JP2015049151A - 移動可能な構造物検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも検査対象構造物を深い範囲まで検査することができて、しかも従来よりも広い検査範囲を短時間で検査することができる、後方X線散乱方式を採用した移動可能な構造物検査装置を提供する。
【解決手段】電子ビームによってスキャンされたターゲットから発生する複数のX線ビームをコリメータ37により平行にして検査対象構造物に複数の平行X線ビームを照射する。検査対象構造物の内部から散乱してきた散乱X線ビームの方向を予め定めた所定の複数の方向に制限する複数の散乱X線コリメータ47を設け、さらに複数の散乱X線コリメータ47に入射した散乱X線ビームで発光する複数のシンチレータ49を設ける。複数のシンチレータ49から発光された光を検知する複数の光検出器を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線を利用して構造物を検査する構造物検査装置に関するものである。
特開2011−17709号公報(特許文献1)に示されるように、X線後方散乱を用いてコンテナーを検査する装置が例えば米国AS&E社から発売されている。
また特許第5127313号公報(特許文献2)には検査対象の構造物の上を移動する移動ロボット内に放射線源とX線検出器とを搭載し、検査対象から反射してくるX線を検出することにより、検査対象の状況を検査する検査システムが開示されている。この検査システムでは、環状電子エミッタの中心に尖った陽極先端部を配置し、環状電子エミッタから放射した電子を陽極先端部に照射することにより、陽極先端部からX線を発生する。そしてこのX線を検査対象に照射して、検査対象から反射してきた散乱X線をX線CCDカメラで検出する。
特許第4653914号公報(特許文献3)には、X線源から検査対象に線状のX線ビームを照射し、X線ビームが検査対象で反射して発生した散乱X線をX線検出器で検出することにより、検査対象の状態を検出するシステムが開示されている。この公報に示される技術では、X線検出器側の構成を工夫することにより、線状のX線ビームを検査対象に照射して検査対象の、断面映像を得ることを可能にしている。
特開2011−17709号公報 特許第5127313号公報 特許第4653914号公報
しかしながら特許文献1に関連して実際に販売されている装置では、コリメータでペンシルビームを作る方式を採用しており、X線量が不足しかつX線ソースにX線管を用いるため、コンクリート壁の深さ5cm以上を連続的に検査することは難しい。X線ソースにライナックを用いる場合には、30cmの深さを計測するには、4MeVという高エネルギー装置が必要となり、放射線安全管理の上で問題がある。
また特許文献2に示された検査システムでは、X線ビームは検査対象の1箇所に向かって照射される。そのためX線が弱く、しかも検査範囲が狭いという問題がある。
更に特許文献3に示されたシステムでは、検査対象から、かなり離れた位置から線状のX線を検査対象に照射する。そのため、X線ビームのスキャン方向の検査精度を10cm以下にすることは難しく、検査精度が悪い上、検査装置が大型化する。また、X線の照射角度が一定ではないため、これを補うためにX線検出器側で特別な構成を採用する必要がある。
本発明の目的は、従来よりも構造物を深い範囲まで検査することができて、しかも従来よりも広い検査範囲を従来よりも高い検査精度で検査することができる、後方X線散乱方式を採用した移動可能な構造物検査装置を提供することになる。
本発明の他の目的は、検査時間を従来よりも短くすることができる構造物検査装置を提供することにある。
本発明は、X線を利用して検査対象構造物を検査する移動可能な構造物検査装置である。本発明の構造物検査装置は、検査対象構造物の近傍に電子ビームをX線ビームに転換するライン状のターゲットを配置する電子ビーム・X線変換部と、高エネルギー電子ビーム発生装置と、高エネルギー電子ビーム発生装置により発生した電子ビームを真空中で輸送してターゲットをライン状にスキャンする電子ビームスキャン装置と、電子ビームによってスキャンされたターゲットの各所から発生する複数のX線ビームを平行にし、検査対象構造物に複数の平行X線ビームをシート状にして照射するコリメータと、1以上の散乱X線検出器と、台座を有して検査対象構造物上を移動する移動台車とを備えている。
1以上の散乱X線検出器は、検査対象構造物により散乱された複数の後方散乱X線ビームの深さ方向における散乱位置を特定するために、散乱された前記複数の後方散乱X線ビームのうち所定の方向に向かう後方散乱X線ビームのみを通過させる散乱X線コリメータと、散乱X線コリメータに入射した散乱X線ビームで発光するシンチレータと、シンチレータから発光された光を検知する光検出器とを備えている。そして電子ビーム・X線変換部、電子ビームスキャン装置、コリメータ及び前記1以上の散乱X線検出器が移動台車の台座上に実装されている。
本発明の好ましい実施の態様では、後方X線散乱方式を採用して、後方散乱されるX線を検出して構造物を検査する移動可能な構造物検査装置を提供する。好ましい実施の形態の造物検査装置は、高エネルギー電子線発生装置と、電子ビームスキャン装置と、電子ビーム・X線変換部と、シート状X線ビームをつくるコリメータと散乱X線コリメータと、複数の散乱X線検出器と、移動台車とを少なくとも有する。電子ビーム・X線変換部は、検査対象である構造物の近傍に配置し、ライン状のターゲットを用いて変換する。電子ビームスキャン装置は、高エネルギー電子ビーム発生装置で発生した電子ビームを真空中で輸送して、ライン状にターゲットをスキャンし、先端に置かれたライン状のターゲットに衝突させて、X線に転換する。高エネルギー電子ビーム発生装置としては、例えばマイクロトロン電子加速器を用いることができる。より具体的には、0.99MeVの出力を有する電子ビーム発生装置であることが好ましい。コリメータは、電子ビームによってスキャンされたライン状のターゲットの各所から発生する複数のX線ビームを平行にして検査対象構造物にシート状のX線ビームを形成する。検査対象構造物にシート状のX線ビームが照射されることにより、検査対象構造物の断層イメージを構成できる。散乱X線検出器で用いる散乱X線コリメータは、構造物により散乱された後方散乱X線の深さ方向散乱位置を特定するために、所定の方向から散乱されたX線のみを検出するように後方散乱X線の受け入れを制限する。シンチレータは、散乱X線コリメータを通過したした散乱X線で発光する。光検出器は、シンチレータで発光した光を検知する。複数の深さを同時に検出するために、散乱X線検出器(散乱X線コリメータ、シンチレータ及び光検出器)を、複数設置することにより、複数の深さを同時に検出する。
本発明によれば、構造物の近くに配置されたターゲットを電子ビームでスキャンしてX線ビームを発生するため、発生したX線ビームを効率よく検査に活用することできる。コリメータを用いて薄いシート状のX線ビームを発生するため、検査対象構造物の断面構造を精度よく計測できる。電子ビームをライン状にスキャンすることにより、検査対象構造物の位置情報を時間情報に変換して検出する。
移動台車は、移動しながら検査対象構造物の面を検出するために必要である。電子ビームでライン状に検査対象構造物をスキャンして検査対象構造物のラインを検出し、該ラインに対して直角方向に移動台車が移動することにより、検査対象構造物を面で検出することを可能にする。複数の散乱X線コリメータで検査対象構造物の深さ方向の散乱位置を特定することにより、全体として3次元の構造物非破壊検査が可能となる。
電子ビームスキャン装置、電子ビーム・X線変換部及びコリメータが台座上に配置されている方向を一方向と定義したときに、1以上の散乱X線検出器は、前記コリメータよりも一方向とは反対の向に配置することができる。この場合において、移動台車の台座は、コリメータから出る複数の平行X線が通過する第1の窓部と、第1の窓部よりも他方の方向に形成されて散乱X線が通過する第2の窓部とを備えている。この場合、移動台車の台座には、第1の窓部と連通する通路を有し且つ該第1の窓部の周囲を囲んで実質的に検査対象構造物内にのみX線ビームが照射されるようにするX線遮蔽構造体が設けられているのが好ましい。このようなX線遮蔽構造体を設けると、X線の漏れを最小限のものとして、X線の照射量を最大限検査に活用することができる。
電子ビームスキャン装置は、高エネルギー電子ビーム発生装置が発生した電子ビームの進行方向を磁界により変更するスキャン電磁石と、進行方向が変更された電子ビームをターゲットに案内するスキャンホーンで構成される。スキャンホーンを通過した電子ビームの進行方向を磁界によりターゲットに向かって直交する方向に揃える平行化磁石を備えているのが良い。電子ビームスキャン装置をこのように構成すると、ターゲットの長さが長くなっても、確実に電子ビームをターゲットに同じ角度で照射することができる。
ターゲットは検査対象構造物の表面に沿って延びる細長い形状を有しているのが好ましい。この場合、コリメータは所定の間隙を介して検査対象構造物の表面と対向するように一定間隔になるように構成されているのが好ましい。このようにすると、検査対象構造物に照射されるX線の間隔が一定となり、検査対象構造物の内部を確実に一定間隔で精度よく検査することができる。
散乱X線コリメータは、第2の窓部よりも後方に配置されて台座から離れる方向に一定間隔を開けて設けられているのが好ましい。この場合散乱X線コリメータは電子ビームのスキャン方向と平行な方向に延びる入射面を備えているのが好ましい。このような複数の散乱X線コリメータを台座から離れる方向に配置して散乱X線を検出すると、X線の照射方向に延びる仮想面に向かって各散乱X線コリメータの先端から延ばした仮想面との交差位置における検査対象構造物の状況をその散乱X線から検知することができる。複数の散乱X線コリメータの間隔を短くするほど、検査対象構造物を深さ方向に短い間隔で精度よく検査することができる。
光検出器と複数シンチレータとの間には、シンチレータから出た光を光検出器に導くライトガイドが設けられているのが好ましい。ライトガイドを用いると、シンチレータに対して長さの短い光検出器を用いることができ、装置の製造価格を低減できる。
複数の光検出器から出力された複数の信号を画像化する信号画像化装置を備えているのが良い。信号画像化装置が、移動台車から離れた位置に置かれると、X線の影響を受けない位置で検査結果を見ることができる。
信号画像化装置による信号の画像化の態様は任意である。例えば、電子ビームスキャン装置のスキャン方向を一方の軸として、他方の軸に複数の光検出器から出力された複数の信号の振幅の大きさを表示する画像を表示画面に表示するように構成してもよい。このようにすると、スキャン方向と深さ方向の検出情報を一度に見ることができるので、移動台車を移動させながらリアルタイムで検査対象構造物の検査をすることができる。
本実施の形態の移動可能な構造物検査装置の一部切り欠き正面図である。 図1の構造物検査装置の一部を取り除いて示した斜視図である。 移動台車の斜視図である。 (A)及び(B)は、電子ビームを平行化することを説明するために用いる図である。 (A)及び(B)は、スキャンホーンの外観図及び底面図である。 (A)は本実施の形態で用いるコリメータの平面図であり、(B)は図6(A)のB−B線断面図であり、(C)は図6(B)のA部の拡大図である。 複数の散乱X線コリメータの配置を説明するために用いる図である。 受信から画像化までのデータ処理の一例のフローチャート図である。 (A)乃至(D)は、光検出器の受信から断面像取得までの流れを示すイメージ図である。 データの画像表示の他の例を示す図である。
以下図面を参照して、後方X線散乱方式を採用して、X線を利用して検査対象構造物を検査する本発明の移動可能な構造物検査装置の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本実施の形態の移動可能な構造物検査装置1の一部切り欠き正面図を示している。また図2は、図1の構造物検査装置1の一部を取り除いて示した斜視図である。図1及び第2において、構造物検査装置1は、図示しない牽引車や作業者によって牽引された状態で道路、橋梁の床版や、建物の天井等の検査対象構造物Cの上を移動する移動台車3の上に、各種の構成部品が実装されて構成されている。移動台車3は、図1に示す矢印の方向に移動する。すなわち矢印の方向は進行方向である。なお本願明細書では、部品の位置関係を説明する場合に、コリメータでX線を発生させる方向を前方または一方向と定義したときに、複数の散乱X線コリメータ、複数のシンチレータ及び複数の光検出器が配置されている方向を後方または他方向と定義する。したがって本実施の形態では、複数の散乱X線コリメータ、複数のシンチレータ及び複数の光検出器は、コリメータよりも後方または他方向に配置されている。
移動台車3は、台座5の下に3本の車軸が支持されており、これらの車軸に車輪7が回転自在に固定された構造を有している。図2及び図3に示すように、台座5の中央部には、後述するコリメータから出る複数の平行X線ビームが通過する第1の窓部9と、第1の窓部9よりも後方に形成されて散乱X線が通過する第2の窓部11とを備えている。
台座5の前方部分には、高エネルギー電子ビーム発生装置としてのマイクロトロン電子加速器13が実装されている。本実施の形態においては、出願人(株式会社光子発生技術研究所)が製造販売する1MeV以下でありながら、60cmのコンクリートを、透過法を用いて5分で計測できるマイクロトロン(モデルNo.MC1)を用いている。このマイクロトロン電子加速器13は、平均エネルギーで0.99MeVを出すのに対して、既存の同じレベルのライナック(線型粒子加速装置)では0.7MeVしか出ない。また、既存のライナックでは100mAがピーク電流値の上限であるが、マイクロトロン(モデルNo.MC1)は300mAを出すことができるために、厚さ60cmのコンクリートをわずか5分で非破壊検査することができる。マイクロトロン(モデルNo.MC1)は、電子を発生するエミッターを加速空洞内に組み込むことにより、強い高周波電場で電子を引き出すことができるため、加速効率が高く、装置外径を従来装置の1/3にすることができた。具体的には、マイクロトロン(モデルNo.MC1)では、磁石外径が20cmと小型である。電子ビームの加速には高周波系が必要であり、高周波源はマグネトロン、パルス電源、立体回路等で構成される。本実施の形態では、幅2mのターゲットを5mm間隔でスキャンするため、マイクロトロン電子加速器による電子ビームの発生は400パルス/1スキャンとなる。進行方向の解像度を10mmとし、1秒間で0.1mを移動台車3が走行するとした場合、繰り返し数は4kHzとなる。加速電圧1MV、ビーム電流200mA、パルス幅1usとすると、平均のビームパワーが800Wとなる。加速空洞のロス等も含め、高周波パワーにはビームパワーの倍の平均1.6kWが必要である。マイクロトロン(モデルNo.MC1)は、この要件を十分に満たすことができる。
ビーム伝送系15には、角部にそれぞれ偏向磁石17が配置されており、マイクロトロン電子加速器13から出力された電子ビームは、180度曲げられて電子ビームスキャン装置21へと伝送される。電子ビームスキャン装置21は、電子ビームの方向を変えるスキャン電磁石23と、スキャンホーン25と、コリメータ37とを備えている。スキャンホーン25は、平面形状が三角形をした真空チェンバであり、スキャン電磁石23により方向を変えられた電子ビームを2mの幅で変位させることを許容する。スキャンホーン25だけでは、図4(A)に示すように、電子ビームが後述するターゲットに当たって発生したX線ビームが扇型に広がり、中心と端でX線ビームの入射角と透過距離が異なり、X線変換効率に差異をもたらす。そこで図4(B)に示すように、スキャンしたビームを検査対象である構造物に対して垂直な向きにする平行化磁石27を置く。扇形に広がったシート状の電子ビームEBを平行に戻す平行化磁石27の磁場分布は端にゆくほど強く、中心部でゼロになるような磁場である。本実施の形態では、スキャン電磁石23と合わせて1MVの電子に対応した磁場を設計してある。
図5(A)には、実際のスキャンホーン25の外観図を示し、図5(B)には図5(A)に示したスキャンホーン25の底面図を示してある。スキャンホーン25は三角形をした真空槽で、10-5Pa以下の真空度を保つようにスキャンホーン25の外壁に設けた真空ポンプ接続口26から真空機器で排気する。
平行化磁石27は、閉ループ状の一対の磁性体29に一対の励磁用コイル31が捲回された構造を有している。一対の磁性体29の対向部の形状を変えることにより、電子ビームEBの方向を平行な方向に変える磁場が形成されている。スキャンホーン25の下側開口部33には、伝送してきた電子ビームをX線ビームに転換する電子ビーム・X線転換部の一部を構成するターゲット35が配置されている。本実施の形態では、加工性やコストも考慮して、ターゲット35の材質は鉄を用いている。そしてターゲットのサイズは、長さ2m、幅10cm、厚さ0.3mmである。ターゲット35は、スキャンホーン25の内部に真空封じされている。除熱には冷却水を回す既知の除熱構造を採用することができる。本実施の形態では、スキャンホーン25の下側開口部が、検査対象構造物Cの近傍に電子ビームをX線に転換する所定の形状のターゲット35を配置する電子ビーム・X線変換部を構成している。X線後方散乱を用いてX線ビームをスキャンする場合、5mm幅以下のX線ペンシルビームを発生する必要がある。そこでターゲット35の下には、電子ビームによってスキャンされたターゲット35から発生する複数のX線ビームXrを平行にして検査対象構造物Cに複数の平行X線ビームを照射するコリメータ37が配置されている。本実施の形態では、X線転換部を構成するターゲット35と同様に鉄製のコリメータ本体を用いている。図6(A)は本実施の形態で用いるコリメータ37の平面図であり、(B)は図6(A)のB−B線断面図であり、(C)は図6(B)のA部の拡大図である。このコリメータ37は、上端がスキャンホーン25の下側端部と連結され下端が台座5に形成された第1の窓部9の周囲に連結される枠体38を備えている。枠体38の内部には、5mm間隔の複数のスリット39を備えた鉄製のコリメータ本体が配置されている。なお図6(C)に破線で示すように、ターゲット35´とコリメータ本体とを同じ材料で一体に形成してもよい。
図1及び図7に示すように、ターゲット35及びコリメータ37の周囲は、鉛板から構成されたX線遮蔽壁41によって囲まれている。このX線遮蔽壁41は、ターゲット35から発生したX線が直接的に後述するシンチレータ49で検知されることを防止するためのものである。また台座5の下面にも第1の窓部9に沿って第1の窓部9を囲むようにX線遮蔽構造体43が固定されている。このX線遮蔽構造体43は、第1の窓部9と連通する通路を有し且つ第1の窓部9の周囲を囲んで実質的に構造物内にのみX線ビームが照射されるようにする。このようなX線遮蔽構造体43を設けると、X線の漏れを最小限のものとして、X線の照射量を最大限検査に活用することできる。
検査対象構造物Cに入って散乱した散乱X線を検出するために、台座5に設けた第2の窓部11よりも後方側の位置に、複数の散乱X線コリメータ47が配置されている。
複数の散乱X線コリメータ47は、検査対象構造物Cにより散乱された複数の後方散乱X線ビームの深さ方向における散乱位置を特定するために、散乱された複数の後方散乱X線ビームのうち所定の複数の方向に向かう複数の後方散乱X線ビームのみを通過させる。すなわち複数の散乱X線コリメータ47は、検査対象構造物Cの内部から散乱してきた散乱X線ビームの方向を予め定めた所定の複数の方向に制限するために、台座5に対して所定の角度を持って設けられている。すなわち、複数の散乱X線コリメータ47は、第2の窓部11よりも後方に配置されて台座5から離れる方向に一定間隔を開けて設けられている。この場合散乱X線コリメータ47は、電子ビームのスキャン方向と平行な方向に延びる細長い入射面を備えている。そして各散乱X線コリメータ47の入射面は、第2の窓部11に向かっている。図7に示すように、複数の散乱X線コリメータ47を台座5から離れる方向に配置して散乱X線を検出すると、X線ビームの照射方向に延びる仮想面S0に向かって各散乱X線コリメータ47の先端から延ばした仮想面Sとの交差位置における検査対象構造物Cの状況をその散乱X線ビームから検知することができる。複数の散乱X線コリメータ47の上下方向の間隔を短くするほど、検査対象構造物Cを深さ方向に短い間隔で検査することができる。
複数の散乱X線コリメータ47の後方には、複数のシンチレータ49が配置されている。複数のシンチレータ49は、複数の散乱X線コリメータ47に入射した散乱X線ビームで発光する。本実施の形態では、コストを抑えて、しかも検出感度を高めるために、2mのプラスチックシンチレータを用いている。図2に示すように、複数のシンチレータ49の後方には、複数のライトガイド51を介して複数の光検出器53が配置されている。複数の光検出器53と複数のシンチレータ49との間に設けたライトガイド51は、シンチレータ49から光検出器53に向かに従って幅寸法が短くなる形状を有している。このようなライトガイド51を用いる、シンチレータの長さと比べて長さの短い光検出器を用いることができ、装置の製造価格を低減できる。
ちなみに散乱X線コリメータ47で深さを特定する場合、30cmの深さを10mmの解像度で測定するには、縦方向に30個の散乱X線コリメータ47と、30個のシンチレータ49と30個の光検出器53が必要になる。1個の散乱X線コリメータ47と、1個のシンチレータ49と1個の光検出器53とにより、1つの散乱X線検出器(47,49及び53)で構成することも可能である。
本実施の形態では、光検出器53として、フォトマル(光電子増倍管)を用いている。光検出器53は、後方散乱X線ビームに比例するシンチレータ49の出力を電圧信号に変換する。これらの電圧信号は、図7に示す信号画像化装置55に入力されて信号処理される。本実施の形態では、信号画像化装置55は、移動台車3から離れた位置に置かれる。例えば、移動台車3を牽引する牽引車側に置かれている。そのためX線の影響を受けない位置で検査結果を見ることができる。
信号画像化装置55による信号の画像化の態様は任意である。図8は、受信から画像化までのデータ処理の一例のフローチャート図である。図9(A)乃至(D)は、光検出器の受信から断面像取得までの流れを示すイメージ図である。図9の例では、X線ビームが検査対象構造物に入射され、散乱X線ビームが7つの散乱X線コリメータ47に入力されて、7つの光検出器53としてのフォトマルからそれぞれ検出信号が出力されている。例えば、スキャンが一秒間に10回、1スキャンあたり400パルスでX線ビームを構造物に照射すると、図9(B)に示すように、1光検出器53あたり1秒間に4kHzで250μs毎にデータが取り込まれる。フォトマルの各出力波形からピークホールドで出力値を読み出してマッピングしていくと、ある深さでの平面像となる。図9(C)は、例えば一つのフォトマルの出力のみをマッピングした例を示している。この図において、出力が高い所(白色の箇所)は、重い元素でできた構造物の箇所であり、出力が低い所(ハーフトーンまたは黒色の箇所)は検査対象空洞もしくは軽い元素がある箇所を示している。測定後に、図9(D)に示すように、各検出器からの平面像を取り込み、データを整列することで、スキャン方向もしくは進行方向に沿った深さ方向の断面像が得られる。
図9の信号処理のように、ピークホールドでは読み込みに時間がかかる。そこで、4kHzに同期して各点での信号の出力をオシロスコープ上で波形データ化(デジタル化)することで、処理速度を上げてもよい。図10は、そのデータをスキャン毎に並べ、平面のマッピングデータ化した例を示している。
本実施の形態の構造物検査装置を用いて、具体的に橋梁床版やトンネル内壁等の構造物の劣化を診断する場合の条件について説明する。X線管や1MeV−LINACを用いた後方X線散乱方式の検査ではコンクリート壁の深さ5cm未満の検査しかできない。しかし本実施の形態では特定のX線光源に用い、深さ30cm幅2mの検査を、0.1m/sのスピードで実施可能である。移動台車3を移動しながら電子ビームを左右にスキャンし、さらに電子ビームを平行化した後にターゲット35に衝突させてX線ビームに変換し、コリメータ37を通して、幅5mmのX線を生成して、検査対象構造物Cに向けて発射する。検査対象構造物Cで散乱されたX線の検出器には、長さ2mのシンチレータ49を使用する。位置情報は電子ビームのスキャンで得られるので検出器には位置分解能はない。シンチレータ49からの信号をデジタルオシロスコープで取り込むと時間情報が位置情報となる。検査対象構造物の深さ方向の情報は、30台のシンチレータ49を縦に並べ、散乱X線コリメータ47で深さ方向を制限して特定の深さだけを見ることにより、深さ方向の解像度を10mmとした。シンチレータ49はそれぞれ散乱X線コリメータ47で遮蔽され、特定の方向からのX線のみを検出する。移動台車3は、幅2mのスキャンを0.1秒で行うときには、0.1m/s=360m/時の速度で進む。このようにすると横方向の位置解像度は5mmとし、進行方向の解像度を10mmとして検査することができる。そして深さ方向の精度は10mmとすることができる。
上記実施の形態によれば、検査対象構造物Cの近くに配置されたターゲット35を電子ビームでスキャンして複数のX線ビームを発生し、発生した複数のX線ビームをコリメータにより平行にして検査対象構造物Cに照射するため、発生X線をできるだけ検査に活用することできる。また各X線ビームは検査対象構造物Cに同じ角度で照射されるため、スキャン方向の全範囲にわたって同じ条件のX線ビームを照射できる。その結果、スキャン方向の全範囲において、同じ条件で検査をすることができる。そして後方X線散乱方式を採用しているため、連続検査が可能になる。
またコリメータ37は、複数の平行X線ビームの間隔が一定間隔になるように構成されているので、検査対象構造物Cに照射されるX線ビームの間隔が一定となり、検査対象構造物の内部を確実に一定間隔で検査することができる。
上記実施の形態では、1個の散乱X線コリメータ47と、1個のシンチレータ及び1個の光検出器となる1個の散乱X線検出器を30個上下方向に並べているが、1つの散乱X線検出器だけを用いて、散乱X線を検出するようにしてもよい。なお1つの散乱X線検出器だけを用いる場合には、1つの散乱X線検出器を上下方向に移動可能に保持する移動保持機構を台座に設ければよい。
本発明によれば、検査対象構造物の近くに配置されたターゲットを電子ビームでスキャンして複数のX線ビームを発生し、発生した複数のX線ビームをコリメータにより平行にして検査対象構造物に照射するので、発生X線をできるだけ検査に活用することできる。また各X線ビームは検査対象構造物に同じ角度で照射されるため、スキャン方向の全範囲にわたって同じ条件のX線を照射することができ、スキャン方向の全範囲において、同じ条件で検査をすることができる。
1 構造物検査装置
3 移動台車
5 台座
7 車輪
9 第1の窓部
11 第2の窓部
13 マイクロトロン電子加速器
15 ビーム伝送系
17 偏向磁石
21 電子ビームスキャン装置
23 スキャン電磁石
23 スキャン磁石
25 スキャンホーン
27 平行化磁石
35 ターゲット
37 コリメータ
38 枠体
39 スリット
41 X線遮蔽壁
43 X線遮蔽構造体
47 散乱X線コリメータ
49 シンチレータ
51 ライトガイド
53 光検出器
55 信号画像化装置

Claims (9)

  1. X線を利用して検査対象構造物を検査する移動可能な構造物検査装置であって、
    前記検査対象構造物の近傍に電子ビームをX線ビームに転換するライン状のターゲットを配置する電子ビーム・X線変換部と、
    高エネルギー電子ビーム発生装置と、
    前記高エネルギー電子ビーム発生装置により発生した電子ビームを真空中で輸送して前記ターゲットをライン状にスキャンする電子ビームスキャン装置と、
    前記電子ビームによってスキャンされた前記ターゲットの各所から発生する複数の前記X線ビームを平行にし、前記検査対象構造物に複数の平行X線ビームをシート状にして照射するコリメータと、
    1以上の散乱X線検出器と、
    台座を有して前記検査対象構造物上を移動する移動台車とを備え、
    前記1以上の散乱X線検出器は、前記検査対象構造物により散乱された複数の後方散乱X線ビームの深さ方向における散乱位置を特定するために、散乱された前記複数の後方散乱X線ビームのうち所定の方向に向かう後方散乱X線ビームのみを通過させる散乱X線コリメータと、前記散乱X線コリメータに入射した散乱X線ビームで発光するシンチレータと、前記シンチレータから発光された光を検知する光検出器とを備えており、
    前記電子ビーム・X線変換部、前記電子ビームスキャン装置、前記コリメータ及び前記1以上の散乱X線検出器が前記移動台車の前記台座上に実装されている移動可能な構造物検査装置。
  2. 前記X線ビームの放射する方向を一方向と定義したときに、前記1以上の散乱X線検出器は、前記電子ビームスキャン装置、前記電子ビーム・X線変換部及び前記コリメータよりも前記一方向とは反対の他方向に配置されており、
    前記台座は、前記コリメータから出る複数の平行X線ビームが通過する第1の窓部と、前記第1の窓部よりも後方に形成されて前記散乱X線ビームが通過する第2の窓部とを備えており、
    前記移動台車の前記台座には、前記第1の窓部と連通する通路を有し且つ該第1の窓部の周囲を囲んで実質的に前記検査対象構造物内にのみ前記X線ビームが照射されるようにするX線遮蔽構造体が設けられている請求項1に記載の移動可能な構造物検査装置。
  3. 前記電子ビームスキャン装置は、前記高エネルギー電子ビーム発生装置が発生した電子ビームの進行方向を磁界により変更するスキャン電磁石と、進行方向が変更された電子ビームを前記ターゲットに案内するスキャンホーンと、前記スキャンホーンを通過した前記電子ビームの進行方向を磁界により前記ターゲットに向かって直交する方向に揃える平行化磁石とを備えている請求項1または2に記載の移動可能な構造物検査装置。
  4. 前記ターゲットは前記検査対象構造物の表面に沿って延びる細長い形状を有しており、
    前記コリメータは所定の間隙を介して前記検査対象構造物の表面と対向するように前記台座に配置されている請求項3に記載の移動可能な構造物検査装置。
  5. 前記コリメータは、前記複数の平行X線ビームの間隔が一定間隔になるように構成されている請求項4に記載の移動可能な構造物検査装置。
  6. 複数の散乱X線検出装置は、前記第2の窓部よりも前記他方向側に配置されて前記台座から離れる方向に一定間隔を開けて設けられ、
    前記散乱X線コリメータは前記電子ビームのスキャン方向と平行な方向に延びる入射面を備えている請求項1に記載の移動可能な構造物検査装置。
  7. 前記光検出器と前記シンチレータとの間には、前記シンチレータから出た光を前記光検出器に導くライトガイドが設けられている請求項6に記載の移動可能な構造物検査装置。
  8. 前記光検出器から出力された信号を画像化する信号画像化装置を更に備えている請求項7に記載の移動可能な構造物検査装置。
  9. 前記信号画像化装置は、前記スキャン装置のスキャン方向を一方の軸として、他方の軸に複数の前記光検出器から出力された複数の信号の振幅の大きさを表示する画像を表示画面に表示するように構成されている請求項8に記載の移動可能な構造物検査装置。
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