3.5%未満のMoを一種以上含有し、さらに、O(酸素)が0.40%未満であり、その他不可避的不純物であることが好ましい。
Alは、α相の安定化元素で、高い固溶強化能を持つため、求める強度に応じて添加するが、5.5%を超えると熱間加工性の低下をもたらすため、5.5%を上限とする。Alの下限は、特に限定しないが、好ましくは0.1%以上である。
Feは、β相安定化元素であり、β相を強化する働きがある。さらに、安価な添加元素であるため、他の元素の添加量を抑制できる。しかしながら、凝固偏析しやすい元素のため添加量が多くなると、スラブ鋳造時に偏析が大きくなり、材質のばらつきが大きくなることが懸念されることから、2.3%を上限とする。Feの下限は、特に限定しないが、好ましくは0.1%以上である。
Oは、α相に侵入固溶して、室温付近の温度でα相を固溶強化するが0.40%を超えると延性が急激に低下するため上限を0.40%とした。下限については、特に限定するものではないが好ましくは0.03%以上である。
VやMoについても添加することで高強度化できるが、高価な元素であること、添加量が多すぎると、熱間圧延時の反力が大きくなり、熱間加工し難くなることから、1種以上それぞれ、Vについては上限4.5%、Moについては3.5%をまで添加してもよい。
次に、本発明の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法について説明する。
[インゴット溶解方法]
本発明で好ましくは、インゴットの溶解方法は電子ビーム溶解もしくはプラズマ溶解とする。上述したように、チタン合金インゴットの溶製方法としては、真空アーク溶解法、および、電子ビーム溶解法が一般的である。しかしながら、真空アーク溶解法では上述したように円柱形のインゴットしか溶製することが出来ないため、真空アーク溶解ではブレークダウン工程を省略し、直接熱延可能なチタン合金スラブを製造することは出来ない。一方、電子ビーム溶解法やプラズマ溶解法では、矩形のインゴットを鋳造することが可能であり、ブレークダウン工程を省略し、直接熱延可能なチタン合金スラブを製造することができる。
[冷間精整]
本発明では、通常の切削等によるインゴット表面手入れを行わず、直接、鋳造ままの鋳肌に溶融再凝固処理を行うこととしている。そうすることで、インゴットの表層部の切削等による精整工程を省略により工程省略や歩留まり向上によるコスト低減が期待できる。但し、溶融再凝固処理でも取り除くことのできない大きな鋳肌欠陥が存在する場合には、部分的に表面を手入れした後、溶融再凝固処理しても良い。
[溶融再凝固の方法]
本発明では、インゴットの表層部を加熱し、溶融再凝固させることを特徴としている。表層部の加熱方法としては、電子ビーム加熱、誘導加熱およびレーザー加熱のうち一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、エネルギー効率や処理時間等から電子ビーム加熱であることが好ましい。
本発明は、溶融再凝固時に、好ましくは、電子ビーム、誘導加熱、レーザーなどによって、真空中でインゴット表層部を加熱することとしている。チタンは非常に活性な金属であるため、大気中で処理をした場合、溶融再凝固部に酸素や窒素が多量に混入してしまい品質が変化してしまう。また、不活性雰囲気であっても溶融再凝固層よりも深い位置に凝固欠陥があり、インゴット鋳造後に表面まで貫通していれば、不活性ガスが充満した空隙が残存してしまう。そうなると、たとえ十分な溶融再凝固層厚があっても熱間圧延時に圧着されず、クラックが発生し粗大な表面疵が発生することがある。真空中で処理すれば溶融再凝固層よりも深い位置の空隙も真空となるため、熱間圧延時に圧着し表面疵に進展しないので好ましい。なお、真空度は、5×10-5Torr程度か、より高い真空度であることが望ましい。即ち、真空中で表層の再溶融を行った場合、熱間圧延時の表面疵がさらに抑制されることになる。
本発明では、インゴット表層を溶融再凝固しているが、その回数については特に制限はなく、必要に応じて回数を増やしても良い。回数が多くなるほど、処理時間が長くなりコスト増になるが、後からの溶融再凝固時の投入エネルギー量を小さくすることで、母材側からの抜熱による冷却速度を速くすることで、組織をより微細にすることができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
Figure 0006171836
表1のNo.1から14に示す参考例、実施例および比較例において、チタン合金スラブ及びインゴットの製造は、電子ビーム溶解法で行い、No.1以外は角型鋳型にて鋳造し、厚さ250mm×幅1000mm×長さ4500mmのスラブとした。
No.1および2に記載の参考例及び比較例は、インゴット・スラブ製造後にインゴット・スラブの鋳肌を切削除去している。一方、No.3から14に記載の比較例および実施例は、スラブ製造後の鋳肌に溶融再凝固処理を施している。
No.3から14いずれも溶融再凝固処理は真空中で、電子ビームによって行った。真空度は5×10-5Torr程度か、より高い真空度とした。表1の「溶融方法」に「EB」と記載したものは電子ビームによって表層の溶融再凝固を行っている。電子ビームによる表層溶融は、規定出力30kWの電子ビーム溶接装置を用いた。
尚、本発明においては、表面層をβ変態点以上の温度に加熱して急冷した微細針状組織からなる層としているが、溶融温度は、β変態点よりも高いので、溶融再凝固過程においては、必ずβ変態点以上の温度になるので、対象とするチタン合金のβ変態温度を事前に測定しなくとも前記組織を作り込むことは可能である。また、前述のとおり、本発明ではα型又はα+β型チタン合金を用いることにより、溶融再凝固時にβ変態点以上に加熱して急冷することとなり、本発明の針状組織を形成することができる。また、チタンスラブ体積を考慮し、再溶融時の電子ビーム電流、電子ビーム加速電圧、電子ビーム照射時間等を選ぶことによって、再溶融層厚さおよび再溶融層の針状組織は、独立に制御することができる。
その後、上記製造したスラブから、鉄鋼材料の熱間圧延設備を用いて、熱間圧延を行い、厚さ4mmの帯状コイルとした。なお、表面疵の評価は、酸洗後の板表層を目視にて行った。
表1の溶融再凝固層の厚みの測定については、スラブ表層付近の断面の埋め込み研磨試料について、硝酸濃度が12%、フッ酸濃度が1.5%の硝フッ酸水溶液を用いてエッチングを行い、顕微鏡観察によって求めた。図1に示すように、溶融再凝固層は母材部と組織が異なり、非常に微細な針状組織を形成するので、この微細な針状組織層の厚みを測定し、これを溶融再凝固層の厚みとした。また、溶融再凝固層の針状組織の短軸方向の幅についても、顕微鏡観察によって図2に示すよう針状組織の短軸方向の幅を50以上測定し、その平均を短軸方向の幅の値とした。
No.1に記載の参考例はTi−1%Fe−0.35%Oからなるチタン合金インゴットを用いて、従来の分塊工程をたどる方法で製造した場合である。分塊工程を経るため、製造された板材の表面疵は、軽微である。
No.2に記載の比較例は、Ti−5%Al−1%Feからなるチタン合金スラブを用いて、スラブ表層の溶融再凝固を行わず、分塊工程を省略して切削工程の後、熱間圧延を行った場合であり、熱延後酸洗を行った板には粗大な表面疵が観察された。
No.3に記載の比較例は、Ti−5%Al−1%Feからなるチタン合金スラブを用いて、スラブ表層をEBにより表層溶融処理を施しているが、溶融再凝固層の厚みが2mmと浅いため、部分的にやや粗大な表面疵が観察された。
No.4に記載の比較例は、Ti−1%Fe−0.35%Oからなるチタン合金スラブを用いて、スラブ表層をEBにより表層溶融処理を施しているが、溶融再凝固層の厚みが20mmと厚すぎるため、溶融再凝固層内の針状組織の短軸方向の幅が15μmと大きく、部分的にやや粗大な表面疵が観察された。
No.5および6に記載の実施例は、Ti−1%Fe−0.35%Oからなるチタン合金スラブを用いて、スラブ表層をEBにより表層溶融処理を施しており、溶融再凝固層の厚みが3mm以上、15mm以下であり、また、溶融再凝固層の針状組織の短軸方向の幅も10μm未満と微細なため、表面疵は軽微であった。
No.7に記載の実施例は、Ti−1.5%Fe−0.5%Oからなるチタン合金スラブを用いて、スラブ表層をEBにより表層溶融処理を施しており、溶融再凝固層の厚みが3mm以上、15mm以下であり、また、溶融再凝固層の針状組織の短軸方向の幅も10μm未満と微細なため、表面疵は軽微であった。
No.8および9に記載の実施例は、Ti−5%Al−1%Feからなるチタン合金スラブを用いて、スラブ表層をEBにより表層溶融処理を施しており、溶融再凝固層の厚みが3mm以上、15mm以下であり、また、溶融再凝固層の針状組織の短軸方向の幅も10μm未満と微細なため、表面疵は軽微であった。
No.10および11に記載の実施例は、Ti−5%Al−1%Fe−0.25%Siからなるチタン合金スラブを用いて、スラブ表層をEBにより表層溶融処理を施しており、溶融再凝固層の厚みが3mm以上、15mm以下であり、また、溶融再凝固層の針状組織の短軸方向の幅も10μm未満と微細なため、表面疵は軽微であった。
No.12に記載の実施例は、Ti−5%Al−2%Feからなるチタン合金スラブを用いて、スラブ表層をEBにより表層溶融処理を施しており、溶融再凝固層の厚みが3mm以上、15mm以下であり、また、溶融再凝固層の針状組織の短軸方向の幅も10μm未満と微細なため、表面疵は軽微であった。
No.13および14に記載の実施例は、Ti−3%Al−2.5%Vからなるチタン合金スラブを用いて、スラブ表層をEBにより表層溶融処理を施しており、溶融再凝固層の厚みが3mm以上、15mm以下であり、また、溶融再凝固層の針状組織の短軸方向の幅も10μm未満と微細なため、表面疵は軽微であった。
尚、上記発明例及び比較例において、電子ビームを用いて表面層の溶融を行ったが、誘導加熱、プラズマ加熱を用いても、投入電力等の動作条件を最適化することで電子ビーム加熱と同様な溶融凝固過程を実現できる。

Claims (6)

  1. チタン合金スラブの少なくとも圧延面にあたる面の表層に溶融再凝固層を有し、前記溶融再凝固層の深さが3mm以上、15mm未満であり、溶融再凝固層の組織が針状組織であり、針状組織の短軸方向の幅が10μm以下であることを特徴とする熱間圧延用チタン合金スラブ。
  2. 前記溶融再凝固層が、再溶融凝固処理により表面層をβ変態点以上の温度に加熱して急冷した微細針状組織からなる層であることを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法
  3. 前記スラブが、電子ビーム溶解炉もしくはプラズマ溶解炉により製造されことを特徴とする、請求項1又は2の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法
  4. 電子ビーム溶解炉もしくはプラズマ溶解炉から直接溶製されチタン合金スラブの製造方法であって、溶製後に溶解鋳造ままの面を溶融再凝固させること特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法
  5. 表層の溶融再凝固層を形成するための加熱を、電子ビーム加熱、誘導加熱およびレーザー加熱のうちの一種また二種以上を組み合わせて行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
  6. の溶融再凝固層を形成するための加熱を真空で行うことを特徴とする、請求項5に記載の熱間圧延用チタン合金スラブの製造方法。
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