JP2016109600A - X線回折測定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】測定対象物の検査範囲が広範囲であっても、短時間で精度よくX線照射点ごとの回折X線の強度分布に基づく特性値を測定することができるX線回折測定システムを提供する。【解決手段】X線回折測定装置2の筐体30を列車1の底部に取り付け、測定対象物であるレールRaに垂直に断面直径10mm程度のX線が照射されるようにする。列車1の運行によりレールRa上のX線照射点を移動させながら、それぞれのX線照射点における回折X線の強度を、シンチレーションカウンター21で検出する。シンチレーションカウンター21は、X線の光軸上の点である回折環の中心からの距離をそれぞれ異ならせて円形に配置されており、コントローラ71は、検出された複数の回折X線の強度を、半径方向の回折X線の強度分布と見なして特性値を計算する。【選択図】図1

Description

本発明は、測定対象物にX線を照射しながらX線の照射点を移動させ、それぞれのX線照射点において測定対象物で回折したX線により形成されるX線回折像の、回折X線の強度分布に基づく特性値を測定するX線回折測定システムに関する。
従来から、金属性物体の表面の硬さを非破壊で測定する方法としてX線回折を用いた方法がある。この方法は例えば特許文献1に示されているように、金属性物体の対象物にX線を照射して、対象物で発生した回折X線によりX線回折像を形成し、形成した像の回折X線の強度分布に基づく特性値(半価幅、積分幅等)を求めて、予め得られている特性値と表面硬さとの関係を用いて表面硬さを求める方法である。この方法は高い精度で表面硬さを求めることができるが、この方法により表面積が大きい測定対象物で表面硬さの異常箇所を検出する検査を行おうとすると、X線の照射点を変えながら多くの箇所の表面硬さを測定しなければならず、膨大な検査時間がかかる。これは、表面硬さに限らず、回折X線の強度分布に基づく特性値から求める値がどのような値であっても同じである。この問題に対応する方法として、以下の特許文献2には、測定対象物に対してX線回折測定装置を移動させながらX線を照射し、該移動と並行してイメージングプレートを回転させ、イメージングプレートへのX線回折像の撮像、撮像されたX線回折像の回折X線の強度分布に基づく特性値(半価幅、積分幅等)の測定、撮像されたX線回折像の消去を連続して行うX線回折測定システムが示されている。このX線回折測定システムによれば、測定対象物に対してX線回折測定装置を移動させながら、回折X線の強度分布に基づく特性値を連続して測定しているので、表面積が大きい測定対象物の異常箇所を短い時間で検出することができる。
特開2007−271600号公報 特開2014−206506号公報
しかしながら、特許文献2のX線回折測定システムは、精度よくX線照射点ごとの回折X線の強度分布に基づく特性値を測定するには、測定対象物に対するX線回折測定装置の移動を低速度にする必要があり、既設の線路のレールなどのように測定対象物の検査範囲が広範囲である場合は、特許文献2のX線回折測定システムを用いても、短時間で測定対象物の全範囲を検査するのは困難であるという問題がある。
本発明はこの問題を解消するためなされたもので、その目的は、測定対象物にX線を照射しながらX線の照射点を移動させ、それぞれのX線照射点において測定対象物で回折したX線により形成されるX線回折像の、回折X線の強度分布に基づく特性値を測定するX線回折測定システムにおいて、測定対象物の検査範囲が広範囲であっても、短時間で精度よくX線照射点ごとの回折X線の強度分布に基づく特性値を測定することができるX線回折測定システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、対象とする測定対象物に向けてX線を出射するX線出射器と、X線出射器から出射されるX線を断面直径5mm以上の略平行光にする径調整手段と、 X線出射器から径調整手段を介して出射されるX線が測定対象物に照射されたとき、測定対象物にて発生する回折X線の強度を検出する複数のX線検出センサであって、X線出射器から出射されるX線の光軸上の点を中心にした所定の円の2つ以上の円周位置付近に、中心からの距離をそれぞれ異ならせて配置されているX線検出センサと、X線出射器と径調整手段とX線検出センサとを含む筐体と、筐体の測定対象物に対する位置と姿勢が、X線出射器から出射されるX線が測定対象物の表面に垂直に照射され、測定対象物の表面におけるX線の照射点とX線検出センサとの間の距離が設定された距離になるよう維持されたまま、筐体を測定対象物に対して移動させる移動手段と、複数のX線検出センサにおける中心からの距離がそれぞれ記憶され、X線検出センサの検出した回折X線の強度を中心からの距離に対応させて記憶し、中心からの距離に対する回折X線の強度の変化に基づいて特性値を計算する評価手段とを備えたX線回折測定システムとすることにある。
これによれば、X線検出センサに、短時間でX線強度を高精度に検出することができるX線入射面積の大きいX線検出センサを用いることで、測定対象物の検査範囲が広範囲であっても、短時間で精度よくX線照射点ごとの回折X線の強度分布に基づく特性値を測定することができる。すなわち、測定対象物にX線を照射すればX線の光軸上の点を中心にした回折環が形成されるが、測定対象物にX線を垂直に照射すれば中心から半径方向の回折X線の強度分布は、回折環の円周位置(回転角度)によらず略一定である。このため、複数のX線検出センサをX線出射器から出射されるX線の光軸上の点を中心にした所定の円(回折環が形成される付近の円)の2つ以上の円周位置付近に中心からの距離をそれぞれ異ならせて配置し、回折X線の強度を検出しても、中心からの距離に対する回折X線の強度変化は、回折環の1つの円周位置における半径方向の回折X線の強度分布と略同じになる。また、出射するX線の断面径を大きくして測定対象物におけるX線の照射点を大きくすれば、半径方向の回折X線の強度分布でピークが発生する箇所(回折環の箇所)において、所定の強度以上となる範囲を大きくすることができる。よって、短時間でX線強度を高精度に検出することができるX線入射面積の大きいX線検出センサを用いても、回折環の半径方向の回折X線の強度分布を検出することができ、短時間で精度よくX線照射点ごとの回折X線の強度分布に基づく特性値を測定することができる。
X線検出センサは、具体的には、入射したX線により発生する蛍光の強度を光電子増倍管で検出するものであるようにするとよい。このようなX線検出センサで一般的に使用されているものは、シンチレーションカウンターである。
また、本発明の他の特徴は、移動手段により筐体が移動した距離を検出する移動距離検出手段を備え、評価手段は、計算した特性値を移動距離検出手段が検出した移動距離と対応させることにある。これによれば、回折X線の強度分布に基づく特性値が不合格だった測定対象物の箇所(異常箇所)を、筐体の移動距離から識別することができる。
また、本発明の他の特徴は、評価手段が計算した特性値と予め記憶されている許容値とを比較して合否判定を行う判定手段と、移動手段により筐体とともに移動し、判定手段が不合格判定をしたとき、測定対象物における不合格判定に対応する箇所又は不合格判定に対応する箇所の近傍にマークをつけるマーク手段とを備えたことにある。これによれば、回折X線の強度分布に基づく特性値が不合格だった測定対象物の箇所(異常箇所)を、つけられたマークから識別することができる。
また、本発明は、測定対象物は既設の線路のレールであり、移動手段は、既設の線路のレール上を走行可能な列車であり、筐体は、列車の底面に、出射されるX線が既設の線路のレール上面に照射されるよう取り付けられているようにすると、最も効果的である。すなわち、既設の線路のレールは長期間が経過すると劣化して表面硬さが許容値より小さい異常箇所が発生するが、既設の線路のレールは検査範囲が非常に広い。しかし、本発明を用いれば、このような検査範囲が非常に広い場合でも、異常箇所を短時間で精度よく検出することができる。
本発明の一実施形態に係るX線回折測定装置を含むX線回折測定システムを示す全体概略図である。 図1のX線回折測定装置の筐体の底面壁を取外し、底面壁方向から見た図である。 図1のX線回折測定装置におけるX線が通過する部分を拡大して示す部分断面図である。 シンチレーションカウンターの半径方向位置と検出値の関係をグラフで示した図であり、(A)は正常部分、(B)は異常部分である。 図1のX線回折測定システムのコントローラが検査の際、実行するプログラムのフロー図である。 図1のX線回折測定システムのコントローラが検査の際、実行するもう1つのプログラムのフロー図である。
本発明の一実施形態に係るX線回折測定装置を含むX線回折測定システムの構成について図1乃至図3を用いて説明する。このX線回折測定システムは、列車1、X線回折測定装置2、コンピュータ装置70、運転制御装置60およびマーキング装置40から構成され、既設の線路のレールRaの上面における異常箇所を検出する検査を行うものである。
列車1は既設の線路上を走行する状態にされており、列車1内の運転制御装置60により運転が制御される。X線回折測定装置2は、X線を出射して回折X線の強度分布を検出するものであり、各種装置および回路を内蔵する筐体30と高電圧電源55から構成され、筐体30は列車1の底面に、出射されるX線が線路のレールRaの上面に照射されるよう取付けられる。高電圧電源55はX線を出射するための電力を供給するものであり、列車1内に配置される。
コンピュータ装置70は、X線回折測定装置2の制御とデジタルデータの入力と演算処理を行うものであり、列車1内に配置される。コンピュータ装置70は運転制御装置60が出力する運転開始、運転停止を意味する信号と移動距離を表すデジタル信号を入力するが、運転制御装置60は列車1内に設置された既設の装置であり、X線回折測定装置2およびコンピュータ装置70とは独立して列車1の運転を制御する。列車1は、X線回折測定装置2の筐体30を線路のレールRaの上面との位置関係が一定になるよう取り付けることができれば、通常の客車でも、X線回折測定装置2とコンピュータ装置70のみを搭載する専用車でもよい。
マーキング装置40は、コンピュータ装置70から指令が入力したとき、レールRaの上面にマーキングを行うものであり、列車1の進行方向に対してX線回折測定装置2の筐体30の後方になるよう、列車1の底面に取り付けられる。なお、X線回折測定装置2、コンピュータ装置70およびマーキング装置40は、図1では1体のみが示されているが、図1のレールRaの奥側にあるレールの検査用に同じものがもう1体あり、線路のレールRaの検査は並んでいる2本が同時に行われる。
X線回折測定装置は、X線を出射するX線出射器10、レールRaのX線照射点で発生する回折X線の強度を検出する複数のシンチレーションカウンター21、およびシンチレーションカウンター21を円形に配置する円盤状プレート20を筐体30に収容している。また、筐体30内には、X線出射器10、シンチレーションカウンター21に接続されて作動制御したり、検出信号を入力したりするための各種回路も内蔵されており、図1において筐体30外に示された2点鎖線で示された各種回路は、筐体30内の2点鎖線内に納められている。なお、図1においては、回路基板、電線、固定具、空冷ファンなどは省略されている。筐体30は略直方体状に形成され、X線出射器10から出射されるX線が、レールRaの上面に垂直に入射するとともに、レールRaの上面から複数のシンチレーションカウンター21のX線入射面が含まれる平面(以下、回折環形成平面という)までの距離が設定された距離になるよう、取付具31により列車1の底面に取り付けられている。また、筐体30の底面壁30aにはX線出射器10から出射されたX線を通過させ、レールRaのX線照射点で発生する回折X線の内、回折環形成平面において回折環を形成するための回折X線を通過させるための円形孔30a1が形成されている。
筐体30の側面壁30dは出射されるX線の光軸に対して略平行で、底面壁30aは出射されるX線の光軸に対して略垂直になっている。筐体30を取付具31により列車1に取り付けるとき、平行光を出射し反射光を受光するオートコリメータを、平行光が底面壁30aに垂直になるよう底面壁30aに取り付け、レールRaで反射した反射光が、平行光の出射点と同じ位置で受光されるよう筐体30の姿勢を調整することで、X線出射器10から出射されるX線はレールRaに垂直に照射されるようになる。また、レーザを用いた距離計測器を底面壁30aに取り付け、レールRaの上面までの距離を測定し、測定した値が設定した値になるよう筐体30の位置を調整することで、レールRaの上面から回折環形成平面までの距離が設定された距離になる。
X線出射器10は、長尺状に形成され、筐体30内の上部にて図示左右方向に延設されて筐体30に固定されており、高電圧電源55からの高電圧の供給を受け、X線制御回路52により制御されて、X線を出射する。
X線制御回路52は、後述するコンピュータ装置70を構成するコントローラ71によって制御され、X線出射器10から一定の強度のX線が出射されるように、X線出射器10に高電圧電源55から供給される駆動電流及び駆動電圧を制御する。また、X線出射器10は、図示しない冷却装置を備えていて、X線制御回路52は、この冷却装置に供給される駆動信号も制御する。これにより、X線出射器10の温度が一定に保たれる。
円盤状プレート20は中心位置に、X線出射器10から出射されるX線を入射する円筒状パイプ22を円盤状プレート20の平面に対して垂直に取り付けている。また、複数のシンチレーションカウンター21をX線入射面が円盤状プレート20の平面に対して平行になるよう、すなわち、回折環形成平面が円盤状プレート20の平面に対して平行になるよう、円形に取り付けている。図2は、筐体30の底面壁30aを取り外し、底面壁30a方向から見た図であるが、図2に示すように、複数のシンチレーションカウンター21−1〜21−12は、3つのシンチレーションカウンターを円盤状プレート20の半径方向に密着させて並べたものが、4箇所に配置されている。
X線出射器10のX線出射口11と円筒状パイプ22付近の断面図を示したものが図3である。X線出射口11から出射されるX線は拡散するX線であるが、円筒状パイプ22の内部を経由して出射することで略平行のX線になる。すなわち、X線の光軸は円筒状パイプ22の中心軸であり、円盤状プレート20の中心点はX線の光軸上にある。また、X線の光軸は円盤状プレート20の平面および回折環形成平面に対して垂直である。
円筒状パイプ22の内径は、レールRaの上面におけるX線の照射点の直径が約10mmになるような大きさである。すなわち、円筒状パイプ22の内径およびX線の断面直径は、約10mmである。X線の照射点を大きくすることで、回折X線の強度分布でピークが発生する箇所(回折環の箇所)において、所定の強度以上になる範囲を広くすることができる。図2において、回折環形成平面に形成される回折環を示したものが、2点鎖線の円である。2点鎖線部分は円盤状プレート20の半径方向に回折X線の強度分布曲線を描いたとき、ピークとなる位置であるが、上述したように、ピークの両側において回折X線が所定強度以上となる範囲は広範囲に存在する。図2からわかるように、シンチレーションカウンター21−1〜21−12の4つの群における中心位置の、2点鎖線からの距離はそれぞれ異なっている。すなわち、シンチレーションカウンター21−1〜21−12は円盤状プレート20の中心(X線の光軸上の点であり、回折環の中心)からの距離をそれぞれ異ならせて配置されている。シンチレーションカウンター21−1〜21−12は入射したX線により発生する蛍光の強度を、光電子増倍管により検出するもので、一般的に用いられているものであり、X線を入射する面はある程度の大きさがある。しかし、回折環の箇所で回折X線が所定の強度以上になる範囲を広くしているので、シンチレーションカウンター21−1〜21−12の多くは、回折X線が所定の強度以上になる範囲内に配置されている。
また、出射されたX線はレールRaの上面に垂直に照射されるようにされているので、回折環の半径方向(円盤状プレート20の半径方向)における回折X線の強度分布は、回折環の円周位置(回転角度)のよらず略一定になる。従って、シンチレーションカウンター21−1〜21−12の円盤状プレート20の中心からの距離(半径値)と、シンチレーションカウンター21−1〜21−12が検出した回折X線の強度との関係は、回折環の1つの円周位置における半径方向の回折X線の強度分布と略同一になる。すなわち、該半径値と強度との関係は、シンチレーションカウンター21−1〜21−12を、回折環の1つの円周位置において半径方向に重ねて並べた場合と略同一の関係である。
それぞれのシンチレーションカウンター21−1〜21−12は、レールRaのX線の照射点から発生する回折X線を入射するが、回折環の半径方向における回折X線の強度分布を検出するため、入射口には回折環の円周と平行に(図2の2点鎖線と平行に)スリットが取り付けられており、スリットを通過したX線の強度を検出することができるようになっている。スリットの幅は狭いほど、それぞれのシンチレーションカウンター21−1〜21−12がX線の強度を検出する範囲は狭くなり、より局所的な回折X線の強度を測定することができるが、検出されるX線の強度は小さくなる。逆に、スリットの幅は広いほど、それぞれのシンチレーションカウンター21−1〜21−12がX線の強度を検出する範囲は広くなり、より平均的な回折X線の強度を測定することになるが、検出されるX線の強度は大きくなる。後述するように、レールRaの正常箇所と異常箇所では回折X線の強度分布が異なるので、レールRaの異常箇所の検出精度(すなわち検査精度)は、回折X線の強度分布の検出精度により決まる。よって、スリットの幅は、回折X線の強度分布の検出精度が最もよくなる幅を、実験により確かめて決めればよい。後述するように回折X線の強度分布の特性値として半価幅、積分幅があるが、回折X線の強度分布の検出精度は、半価幅、積分幅とレールRaの表面硬さとの関係における相関係数で判断すればよい。
上述したように、シンチレーションカウンター21−1〜21−12は円盤状プレート20の中心(X線の光軸上の点であり、回折環の中心)からの距離(半径値)をそれぞれ異ならせて配置されており、中心からの距離と検出したX線強度との関係は、回折環の1つの円周位置における半径方向の回折X線の強度分布である。図4は、横軸にシンチレーションカウンター21の中心からの距離(半径値)をとり、縦軸に検出したX線強度をとったグラフを、シンチレーションカウンター21−1〜21−12の半径方向の配置位置と対応させて示した図である。(A)はレールRaの正常箇所であり、(B)は異常箇所である。レールRaは長期間が経過すると、劣化のため表面硬さが小さくなるが、表面硬さが小さいほど回折X線の強度分布は広がる。そして、許容以上に回折X線の強度分布が広がった箇所が、許容以上に表面硬さが小さくなった箇所として異常箇所になる。後述するように回折X線の強度分布の広がり度合いを表す特性値として半価幅や積分幅を計算すれば、これらの特性値を許容値と比較することで合否を判定し、異常箇所を検出することができる。
SD信号取出回路50−1〜50−12は、シンチレーションカウンター21−1〜21−12と信号線がつながっており、後述するコントローラ71から作動開始の指令が入力すると、シンチレーションカウンタ21−1〜21−12が出力するX線強度に相当する信号(入射したX線により発生した蛍光の強度に相当する信号)の瞬時値をデジタルデータにして、コントローラ71に出力する。コントローラ71のメモリには、シンチレーションカウンター21−1〜21−12の円盤状プレート20の中心からの距離(半径値)が記憶されており、入力したX線強度のデジタルデータは、この値に対応されて記憶される。よって、コントローラ71の演算処理により、回折X線の強度分布および回折X線の強度分布に基づく特性値が計算される。
マーキング装置40は、着色された液が入れられた容器が加圧された状態になっており、容器の先端の出口には常時閉状態であるが、コントローラ71からマーク指令が入力すると瞬間的に開状態になる電磁弁が備えられている。そして、電磁弁が開状態となる一瞬に、加圧された液がレールRaに吹き付けられ、マークがされるようになっている。コントローラ71は、演算処理により求めた回折X線の強度分布に基づく特性値から不合格判定をすると、マーキング装置40にマーク指令を出力する。これにより、レールRaの異常箇所にはマークがされ、異常箇所を識別することができるようになる。
コンピュータ装置70は、コントローラ71、入力装置72及び表示装置73からなる。コントローラ71は、CPU、ROM、RAM、大容量記憶装置などを備えたマイクロコンピュータを主要部とした電子制御装置であり、大容量記憶装置に記憶された各種プログラムを実行してX線回折測定装置の作動を制御する。入力装置72は、コントローラ71に接続されて、作業者により、各種パラメータ、作動指示などの入力のために利用される。表示装置73は、作業者に対して各種の設定状況、作動状況、測定結果などを視覚的に知らせる。
運転制御装置60は、列車1の運行に必要な、運転開始、運転停止、加速、減速、速度制御、速度検出および移動距離検出等を行うもので、列車1に設置されている既存の装置である。本実施形態においては、運転制御装置60が出力する運転開始、運転停止を意味する信号と、移動距離を表すデジタルデータをコントローラ71に入力させるのみで、運転制御装置60はX線回折測定装置2およびコンピュータ装置70とは独立しており、既存の装置をそのまま用いることができる。
以下に、上記のように構成したX線回折測定システムを用いて、レールRaの検査を行う具体的方法について説明する。まず、作業者は、上述したようにX線回折測定装置2の筐体30とマーキング装置40をX線回折測定システムに用いる列車1に取り付け、列車1内にコンピュータ装置70と高電圧電源55を配置し、列車1の運転制御装置60を含めて各装置間を信号線または電力線で接続する。X線回折測定システムはこれにより準備完了する。なお、上述したように、X線回折測定装置2、コンピュータ装置70及びマーキング装置40は、図1に示される1体以外にもう1体があり、準備するX線回折測定システムは2つである。次に作業者は、運転制御装置60により列車1を運行させて、レールRaの検査範囲における検査開始位置まで列車1を移動させる。
次に、作業者は、運転制御装置60内の移動距離検出装置61が出力する移動距離をリセットして0にし、入力装置72から検査開始の指令を入力する。上述したように、X線回折測定システムは2つあるので、作業者は検査開始の指令入力を2つの入力装置72にて行う。この指令に応答してコントローラ71は、メモリにインストールされている図5に示すフローのプログラムをスタートさせる。なお、図6に示すフローのプログラムもスタートさせるが、このプログラムについては後述する。これにより、検査終了まで自動で検査が行われるので、作業者は運転制御装置60により列車1を定められた速度で運転することのみを行う。2つのX線回折測定システムはそれぞれ同様に作動するので、レールRaは並んでいる2本が同時に検査される。以下、図5に示すフローに沿って説明を行う。
コントローラ71は、ステップS10にてプログラムをスタートさせると、ステップS12にて運転制御装置60から運転開始の信号が入力するまで待機し、運転開始の信号が入力するとYESと判定してステップS14へ行く。コントローラ71は、ステップS14にてnに初期値である1を入力する。nはレールRaのX線照射点ごとの検査結果である、回折X線の強度分布に基づく特性値を識別するための値であり、1から順に値が付けられる。次にコントローラ71は、ステップS16にてX線制御回路52に照射開始指令を出力して、X線出射器10からX線の出射を開始させる。これにより、検査開始位置から列車1の運行が開始した直後にX線がレールRaの上面に照射される。
次にコントローラ71は、ステップS18にてSD信号取出回路50−1〜50−12に出力指令を出力し、シンチレーションカウンター21−1〜21−12が出力する信号の強度を表すデジタルデータの出力を開始させる。この段階でコントローラ71には、シンチレーションカウンター21−1〜21−12が検出したX線強度のデジタルデータと、運転制御装置60内の移動距離検出装置61が出力する移動距離のデジタルデータが、設定された時間間隔で繰り返し入力する状態になる。次にコントローラ71は、ステップS20にて時間計測を開始し、ステップS22にて時間がn・Δt経過するとYESと判定してステップS24、ステップS26にてX線強度のデジタルデータと移動距離のデジタルデータの取り込みを行い、ステップS28、ステップS30にて回折X線の強度分布に基づく特性値として、半価幅と積分幅の計算を行い、ステップS32、ステップS34にて合否判定を行う。この時点ではnは1であるので時間がΔt経過すると、上述したデータ取り込み、特性値計算、合否判定を行う。
Δtは予め設定されている時間間隔であり、後述するようにnはインクリメントされてステップS22乃至ステップS34は繰り返し実行されるので、上述したデータ取り込み、特性値計算、合否判定は時間がΔt経過するごとに行われる。すなわち、列車の移動速度をVとすると、レールRaの検査はV・Δtの移動距離ごとに行われる。ΔtはS22乃至ステップS34の演算処理にかかる時間より大きい時間であればどのような値でもよいが、レールRaの上面の検査を連続して行いたいときは可能な限り小さい値にし、レールRa上のX線照射点の半径をrxとすると、列車1の移動速度を、V=rx/Δtで計算される値にすればよい。すなわち、時間Δtで列車1がX線照射点の半径分移動するようにすればよい。本実施形態では、レールRaのX線照射点の直径は約10mmとしているので、列車1の移動速度は、V=5mm/Δtで計算される値にすればよい。
上述したように、コントローラ71のメモリには、シンチレーションカウンター21−1〜21−12の円盤状プレート20の中心からの距離(半径値)が記憶されており、ステップS24にてX線強度のデジタルデータを取り込んだ段階で、半径方向の回折X線の強度分布を得たことになる。そして、ステップS26にて移動距離のデジタルデータを取り込んでいるので、回折X線の強度分布と移動距離を対応させている。そして、ステップS28、ステップS30にて回折X線の強度分布から半価幅と積分幅を計算しているので、半価幅および積分幅は移動距離と対応し、それぞれの値はnの値により識別されている。なお、半価幅および積分幅はピークを有する曲線において計算される既知の値である。
上述したように、回折X線の強度分布曲線における半価幅および積分幅はレールRaの表面硬さと相関関係があり、表面硬さの許容限界を定めれば、半価幅および積分幅の許容限界が定まる。ステップS32、ステップS34のそれぞれの許容値は、レールRaの表面硬さの許容限界から予め求められ、コントローラ71のメモリに記憶されている。コントローラ71はステップS32、ステップS34にて計算された半価幅および積分幅をそれぞれ許容値と比較し、2つとも許容値より小さければYESと判定して、ステップS36にて運転制御装置60から運転停止の信号が入力していないことを確認し、ステップS42にてnをインクリメントし、ステップS22に戻る。そして、再度ステップS22乃至ステップS34により、データ取り込み、特性値計算、合否判定を行い、ステップS36、ステップS42を経由してステップS22に戻る。この処理が繰り返され、時間がΔt経過するごとに、データ取り込み、特性値計算、合否判定が行われ、半価幅、積分幅、移動距離がnにより識別されてコントローラ71のメモリに記憶されていく。
このようにして、レールRaの上面をX線の照射点が移動し、回折X線の強度分布曲線における半価幅および積分幅が、列車1の移動距離と対応されて記憶されていくと、図4の(B)に示す回折X線の強度分布の場合のように、半価幅または積分幅が許容限界より大きい場合がある。このとき、コントローラ71はステップS32またはステップS34にて、NOと判定してステップS38に行き、ステップS38にてマーク指令を発生させ、ステップS40にて不合格(異常)と判定したときのnの値を記憶し、ステップS36、ステップS42を経由してステップS22に戻る。
コントローラ71は図5に示すフローのプログラムをスタートさせたとき、図6に示すフローのプログラムもスタートさせている。コントローラ71は、図6に示すフローのプログラムをスタートさせてから、ステップS102とステップS104を繰り返しているが、ステップS38にてマーク指令の発生をすると、ステップS102にてYESと判定してステップS106へ行く。そして、ステップS106にて時間計測を開始し、ステップS108にて時間がαだけ経過するのを待ってステップS110へ行き、ステップS110にてマーキング装置40にマーク指令を出力する。これにより、マーキング装置40は内部に有する電磁弁が一瞬だけ開状態になり、内部の容器に入れられ、加圧されている着色された液がレールRaに吹き付けられ、レールRaにマークがされる。時間がαだけ経過するのを待つのは、レールRaにおけるX線の照射点とマーキング装置40のマーク位置(マーキング装置40の吹き付け口の真下の位置)とが離れているため、マーク指令を発生させてから、対応するX線の照射点(レールRaの異常箇所)がマーキング装置40のマーク位置に来るのを待つためである。時間αは、X線の照射点とマーク位置との間の距離をDとし、列車1の速度をVとすると、D/Vに近い値であるが、ステップS28、ステップS30の演算処理にかかる時間、マーキング装置40がマーク指令を受けてから、吹きつけた液がレールRaに到達するまでの時間等の要素があるため、実際に異常箇所に列車1を走行させて、時間αを決めるようにするとよい。
コントローラ71はステップS110の後、ステップS112へ行き、表示装置73に異常箇所が検出されたことを知らせる表示を行う。そして、ステップS114へ行き、時間計測の停止とリセットを行って、ステップS102に戻り、ステップS102とステップS104を繰り返すことで、次のマーク指令が発生するまで待機する。レールRaに異常箇所が連続して存在するときは、時間Δtが経過するごとにステップS38にてマーク指令が発生するが、図6に示すフローのプログラムは、ステップS106にて時間がα経過するまで待機状態にあるので、マークは異常箇所の先頭のみにされる。
このようにして図5に示すフローのプログラムのステップS22乃至ステップS42が繰り返し行われて、半価幅、積分幅、移動距離が記憶されていき、異常箇所が存在するごとに、そのときのnの値が記憶され、図6に示すフローのプログラムのステップS102乃至ステップS114が行われて、異常箇所にマークがされていく。この間、列車1は一定の速度で移動し続けており、レールRaの検査範囲における検査終了位置に来ると作業者は列車を停止させる。このとき、コントローラ71は運転制御装置60から運転停止を意味する信号を入力するので、図5に示すフローのプログラムのステップS36にてYESと判定してステップS44へ行き、X線制御回路52に照射停止指令を出力してX線の出射を停止させる。そして、ステップS46にてSD信号取出回路50−1〜50−12に停止指令を出力して、X線強度を表すデジタルデータの出力を停止させ、ステップS48にて時間計測を停止し、ステップS50にて記憶した半価幅、積分幅、移動距離および異常箇所検出時のnから検査結果を作成して、表示装置73に表示する。
検査結果として表示するものは、異常箇所の数および異常箇所ごとの移動距離、半価幅、積分幅、許容値からのずれの度合、異常箇所の長さ(nが連続している場合の連続数)等である。表示が終了すると、コントローラ71はステップS52にて図5に示すフローのプログラムを停止する。また、図6に示すフローのプログラムにおいては、コントローラ71は運転停止を意味する信号を入力すると、ステップS104にてYESと判定してステップS106へ行き、ステップS106にてプログラムを停止する。作業者は表示装置73に表示された検査結果を見て、異常箇所のレールの交換等を判断する。
上記説明からも理解できるように、上記実施形態においては、X線回折測定システムを、対象とする測定対象物であるレールRaに向けてX線を出射するX線出射器10と、X線出射器10から出射されるX線を断面直径10mm程度の略平行光にする円筒状パイプ22と、X線出射器11から円筒状パイプ22を介して出射されるX線が測定対象物であるレールRaに照射されたとき、レールRaにて発生する回折X線の強度を検出する複数のシンチレーションカウンター21−1〜21−12であって、X線出射器10から出射されるX線の光軸上の点を中心にした所定の円の4つの円周位置付近に、中心からの距離をそれぞれ異ならせて配置されているシンチレーションカウンター21−1〜21−12と、X線出射器11と円筒状パイプ22とシンチレーションカウンター21−1〜21−12とを含む筐体30と、筐体30のレールRaに対する位置と姿勢が、X線出射器11から出射されるX線がレールRaの上面に垂直に照射され、レールRaの上面におけるX線の照射点とシンチレーションカウンター21−1〜21−12との間の距離が設定された距離になるよう維持されたまま、筐体30をレールRaに対して移動させる列車1と、複数のシンチレーションカウンター21−1〜21−12における中心からの距離がそれぞれ記憶され、シンチレーションカウンター21−1〜21−12の検出した回折X線の強度を中心からの距離に対応させて記憶し、中心からの距離に対する回折X線の強度の変化に基づいて半価幅と積分幅を計算するコントローラ71の演算プログラムとを備えたX線回折測定システムとしている。
これによれば、シンチレーションカウンター21−1〜21−12にX線入射面積の大きく、短時間でX線強度を高精度に検出することができるものを用いることで、レールRaの検査範囲が広範囲であっても、短時間で精度よくX線照射点ごとの回折X線の強度分布に基づいて半価幅と積分幅を測定することができる。すなわち、レールRaにX線を照射すればX線の光軸上の点を中心にした回折環が形成されるが、レールRaの上面にX線を垂直に照射すれば中心から半径方向の回折X線の強度分布は、回折環の円周位置(回転角度)によらず略一定である。このため、複数のシンチレーションカウンター21−1〜21−12をX線出射器11から出射されるX線の光軸上の点を中心にした所定の円(回折環が形成される付近の円)の4つの円周位置付近に中心からの距離をそれぞれ異ならせて配置し、回折X線の強度を検出しても、中心からの距離に対する回折X線の強度変化は、回折環の1つの円周位置における半径方向の回折X線の強度分布と略同じになる。また、出射するX線の断面径を10mm程度にしてレールRaにおけるX線の照射点を大きくすれば、半径方向の回折X線の強度分布でピークが発生する箇所(回折環の箇所)において、所定の強度以上となる範囲を大きくすることができる。よって、短時間でX線強度を高精度に検出することができるX線入射面積の大きいシンチレーションカウンター21−1〜21−12を用いても、回折環の半径方向の回折X線の強度分布を検出することができ、短時間で精度よくX線照射点ごとの半価幅と積分幅を測定することができる。
また、上記実施形態においては、列車1により筐体30が移動した距離を検出する運転制御装置60内の移動距離検出装置61を備え、コントローラ71の演算プログラムは、計算した半価幅と積分幅を移動距離検出装置61が検出した移動距離と対応させている。これによれば、半価幅または積分幅が不合格だったレールRaの箇所(異常箇所)を、筐体30の移動距離から識別することができる。
また、上記実施形態においては、コントローラ71の演算プログラムが計算した半価幅と積分幅と予め記憶されている許容値とを比較して合否判定を行うコントローラ71の判定プログラムと、列車1により筐体30とともに移動し、コントローラ71の判定プログラムが不合格判定をしたとき、レールRaにおける不合格判定に対応する箇所又は不合格判定に対応する箇所の近傍にマークをつけるマーキング装置40とを備えている。これによれば、半価幅または積分幅が不合格だったレールRaの箇所(異常箇所)を、つけられたマークから識別することができる。
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態では、測定対象物を既設の線路のレールRaにし、X線回折測定装置2、コンピュータ装置70等を列車1に取り付けるか、配置してX線回折測定システムとしたが、測定対象物の表面に対するX線回折測定装置2の筐体30の位置と姿勢を一定にして、測定対象物に対して筐体30を移動させることができれば、測定対象物はどのようなものであっても本発明を適用することができる。また、そのときの筐体30の移動のさせ方や、測定対象物に対する筐体30の移動距離の検出の仕方は問われない。例えば、測定対象物を大型の鋼板にした場合、X線回折測定装置2の筐体30を小型の4輪自動車の底部に取り付け、X線回折測定装置2からX線を照射させながら鋼板の上を4輪自動車を走行させて、上記実施形態のように異常箇所を検出するといった実施形態が考えられる。
また、上記実施形態では、マーキング装置40から着色液を測定対象物であるレールRaに吹き付けることで、異常箇所にマークをつけるようにしたが、異常箇所を識別することができるならば、マーキングの方法はどのような方法でもよい。例えば、異常箇所のすぐ横に着色液が入った弾を発射する方法でもよい。
また、上記実施形態では、測定対象物であるレールRaの異常箇所の識別として、異常箇所に移動距離を対応させる方法と、マーキング装置40から着色液を測定対象物であるレールRaに吹きつける方法の2つを用いたが、測定対象物によっては、いずれか1つの方法で異常箇所を充分識別することができれば、いずれか1つの方法にしてもよい。
また、上記実施形態では、シンチレーションカウンター21−1〜21−12を、X線がレールRaに照射されたとき形成される回折環の4つの円周方向位置付近に配置したが、回折環の中心(円盤状プレート20の中心)からの距離を、それぞれ異ならせて配置するならば、円周方向位置における配置はどのようにしてもよい。ただし、円周方向位置の数が少ないほど、シンチレーションカウンター21−1〜21−12間の距離は大きくなるので、円周方向位置の数は回折X線の強度分布を精度よく検出することができる数にする必要がある。
また、上記実施形態では、シンチレーションカウンター21の数を12個にしたが、回折X線の強度分布を精度よく検出することができるならば、シンチレーションカウンター21の数は適宜変更してよい。ただし、少なくするほど回折X線の強度分布および該強度分布から計算する半価幅および積分幅等の評価値の測定精度は悪くなり、多くするほど装置のコストはUPするので、測定精度と装置のコストの兼ね合いから、シンチレーションカウンター21の数を決めればよい。
また、上記実施形態では、測定対象物に照射するX線の断面直径を約10mmにしたが、シンチレーションカウンター21−1〜21−12により、回折X線の強度分布を精度よく検出することができるならば、照射するX線の断面直径は適宜変更してよい。ただし、5mm未満にすると、回折X線の強度分布を精度よく検出することは困難になるので、X線の断面直径は、5mm以上にする必要がある。
また、上記実施形態では、X線出射器10から出射されたX線を円筒状パイプ22を介して測定対象物に照射することで、照射するX線を断面直径約10mmの略平行光にしたが、X線を適切な断面直径の略平行光にすることができるならば、どのような手段を用いてもよい。例えば、長尺の孔を有するブロックの孔を介してX線を測定対象物に照射するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、回折X線の強度分布に基づいた特性値として半価幅および積分幅を計算するようにしたが、回折X線の強度分布から計算することができ、測定対象物の異常箇所を検出することができる特性値ならば、どのような特性値を計算してもよい。例えば、ピーク強度、ピーク強度の設定割合の強度における幅、ピーク強度に対するピーク位置から設定距離の箇所の強度の割合等を計算するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、回折X線の強度検出にシンチレーションカウンターを用いたが、X線入射面積が大きく、X線の強度を精度よく短時間で検出することができるならば、どのようなX線検出センサを用いてもよい。
1…列車、2…X線回折測定装置、10…X線出射器、20…円盤状プレート、21−1〜21−12…シンチレーションカウンター、22…円筒状パイプ、30…筐体、30a…底面壁、30d…側面壁、40…マーキング装置、50−1〜50−12…SD信号取出回路、52…X線制御回路、55…高電圧電源、60…運転制御装置、61…移動距離検出装置、70…コンピュータ装置、71…コントローラ、72…入力装置、73…表示装置、Ra…レール

Claims (5)

  1. 対象とする測定対象物に向けてX線を出射するX線出射器と、
    前記X線出射器から出射されるX線を断面直径5mm以上の略平行光にする径調整手段と、
    前記X線出射器から径調整手段を介して出射されるX線が測定対象物に照射されたとき、前記測定対象物にて発生する回折X線の強度を検出する複数のX線検出センサであって、前記X線出射器から出射されるX線の光軸上の点を中心にした所定の円の2つ以上の円周位置付近に、前記中心からの距離をそれぞれ異ならせて配置されているX線検出センサと、
    前記X線出射器と前記径調整手段と前記X線検出センサとを含む筐体と、
    前記筐体の前記測定対象物に対する位置と姿勢が、前記X線出射器から出射されるX線が前記測定対象物の表面に垂直に照射され、前記測定対象物の表面におけるX線の照射点と前記X線検出センサとの間の距離が設定された距離になるよう維持されたまま、前記筐体を前記測定対象物に対して移動させる移動手段と、
    前記複数のX線検出センサにおける前記中心からの距離がそれぞれ記憶され、前記X線検出センサの検出した回折X線の強度を前記中心からの距離に対応させて記憶し、前記中心からの距離に対する回折X線の強度の変化に基づいて特性値を計算する評価手段とを備えたことを特徴とするX線回折測定システム。
  2. 請求項1に記載のX線回折測定システムにおいて、
    前記X線検出センサは、入射したX線により発生する蛍光の強度を光電子増倍管で検出するものであることを特徴とするX線回折測定システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載のX線回折測定システムにおいて、
    前記移動手段により前記筐体が移動した距離を検出する移動距離検出手段を備え、
    前記評価手段は、計算した特性値を前記移動距離検出手段が検出した移動距離と対応させることを特徴とするX線回折測定システム。
  4. 請求項1または請求項2に記載のX線回折測定システムにおいて、
    前記評価手段が計算した特性値と予め記憶されている許容値とを比較して合否判定を行う判定手段と、
    前記移動手段により前記筐体とともに移動し、前記判定手段が不合格判定をしたとき、前記測定対象物における不合格判定に対応する箇所又は不合格判定に対応する箇所の近傍にマークをつけるマーク手段とを備えたことを特徴とするX線回折測定システム。
  5. 請求項3または請求項4に記載のX線回折測定システムにおいて、
    前記測定対象物は既設の線路のレールであり、
    前記移動手段は、前記既設の線路のレール上を走行可能な列車であり、
    前記筐体は、前記列車の底面に、前記出射されるX線が既設の線路のレール上面に照射されるよう取り付けられていることを特徴とするX線回折測定システム。
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