JP2016113380A - 脂肪族カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

脂肪族カルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

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【課題】活性に優れた低級脂肪族カルボン酸エステルの製造用触媒を用いて、気相中で低級脂肪族カルボン酸と低級オレフィンとから低級脂肪族カルボン酸エステルを高効率で製造する方法を提供する。【解決手段】固体酸触媒を用い、炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸と炭素数2〜4のオレフィンとを気相中で反応させる脂肪族カルボン酸エステルの製造方法において、固体酸触媒として、化学式(1):MaH6−aP2W18O62(1)(式中、aは0以上、5以下の整数であり、Mはセシウム、ルビジウム、アンモニウム、カリウム、バリウム、金、リチウム、ナトリウム、銅、及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。)で示される、ドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、固体酸触媒を用い、炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸と炭素数2〜4のオレフィンとを気相中で反応させる脂肪族カルボン酸エステルの製造方法に関する。
低級脂肪族カルボン酸と低級オレフィン類とから気相接触反応により相当するエステルを製造できることはよく知られている。また、かかる反応においてケイ酸質担体に担持されたヘテロポリ酸及び/又はその塩からなる触媒が有用であることもよく知られている(特許文献1及び特許文献2)。
例えば特許文献1においては低級脂肪族カルボン酸と低級オレフィンとを気相中でシリカ担体に担持されたヘテロポリ酸触媒と接触させて低級脂肪族カルボン酸エステルを製造することが記載されている。ここでは、活性種として適するヘテロポリ酸として、ケイタングステン酸、リンタングステン酸など、及びその塩が記載されている。また、ヘテロポリ酸はKeggin構造、Wells−Dawson構造などを有することが知られていると記載されており、Wells−Dawson型の活性種の例としてK1862・xHOが記載されている。低級脂肪族カルボン酸とオレフィン類とから気相接触反応により相当するエステルを製造する反応においては、これらの活性種を含む触媒を用いてある程度の空時収率で目的とする低級脂肪族カルボン酸エステルを得ることができる。
特開平09−118647号公報 特開平11−269126号公報
しかし、昨今の電力供給の逼迫に対応し、経済的なメリットをより高めるため、従来技術より高効率で目的の低級脂肪族カルボン酸エステルを得ることができる、より高活性な触媒が必要とされている。
本発明は、活性に優れた低級脂肪族カルボン酸エステルの製造用触媒を用いて、気相中で低級脂肪族カルボン酸と低級オレフィンとから低級脂肪族カルボン酸エステルを高効率で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題の解決のため鋭意検討を重ねた結果、特定のドーソン型ヘテロポリ酸が有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は以下の[1]〜[8]に関する。
[1]固体酸触媒を用い、炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸と炭素数2〜4のオレフィンとを気相中で反応させる脂肪族カルボン酸エステルの製造方法において、前記固体酸触媒として、化学式(1):
6−a1862 (1)
(式中、aは0以上、5以下の整数であり、Mはセシウム、ルビジウム、アンモニウム、カリウム、バリウム、金、リチウム、ナトリウム、銅、及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。)で示される、ドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩を用いることを特徴とする脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
[2]前記ドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩が担体に担持されている[1]に記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
[3]前記担体がシリカ、珪藻土、チタニア、活性炭、アルミナ、及びシリカアルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種である[2]に記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
[4]化学式(1)において、aが0又は1である[1]〜[3]のいずれかに記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
[5]前記炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸がギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、メタクリル酸、又はクロトン酸のいずれかである[1]〜[4]のいずれかに記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
[6]前記炭素数2〜4のオレフィンがエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、又はイソブテンのいずれかである[1]〜[5]のいずれかに記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
[7]反応温度が50〜300℃、反応圧力が0.1〜2.0MPaGである[1]〜[6]のいずれかに記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
[8]反応を水蒸気の存在下で行う[1]〜[7]のいずれかに記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
本発明によれば、高活性な脂肪族カルボン酸エステルの製造用触媒を用いて、気相中で低級脂肪族カルボン酸と低級オレフィンとから低級脂肪族カルボン酸エステルを高効率で製造することができる。
実施例で用いたドーソン型ヘテロポリ酸について、化学式(1)中の「a」の値(金属原子割合)と触媒活性(酢酸エチルのSTY)の関係を示すグラフである。
[ドーソン型ヘテロポリ酸]
本発明に用いる固体酸触媒は化学式(1):
6−a1862 (1)
で示される、Wells−Dawson型のヘテロポリ酸、より具体的にはリンタングステン酸(a=0)、又はそのM塩(a=1〜5の整数)であり、その水和物を用いることもできる。本明細書ではWells−Dawson型を略して「ドーソン型」という。
式中、aは0以上、5以下の整数であり、Mはセシウム、ルビジウム、アンモニウム、カリウム、バリウム、金、リチウム、ナトリウム、銅、及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。
aは0以上、5以下の整数である。aが0以外の場合が塩となる。ヘテロポリ酸は一般に高い分子性を有する酸化物クラスターであることから、本明細書において化学式(1)は個々のヘテロポリ酸分子の組成を指す。好ましいaの値は0又は1であり、0がより好ましい。固体酸触媒は化学式(1)で示されるヘテロポリ酸の混合物であってもよい。この場合、混合物全体を例えば元素分析したときに得られる見かけ上のaの値は0から5までの数値、例えば0.5、1.4などとなりうる。ドーソン型ヘテロポリ酸とその塩の比率は、ヘテロポリ酸1molを基準としてその塩が0〜50mol%であることが好ましく、固体酸触媒に実質的に塩が含まれない、すなわち塩の比率が0mol%であることがより好ましい。固体酸触媒の活性は、強酸であるプロトンの量に相関があるため、中和されて塩となった成分又は部位が少ないほど高い活性が期待できる。
Mはセシウム、ルビジウム、アンモニウム、カリウム、バリウム、金、リチウム、ナトリウム、銅、及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である。生成する脂肪族カルボン酸エステルの選択率がさらに高くなるため、Mはリチウム、ナトリウム、銅、及び金からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、リチウム、ナトリウム、及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。
化学式(1)のヘテロポリ酸又はその塩の具体例としてはH1862、Li1862などが挙げられる。
本発明のドーソン型ヘテロポリ酸の合成方法に特に制限はない。例えば、Journal of Molecular Catalysis A:Chemical 351, 2011, 154−164に記載の方法によると、タングステン酸ナトリウムとリン酸を混合し、酸性条件で熱することによってドーソン型リンタングステン酸を得ることができる。調製したヘテロポリ酸の構造決定は31P−NMRを測定し上記文献などに記載の値と比較することで行うことができる。ヘテロポリ酸のM塩は、得られたヘテロポリ酸を水、アルコールなどの溶媒に溶解させた溶液に、Mの塩(例えばMの塩酸塩、硝酸塩など)を添加し、撹拌した後溶媒を蒸発させることで合成することができる。
本発明のドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩は、そのまま固体酸触媒として用いてもよい。ドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩を担体に担持させて用いることが触媒の表面積を向上させ、反応に有効な活性点が増加し反応効率を向上させるという点で好ましい。
担体はシリカ、珪藻土、チタニア、活性炭、アルミナ、及びシリカアルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、シリカであることがより好ましい。
担体はいかなる形状であってもよく、その形状に特に制限はない。担体は、例えば、粉末状、球状、ペレット状などであってよく、球状、又はペレット状であることが好ましい。担体の粒径においても特に制限はない。担体の好ましい粒径は反応の形態により異なるが、固定床方式で用いる場合には、2mm〜10mmの範囲であり、より好ましくは3mm〜7mmの範囲である。
ドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩の担体への担持方法は、特に制限はない。一般的には、ヘテロポリ酸又はその塩を溶媒に溶解又は懸濁させて得られた溶液又は懸濁液を担体に吸収させ、溶媒を蒸発させることにより行うことができる。
ヘテロポリ酸塩の担体への担持方法として、担体にヘテロポリ酸を担持させたのちに塩を形成する元素の原料を担持させる方法、担体にヘテロポリ酸及び塩を形成する元素の原料を一緒に担持させる方法、担体にあらかじめ調製したヘテロポリ酸塩を担持させる方法、担体に塩を形成する元素の原料を担持させたのちにヘテロポリ酸を担持させる方法が挙げられるが、これらに限定されない。また、上記のいずれの方法においても、ヘテロポリ酸、その塩、及び塩を形成する元素の原料は、適当な溶媒に溶解又は懸濁させて担体に担持させることができる。溶媒は、ヘテロポリ酸、その塩、又は塩を形成する元素の原料を溶解又は懸濁できるものであればよく、水、有機溶媒又はそれらの混合物などが用いられ、好ましくは水、アルコール又はそれらの混合物が用いられる。
ヘテロポリ酸又はその塩の担体への担持は、具体的には、例えばヘテロポリ酸又はその塩を担体の吸水液量相当の蒸留水などに溶解させ、その溶液を担体に含浸させることにより調整することができる。別の実施態様では、ヘテロポリ酸又はその塩の担体への担持量は、担体を過剰量のヘテロポリ酸又はその塩の溶液中に適度に動かしながら浸漬し、その後濾過して過剰のヘテロポリ酸又はその塩を取り除くことにより調整することもできる。溶液又は懸濁液の容積は用いる担体、担持方法などにより異なる。ヘテロポリ酸又はその塩が含浸された担体を、加熱オーブン内に数時間おいて溶媒を蒸発させることにより、担体に担持された固体酸触媒を得ることができる。乾燥方法に特に制限はなく、静置式、ベルトコンベア式など、様々な方法を用いることができる。
ドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩の担体への担持量は、担体100質量部に対して、ドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩の合計質量を10〜150質量部とすることが好ましく、30〜100質量部とすることがより好ましい。
[脂肪族カルボン酸エステルの製造]
本発明において、脂肪族カルボン酸エステルは、化学式(1)のヘテロポリ酸又はその塩を固体酸触媒として用い、炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸と炭素数2〜4のオレフィンとを気相中で反応させることで得ることができる。脂肪族カルボン酸及びオレフィンは窒素ガスなどの不活性気体で希釈することが反応熱の除去の面で好ましい。具体的には、固体酸触媒が充填された容器に、原料として炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸及び炭素数2〜4のオレフィンを含む気体を流通させ、固体酸触媒と接触させることにより、これらを反応させることができる。原料を含む気体に少量の水を添加することが、触媒活性の維持の観点から好ましく、ある実施態様では反応は水蒸気の存在下で行なわれる。ただし、あまりに多量の水を添加すると、アルコール、エーテルなどの副生成物の生成量も増えてくるおそれがある。好ましい水の添加量は、炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸、炭素数2〜4のオレフィン、及び水の合計に対する水のモル比として、0.5モル%〜15モル%の範囲が好ましく、より好ましくは2モル%〜8モル%の範囲である。
本発明において使用することができる炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、メタクリル酸、及びクロトン酸を挙げることができる。原料の入手しやすさ、生成するカルボン酸エステルの工業的有用性などの面で酢酸が好ましい。
炭素数2〜4のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、及びイソブテンを挙げることができる。原料の入手しやすさ、生成するカルボン酸エステルの工業的有用性などの面でエチレン及びプロピレンが好ましい。
原料である炭素数2〜4のオレフィンと炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸との使用割合には特に制限はないが、好ましくはオレフィンと脂肪族カルボン酸とのモル比で、オレフィン:脂肪族カルボン酸=1:1〜40:1の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは3:1〜20:1の範囲であり、さらに好ましくは5:1〜15:1の範囲である。
本発明の製造方法における好ましい温度、圧力などの反応条件は、原料として用いられる脂肪族カルボン酸及びオレフィンの種類に応じて異なる。温度、圧力などの反応条件の組み合わせは、原料が気体状を保つことが可能であり、かつ、反応が十分に進行する範囲であることが好ましい。一般的には、反応温度は、50℃〜300℃の範囲にあることが好ましく、140℃〜250℃の範囲にあることがより好ましい。反応圧力は、0PaG〜3MPaG(ゲージ圧)の範囲にあることが好ましく、0.1MPaG〜2MPaG(ゲージ圧)の範囲にあることがより好ましい。ある実施態様では、反応温度は50〜300℃であり、反応圧力は0.1〜2.0MPaGである。
原料を含む気体のSV(気体時空速度)は、特に制限はないが、あまりに大きいと反応が十分に進行しないままに原料が通過してしまうことになり、一方であまりに小さいと生産性が低くなるなどの問題が生じるおそれがある。SVは500(g/L・h)〜20000(g/L・h)の範囲にあることが好ましく、1000(g/L・h)〜10000(g/L・h)の範囲にあることがより好ましい。
以下の実施例及び比較例を参照して本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明の概要を示すものであって本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
<担体>
触媒の担体としては以下に示すものを用いた。
富士シリシア化学株式会社製合成シリカ
比表面積 247.1m/g
細孔容積 0.80m/g
<K1862・24HOの合成>
1Lのナスフラスコにタングステン酸二ナトリウム二水和物NaWO・2HO(和光純薬工業株式会社製)100gを入れ純水350mLに溶解させたのちに還流させた。その後、85%リン酸水溶液(和光純薬工業株式会社製)150mLを加えさらに13時間撹拌後室温まで冷却した。引き続き塩化カリウムKCl(和光純薬工業株式会社製)150gを加えると淡黄沈殿を生じた。これを濾過して回収し、最少量の熱水に溶解させ再結晶により精製し、ドーソン型リンタングステン酸カリウム塩水和物:K1862・24HO(化学式(1)においてM=K、a=6)を得た。
<H1862・10HOの合成>
あらかじめHSO水溶液を用いて処理した陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製)に上記方法で得たK1862・24HOの水溶液を通過させた。得られた液体をエバポレーターにより濃縮したのち、最少量の熱水に溶解させ再結晶により結晶を回収することによりドーソン型リンタングステン酸水和物:H1862・10HO(化学式(1)においてa=0)を得た。
<比較触媒1(K1862・24HO)の調製>
上記方法で得たドーソン型リンタングステン酸カリウム塩水和物:K1862・24HO 10.9gを蒸留水12.0mLに溶解させた。その後、得られた溶液を上記シリカ担体13.2gに加え、よくかき混ぜて担体に含浸させた。溶液を含浸させた担体を磁製皿に移し、1時間風乾させたのち、130℃に調節した乾燥機で5時間乾燥させ比較触媒1を得た。
<触媒1(H1862・10HO)の調製>
上記方法で得たドーソン型リンタングステン酸:H1862・10HOを用い、比較触媒1と同様の方法で触媒1を得た。用いたヘテロポリ酸の担体あたりの質量は比較触媒1と同等にした。
<触媒2(Li1862・10HO)の調製>
上記方法で得たドーソン型リンタングステン酸:H1862・10HOの水溶液と、このヘテロポリ酸に対し、1.0当量のLiNO(和光純薬工業株式会社製)を純水に溶解させた水溶液とを混合して調製した水溶液を用い、比較触媒1と同様の方法でLi1862・10HO(触媒2、化学式(1)においてM=Li、a=1)を得た。用いたヘテロポリ酸の担体あたりの質量、及び全体の水溶液の体積は比較触媒1と同等にした。ヘテロポリ酸に対するリチウム塩の割合は、上記ヘテロポリ酸とリチウム塩混合水溶液をICP発光分光分析を用いて分析することで測定した。
<比較触媒2〜4の調製>
それぞれ、市販のKeggin(ケギン)型ケイタングステン酸:HSiW1240・24HO(日本無機化学工業株式会社製)、Keggin型リンタングステン酸:HPW1240・30HO(日本無機化学工業株式会社製)、Keggin型ケイモリブデン酸:HSiMo1240・30HO(日本無機化学工業株式会社製)を用い、比較触媒1と同様の方法で比較触媒2〜4を得た。用いたヘテロポリ酸の担体あたりの質量は触媒1と同等にした。
<実施例1〜2、比較例1〜4−カルボン酸エステルの製造>
上記で得られた各触媒10mLを半径25mmの円柱状のSUS316Lの耐圧容器に充填し、0.8MPaまで昇圧したのち、155℃まで昇温した。窒素ガス/酢酸(気体)/水蒸気=87.5mol%/8.0mol%/4.5mol%、SV(触媒1Lあたりを1時間で通過する原料の質量(g/L・h))=6000(g/L・h)の条件で30分間前処理をしたのちに、エチレン(気体)/窒素ガス/酢酸(気体)/水蒸気=78.5mol%/9.0mol%/8.0mol%/4.5mol%、SV=6000(g/L・h)の条件で5時間反応を行った。反応は触媒層を5分割した部分のうち、最も反応温度が高い部分が165.0℃になるように反応温度を調整して行った。反応開始から3時間から5時間の間を通過したガスを、所定時間、氷水で冷却捕集して全量を回収し(以下これを「凝縮液」と呼ぶ)、分析を行った。また、凝縮せずに残った未凝集ガス(以下、これを「未凝縮ガス」と呼ぶ)について、凝縮液と同じ時間ガス流量を量り、その100mLを取り出し、分析を行った。得られた反応結果を表1に示す。また、図1に、ドーソン型ヘテロポリ酸である比較触媒1、触媒1及び触媒2について、化学式(1)中の「a」の値(金属原子割合)と触媒活性(酢酸エチルのSTY)の関係をグラフで示す。
Figure 2016113380
凝縮液の分析方法
内部標準法を用い、反応液10mLに対し、内部標準として1,4−ジオキサンを1mL添加したものを分析液として、そのうちの0.2μLを注入し以下の条件で分析を行った。
ガスクロマトグラフィー:株式会社島津製作所製GC−14A
カラム:キャピラリーカラムTC−WAX(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.5μm)
キャリアーガス:窒素(スプリット比36、カラム流量1.2mL/分)
温度条件:検出器及び気化室温度を200℃とし、カラム温度を、分析開始から7分間は40℃に保持し、その後10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した。
検出器:FID(H圧49KPa、空気圧98KPa)
未凝縮ガス分析方法
絶対検量線法を用い、未凝縮ガスを100mL採取し、これをガスクロマトグラフィー装置に付属した1mLのガスサンプラーに全量流し、以下の条件で分析を行った。
1.ジエチルエーテル、酢酸エチル、及びエタノール
ガスクロマトグラフィー装置:Agilent Technologies製 7890A
カラム:Agilent J&W GCカラム DB−624
キャリアーガス:He(流量1.7mL/分)
温度条件:検出器及び気化室温度を230℃とし、カラム温度を、分析開始から3分間は40℃に保持し、その後20℃/分の速度で200℃まで昇温した。
検出器:FID(H 40mL/分、空気圧400mL/分)
2.エチレン
ガスクロマトグラフィー装置:Agilent Technologies製 7890A
カラム:SHIMADZU GC GasPro(30m)、Agilent J&W GCカラム HP−1
キャリアーガス:He(流量2.7mL/分)
温度条件:検出器及び気化室温度を230℃とし、カラム温度を、分析開始から3分間は40℃に保持し、その後20℃/分の速度で200℃まで昇温した。
検出器:FID(H 40mL/分、空気圧400mL/分)
3.窒素
ガスクロマトグラフィー装置:Agilent Technologies製 7890A
カラム:HayesepQ G3591−80004
キャリアーガス:He(流量60psi)
温度条件:検出器及び気化室温度を230℃とし、カラム温度を、分析開始から3分間は40℃に保持し、その後20℃/分の速度で200℃まで昇温した。
検出器:TCD(He 45mL/分、空気圧2mL/分)
表1よりWells−Dawson型リンタングステン酸を活性成分として担体に担持した触媒はKeggin型のリンタングステン酸を含む、市販のヘテロポリ酸及び特開平09−118647に示されているWells−Dawson型リンタングステン酸K1862・xHOを活性種とする触媒と比較して高い活性を示すことが分かる。

Claims (8)

  1. 固体酸触媒を用い、炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸と炭素数2〜4のオレフィンとを気相中で反応させる脂肪族カルボン酸エステルの製造方法において、前記固体酸触媒として、化学式(1):
    6−a1862 (1)
    (式中、aは0以上、5以下の整数であり、Mはセシウム、ルビジウム、アンモニウム、カリウム、バリウム、金、リチウム、ナトリウム、銅、及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。)で示される、ドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩を用いることを特徴とする脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
  2. 前記ドーソン型ヘテロポリ酸又はその塩が担体に担持されている請求項1に記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
  3. 前記担体がシリカ、珪藻土、チタニア、活性炭、アルミナ、及びシリカアルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項2に記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
  4. 化学式(1)において、aが0又は1である請求項1〜3のいずれか一項に記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
  5. 前記炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸がギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、メタクリル酸、又はクロトン酸のいずれかである請求項1〜4のいずれか一項に記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
  6. 前記炭素数2〜4のオレフィンがエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、又はイソブテンのいずれかである請求項1〜5のいずれか一項に記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
  7. 反応温度が50〜300℃、反応圧力が0.1〜2.0MPaGである請求項1〜6のいずれか一項に記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
  8. 反応を水蒸気の存在下で行う請求項1〜7のいずれか一項に記載の脂肪族カルボン酸エステルの製造方法。
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