以下、本発明の一の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態は、発明を具体的に説明するためのものであり、特に指定しない限り、本発明を限定するものではない。図面は便宜上要部を拡大して発明を示すこともあり、特に明記しない限り寸法比率は実際とは異なる場合がある。
図1は、本発明の形状測定装置に係る一実施形態の構成例を示す斜視図であり、図2は正面図である。本実施形態に係る形状測定装置100は、被測定物表面21に対して後述するセンサ部10を移動部40によって相対的に移動させることにより、ライン光60を被測定物表面21上に走査させ、被測定物表面21の三次元形状を測定するものである。具体的には、センサ部10に含まれる後述の撮像部12は、被測定物表面21に照射されたライン光60の像を所定のタイミングで撮影する。撮影のタイミングは予め所定の時間間隔に設定することができる。撮影のタイミングを一定の時間間隔に設定した場合、ライン光60の走査速度を調節することにより、被測定物表面21に対して形状測定装置100が取得する測定点の単位面積あたりの数、すなわち、測定箇所の密度を変えることができる。また、撮影のタイミングや走査速度は測定者が設定できるようにしても良く、取得する測定点の密度を設定できるようにしてもよい。測定点とは、被測定物上の点であって、後述のxyz直交座標系における座標データを算出する点である。そして撮像部12からの画像データと、その画像データが撮影された時点のセンサ部10及び被測定物20に対する相対的な位置関係を示す位置情報等を元に、三角測量の原理を用いて被測定物20の三次元形状を測定する。
以下では説明のため、図1及び図2に示すようにそれぞれが直交するx軸、y軸、z軸からなる直交座標系を用いる。図1及び図2に示すように、形状測定装置100は、姿勢変更部30と、移動部40と、センサ部10と、制御ユニット50とから構成されている。
姿勢変更部30は、被測定物20を支持し、被測定物表面21に対するセンサ部10の相対的な姿勢を変更するための機構であり、定盤31上に設けられている。姿勢変更部30は、支持台32、第一の回転駆動部33、及び、第二の回転駆動部34を含む。支持台32は被測定物20を任意の姿勢で固定できるような構成を有している。そのために、第一の回転駆動部33は、支持台32と第二の回転駆動部34を図1及び図2の一点鎖線331で示す軸を中心に支持台32を回転する。したがって、センサ部10に対して、支持台32の姿勢を変更することができ、しいてはセンサ部10に対して被測定物20の面の方向を変えることができる。また、第二の回転駆動部34は、支持台32を支持台32の載置面に対して垂直な図1及び図2の破線341で示す方向を軸として回転するように駆動する。
この第一の回転駆動部33と第二回転駆動部34の両方を駆動して、センサ部10に対して被測定物20の表面を好ましい方向に向け、相対的な姿勢を変更することができる。もちろん、第一の回転駆動部33と第二の回転駆動部34には、エンコーダーなどの回転位置検出手段を有しているので、定盤31に対して支持台32がどの角度傾斜し、支持台32が第二の回転駆動部34によりどの角度回転したかわかるようになっている。
移動部40は、姿勢変更部30をまたぐように設置される門型フレーム41と、センサ部10をz軸と平行な回転軸を中心に回転可能にする回転部42と、ヘッド部43と、門型フレームをx軸と平行な方向に移動させる水平移動部44とを含む。門型フレーム41は、脚部411と、姿勢変更部30の上方に渡された梁部412とを含む。ヘッド部43の下方には、回転部42が設けられている。回転部42は、センサ部10をz方向と平行な方向を軸として回転する、図示しない回転駆動部を有する。ヘッド部43は梁部412に設けられる。ヘッド部43の内部は、図示しないy軸方向駆動部を有している。このy軸方向駆動部により、ヘッド部43は、定盤31に対しy軸方向に移動可能な構成になっている。更にヘッド部43は回転部42及びセンサ部10をz軸方向に移動可能にする図示しないz軸方向駆動部を有する。水平移動部44は脚部411に接続されており、図示しない水平駆動部により駆動される。なお、回転部42は、エンコーダーなどの回転位置検出手段を有している。また、y軸方向駆動部、z軸方向駆動部及び水平移動部44のそれぞれには、エンコーダー等のセンサを含む、位置を検出する手段を有しており、姿勢変更部30を基準にセンサ部10の位置を特定することができる。
図3は、センサ部10の要部構成を示す図である。実線はライン光の長手方向の中心の光線61を示している。中心光線とは、照明光学系の図示しない開口絞りの中心を通る光線であり、ここではライン光60の光束の中心を通る光線を指す。センサ部10は、ライン光である測定光601及び参照光602を被測定物表面21に照射する照明部11と、被測定物表面21を撮影する撮像部12とを含む。センサ部10には、撮像部12により撮像された画像に基づき被測定物20の表面形状を演算する後述の演算部51を含む制御ユニット50が接続されている。
図4は、照明部11の要部構成を示す図である。実線61は中心光線を示している。照明部11は、被測定物表面21に長手方向を有する線状の光である測定光601及び参照光602を照射するように構成されている。光源111から出た光は照明光学系112によって平行光束となり、ハーフミラー113に入射する。ハーフミラー113を通過した光はシリンドリカルレンズ115によって、表面が曲率を有している方向のみ平行光束が収束される。それにより、被測定物表面上ではライン状の光になり、被測定物表面21に照射される。本実施形態に係る形状測定装置100においては、このライン光を測定光601とする。一方、光源111から出た光のうち、ハーフミラー113によって進む方向が変更された光はミラー114に入射し、再び方向が変更され、測定光601と平行に進む光となり、シリンドリカルレンズ115に入射し、ライン光が形成される。本実施形態においてこのライン光を参照光602とする。
本実施形態において、測定光601は被測定物表面21の形状測定に主に用いるためのライン光であり、参照光602はセンサ部10に対する被測定物表面21の方向の演算に主に用いるライン光である。
本実施形態では測定光601と参照光602を生成の過程において前述のように定義したが、どちらのライン光が測定光601であっても良く、上記に限定されない。また、場合によっては形状測定に主に用いる測定光601を傾き演算のために使用しても良く、参照光602を形状測定に用いても良い。たとえば、測定光601の像と参照光602の像を比較したときに、正確に像のピーク位置が特定しやすい方を形状測定に用いても良い。
また、照明部11をシリンドリカルレンズ115の他に、スリット板や液晶等によって構成し、ライン状のパターン光を形成してもよい。また、撮像部12が一の像を撮影する時間内に、照明部11が点状の光を被測定物20上に高速に移動させながら照射することによりライン状の光を形成してもよい。光源111は、例えばLED、レーザー光源、SLD等を用いることができる。
また、本実施形態では、測定光、及び、参照光にライン光を用いたが、ライン光に限られない。少なくともどちらか一方が点状の光であっても良い。
以下では、測定光601と参照光602を特に区別して説明する必要が無い場合は、双方をまとめてライン光60として説明することとする。
図3で図示されているように、撮像部12は、撮像光学系121と撮像素子122とを含む。撮像素子122には二次元方向に画素が配列されており、たとえばCCD等から構成されている。撮像部12は、被測定物20の表面に照射されるパターン光60の像を光の照射方向とは異なる方向から撮影するように配置されている。また、撮像素子122は光を受光する撮像面123を含む。そして、撮像光学系121は、撮像面123と被測定物20上の測定光が照射される位置とが共役な関係になるよう構成されている。
本実施形態における形状測定装置100では、センサ部10と被測定物20との距離によらず被測定物表面21での測定光601の位置と撮像面123とが共役な関係となるように、撮像光学系121の主平面に対して撮像面123が傾いた配置にしてある。このような配置にすることで、被測定物20の形状によらずピントが合った測定光601の像を得ることができる。
ところが、被測定物20に照射された測定光601の照射領域に対し撮像面123が共役となるような配置にするため、参照光602の照射領域にピントが合わなくなる恐れがある。そのため、撮像光学系121に絞りを設けるなどして測定光601及び参照光602の焦点深度が深くなるような構成にしても良い。
本実施形態における形状測定装置100では、照明部11と撮像部12はセンサ部10の同一筐体中に固定されている。すなわち、撮像光学系121と照明光学系112とが固定されている。したがって、センサ部10の位置座標と、撮像素子122に撮影された測定光601の画像の画素位置から、測定光601が照射されている被測定物表面21上の位置と照明光学系112との距離を求めることができる。撮像素子122上における測定光601の画像の長手方向の画素列ごとに、照明光学系112と被測定物表面21との距離を求めることにより、測定光601が照射されている場所の被測定物表面21の形状を求めることができる。
本実施形態に係る形状測定装置100では、照明部11と撮像部12がセンサ部10の筐体中に固定されているが、これらの配置を可変となるように構成しても良い。この場合、照明光学系112及び撮像光学系121の位置座標、及びライン光の照射方向が撮像時に既知となるような構成を有していればよい。
図5は、制御ユニット50を含む形状測定装置100の要部のブロック図を示す。制御ユニット50は、演算部51、制御部52、記憶部53、入力部54、出力部55、通信部56を有する。演算部51は、形状演算部511、表面方向推定部512、駆動量演算部513、及び、位置特定部514を有する。また、制御部52は、演算制御部521及び機構制御部522を有する。
形状演算部511は測定光601が照射された測定位置の被測定物20の形状を演算する機能ブロックである。前述のように移動部40に設けられた各位置検出手段や回転位置検出手段、姿勢変更部30に設けられた各回転位置検出手段からの情報と、撮像部12から取得された測定光61の像の位置を基に、被測定物20の測定部位の位置を算出する。ここで、形状演算部511は、形状演算に参照光602を用いても良い。
位置特定部514は、撮像素子122に撮影された画像上でライン光60の像の位置を代表する一画素を特定する。すなわち、測定光601の像の位置を示す一画素と参照光602の像の位置を示す一画素を特定する。また、ライン光の像の位置が求められる限りにおいて、撮影された画像上のライン光60の像の位置をそれぞれ複数画素で特定しても良い。
表面方向推定部512は測定光601及び参照光602が照射されている位置について、センサ部10に対する被測定物表面21の方向を推定する機能ブロックである。被測定物表面21の方向を推定する方法については後述する。
駆動量演算部513は、表面方向推定部512により求められた被測定物表面21の方向の情報を基に、センサ部10に対して最適な方向に被測定物20の測定部位の面が向く様に、姿勢変更部30の駆動量を算出する機能ブロックである。具体的には、姿勢変更部30の各回転駆動部を駆動する駆動量を算出する。さらに、駆動量演算部513は、被測定物表面21上に測定光601を走査するための移動部40の駆動量を算出する機能ブロックである。具体的には、移動部40の各駆動部及び回転駆動部の駆動量を算出する。
演算制御部521は、記憶部53に記憶されたデータに基づき、形状演算部511、表面方向推定部512、駆動量演算部513に順次演算を実行させる機能ブロックである。機構制御部522は、駆動量演算部531によって求められた姿勢変更部30と移動部40の駆動量に基づいて、次の撮影タイミングまでに姿勢変更部30、移動部40を駆動させる機能ブロックである。
本実施形態において、制御ユニット50が有する各部分は、それぞれ機能ブロックとして作用するように構成されているが、これに限られない。中央演算処理装置(CPU)が必要なプログラムを読みだして制御ユニット50が有する各部分の機能を実行するように構成しても良い。
記憶部53は、撮像部に撮影された画像データ、形状演算部511、表面方向推定部512、駆動量演算部513等の演算データ、プログラム等を記憶する。入力部54は、マウス、キーボード、タッチパネル等から成る。入力部54を用いて、センサ部10の走査速度等を入力し、設定できるようにしても良い。出力部55は、ディスプレイ等から成り、演算結果の表示等を行う。通信部56は、無線又は有線で、形状測定装置100と他の機器等との通信を行う。
図6は、被測定物20に照射されるライン光60の光路を照射方向とは異なる方向から見た図である。本実施形態において光源111からの光の照射方向に対して垂直な平面にライン光60が照射された場合、ライン光60により形成されるパターンは、互いに平行な線状のパターンとなるようにしている。また、本実施形態では、図4の実線で示されるライン光60のそれぞれの光束の中心の光線(以下、中心光線61と称する)を含む面において、それぞれの中心光線61が平行に被測定物20に照射されるよう構成されている。以下では、実線は照明部11からのライン光60の中心光線61の光路を示し、破線はライン光60の光の端62の光路を示すこととする。
図7(a)は図6に示す測定光601及び参照光602のそれぞれの中心光線61を含む平面における光路を示したものである。測定光601及び参照光602が照明部11から被測定物表面21に照射され、被測定物表面21で反射し、それぞれの反射光の一部が撮像光学系121に入射する。撮像面123上に形成された測定光601及び参照光602の像が撮像素子122によって撮影される。このとき、撮像素子に撮影される測定光601及び参照光602の像の位置6011、6021を図7(b)に示す。
また、図7(a)は、ある高さの面にライン光60を照射したときの各光の照射方向の様子を示した図である。光源111から被測定物20までが基準の距離だけ離れており、更に被測定物表面21に対して測定光601と参照光602がほぼ垂直に照射されている場合を示している。
通常、撮像光学系121の光軸及びその近傍は、収差等が低く抑えられている。また、撮像素子123の中央領域は、撮像光学系の光軸に位置するように配置されている。したがって、一般的に撮像素子122の中央では測定精度が良い。そのため、測定光601が照射された位置の被測定物20の像が撮像素子122の撮像領域の中心近傍に来るように、
機構制御部522が移動部40を制御しながらセンサ部10で測定光601の像を取得している。したがって、図7(b)でも、測定光の像6011が撮像素子122の撮像領域の中央に形成されているようすが図示されている。
図8(a)は図7(a)と同様に、被測定物20に照射された光の経路を示す。図8(a)は、センサ部10からのライン光60の照射方向に対し被測定物表面21の向きが異なる場合の一例を示す。このとき、撮像素子122に撮像される測定光601及び参照光602の像(6011、6021)を図8(b)に示す。
図9(a)は図7(a)、図8(a)と同様に、被測定物20に照射された光の経路を示す。図9(a)は、センサ部10からのライン光60の照射方向に対し被測定物表面21の向きが異なる場合の一例を示す。このとき、撮像素子122に撮像される測定光601及び参照光602の像(6011、6021)を図9(b)に示す。
測定光601及び参照光602の照射方向に対して、被測定物20の表面の方向が異なると、センサ部10で撮影される測定光601の像と参照光602の像(6011、6021)の位置関係が変わる。例えば、図7(a)のような場合で撮影された測定光601の像と図8(a)のような場合で撮影された測定光601の像6011は、どちらも撮像素子122の撮像領域の中央に像が形成される。一方、図7(a)のような場合で撮影された参照光602の像6021と、図8(b)のような場合で撮影された参照光602の像6021の位置は、異なる。このように、本実施形態における形状測定装置100は、測定光601の像と参照光602の像の位置の情報を基に、次に測定する位置のセンサ部10に対する被測定物の表面の向きを検出している。
表面方向推定部512は、センサ部10に対する被測定物20の表面の向きを推定する量を表面方向データとして求める。表面方向データは、例えば、被測定物20のライン光60が照射されている領域に仮定した法線と、ライン光60の照射方向とが成す角度に相当する量として求めることができる。
また、ライン光60の長手方向に直交する方向に対する面の向きのみを考慮する場合、被測定物20のライン光60が照射されている領域に仮定した法線の、測定光601及び参照光602の中心光線61を含む面への射影を法線方向として表面方向データを求めても良い。
表面方向推定部512が表面方向データを求める手順を説明する。まず、測定光601及び参照光602の像(6011、6021)が撮像素子122に撮影される。ライン光60が照射されている領域の被測定物20の面の向きを調べるため、本実施形態において、まず位置特定部514が、撮像素子122に撮影された画像上でライン光60の像の位置を代表するそれぞれ一画素を特定する。
位置特定部514は、撮像素子122に撮像された画像上で、測定光の像6011から画素位置71を特定し、さらに参照光の像6021から画素位置72を特定する。表面方向推定部512は、画素位置71と測定光601の照射方向に基づき、形状演算部511で測定光601が照射された被測定物20のプローブ座標を算出する。また、同様に画素位置72に対応する被測定物のプローブ座標も算出している。プローブ座標とは、形状測定装置に対して設定されたxyz座標と区別するために用いており、センサ部10に対して設定される座標である。すなわち、移動部の各構成が駆動されても、駆動量に関わらずセンサ部10の所定の位置がプローブ座標において一意に示される。また、プローブ座標は、移動部の各構成の駆動量を加味することにより、xyz座標に変換することができる。逆に、xyz座標をプローブ座標に変換することも可能である。
画素位置71及び72に対応する被測定物のプローブ座標を算出し、xyz座標に変換することにより、この2点を結ぶ線と、2点のうち少なくとも一方を通りx軸とy軸に平行な面とがなす角度を求める。この角度により、ライン光60が照射されている位置の被測定物表面21の向きを推定する推定量を求めることができる。位置特定部514によるライン光60の像の画素位置70の特定方法は後述する。
また、測定光601の像が画像の中央にある場合、参照光602の像の位置に基づいて被測定物表面21の向きを一意に求めるルックアップテーブルを用いても良い。ルックアップテーブルを用いることにより、撮像光学系121の光軸方向と、被測定物20で反射した反射光が撮像光学系121の中心に入射する方向とが成す角度等を求めなくとも、測定光602の像の位置から被測定物表面21の向きを求めることができるようになる。また、参照光602の位置に基づいて求める他に、測定光601の像の位置と、参照光602の像の位置との間隔に基づいて求めるようにしても良い。この場合も、測定光601と参照光602の像の位置の間隔と被測定物表面21の向きを一意に求めることができるルックアップテーブルを用いても良い。
また、本実施形態では、センサ部10から被測定物20までの距離に応じて、ライン光の像の画素位置同士の距離が変わらないよう、ライン光60が互いに平行に照射されている。平行に照射されていない場合は、例えば、傾きが既知である被測定物20に対し、センサ部10から被測定物表面21までの距離を変えながら測定し、ルックアップテーブルの校正を行うことができる。
ライン光の像の位置を示す一画素の特定の仕方について説明する。前述のように、一般的に撮像素子123の中央では測定精度が良い。そこで本実施形態に係る形状測定装置100は、測定光の像6011の長手方向の中央を測定光の像の画素位置71とし、参照光の像6021の長手方向の中央を参照光の像の画素位置72とする。ここで、ライン光の像は長手方向と直行する短手方向に輝度の分布を持って広がっている。そのため、本実施形態ではライン光の像の長手方向の中央の位置における、長手方向と直行する短手方向の輝度の分布のピーク位置の画素を短手方向の画素位置を特定することができる。
また、被測定物表面21が複雑な形状をしている場合や穴がある場合等、ライン光が途中で途切れている場合は、測定光及び参照光の像6011、6021との距離が最短になる画素位置を求めて測定光及び参照光の像の画素位置71、72としても良い。この時の短手方向の画素位置は上述のように短手方向の輝度の分布に基づいて求めればよい。
また、被測定物20が複雑な表面形状をしており、測定光601又は参照光602のどちらか一方の画像しか得られていない場合はエラーを出すような構成にしても良い。
また、測定光の像6011の画素位置71、及び参照光の像6021の画素位置72の特定は、ライン光の長手方向のそれぞれ離れた複数画素同志を比較して画像上の平均的な位置を求めても良い。例えば図10に示すように、ライン光の長手方向の3画素同志71’、71’’、72’’’、72’、72’’、72’’’を比較する。71’、71’’、72’’’、72’、72’’、72’’’の設定の仕方は、例えば、測定光の像6011の長手方向の中央の画素を71’とし、長手方向の端から所定の距離はなれた画素を71’’、及び71’’’とする。次に、71’を通り、測定光の像6011の長手方向に対して垂直な方向に伸ばした線と、参照光の像6021とが交わる画素を72’とする。同様に、それぞれ71’’、71’’’を通る測定光の像6011の長手方向に対する垂線と、参照光の像6021とが交わる画素を72’’、及び72’’’とする。3画素71’、71’’、71’’’それぞれの画素位置を基に平均画素位置を求め、測定光の像6011の画素位置とすることができる。参照光の像6021の画素位置についても同様にもとめることができる。ライン光の長手方向の中央付近以外の2点71’、72’’’、72’、72’’’は、撮像素子122の中央から離れた位置で撮影されると誤差が大きくなる可能性があるため、ライン光の長手方向の端からライン光の長手方向の中央に向かって内側の画素位置を採用すると良い。例えば、ライン光の像の長さに対し2割程度内側の画素を採用することができる。この場合も短手方向の画素位置は上述のように短手方向の輝度の分布に基づいて求めればよい。また、上記に限らず、ライン光60の長手方向の端から所定の割合の長さの位置を複数選んでも良い。ライン光60の像の長手方向の複数の位置に基づいてライン光60の像を代表する画素位置を求めることにより、ライン光60の像が折れ曲がっていたり、曲線になっていたりするときでも精度よくライン光60の像を代表する画素位置を選ぶことができる。また、ライン光60の長手方向の画素すべてに対して画素位置を特定し、平均を取ることにより、一の画素位置を特定しても良い。
また、ライン光の像の短手方向の輝度の分布に基づいて画素位置の特定する他の方法を用いることができる。まず、ライン光の像を形成する画素の輝度値を短手方向の所定の幅ごとに長手方向に向かって足し合わせる。所定の幅は、例えば一画素に相当するようにする。そして、足し合わせた数値が最大となる画素位置を短手方向の画素位置とする。
次に姿勢変更部30、及び移動部40の駆動量について説明する。駆動量演算部513は、表面方向推定部512の演算結果に基づき、センサ部10が被測定物20に対し適切な姿勢となるような姿勢変更部30の駆動量を演算する。適切な姿勢とは、撮像素子122に入射する光の強度が撮像素子のダイナミックレンジ外となる正反射光や拡散反射光が入射しないような姿勢である。また、姿勢変更部30は、ライン光60の照射方向と、ライン光60が照射されている被測定物表面21上の領域とが該垂直になるように制御されるようにしても良い。この場合、正反射光が照明部11に近い方向に進行するため、撮像素子122に直接入射することを避けることができる。以下に、ライン光60の照射方向と、ライン光60が照射されている被測定物表面21上の領域とが該垂直になるような制御の方法の例を説明する。まず、測定光601と参照光602の像をそれぞれ代表する1点を決定し、これらに対応するプローブ座標を算出する。これらの座標を結ぶ線を仮定し、ライン光60の照射方向との成す角度を求める。そして、この角度が直角になるような姿勢変更部30の駆動量を求め、姿勢変更部30を駆動する。また、図10のようにライン光60に対して代表する点を3点選ぶ場合、外側の2点(図71’の71’’’又は72’、72’’’)に対応するプローブ座標を算出し、これらを結ぶ線とライン光60の照射方向との成す角度を求め、この角度が直角になる姿勢変更部30の駆動量を求めることができる。これにより、ライン光の長手方向の傾きに対してもライン光60の照射方向と被測定物表面21が該垂直になるように制御することができる。これらの制御方法は一例であり、ライン光60の照射方向と、ライン光60が照射されている被測定物表面21上の領域とが該垂直になるような制御であれば、他の方法でもよい。また、姿勢変更部30の駆動は、例えば、被測定物20に対しライン光60を走査する方向に被測定物表面21の向きを変更できるようにしても良い。すなわち、被測定物表面を平面と仮定した時にライン光60が走査される方向を走査方向し、この面内において走査方向と直行する方向を軸として回転させても良い。また、走査方向は、移動部40の駆動方向としてもよい。
移動部40は、駆動量演算部513によりセンサ部10を被測定物20に対して走査させるように制御される。この時、駆動量演算部513はセンサ部10に対する被測定物表面21の向き、すなわち、照明光学系の光軸方向と被測定物表面21の向きの成す角度が所定量よりも大きな場合や、角度変化が多く、被測定物表面21が複雑な形状をしていると予測される部分を判断するようにしても良い。この場合、より走査間隔を狭めて測定するように制御しても良く、逆に照明光学系の光軸方向と被測定物表面21の向きの成す角度が所定量よりも小さな場合や、角度変化が少ない場合、走査間隔を広くするようにしても良い。走査間隔を変更する方法として、例えば、走査速度を変更することができる。また、走査速度を一定にし、画像を取得するタイミングの間隔を変更することにもできる。
移動部40はセンサ部10を被測定物20に対して走査させる際、被測定物20に対するセンサ部10の走査方向がライン光60の長手方向と直交し、かつ参照光602が測定光601よりも先行するようにすることができる。これにより、測定光601が照射されている位置が次の位置に移動される際に、次の測定位置でセンサ部10が適切な姿勢となるように制御することができる。そのため、センサ部10を、被測定物20に対して適切な姿勢を維持しながら走査することが可能となる。したがって、表面の形状に応じ正確な形状測定を行うことができる。
また、姿勢制御を行いながらセンサ部10を一定速度で走査する際、被測定物表面21で形状の変化が急な場所では測定間隔が一定にならないことがある。すなわち、センサ部10の姿勢を変更することにより、姿勢を変更しない場合と比較してライン光60が照射される位置が変化する。ここで、測定間隔とは測定光601の像に基づき被測定物20の三次元座標点が取得される位置の、走査方向に対する間隔である。走査間隔の調整は、移動部40の走査速度の変更や、移動部40の駆動量の制御などにより行うことができる。また、画像を取得するタイミングの時間間隔を変更することにより、測定間隔の調整をしても良い。測定間隔は、被測定物表面21に対して一定となるように調整しても良く、形状の変化が急な場所ではより多くの座標点が取得されるように狭く調節しても良い。
次に、本実施形態の形状測定装置100による形状測定の流れについて、図5及び図11のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、測定者は被測定物20を姿勢変更部30に固定する。ステップS101において、測定者によって測定が開始されると、照明部11が被測定物20の測定する部分に測定光601及び参照光602を照射する。
ステップS102において、撮像部12は被測定物表面21のライン光60の像を撮影する。このとき、得られた画像は、演算部51、記憶部53、及び制御部53に送られる。
ステップS101で撮影され演算部51に送られた画像は、形状演算部511、位置特定部514、及び表面方向推定部512に送られる。ステップS103において、形状演算部511及び表面方向推定部512は、画像上で測定光の像6011及び参照光の像6021の判別をする。このとき、本実施形態における形状測定装置100では、それぞれの像が並ぶ順番から測定光601及び参照光602を特定する。
また、測定光601又は参照光602が識別できる限りにおいて上記の方法に限定されず、測定光601と参照光602のどちらか一方を点滅させて識別してもよい。また、測定光601、及び、参照光602をそれぞれ異なる波長で照射し識別できるようにしてもよく、識別可能な程度にそれぞれのライン光の幅を変えて被測定物20に照射してもよい。
次に、ステップS104において、形状演算部511が測定光601の照射されている被測定物20の表面形状を演算する。具体的には、測定光の像6011の長手方向のそれぞれの画素位置に対応する被測定物表面21の位置を演算する。ここで、長手方向のそれぞれの画素位置において、長手方向と直行する短手方向に光量分布があるため、光量分布のピークの位置の画素を特定し、この画素位置に対応する被測定物表面21の位置を演算する。演算結果は記憶部53に送られ記憶される。
また、形状演算は画像上の画素位置に対応した被測定物の位置を一意に示す対応テーブルを用いる方法でも良い。
ステップS105において、位置特定部514はステップS102で得た画像に基づき測定光の像の画素位置71及び参照光の像の画素位置72を求める。そして、表面方向演算部512はそれぞれの画素位置に対応する被測定物20のプローブ座標を演算により求め、センサ部10に対する被測定物表面20の向きを演算する。この向きの情報は記憶部52、及び駆動量演算部513に送られる。
また、上述のように位置特定部514がそれぞれのライン光の画素位置を特定した後、記憶部52に記憶されているルックアップテーブルによって被測定物20の向きを求めることができる。
ステップS106において、駆動量演算部513は、次の測定位置で被測定物20に対するセンサ部10の相対的な姿勢が適切になるように、次の測定位置に移動するまでの間に駆動させる姿勢変更部30の駆動量を演算する。また、測定間隔を調整するために移動部40の駆動量を制御する場合、移動部40の駆動量を求めておく。
被測定物20に対するセンサ部10の適切な姿勢は、例えば、次の測定位置で撮像素子122に入射する反射光の強度が撮像素子122の計測可能な強度範囲内に収まると推測されるような姿勢である。
ステップS107において、機構制御部522は次の撮影タイミングまでに、ステップS106で得られたに駆動量に基づいて姿勢変更部30や移動部40の各部分を駆動する。
ステップS102からS107までを、被測定物表面21上の所望の領域の形状計測が終了するまで繰り返す。
また、ステップ103において、測定光601及び参照光602の判別ができない場合は、エラーを表示し測定者に知らせても良く、これらが判別できる位置まで姿勢変更部30、移動部40等を駆動させても良い。
本実施形態における形状測定装置100において、センサ部10の被測定物表面21に対する姿勢は、ライン光60が照射されている測定位置における被測定物20の向きの情報に基づき、撮像面122に入射する正反射光や拡散反射光の強度信号が撮像素子121のダイナミックレンジに収まるように制御される。センサ部10の被測定物表面21に対する姿勢は、例えば、照明光学系112の光軸方向と、被測定物表面の向き、すなわち被測定物20上のライン光60が照射されている領域に仮定した法線の方向とが成す角度に相当する量で表される。
図12に、被測定物20に照射されたライン光60の正反射光81と、拡散反射光82、83を示す。正反射光81は被測定物表面に仮定した法線80に対し、入射角と等しい角度で反射する光である。センサ部10の被測定物表面21に対する姿勢によっては、ライン光60が被測定物表面20で正反射する方向81と照明光学系112の光軸方向と略一致し、正反射光81や正反射角に近い角度で反射する拡散反射光82が撮像素子121に入射してしまうことがある。この場合、正反射光81や拡散反射光82、83の信号強度が強く、撮像素子121のダイナミックレンジに収まらないことがある。また、撮像光学系の光軸方向がライン光60の正反射の方向81と離れた方向に向いている場合(83)、撮像光学系に入射する拡散反射光83の信号強度がダイナミックレンジの下限よりも弱くなってしまうことがある。
また、本実施形態にかかる形状測定装置100において、被測定物表面21の座標位置を算出するときに用いた画像が取得された時のセンサ部10の相対的な姿勢が、どの程度適切な角度範囲にあるかを示す信頼性評価情報を画素値または被測定物20の形状データに付加しても良い。これにより、一連の測定動作の中で、被測定物表面21上で、所定の位置あるいはその近傍の位置における形状データが複数得られたとき、最も良い信頼評価情報が付加されている値をその位置での形状データとして採用ことができる。画素値についても同様に、被測定物20上の所定の位置やその近傍に対応する画素値が複数得られた場合、信頼度の高い画素値を採用する。
また、センサ部10の被測定物20に対する姿勢が適切な範囲にないと判断した場合、撮影が行われないような設定にしても良い。
また、本実施形態にかかる形状測定装置100において、測定光601又は参照光602のどちらもライン光である場合を示したが、参照光602は点状の光でも良い。この場合、例えば画像上での輝度の分布により参照光602の画素位置を特定し、傾き情報を得ることができる。
このように、本実施形態に係る形状測定装置100は、測定光601及び参照光602の像の位置に基づいて、センサ部10に対する被測定物表面21の傾きを傾き情報として推測し、この傾き情報に基づき、次の測定位置におけるセンサ部10の姿勢が適切な角度範囲になるよう制御することができる。
また、本実施形態では、姿勢変更部、及び移動部により自動的にセンサ部10が移動される場合を説明したが、多関節を有するアーム型の形状測定装置やポータブルタイプの形状測定装置においても実施することができる。アーム型の形状測定装置は、測定者がセンサ部10を持って被測定物20に対し相対的に移動させることができるものである。以下では、これらの形状測定装置に本発明を適用した場合について説明する。
アーム型の形状測定装置やポータブルタイプの形状測定装置において、被測定物20に対するセンサ部10の向きが適切でない場合、警告を出すようにしても良い。具体的には、表面方向推定部512の演算結果から、被測定物20の表面が向いていると推測される方向が所定の範囲にないとき、出力部55が警告を発生する。被測定物20に対するセンサ部10の向きが適切でない場合とは、例えば被測定物表面21で反射し、撮像素子121に入射した反射光の強度が撮像素子121のダイナミックレンジに収まらないと推定される場合である。その他、測定環境、装置特定等によって不適切な姿勢を設定することにより、これらの不適切な姿勢になった場合に警告を行うような構成にしても良い。
警告は、モニタ等に表示したり、警告ランプを点灯させるようにしたりしても良く、ブザー等の音声で測定者に知らせるようにしても良い。警告に合わせて、駆動量演算部513が、被測定物20に対し適切な姿勢になるようなセンサ部10の駆動量を演算し、出力部55により測定者に知らせても良い。
警告を発生させる場合の形状測定装置の要部構成を図13に示す。図13に示す形状測定装置100は、更に、判定部515を有する。また、フローを図14を用いて説明する。まず、ステップS201〜S205は図11のステップS101〜S105と同様であるため説明を省略する。
ステップS206において、判定部515は、表面方向推定部512の演算結果を参照し、センサ部10の被測定物20に対する相対的な姿勢が所定の範囲内にあるかを判定する。
判定により、適切である場合(Yes)、ステップS202に戻り、形状測定を続ける。適切でない場合(No)、ステップ207で駆動量演算部513が表面方向推定部512の演算結果を参照し、適切な駆動量を演算する。
ステップ208において、出力部55が駆動量演算部513の演算結果を表示してステップ202に戻り、フローを繰り返す。
また、ステップS204の形状演算部511による演算と形状データを記憶部53に記憶する動作を、S206での判定後に行っても良い。形状演算と形状データの記憶をS206の後に行う場合、判定結果が適切(Yes)であれば形状測定を行い、適切でない(No)場合、形状測定を行わずにステップS207の駆動量演算部513の演算を行い、ステップ208に進むようにする。また、形状データを記憶部53に記憶させる動作をS206の後に行うこともできる。この場合は、判定結果が適切(Yes)であれば記憶の動作を行うステップS206’を設け、その後ステップS202に進むようにする。適切でない(No)場合、記憶動作を行わずにステップ207に進むようにする。
また、撮像部が撮影するタイミングは前述のとおり一定の時間タイミングで撮影しても良く、測定者の持ち手部分等に撮影ボタンを設け、測定者が撮影ボタンを押したタイミングで撮影しても良い。また、センサ部10の被測定物20に対する姿勢が適切な範囲にないと判断した場合、撮影が行われないようにしても良い。また、センサ部10の被測定物20に対する姿勢に応じて警告を発生する代わりに、姿勢に応じて照明部11から照射される光の光量を変更するようにしても良い。例えば、正反射光や正反射光に近い角度に進む光が入射すると推定される姿勢の場合に光量を小さくし、正反射光の進む角度から離れた角度の光が入射すると推定される姿勢の場合に光量を多くしても良い。これにより、撮像部12のダイナミックレンジに収まるように光量を制御することができる。
このように、測定光601及び参照光602それぞれの像の位置に基づいて、センサ部10に対する被測定物表面21の向きを求め、この向きが適切な範囲にないときには警告を行い、測定者に通知して適切な移動方法を誘導することができる。これにより、表面の形状によらない正確な形状測定を実現することが可能となる。
また、表面方向推定部512の出力に応じて、形状演算部511によって求められた被測定物20の形状データのそれぞれに評価を付加しても良い。具体的には、形状データが取得されたときに得られた被測定物20に対するセンサ部10の姿勢が所定の範囲であれば形状データに高い信頼度評価値を付加し、所定の範囲外であれば低い信頼度評価値を付加することができる。センサ部10の適切な姿勢の範囲はセンサ部10等の装置構成に依存するため、信頼度評価値の評価基準はこれらの装置構成に基づいて判断しても良い。また、正反射光の影響を低減するため、正反射光が入射すると推測される姿勢と、正反射光が入射していないと推測される姿勢とで二値で評価を与えて判断しても良い。信頼度評価値を付加することにより、センサ部10の姿勢が適切でないため、被測定物20で反射したライン光の強度のピーク位置が正確に求まらないことなどによって測定精度が低下してしまう恐れのある形状データを識別することができる。
また、被測定物の所定の位置の形状データがその近傍を含めて複数取得された場合、信頼度評価値の高い形状データを採用し、被測定物の形状を求めることができる。また、信頼度評価値の高い形状データが十分得られていない場所を特定し、出力部55に出力する等によって測定者に更なる測定を促しても良い。
信頼度評価値を付加する形状測定装置100の要部構成を図15に示す。図15における形状測定装置100は、更に、信頼度評価部516を有する。フローについて、図16を参照して説明する。
図16のステップS301〜S305は図11のS101〜S105に対応するため、説明を省略する。
ステップS306において、制御ユニット50に設けられた信頼度評価部516は、ステップS305の表面方向推定部の出力を参照し、センサ部10に対する被測定物20の向きに基づいた信頼度評価値を算出する。演算制御部521は、ステップS304で得られた形状データと信頼度評価値とを対応付けて記憶部35に記憶させる。
信頼度評価値は、例えば、撮像素子121のダイナミックレンジに収まると推測される方向に進む反射光が入射した画素に出力される形状データの信頼度評価は高く、逆に正反射光や、撮像素子121のダイナミックレンジから外れてしまうと推測される方向に進む拡散反射光の信頼度評価は低くする。
ステップS302に戻り、被測定物表面21の所望の領域の形状計測がすべて終了するまで同様のフローを繰り返す。ここで、形状測定を終了するか否かは、形状測定したい領域の所定の面積当たり一定個数以上の形状データが取得されたか否かで判定しても良く、信頼度評価値が一定以上の形状データが所定の面積当たり一定個数以上得られたか否かで判定しても良い。
一連の測定が終了後、ステップS307において、選択部91は被測定物20上の同一あるいは近傍の位置に対応する画素位置の画素値が複数得られているとき、信頼度評価が最も高い画素値により求められた被測定物20の座標値を採用し形状データとする。
このように、本実施形態に係る形状測定装置100は、測定光601及び参照光602の像の位置に基づいて演算されたセンサ部10の姿勢の情報に応じて信頼度評価を行い、適切な角度で入射する反射光の像の画素値を選択できるような構成を設けることにより、表面の形状に応じた正確な形状測定を行うことが可能となる。
また、上述の各実施形態では形状測定装置に関して説明したが、形状演算部511を有さない姿勢制御装置であっても良い。
図17は、上述の形状測定装置100を備えた構造物製造システム200の一例を示す図である。図18は、構造物製造システムによる処理の流れを示したフローチャートである。構造物製造システム200は、設計装置240と、成形装置250と、形状計測装置100と、リペア装置260とを備える。制御装置210は、座標記憶部220と検査部230を備える。形状測定装置100の通信部56は、リペア装置260等、種々の機器と通信を行う。まず、設計装置240が、構造物の形状に関する設計情報を作成し、成形装置250に送る(ステップS401)。また、設計装置240は、設計情報を座標記憶部220に記憶させる。設計情報は、構造物の座標情報を含む。次に、成形装置250は、設計情報に基づいて前述した構造物を作製する(ステップS402)。次に、形状計測装置100は構造物の形状に関する座標を測定し、座標記憶部220に記憶する(ステップS403)。次に制御装置210の検査部230は、形状計測装置100から作成された構造物の形状の座標情報と、前述した設計情報とを比較することにより、構造物が設計情報通りに作製された否かを検査する(ステップS404)。
次に、制御装置210の検査部230は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する(ステップS405)。作成された構造物が良品である場合(ステップS405、YES)、構造物製造システム200はその処理を終了する。作成された構造物が良品でない場合(ステップS405、NO)、制御装置210の検査部230は、作成された構造物が修復できるか否か判定する(ステップS406)。作製された構造物が修復できる場合(ステップS406、YES)、リペア装置260は、構造物の再加工を実行し(ステップS407)、ステップS403の処理に戻る。作製された構造物が修復できない場合(ステップS406、NO)、構造物製造システム200はその処理を終了する。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
本実施形態において、画像を取得した後、その画像を用いて形状演算を行っているが、これに限られず、画像取得と形状演算を並列に別のフローにて行っても良く、画像をすべて取得した後に形状演算を行っても良い。
また、本実施形態ではライン光60の代表位置に基づいて被測定物表面21の向きを調べているが、測定光601及び参照光602の各ライン光60で形状演算を行い、演算結果を元に被測定物表面21の向きを推測しても良い。この場合、ライン光60の長手方向の各画素に対応する3次元座標の平均座標位置をそれぞれ求めて向きを推測しても良い。
本実施形態において、姿勢変更部30は被測定物20を支持し、定盤31上に設けられている例を示したが、これに限られず、例えば、センサ部10の駆動構成であって、センサ部10の向きを変更することにより相対的な姿勢を変更しても良い。例えば、センサ部10がライン光60の長手方向に平行な方向を軸として回転し、相対的な姿勢を変更するようにしても良い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、構成の一部を用いない場合もある。また、各構成を組み合わせることもできる。