JP5754559B2 - 熱間圧延用チタン鋳片およびその製造方法 - Google Patents

熱間圧延用チタン鋳片およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、工業用純チタンからなる熱間圧延用チタン鋳片、およびその製造方法に関するものであり、特に表面品質に優れた熱間圧延用チタン鋳片およびその製造方法に関するものである。本願は、2013年4月1日に日本に出願された特願2013−075886号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
一般に工業用純チタンは、クロール法によって得られたスポンジチタンやチタンスクラップを溶解原料とし、真空アーク溶解(VAR)や電子ビーム溶解(EBR)などによって溶解して、大型の鋳片(インゴット)とすることが通常であった。ここで、鋳片形状としては、真空アーク溶解の場合は円柱状の鋳片(ビレット)に限られ、一方電子ビーム溶解の場合は矩形状の鋳片、すなわちスラブに鋳造することができる。
さらにこのような大型鋳片を素材としてチタン薄板などのチタン材を製造するに当たっては、大型鋳片に対し、必要に応じて表面の切削手入れを行なってから、熱間において分塊圧延もしくは鍛造を施して、その後の熱間圧延に適した形状、寸法のスラブに加工する。これらの分塊圧延もしくは鍛造による熱間加工工程を、ここではブレークダウン工程と称している。そしてさらにブレークダウン後のスラブの表面に形成されている酸化物層や酸素濃化層を除去するため、表面を切削加工によって数mm程度削る切削手入れを施した後、熱間圧延に供するのが通常であった。
しかしながら、このような従来の一般的な手法では、大型鋳片から熱間圧延に適した形状、寸法に加工するための分塊圧延もしくは鍛造によるブレークダウン工程に多大な時間とコストを要し、これがチタン薄板製造の生産性向上、コストダウンに対する大きなネックとなっていた。
ところで、最近に至り、スラブ状の鋳片を鋳造する方法として、前述のような大型インゴット鋳造に代え、電子ビーム溶解等によりハース内で溶解したチタン溶湯を、真空雰囲気に保持された水冷銅鋳型内に連続的に注入し、かつその水冷銅鋳型内で凝固した部分を鋳型の下端側から連続的に引き抜き、所定長さのスラブ状鋳片を得る、DCスラブ鋳造法(ダイレクトキャスト法)によって、比較的薄いスラブ状鋳片、すなわちそのまま熱間圧延に供することが可能な形状、寸法を有するチタン鋳片を製造する技術が確立されつつある。
このような電子ビーム溶解等の真空下でのDCスラブ鋳造法を適用すれば、従来必要とされていたブレークダウン工程を省略することが可能となり、その結果、チタン薄板製造の生産性を向上させ、製造コストを低減することが可能となる。
さらに、上述のように電子ビーム溶解等で真空下でのDCスラブ鋳造法を適用して得られたスラブ(ブレークダウン工程省略)に、熱間圧延に供した場合であっても、熱間圧延後の熱延板の表面性状は必ずしも良好とはならないという問題がある。すなわち、熱延板表面に、数mmから10mm程度の長さにまで及ぶ大小の被さり状の疵が多数発生するという問題がある。このような表面の多数の被さり状の疵を、ここでは表面疵と称することとしている。このような熱延板の表面疵は、鋳造したスラブの粗大鋳造組織に由来すると考えられる。すなわち、熱間加工であるブレークダウン工程を経ていないスラブは、鋳造のまま(as cast;“鋳造まま”)の粗大な結晶粒からなる鋳造組織を有しており、たとえその表面に切削加工を施して表面の凹凸を小さくしても、切削後の表面層には粗大な組織が存在しているのであり、このような粗大な表面の鋳造組織に起因して、熱延板に表面疵が発生すると考えられる。
ここで、粗大な鋳造組織に起因して熱延板に表面疵が発生する具体的要因としては、熱間圧延初期に発生する粗大熱間双晶に起因して、母相と双晶との間の大きな方位差により、母相と双晶の境界部に微小凹みが発生し、その後の熱延の進行に伴い、この凹み上に金属が被さって表面疵となると考えられる。
ところでブレークダウン工程を経ずに得られた熱間圧延用チタンスラブについて、熱間圧延後の熱延板表面に生じる表面疵の発生を防止するために、熱間圧延前にスラブ表面層に改質処理を施しておく方法が、既にいくつか提案されている。
例えば、特許文献1においては、熱間圧延用チタンスラブの表面を、曲率半径が3〜30mmの先端形状を有する鋼製工具、もしくは半径が3〜30mmの鋼球によって、冷間で叩き(塑性加工し)、これによって、うねりの輪郭曲線要素の平均高さが0.2〜1.5mm、平均長さが3〜15mmのディンプルを付与することが提案されている。この提案の方法では、上述のような鋼製工具もしくは鋼球によってチタンスラブの表面層に冷間で所定の塑性歪みを付与しておくことによって、その後の熱間圧延時において表面層を再結晶させ、微細組織を生成させることによって、前述のような粗大組織に起因する凹みの発生を防止することが可能であり、したがってブレークダウン工程を省略しても、熱延版の表面疵を軽減することが可能である。
また特許文献2においては、熱間圧延用チタンスラブの表面、とりわけ熱間圧延時における圧延面となる側の表面に、高周波誘導加熱、アーク加熱、プラズマ加熱、電子ビーム加熱及びレーザー加熱などによって高エネルギーを与えて、その表面層のみを、1mm以上の深さにわたって溶融させ、直ちに急冷再凝固させる方法が提案されている。なおこの提案の方法の場合、チタンの融点は当然にβ変態点以上の温度であるから、表面を溶融させるに伴って、表面の溶融層よりも下側(母材側)の熱影響領域(HAZ)層も、β変態点以上に加熱されて、β変態することになる。そしてこの提案の方法では、熱間圧延用チタンスラブの表面層が溶融することによって、表面が平滑化され、さらにその後に母材側からの抜熱によって溶融層が急冷されて凝固し、同時に下側のHAZ層(β相)が急冷されることによって、溶融層およびHAZ層が、微細な変態組織(通常は微細針状組織)となる。そしてこのようにして微細化された表面層は、その後の熱間圧延の初期において再結晶して、微細で不規則な方位を有する粒状の組織(等軸粒組織)となる。そのため、粗大組織に起因する凹みの発生を防止することが可能であり、熱間圧延後の熱延板の表面疵をも解消することが可能となる。
国際公開2010/090352 特開2007−332420号公報
特許文献1に示されるように、冷間で熱間圧延用チタンスラブの表層に塑性歪みを付与する表面層改質処理方法、および特許文献2に示されるように熱間圧延用チタンスラブの表面に高エネルギーを付与して表面層のみを溶融し、急冷再凝固させる表面層改質処理方法によれば、ブレークダウン工程を経ていない熱間圧延用チタンスラブであっても、その表面状況によっては、有効に表面層を改質して、熱延板の表面疵の発生を防止し得ることが本発明者等の実験によって確認されている。すなわち、既に述べたように、真空下でのDCスラブ鋳造によって得られたスラブも、鋳造したままの鋳片の表面層は、凹凸が激しくかつ欠陥の多い層となっているのが通常であるが、このようなスラブの表面層を数mm程度の深さにわたって、切削加工により除去してから、特許文献1もしくは特許文献2に示されるような表面層改質処理を施せば、その後の熱間圧延後の熱延板における表面疵の発生を抑制することが可能であることが確認されている。
しかしながら、上述のような表面改質処理前の表面切削加工には、多大な手間と時間を要し、歩留まりも大きく低下する。したがってこのような表面切削加工を省略しても、表面改質処理によって熱延板の表面疵発生を抑制することが可能となれば、表面性状が優れたチタン薄板を、高い生産性にて低コストで製造することが可能となる。しかしながら、表面改質処理前に上述のような切削加工を施さずに、黒皮層が表面に存在する鋳造ままの鋳片に表面改質処理を施した場合には、熱間圧延板表面の表面疵発生を確実かつ安定して抑制し得ないことが判明した。
したがって本発明は、ブレークダウン工程を省略するだけではなく、表面改質処理前の切削加工を不要としながらも、その後の熱間圧延後の熱延板表面に表面疵が生じることを確実に回避し得るようにし、これによってチタン熱延板製造の生産性を向上させ、かつコストダウンを図り得るようにした熱間圧延用チタン鋳片、およびその製造方法を提供することを課題としている。
上述の課題を解決するため、前述の特許文献2に示される表面層改質技術について、鋭意実験・検討を重ねたところ、次のような知見を得た。
すなわち、電子ビームなどの高エネルギー密度の加熱手段によって鋳片の表面を加熱して、表面層のみを溶融させた後の冷却は、母材側からの抜熱によって行なわれるのが通常である。この際、溶融層の厚みが薄いほど、鋳片表面の単位面積当たりの入熱量(以下、入熱量に関して単位面積とは1cmを指す)が少ないため、加熱直後の冷却速度が大きくなり、そのため冷却されて凝固した表面層(溶融再凝固層)は、より微細な組織となり、その後に熱間圧延のための加熱を施した時の表面層の組織も、より微細化され、その結果、熱延初期に発生する微小凹みや熱延板の表面疵の発生も確実に抑えることが可能となる。
ところが、溶融深さが浅い場合、表面からある程度の深さの位置に存在する空隙や皺などの欠陥(鋳造に由来するもの)は消滅しないことがある。すなわち、溶融後の再凝固によって表面層の組織を充分に微細化させるためには、溶融深さは数mm程度以下に抑える必要があることが実験的に確認されたが、鋳造に由来する空隙は、それよりも深い位置、すなわち表面から数mmを越え、5〜8mm程度の深さの位置まで存在していることが多く、そのため数mm程度しか溶融させなかった場合には、これらの比較的深い位置の空隙は消滅せず、そのため熱延時にこれらの空隙が起点となってクラックが発生し、表面に微小な凹部が生じ、表面疵が発生することが知見された。
上述の問題を解決するためには、電子ビームなどの高エネルギー密度の加熱手段によって鋳片の表面を加熱して、表面層を溶融させる際の溶融深さを大きくすれば良い、と考えられる。しかしながらその場合には、前述の場合とは逆に、鋳片表面の単位面積当たりの入熱量が大きくなって、加熱直後の母材側からの抜熱による冷却速度が小さくなり、そのため、冷却されて凝固した表面層(溶融再凝固層)の組織は充分に微細化されず、その後に熱間圧延のための加熱を施した時の表面層の組織も十分に微細化されず、その結果、熱延初期に発生する微小凹みや熱延板の表面疵が充分には低減されなくなってしまう。
このような新規な知見をベースとして本発明者らが鋭意実験・検討を重ねた結果、特許文献2に示される表面改質技術をさらに改良することによって、熱延初期に発生する微小凹みや熱延板の表面疵を確実に抑制し得ることを見出し、とりわけ予め切削加工を施していない鋳造ままの鋳肌であっても、熱延初期に発生する微小凹みや熱延板の表面疵を抑制し得ることを見い出した。
すなわち、熱間圧延用スラブの素材となる鋳片の表面層を、電子ビーム照射等によって溶融、再凝固させた後、再び溶融再凝固層の表面に電子ビーム等を照射して、溶融再凝固層のうちの表面領域(溶融再凝固層の深さよりも浅い領域)を、β変態点以上の温度に加熱し、急冷凝固させる。このような電子ビーム等の照射による表面層加熱を2回行うことにより、熱延初期に発生する微小凹みや熱延板の表面疵を確実に防止でき、しかも予め切削加工を施していない鋳造ままの鋳肌であっても、その後の熱間圧延後の熱延板における表面疵の発生を確実に抑制し得ることを見出し、本発明をなすに至ったのである。
本発明によれば、工業用純チタンからなる熱間圧延用チタン鋳片であって、圧延面となる表面において、最表面に針状組織からなる組織微細化層を有し、前記組織微細化層の内側に針状組織からなる内側組織微細化層を有し、前記内側組織微細化層よりもさらに内側は鋳造凝固組織であり、前記組織微細化層は前記内側組織微細化層よりも微細な組織であり、前記組織微細化層が表面から深さ1mm以上、6mm未満までの範囲であり、前記内側組織微細化層が前記組織微細化層の内側であって表面から深さ3mm以上、20mm以下までの範囲である、熱間圧延用チタン鋳片が提供される。
このような本発明の熱間圧延用チタン鋳片においては、熱間圧延時の加熱相当処理を行って再結晶した状態では、後に製造方法に関して説明するように、最表面にある組織微細化層が不規則な方位の等軸微細粒状組織となる。ちなみに本発明において熱間圧延時の加熱相当処理とは、820℃×240分の加熱処理を意味するものとする。すなわちチタンスラブの熱間圧延は、一般に720〜920℃程度に60〜420分程度加熱して行うのが通常である。そこで本発明では、その中間である熱間圧延時加熱条件を採用し、微細化層の微細化の指標として、820℃×240分の熱間圧延時の加熱相当処理を施したときの粒径を規定している。
また本発明によれば、工業用純チタンからなる鋳片素材において、熱間圧延の圧延面となる表面を加熱して、表面から深さ6mm以上、20mm以下までの領域をβ変態点以上に加熱し、表面から深さ3mm以上〜10mmの範囲まで溶融させる第1段目表層加熱処理工程と、前記第1段表層加熱処理後、β変態点より低い温度に冷却する第1段目冷却工程と、前記第1段表層加熱処理と前記第1段目冷却工程が行われた表面を再加熱して、表面から深さ1mm以上、6mm未満までの領域をβ変態点以上に加熱する第2段目表層加熱処理工程と、前記第2段表層加熱処理後、β変態点より低い温度に冷却する第2段目冷却工程とを有する、熱間圧延用チタン鋳片の製造方法が提供される。
なおここで、ここでβ変態点とは、その温度以上ではβ相が安定相で、それ以下では実質的にα相が安定相となる温度で、工業用純チタンでは880〜920℃である。
このような本発明によれば、鋳造後の鋳肌に存在していた激しい凹凸が溶融によって解消されて平滑化され、同時に鋳造時に由来する内部空隙などの欠陥が消滅しており、また粗大な鋳造組織も消失している。しかも、最表面は、再加熱・急冷による組織微細化層とされている。そのため、本発明の熱間圧延用チタン鋳片を熱間圧延に供した際には、鋳造時に由来する皺や内部空隙に起因する表面疵の発生を未然に防止することができると同時に、組織微細化の不充分に起因する熱延初期の微小凹部の発生や熱延板の表面疵の発生をも、確実に未然に防止することができる。
すなわち、第1段目の溶融されて再凝固した際に溶融およびβ変態点以上まで加熱された内側組織微細化層は、最外表面から6mm以上、20mm以下の位置までの充分な厚みを有していて、従来の手法による切削代(数mm程度)より深い位置まで溶融再凝固しているため、表面から数mm程度の位置よりも深い位置に存在していた空隙(通常の切削代を越える深さの位置の空隙)も充分に消滅されていると同時に、最外表面の激しい凹凸も解消される。
一方、第2段目の表面側の再加熱・急冷された組織微細化層は、最外表面から1mm以上、6mm未満の位置までと、薄い層であり、そのため再加熱後の母材からの抜熱による高速の急冷効果によって、充分に微細な組織からなる層となっている。そのため、組織微細化の不充分に起因する熱延初期の微小凹部の発生や熱延板の表面疵の発生をも、確実に防止することができる。
そして上述の各作用は、鋳造後に熱間加工である分塊圧延や鍛造などのブレークダウン工程を経ない状態の鋳片であっても得ることができ、しかも表面に予め切削加工を施していない鋳造ままのいわゆる黒皮の鋳片でも得ることができる。
本発明の熱間圧延用チタン鋳片にあっては、表面から深さ4mm以下の範囲において、α相安定化元素、中性元素の1種または2種類以上を質量%の合計で0%以上、2.0%未満含有しても良い。また、表面から深さ4mm以下の範囲において、β相安定化元素の一種または二種以上を質量%の合計で1.5%以下含有しても良い。さらにまた、表面から深さ4mm以下の範囲において、α相安定化元素、中性元素の一種または二種以上を質量%の合計で0%以上、2.0%未満含有し、β相安定化元素の一種または二種以上を質量%の合計で1.5%以下含有しても良い。
また本発明の熱間圧延用チタン鋳片は、820℃×240分の加熱処理した後の室温での状態で、結晶粒径が3mm以上の結晶粒の個数が表面1mあたり5個以下であることが望ましい。
また本発明の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法は、前記第2段目表層加熱処理工程における単位面積当たりの入熱量を、前記第1段目表層加熱処理工程における単位面積当たりの入熱量よりも小さくする。
ここで、前記第2段目表層加熱処理工程の入熱量を第1段目表層加熱処理工程の入熱量より小さくするのは、第2段目の入熱時に形成される溶融層あるいはHAZ層の厚さを、第1段目において形成されるものより薄くすることが必要であるからである。
さらに本発明の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法は、前記第1段目表層加熱処理工程および第2段目表層加熱処理工程の各工程で、電子ビームの照射ガンを、鋳片素材の表面と平行な方向に連続的に移動させながら電子ビーム照射を行なうようにしても良い。
また、前記第1段目冷却工程および第2段目冷却工程が、鋳片素材の母材側からの抜熱によって行われても良い。例えば、前記第2段目冷却工程において、60℃/min以上の冷却速度でβ変態点を通過させる。
ここで、第2段目冷却工程の冷却速度が60℃/min未満であると、結晶粒の細粒化が不十分となるおそれがある。
また、前記第2段目表層加熱処理工程と前記第2段目冷却工程を複数回行うこともできる。
また、前記第段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にα相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させても良い。また、前記第段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にβ相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させても良い。また、前記第段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にα相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を存在させ、および、鋳片素材の表面にβ相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させても良い。
また本発明の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法は、前記第2段目表層加熱処理工程において、表面を溶融させても良い。この場合、前記第2段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にα相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させても良い。また、前記第2段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にβ相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させても良い。また、前記第2段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にα相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を存在させ、および、鋳片素材の表面にβ相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させても良い。
また本発明の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法において、前記鋳片素材が、DCスラブ鋳造法によって鋳造したもの、電子ビーム等の溶解法によって得られた溶湯を、DCスラブ鋳造法によって鋳造したもの、鋳造ままの鋳肌を有するもの、の何れでも構わない。このような矩形鋳片は、分塊圧延もしくは鍛造からなるブレークダウン工程を経ずに得られたものであり、その溶解法は特に限定するものではないが、電子ビーム溶解法やプラズマアーク溶解法などが適用可能である。電子ビーム溶解法においては、高真空中の溶解であるため、溶解後にスラブ表面付近に残存する空隙内部が真空となるから、熱間圧延時に、その空隙を圧着して無害化しやすい利点がある。
本発明による熱間圧延用チタン鋳片は、表面が平坦でしかも表面直下の内部の微小空隙も少なく、しかも最表面は著しく微細な組織となっている。したがってそれを熱間圧延に供した場合、熱延初期に表面に微小凹部が発生したり、熱延板に表面疵が発生したりすることを、確実かつ安定して防止することができる。そしてこのような効果は、熱間圧延用チタン鋳片を製造するための素材の鋳片として、分塊圧延や鍛造などのブレークダウン工程を経ずしかも切削加工による表面手入れを施していない鋳片を用いても得ることができる。そのためブレークダウン工程および切削加工による表面手入れを省くことが可能となって、従来よりも格段にコストダウンを図ることが可能となる。
本発明の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法の実施形態のフローを示す略解図である。 本発明の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法の実施形態に供される素材(矩形チタン鋳片)の一例の概要とそれに対する電子ビーム照射状況を示す模式的な斜視図である。 本発明の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法の実施形態において素材の矩形チタン鋳片の表面層の推移の一例を段階的に示す模式的断面図である。 本発明の熱間圧延用チタン鋳片の表面付近の断面組織の一例を示す模式図である。 本発明の熱間圧延用チタン鋳片に、熱間圧延時の加熱相当熱処理を施した状態の表面付近の断面組織の一例を示す模式図である。 本発明の熱間圧延用チタン鋳片の表層部分における微細化層と内側微細化層と鋳造凝固組織を示す断面観察写真である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる熱間圧延用チタン鋳片の製造方法における全体的なプロセスの各工程P1〜P4を概略的に示している。なおこの図1においては、前工程P0として、素材となる矩形チタン鋳片の製造工程の一例をも併せて示している。また図2は、本発明の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法の実施形態に供される素材(矩形チタン鋳片)の概要を示すと同時に、その矩形チタン鋳片に対する電子ビーム照射状況を示している。さらに図3は、図1に示した製造方法の一実施形態における、各工程による矩形チタン鋳片の表面近傍の断面状況の推移を段階的に示している。
[前工程P0]
本発明の熱間圧延用チタン鋳片を製造するに当たっては、図1に前工程P0として示しているように、工業用純チタンの溶解原料、例えばクロール法によって得られたチタンスポンジや、チタンスクラップを、ハース内において電子ビーム溶解によって所定量だけ溶解する。得られたチタン溶湯を、DCスラブ鋳造用の水冷銅鋳型、すなわち上下が開放されていて水平断面が矩形状(角部にチャンファーが形成されている場合を含む)をなす水冷銅鋳型内に連続的に注湯する。さらにその鋳型内で凝固された鋳片を下方に連続的に引き抜き、これによって、鋳造したままの形状、寸法で熱間圧延に適した厚み、幅、および長さを有する矩形(スラブ状)の矩形チタン鋳片を得る。このように、鋳片の角部にチャンファーが付与されている場合も広く「矩形」と称することとしている。なお上記の電子ビーム加熱によるハースでの溶解および鋳造時の雰囲気は真空に保たれる。
ここで工業用純チタンとは、JIS規格の1種〜4種、およびそれに対応するASTM規格のGrade1〜4、DIN規格の3・7025,3・7025、3・7025で規定される工業用純チタンを含むものとする。すなわち、本発明で対象とする工業用純チタンは、質量%で、C:0.1%以下、H:0.015%以下、O:0.4%以下、N:0.07%以下、Fe:0.5%以下、残部Tiからなるもの、と言うことができる。さらに、これらに若干の白金族元素を添加し、モディファイド(改良)純チタンと呼ばれている高耐食性合金(ASTM Grade 7、11、16、26、13、30、33あるいはこれらに対応するJIS種や更に種々の元素を少量含有させたチタン材)も、本発明では、工業用純チタンに含まれるものとして扱う。
なお、本発明の熱間圧延用チタン鋳片を製造するに当たって、その素材となる矩形チタン鋳片は、基本的には、任意の溶解法、任意の鋳造法によって得られたものであれば良い。本発明の効果を最も有効に発揮させ得るのは、本実施形態として説明しているように、電子ビーム溶解によってチタンスポンジやチタンスクラップなどの原料を真空下で溶解させ、そのチタン溶湯を、真空下でのDCスラブ鋳造法によって、断面が長矩形状をなす矩形(スラブ状)に鋳造した矩形チタン鋳片である。このようなDCスラブ鋳造法によれば、熱間圧延に適した形状、寸法の断面矩形状の矩形チタン鋳片を容易に得ることができ、そのため分塊圧延や鍛造などの熱間でのブレークダウン工程を省略することができるのである。
また矩形チタン鋳片の寸法は、そのまま熱間圧延に供し得る寸法であれば特に限定されない。熱間圧延としてコイル圧延を適用し、板厚3mm〜8mm程度の熱延コイル薄中板を製造する場合、矩形チタン鋳片としては、厚み150mm〜280mm程度、長さ3m〜10m程度、幅600mm〜1500mm程度とすれば良い。
更に、熱間圧延用に供されるビレット、ブルーム等も圧延面に相当する部分を、本発明の様に熱処理を行って熱間圧延を行っても同様な効果が発揮される。素材となるチタン鋳片は、矩形(スラブ状)に限らず、ビレット、ブルームも含まれる。
前述のようにして電子ビーム溶解等でのDCスラブ鋳造によって得られた矩形チタン鋳片に対しては、そのままの状態で、図1に示すように第1段目表層加熱処理工程P1、第1段目冷却工程P2、第2段目表層加熱処理工程P3、および第2段目冷却工程P4に、その順に供される。ここで、矩形チタン鋳片が、そのままの状態で各工程P1〜P4に供されるとは、分塊圧延や鍛造などの熱間加工によるブレークダウン工程を経ることなく、かつ表面手入れのための切削工程を経ることなく、チタン熱間圧延板製造用スラブの製造のための素材として、鋳造まま(as cast)の材料で、各工程P1〜P4に供されることを意味する。したがって熱間圧延用チタン鋳片の素材となる矩形チタン鋳片は、表面性状として鋳造に由来する粗大な凹凸を有すると同時に、粗大な鋳造組織を有し、かつ表面から8mm〜10mm程度の深さまでの部分には、鋳造に由来する空隙などの欠陥が多数存在したものとなっているのが通常である。
また以下に述べる各工程P1〜P4は、矩形チタン鋳片の外表面のうち、DCスラブ鋳造時の先端面(鋳造開始面に相当する下端面)および後端面(鋳造終了面に相当する上端面)を除く4面のうち、少なくとも熱間圧延工程での圧延面(熱延ロールに接する面)となる2面(すなわち幅広な2面)について施される。なおチャンファーを有する矩形鋳片の場合、チャンファー面は上記の広幅な2面の一部をなすものとする。
具体的には、例えば図2に示しているように、チャンファー11を有する矩形チタン鋳片10においては、その鋳造方向(DCスラブ鋳造における鋳片引き抜き方向)Dに沿った4面10A〜10Dのうちの幅広な2面10A、10B(チャンファー11を含む面)が、熱間圧延時における圧延面となる。そこで、少なくともそのチャンファー11を含む幅広な2面10A、10Bについて、各工程P1〜P4を実施する。
なお、上記の幅広な2面10A、10Bに各工程P1〜P4を実施する場合、各面と各工程の順序としては、次のAとBの2種類のケースがある。この実施形態では、説明の簡略化のため、Bのケースを適用するものとして説明する。なお、第2段目表層の溶解処理を複数回行う場合も上記A、Bの工程もしくはA、Bの両方の工程を混在させてもよい。
A:2面10A、10Bのうち、一方の面10Aに対して第1段目表層加熱処理工程P1〜第1段目冷却工程P2を実施した後、他方の面10Bに対して、同様に第1段目表層加熱処理工程P1〜第1段目冷却工程P2を実施する。その後、これらのいずれか一方の面(例えば10A)について第2段目表層加熱処理工程P3〜第2段目冷却工程P4を実施し、さらに他方の面(例えば10B)について第2段目表層加熱処理工程P3〜第2段目冷却工程P4を実施するケース。
B:2面10A、10Bのうち、一方の面10Aに対して第1段目表層加熱処理工程P1〜第1段目冷却工程P2を実施した後、引き続いて同じ面10Aについて第2段目表層加熱処理工程P3〜第2段目冷却工程P4を実施する。その後に他方の面10Bに対して第1段目表層加熱処理工程P1〜第1段目冷却工程P2を実施し、引き続いて同じ面10Bについて第2段目表層加熱処理工程P3〜第2段目冷却工程P4を実施するケース。
さらに、鋳造方向Dに沿った4面10A〜10Dのうちの幅広な2面(熱間圧延時における圧延面となる面)10A、10Bのみならず、幅狭の2面(熱間圧延時におけるエッジ側となる面)10C、10Dについても,各工程P1〜P4を実施しても良い。その場合のエッジ側の2面10C、10Dについての各工程P1〜P4は、熱延面となる幅広な2面10A、10Bについての各工程P1〜P4が終了してから、改めて実施してもよい。あるいは上記のAのケースにおいて、熱延面となる幅広な2面10A、10Bについて第1段目表層加熱処理工程P1〜第1段目冷却工程P2を実施した後、引き続いてエッジ側の2面10C、10Dについて、同様に第1段目表層加熱処理工程P1〜第1段目冷却工程P2を実施し、その後に熱延面となる幅広な2面10A、10Bおよびエッジ側の2面10C、10Dについて、順次第2段目表層加熱処理工程P3〜第2段目冷却工程P4を実施しても良い。但し本実施形態では、説明の簡略化のため、エッジ側の2面10C、10Dについての各工程P1〜P4については省略している。
以下にさらに各工程P1〜P4のそれぞれについて詳細に説明する。
[第1段目表層加熱処理工程P1]〜[第1段目冷却工程P2]
前述のように、電子ビーム溶解とDCスラブ鋳造によって得られた矩形チタン鋳片は、そのまま、第1段目表層加熱処理工程P1に供される。この第1段目表層加熱処理工程P1は、図2に示しているように、矩形チタン鋳片10の外表面のうち、少なくとも熱間圧延工程での圧延面(熱延ロールに接する面)となる幅広な2面10A,10Bについて、その面における表面層のみを加熱して溶融させる工程である。ここでは先ずその2面10A,10Bのうちの一方の面10Aについて実施するものとする。なお、表面層の加熱は、例えば電子ビームを照射して行う。以下、加熱方法の一例として電子ビーム照射を例にして説明する。
ここで、図2に示しているように、矩形鋳片10の面10Aに対する一基の電子ビーム照射ガン12による電子ビームの照射領域14の面積は、照射すべき面10Aの全面積と比較して格段に小さいのが通常である、そこで実際には、電子ビーム照射ガン12を連続的に移動させながら、あるいは、矩形鋳片10を連続的に移動させながら、電子ビーム照射を行なうのが通常である。この照射領域は、電子ビームの焦点を調整することによって、あるいは電磁レンズを使用して小ビームを高周波数で振動(オシレーション Oscillation)させてビーム束を形成させることによって、その形状や面積を調整することができる。そして本実施形態の説明では、図2中の矢印Aで示しているように、電子ビーム照射ガン12を連続的に移動させるものとして、以下の説明を進める。なお電子ビーム照射ガンの移動方向は特に限定されないが、一般には矩形鋳片10の長さ方向(通常は鋳造方向D)または幅方向(通常は鋳造方向Dと垂直な方向)に沿って連続的に移動させ、前記照射領域14の幅W(円形ビームまたはビーム束の場合は、直径W)で連続的に帯状に照射する。さらにその隣の未照射の帯状領域について逆方向(もしくは同方向)に照射ガン12を連続的に移動させながら帯状に電子ビーム照射を行なう。また場合によっては複数の照射ガンを用いて、同時に複数の領域について同時に電子ビーム照射を行なっても良い。図2では、矩形鋳片10の長さ方向(通常は鋳造方向D)に沿って矩形ビームを連続的に移動させる場合を示している。また、一度照射した部位に隣接する部位をビームが通過する際には、先に照射した部位の1/2〜1/4程度を重ねて照射するようにし、所望の処理深さが、すべての領域において達成できるように処理することによって、本発明の効果を十分に発揮させることができる。
このような第1段目表層加熱処理工程P1によって矩形チタン鋳片10の表面(面10A)に電子ビームを照射して、その表面を工業用チタンの融点(通常は1670℃程度)以上の温度に加熱すれば、図3(A)の中央左寄りに示すように、矩形チタン鋳片10の面10Aの表面層が、入熱量に応じた深さd1だけ溶融される。すなわち、表面から厚み方向に深さd1の位置までの領域が溶融層(第1段目溶融層)16となる。またその第1段目溶融層16よりも鋳片内部側の領域も、電子ビーム照射による熱影響によって温度上昇し、純チタンのβ変態点以上の温度となった部分(熱影響層=HAZ層)がβ相に変態する。このように第1段目表層加熱処理工程P1での電子ビーム照射による熱影響によってβ相に変態した領域を、本明細書では第1段目β変態層18と称している。なおこの第1段目β変態層18の厚みをd2とする。
ここで、第1段目表層加熱処理工程P1による第1段目溶融層16およびβ変態層18の深さd1+d2は、6mm〜20mmの範囲内とする。なお、第1段目溶融層16の厚みd1は特に限定しない。d1+d2の深さが前記深さとなればよく、通常はd1は3mm〜10mmの範囲内とすることが望ましい。
電子ビーム照射による溶融深さには、主として入熱量が関係するから、上記の溶融深さ+β変態層のd1+d2(6mm〜20mm)が得られるような入熱量となるように、電子ビーム照射条件を選定する。実際には、鋳片の厚み(熱容量)や、母材温度、母材側の冷却条件などによっても必要な入熱量は異なるから、上記の溶融厚みを得るための入熱量は一概には決められないが、通常は、単位面積当たり(1cm2当たり)の入熱量を、80〜300J程度とすれば良い。またここで、単位面積当たりの入熱量に影響する電子ビーム照射条件としては、照射ガンの出力およびビーム径、さらに前述のように照射ガンを連続的に移動させながら照射する場合のガン移動速度(照射位置移動速度)などがあり、これらを適切に設定して上記の入熱量を確保すればよい。
照射ガンを連続的に移動させながら電子ビームの照射を行えば、照射が終了した部分の第1段目溶融層16およびβ変態層18は、図3(A)の中央付近に示すように、母材(鋳片10の内部)からの抜熱によって冷却され、凝固温度以下に達すれば、凝固して再凝固層(以下、これを第1段目溶融再凝固層と記す)20となる。また、電子ビーム照射による第1段目溶融層の下側の熱影響層(第1段目β変態層18)は、β変態点より高い温度に加熱された後、β変態点より低い温度に冷却されることによって、α相に逆変態する。そしてこのようにβ変態した層がさらにα相に逆変態する過程で、粗大な鋳造組織が消失し、微細な針状組織となる(以下、これを第1段目HAZ層と記す)。このように第1段目β変態層18が冷却されてα相に逆変態した層を、図3では第1段目HAZ層22として示している。このような冷却過程が第1段目冷却工程P2に相当する。ここで、照射ガン12を連続的に移動させながら矩形チタン鋳片10の表面に電子ビームを照射する本実施形態の場合、矩形チタン鋳片10の板面10Aのある個所に電子ビームが照射されて第1段目表層加熱処理工程P1が進行している間において、他の個所(既に照射が終了した個所)では、β変態点より低い温度まで冷却する第1段目冷却工程P2が進行していることになる。
なお、特に図示はしていないが、矩形チタン鋳片の表面に対する電子ビームの照射を行なって、第1段目表層加熱処理工程P1を実施した後に、第1段目冷却工程P2を実施するに当たっては、ステンレス鋼、銅、アルミなどの熱伝導材料(金属)からなる水冷基台上に矩形チタン鋳片を載置しておき、電子ビームの照射によって矩形チタン鋳片が全体的に温度上昇しないようにする。そして、第1段目表層加熱処理工程P1が実施された後に、直ちに母材側からの抜熱が急速に進行して第1段目冷却工程P2が実施されるようにする。これにより、本発明の効果をさらに高めることができる。
上述のような第1段目表層加熱処理工程P1から第1段目冷却工程P2にかけてのプロセスにおいて、電子ビーム照射によって溶融した矩形チタン鋳片の表面(第1段目溶融層16)は、表面張力によって平坦化され、鋳肌表面の粗大な凹凸10Pが解消される。また表面(第1段目溶融層16)の溶融によって、その表面の内部に存在していた鋳造由来の空隙10Qも消失する。したがって第1段目溶融層16を冷却凝固させた第1段目溶融再凝固層20は、表面の凹凸が少なく、かつ内部の空隙も少ない層となる。また溶融によって粗大な鋳造組織が消失し、その後の冷却過程での凝固、さらにβ相からα相への変態によって微細な針状組織が生成される。この冷却・凝固は、母材側からの抜熱によって行われるが、母材側からの抜熱による冷却速度はかなり大きく、そのため、凝固、変態後の針状組織は微細な組織となる。
また第1段目β変態層18は、β変態点より高い温度に加熱された後、母材側からの抜熱による大きい冷却速度で冷却されてα相に逆変態し第1段目HAZ層22となる。このため、第1段目HAZ層22も、微細な針状組織となる。
但し、第1段目溶融再凝固層20+第1段目HAZ層22の厚みは、6mm以上と比較的大きいため、後に改めて説明するように、第1段目冷却工程P2での冷却速度は、第2段目冷却工程P4での冷却速度よりも小さいことに留意されたい。
なお、第1段目の溶融深さ(深さd1)は、ある程度の深さの位置に存在する空隙や皺などの欠陥(鋳造に由来するもの)を消滅させるために行う行程である。通常、鋳肌の表面を目視観察することによって、どの程度の欠陥があるかがある程度予測できるために、目視観察結果から、第1段目溶融再凝固層20の厚みを決定すればよい。
ここで第1段目表層加熱処理工程P1における溶融層(第1段目溶融層16)の深さd1が3mmよりも小さければ、鋳片(矩形チタン鋳片10)における表面から3mm〜10mm付近に存在する鋳造由来の空隙を消失させることができない。その結果、表面層改質効果が不充分となって、熱延板に上記の空隙に由来する表面疵が発生するおそれがある。また鋳片の表面層内部の空隙などの欠陥は、表面から10mmを越える深さの位置ではほとんど無視できる程度に少なくなるのが通常であり、存在しても、熱延工程で圧着し無害化される。そのため溶融層の深さd1を10mmよりも大きくしても、それ以上は改質効果の向上は期待できない。一方、10mmを越えて溶融深さを深くするためには、処理速度(照射ガン移動速度)を遅くしたり、照射ガンの電子ビーム出力を大きくしたりする必要があり、そのため処理能率の低下やコスト増加を招くおそれがある。そこで、第1段目表層加熱処理工程における溶融深さ(第1段目溶融層の深さ)d1は、3mm〜10mmとすることが好ましい。しかしながら、溶融深さd1とその下部にあるβ変態層(第1段目β変態層18)の深さd2では第1段目冷却過程P2においてβ相からα相への変態によって微細な針状組織が生成されるため、d1とd2を明確に区別することが困難な場合がある。一方、深さd2より下部の母材部28は鋳造のままの粗大な組織(鋳造凝固組織)であるため判別が可能である。d1+d2の合計の厚みを6mm〜15mmとすると、d1の厚みはおおよそ3〜10mmとなることが分かったことから、d1+d2を6〜20mmの範囲内とした。なお、第1段目溶融層16が、第1段目冷却工程P2によって再凝固してなる第1段目溶融再凝固層20の厚みは、実質的に第1段目溶融層16の溶融深さd1と同じである。さらに、第1段目β変態層18が、第1段目冷却工程P2によってβ変態点以下に冷却によりなる第1段目HAZ層22の厚みは、実質的に第1段目β変態層18の深さd2と同じである。したがって第1段目溶融再凝固層20および第1段目HAZ層22の厚みもここではd1およびd2とし、この合計を6mm〜20mmの範囲内とした。もちろん実際には、素材鋳片(矩形チタン鋳片10)の表面の凹凸の影響や凝固収縮、また表面層内の空隙の消滅などの影響によって、第1段目溶融層16や第1段目β変態層18の深さと第1段目溶融再凝固層20や第1段目HAZ層22の厚みとが若干異なることもあるが、その差はわずかに過ぎず、実質的に同一と言うことができる。なお第1段目表層加熱処理工程における第1段目溶融深さと第1段目HAZ層深さd1+d2は、上記の範囲内でも、特に下限は8mm以上が好ましく、また上限は16mm以下、さらに好ましいのは13mm以下である。
[第2段目表層加熱処理工程P3]〜[第2段目冷却工程P4]
前述のような第1段目表層加熱処理工程P1および第1段目冷却工程P2によって、矩形チタン鋳片10における圧延面となる幅広な2面のうちの一面10Aについて、表面から6mm〜20mmの深さにわたって第1段目溶融再凝固層20および第1段目HAZ層22が形成された後、図3(B)の中央左寄りに示すように、第2段目表層加熱処理工程P3として、第1段目溶融再凝固層20の表面に再び電子ビームを照射し、第1段目溶融再凝固層20の表面層を急速加熱する。この第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビーム照射は、第1段目表層加熱処理工程P1における電子ビーム照射と同様に、照射ガン12を矩形スラブに対し相対的に連続移動させながら表面に電子ビームを照射することにより、面10Aのほぼ全面を再加熱し、かつその再加熱層24を、母材側からの抜熱によって急冷し、組織微細化層26とする。
ここで、第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビーム照射は、矩形チタン鋳片10の表面(第1段目溶融再凝固層20の表面)10Aを、その最表面から、厚み方向に1mm以上、6mm未満の深さの位置までの領域(厚みd3の領域)がβ変態点以上となるように再加熱して、β変態を生起させるように行なう。このようにβ変態点以上に再加熱した領域を、ここでは再加熱層24と称する。この再加熱層24は、冷却後に組織微細化層26となる。
このように1mm以上の深さにわたってβ変態点以上となるように電子ビーム照射による加熱を行った場合、最表面の薄い層(0.5〜2mm程度以下:符号24Aの領域)は融点以上の温度に加熱されて、最表面層が再び溶融されることが多い。このように最表面層が溶融しても特に問題はなく、要は最表面から、厚み方向に1mm以上、6mm未満の深さの位置までの領域がβ変態点以上に加熱された再加熱層24となれば良い。もちろん最表面が溶融されずに、最表面から1mm以上、6mm未満の深さの位置までβ変態点以上に加熱されて、その再加熱層14全体がβ変態層となっていても良い。したがって第2段目表層加熱処理工程P3による再加熱層24は、最表面の溶融層(本明細書では第2段目溶融層24Aと記す)とその下側のβ変態層24Bとからなる場合と、厚み方向の全体にわたってβ変態層24Bのみによって構成される場合とがある。そして本実施形態では、再加熱層24の最表面が溶融されて第2段目溶融層24Aとなった場合について示している。
第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビーム照射の入熱量は、1mm以上、6mm未満の深さの位置までの領域がβ変態点以上となるように定めればよい。すなわち再加熱層24の厚みd3が1mm以上、6mm未満となるように制御すれば良い。
ここで、第1段目表層加熱処理工程P1における電子ビーム照射は、溶融深さ(したがって融点以上に加熱される深さ)d1が3mmから10mmとするようにd1とHAZ層d2の合計が6mmから20mmとなるように入熱させるのに対して、第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビームの照射は、β変態点以上に加熱される深さd3が1mm以上、6mm未満となるように入熱を制御する。β変態点は、融点より格段に低い温度であり、しかも第2段目表層加熱処理工程P3で規定している表面からのβ変態点以上の加熱深さは、第1段目表層加熱処理工程P1における溶融深さよりも浅い。したがって、第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビーム照射の入熱量(単位時間、単位面積当たり)は、第1段目表層加熱処理工程P1における電子ビーム照射の入熱量と比較して小さくなるように制御すれば良い。その制御のための具体的手段としては、例えば、照射ガンの出力を第1段目表層加熱処理工程P1よりも小さく抑える、あるいは照射ガンのビーム径を第1段目表層加熱処理工程P1大きくする、さらにはガン移動速度(照射位置移動速度)を第1段目表層加熱処理工程P1よりも大きくする、などの手段がある。これらの手段のいずれか一つを適用するか、もしくは2以上の手段を組み合わせて適用すれば良い。なお第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビーム照射の具体的な入熱量は、特に限定されないが、通常は、単位面積当たり(1cm2当たり)15〜80J程度とすれば良い。
第2段目表層加熱処理工程P3においても、第1段目表層加熱処理工程P1と同様に、鋳片(矩形チタン鋳片10)の面10Aのほぼ全域に渡って処理するために照射ガンを鋳片に対し相対的に連続的に移動させながら電子ビームの照射を行う。その際、一度照射した部位に隣接する部位をビームが通過する際には、先に照射した部位の1/2〜1/4程度を重ねて照射するようにし、所望の処理深さが、すべての領域において達成できるように処理することによって、本発明の効果が十分に発揮できる。その間において、照射が終了した部分の再加熱層24は、母材(鋳片内部)からの抜熱によって急冷される。ここで、再加熱層の最表面が溶融して第2段目溶融層24Aが存在している場合には、その第2段目溶融層24Aが急冷により凝固し、さらにβ変態点以下に急冷されてα相組織の第2段目溶融再凝固層26Aとなる。またその下側の第2段目β変態層24Bも、β変態点より高い温度に加熱された後、β変態点より低い温度まで急冷されて、α相組織の第2段目HAZ層26Bとなり、これらの層26A、26Bの全体が、後述する組織微細化層26を構成する。このような冷却過程が第2段目冷却工程P4に相当する。
なお、第2段目表層加熱処理工程P3〜第2段目冷却工程P4においても、第1段目表層加熱処理工程P1〜第1段目冷却工程P2と同様に、矩形チタン鋳片10を、良熱伝導材料(金属)からなる水冷基台上に載置しておき、電子ビームの照射によって矩形チタン鋳片10が全体的に温度上昇しないように、また第2段目冷却工程P4で母材側からの抜熱が急速に進行するようにすることによって、本発明の効果をさらに高めることができる。
なおまた、第2段目表層加熱処理工程P3において照射ガンを鋳片に対し相対的にかつ連続的に移動させながら矩形チタン鋳片の表面に電子ビームを照射する本実施形態の場合、第1段目表層加熱処理工程P1〜第1段目冷却工程P2と同様に、矩形チタン鋳片の表面のある個所に電子ビームが照射されて第2段目表層加熱処理工程P3が進行している間において、他の個所(既に照射が終了した個所)では第2段目冷却工程P4が進行することになる。
ここで、第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビーム照射の単位時間、単位面積当たりの入熱量は、第1段目表層加熱処理工程P1における電子ビーム照射の入熱量と比較して小さいから、電子ビーム照射後の母材側からの抜熱による第2段目冷却工程P4での冷却速度は、第1段目冷却工程P2での冷却速度よりも大きくなる。すなわち、再加熱層24の最表面が溶融して第2段目溶融層24Aが生じた場合における、第2段目冷却工程P4での第2段目溶融層24Aの凝固速度は、第1段目冷却工程P2における第1段目溶融層16の凝固速度よりも大きくなり、さらにその後の冷却速度も、第2段目冷却工程P4より大きくなる。また第2段目冷却工程P4において、第2段目β変態層24Bがβ変態点より低い温度に冷却される冷却速度も、第1段目冷却工程P2における第1段目β変態層24Bの冷却速度よりも大きくなる。したがって、第2段目冷却工程P4によって凝固/冷却された再加熱層24の組織は、第1段目冷却工程P2により冷却/凝固された組織(第1段目溶融再凝固層20および第1段目HAZ層22の組織)よりも充分に微細な組織(微細針状組織)となる。このように再加熱層24の組織を微細化した層を、組織微細化層26と称している。
また、この組織微細化層26の内側には、第1段目表層加熱処理工程P1および第1段目冷却工程P2で形成された第1段目溶融再凝固層20と第1段目HAZ層22が残ることになる。このように組織微細化層26の内側に残った第1段目溶融再凝固層20と第1段目HAZ層22は、組織微細化層26に比べると比較的粗大な針状組織となる。本発明では、このように組織微細化層26の内側に残った第1段目溶融再凝固層20と第1段目HAZ層22を、総括して「内側組織微細化層」と呼ぶ。なお、ここで言う「比較的粗大な」とは、「組織微細化層26に比べと第1段目HAZ層22が、組織微細化層26に比べると微細化の程度が少ない」という意味であり、一般的な基準では、「内側組織微細化層」も微細な針状組織である。
ここで、第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビームの照射によってβ変態点以上に加熱される深さd3が1mm未満では、組織微細化層26が薄すぎるため、組織微細化によって熱延板表面の疵発生を確実に防止する効果が充分に得られない。一方、その深さd3が6mm以上となれば、電子ビーム照射後の母材からの抜熱による冷却速度が遅くなり、充分な組織微細化が必ずしも十分には図れなくなる。したがって第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビームの照射は、β変態点以上に加熱される深さd3が1mm以上、6mm未満となるように制御する。すなわち、表面から1mm以上、6mm未満の位置までを、β変態点以上の再加熱層24とする。
なお第2段目表層加熱処理工程P3における電子ビームの照射によってβ変態点以上に加熱される深さ(再加熱層24の厚み)d3は、上記の1mm以上、6mm未満の範囲内でも、特に下限は2mm以上、上限は5mm以下の範囲内が望ましい。
また、第2段目表層熱処理は複数回行ってもよいが、いずれの熱処理においても少なくとも第1段目表面熱処理において組織が改質された深さより浅くすることが重要である。
ここで、第2段目冷却工程(複数回行う場合も含む)によって再加熱層24を冷却して得られた組織微細化層26における結晶組織(針状組織)の微細化の程度を定量的に表すためには、そのままの状態ではなく、熱間圧延時の加熱処理相当を行って再結晶させた状態で表すことができる。すなわち不規則な方位の微細再結晶粒状組織となった状態で、3mm以上の粒径の結晶粒の個数がスラブ表面1mあたり5個以下であれば良い。すなわち、再加熱・急冷による針状組織の微細化の程度は、そのままでは規定することが困難である。そこで、再加熱・急冷による組織微細化層26の微細化を定量的に表すために、熱間圧延時の加熱処理相当後の状態の粒径を用いている。なお熱間圧延時の加熱処理相当とは、820℃×240分の加熱処理を意味するものとする。
組織微細化層26における結晶組織(針状組織)が、熱間圧延時の加熱処理相当の熱処理を行って再結晶させた状態、すなわち不規則な方位の等軸微細粒状組織となった状態で、3mm以上の粒径の結晶粒の個数がスラブ表面1mあたり5個を越える場合には、第2段目表層加熱処理工程〜第2段目冷却工程を行なわなかった場合(すなわち第1段目表層加熱処理工程〜第1段目冷却工程によって製品の熱間圧延用スラブとした場合)よりも顕著に微細化が図られたとは言えず、熱延初期に発生する微小凹みや熱延板の表面疵の発生を、確実かつ安定して防止することが困難となる。なお、熱間圧延時の加熱処理後の組織微細化層26において、3mm以上の粒径の結晶粒の個数は、スラブ表面1mあたり5個以下のうちでも、特に1個以下とすることが好ましい。これらの結晶粒径は、表面から深さ1mm以上、6mm未満までの領域をβ変態点以上に加熱する第2段目表層加熱処理工程を行うことによって、確実に得られる。
なお、結晶粒径とは、スラブの厚み方向断面の該当領域における結晶粒径を意味する。具体的には、例えばスラブの長さ方向(圧延方向D)に対して直交する断面(厚み方向断面)において、幅広の面(圧延面)10A、10Bの、外表面からスラブの厚み方向に該当領域全体が包含される深さまで全結晶粒の粒径を測定し、かつそれをスラブの幅方向の所定距離にわたって測定した結晶粒径を示すものとする。ここで、信頼性の高い粒径を求めるには、スラブの幅の1/2程度(半幅)の距離にわたって測定を行うことが望まれる。
更に、第2段目表層加熱処理工程P3において、矩形チタン鋳片の表面にα相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を存在させ、矩形チタン鋳片の表層部を溶融させる際に、α相安定化元素、中性元素を一緒に溶融させ、表層部にα相安定化元素、中性元素を濃化させても良い。α相安定化元素、中性元素の素材としては、粉末、チップ、ワイヤー、薄膜、切り粉のうちの一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。α相安定化元素および中性元素は、Al、Sn、Zrとすることが望ましい。これらの元素をチタン中に含有すると、α単相域で結晶粒成長を抑制することができる。そのため、熱延する際にα相高温域に加熱しても、結晶粒を微細に保つことができる。結晶粒成長に抑制には、ある程度以上の濃度が必要である。熱間圧延用チタン鋳片の表面から深さ4mm以下の範囲において、α相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を質量%の合計で0%以上、2.0%未満含有することが望ましい。
また、第2段目表層加熱処理工程P3において、矩形チタン鋳片の表面にβ相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、矩形チタン鋳片の表層部を溶融させる際に、β相安定化元素を一緒に溶融させ、表層部にβ相安定化元素を濃化させても良い。β相安定化元素の素材としては、粉末、チップ、ワイヤー、薄膜、切り粉のうちの一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。β相安定化元素としては、V、Mo、Fe、Cr、Mn、Ta、Nb、NiCo、Cu、Wなどが挙げられる。しかしながら、チタンでは、融点の高いWなどの元素は、HDI(高密度介在物)の原因となり、未溶融や拡散不十分のままチタン材の中に残存すると疲労の起点となるため、使用には注意が必要である。β安定化元素はV、Mo、Ta、Nbなどの全率固溶型と、Fe、Cr、Mn、Co、Ni、Cuなどの共析型に分類することができ、共析型では各β安定化元素の固溶度は小さいが、β安定化能は大きいため、共析型のβ安定化元素の方が少量の添加でも有効である。第2段目表層加熱処理工程P3においてβ安定化元素を一緒に溶融することで、矩形チタン鋳片の表層にβ安定化元素が含有される。その結果、β安定化元素添加による焼入れ性向上により、より微細な組織とすることができる。ここで言う「焼入れ性向上」とは、チタン鋳片の表層にβ安定化元素を含有させることで、冷却時の変態のノーズを長時間側にシフトさせることにより、低温で変態させることを指す。低温で変態させることで核生成サイトを増加させ、結晶粒を微細化させることができる。熱延加熱時にはα+βの二相域の状態となり、α相の粒界にβ相が生じることで、α相の粒成長が抑制される。そのため、熱延時の結晶粒が微細結晶粒のまま保たれることに起因して、表面疵が発生しない、チタン熱延材が製造される。熱間圧延用チタン鋳片の表面から深さ4mm以下の範囲において、β相安定化元素の一種または二種類以上を質量%の合計で1.5%以下含有することが望ましい。
あるいはまた、第2段目表層加熱処理工程P3において、矩形チタン鋳片の表面に、α相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上と、β相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、矩形チタン鋳片の表層部を溶融させる際に、α相安定化元素、中性元素およびβ相安定化元素を一緒に溶融させ、表層部にα相安定化元素、中性元素およびβ相安定化元素を濃化させても良い。この場合、熱間圧延用チタン鋳片の表面から深さ4mm以下の範囲において、α相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を質量%の合計で0%以上、2.0%未満含有し、かつ、β相安定化元素の一種または二種類以上を質量%の合計で1.5%以下含有することが望ましい。
なお、2段目表層熱処理を複数回行う場合は、このように表層部にα相安定化元素、中性元素やβ相安定化元素を濃化させる操作は、最終の熱処理時に行うのが望ましい。
また、β相安定化元素を含有させた場合は、820℃、240分の熱処理で再結晶が生じず、針状組織の状態の場合があり、この時の結晶粒径を正確に測定することは困難である。しかし、一般的に針状組織は再結晶組織より微細であるために、熱間圧延後においても表面疵発生を抑止することができる。
前述のようにして、矩形チタン鋳片10の幅広な2面(熱延時の圧延面)10A、10Bのうち、一方の面10Aについて、第1段目表層加熱処理工程〜第1段目冷却工程〜第2段目表層加熱処理工程〜第2段目冷却工程を施した後には、例えば矩形チタン鋳片10を反転させて、他方の面10Bについて、前記と同様に、第1段目表層加熱処理工程〜第1段目冷却工程〜第2段目表層加熱処理工程〜第2段目冷却工程を施す。なお場合によっては、一方の面10Aについて第1段目表層加熱処理工程〜第1段目冷却工程を施した後、他方の面10Bについて第1段目表層加熱処理工程〜第1段目冷却工程を施し、その後、各面10A,10Bについて、順次第2段目表層加熱処理工程〜第2段目冷却工程を施しても良い。
なお以上の実施形態では、鋳造方向(DCスラブ鋳造における鋳片引き抜き方向)Dに沿った4面10A〜10Dのうち、幅広な2面(熱間圧延時における圧延面で、チャンファー11が存在する場合はこれを含む:図2参照)10A、10Bについて処理するものとしているが、前記4面のうち、幅狭の面(熱間圧延時におけるエッジ側となる面)10C、10D(図2参照)についても、幅広な2面10A、10Bに対する処理と同様な処理をおこなっても良い。
すなわち、熱間圧延においては、熱延素材のスラブに圧下が加えられることによって、素材のエッジ側の面の少なくとも一部は、熱延板の板面側に回り込むのが通常である。そのため、矩形鋳片のエッジ側の面の表面層の組織が粗大であったり、多数の欠陥が存在していれば、熱延板の幅方向両端近くの表面に凹みなどの表面疵が発生してしまう可能性がある。これに対して、矩形鋳片のエッジ側の面にも前記同様の改質処理を施しておくことによって、このような事態が発生することを有効に防止することが可能となる。
このようにエッジ側の2面10C、10Dについても、前記と同様に第1段目表層加熱処理工程〜第1段目冷却工程〜第2段目表層加熱処理工程〜第2段目冷却工程を施す場合、エッジ側の2面10C、10Dについての各工程は、幅広な2面10A、10Bについての各工程が終了してから実施してもよい。あるいは幅広な2面10A、10Bについての各工程の間に適宜実施してもよい。
以上のようにして得られた熱間圧延用チタン鋳片、すなわち矩形チタン鋳片に対して改質処理を施した熱間圧延用チタン鋳片の表面付近(たとえば板面10A付近)の断面組織状態の組織を、図4に模式的に示す。さらにその熱間圧延用チタン鋳片に熱間圧延時の加熱処理相当を行った状態の組織を、図5に模式的に示す。図6は、図4に相当する熱間圧延用チタン鋳片の表層部分における微細化層と内側微細化層と鋳造凝固組織を示す断面観察写真である。
図4に示す熱間圧延用チタン鋳片30は、第2段目冷却工程終了後の状態(図3(B)の右側の状態)に相当する。この熱間圧延用チタン鋳片30は、母材部分28(第1段目HAZ層22よりもスラブ内側の部分)は、鋳造のままの粗大な組織(鋳造凝固組織)であるが、それよりも表面側の部分は、最表面に針状組織からなる組織微細化層26を有し、組織微細化層の内側に針状組織からなる内側組織微細化層27を有している。なお、上述したように、内側組織微細化層27は、第2段目表層加熱処理工程P3と第2段目冷却工程P4を実施した後に、組織微細化層26の内側に残った第1段目溶融再凝固層20と第1段目HAZ層22である。
図6(写真)は、第2段目冷却工程終了後の状態(図3(B)の右側の状態)に相当する熱間圧延用チタン鋳片の表層部分を示している。この熱間圧延用チタン鋳片スラブ30は、母材部分28(内側組織微細化層27(第1段目HAZ層22)よりもスラブ内側の部分)は、鋳造のままの粗大な組織である。熱間圧延用チタン鋳片30の表層は、最表面の組織微細化層26と、それよりも内側の内側組織微細化層27との、2層の微細針状組織となっている。なお、内側組織微細化層27は、第1段目表層加熱処理工程P1と第1段目冷却工程P2の条件によっては、2層として観察が可能な場合がある。また、組織微細化層26は、第2段目表層加熱処理工程P3と第2段目冷却工程P4の条件によっては、2層として観察が可能な場合がある。したがって、これら組織微細化層26と内側組織微細化層27は、さらに3層または4層として観察が可能な場合がある。
図5に示すように、熱間圧延時の加熱処理相当(820℃×240分の加熱処理)を行った状態で、これら組織微細化層26と内側組織微細化層27の微細針状組織が再結晶する場合、特に最表面側の組織微細化層26(第2段目溶融再凝固層26Aおよび第2段目HAZ層26B)は、3mm以上の粒径の結晶粒の個数がスラブ表面1mあたり5個以下という、著しく微細な再結晶等軸組織となっている。また組織微細化層26よりもスラブ内側の第1段目溶融再凝固層20および第1段目HAZ層22の組織(内側組織微細化層27)は、組織微細化層26よりは微細化の程度が少ないが、第1段目溶融再凝固層20では、第1段目表層加熱処理工程における溶融によって、鋳造に由来する空隙がほとんど消滅している。一部には、わずかに残存する空隙10Qもあるが、これらの空隙10Qの内部は真空であるから、熱延時に圧着されて、熱延板製品では無害化される。さらに板面10Aの最表面は、第1段目表層加熱処理工程における溶融によって比較的平滑な面となっている。
なお再結晶温度は、チタンスラブに含まれる不純物の種類、濃度、前組織によって差はある。一般的に、熱間圧延時加熱温度が700℃以上であれば、熱間圧延時に再結晶させることができるが、β相安定化元素を含有させた場合の第2段目の溶解層d4は、微細な針状組織として再結晶が生じずに残存する場合がある。しかし、結晶粒径が微細であるためにその後の熱間圧延で疵となる欠陥は再結晶させた場合と比べて大差ないレベルとなる
このようにして得られた熱間圧延用チタン鋳片を実際に使用するに当たっては、熱間圧延を施して所望の板厚の熱延板とする。熱間圧延の方式は特に限定されないが、薄板熱延板製品とする場合、コイル圧延を適用するのが通常である。またその場合の熱延上がり板厚は特に限定されないが、通常は3mm〜8mm程度である。熱間圧延条件は特に限定されないが、通常のチタン熱間圧延と同様に、720℃から920℃に、60分〜420分程度加熱し、その範囲内の温度で熱間圧延を開始して、圧延機の能力に応じて、室温以上の温度で熱間圧延を終了させれば良い。
なお熱間圧延後の熱延板における板面10A付近の断面の組織状態は、熱間圧延による圧延方向への結晶粒の伸張の点を除き、図5に示した熱間圧延時の加熱相当処理を行った状態の組織と実質的に同等である。すなわち、熱間圧延前に溶融処理により微細化された組織微細化層26と内側組織微細化層27は、熱延後も組織自体は加工され延伸するが、母材部分28に比べて十分に微細化された状態を保つ。
なお以上の実施形態では、電子ビーム溶解―DCスラブ鋳造によって得られた矩形チタン鋳片を、そのままの状態、すなわち分塊圧延や鍛造などの熱間加工によるブレークダウン工程を経ることなく、かつ表面手入れのための切削工程を経ることなく、熱間圧延用チタン鋳片を製造するための素材として、鋳造まま(as cast)の素材で、各工程に供することとしている。すなわち、鋳造ままの鋳肌(表面に鋳造に由来する激しい凹凸が存在し、表層部に多数の空隙等の鋳造欠陥を有し、いわゆる黒皮状態の表面からなる鋳肌)を有する素材を用いている。本発明の効果は、このような鋳造ままの鋳片に適用した場合に最も有効に発揮することができるが、場合によっては、鋳肌表面の凹凸や表面近くの空隙を除去するために、最表面から数mm程度までの層を切削加工によって除去した場合、すなわちいわゆる白皮が現れた状態の鋳片に対して適用することも許容される。さらに、鋳造後に溶解炉や冷却炉を解放し鋳片を大気中に取り出す際に、高温で取り出したがために表面に生成する酸素富化層(最大1mm程度)の全体あるいは一部を切削加工によって除去して、いわゆる半白皮とした鋳片に適用することも許容される。
以下に、表1、表2(表2Aおよび表2B)、表3(表3Aおよび表3B)、表4(表4Aおよび表4B)、表5(表5Aおよび表5B)、表6(表6Aおよび表6B)、表7(表7Aおよび表7B)に示す試験番号1〜38の実験にもとづいて、本発明の実施例を、従来法による参考例(=分塊圧延スラブ)、比較例(本発明の処理をまったく実施しない比較例、および本発明の条件を外れた処理を行った比較例)とともに説明する。
〔試験番号1〜3(表1)〕
表1に示す試験番号1は、断面が約1300mm幅×約400mm厚×約7500mm長のJIS1種純チタンの電子ビーム溶解鋳片を、分塊圧延により、約1210mm幅×約260mm厚とし、さらに、約7000mm長スラブを切り出し、全面を約5mm程度切削加工し、上下面と側面のなす角度45度で30mm長さのチャンファーを切削加工した分塊圧延スラブを用いた従来法による参考例である。寸法は、約1200mm幅×約250mm厚×約7000mm長である。
表1に示す試験番号2は、断面が約1220mm幅×270mm厚×7000mm長のJIS1種純チタンスラブを電子ビーム溶解によりDC鋳造し、全面を約10mm程度切削加工し、上下面と側面のなす角度45度で30mm長さのチャンファーを切削加工したDCスラブを使用した比較例である。寸法は、約1200mm幅×約250mm厚×約7000mm長である。
表1に示す試験番号3は、断面が1220mm幅×270mm厚×7000mm長のJIS1種純チタンスラブを電子ビーム溶解によりDC鋳造し、全面を約10mm程度切削加工し、上下面と側面のなす角度45度で30mm長さのチャンファーを切削加工したDCスラブを使用した比較例である。寸法は、DCスラブ鋳造ままの鋳片のままである。
これらスラブは、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約50μm溶削した。その後、両方の板面を目視観察し、表面疵の数を測定した。なお、表面疵の数は1m四方の枠の中に表面疵が発生した個数を、10〜15視野観察し、その平均とした。また、板や長さが1mに達しない場合は、観察した熱延板の表面積が1mとなるように換算し、それを1m当たり表面疵の数とした。
なおここで、熱延板表面疵の評価基準としては、表面疵の数が1m当たり0.3個以下を合格とし、1m当たり0.3個を越える場合を不合格と評価した。この評価基準は、後述する各試験番号4〜38においても同様である。
表1に示すように、試験番号1の分塊圧延材は、疵の密度が合格ラインの0.3個/mを下回っており、良好な表面状態であったが、試験番号2、3は、ともに熱延板表面疵が多発し、不合格であった。
なお、試験番号1の分塊圧延材において得られた良好な表面状態は、分塊圧延という手間のかかる工程を経ることによって得られたものであり、本発明による効果ではない。
〔試験番号4〜15(表2A、表2B)〕
試験番号3と同じ製造工程を経て製造した同寸法のJIS1種純チタンのDCスラブに対し、スラブを移動させることで、長手方向に電子ビームを照射し、これを往復させる工程を繰り返すことによって、圧延面全面に電子ビーム照射を行った。スラブの側面にも照射を実施した。
試験番号4は、第1段目表層加熱処理のみを実施し、第2段目表層加熱処理は実施しなかった比較例である。試験番号5から試験番号15は、第1段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第1段目表層加熱処理を実施し、さらにスラブを再度反転させて、第2段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第2段目表層加熱処理を実施した。しかる後に、側面にも同様の電子ビーム照射を行った。その際、照射条件を種々変化させた。電子ビームは電磁レンズを用いてオシレーションさせ矩形のビーム形状とした。また、隣接部に照射する際には、その前に照射溶融した部分を1/3だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整した。電子ビーム照射後の冷却時の温度変化は放射温度計により計測し、β変態点を通過する際の冷却速度を算出した。
これらスラブは、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約50μm溶削した。その後、両方の板面を目視観察し、表面疵の数を測定した。
試験番号5、6、7、8、10、11、12、14は、いずれも本発明の実施例であって、表2A、表2Bに示すように、いずれも本発明で規定した表層部の形態(少なくとも2層の針状組織)を有し、熱延加熱相当熱処理後には、本発明で規定した結晶粒径からなる組織を呈し、熱延後の表面疵も少なく、合格ラインを越えている。
一方、試験番号4、9、13、15は、本発明で規定した表層部の形態や施工条件を満たしていない比較例であり、これらは表2A、表2Bに示すように熱延後の表面疵が多く、熱延板の表面状態は不合格であった。
〔試験番号16〜18(表3A、表3B)〕
試験番号3と同じ製造工程を経て製造した同寸法のJIS1種純チタンのDCスラブに対し、スラブを移動させることで、電子ビームを照射し、これを往復させる工程を繰り返すことによって、圧延面全面に電子ビーム照射を行った。スラブの側面にも照射を実施した。
試験番号16、17、18は、試験番号5と同じ施工条件で、照射の方向や順序を変えた場合の実施例である。
試験番号16は、スラブの幅方向に照射を繰り返し、第1段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第1段目表層加熱処理を実施し、さらにスラブを再度反転させて、第2段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第2段目表層加熱処理を実施した。しかる後に、側面にも同様の電子ビーム照射を行った。
試験番号17は、スラブの長手方向に照射を繰り返し、第1段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後、同じ面に第2段目表層加熱処理を実施し、さらにスラブを反転させて、第1段目表層加熱処理を裏側の面に実施し、その後、裏側の面に第2段目表層加熱処理を実施した。しかる後に、側面にも同様の電子ビーム照射を行った。
試験番号18は、スラブの幅方向に照射を繰り返し、第1段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後、同じ面に第2段目表層加熱処理を実施し、さらにスラブを反転させて、第1段目表層加熱処理を裏側の面に実施し、その後、裏側の面に第2段目表層加熱処理を実施した。しかる後に、側面にも同様の電子ビーム照射を行った。
これらの電子ビーム照射では、電子ビームは電磁レンズを用いてオシレーションさせ矩形のビーム形状とし、隣接部に照射する際には、その前に照射溶融した部分を1/3だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整した。
これらスラブは、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約50μm溶削した。その後、両方の板面を目視観察し、表面疵の数を測定した。
これらの試験番号16、17、18は、いずれも本発明の実施例であり、これらは、表3A、表3Bに示すように、いずれも、本発明で規定した表層部の形態を有し、熱延加熱相当熱処理後には、本発明で規定した結晶粒径からなる組織を呈し、熱延後の表面疵も少なく合格ラインを達成している。
〔試験番号19〜23(表4A、表4B)〕
試験番号3と同じ製造工程を経て製造した同寸法の様々なJISグレードまたはASTMグレードの工業用純チタンまたはモディファイド純チタン(低合金チタン)のDCスラブに対し、スラブを移動させることで、長手方向に電子ビームを照射し、これを往復させる工程を繰り返すことで、圧延面全面に電子ビーム照射を行った。スラブの側面にも照射を実施した。
試験番号19は、JIS2種純チタン、試験番号20は、JIS3種純チタン、試験番号21は、JIS4種純チタン、試験番号22は、ASTM Gr.17のチタン合金、試験番号23は、ASTM Gr.13のチタン合金である。試験番号22、23は、合金元素を添加したチタン合金であるが添加量は僅かであり、純チタンに準ずる扱いをされるモディファイド純チタンである。
これらスラブに対し、第1段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第1段目表層加熱処理を実施し、さらにスラブを再度反転させて、第2段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第2段目表層加熱処理を実施した。しかる後に、側面にも同様の電子ビーム照射を行った。その際、照射条件を種々変化させた。電子ビームは電磁レンズを用いてオスシレーションさせ円形のビーム形状とした。また、隣接部に照射する際には、第1段目の表層加熱処理では、その前に照射溶融した部分を1/2だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整し、第2段目の表層加熱処理では、その前に照射溶融した部分を1/4だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整した。
これらスラブは、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約50μm溶削した。その後、両方の板面を目視観察し、表面疵の数を測定した。
これらの試験番号19〜23の例は、いずれも本発明の実施例であり、表4A、表4Bに示すようにいずれも本発明で規定した表層部の形態を有し、熱延加熱相当熱処理後には、本願発明で規定した結晶粒径からなる組織を呈し、熱延後の表面疵も少なく、合格ラインを達成している。
〔試験番号24〜26(表5A、表5B)〕
試験番号24は、断面が1000mm幅×190mm厚×5000mm長のJIS1種純チタンスラブを電子ビーム溶解によりDC鋳造した鋳片、試験番号25は、断面が950mm幅×165mm厚×4500mm長のJIS1種純チタンスラブを電子ビーム溶解によりDC鋳造した鋳片、試験番号26は、試験番号24と同じ寸法で、プラズマアーク溶解によりDCスラブ鋳造した鋳片である。
これらスラブに対し、第1段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第1段目表層加熱処理を実施し、さらにスラブを再度反転させて、第2段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第2段目表層加熱処理を実施した。しかる後に、側面にも同様の電子ビーム照射を行った。その際、照射条件を種々変化させた。電子ビームは電磁レンズを用いてオスシレーションさせ矩形のビーム形状とした。また、隣接部に照射する際には、第1段目の表層加熱処理では、その前に照射溶融した部分を1/2だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整し、第2段目の表層加熱処理では、その前に照射溶融した部分を1/3だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整した。
これらスラブは、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約50μm溶削した。その後、両方の板面を目視観察し、表面疵の数を測定した。
これらの試験番号24〜26では、試験番号5などと比べ、寸法が小さいため熱容量も小さく、そのため冷却速度が遅くなり、熱延時の加熱相当処理後の粒径が大きくなる傾向があるが、本願発明で規定した結晶粒径からなる組織を呈し、熱延後の表面疵も少なく、合格ラインを達成している。
〔試験番号27〜34(表6A、表6B)〕
試験番号3と同じ製造工程を経て製造した同寸法のJIS1種純チタンのDCスラブに対し、スラブを移動させることで、電子ビームを照射し、これを往復させる工程を繰り返すことによって、圧延面全面に電子ビーム照射を行った。スラブの側面にも照射を実施した。
これらスラブに対し、第1段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第1段目表層加熱処理を実施した。さらにスラブを再度反転させて、試験番号27はAl粉を、試料番号28はSn粉を、試料番号29はFe粉を、試験番号30はスラブ表面にCrチップを、試験番号31はスラブ表面にVチップを、試験番号32〜34はスラブ表面にチタン合金の切り粉をスラブ表面に散布した後、第2段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面にFe粉を撒布した後、第2段目表層加熱処理を実施した。しかる後に、側面にも同様の電子ビーム照射を行った。その際、照射条件を種々変化させた。電子ビームは電磁レンズを用いてオシレーションさせ円形のビーム形状とした。また、隣接部に照射する際には、第1段目の表層加熱処理では、その前に照射溶融した部分を1/2だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整し、第2段目の表層加熱処理では、その前に照射溶融した部分を1/4だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整した。
これらスラブは、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約50μm溶削した。その後、両方の板面を目視観察し、表面疵の数を測定した。
これらの試験番号27〜34の例は、いずれも本発明の実施例であり、表6A、表6Bに示すようにいずれも本発明で規定した表層部の形態を有し、熱延加熱相当熱処理後には、本願発明で規定した結晶粒径からなる組織を呈し、熱延後の表面疵も少なく、合格ラインを達成している。
〔試験番号35〜38(表7A、表7B)〕
試験番号3と同じ製造工程を経て製造した同寸法のJIS1種純チタンのDCスラブに対し、スラブを移動させることで、電子ビームを照射し、これを往復させる工程を繰り返すことによって、圧延面全面に電子ビーム照射を行った。スラブの側面にも照射を実施した。
これらスラブに対し、試験番号35では第1段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面に第1段目表層加熱処理を実施し、さらにスラブを再度反転させて、第2段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、第2段目表層加熱処理を実施した。さらに、スラブを反転させて、裏側の面にFe粉を撒布した後、第3段目表層加熱処理を表側の面に実施し、その後スラブを反転させて、裏側の面にFe粉を撒布した後、第3段目表層加熱処理を実施した。また、試料番号37、38は第3段目の表層加熱処理前にスラブ表面にAl粉およびFe粉を散布し、スラブの表側と裏側の面を表層加熱処理を実施した。また、試料番号36は試料番号35と同様に表層加熱処理を行った後、さらにスラブを反転させて、第4段目の表層加熱処理をスラブの表側および裏側の面に実施した。しかる後に、側面にも同様の電子ビーム照射を行った。さらに、その際、照射条件を種々変化させた。電子ビームは電磁レンズを用いてオスシレーションさせ円形のビーム形状とした。また、隣接部に照射する際には、第1段目の表層加熱処理では、その前に照射溶融した部分を1/2だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整し、第2段目の表層加熱処理では、その前に照射溶融した部分を1/4だけ重ねて溶融させるように電子ビームの位置を調整した。
これらスラブは、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約50μm溶削した。その後、両方の板面を目視観察し、表面疵の数を測定した。
これらの試験番号35〜38の例は、いずれも本発明の実施例であり、表7A、表7Bに示すようにいずれも本発明で規定した表層部の形態を有し、熱延加熱相当熱処理後には、本願発明で規定した結晶粒径からなる組織を呈し、熱延後の表面疵も少なく、合格ラインを達成している。
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例について説明したが、実施形態および実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。
10 矩形チタン鋳片
10A〜10D 面
12 電子ビーム照射ガン
16 第1段目溶融層
20 第1段目溶融再凝固層
24 再加熱層
26 組織微細化層
30 チタン熱間圧延板製造用スラブ
40 熱延板
P1 第1段目表層加熱処理工程
P2 第1段目冷却工程
P3 第2段目表層加熱処理工程
P4 第2段目冷却工程

Claims (21)

  1. 工業用純チタンからなる熱間圧延用チタン鋳片であって、圧延面となる表面において、最表面に針状組織からなる組織微細化層を有し、前記組織微細化層の内側に針状組織からなる内側組織微細化層を有し、前記内側組織微細化層よりもさらに内側は鋳造凝固組織であり、前記組織微細化層は前記内側組織微細化層よりも微細な組織であり、前記組織微細化層が表面から深さ1mm以上、6mm未満までの範囲であり、前記内側組織微細化層が前記組織微細化層の内側であって表面から深さ3mm以上、20mm以下までの範囲である、熱間圧延用チタン鋳片。
  2. 表面から深さ4mm以下の範囲において、α相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を質量%の合計で0%以上、2.0%未満含有する、請求項1に記載の熱間圧延用チタン鋳片。
  3. 表面から深さ4mm以下の範囲において、β相安定化元素の一種または二種類以上を質量%の合計で1.5%以下含有する、請求項1に記載の熱間圧延用チタン鋳片。
  4. 表面から深さ4mm以下の範囲において、α相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を質量%の合計で0%以上、2.0%未満含有し、β相安定化元素の一種または二種類以上を質量%の合計で1.5%以下含有する、請求項1に記載の熱間圧延用チタン鋳片。
  5. 820℃×240分の加熱処理後の室温での状態で、結晶粒径が3mm以上の結晶粒の個数が表面1mあたり5個以下である、請求項1に記載の熱間圧延用チタン鋳片。
  6. 工業用純チタンからなる鋳片素材において、熱間圧延の圧延面となる表面を加熱して、表面から深さ6mm以上、20mm以下までの領域をβ変態点以上に加熱し、表面から深さ3mm以上〜10mmの範囲まで溶融させる第1段目表層加熱処理工程と、前記第1段表層加熱処理後、β変態点より低い温度に冷却する第1段目冷却工程と、
    前記第1段表層加熱処理と前記第1段目冷却工程が行われた表面を再加熱して、表面から深さ1mm以上、6mm未満までの領域をβ変態点以上に加熱する第2段目表層加熱処理工程と、前記第2段表層加熱処理後、β変態点より低い温度に冷却する第2段目冷却工程とを有する、熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  7. 前記第2段目表層加熱処理工程における単位面積当たりの入熱量を、前記第1段目表層加熱処理工程における単位面積当たりの入熱量よりも小さくする、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  8. 前記第1段目表層加熱処理工程および第2段目表層加熱処理工程の各工程で、電子ビームの照射ガンを、鋳片素材の表面と平行な方向に連続的に移動させながら電子ビーム照射を行なう、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  9. 前記第1段目冷却工程および第2段目冷却工程が、鋳片素材の母材側からの抜熱によって行われる、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  10. 前記第2段目冷却工程において、60℃/min以上の冷却速度でβ変態点を通過させる、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  11. 前記第2段目表層加熱処理工程と前記第2段目冷却工程を複数回行う、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  12. 前記第1段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にα相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させる、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  13. 前記第1段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にβ相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させる、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  14. 前記第1段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にα相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を存在させ、および、鋳片素材の表面にβ相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させる、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  15. 前記第2段目表層加熱処理工程において、表面を溶融させる、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  16. 前記第2段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にα相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させる、請求項15に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  17. 前記第2段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にβ相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させる、請求項15に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  18. 前記第2段目表層加熱処理工程において、鋳片素材の表面にα相安定化元素、中性元素の一種または二種類以上を存在させ、および、鋳片素材の表面にβ相安定化元素の一種または二種類以上を存在させ、表面を溶融させる、請求項15に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  19. 前記鋳片素材が、DCスラブ鋳造法によって鋳造したものである、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  20. 前記鋳片素材が、電子ビーム溶解法によって得られた溶湯を、DCスラブ鋳造法によって鋳造したものである、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
  21. 前記鋳片素材が、鋳造ままの鋳肌を有する、請求項6に記載の熱間圧延用チタン鋳片の製造方法。
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