JP6758113B2 - 固体触媒、及びアルデヒド類の製造方法 - Google Patents

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本発明は、固体触媒、及びアルデヒド類を製造する方法に関する。より詳細には、本発明は、カルボン酸類からアルデヒド類を製造するための固体触媒、及び該固体触媒を用いてカルボン酸類から水素化によりアルデヒド類を製造する方法に関する。
アルデヒド類は、各種有機化学合成用の中間体等として、工業的に極めて重要な化合物であり、酢酸エチル、過酢酸、ピリジン誘導体、ペンタエリスリトール、クロトンアルデヒド、パラアルデヒドなどの原料として大量に使用されている。
現在、アルデヒド類は、工業的には主にエチレンや末端オレフィンの酸化又はヒドロホルミル化により製造されている。しかし、これらの原料は、いずれも石油由来の化合物であり、近年の石油類の高騰や資源枯渇問題から、より安定的かつ安価に入手可能な化合物を原料とする製造方法が望まれている。ここで、アルデヒド類の中でも特に工業的に大量に製造されているアセトアルデヒドに着目すると、過去にはアセトアルデヒドは、その酸化により酢酸を製造するための原料として利用されており、必然的に酢酸は、アセトアルデヒドより高価な化合物であった。しかしながら、1970年代に酢酸の製造方法が、メタノールのカルボニル化法(所謂モンサント法)に転換すると、酢酸とアセトアルデヒドの価格順位は逆転し、酢酸の水素還元によるアセトアルデヒドの製造が経済的に十分成立する状況となった。さらに、現在アセトアルデヒドは、上述のようにエチレンを原料として製造されているのに対し、酢酸は、メタノールと一酸化炭素といういずれも非石油原料から合成可能な原料から製造されているため、原料の安定確保、資源保護、地球環境保護の面からも酢酸を原料とするアセトアルデヒドの製造は好ましいと言える。
上述のような状況から、酢酸の水素還元によるアセトアルデヒドの合成が既にいくつかなされている。以下に列挙すると、ジェラルド・シー・タスティンらは、酸化鉄に2.5〜90重量%のパラジウムを添加した触媒を開示した(特許文献1)。ヴィクター・ジェイ・ジョンストンらは、シリカ及び炭素からなる担体上にパラジウムと第2成分として、鉄、銅、金、及びカリウムからなる金属群を担持した触媒を開示した(特許文献2)。
特開平11−322658号公報 特表2011−529494号公報
そこで、本発明者らは、上述の先行技術文献に基づき、カルボン酸類を気相中で水素化し、アルデヒド類を工業的に製造するための検証を行った。鉄、パラジウムを添加した触媒を打錠成型し、粒径が数mm程度のペレットの形状にし、検証を行った(本願比較例1)。しかし、打錠成型した触媒では、アセトアルデヒドへの選択率は、極めて低いことが分かった。
したがって、本発明の目的は、カルボン酸類を気相中で水素化してアルデヒド類を製造する際に用いる触媒であって、アルデヒド類への選択率が高く工業的に利用可能な固体触媒を提供することにある。また、カルボン酸類を気相中で水素化してアルデヒド類を製造する際のアルデヒド類への選択率が高い、工業的に利用可能なアルデヒド類の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、意外にも触媒の組成を変更せずとも、スポンジ状の多孔性材質を担体として用いることで、カルボン酸類の水素化におけるアルデヒド類の選択率を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、カルボン酸類から気相中で水素化することによりアルデヒド類を製造するための担体担持型固体触媒であって、触媒成分を担持する担体がスポンジ状の多孔性材質であることを特徴とする固体触媒を提供する。
本発明の固体触媒は、前記触媒成分が、白金族金属及び鉄を含むことが好ましい。
本発明の固体触媒は、前記白金族金属が、パラジウムであることが好ましい。
本発明の固体触媒は、前記担体がセラミックを含むことが好ましい。
また、本発明は、カルボン酸類から気相中で固体触媒を用いて水素化することによりアルデヒド類を製造する方法であって、前記の固体触媒であるアルデヒド類の製造方法を提供する。
本発明のアルデヒド類の製造方法は、前記カルボン酸類が酢酸であり、前記アルデヒド類がアセトアルデヒドであることが好ましい。
本発明の固体触媒によれば、カルボン酸類の水素化においてアルデヒド類を選択的に生成することが可能である。また、本発明の固体触媒を用いた本発明のアルデヒド類の製造方法によれば、アルデヒド類の選択率に優れる。
本発明のアルデヒド類の製造方法の一例を示す概略フロー図である。
[固体触媒]
本発明の固体触媒は、カルボン酸類から水素化によりアルデヒド類を製造するための固体触媒(アルデヒド類製造用固体触媒)であって、触媒成分を担持する担体がスポンジ状の多孔性材質である。なお、本発明の固体触媒は、カルボン酸類を水素化してアルデヒド類を製造する際に、水素化の化学反応の速度を速める働きをする物質である。
(触媒成分)
本発明の固体触媒における前記触媒成分としては、白金族金属及び鉄を含むことが好ましい。なお、前記白金族金属は、白金族金属元素を含むものであればよく、白金族金属の酸化物等であってもよい。また、前記鉄は、鉄(Fe)元素を含むものであればよく、鉄の酸化物等であってもよい。
前記白金族金属は、周期律表の第8族の第5周期及び第6周期の元素を示す。白金族金属としては、具体的には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金からなる元素群などが挙げられる。なかでも、触媒活性の点から、パラジウム及び白金が好ましいが、一般的にパラジウムの方が白金に比べ安価であるため、工業的には、特にパラジウムが好ましい。これらの白金族金属は、1種を単独で、2種以上を組合せて使用することができる。
前記白金族金属としては、パラジウム触媒や白金触媒などの各種市販の触媒を用いることもできる。パラジウム触媒の調製原料としては、Pd(NO32水溶液、酢酸パラジウムなどが使用できる。また、白金触媒の調製原料としては、H2Pt(OH)6などが使用できる。
前記白金族金属(金属単体元素換算)の含有量は、触媒成分全量(100重量%)に対して、例えば0.5〜45重量%であり、好ましくは1〜40重量%であり、より好ましくは2〜38重量%であり、さらに好ましくは3〜35重量%である。白金族金属及の含有量が上記範囲であると、良好な触媒活性が得られる。前記白金族金属としてパラジウムを含む場合のパラジウムの含有量(Pd元素換算)は、触媒成分全量(100重量%)に対して、例えば0.5〜45重量%であり、好ましくは1〜40重量%であり、より好ましくは2〜38重量%であり、さらに好ましくは3〜35重量%である。なお、触媒成分全量とは、固体触媒全体の重量から担体の重量を引いた値のことである。
前記鉄としては、特に制限されないが、その原料としては鉄(Fe)元素を含む酸化物、窒素化物、その他鉄化合物などが挙げられる。鉄の原料としては、例えばFe(NO33・9H2O、FeSO4・7H2O、酸化鉄などを用いることができる。鉄の原料としては、市販のものを用いることもでき、1種を単独で、又は2種以上を組合せて使用することができる。なお、鉄の原料として硫酸鉄等の非熱分解性の対イオンを有する化合物を使用する場合は、鉄塩溶液の蒸発乾固法は使えず、例えば、硫酸鉄を使用する場合、アンモニア等のアルカリ沈殿剤を添加して不溶性の鉄化合物として沈殿させた後、沈殿を十分水洗して硫酸イオンを除去する必要がある。なお、後述のように鉄は、焼成することにより酸化鉄として触媒中に存在することとなる。
前記鉄の含有量(Fe23換算)は、触媒成分全量(100重量%)に対して、例えば30〜99.5重量%であり、好ましくは50〜99重量%であり、より好ましくは60〜98重量%であり、さらに好ましくは70〜97重量%である。鉄の含有量が上記範囲であると、十分な触媒活性を保ち、アルデヒド類等への高い選択率が得られる。鉄の含有量(Fe23換算)は、Fe23以外の酸化形態であっても、元素分析より鉄(Fe)の量を算出し、Fe23に換算することにより求めることができる。
前記白金族金属と前記鉄の組成比としては、白金族金属(金属単体元素換算)が、鉄(Fe23換算)(100重量部)に対して、例えば1〜80重量部であり、好ましくは5〜60重量部であり、より好ましくは10〜50重量部である。一般的に白金族元素の重量比が高いほど触媒活性(原料転化率)は向上する傾向を示すが、触媒の価格が上昇するため、組成比は経済的合理性に基づき決定される。
また、白金族元素及び鉄以外の他の成分を共存させることもでき、例えば、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化バナジウム、酸化亜鉛等の金属酸化物を含有させたり、銅、金、カリウム、モリブデン、セリウムなどの第3金属成分を含有させたりすることもできる。白金族元素及び鉄以外の他の成分の合計重量は、触媒成分全体(100重量%)に対して、例えば25重量%以下であり、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下である。
白金族金属及び鉄の合計重量は、前記触媒成分全体(100重量%)に対して、例えば75重量%以上であり、好ましくは80重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上である。白金族金属及び鉄の割合が一定以上であると、良好な触媒活性が得られる。
前記触媒成分の含有量は、担体100重量部に対して、例えば2〜500重量部であり、好ましくは2.5〜300重量部であり、より好ましくは3〜200重量部であり、さらに好ましくは5〜100重量部である。
前記触媒成分の含有量は、本発明の固体触媒(100重量%)に対して、例えば5〜80重量%であり、好ましくは8〜60重量%であり、より好ましくは10〜50重量%である。
(担体)
本発明の固体触媒における前記担体は、スポンジ状の多孔性材質であるが、スポンジ状とは、例えば、連続気孔を有する三次元骨格構造を意味する。
触媒成分を担持する担体としては、セラミックや金属を含む担体が好ましい。セラミックや金属の成分としては、アルミナ、マグネシア、シリカ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ニッケル、ニッケル−クロム合金などが挙げられる。なかでもアルミナ、マグネシア、シリカの3成分からなるセラミック(コージェライトとアルミナのブレンドタイプ)、ニッケル、ニッケル−クロム合金が好ましい。担体としては、本願の効果を損なわない範囲で有機物等のセラミックや金属以外の成分を含んでいてもよい。
担体としてセラミックを含む場合の前記セラミックの割合は、担体(100重量%)に対して、例えば50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上であり、さらに好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは90重量%以上である。
担体として金属を含む場合の前記金属の割合は、担体(100重量%)に対して、例えば50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上であり、さらに好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは90重量%以上である。
担体の形状としては、例えば、球状、円柱状、円筒状が挙げられる。また、担体の大きさとしては、特に制限されず、球状のものである場合、直径が、例えば0.05〜20mm程度であり、好ましくは0.1〜15mmであり、より好ましくは0.5〜10mmであり、さらに好ましくは1〜5mmである。また、球状のものである場合、平均直径が、例えば0.1〜10mm程度であり、好ましくは0.2〜8mmであり、より好ましくは0.3〜5mmであり、さらに好ましくは0.4〜4mmである。担体が球状であっても上記直径の範囲でない場合や大きなサイズの板状やブロック状等のものである場合、適宜、担体として適切な直径になるように前記担体を破砕や整粒して用いてもよい。
担体としては、市販のものを用いることができ、スポンジ状アルミナコージェライト(株式会社成田製陶所社製 セラミックフォーム#30、#20、#13)、スポンジ状金属(住友電気工業株式会社製 セルメット#4)などが使用できる。本発明において担体は、担体の表面積を大きくすることができ、アルデヒド類の選択率に優れる点から単位体積当たりに多くの空孔を有することが好ましく、なかでも連通する空孔(連続空孔)を有することが好ましい。
前記担体の空孔率は、例えば50〜99%であり、好ましくは60〜98%であり、より好ましくは70〜98%であり、さらに好ましくは75〜98%である。空孔率が上記範囲であると十分な量の触媒を付けられる担体の表面が確保でき、かつ、十分にガスが拡散され滞留を抑制できるので、アルデヒド類の選択性に優れる。
前記担体の平均細孔径は、例えば0.1〜5mmであり、好ましくは0.2〜3mmであり、より好ましくは0.3〜2mmであり、さらに好ましくは0.5〜1mmである。平均細孔径が上記範囲であると十分な量の触媒を付けられる担体の表面が確保でき、かつ、十分にガスが拡散され滞留を抑制できるので、アルデヒド類の選択性に優れる。
前記担体の見掛比重は、例えば0.05〜0.9であり、好ましくは0.1〜0.85であり、より好ましくは0.15〜0.8であり、さらに好ましくは0.2〜0.75である。
担体の重量比は、前記触媒成分100重量部に対して、例えば50〜2000重量部であり、好ましくは80〜900重量部であり、より好ましくは100〜800重量部であり、さらに好ましくは120〜700重量部である。
前記担体の含有量は、本発明の固体触媒(100重量%)に対して、例えば30〜99重量%であり、好ましくは40〜97重量%であり、より好ましくは50〜95重量%である。
(触媒の製造方法)
本発明の固体触媒は、例えば、(1)触媒成分又はその前駆体と溶媒の混合溶液を調製する工程、(2)(1)で調製した混合溶液を担体に含浸する工程、(3)(2)で含浸させた触媒を蒸発乾固、及び乾燥する工程、及び(4)(3)で乾燥させた触媒を焼成する工程を含む方法により製造することができる。必要に応じて、(2)で用いる担体を破砕、及び整粒する工程を含んでもよい。
(1)触媒成分又はその前駆体と溶媒の混合溶液を調製する工程では、例えば、前記白金族金属及び前記鉄等の触媒成分に溶媒を加えて、撹拌することにより混合溶液を調製する。前記白金族金属の配合量は、触媒成分全量(100重量%)に対して、例えば0.5〜40重量%であり、好ましくは1〜38重量%であり、より好ましくは2〜35重量%であり、さらに好ましくは3〜30重量%である。また、前記鉄の配合量は、触媒成分全量(100重量%)に対して、例えば、30〜99.5重量%であり、好ましくは40〜99重量%である。
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール、トルエン等が挙げられるが、中でも水が好ましい。前記溶媒の使用量は、加えた触媒成分を分散又は溶解できる分量であれば特に制限されないが、使用する触媒成分全量100重量部に対して、例えば100〜5000重量部であり、好ましくは300〜1000重量部である。また、パラジウム等の白金族の塩は、鉄、その他の卑金属塩と比較して容易に析出し易いため、混合溶液にクエン酸、EDTA等のキレート剤を共存させることも、触媒活性向上に有効である。前記キレート剤の配合量は、溶媒100重量部に対し、例えば10〜1000重量部である。
含浸させる担体は、触媒として適切な大きさとするために予めを破砕、及び整粒しておいてもよく、担体の破砕は、例えば、セラミックカッターでおおよそ所定の大きさになるように切ることができる。また、整粒は、例えば、篩(ふるい)を用いて行うことができる。整粒後の担体は、球状である場合、平均直径が、例えば0.1〜10mm程度であり、好ましくは0.3〜8mmである。前記担体の配合量は、使用する触媒成分全量100重量部に対して、例えば50〜500重量部であり、好ましくは80〜400重量部である。
(2)(1)で調製した混合溶液を担体に含浸する工程は、例えば、担体に混合溶液を滴下したり、混合溶液に担体を加えることにより行う。担体に混合溶液が均一に含浸するように適宜撹拌等をしてもよい。担体に混合溶液を滴下する際、触媒成分又はその前駆体に含まれる溶媒を蒸発させるために適宜、担体を加熱してもよい。その際の加熱温度は、例えば50〜100℃である。
(3)における蒸発乾固は、例えば50〜150℃の温度で3〜48時間行う。(3)における乾燥は、例えば50〜300℃の温度で1〜48時間行う。また、(4)における焼成は、例えば200〜600℃の温度で1〜24時間行う。これらの蒸発乾固、乾燥及び焼成は、一般的な電気炉などを用いて空気雰囲気下で行うことができる。なお、(3)の蒸発乾固と乾燥は、分けずに一度に行ってもよい。また、乾燥は、減圧下で行ってもよい。
[アルデヒド類の製造方法]
本発明のアルデヒド類の製造方法は、本発明の固体触媒の存在下、気相中でカルボン酸類から水素化によりアルデヒド類を製造する方法である。本発明のアルデヒド類の製造方法では、水素化は、水素(H2)ガスを用いることが好ましい。
前記カルボン酸類とは、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する有機酸である。カルボン酸類としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、安息香酸などが挙げられる。
前記アルデヒド類とは、分子内に少なくとも1つのホルミル基を有する炭化水素化合物である。前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ペンタナール、アクロレイン、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。なお、本発明のアルデヒド類の製造方法では、原料であるカルボン酸類に対応したアルデヒド類が得られる。
本発明のアルデヒド類の製造方法では、前記カルボン酸類が酢酸であり、前記アルデヒド類がアセトアルデヒドであることが好ましい。
図1は、本発明のアルデヒド類の製造方法の一例を示す概略フロー図である。特に図1は、アルデヒド類を主な目的物とする場合の概略フロー図である。
図1に示す例では、水素ガスは水素設備Pからライン1により供給され、コンプレッサーI−1で加圧され、バッファータンクJ−1を経て、ライン2の循環ガスと合流して、ライン3により蒸発器A(カルボン酸類蒸発器)に仕込まれる。蒸発器Aには、カルボン酸類タンクK−1からポンプN−1を用いてライン4よりカルボン酸類が供給され、気化したカルボン酸類が水素ガスと共に熱交換器(加熱器)L−1、L−2で加熱され、ライン5より本発明の固体触媒を充填した反応器Bに仕込まれる。蒸発器Aには循環ポンプN−2が備えられている。反応器Bでカルボン酸類は水素化され、主生成物のアルデヒド類やエタノール等のアルコール類のほか、非凝縮性のメタン、エタン、エチレン、二酸化炭素、凝縮性のアセトン等のケトン類、水などが生成する。また、他にプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2以上の炭化水素が生成する。
カルボン酸類の水素化は、公知の方法で行うことができる。例えば、カルボン酸類を本発明の固体触媒の存在下で水素と反応させる。本発明の固体触媒は、カルボン酸類の水素化に用いる前に、予め、水素と接触させることにより還元処理を施すことが好ましい。還元処理は、例えば50〜500℃、0.1〜5MPaの条件下、水素(H2)ガスを30〜300ml/min流通させることにより行われる。
実線速は、例えば、10〜20000mm/sであり、好ましくは50〜10000mm/sであり、より好ましくは200〜3000mm/sである。実線速が上記範囲であると、カルボン酸類の水素化においてアルデヒド類の選択率を向上させることができる。
反応器での反応温度は、例えば250〜400℃、好ましくは270〜350℃である。反応温度が高すぎるとアセトン等のケトン類の副生が増大し、アルデヒド類等の選択率が低下しやすくなる。反応器での反応圧力は、常圧、減圧、加圧下のいずれであってもよいが、例えば0〜10MPa、好ましくは0.1〜3MPaの範囲である。反応器での接触時間は、例えば0.1〜1secであり、好ましくは0.1〜0.5secである。
反応器への水素とカルボン酸類の供給比(モル比)は、例えば水素/カルボン酸類=0.5〜50、好ましくは水素/カルボン酸類=2〜25である。
反応器におけるカルボン酸類の転化率は80%以下(例えば5〜80%)であることが望ましい。カルボン酸類の転化率が80%を超えると、副生物(酢酸エチル等)が生成しやすくなり、アルデヒド類の選択率が低下する。したがって、反応器における滞留時間、水素の流通速度を、カルボン酸類の転化率が80%以下となるように調整することが望ましい。
カルボン酸類と水素との反応により、前述したように、主に、未転化のカルボン酸類、未転化の水素、反応で生成したアルデヒド類、アルコール類、水、及びその他の生成物(酢酸エチル等のカルボン酸類、アセトン等のケトン類)からなるガス状反応生成物が得られる。
前記ガス状反応生成物から非凝縮性ガスと凝縮性成分とを分離し、該凝縮性成分を反応液とすることができる。前記ガス状反応生成物から非凝縮性ガスと凝縮性成分とを分離する方法としては、例えば、カルボン酸類を水素化した反応流体を吸収塔に仕込み、該反応流体中の凝縮成分を吸収液で吸収することにより、凝縮性成分と非凝縮性のガスとを分離できる(吸収工程)。前記の副生する炭素数2以上の炭化水素の少なくとも一部は、吸収液で吸収される。本発明のアルデヒド類の製造方法においては、このような吸収液に吸収された凝縮性成分(凝縮性成分と吸収液の混合物)も「反応液」に含める。なお、前記吸収工程では、非凝縮性ガスの一部が吸収液に溶解するが、吸収塔の缶出液の圧力を減じることにより、吸収液に溶解した非凝縮性ガスを放散させ、該非凝縮性ガス放散後の液を吸収塔にリサイクルする工程(放散工程)を設けることにより、水素と他の非凝縮性ガス成分とを効率よく分離できる。
前記吸収工程では、例えば、カルボン酸類を水素化した反応流体を吸収塔に仕込み、該反応流体中の凝縮成分を吸収液で吸収するとともに、非凝縮性ガスを吸収液に溶解する。この吸収工程は、通常、反応工程で得られた反応流体と吸収液とを吸収塔に供給し、吸収塔内で両者を接触させることにより行われる。吸収塔としては、特に限定されず、公知乃至周知のガス吸収装置、例えば、充填塔、棚段塔、スプレー塔、濡れ壁塔などを使用できる。
また、前記放散工程では、吸収塔の缶出液の圧力を減じて吸収液に溶解した非凝縮性ガスを放散し、該非凝縮性ガス放散後の液を吸収塔にリサイクルする。この放散工程は、通常、吸収工程で得られた吸収塔の缶出液(凝縮成分および非凝縮性ガスを吸収、溶解した後の吸収液)を圧力を減じた放散塔に供給し、非凝縮性ガスを放散することにより行われる。放散塔としては、特に限定されず、公知乃至周知のガス放散装置、例えば、充填塔、棚段塔、スプレー塔、濡れ壁塔、気液分離器などを使用できる。
図1に示す例では、反応器Bから流出した反応流体はライン6により前記熱交換器L−1を経た後、熱交換器(冷却器)M−1、M−2で冷却され、ライン7より吸収塔Cの下方部に仕込まれる。吸収塔Cには、吸収液として、ライン9より後述する放散塔Dの缶出液(以後、「循環液」と称する場合がある)が仕込まれる。循環液は主に非凝縮性ガスである水素、メタン、エタン、エチレン、二酸化炭素を吸収、溶解する。また、循環液以外の吸収液(以後、「吸収塔補給液」と称する場合がある)として、ライン11より共沸溶剤(水と共沸する溶剤)を多く含む留出上相液を吸収液として仕込んでもよい。吸収塔補給液は非凝縮性ガスとともに低沸点の凝縮性成分であるアルデヒド類を吸収する。なお、留出上相液は、ライン15を通り冷却器M−3を経てライン11に供給される。放散塔Dの缶出液(ライン9)(循環液)及び留出上相液(ライン11)(吸収塔補給液)の吸収塔Cへの仕込位置は、アルデヒド類および非凝縮性ガスの吸収効率等を考慮して適宜選択できるが、前記循環液は吸収塔Cの中段部へ、前記吸収塔補給液は吸収塔Cの上方部へ仕込むのが好ましい。
吸収塔Cの缶出液は、反応液タンクK−2に供されるライン14と放散塔Dに仕込まれるライン8に分かれる。ライン14の缶出液は、反応液として反応液タンクK−2に貯留される。必要に応じてこの貯留された反応液を、精製工程に供してもよい。ライン8は放散塔Dで減圧され、ライン10より吸収液に溶解した非凝縮性ガスである水素、メタン、エタン、エチレン、二酸化炭素が放散され、該非凝縮性ガス放散後の液はライン9より吸収塔Cにリサイクルされる。Q−2はベントである。
吸収塔Cに仕込まれる吸収液としては、吸収塔Cの缶出液(循環液)のみでもよいが、アルデヒド類が沸点20℃と低いアセトアルデヒドである場合は、アセトアルデヒドの回収率を向上させるため、アセトアルデヒドを含まない吸収液が好ましい。例えば、吸収液としては、未反応のカルボン酸類と副生した水とを共沸蒸留により分離する際に使用する共沸溶剤含有液のほか、吸収塔Cの缶出液からアルデヒド類を分離した後の液等の酢酸水溶液が好ましい。
吸収液として前記共沸溶剤含有液を用いる場合、共沸溶剤含有液中の共沸溶剤含有量は、例えば10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上である。
前記共沸溶剤は、水と共沸混合物を形成して沸点を下げ、かつ、水と分液することでカルボン酸類と水の分離を容易にする。共沸溶剤の例としては、エステルとしては、ギ酸イソプロピル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、などが、ケトンとしては、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトンなどが、脂肪族炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどが、脂環式炭化水素としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどが、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
これらの中でも、酢酸エチルは、カルボン酸類の水素化の副生成物として存在しやすいため、共沸溶剤の回収工程を省略することができるので、共沸溶剤として好ましい。
また、酢酸プロピル(沸点102℃)、酢酸イソブチル(沸点117℃)、酢酸sec-ブチル(沸点112℃)、プロピオン酸イソプロピル(沸点110℃)、酪酸メチル(沸点102℃)、イソ酪酸エチル(沸点110℃)など、常圧における沸点が100℃から118℃のエステルは、水との共沸混合物の水の比率が高く、かつ、酢酸より沸点が低いため、カルボン酸類と水の分離をより容易にする。また、これらのエステルは、エタノールとも共沸しないか、または、エタノールとの共沸混合物のエタノールの比率が低く、共沸溶剤の分離・回収が比較的容易である。したがって、常圧における沸点が100℃から118℃のエステルも共沸溶剤として好ましい。
また、非凝縮性ガスとして存在しやすいメタンは、極性の高い酢酸水溶液よりも極性の低い共沸溶剤によく溶解するため、共沸溶剤は、非凝縮性ガスの吸収液に適している。
吸収塔Cに供給される前記吸収塔補給液(ライン11)の供給量と反応流体(ライン7)の供給量との比(重量比)は、例えば前者/後者=0.1〜10であり、好ましくは前者/後者=0.3〜2である。また、吸収塔Cに供給される前記循環液(ライン9)の量と反応流体(ライン7)の供給量との比(重量比)は、例えば前者/後者=0.05〜20であり、好ましくは前者/後者=0.1〜10である。
吸収塔Cの段数(理論段数)は、例えば1〜20、好ましくは3〜10である。また、吸収塔Cにおける温度は、例えば0〜70℃であり、吸収塔Cにおける圧力は、例えば0.1〜5MPa(絶対圧)である。
放散塔Dにおける温度は、例えば0〜70℃である。放散塔Dにおける圧力は、吸収塔Cの圧力より低ければよく、例えば0.05〜4.9MPa(絶対圧)である。吸収塔Cの圧力と放散塔Dの圧力との差(前者−後者)は、非凝縮性ガスの放散効率やアルデヒド類のロス抑制の観点から適宜選択できるが、例えば0.05〜4.9MPa、好ましくは0.5〜2MPaである。
本発明のアルデヒド類の製造方法におけるアルデヒド類の選択率は、反応条件によっても異なるが、例えば30〜90%であり、好ましくは40〜90%である。なお、アルデヒド類の選択率や収率は、前記反応液をガスクロマトグラフィー等で分析することにより求めることができる。
本発明のアルデヒド類の製造方法により得られる、アルデヒド類の純度は、例えば90.0重量%以上であり、好ましくは95.0重量%以上であり、さらに好ましくは98.0重量%以上である。なお、得られたアルデヒド類は、必要に応じてさらに蒸留などにより精製し、さらに純度を高めることもできる。
本発明のアルデヒド類の製造方法は、本発明の固体触媒を用いているため、形成される炭素数2以上の炭化水素の副生が抑制される効果を有する。炭素数2以上の炭化水素の選択率は、例えば15%以下であり、好ましくは10%以下である。また、反応条件を上記のように調整することで、アルデヒド類等を選択的に生成できるため、別の副反応で生成するアセトン等のケトン類や二酸化炭素、一酸化炭素、メタンなどのガスの発生も抑制できる。アセトン等のケトン類の選択率は、例えば10%以下であり、好ましくは5%以下である。二酸化炭素、一酸化炭素、メタンなどのガスの選択率は、例えば10%以下であり、好ましくは5%以下である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[比較例1]
(打錠触媒の調製)
Pd(NO32水溶液(株式会社フルヤ金属社製、Pd換算4.5重量%)25.64gにFe(NO33・9H2O(関東化学株式会社製、製品No.16026-00)19.65g、及び無水クエン酸(和光純薬株式会社製、商品コード030-05525)6.377gを加え、均一な混合溶液とした。上記の混合溶液を70℃で12時間乾燥させた後、110℃で2時間、200℃で2時間、400℃で5時間焼成し触媒粒を得た。打錠成形器にて成形した後、破砕し、目開き4.0−1.00mmの上下篩にて整粒し、打錠触媒を得た。得られた打錠触媒は、Pd換算、Fe23換算で触媒成分として、Pd/Fe23重量比=30/100であった。
[実施例1]
(スポンジ状アルミナコージェライト担持触媒の調製)
Pd(NO32水溶液(株式会社フルヤ金属社製、Pd換算4.5重量%)7.407gにFe(NO33・9H2O(関東化学株式会社製、製品No.16026-00)4.258g、及び無水クエン酸(和光純薬株式会社製、商品コード030-05525)3.070gを加え、均一な混合溶液とした。スポンジ状アルミナコージェライト(株式会社成田製陶所社製、品番♯30、平均細孔径0.8mm、外径75mm×50mm×20mmの板を破砕し目開き4.0−1.00mmの上下篩にて整粒し使用した)2.333gを磁製皿に移し、温水バス70−80℃で温め、上記混合溶液を全体に滴下し、蒸発乾固し、触媒粒を得た。得られた触媒粒を120℃で12時間乾燥させた後、400℃で5時間焼成し、担持触媒(固体触媒)を得た。得られた担持触媒は、Pd換算、Fe23換算で触媒成分として、Pd/Fe23重量比=40/100であり、触媒成分/担体重量比=50/100であった。
[実施例2]
(スポンジ状金属担持触媒の調製)
Pd(NO32水溶液(株式会社フルヤ金属社製、Pd換算4.5重量%)5.291gにFe(NO33・9H2O(関東化学株式会社製、製品No.16026-00)3.041g、及び無水クエン酸(和光純薬株式会社製、商品コード030-05525)2.193gを加え、均一な混合溶液とした。スポンジ状金属 (住友電気工業株式会社製、品番♯4、平均細孔径0.9mm、外径4mm×4mm×2mmの板)1.667gをナスフラスコに移し、上記混合溶液加え、減圧下30℃で乾燥し、触媒粒を得た。得られた触媒粒を120℃で12時間乾燥させた後、400℃で5時間焼成し、担持触媒(固体触媒)を得た。得られた担持触媒は、Pd換算、Fe23換算で触媒成分として、Pd/Fe23重量比=40/100であり、触媒成分/担体重量比=50/100であった。
(触媒の反応性の評価)
実施例1、2及び比較例1で得られた触媒を用い、下記の方法で酢酸を原料とし、気相中で水素化することによりアセトアルデヒドを製造した。なお、触媒の反応性の評価は、酢酸を気化し、水素ガスとともに気体として反応器に供給可能であり、触媒を取り付けることができ、加熱可能な反応管を有する反応系を用いて行った。なお、表1においてEtcとは、その他の微量副生物の選択率の合計である。また、実線速(線速度)とは、反応圧力と反応温度による体積補正を行った体積流量を反応管の断面積で割った値である。
[比較例1−1]
上記比較例1で得られた打錠触媒1.0ccを固定床式気相連続流通反応装置(反応器)に接続した12mmφのSUS製反応管に充填し、100mL/minの水素ガス流通下で電気炉により触媒層温度が300℃になるように12時間加熱して前処理を行った。
上記の前処理を行った後、接触時間が0.25sec、水素/酢酸仕込みモル比(H2/AC)が7.0となるように、水素ガス(209.5mL/min)と酢酸液(0.076cc/min)を反応器に流通させて反応させた。反応器出口ガスはクーラーにて冷却して気液分離し、凝縮液を捕集した。凝縮しないガス中のアセトアルデヒド等の低沸点成分は300ccの水中にバブリングすることで捕集し、さらに捕集されないガス成分は気体状態で捕集した。反応中は、触媒層温度が315℃、反応圧力が0.4MPaになるように電気炉、背圧弁を調整した。反応開始から12時間以上経過した後に、反応管を通過した気体を反応管の出口に設けたコンデンサーから凝縮液及び非凝縮成分からなるオフガスに分け、各々をガスクロマトグラフィーにて分析した。得られた評価結果を表1に示す。
[実施例1−1]
上記実施例1で得られた固体触媒2.6ccを固定床式気相連続流通反応装置(反応器)に接続した12mmφのSUS製反応管に充填し、100mL/minの水素ガス流通下で電気炉により触媒層温度が300℃になるように12時間加熱して前処理を行った。
上記の前処理を行った後、接触時間が0.25sec、水素/酢酸仕込みモル比(H2/AC)が14.0となるように、水素ガス(582mL/min)と酢酸液(0.107cc/min)を反応器に流通させて反応させた。反応器出口ガスはクーラーにて冷却して気液分離し、凝縮液を捕集した。凝縮しないガス中のアセトアルデヒド等の低沸点成分は300ccの水中にバブリングすることで捕集し、さらに捕集されないガス成分は気体状態で捕集した。反応中は、触媒層温度が330℃、反応圧力が0.4MPaになるように電気炉、背圧弁を調整した。反応開始から12時間以上経過した後に、反応管を通過した気体を反応管の出口に設けたコンデンサーから凝縮液及び非凝縮成分からなるオフガスに分け、各々をガスクロマトグラフィーにて分析した。得られた評価結果を表1に示す。
[実施例1−2]
上記実施例1で得られた固体触媒2.6ccを固定床式気相連続流通反応装置(反応器)に接続した12mmφのSUS製反応管に充填し、100mL/minの水素ガス流通下で電気炉により触媒層温度が300℃になるように12時間加熱して前処理を行った。
上記の前処理を行った後、接触時間が0.25sec、水素/酢酸仕込みモル比(H2/AC)が14.0となるように、水素ガス(582mL/min)と酢酸液(0.107cc/min)を反応器に流通させて反応させた。反応器出口ガスはクーラーにて冷却して気液分離し、凝縮液を捕集した。凝縮しないガス中のアセトアルデヒド等の低沸点成分は300ccの水中にバブリングすることで捕集し、さらに捕集されないガス成分は気体状態で捕集した。反応中は、触媒層温度が330℃、反応圧力が0.8MPaになるように電気炉、背圧弁を調整した。反応開始から12時間以上経過した後に、反応管を通過した気体を反応管の出口に設けたコンデンサーから凝縮液及び非凝縮成分からなるオフガスに分け、各々をガスクロマトグラフィーにて分析した。得られた評価結果を表1に示す。
[実施例1−3]
上記実施例1で得られた固体触媒2.6ccを固定床式気相連続流通反応装置(反応器)に接続した12mmφのSUS製反応管に充填し、100mL/minの水素ガス流通下で電気炉により触媒層温度が300℃になるように12時間加熱して前処理を行った。
上記の前処理を行った後、接触時間が0.50sec、水素/酢酸仕込みモル比(H2/AC)が14.0となるように、水素ガス(291mL/min)と酢酸液(0.054cc/min)を反応器に流通させて反応させた。反応器出口ガスはクーラーにて冷却して気液分離し、凝縮液を捕集した。凝縮しないガス中のアセトアルデヒド等の低沸点成分は300ccの水中にバブリングすることで捕集し、さらに捕集されないガス成分は気体状態で捕集した。反応中は、触媒層温度が330℃、反応圧力が0.4MPaになるように電気炉、背圧弁を調整した。反応開始から12時間以上経過した後に、反応管を通過した気体を反応管の出口に設けたコンデンサーから凝縮液及び非凝縮成分からなるオフガスに分け、各々をガスクロマトグラフィーにて分析した。得られた評価結果を表1に示す。
[実施例2−1]
上記実施例2で得られた固体触媒3.0ccを固定床式気相連続流通反応装置(反応器)に接続した12mmφのSUS製反応管に充填し、100mL/minの水素ガス流通下で電気炉により触媒層温度が300℃になるように12時間加熱して前処理を行った。
上記の前処理を行った後、接触時間が0.25sec、水素/酢酸仕込みモル比(H2/AC)が14.0となるように、水素ガス(672mL/min)と酢酸液(0.124cc/min)を反応器に流通させて反応させた。反応器出口ガスはクーラーにて冷却して気液分離し、凝縮液を捕集した。凝縮しないガス中のアセトアルデヒド等の低沸点成分は300ccの水中にバブリングすることで捕集し、さらに捕集されないガス成分は気体状態で捕集した。反応中は、触媒層温度が330℃、反応圧力が0.4MPaになるように電気炉、背圧弁を調整した。反応開始から12時間以上経過した後に、反応管を通過した気体を反応管の出口に設けたコンデンサーから凝縮液及び非凝縮成分からなるオフガスに分け、各々をガスクロマトグラフィーにて分析した。得られた評価結果を表1に示す。
Figure 0006758113
表1に示す通り、実施例1−1〜1−3、及び実施例2−1では、カルボン酸類から気相中でアルデヒド類を製造する際のアルデヒド類への選択率が、比較例1−1よりも高くなっている。
A 蒸発器
B 反応器
C 吸収塔
D 放散塔
I−1〜I−2 コンプレッサー
J−1〜J−3 バッファータンク
K−1 カルボン酸類タンク
K−2 反応液タンク
L−1〜L−2 加熱器
M−1〜M−4 冷却器(クーラー)
N−1〜N−3 ポンプ(送液ポンプ)
P 水素設備(水素ボンベ)
Q−1〜Q−2 ベント
1〜15 ライン

Claims (6)

  1. カルボン酸類から気相中で水素化することによりアルデヒド類を製造するための担体担持型固体触媒であって、
    触媒成分を担持する担体がスポンジ状の多孔性材質であり、
    前記担体の平均細孔径が0.1〜1mmであることを特徴とする固体触媒。
  2. 前記触媒成分が、白金族金属及び鉄を含む請求項1に記載の固体触媒。
  3. 前記白金族金属が、パラジウムである請求項2に記載の固体触媒。
  4. 前記担体がセラミックを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体触媒。
  5. カルボン酸類から気相中で固体触媒を用いて水素化することによりアルデヒド類を製造する方法であって、前記固体触媒が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体触媒であるアルデヒド類の製造方法。
  6. 前記カルボン酸類が酢酸であり、前記アルデヒド類がアセトアルデヒドである請求項5に記載のアルデヒド類の製造方法。
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