JP6480835B2 - 固体触媒、固体触媒の製造方法、及びアセトアルデヒドの製造方法 - Google Patents

固体触媒、固体触媒の製造方法、及びアセトアルデヒドの製造方法 Download PDF

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本発明は、カルボン酸類から気相中で水素化することによりアルデヒド類を製造するための担体担持型固体触媒(アルデヒド類製造用固体触媒)、及びその固体触媒を用いたアルデヒド類の製造方法に関する。
アルデヒド類は、各種有機化学合成用の中間体等として、工業的に極めて重要な化合物であり、酢酸エチル、過酢酸、ピリジン誘導体、ペンタエリスリトール、クロトンアルデヒド、パラアルデヒド等の原料として大量に使用されている。
現在、アルデヒド類は、工業的には主にエチレンや末端オレフィンの酸化又はヒドロホルミル化により製造されている。しかし、これらの原料は、いずれも石油由来の化合物であり、近年の石油類の高騰や資源枯渇問題から、より安定的かつ安価に入手可能な化合物を原料とする製造方法が望まれている。ここで、アルデヒド類の中でも特に工業的に大量に製造されているアセトアルデヒドに着目すると、過去にはアセトアルデヒドは、その酸化により酢酸を製造するための原料として利用されており、必然的に酢酸は、アセトアルデヒドより高価な化合物であった。しかしながら、1970年代に酢酸の製造方法が、メタノールのカルボニル化法(所謂モンサント法)に転換すると、酢酸とアセトアルデヒドの価格順位は逆転し、酢酸の水素還元によるアセトアルデヒドの製造が経済的に十分成立する状況となった。さらに、現在アセトアルデヒドは、上述のようにエチレンを原料として製造されているのに対し、酢酸は、メタノールと一酸化炭素といういずれも非石油原料から合成可能な原料から製造されているため、原料の安定確保、資源保護、地球環境保護の面からも酢酸を原料とするアセトアルデヒドの製造は好ましいと言える。
上述のような状況から、酢酸の水素還元によるアセトアルデヒドの合成が既にいくつかなされている。以下に列挙すると、V.Ponecらは、酸化鉄微粉末を触媒とした気相水素化反応により酢酸からアルデヒドが選択的に得られることを開示した(非特許文献1)。さらに、V.Ponecらは、酸化鉄に白金を添加することで触媒活性及びアセトアルデヒド選択率が向上することを開示した(非特許文献2)。また、ジェラルド・シー・タスティンらは、酸化鉄に2.5〜90重量%のパラジウムを添加した触媒を開示した(特許文献1)。ヴィクター・ジェイ・ジョンストンらは、シリカ及び炭素からなる担体上にパラジウムと第2成分として、鉄、銅、金、及びカリウムからなる金属群を担持した触媒を開示した(特許文献2)。
特許第4094737号公報 特許第5053458号公報
Journal of Catalysis vol.148, pp.261-269(1994) Journal of Catalysis vol.168, pp.255-264(1997)
しかしながら、特許文献1で開示された触媒は、文献中への記載にもあるように、良好な反応成績を得るためには対Fe23重量比で40%程度の大量のパラジウムを使用する必要が有るため、触媒が極めて高価なものとなり、工業的な利用には適さないという問題点を有する。特許文献2は、その問題点への対策として触媒成分を担体に担持して使用することを提案したものである。
しかしながら、本発明者らの検討の結果、本願比較例1に示すように、上記特許文献2記載の一般的な触媒用担体への含浸により製造した触媒では、アセトアルデヒドへの選択率は、極めて不満足なレベルまで低下することが分かった。
したがって、本発明の目的は、カルボン酸類を気相中で水素化してアルデヒド類を製造する際のアルデヒド類への選択率が高く、工業的に利用可能な固体触媒を提供することにある。また、上記固体触媒を用いて、カルボン酸類を気相中で水素化してアルデヒド類を製造する際のアルデヒド類への選択率が高く、工業的に利用可能なアルデヒド類の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の状況に鑑み、担体担持型固体触媒とした状態でも高いアルデヒド類への選択率を実現可能な触媒の探索を鋭意検討した結果、意外にも、触媒担体用として一般的に市販されている製品ではなく、排水処理用途等に市販されている貫通型多孔性材質を触媒担体として使用することで高いアルデヒド類への選択率が得られることを見出し、本発明を完成した。なお、ここでいう貫通型とはガスが入って、入った箇所とは別の箇所から抜ける構造を指す。
すなわち、本発明は、カルボン酸類から気相中で水素化することによりアルデヒド類を製造するための担体担持型固体触媒であって、触媒成分を担持する担体が貫通型多孔性材質であることを特徴とする固体触媒を提供する。
本発明においては、前記触媒成分が、白金族金属及び鉄を含むことが好ましい。
本発明においては、前記白金族金属が、パラジウムであることが好ましい。
本発明においては、前記担体の貫通型多孔性材質が、アルミナを含むことが好ましい。
本発明においては、前記担体の貫通型多孔性材質の平均細孔径が、0.001〜100μmであることが好ましい。
また、本発明は、カルボン酸類から気相中で固体触媒を用いて水素化することによりアルデヒド類を製造する方法であって、固体触媒が、前記の固体触媒であるアルデヒド類の製造方法を提供する。
本発明においては、前記カルボン酸類が酢酸であり、前記アルデヒド類がアセトアルデヒドであることが好ましい。
本発明の固体触媒は、上記構成を有するため、工業的に利用可能であり、カルボン酸類を気相中で水素化してアルデヒド類を製造する際のアルデヒド類への選択率が高い。また、本発明のアルデヒド類の製造方法は、本発明の固体触媒を用いているため、工業的に利用可能であり、カルボン酸類を気相中で水素化してアルデヒド類を製造する際のアルデヒド類への選択率が高い。
[固体触媒]
本発明の固体触媒は、カルボン酸類から気相中で水素化することによりアルデヒド類を製造するための担体担持型固体触媒であって、触媒担体が貫通型多孔性材質である担持型触媒であること特徴とする。
上記カルボン酸類とは、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する有機酸である。カルボン酸類としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、安息香酸等が挙げられる。
上記アルデヒド類とは、分子内に少なくとも1つのホルミル基を有する化合物であり、カルボニル炭素に水素原子が1つ置換した構造を有する化合物である。アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ペンタナール、アクロレイン、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
特に、本発明では、工業的な利用価値の面から、上記カルボン酸類が酢酸であり、上記アルデヒド類がアセトアルデヒドであることが好ましい。
(触媒成分)
本発明の固体触媒は、カルボン酸類を水素化してアルデヒド類を製造する際に、水素化の化学反応の速度を速める働きをする物質である。上記固体触媒成分は、特に制限されないが、触媒活性が高くアルデヒド類への選択率が高い点から、白金族金属及び鉄を含むことが好ましい。
上記白金族金属は、周期律表の第8族の第5周期及び第6周期の元素を示す。白金族金属としては、具体的には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金からなる元素群等が挙げられる。なかでも、触媒活性の点から、パラジウム及び白金が好ましいが、一般的にパラジウムの方が白金に比べ安価であるため、工業的には、特にパラジウムが好ましい。これらの白金族金属は、1種を単独で、2種以上を組合せて使用することができる。
上記白金族金属としては、パラジウム触媒や白金触媒等の各種市販の触媒を用いることもできる。パラジウム触媒の調製原料としては、Pd(NO32・xH2O(Alfa Aesar製、Pd40%)、酢酸パラジウム等が使用できる。また、白金触媒の調製原料としては、H2Pt(OH)6等が使用できる。
上記鉄としては、特に制限されないが、鉄(Fe)元素を含む酸化物、窒素化物、その他鉄化合物等が挙げられる。鉄の原料としては、例えばFe(NO33・9H2O等を用いることができる。
上記白金族金属と上記鉄の組成比は、特に制限されないが、鉄の形態をFe23と仮定すると、鉄100重量部に対して、白金族元素の金属単体の重量比は、0.5〜80重量部が好ましく、1.0〜60重量部がより好ましい。一般的に白金族元素の重量比が高いほど触媒活性(原料転化率)は向上する傾向を示すが、触媒の価格が上昇するため、組成比は経済的合理性に基づき決定される。
(触媒の製造方法)
触媒の製造方法としては、上述の触媒成分を貫通型多孔性材質からなる担体に担持させた担体担持型固体触媒が得られれば、特に限定されず、一般的に公知の調製法を適宜適用可能である。具体的には、特殊な装置等を必要とせず、実施容易なものとして、各金属成分の塩を水等の溶媒に溶解させた混合溶液をそのまま多孔質担体に含浸させる、一般にインシピエント・ウエットネス法ないしはポア・フィリング法と呼称される方法が挙げられる。触媒成分を含浸させた担体は乾燥工程で溶媒を除去した後、焼成により塩成分を分解除去し最終的に触媒成分を酸化物、水酸化物ないし金属の形態とする。
上記の水等の溶媒の使用量は、特に制限されないが、各金属成分の塩100重量部に対して、100〜5000重量部が好ましい。通常の含浸担持方法では、溶解する塩濃度が高い程、最終的に担持される触媒成分の濃度が高くなるため、塩の溶解度が許す限り、高濃度の溶液とするのが好ましい。金属塩の種類としては、硝酸塩が、後述の焼成工程において、硝酸基が完全にNOXとして分解除去され純粋な酸化物、水酸化物ないし金属となるため、特に好ましい。塩化物等のハロゲン化物を原料としても、最終的に水素還元することで生成する塩酸等のハロゲン化水素は気体として除去されるので使用可能である。また、白金族の塩は、鉄、その他の卑金属塩に比較し、容易に溶液から析出し易いため、両成分を可能な限り担体上に均一に析出させる目的で、上記水等の溶媒からなる混合溶液にクエン酸、EDTA等のキレート剤を共存させることも、触媒活性向上に有効である。上記キレート剤の配合量は、特に制限されないが、水等の溶媒100重量部に対し、10〜1000重量部が好ましい。
上記の乾燥は、温度が50〜150℃で、3〜48時間行うことが好ましい。また、上記焼成は、温度が200〜600℃で、1〜24時間行うことが好ましい。乾燥及び焼成は、一般的な電気炉等を用いて空気雰囲気下で行うことができる。
触媒成分の担体に対する担持量比は、特に制限されないが、少なすぎると充分な触媒活性が得られず、多すぎると触媒活性に寄与しない触媒成分の割合が増加し経済的に不利となるため、担体重量100重量部に対し、例えば、0.1〜80重量部であり、好ましくは0.5〜50重量部である。
(担体)
本発明の固体触媒の特徴は、上述の触媒成分の担持用の担体として、一般的に触媒担体用として市販されているシリカ等の担体ではなく、水等へのエアーやオゾンの散気、曝気等の用途に市販されている貫通型多孔性材質(貫通型多孔質材料)、つまり貫通型多孔性担体を使用することである。
上記貫通型多孔性担体の特徴は、担体の表面及び内部に0.001〜100μm程度の孔径の数多くの細孔を有していることである。また、上記貫通型多孔性担体の特徴は、担体の表面及び内部に0.001〜100μm程度の孔径の数多くのトンネル状細孔を有し、かつそれらのトンネル状細孔が、独立若しくは複数が繋がって、担体の両端に開口していることである。このような特徴を有するため、貫通型多孔性担体は、気体を微小径かつ、可能な限り数多くの泡として液中へ噴出させる機能を有する。
本発明の固体触媒に適する上記貫通型多孔性担体の平均細孔径は、例えば、0.001〜100μmであり、好ましくは0.01〜50μmであり、より好ましくは0.03〜10μmであり、さらに好ましくは0.05〜5μmであり、特に好ましくは0.08〜3μmであり、最も好ましくは0.1〜2μmである。細孔径が0.001μm未満であると、細孔内部における気体分子の平均自由行程より細孔径が小さくなるため、気体の拡散速度が急激に低下し、好ましくない。また、細孔径が100μmを超えると、担体の比表面積が低下し、触媒成分を担持した場合、充分な触媒活性が得られないため、好ましくない。
上記平均細孔径を有する貫通型多孔性担体の材質(貫通型多孔性材質)としては、一般的に用いられる、アルミナ、シリカ、炭素、金属窒化物等やこれらの複合材料のセラミックを使用することができる。なかでも、化学的、機械的、耐熱、価格等の点から、アルミナを含むものが好ましく、特に、アルミナやシリカを主成分とするセラミックが好ましく用いられる。アルミナ、シリカ以外の炭素や金属窒化物のセラミック等も化学的に触媒活性を阻害しない範囲であれば、反応条件および触媒調製条件が許容する限りいずれも使用可能である。
上記貫通型多孔性担体の形状としては、特に制限されないが、担持操作の容易さ、反応器への充填や反応器からの取出しの容易さ、原料ガスとの接触面の大きさ、操業時の反応器の圧損等を考慮し、外径1〜5mm程度(好ましくは1.5〜3mm)の球状、円筒状、リング状のものが好ましく用いられる。
上記貫通型多孔性担体としては、市販されている上記貫通型多孔性材質を、そのままの形、ないし破砕、分級して使用することができる。あるいは、当該材料のメーカーに所望の平均細孔径、形状で製作を依頼することも可能である。以下、製作依頼が可能なメーカー名を例示すると、岩尾磁器工業株式会社、株式会社宮田工業所、株式会社美鈴工業等が挙げられる。
本発明の固体触媒は、上記貫通型多孔性担体を用いているため、従来の打錠型、押出成型触媒と比較してパラジウム等の高価な触媒成分を効率的に使用でき、かつ担体担持型触媒であるため機械的強度に優れる。そして、本発明の固体触媒は、カルボン酸類から気相中で水素化しアルデヒド類を製造する際のアルデヒド類への選択率が高い。アルデヒド類への選択率が高い理由は、本発明の固体触媒は、上記貫通型多孔性担体を用いており、当該担体が有する細孔が内部を貫通し外表面に開口していることから、担体内のガス拡散移動および触媒表面から気相部へのガス拡散移動が良好に行われるため、触媒層(担体)内で生成したアルデヒドの気相への移動が容易となり、結果的にアルデヒド類の逐次反応によるアルデヒド類の消失が低減されるためと考えられる。
[アルデヒド類の製造方法]
本発明のアルデヒド類の製造方法は、カルボン酸類から気相中で固体触媒を用いて水素化することによりアルデヒド類を製造する方法であって、上記固体触媒が、担体に触媒成分を担持した担体担持型固体触媒であって、当該担体が上記貫通型多孔性担体であることを特徴とする。よって、本発明のアルデヒド類の製造方法は、上述の本発明の固体触媒を用いることを特徴とする。
上記カルボン酸類及びアルデヒド類は、上述のものであるが、特に、本発明では、工業的な利用価値の面から、上記カルボン酸類が酢酸であり、上記アルデヒド類がアセトアルデヒドであることが好ましい。
カルボン酸類からの気相中での水素化は、反応形式としては、ガス状に気化させたカルボン酸類と水素との混合ガスを触媒充填層に通過させる形式の所謂固定床気相反応方式等が採用される。
水素化の反応形式は、具体的には、カルボン酸類を蒸発器に仕込み、気化したカルボン酸類が水素ガスとともに加熱され、本発明の固体触媒を充填した反応器に供給される方式等が挙げられる。当該反応器でカルボン酸類は水素化され、主生成物のアルデヒド類のほか、非凝縮性のメタン、エタン、エチレン、二酸化炭素、凝縮性のアセトン、エタノール、酢酸エチル、ジエチルアセタール等が生成する。
上記反応器に供給されるカルボン酸類と水素の化学量論的なモル比は、1対1であるが、触媒の還元状態の維持、及び化学平衡、反応速度的な有利さから、水素/カルボン酸類のモル比は、例えば2〜10であり、好ましくは5〜10であり、より好ましくは7〜10である。水素/カルボン酸類のモル比が上記範囲であると、水素化の反応速度が低下せず、触媒の還元状態が変化することによるケトン等の副生物の増加を抑えることができ、生成したアルデヒド類の逐次水素化物であるアルコールの副生も抑えることができる。
水素化の反応温度は、例えば、200〜400℃であり、好ましくは260〜360℃である。温度が上記範囲であると、反応速度を一定以上に保ちつつ、アルコール、ケトン、炭化水素類等の副生を抑えることができる。
水素化の反応圧は、例えば、常圧〜5MPa(ゲージ圧、以下同じ)であり、好ましくは常圧〜2MPaである。反応圧が上記範囲であると、アルデヒドの逐次水素化によるアルコールの副生を抑えることができる。
また、反応器に充填された触媒を反応に使用するに先立ち、水素ガスによる還元処理を行うことが、反応初期から安定な触媒活性を得る上で好ましい。還元処理温度は、例えば200〜400℃程度であり、時間は1〜10時間程度である。また、供給する水素ガスは、触媒成分元素を酸化物から金属に還元するのに必要な化学量論量以上であれば良い。
このような反応でのカルボン酸類の転化率は、例えば、60%以下(例えば5〜60%)である。カルボン酸類の転化率が60%を超えると、副生物(エタノール、酢酸エチル等)が生成しやすくなり、アルデヒド類の選択率が低下する。したがって、反応器における原料ガスの滞留時間を、カルボン酸類の転化率が60%以下となるように調整することが好ましい。
このような反応でのアルデヒド類の選択率は、例えば、50%以上であり、好ましくは55%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは65%以上である。アルデヒド類の選択率が一定以上であると、効率良くアルデヒド類が得られ、且つアルデヒド類の精製分離も容易となるため、工業的に有利に利用することができる。
本発明のアルデヒド類の製造方法は、本発明の固体触媒を用いており、カルボン酸類を気相中で水素化してアルデヒド類を製造する際のアルデヒド類への選択率が高く、工業的に利用可能である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、反応結果として示す酢酸転化率及び各生成物の選択率の定義は、以下の通りである。
酢酸転化率(%)=100×(反応器への仕込み酢酸[mol]−反応器から排出された酢酸[mol])/(反応器への仕込み酢酸[mol])
C基準選択率(%)=100×(反応器から排出された当該成分の1分子あたりのC換算[mol])/{2×(反応器への仕込み酢酸[mol]−反応器から排出された酢酸[mol])}
[実施例1]
(貫通型多孔性担体担持触媒の調製:平均細孔径0.1μm品)
Fe(NO33・9H2O(関東化学社製、製品No.16026−00)2.55gを純水3mlに溶解させた。そこに、Pd(NO32・xH2O(Alfa Aesar社製、Pd40%)0.5g、及び無水クエン酸(和光純薬社製、商品コード030−05525)1.09gを純水1.5mlに溶解した溶液を加え、均一な混合溶液とした。上記の混合溶液を市販の貫通型アルミナ(岩尾磁器工業株式会社製IAM−01P、平均細孔径0.1μm、外径12mm×内径9mmのパイプを破砕し、目開き2.83mm-1.68mmの上下篩にて整粒し使用した。)17.5gに全量吸収させ、触媒粒を得た。得られた触媒粒を110℃で5時間乾燥させた後、400℃で5時間焼成し、貫通型多孔性担体担持触媒(含浸担持型触媒;固体触媒)を得た(Pd/Fe23重量比=40/100、触媒成分(Pd/Fe23として)/アルミナ重量比=4/100)。
[実施例2]
(貫通型多孔性担体担持触媒の調製:平均細孔径0.5μm品)
Fe(NO33・9H2O(関東化学社製、製品No.16026−00)2.55gを純水3mlに溶解させた。そこに、Pd(NO32・xH2O(Alfa Aesar社製、Pd40%)0.5g、及び無水クエン酸(和光純薬社製、商品コード030−05525)1.09gを純水1.5mlに溶解した溶液を加え、均一な混合溶液とした。上記の混合溶液を市販の貫通型アルミナ(岩尾磁器工業株式会社製、平均細孔径0.5μm、外径12mm×内径9mmのパイプを破砕し、目開き2.83mm−1.68mmの上下篩にて整粒し使用した。)23.3gに全量吸収させ、触媒粒を得た。得られた触媒粒を110℃で5時間乾燥させた後、400℃で5時間焼成し、貫通型多孔性担体担持触媒(含浸担持型触媒;固体触媒)を得た(Pd/Fe23重量比=40/100、触媒成分(Pd/Fe23として)/アルミナ重量比=3/100)。
[比較例1]
(触媒担体用シリカ担持触媒の調製)
Fe(NO33・9H2O(関東化学社製、製品No.16026−00)2.55gを純水3mlに溶解させた。そこに、Pd(NO32・xH2O(Alfa Aesar社製、Pd40%)0.5g、及び無水クエン酸(和光純薬社製、商品コード030−05525)1.09gを純水1.5mlに溶解した溶液を加え、均一な混合溶液とした。上記の混合溶液を市販の触媒担体用球状シリカゲル(富士シリシア化学社製CARiACT Q−30、径1.2−4.0mm、平均細孔径0.03μm)4.83gに全量吸収させ、触媒粒を得た。得られた触媒粒を110℃で5時間乾燥させた後、400℃で5時間焼成し、含浸担持型触媒を得た(Pd/Fe23重量比=40/100、触媒成分(Pd/Fe23として)/アルミナ重量比=11/100)。
[比較例2]
(触媒担体用押出成型アルミナ担持触媒の調製)
Fe(NO33・9H2O(関東化学社製、製品No.16026−00)2.55gを純水3mlに溶解させた。そこに、Pd(NO32・xH2O(Alfa Aesar社製、Pd40%)0.5g、及び無水クエン酸(和光純薬社製、商品コード030−05525)1.09gを純水1.5mlに溶解した溶液を加え、均一な混合溶液とした。上記の混合溶液を市販の触媒担体用押出成型アルミナ(サンゴバン社製SA51161、径3mm/長さ2−5mm、平均細孔径0.7μm)17.5gに全量吸収させ、触媒粒を得た。得られた触媒粒を110℃で5時間乾燥させた後、400℃で5時間焼成し、含浸担持型触媒を得た(Pd/Fe23重量比=40/100、触媒成分(Pd/Fe23重量比=40/100、触媒成分(Pd/Fe23として)/アルミナ重量比=4/100)。
(触媒の反応性の評価)
上記実施例1〜2、及び比較例1〜2で得られた触媒を用い、酢酸を原料とし、気相中で水素化することによりアセトアルデヒドを製造した。なお、触媒の反応性の評価は、酢酸を気化し、水素ガスとともに気体として反応管に供給可能であり、触媒を取り付けることができ、加熱可能な反応管を有する反応系を用いて行った。また、反応管を通過した気体は、反応管の出口に設けたコンデンサーからの凝縮液及び非凝縮成分からなるオフガスに分け、各々をガスクロマトグラフィーにて分析した。
内径10mmのSUS316製反応管に、実施例1〜2、及び比較例1〜2で得られた触媒を1.0mL充填し、まず、反応管に水素ガスを5L/hr(0℃/1atm換算、以下同じ)で流通させながら、電気炉により触媒層の温度を300℃に昇温し、12時間保持して触媒を活性化した。次に、水素ガス流量11.4L/hr、酢酸を6.11g/hrとし、反応管に仕込んだ(酢酸は触媒層の手前で気化され、水素ガスとの混合ガスとして反応管を通過させた)。そして、反応管の出口の背圧弁により反応管内圧力を0.4MPaに昇圧した。前記の条件で約100時間反応を継続した後、凝縮液およびオフガスを分析し、反応評価を求めた。得られた評価結果を表1に示す。
Figure 0006480835
表1に示す通り、実施例1〜2では、カルボン酸類から気相中で水素化しアルデヒド類を製造する際のアルデヒド類への選択率が、比較例1〜2と比較して同レベルのカルボン酸転化率でありながら明らかに高くなっている。

Claims (7)

  1. 酢酸から気相中で水素化することによりアセトアルデヒドを製造するための担体担持型固体触媒であって、触媒成分を担持する担体が貫通型多孔性材質であることを特徴とする固体触媒。
  2. 前記触媒成分が、白金族金属及び鉄を含む請求項1に記載の固体触媒。
  3. 前記白金族金属が、パラジウムである請求項2に記載の固体触媒。
  4. 前記担体の貫通型多孔性材質が、アルミナを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体触媒。
  5. 前記担体の貫通型多孔性材質の平均細孔径が、0.001〜100μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体触媒。
  6. 酢酸から気相中で固体触媒を用いて水素化することによりアセトアルデヒドを製造する方法であって、前記固体触媒が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体触媒であるアセトアルデヒドの製造方法。
  7. 触媒成分を、貫通型多孔性材質からなる担体に含浸させて担持させる工程を含む、酢酸から気相中で水素化することによりアセトアルデヒドを製造するための固体触媒の製造方法。
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